heart

search

チップを送付できる作品

35369 のレビュー
  • 僕らの都市伝説
    僕らの都市伝説
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 都市伝説を題材にしたゲームは数あれど、都市伝説がないなら作ってしまえばいいというなかなか新しい発想に面白い着眼点。 どこにでもいるような、普通の中学男児が4人集まってネタを持ち寄るちょっとした遊びとしてありそうなノリ。 4人の個性もこういう子いそうだな~と結構リアルさがありながら個性も綺麗にばらけており自然と彼らと同じ目線でワイワイしている気分になりました。 プレイ前の時点から面白い予感しかしない(ただし、作った後も無事とは思っていない)要素は満点! 期待に胸を膨らませスタート。 @ネタバレ開始 各自の持ち寄った案から、どう組み合わせる事でどんな都市伝説ができるのか? その内容を予想しながら選択するのがもうすでに楽しかったです。 柳沢君は「心霊スポット」 市内に存在する建物にウワサをくっつけてより日常に近づける、地元の都市伝説という意味ではなかなかいい目線です。 田畑君は「人間」 所謂人怖という下手をすれば幽霊よりキツイかもしれない、リアリティがあれば皆好んで話しそうというのもわかると思えるチョイス。 嶋君は「お化け」 あまりアイデアの引き出しがないと謝っていますが、シンプルイズベストかつバリエーションも多いのはその通り。 寺尾君は「未確認生物」 UMA、もしくは「現代妖怪」といったテケテケや花子さんのようなものに宇宙人なんてのも斬新でアリとロマンを求める系統を。 ここの案も結構各自の個性が出ている印象がありますね。 柳沢君はそういった話が元から好きなので外せない定番を入れるつもりで。 田畑君はどちらかといえば霊や妖怪といった存在証明の難しい存在よりは、より現実的にありえそうという事を重視する。 嶋君は定番でありながら趣旨として外れがない選択を、大雑把すぎないか心配しつつも協力しようとしている。 寺尾君は人物紹介の時にあったようにロマンを求めて生物的なまだ見ぬ存在を求めている。 最終的に全ての組み合わせを試すとしても、まずはシンプルに自分が見たいとか気になった物を選ぶ方針で。 ◆浦越西団地の宇宙人 UMA、もしくは現代妖怪という表現が胸を撃ちぬいたので迷わず寺尾君の案は採用。 柳沢君の心霊スポットは定番ながらも面白い話ができる強みはありそうと合体! 曰くつきな心霊スポットに出るUMA…もしくは妖怪こい!!と思いきや、場所は随分日常的な所!? といきなり予想を良い意味で裏切る物が爆誕。 自分なら真っすぐな怖い話を考えるだろうという点で、その発想はなかったと脱帽でした。 地元の団地に宇宙人というパワーワードがなかなかです。 しかし、案外人が来ない森の奥とかいかにも何かが隠れている場所よりは、その想定をする人がいない分見つからない点で盲点だからアリな発想なのかも…? 地元の都市伝説という柳沢君のテーマとも合っているとは思いますし。 (個人的に、今の人間が視認していない事が必ずしもない事の証明ではないと思っているので寺尾君の言うロマンのカタマリな可能性も否定はできず) しかし、いざ実際に広めてみれば話題にはなってもあまり信じられていないという結果に…。 『団地の宇宙人』なんて突飛な話、と田畑君も言っていますが確かに何故その2つを組み合わせたウワサなのか…当事者達にはわかっても第三者にしてみれば謎しかないでしょう。 その宇宙人が擬態しているとされるおじさんも、実名を出してないにしても寺尾君が実際に住んでいる団地の住人をモデルにしているので結構話題になると予想していたというのがいけそうでいけないライン感として絶妙ですね。 他3人が諦めモードに入るも、柳沢君だけは意地でも流行らせてやると情熱的な態度を崩さず。 休日にウワサの信ぴょう性を高める材料を探す為に、わざわざ西団地までやってきて件のおじさんの後をつけていたという電話が入るというその熱意はどこからきているんだ?と言わんばかりの勢い。 とはいえ、通話内容を詳しく聞けばそのおじさんが部屋に入った瞬間何やら不思議な事は起きているようで…寺尾君はオカルトと結びつけなくても説明できると思いつつ、柳沢君の勢いの凄まじさに思わず一緒に確かめる流れへと。 合流し、いざ現場へ向かう流れになった際に出た違和感。 宇宙人のウワサは自分達が作った嘘なのだから、ウワサを補強する材料探しならまだしも宇宙人が本当にいるのが前提という話し方は確かにおかしいです。 現場に来てヒントを得ようとするのはまだ、実際に目にした方が考えやすい人もいるという事でわかるのですが。 宇宙人のウワサの為に熱心な柳沢君と、早く部屋に戻ってポテチを食べながらゲームをしたいという寺尾君の温度差。 この両者の違いも『学は元よりこうだから仕方ない』と思いつつな点と合わせ、普段の関係が良い感じに滲み出ているように思います。 そして、目的地に到着し待機すればおじさんが部屋へと戻っていく場面を目撃。 確かに不思議な現象として窓から謎の光と聞いた事もない音が聞こえてくるようですが、寺尾君に言わせればどうとでも説明がつくので驚きもしないクオリティとの評価。 人物紹介にあった情報から推測するに寺尾君からだと、所謂そういった物特有のリアリティに欠けるというか…パーティーグッズで再現できる範囲とでも思ったのでしょうか。 元よりUMA等へ興味があるなら、目は肥えていてもおかしくないでしょうし。 しかし、柳沢君はスマホのカメラを起動したまま走り出し「決定的な証拠を撮るんだ!」とさらにやる気スイッチが入ってしまった様子。 自分達が作り出したウワサなのに「宇宙人は絶対にいる!俺が最初の交信者になる!」と勢いも凄い。 これには寺尾君も夏の暑さにやられたのかと思いながら、柳沢君を止めようとしたところで玄関の扉が開き……。 そこにはタコのような頭をした、見た事もない生命体が!? ここで突然の展開になりこれからどうなってしまうのかとパニックになった寺尾君の脳内が大変愉快でした。 脳を改造されるのか別の生き物にされてしまうのかという恐怖。 死を覚悟して家族に最後の別れを始めてしまったり、ちゃっかりと来世があるなら…とそれ完全に異世界転生物のシナリオだよね!?みたいな希望を述べたり。 と、危機的状況かと思いきやどうやらおじさんが被り物をしてからかっていただけと判明。 どうやらウワサのせいもあり、最近子供達がおじさんの事を宇宙人扱いするようになったのでそれに悪乗りをしたという話で。 その為に謎の光としてミラーボールや音源としてB級SF映画の流れるモニターを用意するとはなかなか遊び心のあるいいおじさんですね。 おじさんが部屋に戻り調査も終了。 寺尾君としては予想外の結果で楽しめたのでオーライと思うも、柳沢君は悔しがり残念なのが隠し切れない様子。 「ザンネン ダ」 …そして、聞こえてきたのはむちゃくちゃに加工した人工音声のような声。 横目にうつった柳沢君の顔は、両目が緑色に光っており人間のようには見えません。 寺尾君が声をかけると、何事もなかったかのようにいつも通りに戻るも…これは見間違いだったのか? 後日、おじさんが協力してくれているという話をあの時現場にいなかった二人に共有する寺尾君。 それでも、両目が光っていたあの柳沢君の話は言ってはいけないような気がして友達である二人にも話せないままで…。 それからも相変わらず、柳沢君はいつも通りの振る舞いをして毎日を過ごしていくも誰にも見られていない時に表情が消える瞬間があり。 その頻度も、日に日に増えていくといういつもの日常が徐々に浸食されていく恐怖。 柳沢君が宇宙人の存在を信じていたのは、自分と同じ宇宙人という存在に会えるのを信じていたからだったのか…。 じわりとした尾を引く後味の中終幕へ。 ◆新興宗教エマラ・テッド教団 次は心霊スポット×人間が怖い話というこれもなかなか面白い物ができるだろう組み合わせを選択。 内容的には通り魔とか?位に予想をしていたらかすりもしない内容がまたもや爆誕! …どうしてこの組み合わせでこの話ができあがるんだ!? (サンプルサムネから、この話が存在している事のみは知っていましたが…ここなの!?と) 王道なら、怖い人間が原因で心霊スポットになった場所に関する話とか…先に述べた通り心霊スポットに肝試しへ来た人を狙う通り魔とか。 そういう方向性だろうという予想をことごとく裏切っていく中学男児の発想力。 「謎の新興宗教!いいんじゃね!?なんかただの都市伝説じゃないですよ~って感じじゃん!」 いや、ガチのヤバイウワサになりそうって感じでは危なくない…!? しかし、人怖というテーマで謎のカルト宗教を選ぶというのはなかなかセンスとしては良く発想力として凄いというのか。 自分なら狂気を持った人や実は身近な人、友人が…といった物が先に出るのもありますし。 それに、信仰の為なら何をするかわからない人間というのが自分の中で人怖にカテゴライズされていなかったというのは怪談好きとして引き出しを増やす上で勉強になった部分はあります。 儀式の為に、特定の条件に当てはまる人を決まったタイミングでさらいにくる謎の教団。 回避方法もあるので、一応の逃げ道もあるという辺りは都市伝説のお約束としてもちゃんとポイントをわかっている印象を受けます。 結果として、ウワサを流す事には大成功。 しかも当初はなかった後付け設定もくっつけて流されるという、まさしくウワサがウワサを呼び拡散される状態に。 その中でも、教団の狙う該当者…6月6日生まれのB型の人は内心怯えているようでウワサが広まりだしてから挙動不審になるという事態まで発生。 こうなれば立案者である柳沢君としても内心笑いが止まらないのは当然。 田畑君も、皆意外と単純だよな。と楽しんではいる様子。 そして、何故教団に狙われる人の設定がこうなったのか? それは気に入らない先生をおどかしてみたかったので、先生の誕生日と血液型を設定に組み込んだという意外な真相でした。 6月6日生まれの人間を6月6日の朝6時にさらうとだけ聞いた時は、所謂悪魔数字を採用したとばかり思っていましたので。 カンシャク持ちであり、よく怒鳴っているとされる先生もどうやらここ最近は穏やかなようで実はウワサを信じるタイプだったのか?と笑いの種に。 説明された先生の様子も、完全にウワサを信じて怯え切っている人のそれでしたね。 そして、運命の6月5日…。 ここから6日の朝6時まで誰とも口をきかなければ回避はできるという、該当者にとっての正念場です。 生徒達の間でも影響は確実に出ており、欠席をする人やマスクをして会話を拒否する人と対策をしている様子が見て取れます。 果たして『本命』である先生はどうするのか? 次の授業が数学という事で、準備の為に教室へ入ってくる笹山先生。 マスクこそしていないものの、口をダルマのようにキュッと結ぶ『絶対に喋らないという意志表示』の構え。 目を見開き中腰のまま授業を始めるというのはどうみても怯えきった態度でしょう。 その様にはウワサの関係者である4人は当然として、クラスメイトも内心笑っているようで。 普段ならつまらない数学の授業が、ウワサ1つでこんなに変わるのか!と柳沢君も喜びを感じている様子。 先生からすればたまったものではないでしょうが、中学生のノリとしては結構この辺がまたリアルというか。 