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ホラー・オカルト

6723 のレビュー
  • 今日の晩ごはんは■■です(完全版)
    今日の晩ごはんは■■です(完全版)
    気になったのでプレイさせていただきました。 小さい女の子が晩ご飯に好物をねだる、いたって普通の導入ですが…。 @ネタバレ開始 謎の肉でハンバーグを作られたり、鍋に入れられたり、恐ろしいエンドばかりで 実はエイリアンの家なのでは?と邪推したりもしましたが ヒントが集まったことで合点がいくものが見られました。 少なくともこの家、呪われてるんじゃないですかね…? @ネタバレ終了 ごはんは残さないように、ごちそうさま。 素敵な作品をありがとうございました!
  • 画面の正面だあれ?
    画面の正面だあれ?
    ずっと気になってて、やっとプレイでしました!とても可愛らしい作品でした!! @ネタバレ開始 最初はわからなくて、全く予想だにしてなかったんです。真エンディングを見た時、あのシーンで鳥肌が一気にぞわぞわぞわぞわぞわーーーーー!!!!!!ときまして、アーテルさんの可愛い絵柄で可愛い雰囲気が一気に戦慄と化しました。 そして、最後の終わりがめちゃくちゃほっこりしてて、THE女子学生⭐学生ものを魅力的に書かれるのが凄く上手いなー!!と感じた次第です!! @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!!
  • 怪奇!開けてはいけない扉卍
    怪奇!開けてはいけない扉卍
    他の方のレビューが楽しそうで気になっていたので、フェス最終日ではありますがプレイさせていただきました! 目が覚めると、見知らぬ少女と一緒に怪異空間に放り込まれていた!?そんな感じのホラーゲームです。 恐怖表現もありますが、その中にもコミカルな表現が散りばめられていて私自身は笑っている時間の方が長かった気がします。 @ネタバレ開始 初回から4周ほどは真面目にメモを取りつつエンド回収に励んでいたのですが、ふとファイルページを見ると詳しいヒントがあるじゃないですか…!? 選択肢が膨大なのもあって、どうしたものかと頭を抱えていたので凄く助かりました…! 上記により、残り6周はヒントを頼りに全エンド見させてもらいました…! 笑えるものからガチホラーのもの…正直、ちょっと画像にイラッ☆となるエンディングまで様々なものがあって凄く楽しかったです…! 以下、到達したエンディング順に感想を語らせて下さい。 エンド8 初回で手探り状態だったため、とりあえず2周目以降の為に集められるだけ情報を集めよう…!とした結果、時間切れ的な意味合いのエンド8を迎えることとなりました。 爽やかな筈なのに、何だろうこのイラッ☆っとする感じは…! 画面上に高性能な時計があったにも関わらず生かし切れなかった事にただただ反省するエンディングでした。 エンド5 中途半端に除霊をした結果、案の定というか…コロコロされちゃいました。 多分堅実な一般プレイヤーさんなら、最初にこのエンディングを迎える人が多いんじゃないかなってイメージです! エンド7 同情で扉を開けたらあかんと言われたので、あえて序盤の方で回収しました。 救いのない時のかえちゃんの何と怖い事か…。 エンド4 その除霊方法で侵入回避出来るの?本当に??? と、ある意味自分の中で衝撃的なエンディングでした…! ネットの都市伝説や付け焼刃の除霊方法もバカに出来ませんね!! そしてタイトル回収ありがとうございます(?) エンド6 同情は身を滅ぼすとあれほど言われただろう…! エンディングコンプする為には必要な事だよな…と割り切って迎えさせていただきました。かえちゃん怖い(2回目) エンド9 外開きwwwww BAD END枠なのに「ドジっ子☆」な面と解説画像で笑わせていただきました…! めぐち&ちわちゃんペアからすると笑い事じゃないんですけどね…w エンド10 ここでしか見られないちわちゃんのグルグル目が可愛い&パーリィナイト(※昼間)な雰囲気が凄くツボでした! そんな訳ないのに、もしかしたら雰囲気で何とかなるんじゃないか!?と思わせてくれるごり押し感が凄く好きです! タイトルでオチを付けてくれるのも素晴らしい…! エンド3 めぐち&ちわちゃんペアからすると、多分一番心が凍りつくエンディングなんじゃないかなと…。 ぬか喜びからのリプレイは、自分が当事者だったら心が折れると思います。 あんなに楽しそうにしてたんだし、許してあげてよ!? エンド2 表面上は楽しそうに過ぎ去るお誕生会…けど、悪霊と化したかえちゃんが主役な事も、血まみれな家中の光景も、本当の家族が誰もいないという状況は何も変わってない、まさに異質な空間だという事がこれでもかと鮮明に表現されていて、微笑ましさの中にうすら寒さを感じました。 けど、かえちゃんもそれを理解した上で2人と一緒にお誕生祝いを済ませ、最後はめぐちとちわちゃん自身に向けてお礼を言って旅立ったシーンでは何だかとっても報われた気がします…。 無事に家族の元へたどり着けると良いのですが…。 エンド1 ちわちゃん行動派!!お別れして1時間後の再開は流石に早すぎる…! 作中でも息のぴったりだった二人なので、今後も色んな場面で相性の良さを発揮してくれたらいいなと思います! @ネタバレ終了 笑いあり、恐怖ありの素敵なゲームをありがとうございました!
  • 噓つき生者と死者の国
    噓つき生者と死者の国
    実況動画としてプレイさせていただきました。 @ネタバレ開始 自分の死因どころか、誰なのかもわからないって大丈夫なのかな?と思いつつ若い男に話を聞いて見たらクラスメイトと判明。 その後に女性に話を聞いてみて、もしかしてここにいるのってその事故の関係者勢ぞろいなのでは…とおじさんの話を聞いて思わず「あちゃー…」となりました。 主人公も事故に巻き込まれたっぽい?ので、その当時どこにいたのか…おじさんの話を聞いた時にまさかトラックの助手席に私がいたのか!?と混乱もしたり。 墓守さんに話しかけてみた結果、生徒手帳の情報が入ったので「無免許運転する高校生はいないはず…」と信じて正解。 しかし、そうなると彼女の言っていた「人間、こういう時に本性が出るっていうけど」というのは自分自身の事だったのだなと…。 それでも、できるなら二人で助かりたかったはずですしトラック相手の時点で状況的には厳しかったというのは思います。 外した際の、痛みを思い出して首を絞められるのもやっと眠れるはずだったのに妨害したせいで永眠させられるのもこちらのミスな分なかなか罪悪感はありました。 墓守さんの弟子になるエンドが一番丸いという意味では好きです。 話し相手がいるなら寂しさも紛れるでしょうし。 @ネタバレ終了 短いながらも楽しめる作品をありがとうございました。
  • 怪奇!開けてはいけない扉卍
    怪奇!開けてはいけない扉卍
    前々から気になっていたものの、ホラーが苦手なためプレイすることをためらっていました。ですが、ゲームとしての面白さ(楽しさ)が抜きんでており、遊んでみて良かったと思える作品でした! なんといっても、めぐちと千羽のかけあいが楽しかったです! 怖いシーンでも全然ビビらない二人がいてくれたので、ホラー要素も薄れ、だいぶ遊びやすくなっていました。効果音と漫符を利用したコミカルな演出もとても良かったです。特にコロコロ表情を変える千羽ちゃんがめちゃかわでした! この子…いい性格してるぜ。 マルチエンディング、時間制限のある探索、推理要素など、ゲーム性も高くて遊びごたえも十分でした。(まるで緊迫感のない)めぐち視点で説明されている「探索メモ」を読むのも、作中の楽しみの一つでした。あとはエンディングを迎えた時の画像が、ユーモアのセンス抜群で好きでした。 ユーザーフレンドリーな作りと見やすいスタイリッシュなUI、ゲーム内で攻略を見られる点やENDリストが完備されていることなど、随所にストレスを感じさせない配慮がされていて好感が持てました。推理ゲーム特有の「探索してヒントを集め、謎を解いていく」という過程がとても丁寧に作られているため、気持ち良く謎解き出来ました。変数管理とかめちゃくちゃ大変そう…。 あと、難易度を選択できる点もありがたかったです。おかげで楽しく最後まで遊べました!(「END1」と「隠し探索場所」以外は自力で回収しました) @ネタバレ開始 「END1」は、二人の今後を予感させるような明るい内容で良かったです。いつか続編で二人に会える日が来たらいいな…。 @ネタバレ終了 程よい難易度と適度なホラー感で、多くの方にお勧めできる良作でした。ありがとうございました!
  • 「君も助けてくれないんだね。」
    「君も助けてくれないんだね。」
    @ネタバレ開始 きっとイブキさんは救われて、同居人は成敗されて、悪趣味なドキュメンタリー撮影班もアサヒくんがしばいてくれて…と思っていたけど…。 ビール瓶を無理やり…という描写が痛々しくて苦しかった。 悪い人もいたけどだいたいみんなが被害者で誰かひとりを責めることもできないやるせなさが残った @ネタバレ終了
  • サイコパス診断
    サイコパス診断
    サイコパス診断しました! 医者「サイコパス診断はじめます」  はい →いいえ もう1秒で同調できないサイコパス側だとわかr… @ネタバレ開始 「あなたは水虫です」 ゆ、許された……! 浪人の末に夢を実現した先生、すき…でも本当は正式な先生ではなかったのです…。 @ネタバレ終了
  • ファントムゾーン ナイトフォレスト
    ファントムゾーン ナイトフォレスト
    X(旧ツイッター)で宣伝をお見かけして、雰囲気が好きそうな予感!?と思いプレイさせていただきました! 鳥類学者がSNSで怪奇現象を報告した事を切っ掛けに、海外のオカルト好き達がこぞってとある森へと足を運びます。 ですが、その森は人を喰う禁足地で…? @ネタバレ開始 シリーズ初プレイなので勝手が分らず、最初の観測者達のやり取りから「人為的に作られた実験場的な場所での話」なのかと思いつつ読み進め始めました。 けど、初回は秋人君と遭遇し素直に指示に従って無事に生還出来たのでおかしいな?と思い、再度Aのシナリオで別の選択肢を選択するとあっさり食べられちゃったので、たまたま運が良かっただけみたいです…。 続いてBのシナリオでも怪しさ全開の少年が引率してくれたので「今回こそはBADな方を先に引かなきゃ!!」と、意気揚揚と逃げ出す選択肢を選ぶと、これまた先ほどと同じような助かる結末になりました。 もしや、今回はどっちも助かるパターンなのか!と思い、改めて少年に付いて行くと…ああああ!?今度の彼は敵なパターンね!なるほどなるほど…。 CのシナリオこそはBADを先に引いてやるぞ…!と、逆に○ぬ事に執着する謎の人物状態でストーリーをスタートしました。 すると初回からあの怪しさ全開の山神君が案内を名乗り出てきたので、「これ絶対生き残れないパターンじゃない…」とドンヨリしていると、意外とフランクに話してくれる山神君…凄く冥途の土産って言葉がぴったりなシチュエーションだと思ったら案の定でした。 けど、食べられる寸での所で今まで助けてくれた少年が今回も助けに入ってくれて、何とか事なきを得ました…! この時、初めて少年達が双子なのを知り、よくよく観察したら制服に「秋」と「冬」の文字が刺繍?されてるのが目に入り、もう1回AとBのシナリオを見てきました! ちゃんとそれぞれのシナリオで秋人君と冬人君が別の人物を助けてるんですね…演出が細かい!! …あれ、CのシナリオはBAD ENDないんですね!? 毎回何だかんだ初回は生き残るので、もしかしたら私はこの森と相性がいいのかも知れま…いや、そんな訳ないですね。 解説と観測者達の話も読ませていただき、この森のがどういう存在で観測者達はどういった意図で人々を誘い込んでいたのかも把握出来ました。 最初は実験場的な意味合いの場所なのかと思っていたのですが、事実はもっと深刻な状況だったんですね…。 双子君達+αと、観測者…そしてやり方は最悪ですが、山神君も大多数の他人の為に頑張る人達だったんですね…(観測者側は個人としては微妙な立ち位置でしたが) 山神君曰く、正当な神様にお願いするより何も知らない外国人を人柱にした方がコスパがいいと言ってましたが、神自身も何か生贄を要求するタイプの存在なんでしょうか…? そして双子達や事の発端となった鳥類学者が森に食べられなかった理由など色々設定が面白く、最後までダレる事なく楽しませていただきました! まだまだ自分の中で謎が残されているので、また折を見て別のファントムゾーンシリーズをプレイしてみたいと思います! @ネタバレ終了 素敵なゲームをありがとうございました!
