ドラマ
8438 のレビュー-
Circus Show of Fancy Dolls ~Your Desire~全エンド拝見しました。確かにこれは注意文にあるように精神状況がよろしくない方はプレイしない方が良いかもしれません。特に自責傾向がある方や選択肢に示される主人公と同様の願望がある方は要注意です。主人公の境遇がそれぞれ具体的かつリアルなので、うっかり全ての条件が揃ったら精神的な負担が大きそうです。 裏を返せばそれだけ破壊力を持った作品ということで、明と暗でいうところの暗方向での表現力は突き抜けていると感じました。可愛らしいキャラクターや派手な色遣い、明るいやりとりなんかが却って恐ろしさを増長しています。サーカスや煽る観客など、舞台装置の力もあって主人公の願いの叶われ方は何とも目を覆いたくなるものです。 @ネタバレ開始 個人の受け止め方としては学びが多いシナリオだと感じました。プレイ中にも語られますが、そもそも代償なく願いを叶えてもらおうという考え方は甘いとも言えますし、自省せずになんでも人のせいにしがちな思考は良くないとも言えますし、自分の言動の結果は自分で責任を持つべきとも言えますし、各シナリオそれぞれ主人公に襲い掛かる悲劇は理不尽ではないように読めるのがなんとも秀逸だと感じました。 @ネタバレ終了 流石のアングラ人鳥歌劇展さん。公開1作目からとんでもない表現力&破壊力でした。
-
ナニシテモイイコ名作です
-
オズワルドのドキドキバレンタイン!!(ホワイトデーシナリオ追加)小ネタに溢れた勢いの良い掌編ゲームです。演出が豪華。 「ある母子の亡命」はシリアスゲーだったのになんでこんなことに(笑) 親指立てるシーンは爆笑でした。アイルビーバック!!
-
腐った果実 ‐Rotten Fruit-とても静かで、そしてゆっくりとした気だるさを伴った世界観が独特な作品でした。 「ゆるゆると」といった効果的な擬態語や、瞳に映る空などのちょっとした描写、そして2人のやり取りの間の取り方が雰囲気を形作っているなあと思います。 メインBGMはバルトークのルーマニア民族舞曲第一曲の冒頭数小節のアレンジと展開になっていて、勝手にテンションが上がっていました。 @ネタバレ開始 この作品を読んでいてずっと脳裏に浮かんでいたのはトランジと呼ばれる芸術作品群でした。 作品を通して見えるものが、トランジでは宗教、本作では自然との同化のようなある種日本的な価値観で、その点も面白く色々考えさせられるお話でした、 @ネタバレ終了 背景画像の色彩も相まって幻想的で儚いお話でした。ありがとうございます。
-
海辺のかたらい元よりクリエイターさんのファンでプレイさせていただきました。 またゲーム実況もさせていただきました。ありがとうございます! スチルはもちろん立ち絵ひとつとっても繊細な美しさで、グラフィックと小説のような語り口に魅了されました。 特に語り手の女の子は、物静かに見えて非常に個性的な性格がうかがえて新鮮でした。 旧友も会話していくうちに魅力が分かっていき、物語重視ですがキャラクターも楽しめます。 波打つテキストウィンドウなど演出面のこだわりも必見で、前述の文体もあり短いながらも重厚な小説を読み終えたような満足感を味わえました。 素敵な作品をありがとうございました! @ネタバレ開始 グッドエンドではこちらまで幸せな気持ちになりました。元気になってね。 @ネタバレ終了
-
「ようこそ、聖夜の猫柳堂書店へ。」前作プレイヤーへのご褒美的な一作でした。 クリスマス向け掌編作品で、ストーリーも綺麗にまとまっていて、オチもしっかりオチていて面白かったです。何より書店のみんなに再会できるのが嬉しかったです! 本作の前にまずは本編をプレイすることを強くお勧めします!
-
海辺のかたらいゲーム実況にてプレイさせていただきました! 冬色の綺麗なイラスト、響く波音と足音、どれもとても素敵でした。 メッセージウィンドウの揺らめくようすも、2人の距離感や会話の緊張感を感じられてとてもおもしろかったです! @ネタバレ開始 2人の絶妙な距離感が、ルートによって近づいたりそのままだったりと変わっていくのがとても楽しかったです。 ED3の暗い海から明るい街へと変わる描写や温かく柔らかい肉まんの描写がとても幸せで、2人で肉まんを食べるシーンが大好きです! また、ED1の一瞬映る涙をこぼす彼女の表情が息をのむほど美しく、悲しいルートなのですが、これも彼女にとっては幸せかもしれない…と心に響くEDでした。 ED2は最初にみたルートだったのですが、何も知らないときのあのEDは衝撃が大きくて、主人公と彼女が距離感を詰められないまま終わってしまったのが寂しかったです…。 @ネタバレ終了 どのストーリーもそれぞれに素敵で、冬の海という舞台が映える作品でした。 素敵な作品をありがとうございました!