「なあ……誰か笹山先生喋らせろよ」 誰かのそんな言葉を聞いてしまえば、一気に盛り上がるだろうと悪ふざけをしたくなるのも予定調和でしょう。 先生の背後に近づき、クラスの皆の期待を一身に背負いながら大きく息を吸い込んで…思いっきり叫びながら先生の両肩を勢いよく掴む! すると、柳沢君の声量をはるかに上回る大声量で絶叫してしまう笹山先生。 ついでに前のめりに大きくズッコケてしまうというおまけ付で。 瞬間、教室内に割れんばかりの笑い声が溢れ出すという皆にしてみれば普段の先生からは想像できない様子がツボに入ったようで。 ウワサが作り話である以上、明日には先生も元通りになるだろうという意味では今しか楽しめないイベントとはいえなかなか容赦がない。 やっと笑いがおさまってきた頃、一向に反撃どころか何の反応もしない笹山先生。 その顔を覗き込んでみれば、大量の汗をかき、目を見開いたまま床の一点を見つけ続けていて…。 口元はかすかに何かをぼそぼそ呟いているも、しっかり聞き取る事はできず。 拾えた文字から、恐らく「~が、くる。~が、くる」と教団がやってくる事を恐れているのでは?と予想をしましたが様子がおかしい事に違いはありません。 そして、さすがにやりすぎたと柳沢君が謝ろうとした瞬間に先生は凄まじい形相で教室を飛び出してしまった。 その様子に再び教室に笑いが起きるも、その日に結局早退をした先生は学校へ戻ってくる事はないまま2ヶ月近くも休み続けている。 さすがにウワサの当事者である4人はこうなると気まずいというのか。 あの新興宗教は、実は本当にある教団を元にしたのではないか?と不安そうに寺尾君が柳沢君に確認をすればあの場で作ったデタラメだと言い。 実際に、この4人は目の前で話ができあがっていく過程を知っているのだから創作である事は当然知っている。 実在しない事は自分達が1番よく知っている。 なのに、どうして先生は戻ってこない…? 消せない不安に怯えていれば、田畑君が窓越しに笹山先生が校門から校内へ入ってくる場面を目撃し大声をあげる。 慌てて3人もそれを確認し、先生に特に変わった様子がなさそうなのも判明。 どうしていきなり2ヶ月も休んでいたのかは謎ながら、安心感から脱力をする4人。 先生の無事がわかればまたいつもの調子に戻った柳沢君は、先生の所へ行き洗脳された痕とかないか見ようと皆で駆け出していく。 とはいえ、さすがに謝るつもりではあったようで先生に声をかけてみれば…? …そこにいたのは、先生の姿をしているのに今まで聞いた事もない声色を使う笹山先生だった。 喋っている内容も、すべてひらがな表記である点もですが明らかにこれはやられた後だとしか言いようがない様子で…。 驚いていたのは柳沢君だけではなく、他の3人も同じ様子。 果たしてあれは…笹山先生なのか? 以降の笹山先生は相変わらず学校にきており、以前とまったく違う様子には他の生徒も最初は驚いたようで「教団に人格を変えられた」とか騒ぐ始末。 それでも現状に慣れてしまえば、ウワサとは関係ない別の解釈をしだして誰も疑問を抱かなくなっていく。 立案者である柳沢君は教団の存在は創作だと理解しながらも、何かがおかしい現状に慣れる事もできず真相を笹山先生に聞く訳にもいかない。 知る術がない以上、残る選択肢は今の状況を受け入れるしかないという真相は闇の中という終幕へ。 日常が浸食されていくという点では先の宇宙人もその系統ではありましたが、今度は4人は無事でも身近な誰かが犠牲になるパターン。 かつ、最初はあれだけ騒いでいた生徒達がいつの間にか目の前にある異変に慣れてしまい誰も疑問に思わなくなっていくというのも人の噂も七十五日というのか。 人の興味の移り変わりも実際そんな物という生々しさがあり。 自身の創作のはずなのに、それを完全に否定できない状況ができてしまったという不気味さ。 そして、これって一番まずいのはウワサが鳴りを潜めた結果来年の6月6日にも同様に犠牲者が出る可能性があるのにもう該当者が対策をしない可能性が生まれてしまったという事ではないかと…。 時限爆弾が残っているのに誰か気づいて…と祈るしかありません。 ◆耳をふさぐ女生徒 ここまで、心霊スポットという扱いやすい案に頼りすぎた感があったので違う物を選ぶ事に。 嶋君のお化けというのもテーマとしては扱いやすい部類だしまだ見ていない組み合わせは確定という事でまずは選択。 心霊スポットとの組み合わせでは『お化けの出る心霊スポット』という直球なネタになるのが想定でき。 かといってUMAと組み合わせてもお化けとUMAを両立させる話って何だ?となるので一旦保留。 (この2つ自体がそれぞれ特定の場所なり条件との組み合わせでシナジーを持つ、その都市伝説における‟登場人物”的な題材だろうという判断) という事で、残る選択肢である田畑君の人間と組み合わせる事にしましたが…まさかあんな事になろうとは。 都市伝説の内容としては良い意味でオーソドックスな印象。 呪いをかけた結果、今度は自分が祟られてしまい結果死後幽霊になって悪霊のような存在となる…人呪わば穴二つ展開。 大体田畑君が考えたという事で彼の発想力に感心しつつ、良い感じの生々しさもあるのでこれはいけるのでは?と思いました。 実際、広まり方としても成功と言える反応でしょう。 ウワサに怯える人や勝手に対処法を後付けで考える人、そのウワサの背景にあるであろう人物の事へ思いをはせる人。 唯一これまでと違う意外な点としては、他のウワサの時には塩対応気味だった田畑君がウワサを広めるのに積極的であり「見た」という嘘までついている事。 嶋君もそこを疑問に思っているようですが、柳沢君は気に留める事はなく当人に意図を確認しようにも体調不良で学校へ来ていない状況。 ここで『バカは風邪を引かない』に対するマジレスをする寺尾君の反応が好きです。 知ってるけど!そういう意味だって知ってるけど!今はそれを言うタイミングじゃない…!! そしてそれをぶち切る感じでお見舞いの提案が入り、学校が終わってから向かう流れへ。 田畑君は純粋な体調不良のように見え、さすがにウワサの話題も出せなかったという事で真相を知るのは先送りに。 そんな不穏な要素が残る中、ウワサはさらに広まっていき中には実際にウワサにあった呪いを試そうとする人まで出るという始末。 もしウワサと同じ効力があった場合には死人が出る以上軽率に試していい内容じゃない事も含め「ヒェッ」となり。 ウワサの影響力から、嶋君が罪悪感を持つのは立案者でもある点や彼の性格から当然でしょう。 柳沢君の言う、ウワサがきっかけで仲が悪くなるのは~というのも一理あり。 寺尾君は真相を知っている観測者視点で、日常生活に及ぼす影響の強さに感動をするというのも理解はできる視点です。 …そんな呑気な事を言ってられる状況とは思えないけどな!? この辺は、ウワサが創作であると知っているか否かで感じ方が変わるという点やそれ位の気持ちでやった事でしかない。 どのルートでも共通の点ながらそれを表現している描写と思います。 問題は、内容として今回はウワサに出る呪いを実行した時点でそれは禁忌と言える物である事。 元が創作であれ、その中にある内容だったとしても…誰かを呪うという行為そのものがまずいけないのです。 悪意を持って誰かを殺そうとした事に違いはないのですから。 宇宙人の時はまだ冗談としてもおじさんが本当に宇宙人だとしても、近づかない限り危険度は比較的低めであった事。 教団の時は対象が限られており、恐れるべきタイミングは年に1回で対処法もセットで存在している事。 オチがバッドと言えるエンドにはなれど、人の悪意が主体として大きく蔓延するタイプではありませんでした。 本当に怖いのは人間。田畑君の言っていた事が結果的にその通りだったのが何とも言えないところですね。 そしてその田畑君は相変わらず学校を休み続けている。 嶋君はそれを、頭の良い彼だからこそ自分達のせいで学校がどんな状況になったのかを察する事ができ学校に行きたくないと思っているのではないかと想像をしているようで。 そんなある夜、おつかいの為に学校の横を通り過ぎようとした嶋君は田畑君を見つける事に。 夜の校舎をぼんやり眺めながら、声をかけられても反応を示す様子もない。 背中を叩いた事でようやく気付いてくれたものの、驚いた素振りもなく無表情でこちらを向くというのはどこか精気の抜けた印象を受けます。 …彼がただ単に、自分の責任を直視したくないという現実逃避だけで欠席を続けているなら正直この反応は不自然でしょう。 実際、こちらを向いた際に彼の耳からは耳栓が落ちており『何かの音』を意図的に聞こえないようにしていた。 家や自室ならまだしも、外でつけているのはいつ事故に遭うかわからない点としても危険ですし。 それに、耳栓のせいで声が聞こえていなかったのはまだしも普通背中をいきなり叩かれたら少しは驚くのではないか? この異常性のある彼の状態と、しっかりした足取りで去っていったという部分がどこか噛み合わず間違いなく何かは起きていると見て良さそうなのに踏み込みには勇気のいる状況。 3日後、田畑君が亡くなったと聞かされた事からやはりあの時点で…という予想は当たっていたのでしょう。 他の生徒がするウワサが本当ならば、彼は部屋で首を吊って自殺をしたという事に。 自分の友達をウワサ話のネタにする事へ怒る柳沢君の反応が真っ当であると同時に、最後に家族以外で接触していたであろう嶋君にはあの時自分が何かをすれば結果が変わったのではないか? その不安に押しつぶされるという、どうしようもない感情が本当にやるせなく。 柳沢君は誰も悪くないし、あれは創作なのだから全てウソだと断言します。 皆が勝手にウソをついている、皆ウソつきなんだと。 「最初にウソをついたのは……僕達だよ」 だからと言って、始まりのウソに対する責任がなくなるのかは話がまた別であり。 とうとう4人の中から死人が出ただけでも衝撃ではありました。 しかし、後に語られるウサワ話。田畑君に関するエピソード。 彼の机から、あの呪いに使用される赤い紙が出てきた事。 実は彼には妹がいた事。 作中でも優秀と語れている田畑君よりも優秀な妹であり、しかし中学に上がる前に亡くなっていた事。 嘘や作り話をするにおいて、信ぴょう性を持たせる手法として真実の中にわずかに嘘を入れるのが信じられやすいという話があります。 彼はウワサの中にある呪いの手法はよくある物を参考にでっちあげたと言いました。 姉が弟を呪い殺した結果起きた話だと、彼がこのウワサ作りにおいて大部分を担当しました。 だけどそこに、信ぴょう性を持たせる為の真実が混ぜられていたとしたら? この話は実際とは性別を逆にしただけの、兄が妹を呪い殺した実話だったのかもしれず。 彼が耳栓をしていたのは妹の泣き声から逃れようとしたからではないか。 もしそうなら、彼は一体どんな気持ちでこの過去をウワサに組み込んでしまったのか。 過去の罪を告白したかったのか。ウワサとして昇華する事で吹っ切る為にだったのか。元々悪びれもせず考えもなしにだったのか。 個人的には、ウワサという形であれ過去の罪を誰かに聞いて欲しかった。 もう、抱えきる事ができなかったのではないかとは予想します。 「なんだかんだ言って本当に怖いのは、人間だと思う。身近にいる人間が恐怖の対象になるっていうのは………下手に幽霊の話をされるよりキツイんじゃないか?」 「うん、人間より怖いものはない」 ウワサを作成する際、提案を聞く場面と採用した場面で語る彼の台詞もこうなるとまた重みがあるというか聞こえ方の印象が変わりますね。 