  • 月下怪談
    月下怪談
    続きから失礼いたします。 下記は4話目終了後から残りの感想となります。 @ネタバレ開始 ◆帰るルート これは最後の話まで聞いてこそトゥルーエンドと思ったので、先にこちらから回収しました。 山の中であり、森であっても麓なら町に出られるかもしれないと決断。 ここまでかなりしつこくアプローチをしてきた割には、イルシィ君があっさり返してくれる反応なのは意外でした。 玄関の扉を開けて、外に出ようとすれば背後から抱きしめられ。 何やら二つ聞いて欲しい事がある様子。 どうやら、道案内役として黒猫がいるらしくこの仔についていけば町に戻れるらしいとの事。 まるでおとぎ話のようですが、帰れる分には問題もないでしょう。 もう一つは、これから言うお願いは絶対に聞いて欲しいという内容。 …これは個人的な感情としてですが 感想をまとめるに辺り、バックログと最新の台詞が出ているゲーム画面を両方確認する作業が入るのですがこのルートに関してだとバックログの際に表示される文面が何とも切ないです。 「僕とあなたの思い出です。何度でも振り返りましょう」 これをまとめている時点で、今回の結末では二度と会えない事を知っているからでしょう。 後でずっと一緒エンドに行くのはわかっていますが、しばしのお別れを。 「二度とこの山には近寄らないで。さようなら、天凱彼岸花さん」 ここがどこなのかわからないのだから、そもそも近寄る以前に戻ってしまえば場所もわからないのでは…? 初見の際にはそう思いつつ、謎を残しながらも黒猫の案内で無事に町へ到着。 ようやく見知った場所に到着した安心感。 そういえばこの場面まで、自分は黒猫の後ろ姿しか見ていないなと正面顔を見て見れば…そこには真っ黒な瞳をした顔が。 全てを知った後から考えると、この猫も殻の一つなのでしょうね。 そして日常に戻った主人公があの屋敷について調べてみれば、近所では有名な事故物件であり。 どのような用途で売りに出されていたのか、何故買い手がつかなくなったのか。 もっと調べれば、現在誰が住んでいるかも全てわかると知りながらも調べるのはここまで。 これ以上深入りをすれば、きっともう二度と日常には戻れないでしょう。 しかし、不可抗力として時々見る夢の中。 そこにはデジカメの画面を眺めるイルシィ君の姿、私が知る限り彼があのカメラで撮影したもの…いや、者は一つだけのはず。 何度も何度も、空気に融かすように私の名前を紡がれて。 私は何度も同じ夢を見続けている。 写真は便利な物でも、二度とあの山に近寄らないようにお願いをしても。 イルシィ君は、本当は主人公を呼んでいるし傍にいたいと思っている。 だから絶対に近寄らない。 知らない方が幸せな事もある、そんなエンドなのでしょうね。 こちらのエンドだと、最後の1話が不明という不完全燃焼はあれど蝋燭の火も聞き終われば消える流れが予想できた事。 そうなれば取り返しがつかない、引き返せない何かが起きるというのは初見でも想像できました。 ただ、トゥルーにおける怒涛の展開を知っているとこちらは随分平和的というか…人としての理性があったのだなと。 設定の本筋としては、トゥルーエンドで明かされる情報と同じ状況でありどういう結末を選んだかの違いでしかないと解釈しております。 でなければ、主人公がどうして気が付いたら知らない森の中にいたのか説明もつきませんし。 明確な分岐も、この選択肢のみで他の部分は共通の設定として話されているだろう事。 「今の僕は」という発言からそうじゃない僕とは会った事があるというのを仄めかしていましたし。 話の構成として見た時も、4話目は実質撒き餌の役割もしていると思いました。 Bという大学生、廃村になった因習村とそれまでの話に繋がるピースが存在している事。 3話目までの段階では気づきませんでしたが、イルシィ君の話はオムニバスに見せかけて実は何か軸になっている物が存在している。 その真相を暴きたいという衝動に任せるか、それともあえて知らないままでいるべきか。 …実はもう、自分が死んでいるという事も含めて知らない方が幸せな事もあるのだなと。 ◆帰らないルート(暗所恐怖症) さぁ、ここからが本番だ!と5話目を聞きましょう。 一晩だけ。たった一晩だけだ。一晩だけ留まったところで私の何が変わると言うのだろう? …全てを知っていると、この発言があまりに状況を軽視していたなと思えますが案外運命の分岐点なんてそんなものかもしれませんね。 という事で、最後は特別仕様という事でイルシィ君の実体験という意外な展開へ。 どうやらこちらも事故物件に関する話という事で、事故物件編パート二のはじまりはじまり。 この話にもこの話における主役であるイルシィ君以外にも登場人物がいるようで、家事代行サービス…家政婦さんを雇っていたとの事。 確かにイルシィ君は見た感じいいところの出身に見えますし、家の事をやってくれる人を雇うのも不思議はないかなと思いました。 お坊ちゃまなら壊滅的に家事に向いてないというのも当然でしょう。 まぁ、この話も実体験である事は事実でも重要な部分は絶妙に隠していたというべきか。 嘘はついてないけど本当の事も言っていない。 後々になれば、そこしか居場所がなかった。 あんな場所でしか生きられなかった。 この言葉の意味がどれ程重たいのか、ショックを受ける事となりました。 そしてやっと出てきた家政婦の女、今回は私の名前は使いたくないという事でAという事に。 ここも、何故今まで意図的にAという仮名を使わずにいたのか?意味はありそうに思いますが読み解けませんでした。 こんな仕事を引き受けるのはある意味似た者同士というべきか、Aはろくでもない人間のよう。 金の亡者であり、ホストに貢ぐ為にどうしてもお金が欲しかった。 彼女の言い分をわかりやすく翻訳したというか、ぶっちゃけよくわかりませんでしたと言いつつ本質をついている感想はさておき。 遠回りで金銭に頼る方法を取る必要がないと言った際の発想は、完全に人間の物ではありませんでした。 確かにイルシィ君はどこかズレている部分はありますが、この話に関しては恐らくほぼあちらの方が語り手を担当していたのだろうなと思います。 そして、主人公に現在恋愛的な意味での好きな相手がいないとわかれば喜び。 この、いた場合にどうしてやろうかと思った。手間が省けてよかったというのも殻の感情はありながら完全にそっちの発想に寄っているなと。 話は本筋に戻り、金の亡者なのはともかく仕事もちゃんとしてくれない上に雇い主の私物を盗んで売り飛ばすという早く警察に通報すべきと言える人だったというのはなかなか救えない。 家が事故物件なので怯えて早く帰りたがるまでは理解できますが、それは人として駄目でしょうと。 そう考えればある意味天罰というべきか、事故物件の怪奇現象が先に狙いを定めたのはAのようでした。 イルシィ君の周りでは何も起きてないにも関わらず、どんどん様子がおかしくなっていくA。 やがて、イルシィ君にも不可思議な存在を感じる事はできるようになってもそれ以上の事は彼自身にはなく。 それと対照的に、Aは見た目にも変化がわかる位にやつれていき見た目から余裕がないのがわかる程に。 見た目だけではなく正気も失っていき会話も成立しなくなり、彼女は何かに怯えている旨を一方的に話すだけ。 要約すると、彼女にだけ見える何かがイルシィ君の体のあちこちについているとの事。 もっと正確に言えば、イルシィ君だけでなく彼女以外のみんながそれに憑かれているのに何てことない顔をして生きている。 いつも暗いところに潜んでいる何か、影になっている場所から音もなく笑ってこちらを見ている何か。 彼女が瞼を閉じられないのも、目を閉じたらそれが凄く近くにいて瞼の裏から自分を見つめているからである事。 とはいえ、そんな影にいる何かを恐れるとなるとイルシィ君の言う通り物理法則として光源が存在する限り絶対どこかに影はできてしまう。 そうなっては仕事どころか日常生活なんてとても送れないでしょう。 そしてまたやってきたあなたの中で用意してくださいのコーナー。 今回はとびきり怖いものを想像して欲しいと言われましたが、ホラー慣れしていると見た目として怖い物には耐性もそこそこあるし…と悩みつつ。 結局自力で決めるとギャグの流れになってしまったので、無難に血濡れの武器を持ってホッケーマスク(返り血付)を被った殺人鬼を採用しました。 重要なのは、自分にとって一番怖いと思う存在が自分の身の回りで影になっている場所からいつまでもこちらを見つめてくるという恐怖を想像する事。 Aに見えてるそれの姿の正解はわかりませんが、Aが常にそういう状態にあるという事がここでは重要な部分な以上。 しかし恐怖の対象が影にいる以上、影はずっと自分の足元に付きまとうしどうしようもない。 だからといって、光源のなくなる夜の方がもっと酷い状態になるらしく夜になる前に早く帰りたいと言ったかと思えば帰りたくないともはや発言は支離滅裂に。 結果的に、家が大きく使っていない部屋もあったという事で住み込みをさせる事に。 果たして彼女が自室でどんな状態なのかを確認してみれば、部屋の中にあった家具は撤去され四方八方に設置された簡易照明のせいで眩しい事に。 さらに自分の体にもしっかり光源が当たるように生身の状態で照らされているという異様な光景が…。 ここまでしてもまだ文句があるらしく、正確にはまだそれでも影になる場所が存在すると気づいてしまったと述べるA。 大体の生き物は光を遮断するための皮膚を持って生まれてくる。 だから皮膚の裏側である血管の中はどうなっているのか?永遠に夜であり、だから影を好むあれは生きているものが好きなのだと。 これはなかなか面白い表現という感心の方が先にきましたね。 確かに皮膚で防がれている以上血管もですが内臓だって光が当たる事はない。 だから人間は文字通り誰しも闇を抱えて生きている。 いや、確かに考え方としては面白いけどそうなるともう対処法はないのではないか…? あまり考えたくないけど、体内に光を当てる方法があるなら…と思えばやはりというかAは包丁で自分を切り裂き始めてしまった。 確かにそれで体内も部分的に照らせるかもしれないけど、先に出血多量で死ぬからね!? というか、完全に開きにでもならないと無理じゃないかな…と思いましたがそれを実行されても困るのが率直な感想。 これにはイルシィ君も、誰が後で掃除すると思ってるんですかね?と呆れた調子。 もう仕事をしないどころかただ家の一部を占領するだけとなったAを早めに追い出したいと思うも関わりたくないという切実なところ。 それ以前に、さすがに自分を包丁で切り裂いたら先に死んでないか?と思えば生きてるようでメールのやり取りはしているらしく。 やり取りと言っても、ほぼ向こうから意味の分からない内容が一方通行で届くと言った方が正しいようですが生存確認はできているもよう。 そして、彼女から送られてきた最後のメールには「あっ」と思わず意味がわかると事件しかない話の気配が…。 「私を光源にすればいいんです」 人間は自力で発光できる生物ではない。 そうなると実行できる手段なんて限られていて、何処からともなく焦げ臭い匂いが運ばれてきたというのでそれしかなかったのだなと項垂れ。 Aの部屋に行ってみれば、やはり光源になる=火だるまになるという意味で正解だったらしく。 雇い主の家が全焼するといけないからせめて外でやってくれないかな!?という常識も通じない状態なのでしょうね。 (そもそも、火だるまになっても内臓まで光は届かない気はやはりあり) そんな事故現場を見ながら、地獄ってあんな感じなのかな等と考えるイルシィ君はある意味達観していると表現すべきなのか。 何はともあれ救急と消防に連絡を入れ火事騒動は解決へ。 幸い被害はAの部屋周辺だけで済んだのがまだ良かったというべきか。 Aはどうなったと思う?と聞かれれば、さすがにこれは死んだような気もしますがワンチャン重症で奇跡的に生きてる可能性があるかどうか? 答えは…何故か時刻が翌日へ変わり。 インターホンの音から玄関へ向かえば、レンズ越しに見えたのは包帯だらけなAの姿。 全身の皮膚が包帯で隠れているので、顔もわからない以上Aっぽい人という表現をされていますが…前日火だるまになった人がワンチャン生きていたとして歩けるのか? 同じ疑問をイルシィ君も持っていたらしく、すぐに退院できるなんてありえない。それ以前に退院が許されるような状態でないのは今見えている姿から判断できる。 中に入れて欲しいと言われても、普通なら絶対に扉を開けてはいけないとわかる状況でしょう。 しかし、イルシィ君は何故か家に招き入れてしまった…。 ここで、左側でその事に対し「馬鹿なイルシィ……」と述べているのは完全にあちら側の人格でしょう。 あちら、あれ、名前を言うのはあえて避けてきましたが…恐らく、れいでら様と呼ばれた影のようで黒い靄のような存在が。 玄関に入ってきたAは、傘立てにあった傘を使いイルシィ君を何度も刺して逃げようとしても上手く逃げ切れずに右目を抉られてしまった。 そこでイルシィ君の意識は途絶えたところでお話はおしまい。 だけど、その後に色々あったので現在は生きていると自称する。 ◇そして全ての蝋燭は消える さすがにバトル漫画の登場人物でも体に穴を開けられたら死ぬのに、イルシィ君のそれは絶対生きてるのがおかしい状況です。 そう考えるなら、実体験に嘘を入れた創作と言われた方がまだ納得はいくのですが…。 しかし、言われてみれば彼の右目はずっと前髪に隠れているのでどうなっているかを私は知らない。 