-
向日葵に添えるアイリス美しいbgmと「アイリス」目線のテキストが印象的な掌編作品でした。句読点や文章表示の間などにもこだわっている印象を受けました。 テキストがとても綺麗で、花のうつろいで季節と月日の流れを表現しているのがとても印象的で美しいと感じました。全体的に直接的な表現は控えめですが、くっきりと状況が浮かび上がってくるようでした。 決して両手を上げてのハッピーエンドではないのですが、ラストシーンでは良かったなぁと安堵し、しみじみと感動することができます。
-
あなたの命の価値リメイクver2毒親や児童虐待などをテーマにした、ドキュメンタリー調の物語。超能力者やゾンビや宇宙人みたいな分かりやすいキャッチーな要素に頼らず、現実の世界にもあるものだけでストーリーを書けるのは素直にすごいと思いました。巧みな文章演出力あってこそ成立する芸当ですね。感想としましては、主人公の人生には苦労や困難もありましたが、なんだかんだ環境には恵まれてる方だったのだと思います。結局、不幸な奴が誰の助けも借りず自分ひとりの力だけで幸福を勝ち取るのは無理で、いい環境に恵まれてる人間の専売特許ってことなのかなあ……と考えてしまいました。環境に恵まれない孤立無援の不幸な奴が助かるには、じゃあどうすればいいんだろう、みたいな。
-
25時に復讐を。なかなかダークな作品でしたね。 トゥルーエンドは少しだけ心温まる感じでしたが、 好みは分かれそうですね。 素敵な作品をありがとうございました♪
-
カバンの中に何入れる?些細なきっかけで物語が大きく変わる物語でした。 カバンの中身って意外と重要・・・! @ネタバレ開始 トモカちゃんの「人口呼吸したくない!」 気持ちがありありと伝わってきて 思わず笑ってしまいました。 (そして、酸素を選ぶ・・・) @ネタバレ終了 個性豊かなアイテム、キャラたちに囲まれて ほっこりしました。 素敵な作品を有難うございました!
-
泣きべそ*花散る空架空の「音声型SNS」が登場する人間ドラマです。主人公の千恵は、内気で口下手ながら、内心では友達が欲しいと思っており、音声型SNS「Signaloop」で知り合った5人と仲良くなります。 序盤の舞台は千恵の部屋の中だけで、Signaloopのやり取りだけで話が進みます。ここでのやり取りで、登場人物の性格がとても上手く描写されていました。表に出る性格だけでなく、ちゃんと「本当のその人」が、キャラによって程度の差こそあれ、少しずつ散りばめられており、後半の展開を説得力高いものにしていました。 また中盤で知り合った5人と初めて会う場面の緊張感が、とても上手く表現されていましたね。起承転結が明確で、特に中盤からは一気に読めるでしょう。前半と後半で、SNSと同じ部分とそうでない部分が巧みに描かれており、人間ドラマとして非常に読み応えがありました。 ラストは、その気になれば全てが丸く収まった大団円にすることもできたでしょう。しかし今作のテーマはあくまで千恵の成長でしょうから、大団円ではそのテーマが弱められてしまいます。少し寂しい気持ちもありますが、だからこそ心を強く動かされましたし、千恵の成長と希望をしっかり示したラストは、立派なハッピーエンドだと思いました。 もう少しカラスのことについて掘り下げた描写が欲しかった気はしますが、とてもよくできた作品です。後日声がつくようなのですが、この作品は音声SNSがテーマだけに、声が付けば一層演出として効果的でしょうね。その時もう一度読んでみたいなと思っています。
-
この番組は嘘つきの提供でお送りしますドタバタコメディでありながら、無謀なことに挑戦するストーリーが熱い! 悪役がほんと嫌な奴過ぎて、途中「ムキー!」となってしまいますが、後味は最高に気持ち良かったです! 可愛いイラストのキャラが性格も合わせて素敵。真っ直ぐなところがたまりません! 特に主人公の朝日君はバカ真っ直ぐ! そしてメリーちゃんがめちゃくちゃ可愛いです! @ネタバレ開始 あれだけムカつかされたバグちゃん。最終的には憎めない不思議。 @ネタバレ終了 歌も最高で、何度もリピートさせていただきました。聞きながらコメント書こうとしたら、聞き入っちゃって全く書けないという(笑) 何度も笑って、腹立って、感動して。感情グルグルな素晴らしい作品をありがとうございました(*´ω`*)
-
ゆうひのようにプレイ順が完全に前後してしまった気もしますが、『熊羆の如し』の後にプレイしました。 くそっ!リア充!爆発しろ!ちぇだぜ!太郎の男としての器が大きすぎるぜ! などと思いながらプレイしました。とても良い話でした。 個人的には本編プレイ後にプレイしたおまけが更に良かったです!太郎!お前!どこまでイケメンなんだ!しかも幼少期から! 今作をプレイしたおかげで世界観に厚みが出ました。良かったです!