意外性も合わせ人の業という点において、とても好きな話でした。 ◆カッパの幽霊 ここまで3パターンを出したので、被らないように選ぶ方向へ。 前回、何ができるか想定のできなかった組み合わせをあえて選択。 カッパと幽霊、それぞれ個別ならわかるけどこうくっつけてきたかぁ~?と全力の困惑。 というか、カッパはもうそれだけで一つの怪談というか妖怪なんだよ!なのにさらに幽霊にする為に殺さないであげて!? と、ツッコミをしていれば案を持ち寄った二人も無言という何で立案者が二人共その反応なんだよと柳沢君にも突っ込まれる始末。 個人的に、水に関する属性のある幽霊なり妖怪だからターゲットになると水のある場所ならどこからでも侵入してきて殺そうとしてくる。 この部分は結構アリな設定だと思ったので『どうしてカッパの幽霊にした!?』感が余計に際立っていたように思います。 この話だけ、話を作り終わった後に共通で流れる文章の流れが違うというのが『内心失敗したのはわかっている』のを表現していて好きです。 そしていつもなら入る、ウワサについての会話が挟まった後に本編が始まるような流れすら起きず。 「全っ然ウワサになってない!!」 頭を抱える3人に、田畑君が正論パンチとして「カッパの幽霊のウワサが流行る中学校って、ハッキリ言ってヤバイぞ」というのが腹筋を破壊にきました。 柳沢君のわかりきっているけどちょっとは期待する気持ちもわかりつつ。お前らちゃんと広めたの!?と言う勢いで腹筋に二撃目が入り。 寺尾君の「どんなに笑われようとも!マジな顔して話しましたとも!」と語る剣幕でさらに腹筋への3コンボ目が続き。 嶋君の、やったけど体調を心配されたというのが完全に体調というより頭を心配されてるのだー!?と追撃が止まらない。 結果的にウワサも広まらず計画は失敗に終わって4人としてはつまらないオチになったのでしょうが、前回成功した結果死人が出ている事を考えると何もないルートもあるのは正直ほっとした部分もありました。 なので、次に挑戦して広まるまでやるとその意味で心配ですが…まぁわからないでもないのはある意味微笑ましい。 今ある日々が嫌いという訳でないけど、少し遊びたいだけ。 ちょっとでいいからいつもと違うものが見たいだけ。 この部分が冒頭にあった、地元から出られない中学生ならではの行動範囲の狭さ。 そこまで娯楽がある訳ではない地域という若者には暇を持て余すだろう条件。 ちょっとしたイベントや刺激が欲しいと感じてしまう人間心理。 そこへちょっとしたスパイスを加えようと都市伝説作りを始めた柳沢君らしい気持ちだと思います。 しかし、上げて落とすならぬ油断させてから本命を叩き込むというのか…。 このゲームに都市伝説を作った時点で無事な終わりを迎えられる結末がなかった事を思い知る事になろうとは…。 嶋君と二人で河原に行き、小石を川の中に向かって投げていく。 その際の会話で、嶋君が自分に気を遣っており困らせている事を自覚する流れもまたこのメンバーの関係性を感じる場面として好きです。 (その後に起きる展開を知っていると、ほんとに一時の和みパートでしかないとなるのはありますが…) 投げる小石もなくなりもう帰ろうかと思ったその時、真後ろから突然かけられる声に呼び止められ振り返ってみればそこには同じ学校の女生徒が。 それは1年の時に柳沢君と同じクラスだった安藤さんであり、同じクラスだった頃にも1回会話をしただけで今回が2回目の会話であった事。 そして、その2回目の会話の内容として彼女がカッパの幽霊の話を出してきたという予想外の展開でした。 安藤さん曰く、柳沢君はオカルト好きだったので最近聞いたこの話について知っているのではないかと声をかけたらしく。 久々の会話とその内容が何故カッパの幽霊についてなのか?普通なら疑問に思うところではありますが、柳沢君としてはまだこの都市伝説が広まる可能性を持っているという期待の方が先行しているようで横で目を丸くさせて押し黙っている嶋君を無視したまま語り出す流れへ。 自分はそのウワサを信じているし、今いるこの川がちょうどカッパの幽霊が出るというウワサの川だから見に来たというでまかせを並べ立て。 嶋君に『何言ってんのお前』という目で見られつつもお構いなし。 「本当?すごい!じゃあさ……」 と、まさか安藤さんはこの話を信じたのか?と思わせてからの 「私のことは、カッパの幽霊のせいにしてね」 その言葉の直後に鳴り響く、水面に何かが重いものが落ちた音。 安藤さんは引き留めるなんて考えも起きないくらい一瞬の間に、橋から川へと向かい落ちていってしまった。 硬直する柳沢君。 後日彼が知ったのは、あの川はとても深く泳げるような川ではないこと。 安藤さんは泳げず、同級生が目の前で自殺したという現実を目撃したという事実だった。 この事は軽いネットニュースとなっており、記事には何故安藤さんが自殺をしたのかを推測できるような事も書かれていたようですが柳沢君はただひたすら自分のせいじゃないと思い込むので精一杯だった事。 もしあの時、自分があんな事を言わなければ安藤さんは死ななかったのではないか?そんな考えが頭に浮かんでしまうのを必死に抑え込むしかなかったというのが当事者の意識としてまずくるだろう反応という意味でも痛々しかったです。 これは『耳をふさぐ女生徒』において彼が言っていた、ウワサがきっかけで仲が悪くなるのは~と結果的には同じ事だとは思いますが明確に自分の言葉がトリガーになったかもしれないという立場になるとやはり受ける精神的ダメージは違いますね。 柳沢君でさえこの調子なのだから当然というべきか、嶋君はもっと重度にメンタルをやられてしまったようで。 目の前で人が死ぬ場面を目撃するだけでもかなり衝撃的な事ではありますが、その言い訳として自分が立案したウワサを利用していた事。 嶋君の立場としてもかなり受けるダメージが大きいのは想像に難しくありません。 後日、他のイツメンに声をかけ公園に集まり嶋君を助ける流れに。 田畑君や寺尾君が優しく声をかけるも、全く反応を示さない嶋君。 ここはあの時隣にいた自分が声をかけるべきだろうと柳沢君が自分を責めないようにと諭す流れへ。 あれは事故であり、自分達にはどうしようもなかった。 カッパの幽霊の話だって、偶然あんな結果に繋がっただけで防ぎようなんてなかったはずだと。 それに対し、不安そうにそうなのかと問う嶋君。 安心させるように自分達には責任はないと言い、田畑君や寺尾君にも同調してもらう事で説得に成功したかと思いきや… 「そうだよ!俺達は悪くない!」 「うん………あの女の子が悪いんだよね」 待って、どうした嶋君? ゆっくりと顔をあげた嶋君、その目元は連日泣き続け寝不足もあったのかすっかり黒ずんでおり追い詰められた表情をしていた。 そして彼は続ける。 「こんなくだらないウワサなんかで後押しされるような奴、ウワサを聞かなくてもとっくに死んでたよね?」 実際、そこまで追い詰められている事情がある人間なら口実は何でも良かったかもしれません。 本質的には前途した柳沢君の耳をふさぐ女生徒における反論と変わりはしないのでしょう。 ただし、今回は死人が目の前で発生しているという違いはありますが。 さらに言い過ぎだと止められても嶋君の安藤さんに対する文句は止まらない。 今まで散々メンタルに負ったダメージの反動か、もう何かのせいにしないと耐えられなくなってしまったのか。 完全に目がいってしまった嶋君の肩を掴もうと手を伸ばした時、それよりも先に嶋君の肩を掴む何者かの手。 それはカッパの幽霊となったであろう安藤さんであり、彼女は嶋君の後ろにある水たまりから飛び出てきた事。 嶋君をがっちり掴み込んだ彼女は、とてつもない力でこちらの抵抗も虚しく嶋君を水たまりの中へ連れていってしまった。 だけどその水たまりは、触れてみても手首にすら届かない浅い物であり今は何の変哲もないただの水たまりである事。 でも、今目の前で起きた事は? 嶋君を助けようと手を引いたのは柳沢君だけのようでしたが、田畑君や寺尾君も一連の場面は目撃しており混乱した様子である以上夢ではない。 田畑君が大人を呼びに走って行ったようですが、果たしてそれで解決する問題なのか? その後、皮肉にもこの件がきっかけとなりカッパの幽霊の都市伝説は広まる事となった。 最初の無反応すぎるあまり「全っ然ウワサになってない!!」なんて叫んだ事が嘘であるように。 しかし、柳沢君はこんな事を望んでいた訳ではなかった。 目の前で友達を失った事。 もう、いつものメンバーで一緒に遊ばなくなった事。 失った事で知る、今までの娯楽は少なくとも4人でバカをやって笑っていた日々が幸せだったのだという事。 もういい。もう何もしないから。もう遊びたいなんて思わないから。 あれ程強く刺激を求め、都市伝説を広めるのに失敗しても成功するまで何度でもやる気だった柳沢君がこんなに切実に祈る結果となった事。 嶋君のメンタルの脆さはこの直前に作った話である『耳をふさぐ女生徒』でもわかってはいましたが、それが強い負の方向に全力で向かったらどうなるのか? それを知る結果となった事となりましたね。 個人的には、最後にくる柳沢君の切実な祈りの言葉が印象的でそれまで好奇心と行動力の塊であった彼とのギャップもありとても根深い出来事であるという描写に拍車をかけていると思いました。 しかし申し訳ないのですが、まだ2つ見ていない話があるのでもう何もしない…とはいかないのですよね。 柳沢君、ごめんやで。 ◆宮白橋のおばあさん 最後の願いも虚しく、まだエンドコンプはできていないので続行される都市伝説作り。 確実に作っていない組み合わせかつ、最後の柳沢君を選んだ際のルートを潰す為に嶋君の案と合体へ。 心霊スポットと幽霊なら王道ながら普通に良い話ができそうと期待もできます。 内容としてはやはり良い意味での王道、幽霊に話しかけられた後の対応を間違えると命の危険がある心霊スポットと面白い内容のできあがり。 嶋君の言う通り、幽霊として出てくるおばあさんが何故幽霊になりそのような行動をするのか? 想像の余地もあるので尾ひれの付きやすさとしても良い感じに思えました。 序盤は想像力というか、想像が豊か過ぎてついていけない…あなどれないな、中学男児の発想力…。 という内容を引き当てていましたが組み合わせによってはこういった内容もできる辺り、プレイヤーを飽きさせないなかなか幅広い内容を取り揃えている事に驚くばかりです。 いざウワサを広めてみると結果は成功。 肝試しに行った人が遭遇したけれど振り返らないで走って逃げたという話を聞いたとか、おばあさんの設定が追加されたりだとか。 後者に関してはやはりおばあさんの幽霊が何故そんな事をするのか?何故幽霊になったのか? その部分に各自の思いついた解釈を足せるという意味で良い方向に作用しているように見えます。 認知症の老婆を介護に疲れた家族が橋から突き落とした、確かに現代においてないとは言い切れない話ではあります。 しかし、作り話のはずなのにまだ死体が見つかってないという所までセットで組みあがっているのはもはやウワサが広まった結果ないはずの物が生えたというべきか。 さらに有名なユーチューバーがその橋で動画を撮影したという話も出ており、それが誰なのか色々名前もあがっているようです。 嶋君のラインには友人から送られてきたメッセージと動画リンクにより、これがそのユーチューバーだと教えてもらっているようすもうかがえます。 