5話目を聞くまでは、そういうファッションだとしか考えていなかっただけに。 そして全ての話を聞いた今なら、主人公も今まであったおかしさの部分を話せるようになる段階に到達したようで。 問題はそれを話すべきなのか、黙っているべきなのか。 自問自答する間もなく、選んだ選択は真実を知る事でした。 今までの話は全てが繋がっており、特定の時系列で起きた出来事だった事。 物語の舞台は村と家の二つに分類され、家は全て事故物件があったという家であり村はかつての因習村だった事。 今までの話で説明不足な部分があったのは、意図的にそうする事で同じ舞台である事を悟られないようにする為。 頭の中でこうだったのではないか?という仮説が主人公の語りによって一本の線へ繋がっていく。 そして出された、今目の前にいるイルシィ君は姿こそイルシィ君でもその中身は全ての話を見てきた当人のれいでら様であるという結論。 とはいえ、あくまでこれはイルシィ君の話した事が全て真実であればというのが大前提であり彼の話が創作ならば成立しない妄想にすぎず。 彼の反応を待てば、最初は困ったような反応を見せるも普通に正解と言われ…。 「――だけど、もう時間切れ」 最後の話が終わった以上、蝋燭が消えるのはわかっていたことながら光源を失い口元と手元しか確認できない目の前にいるはずのイルシィ君。 暗闇の中で、段々とこちらに近づきながら悪趣味な仕掛けと思った事が実は忠告だったと告げられて。 今までの怖い話に私の名前が使われたのは、間接的に助かる方法を教える為だった…? 「今までのは怖い話ではありません。全部僕の楽しい思い出話です」 「確かに前のイルシィは死にました、というか僕が殺しましたけど」 やはり目の前にいるのは見た目はそうでも、イルシィ君の姿をした中身がれいでら様な存在で確定か…。 こうなればもう、やはりというべきか逃げの一手しかない…! しかし、主人公が向かったのは階段の方向で。 本来なら玄関から外へ出たいけれど、追跡者がいる以上その場しのぎでも前に進むことしかできないのがもどかしい。 こちらは全力で走っているのに、あちらはあえて追いつかないギリギリの速さでついてくるという明らかに楽しんでいる状況。 だから身を翻してすぐ傍まで追っていた彼に勢いよくぶつかれば階段から転げ落ちていく音が。 結果、そこに転がったのは首が直角に折れ曲がった…人間ならばまず生きていない状態の姿をした彼で。 人を殺してしまったという客観的事実に、これは正当防衛だったのか過剰防衛だったのか自問自答をしていれば 「あーあ……ひっとーい」 どうみても人間なら生きていない状態のはずなのに起き上がった…!? しかも首が曲がったせいで今まで隠れていた右目の位置も見えており、話にあった通りそこには本来あるべき物がない。 再び逃げるしかない状況。 思わず逃げ込んだ部屋の中を見ればそこには鳥居が……。 話の中では誰が用意したのか不明だったそれは、肝試しから生還したBが神頼みしかないと自作した物であると判明し。 なのに皮肉なのが、この山にいる神こそがBの命を狙っているれいでら様だったという事。 救いを求めたいのに、その神こそが自分の命を狙っているとは本当になんて美しい皮肉なのか。 そして神を自称するそれは、せっかく鳥居の前にいるのだから叶えたい願いはないのかを聞いてきて。 限りなく気まぐれからに近いだろう思い付きで、たまにはお願いを叶えてみるのも楽しそうと思っているのが今の状況に不釣り合いで。 扉を思いっきり開けば向こうも予想外だったのか、ドアにぶつかり隙が生まれた。 この間に今度こそ玄関から外へ、今度こそ外に出なければ…と思ったのに。 ノーマルエンドでは知らないままで終われた真実。 実はすでに主人公も死んでおり、れいでら様の配下になっていた事。 意識が消されていないものの、体は本来ならば自由に動けないという事。 その言葉の通り、体は勝手にイルシィの後に続いてどこかへ歩き出し自分の意思では動かす事はできなかった。 もうすでに体が支配下にある以上、意識という自我は残っていても逆らう事なんてできない。 たどり着いたのはイルシィの部屋で、ベッドで彼の隣に腰を掛ける形に。 彼の機嫌を損ねれば何をされるかわかったものではない。 かといって、ご機嫌を取りに行くのも嫌となれば何が正解なのか? 結局今後自分はどうなるのか?質問を質問で返す形になればこちらの体を両の腕で拘束し、頬に口付けを。 その事を認識するよりも先に、頬に当たる感触は柔らかい物から硬い何かへ…何が起きているのは認識すれば最後。 あぁ、今私は食べられてるのか? 痛みは、自分に起きている事を認識した途端に襲い掛かるとは言いますが例にもれず頬に開いた穴からの痛みに苦しむ事に。 どれだけ抵抗しようにも自分を拘束する男からは逃げられない、彼が今の行為に満足するまでただこの状況に耐え続けるしかない。 普通の人間ならば気が狂いそうな、だけどどこか色情を感じずにはいられない。 食べてしまいたい程可愛い、好きな人を自分の中に取り込む、そんな理屈でなく目の前にいる彼は人外だからこそ人間である主人公と愛情表現の認識が噛み合わない。 彼にとっては、これは恋人同士でしかしない行為だと思っていて。 どこか偏った…人間から見れば間違った知識で愛をぶつけられている。 もうすでに、彼の配下となった体は齧られた頬だって元に戻ってしまう。 心は人間のままでもすでに自分の体も限りなく人間ではない何かになっている。 だから彼にとって、いくら乱暴をしても治る事がわかっているのだから軽い気持ちで首に指を入れられて通常人間が生きていれば触れられる事のない頸椎に爪を立てられる。 やはり人の姿をしていても目の前にいるのは神と呼ばれた人外だと思う瞬間。 蟻を潰して何回耐えられるかをやってみたと言っていたけど、恐らくそれも本当は人間ではなかったのか? その際に感じた可愛いという感情と同様に、苦しむ様に愛おしさを感じられている。 少しでも楽になりたいなら、もう私に残されたのは目の前の怖い人が言えと指示する言葉を発するのみ。 そして彼が満足したところで、これから永遠に彼にとって様々な存在を兼用しつつ一緒に暮らすという実質の死刑宣告。 …死ねない分、ある意味死ぬよりも辛い事なんでしょうね。 主人公からすれば、何故気に入られたのかもわからずひたすらに理不尽でしかない。 だけど、人外から向けられる愛情が人間と同じ表現とは限らないんだから仕方ないですよね。 ◇回想 回想が始まったのは想定外だったというのが正直なところでしたね。 その手前で終わっても種族が違うからこそ、理不尽さがあってもこんな終わりもあると美しさは感じましたが全てを知るには足りなかったというのも事実。 まだ生きていた、イルシィ君の過去。 彼が病的に白かったのは元からであり、この頃は美しい瞳の色をしていたのだなと。 現代のように医療が発達するという事は、病弱な体であっても延命がされるという側面もある。 資金的な問題さえ解決できるのなら最新の治療を受ける事だってできる。 それが彼にとっては、何もできないのに生き続ける事が苦しみの原因となってしまった皮肉。 親戚の葬式に出た際に次は病弱な自分の番だと信じていた。 死が救いとなり、大事な人に見送られながら終われるのだと信じていた頃が幸せだったというのが何ともやるせなさを感じます。 けれど、確かに本来は親の方が順番が先とはいえあまりにも早すぎるタイミングで両親を亡くしてしまった上に事実上弟にも見捨てられる事となり。 そこしか居場所がなかった。 あんな場所でしか生きられなかった。 彼が実体験を語った際、詳細はぼかしながらも語った中に見え隠れしていた真相。 都心よりも自然が豊かな場所で療養をした方がいいと提供された家は有名な事故物件であり、それは弟に自分の死を望まれているとしか受け取れなかった。 だけどその時のイルシィ君には他に行ける場所もなく、自分でも己の死を待ち望んでいたからこそ受け入れるしかなかった。 人ではないもの、自分の意思とは関係なく殺してくれるもの。 本来であればそれに命を奪われるのはあまりに理不尽だと叫ぶべきものなのに、そういった感情すら起こせない状況まで追い込まれていたというのが何とも痛ましいです。 5話目の際に出てきたAは家事代行サービスではなく介護員で。 家事が壊滅的にできないというのも、世間知らずの坊っちゃんだからでなく病弱だったからというのが真相で。 Aは金の亡者であり手癖の悪さは実話であったけれど、死を待つ自分はもう者に執着する意味がないとそこに怒りすらなかった。 理由も目的も見当たらなくとも、どうせ長くない命なら好きな事をしてみたい。 そう思っても、車椅子での移動ではろくに舗装もされていない山から町に行くだけでかなり疲労をしてしまい。 きっと、健康な体であればできたであろう勢いからの行動すらままならないという現状。 イルシィ君は確かに年齢だけでいえば成人はしていても、その大半を病院で動けないまま過ごしたのだから本来ならこれまでの過程で欲しかったはずの物を求める権利だってあったはずなのに。 もっと正確に言えば、欲しいものを求める事に年齢は関係ないはずなのに。 普通の日常を過ごす誰かにとって当たり前の物が、場所が、経験が、その大半が彼にとって得られないまま過ぎてしまった事で。 そんな外から逃げようと、家に戻ろうとしたのに突如調子が悪くなる体。 思わず溢れた笑いと共に喉の奥から這い上がってくる血液。 今日が人生の終わりなのかと思っても、流れるような走馬灯も存在しない。 流す思い出もないと感じてしまう自分の人生。 それならば、眼鏡を落として視界が悪くともぼやけながらも今そこに映るオブジェクトを眺めていようと。 すると、目の前に見える黒いモヤ。 正しくは、彼の今の視界からでは色しか識別できない人間がいて。 その人は、吐血する彼を見て救急車を呼ぼうとするもどうせ呼んでも意味はないと拒否をされ。 それでも救急車を呼ぶために電話をしていた。 どうせ時間の無駄なのだから、自分の事なんて忘れて何処かに行って欲しいと言ったのに。 なんでと疑問をぶつければ 「だって、助けてほしいって顔してるじゃないですか」 そして手指に触れる誰かの温もり。 自分以外の熱に安らぎを得ていれば、気付いた時には病院に運ばれていた。 退院後、あの時の事を考えながら自分の気持ちの正体を考えてみればそれは彼女を好きになったのだとAに指摘され。 そんなつもりで話した訳でもないのに、恋に落ちたのだと認めてしまうのもどこか癪で。 もし、これが恋だと認めてしまえば自分はあの時彼女が言っていたように誰かに助けを求めているという事になってしまう。 それに、元より後のない自分と付き合えたところでそれは相手の時間を無駄にする行為なのではないか? 告白なんて、月が綺麗ですねすら自分に言う資格はないのだから。 そうやって自分の感情に言い訳をしながらも突然終わりはやってくる。 5話目で、自ら光源となり入院したはずのAが何故か家にやってきたあの日。 不気味に感じながらも見捨てられずに扉を開ければ、傘で体を貫かれていた。 理由はどうあれ、本来は待ち望んでいたはずの死がようやくやってきたのにまともに動かない体は廊下を逃げるように這っていて。 本当にもう自分は助からないのだと知った時、それまで我慢していたはずの事が…後悔が本当は存在した事を理解して。 もう叶えられないのに、自分にもやりたい事があったという事が喜ばしかった。 やっぱりまだ生きていたかったんだとようやく思えた。 何もできない自分が嫌で、やりたいと感じた事の殆どに手は届かなくて、希望を見上げる事ができなくなり下ばかりを向いているのが楽になってしまっていた。 なのに本当は死ぬのが怖くて、生きているうちにやりたいことばかり膨らんで、未練がましく呼吸を繰り返す。 本当は誰かに、生きていてもいいと肯定して欲しかっただけだった。 自分はただ資材を食い潰すしかないから生きていてはいけないと自分ですら否定をしていた自分の事を。 弟に、事実上死を求めるかのように見捨てられた自分の事を。 だからあの日、自分を助けてくれた彼女に恋をしていた。 彼女にとっては大した事じゃない出来事だっていうのも理解をした上で、それでも嬉しくて。 また生きていて欲しいと思われたくて。 眼鏡を落としたせいで、名前どころかその顔もわからない彼女。 憶えているのは声と手の温度だけ。 大まかな色と形しかわからない。 せめて、ありがとうの一言位は伝えられたら良かった。 そして現実に引き戻され、すでに死んでいてもおかしくない状態にも関わらず何故か生きている事が不思議で。 目の前にいる女はAの姿をしたAではない、悪魔という表現が相応しい存在だった。 さらに恐れるべきなのは、願い事がないかを聞かれた際にほんの一瞬考えてしまった事を向こうは読み取ってしまったという事実。 あの人の顔と名前が知れたのなら、どんなに素晴らしいだろうなって。 イルシィ君のあまりに無欲で、清らかで、純粋な願いは最悪の形で叶えられる事になってしまう。 悪魔は少ない情報から、本当に彼女を見つけてしまい再びイルシィ君と再会をさせた。 殻の感情に引っ張られるように、悪魔もまた彼女の事を気に入ってしまった。 だから彼女は、結果として世界で一番不幸な人となる。 泣き疲れて反応をしない彼女を膝に乗せ、頭を撫で。 かつてイルシィ君が自分には伝える資格がないと言った言葉を、悪魔はそっと囁く。 「月が綺麗ですね」 ◆感想総括 まず、怖い話を聞いていくゲームとしてそれぞれの話が面白かったです。 