-
熊羆の如しサムネの通りフィクション要素もかなりある設定でしたが、幼馴染の距離感がとても良かったです。 冒頭の格闘シーンの臨場感も良かったですし、その後の家族を巻き込んだ展開も非常に微笑ましかったです。短編でしたが月日の重みを感じるエンディング演出も好きです。
-
世界を破壊する魔法プレイさせていただきました。 思わず目を背けたくなるような辛くて苦しいシーンもありましたが、キラキラした可愛らしいイラストと読みやすい文体で魔法みたいに楽しく読めちゃいました。 素敵な作品をありがとうございました。
-
孤島の灯台元軍人の灯台守エイデンが、1か月後には閉鎖される予定の、孤島のペタル灯台に赴任してくるところから始まる物語。その灯台で、自称「灯台の守り神」ライトと会い、彼との何気ない日常が心地良いタッチで描写されます。 前半は少し緩く感じられますし、灯台で働く他のメンバーの影が若干薄いのですが、その分エイデンとライトの交流の様子はとてもいいですね。 実は途中でフリーズしたとしか思えずにしばらく放置しました(笑)。右上の人物のイラストをクリックすれば進むのですが、それに気づかなかったのです。そのシーンは、文章か絵の説明で一言欲しかった……。 エイデンの過去のエピソードが折々に語られつつ、クライマックス手前まで穏やかに物語が進むのですが、最後のシーンを感動的に見せるためのエピソードの積み上げが、非常に効果的でした。エイデンの過去、そしてライトの思いがラストで一気に結びついて、大変印象的なラストシーンを作っていた構成は見事です。 1枚絵も大変豊富で、ビジュアル面でも楽しめましたし、イギリス民謡「灯台守」の哀愁のあるメロディも、雰囲気にとても合っていました。穏やかですが最後に感動を味わえるドラマです。
-
この月明かりの下に影はない夜の学校を探索するホラーで、画面写真を見ればお分かりのように、文字だけの地味な作品です。しかしこの作品にしかない魅力がそこかしこから感じられ、文字だけだからと見落とすには勿体無い一作です。 夜の学校の肝試しで、光弘はいきなり仲間とはぐれてしまい、幼馴染の透子と再会。そして何故か学校からは脱出できなくなってしまっており、2人は一緒に学校からの脱出を目指します。 ただの脱出ホラーではなく、透子に隠された事実が物語に深みを与えており、最後には少し心が温かくなります。透子の過去と現在をもう少し示唆する描写があれば、もっと良かったかも知れませんが、2人の関係の描き方がとても良いです。お互いがお互いを少しだけ意識する様子が絶妙。 終盤まで「物語がどこに向かっているか」が少し見えにくいところがあるのですが、全体を通じて「緊張感」が上手く描かれており、「少年少女の冒険もの」としてよくできています。 純粋なハッピーエンドではありませんが、と言って決して希望のない終わり方ではありません。1時間半くらいで読めます。心温まる青春ホラーの良作です。読んで初めて意味が分かるタイトルが粋ですね。
-
ラストブルー - A adolescence summer -高校生の理玖と、双子の幼馴染碧海、蒼空の夏の青春物語です。理玖の言動がどうにも後ろ向き、卑屈で、ちょっと感情移入しにくいところがありました。彼の苦しみの原因には共感するのですが、どうも「他人が見えていない」ところがあるんですよね。 そんな理玖ですが、クライマックスで不器用ながら自分の思いを素直にぶつけたシーンには、感銘を受けました。3人のわだかまりが溶けていくラストシーンには心を打たれます。 物語としては派手な起伏があるという訳ではないのですが、3人の関係描写が優れており、それだけで人間ドラマとして非常に読み応えがありました。ラストからクライマックスへの流れは、一見の価値があります。 プレイ時間が4〜5時間とあるので腰が引ける人もあるかも知れませんが、私は2時間半くらいで読み終えました。人間模様が紡ぎ出す、重厚な青春ドラマを味わってみてください。
-
よりにもよって軽音楽部の顧問になってしまいました主人公は部員3人の軽音楽部の顧問をする羽目になった若き教師、裏独。バンド活動がテーマの青春物語です。 3人のヒロインがいるのですが、変に恋愛方面に物語を広げず、3人のチームワークと彼女たちを見守って導く裏独という構成に絞った結果、ストレートながら気持ちのいい物語に仕上がっていました。 また、3人の部員の役割分担がはっきりしている上、それぞれにきちんと見せ場が用意されています。その見せ場が来るタイミングが良いため、物語に自然な起伏がついています。 展開そのものは比較的王道ではあるものの、このためクライマックスへ向けて知らず知らずのうちに物語が盛り上がるようになっていました。お約束と言えばお約束ですが、オチの付け方もいいですし、更に「その先」をも感じさせる幕引きで、読後感もとても爽やかでした。 若干日本語が怪しい箇所もあるのですが、台詞回しも粋で、短編青春ものとしてレベルの高い作品だったと思います。