ウワサとしての出来が良かったのか、拡散力もかなり強く彼らの通う仲岸中学以外にも…それこそウワサの橋が隣にある美里川中学でも話題になっているようです。 結果として、普段は全然人の通らない橋は夜になると少し騒がしくなる心霊スポットとなり近所の人の迷惑にならないかを心配する嶋君。 嶋君も近所ではありますがウワサを立案した立場として自分は例外と言いますが、人が集まって騒ぐようになった結果近所迷惑が発生するというのは言われてみれば起こりうる問題でしょう。 地元を舞台にした都市伝説を作るという主旨のゲームだからこそありえる要素というのでしょうか。 実際に現実でも心霊スポットがご近所にある場所ではそういう悩みもあるのかもしれませんね、 そして、これは最初に見た『浦越西団地の宇宙人』を知っていると今度はお前が言うのか?というデジャブを感じる展開へ。 嶋君に何やら考えがあるらしく、おばあさんの幽霊が出現する夜中の2時に自分も現場へ行ってみようと言い出します。 自分達が作ったウワサなのだからウソに決まっているのに。 これを、宇宙人は実在する!と初手で暴走していた柳沢君が今回はおかしいと考える方なんだなぁというのも不思議な感覚ですが、正常ならばまず疑問に思うのは共通の部分でしょう。 ただ、違いがあるのなら宇宙人の時にはあまりにウワサの広まりが微妙だったから証拠を掴むとばかりに行動をした流れだった事。 それに対し、今回はウワサがあまりにも広まるので何かあるのかもしれないと確認に行く流れであろう事という部分はあるのでしょうが。 結果として嶋君は柳沢君により現場へ行くのはやめる展開へ。 その後も『宮白橋のおばあさん』はもうすっかり、地元の都市伝説として定着をしたようでどこにでもいる男子中学生が創作して発信したとは思えない程の成果を出す事に。 …ここで終われば、ただの成功談で終われたというべきなのでしょうか。 最近疲れやすくなった柳沢君が母親の声で目覚め、リビングでご飯を食べる場面へ。 父親の見たい番組にチャンネルを合わせるもまだ時間が早かったようでニュース番組が流れており、そこには良く知った地名が…。 「本日未明、○○県浦越市の宮白川から、白骨遺体が見つかりました」 それを見ていた家族の反応からもそれはあの橋の下に流れている川で間違いはなく。 夕食が終わり部屋に戻ったところで寺尾君からニュースは見たのかと確認の電話が入りました。 どうやら先に田畑君と嶋君にも連絡をしたらしく、嶋君は『今から橋に行こう』と提案をしてきたようです。 柳沢君以外の全員は上手く親から外出の許可を取ったらしく、今から橋の隣にある美里川中まで集まる流れへ…。 その道中、今度は田畑君から電話がかかってきて何やらこちらに聞きたい事があるらしい。 「……嶋がさ、丸一日喋んなかった日あっただろ。一昨日」 それは嶋君が最近体調が悪くて…と言っていたあの日の事。 どうやら田畑君や寺尾君からは無言で机に突っ伏している嶋君へ柳沢君が一方的に話しかけているように見えていたらしく、あの時に嶋に突っかかるなと注意をされたのもそれが理由だったと判明。 でも、柳沢君は嶋君と会話をしており彼が気象病でここしばらくの天気が悪い事に影響を受けていると話を聞いたはず…。 その事を説明しても不思議がられ、その上 「嶋はそんな体質持ってないよ」 田畑君は嶋君が気象病ではない事を知っているようで、嶋君当人がそう言っていたはずなのに食い違いが起きている。 てっきり田畑君が冗談を言ってるのだと思い指摘しても、俺がウソつくのが下手なの知ってるだろ。と返されれば柳沢君の中でウソではなくなる理由も生まれてしまう。 何より、柳沢君が嶋君とこのやり取りをした時に田畑君はすぐ横にいたのだから嶋君の声が全く聞こえなかったというのも通常ならありえないでしょう。 通話が終わった後、怖くなり急いで集合場所へ向かう柳沢君。 遺体は回収されたようですが橋の入り口は立ち入り禁止になっており、それはここで何かがあったという現実を証明している。 集まったメンバーは三者三様の反応をしており、その場で柳沢君はとある考えに行きついてしまう。 もしかしたら、自分達はこの話を作らされたのではないかと。 白骨遺体があったのは事実であり、詳細は不明でもこの橋の下にその状態になるまで遺体が放置をされていたのは確定。 だから誰かに見つけて欲しいという願いが届いた結果、彼らはこの都市伝説を作り拡散される事でようやく遺体は発見されたのだと。 この説を聞いた寺尾君は漫画みたいだなんて言いながらも顔を青くして声を震わせ。 田畑君はやはり現実主義な分、偶然だと済ませて帰ろうと促す流れに。 先に帰ろうとする二人を追いかけるよう、未だに橋を眺めている嶋君にも帰ろうと一声かけてから立ち去る柳沢君。 さすがに偶然だとしてもこんな事があっては不気味すぎる以上、もうこの一件を忘れる事に決めたようです。 …しかし、先に立ち去った三人には聞こえていなかったのでしょう。 「ナ  ゼ わカッ た」 何者かに憑かれた様子の嶋君が呟く声は。 彼に憑いた何かの正体は誰なのか? 自分を見つけて欲しいと思った遺体の主なのか、それともこの遺体を隠し通したかった誰かなのか。 途中から嶋君の様子がおかしくなっていた点からも、すでに何かが憑いていてそれと意思疎通を取れるのは同じ立案者の立場である柳沢君だけのみだったのか? 場所の指定をしたのは柳沢君と言われていますが、立案に関わっているという点で嶋君が狙われそうなのと気が弱そうな分憑きやすいだろう事は何となく予想はできます。 体調に異変の出る前から実際橋に行こうと言い出した時点ですでに何かの干渉を受けていたと考えられますし、ニュースをみんなが知ってから現場に行こうと言い出したのも彼です。 今までの嶋君から考えるに、正直そういった物にあまり近寄りたがる性格か?と言えば疑問は残ります。 果たして柳沢君が忘れようと思っても、この後何が起きるのか?という点でやはり後味に恐怖を残す終わりですね。 ◆ガラガラ男 最後の組み合わせという事で何ができるのか予想はできないまま合体へ。 タイトルだけではどんな内容か想像はできませんでしたが、内容としては割とありえそうな都市伝説のできあがり。 田畑君も良い線をいっていると評価している辺り、それなりに期待もできると思え最後も楽しめそうですね。 寺尾君としては、見た目の設定も固めたいようですがそれはウワサが広まる際に各自の想像に任せる手もありでしょう。 そして、最後となるウワサを広めた結果。 結果としては、全身真っ黒な姿をしたガラガラ男を見たと恐怖する生徒の話から始まります。 ネットでも話題になっているらしく、何と写真まで出ているとの事。 さらには地元の都市伝説というはずだったのに他県でも目撃情報があり、色違いや性別違いといった亜種の存在もいるようです。 …冷静に考えると、ご当地ガラガラ男って何だろう? そういえば、田畑君視点で話が進行するのも珍しい気はしますね。 寺尾君→柳沢君→嶋君→柳沢君→柳沢君→田畑君とここまで基本は柳沢君の視点で読み進めたのだなと振り返って気づきました。 立案者でもありつつ、他のメンバーと比べたら現実的な考え方をする彼らしい視点というのでしょうか。 何故ウワサが広まったのにオファーが来ないのか叫ぶ寺尾君に、あれは著作権のないウワサとして広めた以上もしそんな話があっても自分達に話はこないと冷静に返します。 確かに人々のウワサから出来上がる都市伝説に著作権はないような物ですからね。 (今回は、明確に裏で仕組んだ創作者がいるとしても) 当初の予定通り、周囲はウワサのおかげで賑やかになったし学校生活だって楽しいものへと変化をした。 だから田畑君としてはこれ以上何も起きる事はないと諭しますが寺尾君は納得していない様子。 仮に、今から商標登録というか自分が作ったのだと言っても信じられるかはわかりませんし創作と判明すればウワサを拡散する人々もしらけてしまうでしょう。 だからいくら広まったとしてもあくまで当初の目的以上の物はないのですが…。 田畑君としては、寺尾君の暴走に対し多少の責任を感じているようでどうしたものかと思っているようです。 他のメンバーはといえば、柳沢君は当初の目的が達成された事で楽し気にしておりこれがあるべき喜び方なんだろうと思えます。 嶋君はウソを広めたという事に多少の罪悪感はあるようですが、大事に至るようなことも起きてないので現状あまり気にしていないとの事。 田畑君自身はこの2人の中間くらいの感覚であり、同時に2人の感覚が普通なんだと当事者ながら客観的に判断しています。 寺尾君のテンションがおかしいのは、自作のウワサが広まった事が嬉しいとしてもどこかズレているのはわかります。 日常へスパイスとしてウワサを広めるのでなく、自身の創作物を世に広めて人々からの反響を欲しがっている。 ここが同じウワサの広まりを望む傾向がある人にしても柳沢君と寺尾君にある違いなのだと思います。 そして、授業中も他の生徒を通して手紙を回してもらい田畑君へガラガラ男のキャラデザ絵を見せようとする寺尾君。 ウワサができて、いざ明日から広めるぞとなった際にも見た目のデザインを固めたいという事は言ってましたが…。 責任の一端を感じる田畑君としては、頭が痛い事でしょうね。 どうやらガラガラ男のウワサは周囲ではそれとなく話題にのぼる程度であるのに反して、ネットではいくつものスレッドができる程のウワサになっていると寺尾君が語ります。 以前も小説化にゲーム化の話がそろそろ出てもいいと語っていた寺尾君としては、このままいけば本当にメディア化を狙えるかもとさらに騒いでいるようですが…頭の良い田畑君ならば、気付くのは時間の問題だったのでしょうね。 最近、授業が終わるとすぐに教室を飛び出し次の授業に遅刻するまで帰ってこなくなってしまった寺尾君。 放課後もすぐに家に帰ってしまい、他の3人と遊ぶ頻度も減っているようです。 その理由を聞いても何故か気まずそうに答えを濁してしまうので真相は不明のまま。 嶋君はそれに対し、彼女ができたのかなと思ったようですが柳沢君が凄い勢いでそれはないと全力で否定をします。 田畑君は柳沢君の意見には半分同意のようです。 寺尾君に彼女ができないという意味ではなく、もっと他の心当たりがあるという意味の方で…という事のようですが。 ここの言い回しというか、結論を置いた後に根拠を述べるせいで「田畑お前もか!?あ。いや、違うのか…」となる感覚がとても彼らしさがあって好きです。 次の授業への遅刻を覚悟し、休み時間終了直前の廊下を歩きながら寺尾君を探す田畑君。 この際に、初めての遅刻という表現を使っている点も普段の彼がどんな人物なのかがわかるポイントだなぁと思えて好きです。 どうやら無事、こちらに背を向けている寺尾君を見つけたようですが何故か廊下に1人で突っ立っている様子。 何をしてるのか確認する為、背後からゆっくりと近づき彼がスマホを操作しているところまでを把握。 やはり彼女とのやり取り?にしては映し出されている画面がおかしいようで、背中に触れるまであと一歩まで迫っても気づかれる様子はない。 そこまで集中して何を行っているのか?その、何が行われているかを把握したところでようやく声をかけます。 真後ろからの声にスマホを落とし、すぐさま拾い上げポケットへしまう寺尾君。 彼がやっていたのは色んな掲示板にガラガラ男のニセ目撃情報を貼り付けるという行為でした。 