途中何度も触れた通り、イルシィ君の語り方や単体では唐突な終わりと思わせながらも最終的に一本の線で繋がっていく構成の巧さ。 怖い話を聞くというテーマにおいて、語り手の与える印象がどれ程重要なのか? 作品の色を出すという点でどれ程大事な事なのかを再確認できました。 4話目でようやく繋がりがある事には気付きましたが、実は舞台となっているのは実質二ヶ所であり時系列も存在していた事。 あえて同一の対象でも表現を変える事で先入観等から印象を操作し、悟らせないようにしながら5話目を聞いた後に主人公の推理で説明されていく爽快感。 それが怖い話としての繋がりとしても綺麗で、同時に話の中や幕間に挟まれるイルシィ君の発言から物語全体における伏線も持たせていく。 5話目の後、回想前の時点でも理不尽ながら美しい終わりとは思いましたがここから回想を入れる事で今までのホラー要素の真相が見えてくる事。 何故、主人公が名前を教えた際に壊れたように連呼していたのか? 何故、ずっとこちらを見続けていたのか? 生前の彼にとっては主人公の名前を知る事はできず、眼鏡がなかったせいで顔もわからないままだったから。 だからこそ、ようやく再会できたのだから今度こそ刻み付けるように覚えようとしていた。 だってそれが本来の死に際に願った事だったのだから。 後半は恋愛9割というのも納得です。 ノーマルエンドは知らない方が幸せな事もあるという終わりでしたが、トゥルーエンドを踏まえるとまだイルシィ君の支配が勝っている状況だから抵抗ができた終わりとも言えますね。 本来の彼は、ただ顔と名前が知れたらそれだけでよかったのだから。 夢を通して呼んでいるのは殻に影響された悪魔の好意を含んでいても、それでも逃がす事を選べたのなら純愛なのかなと。 しかし、せっかく最大で5話ある怖い話が聞けるという事や4話目の時点で見えている疑惑を確信にするにはトゥルーエンドを選ぶしかない。 全ての真相がわかるという意味でも解決編であり、始まりを含め全てが回収されていく。 生前のイルシィ君が考えていた通り、主人公にとってあの時助けた事は本当に大した出来事ではなかったのでしょう。 それでも、初めて自分の生を肯定してくれた事への嬉しさ。 事実を理解しながらも恋をしてしまう感情。 それは否定されるべきものではないし、以前のように病弱な体ではなくなったから沢山の時間を共有できるようにもなった事。 結果的に、手に入らないものが多すぎた彼の人生でようやく手に入れたのが主人公だったと思えば…まぁ仕方ないよねと。 主人公視点恐怖の追いかけっこも、本来は彼がやってみたかった事の一つだった訳で形はどうあれ望みは叶っているんだなぁと。 人外と人間における価値観のズレ、それ単体でもなかなかおいしい要素ながら殻の影響を受けているという実質これって主人公を巡る悪魔とイルシィ君の三角関係なのではないか?という状態な事。 おまけを見るに、殻となったイルシィ君の意思が残っている訳ではないとありましたが彼本来の影響が強く出ているかどうかでどちらに転ぶのか?は変わるのではないかなと感じました。 個人的には、イルシィ君と悪魔両者の主人公へ向ける感情を合わせヤンデレというよりは純愛の方が表現としてはしっくりきました。 問題は、人外には人間をどう扱うのが正解なのか?価値観の違いも含め難しい部分はあるので主人公の受難は続くのだろうなという点がありますが。 そして、回想場面から画面のサイズを調整した際にそれまであった目がなくなっていた事。 これは視点が見られている側の主人公でなくなったからで、何故メニューのアイコンが月だったのかも全てはあの言葉に繋がっていたというのが好きです。 @ネタバレ終了 個人的な感想ながら繰り返しとなりますが、私の判定ではヤンデレでなく純愛でした。 怖い話を楽しむもよし、ただし…何事も用法容量にはご注意を。 システム面も含め、細かいところまで作りこまれているのも世界観の構成として素晴らしく小ネタを探しに色々確認してしまいました。 とても感想が長くなりましたが、素敵な作品をありがとうございました。 最後はこの言葉で締めくくらせてください。 「ずっと月を見ていましょう」
  • 月下怪談
    月下怪談
    配信にてプレイさせていただきました。 フェス期間滑り込みでプレイ&感想投下が間に合うか心配だったのはありましたが、絶対にこれは面白そうという直感から手を付け楽しませていただきました。 時間云々と言いながらも癖に刺さった為、長文感想になると思われますがご了承ください。 気が付けば知らない森の中、止まない雨と雨宿りにおあつらえ向きな洋館。 森の中で偶然出会った雰囲気だけなら神秘的で美しいのに、喋ると一気に残念な美人になってしまうイルシィ君に雨宿りの間怖い話をしてもらう。 雰囲気だけでも充分怖い話に向いている状況ですが、他にも恐怖を演出する要素もありそれぞれ語られる話も良いのですが…是非ともこれは後半の恋愛9割まで味わってこその作品と思います。 @ネタバレ開始 メタ的ながら、イルシィ君に雰囲気のある場所に来たので怖い話をしようと提案された際。 何故ホラー系の作品では登場人物に都合良く怪談のストックがあるのだろうか。 私はホラー作品の登場人物ではないので人に語れるような怖い体験も物語も手持ちにない。 の部分に、自分は物語の外にいる傍観者であるという意識でいる点に薄く笑みが零れました。 聞き手に回るだけであるにも関わらず、ホラー作品の登場人物…具体的には危険と隣り合わせの状況には成りえるのに、と。 (怪談をする/聞く行為そのものが霊を引き寄せる行為であるという事と、メタ的に主人公の立ち位置がわかっている事の両面から) 名前を教えるシーンでは、性別が女性という事で素直に自分の名前を入れました。 その結果、話が進むにつれて4回程残機を失う事とはなりましたが。 そんな事を知らないまま、入力が完了すれば壊れたように私の名前を連呼するイルシィ君。 物語を最後まで知っていると見方の変わる典型ではありながら、初見ではホラー演出としての面が強く感じました。 ホラー演出という部分に関して言えば。 配信の性質上、全5話が存在する事を知っていた為途中でパートを分割する為にシステム画面を開いたのですがここも月と目で彩られた演出がとても光ります。 各メニューを選んだ際のテキストもイルシィ君から語り掛けられているような一文が添えられ。 システム→白い枠に対する黒い印(どこを選択しているか)が目玉で、テストとして出る内容は「早く逃げてください」という警告。 自動→「手を離すのは許してあげます。ずっと見ていてくれるなら」 早送り→「早いですね。僕はゆっくりあなたとお話したかったのに」 セーブやロードも言うまでもなく…。 ノーデータなのに、こちらを見る目が縦に並んでいる図は背筋に冷や汗をかかせるには良い演出ですね。 そして今回、感想を書くにあたり画面サイズを調節した際に気づきましたが本来真っ黒な空白になるはずの部分にもびっしりとこちらを見る目が…。 こちらが視認せずとも、影に隠れた目にはずっと見られていたと知った時の感覚はなかなかのものです。 ◆灯りの消えない家 近所迷惑な人、という出だしやその具体例から隣の家が何かしらトラブルの原因で恐らく人怖系かな?程度に軽く予想。 本題に入る前に、この話の主人公の名前をどうするか…から、まさかの自分の名前が採用される流れは予想外でした。 せいぜいこちらの名前を呼ぶ場面で使用される程度と思いきや怪談に参加型となってしまうとは…と、この時点で自分の名前にしたのを軽く後悔しつつ。 イルシィ君としては悪気もなく、純粋にこちらの名前を気に入ったから使いたい程度の気持ちに見えますが主人公の言う通り十中八九ろくな目に遭わない怖い話の主人公の名前にされるのは正直気分がいいとは言い難い。 まぁでも変えるつもりがないなら言っても無駄だろうと、話に出てくる彼岸花さんが犠牲になるのを想定しつつ聞く姿勢に戻りました。 対して、隣人というこれから迷惑行為を行うだろう人の名前に関しては適当で良いとBと命名。 Bがどんな人物なのかの説明についても『髪を金髪に染めたチャラい男』で済みそうな所をやけに掘り下げに行く印象でしたね。 結論は上記の通りで概ね間違いはなさそうなのに、いかに軽薄そうであり底の浅い人物なのかを強調していく。 名前に関する扱いは適当な割にそこには若干の温度差がありました。 当初は、イルシィ君がそういった人物を嫌っているからこのような表現をしているのかと思いましたが…これも後になると印象が変わる部分ですね。 さらに初見ではあまり気にしなかったのですが、Bがよくいる怖い話で心霊スポットに行き酷い目に遭う大学生グループの概念を擬人化したような存在と言った事。 やはり当然のようにBも友人と心霊スポットへ肝試しに行ったという事。 その後に、オチがわかったところで仮定の話をしましょうか。という部分が果たして何に対してかかっていたのか? 当初は、タイトルである『灯りの消えない家』の原因(心霊スポットで酷い目に遭った故のオチまで)にのみかかっていると思ったのですが、それだけではなかったというか…。 後にもう一度、この過程と言える話が出てきた事を思うと。 隣人であるBは肝試しから帰宅後、常に家の電気を全てつけるという生活をしていた。 偶然で済ませるには不自然な、こちらが偶然いつBの家の方を見ても常に灯りはついている。 肝試しに行った関係から、自分が通る場所の電気は怖いので消せないとか寝室はつけっぱなしにしてしまう程度なら理解はできるのですがどうにもその範囲を逸脱しているのは異常でしょう。 さらに部屋に閉じ籠るという明らかに何かに怯えているとしか思えない挙動もしている。 大学生グループという表現がされていた通り、本来なら通学の為に家を出なければならないのにそういった事もなくなった。 さすがに、ずっと全ての電気をつけて引き籠っている=もう死んでいる とまでは思いませんでしたが、本来なら自分の足で買い出しに行くのを宅配便により物資の補給を解決しているのもやけに徹底している印象。 常に明るい場所にいたがるのはともかく、霊的な物を恐れるのなら人のいる場所の方がある意味安心できそうな気もしますが…。 そして、宅配便以外にBの家を訪れる訪問者。 年齢はBと同じ位の大学生でありイルシィ君としては彼らの様子を事細かく教える必要性はあまり感じられないとやはりあまり興味がない印象。 だからといって、突然頭の中で大学に行ってそこで二人の年若い男を捕まえてみてくださいと言われるのはまたもや予想外すぎました。 頭の中で行ってみようにも私…大学行った事ないからわからないんだけど…と困惑しつつ。 最初は大学という言葉から思いつく特定のキャラクターで想定しようと思いましたが、各方面から怒られそうと思いBの色違い(2Pカラーと3Pカラー)でいいや。と決めました。 「あなたが獲ってきた人間を彼らとしましょう」 「……捕獲できましたか?」 「できたのなら、彼らをちょっとボロボロにして…」からの状態を悲惨な感じにしておいてくださいというトッピングの指示。 まさかホラーゲームというか、怖い話を聞くというシチュでこのようなやり取りをする事になると思わなかったというべきか、それなりにホラーはやり込んでいると思っていましたがさすがに初めての体験でした。 それ以前からイルシィ君が語り手として彼の個性を交えつつ進行しているとは思いましたが、ここで完全に腹筋を持って行かれたというべきか。 怖い話を聞くというゲームは確かに数あれど、語り手の個性を絶妙に混ぜながらちゃんと話の本筋はホラーとして進行していく。 この観点においては明らかに他とは違う飛びぬけた個性を感じずにはいられませんでした。 とにかく、重要なのはその酷い様子の大学生であろう二人が毎日時間を問わずBの家に来訪していた事。 Bは彼らに対しては応対する事がなかった事。 隣の家で玄関の扉を毎日叩く音が続けばそれは確かに騒音問題として困った物だろうと思いきや、それだけでは済まない異常性が。 …自らの爪で来客を知らせてきたことも多々あった? 音で来客の存在を伝えるのなら、爪で扉を引っ掻くよりも叩いた方がより効率的でしょう。 実際、何度も限界を超えた力でガリガリと引っ掻き続けた結果彼らの爪は剥がれ落ちてしまい。 それでも気にせずに引っ掻けば、血のせいで扉は汚れていく。 わざと血で汚す嫌がらせにしても、その為にわざわざ自分の爪がはがれるまで執着する必要性とは? ただ玄関の扉を汚してやりたいだけならそれこそ例えとして出てきた赤いクレヨンや口紅で充分でしょう。 落ちにくさもあり入手もしやすいというならペンキでもよく。 初見の際には状況の異常性に思考が割かれさほど疑問に思いませんでしたが、彼らは来訪の度に爪が剥がれ落ち次の時までにはまた爪が元通り生えそろっていた。 通常指爪の場合短く整えてから次の爪切りを行う目安までが大体一週間と思うと、人間にしては生えそろっているまで回復するには早すぎる。 そして、訪問の度に剝がれ落ちた爪はBの家付近に溜まっていくというのも気味の悪さが強い。 遠目から見れば季節外れの桜吹雪であり、その実態は大量の人間の爪というおぞましさ。 庭先の景色でしょうか、様々な花の咲く背景をバックに語られる主人公が血の付いた剥がれた爪を踏んでしまう不快感を煽る描写。 一度経験しただけでも悲鳴が出そうなのに、これが日常生活では珍しくない出来事というのがすでに狂っている。 