見たから誤魔化さなくてもいいと前置きをした上で問い詰めていく田畑君。 寺尾君としては、自分が創作者と名乗るつもりはないけれどウワサが広まる事が嬉しいと語っており最近裏でしてきた行動もその為に時間をかけていたというのが真相でしょう。 それに呆れる田畑君と、そんな彼に向って寺尾君が言った発言がこの話が田畑君視点で語られなければならない重要な点だったのでしょうね。 「な、何でもできて……自慢できることがたくさんある克明にはわからないんだよ!」 この言葉の意味を文字通り、田畑君は理解できないまま寺尾君を教室まで引っ張っていく事に。 後の流れを見るに、この時のやり取りは柳沢君と嶋君に話していないようでこの日から寺尾君は学校にこなくなってしまったようです。 まだ学校に来なくなってから日が浅いという事で何も知らない2人はただの体調不良だろうと思っているようで、裏で田畑君は2人に内緒で寺尾君を捜しに行っていたようです。 放課後も、休みの日も。もう一度、見つけないといけないような気がして。 夕陽が照って、足元に真っ黒な影が伸びる時間。 田畑君は一体何が寺尾君をここまで突き動かしていたのかを考えるもわからないようです。 それはシンプルな承認欲求か? そんな風に考えて生きたことがない自分にはわからない。 寺尾君の気持ちを考えようとしても、それでも何一つ掴めるものはなかった。 だからこそ、これは田畑君が語り手であり体験しなければならない物語である。 誰かの語る登場人物、第三者でない、田畑君自身のモノローグが対比として必要なのだから。 当たり前に持っている者と、自分は望めど持っていないと思っている者。 この両者が、同じ視点を共有ができないというのが一番美しい致命傷である以上。 足元の黒い影に、もう一つの影が重なったと同時に田畑の名前を呼ぶ背後からの声。 田畑君の友人で「克明」と名前で呼ぶのは1人しかいない。 ようやく寺尾君を見つける事ができたと思いずっとどこに行ってたかを問おうとすれば、彼はまたガラガラ男の話題を出そうとしている様子。 それに呆れつつも、みんなが心配している等と言い説得しようとした時。 アイツをホンモノにしないと その言葉を認識するや、首筋に冷たく平たい物が当たる感触。 それは、刃物は、寺尾君の手に合わせガタガタと震えているようで…。 刃物を握る手が、真っ黒な手袋に包まれている事を認識し。 緊張で固まってしまった体を無理やり動かし、真後ろに立つ寺尾君を見ようと首をひねる田畑君。 いくら相手がさすがに人に刃物を向けるという行為が初だろうから動揺しているとしても、首筋に刃が当たっているのによくできるな!? と、思わず田畑君のメンタルの強さというべきか冷静さに感心をしつつ与えられた視覚情報を共有してもらえば…。 そこには全身を黒い服で包み、わずかな隙間から目元だけを出している寺尾君の姿が。 それはきっと、彼がデザインをしていたガラガラ男の姿を再現した物なのでしょう。 今から自分はホンモノのガラガラ男になるという旨の発言をどもりながら発する寺尾君を、思いっきり突き飛ばす田畑君。 お前メンタルお化けというか、実は修羅場慣れしてない?という疑惑も改めて読み返すと感じてしまいますが…それは一旦置いておきましょう。 逆に倒れた寺尾君は起き上がってくることもなく、じっとこちらを見て肩を震わせている。 さすがにこのままでは危険と判断し、ここは逃げる判断をした田畑君。 いくら相手が友達であれ、刃物を持っていて精神的に不安定である事を考えればこれは仕方ないでしょう。 むしろ、自分の命を優先するのが当然と言える状況です。 走りながら、以前自分は寺尾君に『何でもできる』と言っていたけど今ここで自分にできる事はないと思う田畑君。 必死に逃げ切り、生還を果たすもそれから一週間が経過した結果…。 知らない誰かが死んだという悲しいニュースとテロップ。 人数だって1人や2人じゃない、その上で犯人はまだ捕まっていない。 寺尾君は本当に、ガラガラ男をホンモノにしてしまい浦越市には、俺達の住む町にはまさしく人間の怖い話が生まれてしまった。 俺達の知っているアイツはもう、どこにもいない。 この町にいるのは、全身真っ黒で、人の喉を切り裂いて歩くガラガラ男だ。 実は柳沢君が宇宙人だったという人外オチはすでにありましたが、これは普通の人間が都市伝説に成っていく過程を描いた、加害者になってしまったという方向性でも秀逸な話だと思います。 田畑君と寺尾君が友達でありながら対比になる構図なのも合わせて。 @ネタバレ終了 長くなったのでここで分割します。
  • アリシアちゃんと〇〇〇〇しないと出られない部屋!
    アリシアちゃんと〇〇〇〇しないと出られない部屋!
    やりこみ要素的なものがたくさんあって全エンド回収後も楽しむことができました! 素晴らしいゲームでした!
  • 「駄目人間。2―落選編―」
    「駄目人間。2―落選編―」
    前作より大幅パワーアップしてました!!! @ネタバレ開始 重たい雰囲気だった前作に比べ、全体的にコミカルになっており、楽しくプレイできました。導入部のド直球ツンデレに持っていかれました 一瞬だけ出てくるジャンクフードの山……うっ頭が(我が身を振り返りながら) 光とともに創作神が降臨する(?)シーンでは、非常にカタルシスを得られました。 自分の作りたいものを!!!!作るぞ!!!!!! @ネタバレ終了 とても楽しくプレイしました。ありがとうございました!!
  • 駄目人間。
    駄目人間。
    最初、「これは延々とYESかはいで答える的なやつで @ネタバレ開始 もう、鬱エンド一択なのかしら」……と思っていたものの、ハッピーエンドがあって、安心しました。 私の中に「正直、創作者の闇オーラ的なものを出すのは恥ずかしい」という気持ちがどこかにあって、そういった思いとどう付き合っていくべきか?と考えることもあったのですが (※あくまで私自身のスタンスの話で、他の創作者さんについて言ってるわけではないです) 「やっぱり私自身が自分のゲームの一番のファンなので、これからも楽しくゲームを作ろう!」と思いました( *´艸`) @ネタバレ終了
  • 人生、お返しします。
    人生、お返しします。
    ドッペルゲンガーを探しに行く話だと思いきや…? @ネタバレ開始 まさか自分がドッペルゲンガー側だったとは! 成り代われるはずの力で、昏睡状態の間の橋渡しをしてあげる優しさに心を打たれました。 TRUEはもちろんEND3もいい終わり方ですね! @ネタバレ終了 心温まる作品をありがとうございました!
  • キミのニセモノに恋をする
    キミのニセモノに恋をする
    ゲームを遊んでいてこんなに感動したのは初めてでした! これからも素晴らしいゲームを作り続けられるように応援します! 素晴らしいゲームをありがとうございました!
  • はじめての!デスゲーム・マスター
    はじめての!デスゲーム・マスター
    文章のおもしろさに素直に笑っちゃった・・・ 軽快に毒づく感じがめっちゃ好き! あと、これやったらどんな感じで怒られるんだろう・・・って気になって やっちゃダメな事ばかりついやっちゃいましたw コシュミエに気持ちわりぃなってもっと言われたかったです!
  • 真実か×××か
    真実か×××か
    ストーリーを追うごとに、理解っていきます。すごく面白かったです
  • パーフェクト・バーガー
    パーフェクト・バーガー
    デスゲマスターのゲームが面白かったので来ました。 ディストピア・バーガーSHOP運営ゲーム、とても楽しかったです。 個性豊かなお客さんとの会話や、具材説明から迸る近未来ディストピアな世界観がイイ。すべてのハンバーガーを過去にする勢いで斬新な提供をしてドン引きされるのもまた一興。 2周目以降も楽しい演出があるので、エンド回収のための周回も苦になりませんでした。 作者さんの別作品をプレイしているとニヤリとできる仕様も。あのメニューがお気に入りなのね……笑 @ネタバレ開始 バーガー作りのセンスがないのか永遠にEND2でハマった時期もありましたが、実況動画を拝見し何とかコンプできました。でも途中やけくそになって作ったデブ×10バーガーの暴力的な見た目とか面白くて、そういう試行錯誤も含めて楽しかったです。 個人的にはEND2に愛着があります。老いた主人公がお客さんたちに囲まれてるのを想像するとグッとくるよね。Ex.Endの超展開もサイコーでした。歴史的な観点から見たらEND1より凄いかもしれない。 @ネタバレ終了 ハンバーガーはすべてを解決するってホントだったんだね。楽しい時間をありがとうございました~
  • シケモク長者
    シケモク長者
    おしゃれなタイトル画面に引き寄せられプレイしました。 寒い夜に凍えてしまうのをなんとか避けようとするホームレスの主人公と、個性豊かなキャラクター達とのやりとりがとても面白かったです。数多くあるBADエンドも分岐によって少しずつEND絵が変わっていたりと細かいところまで拘られています。 ゲームの目的も分かりやすく選択肢も多過ぎないので全エンド回収までずっと楽しんでプレイできます! 素敵な作品を有難う御座いました。 @ネタバレ開始  度々登場する強盗集団の猫ちゃん達がとっても可愛いです。 加えて公務員の鹿?さんの高飛車な感じが鼻につく感じがしていいキャラクターだなと思いました。キャラデザ共にキャラクター設定もこの作品の大きな魅力だと感じると共に大好きな作風のゲームを思う存分楽しめて最高の気分です。
  • 北限のアルバ~冬の章~
    北限のアルバ~冬の章~
    透也くんのビジュアルがすごく好きで楽しみにしてた冬の章、遊ばせていただきました! 目を離したら消えてしまいそうな儚い雰囲気を持つミステリアス美少年!どんな話になるのだろうとワクワクしてました @ネタバレ開始 きょ、きょうだいだった!!!!!!!!!!!!!!!!! いや正確には前世の記憶を持つので え……前世の記憶持ち……エ!?好き過ぎる!!!!!というわけで血の繋がりはないんですけど、これは奇跡が起きたきょうだい愛のお話でもある……?? 前世の記憶を覚えてるとかきょうだいのお話が大好きだったので、すごく衝撃で。序盤の方で抱いた感想が全て吹っ飛びました(札幌大球のファンタジーみたいな食材にキャッキャしたのは覚えてます) 途中から真ちゃんの過去にフォーカスが当てられたり透也くんの意味深セリフの連続で「早く……早く楽にしてくれ……真ちゃんを助けてくれ……」の気持ちで夢中で読み進めてました。 真ちゃんが本音を言う場面も透也くんの正体が明かされるシーンも涙が止まりませんでした;; エンディングはどちらも好きです!!!! ここまででも素敵な話だけどジャンルは恋愛、でも弟の記憶持ちってどうなんだろ……?とソワソワしてたので過去形の「好きでした」で悲鳴上げてサブストーリーで情緒ないなったになりました。痛いぐらい切ないけどとっても好きです………… きょうだいとして接して欲しいし恋人としても接する話がみたいよ〜と強欲なことを考えてたのでエンディング2(?)のその後の話が期待大です! ところで弟モードの透也くんが宣言通りガラリと雰囲気が変わっていて何度見てもドキドキして慣れません!!たすけ……なくていいです!ありがとうございました! @ネタバレ終了 とっても素敵な作品をありがとうございました!