とうとう耐えかねた主人公がBの家に行った際も、靴の下の不快な感触と音という描写からBの家に近づく程爪を踏みつける不快感を味わうという事を意味しており。 それでも直接話を聞きに行かなければ何も状況は改善されない。 あっさりBが玄関の扉を開いたのは少々意外でしたが、精神的に参ってしまっているのか話は通じない様子。 「電気を点けていないとあいつらが入ってくる」 辛うじてまだ意味のある言葉として聞き取れた台詞。 あいつらは恐らく心霊スポットで怒らせてしまった霊的な物であり、そういった物が光を恐れるので電気をつけているのはわかれどそれだけでは全ての解答にはならない。 姿こそ悲惨であれど、恐らく来訪者である大学生二人はBと肝試しに行ったグループのメンバーでしょうし何かしらそこで揉め事があって連日来訪しているとは思っていたのですが…。 どのみち、このままここに住み続けるより引っ越しを選んだ主人公。 荷造りをしていれば、突如住んでいる地域で停電が。 昼ならばまだしも夜に停電となると何かと不便だなぁと建て前を述べながら…これは絶対Bに何かが起きるだろうと期待しかありませんでした。 案の定と言うべきか、Bの絶叫が聞こえ…その後は再び静寂へ戻っていった。 電気の明かりがなくなった以上、彼の言っていたあいつらがきたのでしょう。 そして、いくら絶叫を聞いたとはいえこの状況で隣家に駆けつけるというのも危険でしかない。 生命として感じたのであろう嫌な予感。 闇の中で感じる、微かな足音に人の気配。嫌な予感を裏付ける判断材料はすでに足りていたのだから。 それに一般論を足すのなら、夜の光源のない時に隣家までとはいえ外に出るのは危険ですからね。 翌日、太陽の出ている時間になりあれからBがどうなったのかを確認する為訪問する主人公。 確実に何かがあったとはわかっても、それを確かめたいと思うのは親切心なのか恐怖を否定したい心か好奇心なのか。 さすがに昨日の絶叫を断末魔と表現していた事もあり生きてはいないだろうと思いきや、Bは出てきた? しかも、それまでとは違いやけに饒舌な様子でここ最近でやつれてしまった結果から出る身体の様子に変化はなくとも意外と元気そうと言うべきか。 いくらなんでも昨夜の様子から何もなかったという事はありえない以上ここから想定できるのは…と思えば、奥の方からB以外の人間の声が聞こえてくる。 Bの家はなかなか大きかったはずですし、目視できない奥の部屋に客人がいるのはまだわかります。 けれど、それまであんなに家中の電気をつけている事に固執していたはずのBがあの停電後から家の電気をつけていない。 明るい時間なら窓から入る太陽光で足りるのでつけない家もあるでしょうが、Bはいつだってつけていたはずなのに。 そしてこちらが、奥にいる誰かを気にしているのに気づいたBは客人であろう人物に声をかけ。 素足でフローリングを歩く音がこちらに近づいてくる…。 近づいてくる、誰かの足元が見えた時点で自宅へと逃げ帰る主人公。 先程見えた誰かの素足。 爪の中にまで入り込んだ泥、細いカサブタが何本も走った肌。 …果たして、人の家に上がり込むのに素足はまだしもそんな汚れた状態で入るのだろうか? 先程見た何かの正体を考えていると鳴り響くインターホン。 リビングにあるモニターから外を確認すれば、そこにいたのはBと今まで何度も来訪をしていた大学生であろう二人。 昨日まで拒絶していたはずなのに、何故仲良しになっているのか? もし、先程奥からこようとしていたのがあの二人だったとしたら? Bはすでに本物ではなく、何かに憑かれてしまったか別物になったのか? 等と考えていれば、覚えていたけれど思い出したくもない情報がイルシィ君から反芻されます。 「Bが教えてくれた言葉をあなたは覚えているでしょうか?」 「電気を点けていないとあいつらが入ってくる」 だからBはずっと電気をつけていた。 なのに、それをしなくなったという事は…。 そして、人間の習慣というそれ以上に日常感があるからこその恐怖でしかない通告。 主人公はBの家に行った際、家の電気をつけっぱなしにする人だったのか? 家に逃げ込んだ際に、鍵をかける事は思いついても電気のスイッチを押す事にまで気が回る人だったのか? 答えはどちらもNOであり。 もし、主人公がBの言葉を覚えていてもきっと彼女は自分が命の危機に直面する物語の登場人物になるとは思っていなかったでしょう。 ただ前日、絶叫をしたお隣の様子を…被害者になったであろう人の様子を見に行っただけの観客でしかない。 何より無意識に染みついた習慣というのはコントロールができない以上、家を出た時点で電気がついているはずなんてなかった。 Bの様子が明らかにおかしかった事や奥からきていた誰かの足。 恐怖する要素はあっても、Bは被害に遭っても自分が被害に遭う理由なんてないと思っていたでしょう。 いつ、自分の身に何が起きるのか。 ただの傍観者や観客なんてどこにも存在しない。 一般的には事故であり天災の方がありえるでしょうが、心霊現象もまた例外とは言えないですね。 ただの近所迷惑な人怖系かと思えば、がっつり霊現象も絡め笑える要素もありながらしっかり怖く締めくくる。 一話目にしてなかなかいいお話でした。 ◇1→2話の幕間 よくある事ながら、関係者不在になるのにどうしてこの話を知っているのか? 怖い話ではよくある事ながらそれ位しか文句が言えなかった主人公。 スプーン一匙に収まる程度の、ほんのちょっとの苛立ちからくる意趣返しのはずが余計な気味の悪さを体験する事になる事へ。 後から考えるとここで笑顔を向けてきたのはイルシィ君ではなく、あちらの方でしょうね。 そして、良い質問です!と元の調子に戻ってからの自我はちゃんと彼に切り替わったのだなと。 矛盾の答えは三つ程存在し、完全な創作だから。創作の混じった実話だから。実話であり本人から聞いたから。 現実的に考えれば3はありえず、大体は1か2…話を0から作るより簡単でもある分2の方が濃厚でしょう。 「僕の知り合いか、僕自身が実は優秀なネクロマンサーで、実は死んでいたBからあらましを聞き出した……なんて可能性もなくはないかも」 普段ならこれも、冗談で受け流せる部分なのになぁ…と。 ◆れいでらさま お次は最近流行りの(?)因習村。 それも現在は何かしらの理由により滅んでしまった村という怪談にはうってつけと言えるお題でしょう。 村で祀られていた奇妙な神様、れいでらのうちえ。 どこかで見た事ありそうな漢字の割に最後の「壊」以外1文字も読み取れない事から恐らく、古い漢字で表記されている?のでしょうか。 正式名称が長い為、村人も略して呼んでいる上に様々な呼び方があった様子。 マクドナルドをマックとかマクドとかドナルドと呼ぶような物か?と思うも神様相手にそれは不敬なような…。 れいでら様がどういった神様かは不明。 元々日本には八百万の神々という概念があるので、ローカルな神様が存在する事そのものに違和感はありませんでしたが祀る事でどんなご利益があるのかすらわからない。 何の為に祀られているかはっきりせずとも、村の守り神だったのではないか?と考えればまぁあるのかな、程度ですね。 特別何かのご利益に特化しているというより、村に災害が起こらず存続するように守ってくれているというなら。 しかし、村人のれいでら様に対するイメージは恐怖という点で一致していた。 確かに神様は扱いを間違えれば災いをもたらす存在ではあれど、大人が子供の躾として使う脅し文句として使われている辺りはどちらかというと妖怪とか化物…祟り神っぽい。 祟り神が信仰次第では大きな恩恵を与えてくれる守り神にもなるとすれば、元々祟り神だったのを今は村の守り神になるように祀っている?と一旦推理をし。 聡い子供がれいでら様が来たらどうなるかを聞けば、死ぬより怖い目に遭って死ぬと大人は口を揃えて返答をする。 結局死ぬんかい!?と初見では思いましたが、確かにこれはイルシィ君の言う通り脅し文句にしては欲張りすぎでしょう。 適当なエピソードを添えて怖い目に遭うから駄目だ。死んでしまうから駄目だ。 子供への脅し文句ならこれ位で充分でしょうし。 何より、死ぬより怖い目に遭って…というのが何となく直感的に不吉さを感じたというのか。 確かに一思いに死ぬより、生きたまま死ねずに苦痛なり恐怖体験をし続ける方が上と思いますが…何となく、子供向けというには実感として難しい気がして。 本当に単なる子供向けならばもっとあるだろうわかりやすさの観点への違和感からでしょうか。 れいでら様が来る、現れる。そうしたら上記のような事になって結果的には死ぬ。 だからどんな姿をしているのか、大人達も知らない。 実際に見てしまった子供は、大人になる前に死んでいるとするのなら。 これは上記の情報とも矛盾はしていないので謎は残りますが納得はできました。 そして、れいでら様もやはり神様という事で儀式として生贄を捧げる必要としていた。 やはり生贄か…と思えば厳密には死贄が必要?との事。 週に一度、村の中で決まっている順番に従い何かしらの食べ物を捧げるだけ。 その上、捧げものに対する条件は割と自由というのか夕飯の余りでも問題がないという雑さを感じる内容です。 頻度を考えれば、その年に村で育てた作物を秋に奉納する…には周期が短すぎて無理だとしても、家の中で捕まえたネズミでもいいというのはもはや何でもありの領域ではないのか? 恐怖の対象である割に、不釣り合いといえる捧げものの条件。 それでも一応、守らなければならない条件はあるようで。 一つ。生きているものは絶対に捧げてはならない。 二つ。もし動物を捧げるなら、その形は必ず崩して捧げる。 守るべきルールはこれだけであり、やはり生贄ではなく対象が死んでいる事が前提であるのに首を傾げました。 …まぁ、年に1度人間の子供を喰わせろとかいう神様も珍しくはないのでそれよりは良いのか?と思えば良心的なのか。 気になるのは二つ目の方でしょうか。 動物を捧げる場合は、具体的には四肢と頭を切断した状態である事。 先程例にあったネズミの場合なら、捕まえた後に殺した上で四肢と頭を切り分けてからという事になる。 頭+四肢切断は物騒ではありますが、夕飯の余りでもいいならわざわざネズミを解体する必要もない分楽ではあるでしょう。 そしてそんなこちらの心を読んだかのように、イルシィ君も物騒な神様にしては儀式の内容がしょぼいと思っているでしょう?と指摘をしてくる。 仰る通り、人間の一人や二人を捧げる方が一般的だろうと思いました。 でも、人間も捧げる対象ではあったようで。 「彼岸花さんがご存知かは知りませんが、人間ってしばらく見ない間に死ぬんですよね~」 ここに最初は「ん?」と首を傾げましたが、後程意味を理解した時に内心青ざめる事になりました。 人間も動物という事で、葬儀の代わりに儀式の捧げものとして故人の肉体も対象にする事はできる。 神様に捧げる事であの世でも幸せになってもらおうという意味も込めるのなら、その為の手順はあれながらわからなくはありません。 頭と四肢を切り離しておく事は残酷ですが、少なくとも生きてるうちにでなく…死んた後の分にはまだ、ですが。 ここまでならまだ、多少おかしな条件ではあれど多少不穏要素は少ない方…と思っていましたが社へ捧げものを持って行く際にも別の掟は存在していました。 一つ、必ず火を灯した蝋燭を持って中に入る事。 二つ、社の中で見かけた動物は確実に焼き殺す事。 最初はまだわかりますが、次でいきなりバイオレンスというか…殺意が高まったな!?と。 時代が今よりずっと昔という事で、現代以上に建物の中に虫や小動物が中に入り込んでいる事はあるでしょう。 しかし、見つけ次第持ってきた蝋燭で炙って殺す必要性があるのは何故? 社を荒らさないように害虫/害獣駆除にしても、ただ殺すのでなく何故炙る必要性とは…。 そして、恐ろしいのがこの動物には人間も含まれているという事。 自分以外の人間を社の内部で見かけたら即座に火炙りに処すという掟があるというのはなかなかに過激でしょう。 しかも、迅速に刑を執行できるように入室前に油が支給されているというできれば使いたくない心配りまで。 儀式参加者以外の社への立ち入りが禁止という事が重要らしいので、さすがに掟を知ってる以上自分の家が当番じゃない時は他の村人は近寄らないでしょうが…。 ないと思いたいけど、うっかり子供がかくれんぼで中に入ったりしていたら最悪すぎるなぁ…等嫌な想定をしてしまいます。 そして三つ、絶対に奥には踏み入らない事。 社の内部には注連縄があり、そこを境界として人間が入っていい所といけない所に分けられている。 何故、社の外でなく内部に注連縄があるのかというので何とも言い難い嫌な予感はありましたが言葉通りに捉えるならその先が神の領域なのでしょう。 ついでに掟を破ったら、やはりというか処刑行きというのが容赦ない。 内容としても全身に油を染み込ませてから炭になるまで焼かれるというやる方も絶対吐き気が止まらないだろう事待ったなしの内容ですし。 途中まで、比較的れいでら様が恐れられている割に儀式の内容が温いと思った私が馬鹿でした。 ここまでが前置きだったようで、この先が何故この村が滅んだのか? その本題になるようです。 父親を亡くし、喪主となった少女が儀式を行う事になった際のお話。 どうやらイルシィ君はまたこの彼女にも名前をつけたいらしいですが、これも私の名前でいっか。とフリー素材のように扱われます。 主人公もすでにツッコミを入れるつもりもないようで、ここでも私の残機がまた1つ減るのだなぁ…と乾いた笑いが。 