  • はじめての!デスゲーム・マスター
    はじめての!デスゲーム・マスター
    明解かつ勢いのあるタイトルに惹かれてプレイ。とりあえず興味の赴くままにプレイしていたらEND3に到達しました。 ネタバレのない範囲で言うと、立ち絵とか背景がとにかく動きまくって画面を見ているだけで楽しかったです。 あらすじに書かれている通り、デスゲーム部分というよりは、デスゲーム関係者(主に参加者や観覧者)とのかかわりがメインなのかなあ。まだ一周目ですが刑罰がポイント化されていたりとディストピアっぽい世界観で大変気になります~ @ネタバレ開始 押すなと言われるほど押したくなりますよね。ということでボタン全部押しました。総回数169回。特に甚大な被害を起こす例のボタンは、怒られても懲りずに押し続けました。マスさんがしっかり突っ込んでくれるのが楽しくて……そうです、私がサイコパスです。 でも幽霊の彼の願いを叶える良心はあるんです。ほんとです。 どのボタンもそれぞれキッチリ演出が用意されているから、ポチポチするだけで楽しかったです。私にとってはデスゲーム部分がメインだったかもしれない。主にいたずらエンジョイ的に。 画面上を移動する謎スライムとか、おみくじとか楽しかったです。 おみくじは何種類あるんだろう? ラッキードッグとかほのぼの要素が用意されているのも笑ってしまいました。あれマスさんが考えてるんでしょうか笑 てっきりさすがのマスさんにも愛想をつかされてクビになるかと思いきや、さすが公務員? 問題児として警戒されつつも勤続できているようでビックリでした。 最初に出会ったエンディングとして愛でようと思います。 それはそれとして、もっとこの世界について知りたいので他エンディングも見てみようと思います。真面目な話をすると、最初コシュミエさんからデスゲーム参加者たちのことを聞いたとき、悪人なら気兼ねなくゲームを楽しめるなと安心してしまった節もあり…… ゲームを進めていくうちに、参加者たちにもそれぞれ犯罪を犯した理由があって、まだ深く知ることはできていませんが、果たしてデスゲーム参加者になるのが妥当なほどの悪人だったのか? という疑問が頭をもたげます。結局、手紙も見るだけ見て1回も渡せてないので、またじっくり周回をしてみたいなと思います。 あと、コシュミエさんが気になるので特殊エンディングも見れたら見たいところ。他の作品との繋がりもあるとのことなので、そちらもチェックしてみたいです。 @ネタバレ終了
  • ヤンデレ好きが推しに執着される、悪役令嬢に転生できたのに、プログラムに勝てません!!
    ヤンデレ好きが推しに執着される、悪役令嬢に転生できたのに、プログラムに勝てません!!
    社畜OLさん「こんな会社事故物件になってしまえば良いのですわ~、ペンペンおハーブも生えませんコトよ~!(そこまで言ってません)」 との捨て台詞を残して見事、推しの住まうゲームの悪役令嬢として異世界転生を果たします。 しかも推しは悪役令嬢にご執心なイケメン、アルベール様!勝ったな、ガハハ!お花摘んでくる! ……ところでプログラムに勝てないってどういう事? という導入(曲解)から始まる本編、ふぇぇ~私どうなっちゃうのぉぉぉ~(主人公はこんなに情緒不安定じゃありません) @ネタバレ開始 開始直後のブラックな会社シーンとか自室シーンは大分クるものがありますが、主人公の恨み節がキレッキレでかなり好きでした! 悪徳令嬢さんの意識(プログラム)が強すぎて、アルベール様に関する事は基本的に主人公に介入の余地は無いのですが、 謎ミニゲーム(主人公も?ってなってた)の結果で心が動いていくのも良いですね。 成功時も失敗時もアルベール様の反応が二度美味しいです…! ハッピーでもバッドEDでもムービーが用意されているのですが、特にバッドはこの転生の仕組みが理解できる内容で、 一見の価値ありですよ! いや、アルベール様かなりイイ男です! これだけメイリーナさんに罵倒されてもめげずに匿い続ける(もとい監禁し続ける)なんて… メイリーナさんの髪色の薔薇を胸に付けてるのとかベネですね。 しかもこのイケメン、ヤンデレなのに凄い自制出来るタイプなんですよ、、、 好きな人の嫌がる事はしない姿勢、凄く大事なんですよね… 外堀はとっくに埋まってるかもですけど、、、 で、実はアルベール様が好きだったのはメイリーナさんでは無く、いつも画面の向こうに居たキミ(主人公) だったという落ちですが、アルベール様は失敗する度に何度もロードを繰り返していたご様子。 いや、この演出すごく良かったです。繰り返している様子が分かるバッドのendムービーは1週目から飛ばせますが、、、 ……ないで…とばさ…ないで… ところでハッピーで晴れて主導権を勝ち取った主人公ですが、メイリーナさんはどうなったのでしょうね?(ニッコリ 最後に、乙女ゲのヒロインとメイン攻略対象って普通に考えたらヤベー奴らだよな…っていうのが作者様との共通認識 っぽくて笑いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品、ありがとうございました!
  • 怪異判定アドベンチャー「奇天烈相談ダイヤル」
    怪異判定アドベンチャー「奇天烈相談ダイヤル」
    ゲーム実況させていただきました。 怪異の話を聞き続けることでじわじわと恐怖に浸食されつつ、 相談を解決するという爽快感がクセになる、 不思議な中毒性を持ったゲームだなと思いました。 うまく裁けない相談もかなりあって悔しかったですが、 とても楽しませていただきました。 もう少し腕を磨いて、オーモリさんに認めてもらいたいと思います! 素敵なゲームをありがとうございました!
  • タイトル無し
    タイトル無し
    真っ黒な画面のインパクトに惹かれてプレイしました!! 途中まで「……ん?何コレ?」と思っていたのが、まさか最後で「ああ……そういうこと……」と思わさせられました。 @ネタバレ開始 最後の、一気にすべてが削除されていくシーンで、明確に「主人公は死んだ」とは明言されていないものの、全てを察させられる感じ……いろいろと考えさせられました。 もし死後の世界がこんな感じだったら、絶対死にたくないです。 自らを殺す人は、こんな5億年ボタンよりもタチの悪い世界に行きたいんじゃないから。 幸せになれなくてもいい、その代わりに不幸に苛まれなくてよい世界に行きたいから。 (ちなみに私は、死後の世界というものは、姿どころか意識を持つこともない世界だと思っています。幸はないが不幸もないという世界です。幸せな人は絶対行きたくないでしょうが、不幸に曝されすぎた人間は行きたくなってしまうのでしょう。) ………以上、私の謎の駄文でした。それでは。 @ネタバレ終了
  • 死に戻り階段
    死に戻り階段
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 その階段を一段下りれば死人ですら生き返るという死に戻り階段。 タグにもありますが、ホラーやオカルト要素が強めな世にも奇妙な物語という印象が強い噂話ですね。 そして、その真相は一体何なのか? @ネタバレ開始 あなたの地元に有名な心霊スポットはあるだろうか、という文言から始まり主人公の地元に存在する神社…天妙神宮についての紹介へ。 神社に到達するまでは600を超える階段を上る必要があるという、思わず階段の数で有名な金毘羅さんでも大体どれ位だっけ?と思うそれは人を遠ざけるのも無理はないだろうという立地。 (金毘羅さんは奥社に行かないなら785段で済むらしいので、そう変わらないとしたらかなりのハードモードでしょう) それだけでなく、昔から語り継がれている噂として山の麓から天妙神宮へと続く階段は通称「死に戻り階段」と呼ばれている事。 その階段を一段下りればたちまち一年若返り、死人ですら若返る。 この情報だけでも不思議な場所という印象はありますが、夜になると悪魔が下りてきて悪い子を見つけて食べてしまうという大人が子供に言い聞かせるような話もあるようで。 さすがに悪魔云々は作り話としても、若返り効果のある階段という点は興味深い話です。 しかし、主人公も小学生の時に試してみたけれど何も起きず。 その段数から運動部がトレーニングに利用しているようですがやはり何も起きていない。 様々な人が噂を確かめようとしては失敗に終わったようで、若者の間ではあくまで雰囲気を楽しめる肝試しの場所程度の認識になっているようです。 そして、どうしてそんな噂ができたのか… 「一緒に階段を下りた相手と恋が結ばれる」という今までの要素と何も関係がない新しい噂までできている始末。 その効果があるかどうかはさておき、主人公も今年の肝試しは女の子からのお誘いを受けているようで楽しみにしているようですね。 だけどそんな時に限ってというのか、肝試しを運営するオカ研の人員が足りずに手伝って欲しいと頼まれてしまう事に。 ここで断ると本編にいけないでしょうが、まぁエンドは全部回収予定なので初手は断りましょう。 と、選択をしたら…いきなりゲームの種類が変わった!? この萌えっ子ちゃんなきゅ美って誰!? 恐らく肝試しがきっかけでその時の女の子と結婚し娘ができたのでしょうか。 新しい噂が本当になってしまった…とぽかーんとしていればまた場面は変わりニュースが。 「時任グループの社長、時任定雄さんが行方をくらませてから今日で一週間が経過しました」 何やら事件は起きているようですが、主人公の平穏な日常に関わりはなく。 娘とお風呂に入る流れでエンドを回収。 という事で先程の分岐へ戻り。 手伝いを引き受ければ驚かし役を引き受けたのは主人公だけのようであり、主人公を誘ってくれた女の子は別の人に声をかけたようでした。 問題は、その人物がこちらに手伝いをして欲しいと頼み込んできた帯山田であり…3年生特権として参加者側を楽しむ為だったであろう事が判明。 どうみても女の子とイチャイチャする気だろう帯山田を置いて帰宅する流れへ。 すると、いかにもホラーなBGMと共に登場する当初主人公と肝試しに参加する予定だったきゅみ子ちゃんが登場。 母親の名前からとって娘はきゅ美になったのか…なるほど……なるほど? DNAの法則をガン無視してそうだなぁとか色々思う事はありましたが、まぁ結果的にこれは断って正解だったなと今度こそ帰宅。 翌日、驚かし場所は自分で探すという事で現地に向かうもやはり体力的にここまで来るのは大変だったようで。 600段以上を上るとなると、これは肝試しに参加する方も運営として驚かす方も先に体力がなくなりそうだなぁ…とぼんやり心配になりました。 資料によると、毎年賽銭箱が驚かし場所として使われているらしい。 人が隠れるのに向いている位のサイズらしく、毎年使われているという点で新鮮味には欠けるも候補として加える事に。 山門へ戻り、順路として肝試しの際には全員がここを通るので開始早々驚かすには結構良いかもしれないと考えていると誰かの話し声が。 三人分の声が聞こえ、内一人はこの神社の神主でありどうやら案内をしている様子? それ以外の二人は男女が一名ずつで何と芸能人のようでした。 『白い肌は白い化粧品から』 という彼女が出ているだろうCMのキャッチコピーと共に紹介される女優、千堂かなこ。 見た目なかなり若々しいですが、今年で44歳というどうみてもありえない年齢に驚くしかなく。 男性の方は現在放送されているライダーシリーズの最新作に出ている俳優であり、彼がペットボトルの水を飲むとまたもや宣伝のようなカットインが! 色気がすごすぎて子供に悪影響を与えると苦情が殺到したミネラルウォーターのCMが目の前で再現されているという、これまた凄い物を目撃してしまったようで。 こそこそと彼らの様子を見ていれば、参拝を済ませた3人は会話をした後にかなこさんが何かを神主に手渡し2人はもう帰っていくようでした。 ここで、神主と芸能人2人のどちらを追いかけるか?という選択肢になりますが…。 普通なら野次馬根性として芸能人一択と思われるのに、神主を追いかける事に何か意味があるのか? 結果として、神主を選ぶと彼が何かを食べているのを目撃する事に。 先程手渡されたのが食べ物だったのか? それにしてもこんなにすぐに食べるのもおかしな話だと、少しからかうつもりで声をかけてみれば当然エンド回収へ。 エンド名が「見てはいけないもの」という事から何を食べていたのか不明ですが、明らかにホラー的な意味で何かがあるのは違いない。 一般人らしく芸能人の方を追いかけようとすると、何と山門あたりで2人がキスをしている場面を目撃してしまい…。 これは熱愛シーンを見てしまったか?と思いきや、直後にかなこさんが階段を一段下り…一緒にいたはずの彼は消えてしまった。 その場に残るのは彼がいたという証拠の衣類や時計のみ。 それを拾い集めたかなこさんは神主のいる本殿へと引き返していく…。 一体何が起きた…? 怖くなり階段を一気に駆け下りていく主人公。 その途中で思い出したのは、死に戻り階段に関するまだ語られていなかった方の噂。 しかし、1年若返るごとに自分に近しい人物が1人失われる。 だけど、ただ下りるだけじゃ何も起こらない。 若返るには、悪魔の協力がいる。 つまり、この階段を試した人達はこの条件を満たしていないから何もなかっただけにすぎなかった。 何故子供への脅しにしても神社へ続く階段に悪魔の噂がくっつくのか? それが宗教的にも噛み合わないだろうと疑問でしたが、元々あった噂の全文を知ればその意味はしっかり理解ができました。 神主を追いかけた場合、彼がかなこさんから受け取った何かを食べていた事。 連れが消えてから、まるで証拠隠滅のようにその場に散らばった衣類を集めた彼女が再び本殿へ引き返していった事。 そして、何故44歳の彼女があんなに若々しいのか…。 噂に出てくる悪魔は神主であり、その悪魔の協力があってこそかなこさんの若さは保たれていた…? ここで主人公から物語はかなこさんの視点へと変わり、何があったのかが明かされていく。 生き物なら逃れない定めというべきか、かつて世のすべての男性を虜にしていたかなこさんも加齢には勝てなかった。 沢山の男性に囲まれていた日々もいつしか過去の話となり、かつて自分のいた位置には若い子が抜擢されるように。 SNSに流れるコメントも、すでにかなこさんは過去の人だというような内容が流れており彼女を苛立たせていく。 私だってあの頃のように若ければ かなこさんは30手前という年齢から訪れる現実を受け入れられなかったのでしょう。 確かに若いというのはそれだけで財産ではありますが、年齢を重ねても活躍されたりその年齢だからこその美しさを出せる女優さんというのは存在すると思います。 そう考えると、彼女にとって一番の武器が若さだったのではないか?とは思いますが…それはそれで受け入れがたい問題かもしれません。 そして心がすさんでいったある日、とある心霊番組…というよりは川口浩探検隊を連想させるような番組? によって若返ると噂の階段についての存在を知る事に。 普段ならただの噂でありくだらない番組と流してしまうような事でも、本当に若返りの効果があるならと番組で紹介された現場へタクシーで向かうかなこさん。 道中、栄光の日々が忘れられずそれが失われていく絶望やその結果として「若返り」に執着する事に思いを馳せる場面があり。 栄光というのはそれが強い刺激であればある程脳を麻痺させる麻薬のような効果を与えてしまう以上、忘れられずに執着するのもまた人間の性というべきなのでしょうか。 5年前に稼いだお金を様々な美容品や温泉などといった若返りに効果があるとされる物に費やしてきたけれど、一時的な効果はあっても維持をするには大量のお金が必要になってしまう現実。 よく名前を聞く美容手術等、そういった美容関連の物だって定期的に摂取しなければいけない以上お金で買える若さの延命はそれだけ莫大な対価がかかるのが前提でしょう。 だから結局はどこかでみんな気持ちに折り合いをつけて受け入れるしかない、もしくは少しでも遅らせるような比較的継続できる習慣や品を取り入れる事で抗うしかない。 女性として、彼女の気持ちはわからないでもないですがこれは一度強い刺激に脳を焼かれた故…とすればこの後の流れも含め当然の結末だったのだろうと思います。 あの600を超える階段を上るも0時過ぎという事もあって入口である山門は閉じており、どうしたものかと思えば中から出てくる神主。 何故かかなこさんがくる事を知っていたような口ぶりであり、彼女が人違いではないかと疑問を口にすれば…目の前の神主の姿は悪魔に豹変していた。 それを見て、思わずうっとり魅せられたと表現した時点でかなこさんは完全にこうなる運命というのか引き寄せられてしまったのでしょう。 人間の作る若返りに効果のある商品ではあくまで一時的な効果しか得られない。 けれど、目の前にいる悪魔の力を借りれるならばそれは間違いなく可能であるという確信。 契約の証として、自身の血を与える事で若返りの権利を得たかなこさん。 しかし、その為には自分に近しい人間を1歳につき1人犠牲にしなければならない。 階段の下で待たせていたタクシーでそのまま実家へ向かい、翌日に家族旅行と称して両親を生贄にしたかなこさん。 2歳の若返りによって最近の悩みであった肌のトラブルがなくなりハリも戻っている事を確認する。 ここで、両親が服だけを残して消えてしまったという事実でなく即座に自分の顔に触れ効果を試しているという時点で行動が起こせる時点でそうであったとしても、もう人としての心は残ってないのだなとわかる場面ですね。 そうして、5年前の美しさを取り戻す為に残り3人を捧げたかなこさんは年に一人を捧げる事で若さを維持し続ける事に…。 そこから20年が経過し、再び周囲にもてはやされるようになったかなこさん。 かつて自分の代わりかつての代表作でヒロインを演じた若い子だって、20年が過ぎれば時の流れに従い40歳位にはなっているのでしょう。 もう私より見た目のひどいおばさん、と言うかなこさんの心境は完全に若さを維持する事に執着した何かであり。 そんな中、かつて交際をしていた時任さんともう一度交際を開始する事に。 かなこさんは若さを維持していても周囲の人間は当然ながら年齢を重ねる以上、彼は50歳間近というかなこさんが本来の年齢相応であればそこまで見た目や年齢差もないだろう方でした。 いつしか、彼がかなこさんにとって一番近しい人物となっており年に一度の生贄を捧げる時期が近づいてきてしまう。 時任さんは若さやルックルといった魅力がある訳でないけれど、何故か惹かれてしまう対象であった事。 もし、自分が若さを維持できれなければ彼は別の女性に乗り換えてしまうのではないか? だけど、生贄の条件である近しい人を捧げるという事は彼を失う事を意味している。 これまでならば、若返りの為なら誰だって生贄にしてきたのに初めて生じた迷い。 歳を取りたくない。しかし、時任さんを失う事だって嫌。 けど、自分が結婚を迫っても暗い顔で断る彼を繋ぎとめるには若さが必要なのではないか。 判断を迫れる場面となり、彼を生贄にするかどうか選択肢として選べるようで…。 ここが、もう手遅れながら人間として最後の…本当に最後の一線を守れる場所だと「生贄にしない」事を選べば。 それにも関わらず彼に別れを告げてから3日後に、何故かニュースとして彼が亡くなった事が報道され…。 かなこさんと交際していた事から彼女は警察から話を聞かれる事になり、周囲にも何故か彼女と付き合った相手はみんな死んでしまうという噂で盛り上がる始末。 結果、彼女は若さこそあっても誰も寄り付かないままここから本来の年齢へと近づいていく事になるのだろうという終わりへ…。 時任さんに関するニュースは最速で回収できるエンドでも見かけましたが、こういう繋がりを持っていたのだなというのが驚きでした。 では、結局亡くなってしまうのなら生贄にしても結果は変わらないのではないか? …強いて言えば、死体は残らないので失踪という形になるのでしょうが。 その答えを知る意味でも今度は「生贄にする」という選択の方へ。 かなこさんとしては、彼を生贄として自分の中に取り込んでしまえば自分の中で生き続ける事になるという結論に至ったようです。 そして、彼の体液を手に入れたから翌日に処刑台への道とも言える階段を上る事に。 山門には毎年の事だからか、待ち受けている神主こと悪魔の姿が。 かなこさんから体液の入った瓶を受け取ると、悪魔はこんなものを持ってくるとは珍しいと笑いだし。 「よほど彼のことが好きなんですねぇ。でもそんな彼ですらあなたの執着にはかなわかなったようだ」 ここは人間の行動を観察する悪魔としてはまさに面白い部分でしょうね。 そして、そんな悪魔の笑い声が今日に限りひどく耳障りに感じたかなこさんは悪魔をせかし、悪魔が瓶を丸のみにしたのを確認するとすぐに時任さんの手をとって階段を一段下りてしまった。 隣に散らばる彼の衣服。 頬を涙が濡らし、やはり彼を失いたくなかったという気持ちは本物だったのだと感じながらもいつものように衣服を回収しようとそちらへ視線を向ける。 すると、衣服に隠れて白い封筒が落ちているようで…彼の持ち物だったのでしょうが何が入っているのか? それに手を伸ばそうとした瞬間、かなこさんはバランスを崩して階段を転げ落ちてしまう事に。 毎年この階段へ向かう時にはいつもスニーカーを履いていたのに、何故か今回ヒールを履いていた事に気づかなかった事。 そのせいで簡単にバランスを崩してしまった事。 さらに、階段を転げ落ちる中で彼女の体に起きる変化。 階段から落ちる度、下る度にどんどん体は若返っていき子供の姿へ…そして、最終的には赤ん坊の姿へまで変化してしまい。 そんな彼女を見下ろした悪魔は、赤ん坊となった彼女を食べてしまうという結末へ。 悪い事はできない、人の命を奪い続けてきたのだから奪った人数を考えればむしろ食べられるだけで済んだのはまだ軽い方ではないか?までありますね。 (その後がどうなるかはわかりませんが) 彼女が最期に目にしたのは、悪魔に踏みつけられ汚れてしまったあの封筒。 これが何だったのかは次の視点、時任さんで語れる事に。 21歳の若さで企業をしてから28年間、忙しい日々を送るも日本を代表するような大企業まで会社を大きくする事に成功した時任さん。 