元より母親のいなかった彼女は、唯一の家族であった父親を儀式の為とはいえ切り分ける事に躊躇いがあったようです。 というか、人間をバラバラにするのって脂肪のせいで刃物の切れ味がすぐに落ちるとか結構力がいるとか。 後、骨に当たったらかたい分大変とか聞くので成人でも解体作業をするのは大変でしょうに、幼い少女にさせるのはあらゆる意味で酷だなぁと。 それでも四肢の切断は完了させたようで、さすがに首を切り離すのは精神的な問題からできず繋がったままの状態で儀式に使用するようです。 社の中、人間が入ってもいい領域には沢山の灯篭が設置され蝋燭以外にも光源がある分明るいようでしたが、注連縄の奥には灯りがなくただ闇が広がるばかり。 その奥には入らないよう、簡易的な道具を使い死体を一つずつ送り込んでいく少女。 最後に首の繋がった胴体を入れ終わったところで、暗闇から亡くなったはずの父の声が聞こえてきた…? 父の声は自分に助けを求めている。 本来ならありえない現象でありながらも、もう一度家族と話せるという希望から少女はその声に反応してしまったようで。 ここで意外な事実の発覚というのか、実はイルシィ君は怖い話に出てくる登場人物によってちゃんと声真似をしてくれていたようでした。 結構そういうところは真面目なんだな?そして声真似が面倒だから突然会話の内容を要約するんだな?と。 こういった部分でも、リアルに語り手が今目の前で主人公に語り掛けている故のやり取りというのか。 ボイスがないからこそ効いてくるネタを上手く活用しているというのか。 突然怖い話に出てくる登場人物の大学生を二人脳内大学で捕まえてこいと言いだしたり。 一応聞いておきますね。あは……ごめんなさい。と無意味な質問をしたり。 あっ、でも、生きてないなら生贄じゃなくて死贄でしたね!と謎の明るさがあったり。 もはやフリー素材となった主人公の名前だったり。 第一話の感想の際にも触れましたがこの先も一貫して、イルシィ君という語り手の色がほんっとうに良く出ています。 語られる話につけられる緩急だったりスパイスになるけど、決してそれが雑味にならない絶妙な塩梅。 話に戻り。 どうやら村人は頭が可笑しくて実質化け物な存在を崇拝している。 捧げものが死体なのは、れいでら様に死体を喰わせる事で死者の魂を捕らえ永遠に彷徨い続けさせることが目的である。 注連縄の奥である神の領域は死者の世界であり、そこでは死体も生者のように動き回る事ができる。 その為、逃げられないように動物を捧げる時は四肢と頭を切り分けて逃走できないようにしていた。 父は今、死者の世界に体が置かれた事と首が繋がっていたので一時的に蘇った上で喋る事ができている。 その上で重要なのは、彼女が今父を助けないと父も化け物の魔の手にかかってしまう。 確かに、動物の死体が対象の時のみどうして切断する必要があったのか? 食べやすいサイズに切っておいた方が親切だから?(特に、人間サイズの物になれば余計に) と疑問でしたが、もし父親の言う通りなら切断する事にも意味が通ります。 今回は少女が首を切り離さなかったので会話ができていますが、本来ならこれが事実としても全てを知った死者は伝える手段がないですし。 そして少女も、父親を助ける事に了承したもののなかなか奥に踏み込むには勇気が出ない。 元より暗闇が続く空間というだけでも薄気味悪いのに、実は化け物の住処であり死者の世界に通じているなんて言われたらなかなか入るなんてできないでしょう。 そんな少女を父は説得します。 化け物は火を嫌うから、持ってきた蠟燭さえあれば大丈夫と。 確かに、社の中に光源があるにも関わらず蝋燭の必要性がある事や人間の領域に沢山の灯篭があるのも火を嫌うから魔除けの意味で置いているとすれば理屈は通るでしょう。 それでも少女はやはり不安がってしまう。 もしも奥に入っているところを誰かに見られたら掟に従い自分は燃やされてしまうと。 それに対し父は、目撃者を先に燃やすように言います。 本来なら自分以外の人間を社の中で見かけたら燃やすように教わっているのだから、本日当番である少女以外が入るはずがないという事も添えて。 そうしてようやく決心のついた少女は暗闇へ足を伸ばし父親を助けに向かう。 …だけどこれって、大前提として何故因習村が滅びたのか?という話なんですよね。 イルシィ君が注釈を入れるように語る、掟という概念に関するお話。 掟、ルール、規則とされる物は何かしらの理由があって決められている。 ルールとして、赤信号を渡ってはいけないのは車に轢かれてしまう事を防止する為。 それと同様にどうして掟が作られたのか、何故それを破ってはいけないのか。 その意味を、父親を助ける為にと境界を越えた少女は本当にちゃんと理解していたのだろうか? いざ、神の領域に来てみれば少女は思い出す。 自分はれいでら様について何も知らない、その正式な名前が何を意味する文字列なのかも。 そもそも何者なのかすらも全く知らない。 第三者から見れば、知らないという事はある意味一番恐ろしい事なんだなと思う場面です。 人間は昔から自分達には理解のできない事象を神や妖怪の仕業だとしてきた。 後の時代になれば、それは科学的に説明のできる物だったとしてもこの時代ではそれを知る事はできない。 知らない、理解できないからこそ恐怖は生まれそこに何かしらの理由で説明ができれば一時の安堵は得られるのかもしれない。 だけど、その情報が正しいのか…本当の事を知らない人に判断する方法はあったのだろうか? 正解を導くために情報を集め考える事。 それが人間に与えられた最大の武器と思いますが、幼い少女にこれを求めるのは酷だったでしょう。 感情的に、一時の安堵から導いた結論は必ずしも正解と限らない。 結果として、少女は父親の体を抱き起した際に蝋燭の火を吹き消されてしまった。 口が裂けそうな程に笑っている、父親が消した場面を。 ◇2→3話の幕間 こうして少女は行方不明になり村は滅んだとイルシィ君は話を終えましたが、まだ肝心な部分が語られていません。 彼は最初に、因習村が滅んだ話と言っていたにも関わらず具体的にどうやって滅んだのかを言わないままです。 少女の間違いが何かしらの切欠であるのに違いはないとしても、この先何があったのか?続きは存在するはずなのに。 「途中で飽きちゃいまして~」 しかし、イルシィ君の左に置かれた燭台を見れば蠟燭の火はまた一つ減っていて。 それがこの話はこれで終わりという事を意味しているのでしょう。 それは仕方ないとして主人公は他にも気になっている事があったようで。 どうやらイルシィ君がずっとこちらの顔を見ているのが気になっていたようです。 対話相手の方を見る事自体は普通の事であっても、その視線の向け方はどこか粘着質に感じるようで…。 「人の顔、覚えるの苦手なんです」 名前の時もそうでしたが、彼は相手の事を覚えるのが余程苦手なのか? 名前は絶対忘れないよう何度も繰り返して声に出し、顔は念入りに観察する事で覚えようとしている。 「流石にあなたの顔位は覚えないと駄目かなって……」 普段は覚えなくてもいいと言いながら、何故か主人公に対してだけは絶対に覚えておく必要性があると感じている様子。 とはいえ、彼とは偶然雨宿りの間だけ一緒にいる関係なので連絡先の交換でもしないなら二度と会う事もない以上忘れて問題ないような気もするのに…。 名前はさすがに一緒にいる間に忘れるのは失礼ですからまだわかるものの。 疑問はありますが、私が家に帰って目の前にいなくても、そっくりな絵が描けるまで覚えたいとかなり熱心な様子。 そこで写真でも撮れば覚える必要がないのではないかと提案をすると、イルシィ君はどこかへ走っていき。 戻ってきた彼はどこから探してきたのかカメラを手にしておりこちらを撮影してくるという展開へ。 ゲームが進行する毎に、次に語る話のタイトル画面に描かれる蠟燭の火が一つずつ減っていましたが、3話目の時には写真が撮影できてご機嫌だったのかその横にいるイルシィ君の表情が笑顔になっているのが印象的です。 ◆鳥居のある家 今度は事故物件に関するお話という事で、その末路から何かしらの教訓を得てくださいねと最初に言われる事に。 ここまで話のバリエーションとしても豊富な辺り、彼が即興で話を作っているにしろ持ちネタが豊富にしろなかなか凄いなぁと感心してくる頃合いです。 そしてまたしてもこの話の主人公の名前を決める流れへ。 すでに連続で名前を使われているのでどうせまた…と思いきや、もう主人公を彼岸花さんとは呼ばないとの宣言が。 「天凱さん。うん、天凱さんがいいです」 そうきたか、というべきか…今度は苗字かーーーー!? イルシィ君としてはせっかく苗字も聞いたのだからと前向きな理由っぽく考えているようですが、どのみちまたその話に出てくる私が悲惨な目に遭うのは確定事項。 さよなら3つ目の残機…。しかも、その末路からって最初に言われてるのでどうせろくでもない予感しかない。 途中で気づきましたが、その話における主人公の性別で切り替えてるだけのようですね。 この話の主人公は男性だったから苗字にしたんだなと。 とにかく、この話に出てくる主人公は事故物件である事を知りながらも豪邸に住めるという事を優先して一軒家を購入したようです。 あの家では特に事件らしい事件も起きていないと事故要素を舐めきった判断をした結果に。 それだけでも充分やらかしていると思えたのに、面倒臭いという理由から購入前に内見もせず写真だけで充分綺麗に見えたからと購入を決めているのが完全に駄目な方へフラグが建っているなと。 立地として少々不便とあったのでそこで怠け心が出てしまったのか。 せめて、事前に内見をしてから決めればあんな事にはならなかったのにと思えば自業自得なのかもしれない。 と先に感想は置いておきます。 タイトルの通り、二階の一室には鳥居のような物が置かれた部屋が。 本物ではなく、あくまで誰かが材料を購入して工作をしたのであろうお粗末な出来栄えの鳥居もどきが。 そして近くには百均で売っていそうな安っぽい賽銭箱まで設置済み。 振ってみれば中にはそこそこの量の小銭が貯まっており、ちゃんと賽銭箱としての役割は果たしていたのでしょう。 他の部屋にも、元々前の住人が使っていたと思わしき家具が置かれていましたが家具?として鳥居付の物件なんてさすがに聞いたことがない…。 さすがに主人公も不気味に思ったようでこの部屋の中にある物を見なかった事にしたいようです。 鳥居の先、突き当りの壁部分についた棒人間のような形をした染みを見て気分を悪くしながら。 この時点で、事故物件+明らかに怪しい部屋があるという要素だけで早期の引っ越しを考えてもいいと思えますが、主人公としてはその一室を除けば美味しい物件と思ったようで住み続ける決断をしてしまうのがドツボとしか思えませんでした。 気味が悪いという事以外、まだ何も被害が出ていないのもあるのでしょうが。 やがて段々家の方も事故物件らしさを出してきたというべきか、ラップ音や一人暮らしのはずなのに感じる人の気配。 他にも気のせいで済ませるには少しずつ苦しくなっていく現象が起きていく。 これを一つ一つは些細な変化と自己暗示をするか、結果として起きている回数等を考慮して引っ越すのか。 そもそも、ここに住んだ時点で駄目だったのかもしれませんが意地を張らずに早めに逃げれば助かったかもしれないのにと観察をする目線で読み進めていきました。 ここでようやく判明するこの物件の曰くとされる要素。 前の住人の頭が可笑しくなって行方不明になっただけ。誰も死んでない。 いや、それは怪奇現象のせいで頭がおかしくなったから耐え切れず失踪したのでは…? それに今も見つかっていないなら確認されていないだけですでに死んでいる可能性だって大いにありえる。 という何一つ大丈夫な要素がないのに大丈夫だと自分へ言い聞かせている主人公。 よくある話として、それまで大金を持った事がない人が突然大金を手に入れると金銭感覚が壊れてしまうと言われますが、安く豪邸に住む事ができると知ってしまうとそれと同じような現象が起きてしまうのか…。 そしてここからがホラー展開としての本番というべきか。 そこからさらに追記される起こった怪奇現象だけでも気のせいで済ませてはいけない…と思っていれば就寝しようとした際に二階から聞こえてくる歌声が。 その歌がかごめかごめというだけでもホラーではありますが、これまでが自分が動かしたのを忘れただけ・ネズミのせい等でギリギリ済ませられる内容だったのに歌声となるとさすがに無視はできない。 このままでは一睡もできそうにない、けれど現場に向かう勇気はないと悩んでいるうちにこの歌声は録音された音声ではないか?という可能性を疑う主人公。 どちらにしろ怪奇現象であるのに変わりはないと思いますが、霊的な物よりは何故か録音されたデータが再生され続けていると思った方が恐怖が薄れるというのも面白い考え方です。 声を頼りに音源であろう部屋を確認すれば、そこはあの鳥居のある部屋という偶然で済ませるにはまたもや不吉な状況。 しかし、歌声の正体がラジカセから流れていたテープの物と判明し謎は残る物の心の平和を取り戻した主人公。 ここまでくると、案外こいつメンタル強いのでは…?とも思えてくる部分もありますね。 そして視界を横切った何か、以前は棒人間の形をしていた黒い染みはかなり大きな範囲まで広がっており着実に異変は起きている事を示唆している…。 ここから始まる毎晩聞こえてくるかごめの歌。 歌が聞こえてはテープを止める事の繰り返し。 元凶であるテープを捨てれば解決すると思ったのに、束の間の安寧の後に待っていたのはさらに内容が悪化したかごめの歌。 元々の音源、原形を知っているからわかるだけでもはや歌にもなっていない何か。 仕方なく止めに行こうと二階の部屋の前に行けば、音源に近づいた事で聞こえてくる歌以外の異音。 まるで縄がギシギシと音を立てているような…? 一度頭の中に浮かんだ物を取り消すのは難しいというべきか、その音からあのかごめを歌っている女が首を吊っているという構図を閃いてしまった主人公。 こうなると、次にテープを捨てればどんな内容になって帰ってくるのかが恐ろしくて捨てられない。 ある意味、ただ戻ってくるだけな呪いの人形の方がマシ説まであります。 何度も何度もテープを止める為に部屋へ立ち寄るうちに気づいてしまった染みの状態。 あれからさらに面積を広げた染みは、長い黒髪の女の姿へと変化していた。 さすがに主人公もこれ以上住み続けるのは無理と思ったのでしょう。 ようやく引っ越しをして何でもない日常が一番幸せという当たり前の事がわかったようで。 しかし、この話がこのまま平和に終わるかどうかはイルシィ君次第なのです。 前の話みたいに飽きて終えてしまえばこの話の主人公は平和なまま終われたのでしょう。 最後まで話す、続きがあるという事はこれで終わりじゃないという事。 引っ越しをしたにも関わらず、彼は夢の中であの家の中にいる。 寝具に横たわる彼の上に浮かぶつま先、誰かが頭上に浮いている? 動かせる視線だけで動かせばそれは白いワンピースを着た女性が首を吊っている光景で…。 何かを口にしようとしている女を見るや聞きたくないと抵抗をするも女の声が聞こえてくるだろうその時、運良く目が覚めほっと一息。 …なんてできなかった。 現実世界に戻ったはずなのに、今現在自分がいるのは以前住んでいたあの事故物件。 それも、あの鳥居の部屋に面した廊下で寝ているという状況。 距離として、新居とこの事故物件がそう遠くない距離だったとしても果たして夢遊病でここまでくる事は可能なのだろうか? どちらにしてもここから帰宅の一択なのに、階段の下部から誰かが近づいてくる足音が聞こえる。 コツ…コツ…と硬い足音。 恐らくですが、これはヒールの音なのかなと予想します。 そして身を隠そうと入った部屋がよりによって鳥居のある部屋。 できれば別の部屋に隠れたいけど、今移動をすればあの足音の主に見つかってしまう。 仕方なく息を殺し隠れていれば靴音以外にも聞こえてくる何かの音。 それは今まで何度も聞いたテープの歌、それをもっと酷くした内容というべきか…。 首を絞められながら発せられた声なのでしょう、それを再現する為に自身の首を絞めながら語るイルシィ君を主人公が止めに入ったようで何でこの子は怖い話を語る際の再現度にここまでこだわるんだと。 そして話に戻れば、いつものように音源であるラジカセを探そうにも部屋のどこにも見つからない。 こんなのはもうパニックになるには充分すぎる状況です。 もしかしたらラジカセは隣の部屋にあるかもしれない、そう考えても部屋を移動する事もできず。 極限まで追い詰められた彼は、部屋にあった賽銭箱に小銭を入れひたすら助けてくださいと繰り返す。 その時点で、自分の声で気づかなかっただけで他の音が一切消えていたとも知らずに。 今音として流れている物は彼の懇願と小銭を賽銭箱に入れる音だけ。 「助けてあげません」 しかし、それも背後から聞こえた声を皮切りに消えてしまった。 そして誰もいなくなった…。 死体が確認されてないだけで、今度も住人が失踪する事になる結末にすぎなかったという末路。 最初に言われた通り、もし今後引っ越しをする際には教訓として念入りにその物件が大丈夫か確認したいと思います。 ある意味極悪なのは、事故物件に憑いている地縛霊の仕業なら引越しをすれば助かると思いきや引っ越しが全く解決策にならないという点でしょうか。 ◇3→4話の幕間 ここで気になるのは、カセットテープがすでに昔の物という事をイルシィ君が知らない事。 少なくとも、この作中における時代が2020年以降なら存在を知っていても懐かしい物という認識なのが普通でしょう。 2000年頃から音楽の再生媒体も世代交代をしていたそうなので、今の若い子は下手すれば知らない可能性すらあるという産物です…。 引っかかりは残りますが、イルシィ君としては今回の話が面白かったと褒められた事が嬉しかったらしく。 そして、写真を撮影した事でなくなるかと思った彼からの視線は相変わらずという状況。 「好きですよ」 ここから言葉を重ねられるイルシィ君からのラブコール。 これが状況なり相手によっては思わず顔を赤らめてしまうような場面なのでしょうが、こちらとしては恐怖が先行する状態。 主人公がどんなに頭を回して、少しでも想定している可能性を否定してもらおうと頑張ってもそれは目の前の男の一言で簡単に折られる物なのに。 この、逃げられずされど抵抗をしてしまう焦りとそれに対しただただこちらへ好意を向けてくるイルシィ君の対比がとても好きです。 今日初めて会った事が好きかどうかに関係あるのか? ここも理屈としてはイルシィ君の言い分がわかるのですが、わかるけどそうであったら困るのが主人公の立場。 正論で固められ感情面でも好意を伝えられたら余計に逃げ場はなくなっていくしかない。 何より、一番聞き逃してはいけないのは 「今の僕は」 という部分ですよね…。 窓の外はいまだに雨天。 時間はわからずとも、果たして雨は止むのだろうか…。 ◆廃村にて 怖い話もいよいよ4話目、今度は王道という事で肝試しに関する内容のようですね。 しかし、この話に入った事で色々と気になる要素が出てきます。 何やら夏休みの遊びとして心霊スポットへ行くという話をしている様子。 別荘近くにある私有地の山、その中に曰く付きの廃村がありそこへ行かないかと言うお誘いです。 こんなにヤバいのに今まで発見されてなかったと言われていますが、それはもしかしなくても行った人が無事で済んでないから実質見つかっていない扱いなだけではないか…? 男性三人グループらしく、名前はBとCと天凱さんという事に。 もう男性主人公なら苗字だろうなぁ~とは思っていたけどさらっと私を混ぜないで?! どうせこの天凱さんもろくでもない事になるというか、前置きとして『肝試しに行ってみたら酷い目に遭った』という事が伝えられているのでさよなら残機4番目…と別れを済ませ。 それ以上に気になったのは、ここでこの大学生三人組の名前の中にBというのを採用してきた事ですね。 第一話に出てきた隣人の名前もBであり、肝試しの結果何かがあったという辺りに共通点を感じます。 さらに、その際に出てきたBの家を訪問していたのが大学生であろう二人。 名前は出ていませんでしたがどうにもシルエットが似ているのも気のせいで済ませるにはできすぎているような…。 と、ここでオチは予想できました。 この次に第一話の出来事に続くのなら、生還できたのはBだけのはず。 つまり…Cと天凱は確実に犠牲になる!! 問題は、第一話では語られなかった何故そうなったのかの部分ですね…。 (再度、犠牲が確定した自分の残機に合掌をして) 別荘に到着し、心霊スポットである廃村へ行く道中も途中までは夏の子供の頃に戻ったような冒険気分だったのにいつしか生物の気配はなくなり。 それまで聞こえていた鳥や蝉の声がしなくなったというのは明らかに生きているものが近寄ってはいけない領域を意味しますよね…。 このまま先に進んでいいのか? 誰もが悩みながらも、様々な…果たして命をかけるに相応しい価値もないだろう見栄の為に進むべきなのか悩んでいた時。 背後から怒鳴る老人の声に驚き、結果として廃村の方角へ向かって走り出す結果に。 やっと到着した廃村はすでに自然に溶け込んでおり、事前情報がなければ村があった事もわからない状態で。 村に入ってしばらく歩けば、苔むした小屋と鳥居があり。 他に村の中に存在した建物は木製だったせいもあるのでしょうがすでに跡形もなく、いくらこの鳥居や小屋が材質からまだそれより残りやすいとしてもどこか不自然さがあります。 それに対する答えを考える中、BとCが小屋の中へ入ってしまい追いかける形へ。 もうここで確定演出というべきか、小屋の中には沢山の灯篭が設置されており。 しかも、灯がついているという事は確実に誰かが手入れや灯の管理をする為に来ているという証拠に他なりません。 もしかしなくてもこの廃村って、あの因習村じゃ……。 って事は、イルシィ君が語らなかった結末は…村が滅んだ理由はあの後少女が村人を惨殺してしまったから? ここがあのかつての因習村であり、あの祠である事を裏付ける注連縄の存在。 その奥からこちらを見ている何者かの気配。 ギリギリでBとCが奥に行くのを止める事に成功し、帰る事にしたもののこれで終わりじゃないのはわかっています。 帰ろうとしたその時、彼らの目線の先には廃村へ立ち入る事を止めようとした老人の姿が。 行きの際は必死に止めようとしていたにも関わらず、今度は責めるような言葉を言いながらもにこやかに微笑んでいる…? 間違いなく、取り返しのつかない何かはしてしまった。 老人は何かを知っているのか?疑問はありますが、老人がこちらに背を向けて進んだ先は崖が近く危ない場所で。 当然というべきか、老人は崖下に落ちてしまい追いついて下方を確認するも明らかに死んでいるであろう状態。 しかし、老人は瀕死の状態ながらも生きておりこちらに向かって何かを伝えようとした。 声は届かずとも、口の動きからその内容が何かを考えてみれば… 「ひ、と、り、め……」 一人目、そしてこの単語の意味するものは老人は何かの一番最初だった事。 一人目という表現を使う時、それは二人目以降が存在するという事も意味をすると。 「皆死ぬからね」 飛び降りる前に老人が言ったその意味と合わせれば、これから死体がどんどん増えていく。 今この場にいるのはこの大学生三人組なのだから…逃げなければ全滅しかない。 急いで逃げるように声をかけると、Cが何かを指さしているようでその先には黒い靄のようなものが。 人間の影をそのまま引き剝がして三次元上に移したような、謎の存在がすぅーっと滑るようにこちらへ迫ってくる。 正体はわからずとも、捕まってしまえば良くない結果が起きるのは想像に易い。 ここからは逃走開始と思えば、逃げ出す際にCは足を挫いてしまい逃げられない状態に。 Bは逃げ切ってからそのまま帰ろうと言いますが、主人公はCの事を諦めきれずに山に残る事を決断。 分かれた後も探索をする主人公は結局何の成果も得られず、今度は自分があの靄のようなものに追われる事に。 咄嗟に逃げ込んだ先はあの社の中で、もう一度走れるまで回復した頃合いに戸を叩く音が。 そして、自称Cが開けて欲しいと助けを求める声。 こういう時に身内の声を使っておびき出す策は王道中の王道ですが、主人公もこの状況がおかしい事には気づけたようで。 ここから、本物のCしか知り得ない事を質問して正体を確かめるターンへ。 そのどれもに正解する自称C、何かがCの声を使っているにしてもさすがに当人しか知り得ない情報まで知っているのは少し考えにくい。 と思ったのに… 「俺達もうクタクタなんだよ早く入れてくれよ……」 俺、達?複数形!? 先程から自称Cと問答をする間、もし第三者の声が聞こえているならそれが誰であれ主人公もその存在は認識していたでしょう。 そしてイルシィ君からも答え合わせと言わんばかりの一言が。 だってBがどうなったかはもう知ってますもんねぇ。 って事はやっぱりこの話のBは一話目のBで、Cと天凱2号がBの家に何度も言っていた大学生らしき人物で確定…。 となると、やっぱりこの自称Cはもうこの世の物ではない何かと考えるのが妥当でしょうね。 外にいる何者かと会話をするC、だけど相手の話し声は全く聞こえてこない。 要求されているのは、夜が来る前に今いる場所から出るという事。 この後の展開を知っている事を除いても、すでに状況は詰みと言えたでしょうが彼はここで言うべき言葉を間違えてしまい…。 自分が無意識に、三人目という言葉を発したのだけ理解し終わりを迎えた。 ◇4話終了の幕間 残る蝋燭も1本、百物語のように1話が終わると1本が消える。 だから残るお話もラスト1話のみ。 窓の外を確認すれば、時間こそ夜ではあっても雨宿りという当初の目的はもう必要ないと言える状況。 問題は、ここで帰らなければこの洋館でイルシィ君と一泊する事。 しかし、ここがどこかわからない以上もし外に出られたとしてもちゃんと家まで帰れるのかはわからない。 果たして、夜の森を歩く事と今目の前にいる男と洋館に泊まる事。 どちらがより危険なのか?取れる選択は二つに一つ…。 システム面の細かさについてはすでに触れましたが、ここにくるとシステムにおける 「テキストの速さを弄る必要はないと思います」という一文が本当に取るべき行動を隠蔽したいのだなというのが見えていて…。 テキスト速度を弄った時だけ出ますよね、逃げる事を推奨する文面は。 @ネタバレ終了 上記ネタバレ部分は4話目を読み終わった段階まで。 文字数の関係上、ここで分割させていただきます。
  • 【新番組】あかちゃんとあそぼ!【放送開始】
    【新番組】あかちゃんとあそぼ!【放送開始】
    実況プレイさせていただきました。 @ネタバレ開始 イラストの雰囲気では予想出来ない怖さでした… ほのぼのとしたイラストと実写風が入り交じり雰囲気を変えながらじわじわと恐怖に浸食されていくのが鳥肌ものでした…!!!!! @ネタバレ終了 ありがとうございました!
  • 可哀くて倔くて最凶の彼女
    可哀くて倔くて最凶の彼女
    短いながらも良質のホラーでした。 血だらけの部屋はいびつに歪んでいて不気味で、そこに一際映える青い髪に赤い目の少女。ビジュアルのインパクトが抜群ですよね。初めは詳細が語られないまま進んでいくのですが、最後に背景が分かってくると何とも言えない感傷的な気持ちになります。 @ネタバレ開始 これは背景もキャラもAIなのでしょうか? 再現性がすごいですね。 それと、背景が同じでキャラだけが出る時に、背景も一緒にフェードするのが少し気になりました。 @ネタバレ終了 世界観重視の作品で面白かったです。ありがとうございました!
  • 怪奇!開けてはいけない扉卍
    怪奇!開けてはいけない扉卍
    ホラー系はそこまで得意ではないんですが、探索パートが楽しそうなのと、タイトル画面の女の子がとってもキュートだったのでプレイしました。 確かに要所要所でしっかりホラーな出来事は起きるのですが… 怪奇現象なんぼのもんじゃい!と勢いで切り抜けるメンタル激強コンビに勇気づけられながら(?)最後まで楽しく愉快にプレイできました。 千羽とめぐちは年が離れたデコボココンビでもあるのですが、お互いがお互いのラインをなんとなく分かっていて、1人の人間として尊重しあうような関係性で描かれていたのがとても好きでした。 事件の真相に迫る推理パートも非常に丁寧で、そこに至る過程の段階で、ああでもないこうでもないと予想するのも楽しかったです。 プレイヤーを置いていかない、細部までこだわった作品をありがとうございました!
  • 夏休みの課題
    夏休みの課題
    はじめまして、SOALのスカと申します。 TOPの画像はそんなに暗くないけれど、キャプションに4割ホラーと書かれていて ホラーなんだ!?!?と興味を惹かれました! @ネタバレ開始 うわああああああ!!! なんてもんを…なんてもんを見せてくれてんだ…! 本当に…救いようがなかったんだろうか…うわあああああ…。 夏休みの課題の文章よりも、事実のほうが面白くてすごいなぁとか思っていたんですが ゆりちゃんの姿が現れるやいなや、描写されるやいなや漂う不穏な空気…! セーラー服の彼女に「遠くへ行く」「早くこっちに来てね」と言われて アッ察し となっていたんですが…。 まさかまさか主人公が選んだ選択が…。 課題の感じとか、おばけとか(びっくりしましたが) 割と可愛いタッチだったので完全に油断していました…。 このゲームのいいところかもしれませんね…! @ネタバレ終了 意表を突かれました…。いやぁ…この気分どうしようかしら…鮭でも飛ばしに行くか…? いい感じに嫌な読了感を植え付けられました…! プレイさせていただきありがとうございました!
  • 夏休みの課題
    夏休みの課題
    主人公も創作する側とはおもしろい! 概要からしてとっても魅力で、一体どんなお話が見れるのかとワクワクでした! @ネタバレ開始 課題をきっかけにゆりちゃんへ思いを馳せる主人公 再会を期待していたけれど、ゆりちゃんの真意を知ったことで…… ホラー要素はあくまで課題内での創作、かと思いきや、でしたね…… 2人だけの秘密を誰かに話さなければ、真実には気づかずに大切な初恋の記憶で終わってたのかな…… 躊躇いつつも黄泉へ導くゆりちゃんはなかなか怖く感じました…… 悪意がない分タチが悪いというか…… 完全に連れていかれてしまいましたね…… うーーーむあまりにも苦い初恋…… ある意味結ばれてはいるんだけど…… いやはやおもしろい…… @ネタバレ終了 初恋とホラーという全く違う要素がしっかり両立されていてお見事でした! 素敵な作品をありがとうございましたm(* _ _)m
  • Gabriel
    Gabriel
    以前ご感想は投稿させて頂いたのでFAのみ贈らせて頂きます…♡ 糸目金髪長髪お兄さんの魅力に目覚めさせてくださりありがとうございました!
  • 可哀くて倔くて最凶の彼女
    可哀くて倔くて最凶の彼女
    コメント欄を見てホラー苦手でも行けそうだと判断してプレイしました。特に脅かし要素もなく、どちらかと言うとサスペンスみのあるホラー作品で良いハラハラ感を味わえました。部屋にこもった血生臭そうな空気が画面越しに伝わってきそうで雰囲気もばっちりでした。 @ネタバレ開始 ヤンデレを匂わせておいて違和感を振りまきながらじわじわと認識をひっくり返してくる流れが刺さりました。とても好きな構成です。短いプレイ時間の中で、主人公は何を思い出せずにいるのか?彼女の曖昧な態度にはどんな理由が?という疑問がきれいに回収されてスッキリ。 確かに状況は変わってないけどこれからは2人助け合えるしきっともう少し生きていられる、ささやかな希望が見えるED3がよかったです。ののさん本当によく頑張った…! @ネタバレ終了
  • 白と黒と、あの彼女は -The Colour Out of Space-
    白と黒と、あの彼女は -The Colour Out of Space-
    突如白と黒のみの世界に放り出された主人公の理不尽な境遇が淡々と、しかしリアリティのある画像で語られます。 人の認識さえ危ういとは……本当に体育は大丈夫だったのでしょうか←(心配が独特) 家族の関心の薄さや周囲の無理解にさらに押し潰されて行く精神。 オンマウス時に赤と白のボタンの文字がうぞうぞと動くのも不気味で良かったです。 @ネタバレ開始 唯一色彩のある存在に縋ってしまう気持ちも解る気がします。 どう見ても破滅の未来しか見えませんが、うっかり宇宙からの『色』に触れてしまったばかりに……(SAN値チェック) 最後に原因が解って、個人的にはスッキリしました。 主人公はスッキリどころかとんでもない状況ですが……。 @ネタバレ終了 印象的な作品でした。
  • 七人一役
    七人一役
    選択肢によっての展開・結末が驚くほど違い、面白かったです! @ネタバレ開始 赤い選択肢のぶっ飛び方は、確かにわけがわからないの一言。 思わず笑ってしまいました。 YouTube動画で紹介させていただこうと思っております。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました♪
  • 吊り餌
    吊り餌
    タイトルもサムネも見るからにダークネスな雰囲気…!苦手なホラーでしたが、イラストが大変お綺麗で、プレイさせて頂きました…! どう見ても自殺志願者…には見えないこの四人の状況… 一体何があってこうなったのか…果たして真相は…?! @ネタバレ開始 全く分かりませんでした(ぇ) いえ…。全貌が明らかになっていないので、得られた情報をツギハギで頭の中で構築していったのですが、それでも足りないパーツだらけで、なんとも言えない恐怖が身に纏わりついている、そんなお話でした…私だけでしょうか…? 今までプレイしてきたゲームで、こんなにも「はじめに」が恐ろしいと感じたのは初めてです(はじめに、だけにとは言わない) 「予め予め」 …1回でも十分そうなのに、2回続ける不穏さ… 「いつまでも四十九日は終わりません」 …四十九日の意味をちゃんと知らなかったので調べましたが、一向にどこにも行けない状況という理解をしました…死んでもなお?怖すぎます…! 「見てもご了承下さい」 …何を?!?!このゲームをプレイする事によって霊体的な何かが見えるようになっても知りませんよの意味なのか、それとももっと別の話を目にしてしまってもの意味なのか、はたまた四十九日が終わらない様子をさしているのか、もう怖い!!! 淡々としているようで違和感バリバリの得体のしれない怖さ…思わず引き返そうかと思うも踏み止まり、意を決して続行しました…! あまりにも怖いので、「つるす」前に「きやく」から順に見ていこう…と選択したのが運のツキでした。「きやく」系も怖い!!!謎の写真、遊び方のポップさや左下の意味深文字、謎のブログ…!その分「せってい」が何もなかったので唯一一息吐けました有難う御座います!ナイス救済措置!!(??) あ、救済措置といえば「きやく」等を選択した際に、四人のイケメンご尊顔がアップで見られるの、個人的に凄く好きです!これから起こる事に覚悟していたり怯えていたり諦めていたり等、死を目前にした色んな表情を見る事が出来て最高でした! 後、座り方も好きです!!椅子がそれぞれ違うのも拘られていて凄いなと思わずじっくり見てました!!ホラーの隙間に癒しを有難う御座います!(?) ブログを先に拝見し、ざっくり何があったかを理解した状態で四人をつるし忌中を選択しましたが、それぞれが家に侵入し何をしていたのかがわかって良かったです(状況がわかるとは言ってない) 「つるす」を選択した時点で、プレイヤー側も侵入している形になり「つるされる」のはとても腑に落ちましたね…! ブログを拝見した後なので、赤い服の女の子があのお父様の娘さんだとは理解したのですが、目の前の眼鏡をかけた女性が誰なのかは未だに断定しかねています…。それこそ、娘さんと同一人物なのかなとか…。鏡に向かって赤い服の女の子を見る視点だと、最後女の子が消えた後に遺影に女の子自身の絵がありますもんね…。 ブログでお父様の様子がおかしかったみたいですし、ずっとお葬式をあげていないのかなとか…。でも、ニュースになってますもんね…お葬式はあげているけれど、何らかの方法でこの世に留めているとか…それこそ、「四十九日は終わりません」に繋がっているとは思いますが…難しい…! 赤い服の女の子、四人をつるした後、右手の黄色いクレヨン?で菊?の絵を描いてるんですね。本人は四人を供養しているつもりなのでしょうか…?左手のクレヨンで部屋のあちこちに落書きしちゃって可愛いですね!ただ、お目目にクレヨン差し込むのは流石に痛そうなので止めた方がいいかとは思います…!せめてお口に!食べられるクレヨンがあるみたいなので…!(そういう問題か?) お父様がおかしくなっているのだと仮定すると、10年ぶりに娘さんが絵を描かれたそうですが、ブログの絵とゲーム本編の下の「わたし」の絵があまりにも違い過ぎるので、ゲーム本編では違う人…お父様がが描いたのかな?とか思ってます。娘ちゃんの霊体を身体に宿しているつもり=娘ちゃんになりきって落書きしているのかな?とか…(考えすぎて訳がわからなくなってます) あ!逆かもですよね!10年ぶり~の方の絵をお父様が描かれているような気がしてきました!お風呂で浮かんでいる娘ちゃん、その姿を描けるのは見た本人かなぁと…(霊体になってから鏡で見るパターンもありますよね…う~~~んやっぱり難しい…!!) 噂やブログの通りなら、毎年?この夏の時期に違うおうちでてるてる坊主を作りたい娘さんの願いを叶えているんですかね…。お父様の不動産関係のお仕事でいくらでもおうちはありますもんね…(だから見回りバイトをたびたび募集しているのでしょうか…) あと、ブログの通りであれば、逆の事をすれば~の文面から、敢えてお葬式をあげていないor四十九日をこさせないようにして娘ちゃんを留まらせている…そんな気もしますね…! 「お前の娘」…誰がupしたのでしょうか?お父様なのか、それとも…?そして耳を澄ませても聞き取れなかったのが非常に悔しい所です…!!あわがぶくぶくしている所は、おとうさん…って言っているようには聞こえるのですが、肝心な所が……!! @ネタバレ終了 いくらでも考察できる素敵なホラーゲームを有難う御座いました!