海外進出も視野にいれ、さらなる躍進を…と思っていた矢先に発覚してしまう自分の病。 ステージ4まで進行した癌、他の臓器にも転移しており余命は長くとも3ヶ月という絶望的な状況。 初期ならばまだどうにかできたかもしれませんが、末期の癌となるとさすがに生存は絶望的でしょう。 投薬を行うも、それに伴う副作用に苦しむ日々。 余命とされた3ヶ月後はアメリカの大手メーカーと交渉をする日であり、会社が海外進出をする上で重要な日と言えるでしょう。 だから自分以外に任せる事はできないと、何とかならないかと情報収集をし病気を治せないかを考えるもそこにあるのは気休め程度の文章に重い現実だけ。 なので、通常ならおとぎ話で済ませてしまうような事にも縋りたかったのでしょう。 不老不死・蘇生・タイムスリップ・若返り、どれも非現実的でありながら病気が治らずとも命さえ延命できる方法があればと検索を開始する時任さん。 そこから得られる情報は怪しげで詐欺のような物ばかりでしたが、その中の1つに目を奪われる事に。 それは、かなこさんも見たあの番組についての画像投稿であり取り上げている人も明らかに馬鹿にしたネタの扱いでしかなく。 けれど彼もまた、B級にも満たないテレビ番組だという事を頭では理解しつつも病院を抜け出して現場へ向かう事に。 もはやあの脅威の段数の階段を上るのも苦しい体でこそあれど、真相を確かめるには実際にこの先へ行くしかないとふもとまで到着したところでかけられる声。 振り向くとそこには、あの悪魔である神主が立っており彼がくるのをわかっていたかのような態度でした。 悪魔が契約についての条件を説明し、それに対しどういう意味だと返そうとするも激しく咳込み吐血をしてしまう時任さん。 「これが答えだ、俺には時間がない」 そして、先程の吐血で付着した血を差し出し契約は完了。 ここでわかる新事実として、どうやら悪魔と契約をしても寿命そのものは延ばせないらしいです。 時任さんの寿命まで残る時間は2ヶ月と17日。 寿命は49年と5ヶ月と16日8時間14分。 悪魔の行う若返りとは、他人の命の蝋燭から蝋を奪い取りつぎ足すという事。 しかし、最大値を延ばす事はできないのであくまで寿命の範囲内で若返りをするというのができるのみである事。 だから彼は、どれだけ若返り病に気を付けていても決まった寿命からは逃れる事はできない。 死因が現状なら病による物ではあれど、もし結果を変えようと病にかからなかったとしても別の死因になるにすぎないというだけ。 そして、自身が悪魔と契約をしてしまったという事実を認識した瞬間光を失い。 再び気づいた時には、階段に散らばる26名分の作業服と両親にプレゼントしたおそろいのコートがそこにあった。 次からは階段を上れるだけの体力は残しておいて欲しいという悪魔の発言から、恐らくそのままでは階段を下る以前に最上段までいけない彼の為に悪魔が初回サービスをしたという事でしょうか。 そこから意識を失い、目を覚ますとそこは病院ではなく自分の部屋でありいつも着慣れたスーツを着ようにも何やら違和感がある。 28年分の若返りを果たした結果、時任さんは当人でなく息子として新社長という立ち位置を演じる事になったようです。 悪魔が巧い事細工を施したのか、それに対する違和感を誰も持っていないようで成功はしたのでしょう。 部屋で一人になってから思い返す過去の記憶。 娘が生まれたらパパはすごい会社に勤めているんだと自慢したいと言っていた社員がいた事。 会社を大きくするまでの苦楽を共にしてきた社員たちの言葉。 たった一代でここまで会社を大きくした事。 そして、その過程で彼は自身が周囲にも恵まれていた事を自覚していた事。 そんな大切な存在を、自身の延命の為に生贄としてしまった事実。 それはあまりにも辛すぎる為か、心を蓋をする事で封じてしまったようであり。 犠牲にしてしまった者達の為にも、ここでこの時任グループを終わらせる訳にはいかないと前以上に仕事に没頭する時任さん。 しかし、そのまま次に迎える予定だった本来の寿命で次世代にバトンを繋がれば良かったのでしょう。 けれど彼は最初に犠牲にしてしまった物達の為にも仕方ないと言い聞かせながら、それから20年ごとに若返りを繰り返すようになってしまった。 繰り返すうちに、罪悪感も薄れ金におぼれてどんどん心がすさんでいくように。 最初は本当に会社の為だったのだとしても、2回目の若返りを選んだ時点で会社はすでに海外進出も果たして起動に乗っており後任を探すなり育成する時間もあったでしょう。 なのにそれをしなかった時点で結局は会社でなく自分の為でしかない形になってしまった。 はたして彼がもう何回目の若返りをした頃だったのでしょう。 CMに起用する芸能人を選ぶ際に、彼がかなこさんと出会ったのは。 まだ若返りに執着をしていない見た目のままの若さだったかなこさんとの触れ合いで、時任さんは幸せという物を感じるようになった。 そして、彼女のまぶしい笑顔に触れていると自分がとても醜悪なものに感じてしまいやがて距離を置くようになってしまう。 ここがかなこさん側でいう、年を重ねた結果人が離れていった時期と重なってしまったのが一番の不幸というべきなのか。 彼女に深い勘違いを与える事になったのを知らないまま、別れてしまった事が最大の分岐点だったというのが物悲しいですね。 彼女と過ごした時間を思えば、いくら仕事の奔走してもすでに若返りたいという願いは持たないようになっており。 余命が一年となるも、もうすでに自分は本当の生きる意味を見失ってした事に気づいてしまった時任さん。 そのことに気づかせてくれた彼女に最後にもう一度だけ会いたいと接触をしてみれば、彼女はあの頃と同じ姿をしていた。 そして、一度だけと思っていたはずなのに彼女と過ごす日々があまりにも魅力的だった結果再び交際を再開してしまう。 彼が結婚を承諾できなかったのは、もうすぐ自分が寿命を迎えると知っていたから。 …本当に、もはや手遅れ過ぎる展開が続いた結果の結末であってもここでもし余命の事を正直に伝えていれば彼女はまた違った選択を取れたのかもしれませんね。 やがてやってくる終わりの日。 彼女から、明日行こう誘われたデート先はあの死に戻り階段がある天妙神宮。 彼女も自分と同じく若返りの契約をしていたからこの姿を保っていたという事に気づき、次は自分を生贄にしようとしている。 果たして愛した女性からそんな提案をされたら、自分だって沢山の命を生贄に捧げた身でありながら何を思うのか? 素直に考えれば、因果応報でしょう。 他人の命を奪い続け、ありえない延命を繰り返した者が今度は奪われる側になるだけ。 その彼女と疎遠になった間に、彼女に何があったのかはわからずとも同じ穴の狢がこちらの命を狙っている事に違いはない。 もしも、彼女を恨んだら? 彼女が自分に近づいてきたのは全て生贄にする為の条件を満たす為だった。 生贄にできるのは、近しい者である以上対象とある程度仲を深めなければならない。 すでに20人単位を何度も繰り返していた時任さんにとっては、彼女も同様の悪人であり最初の出会いから全てが演技だったと思ったのでしょう。 …本当に、最初の出会いの頃はまだ本来の彼女であったと知らないまま。 そして、悪魔の言葉を思い出し復讐の方法を閃く流れに。 契約者を生贄にした場合、若返った分だけの寿命を宿している事。 つぎ足された他人の蝋は溶けだすと、元の人間の蝋燭を太くしていく事。 本来の太さよりも、継ぎ足し溶けた分だけ段々上塗りをされ…コーティングされた結果肥えていく魂。 それは悪魔にとって、とてもやみつきになる程美味であるという事。 これまでに大量の命を生贄とした彼を生贄とすれば、存在すらも消えてしまう程に若返ってしまうと思いつくや否や音も立てずに玄関へ向かい。 靴箱にある彼女のスニーカーをすべて回収し、彼女が当日安全に階段を歩けないように仕向けたのは彼だったという事がわかる結末へ。 最終的に彼女が悪魔に食べられる終わりと繋がるのはこちらなのだろうと納得しかありませんでした。 では、すべてを受け入れたなら? 再会した時、何故数十年が経過しても同じような若々しさを彼女が維持していたのか。 明確に言葉にはされませんでしたが、やはりという言葉が出ている事から薄々予想はしていたのでしょう。 それでも、自分の残されたわずかな時間で愛する女性の望みが叶えられるならば少しは醜悪だった自分の人生にも意味があったのかもしれない。 彼女は生きる目標を見失った自分にとって、生きた意味を与えてくれたのだから。 彼女の人生に意味を与える事が自分にはできないのは残念であっても、命を差し出す事で手助けは出来る。 だから、彼女の寝顔を眺めながら大切な事を手紙に書き残す事を選んだ。 感謝の気持ちや、自身が契約者である事。 自分が消えた後はそのまま階段を下りるのではなく、急いで儀式の終了を悪魔に告げなければならない事。 明日、階段を下りる直前に…自分が消える直前に彼女に手渡そうとポケットに忍ばせて。 しかし、このルートでもやはりかなこさんは何故かスニーカーでなくヒールを履いており最終的に手紙の中身は不明のまま彼女は悪魔に食べられてしまう。 このエンドを迎えた際は、スタッフロールの曲も相まってとてもしんみりとした雰囲気があり好きです。 隠されていないはずのスニーカーは何故選ばれなかったのか? それも含めて悪魔が仕組んでいたとしたらまさしくエンド名である「届かぬ想い」なのでしょう。 今まで、この契約を求める人間を察知していた事を思えばこんなチャンスを逃すとも思えないですからね。 因果応報として美しいのは、かなこさんの末路がわかるルートを経由している以上エンド5までがワンセットという扱いに思えます。 だけど、時任さんがどういう人物なのかを考えるとエンド6が正規であって欲しい気持ちはあります。 そして、かなこさんの魂を食した後であろう部分から再び続きがあり…天使襲来のファンタジー展開へ!? 天使により悪魔が退治される展開になるかと思えばそんな事は全くなく。 そういえば堕天使って悪魔の事だったなぁと思い出しながらエンド名を確認。 今後また天使に見つかる事がないよう、より強い結界を張り直し今後も悪魔はこの場所で若返りを願う人間を待ち続ける。 しかし、今思うとあの心霊番組に関する情報を見た二人が見事に引き寄せられた事を思うとあれも悪魔側が定期的にそれで引き寄せられる位強い若返りの願望を持った人間を集める為の罠だったのではないか? 二人があの番組の情報を知った時期は全く違うタイミングだったと思うと、とてもピンポイントすぎますし何か仕掛けがありそうに思います。 と、ここまでしんみりした物の 残りの回収してないエンドがある事に気づき結構初期の方に見逃しているのを攻略情報から把握しました。 サッカー部に混じって運動ヤッホーイ!という平和な終わりに、盛大に何も始まってない!! とはなりましたが…このエンドの時だけはエンド1と違ってニュースも把握しておらず芸能人がくる事も観測をしていない。 つまり、考えようによっては何も起こっていない一番平和な世界ではないか? という現実逃避をする形で締める事となりました。 @ネタバレ終了 くれぐれも、怪しい噂とおいしい話にはご注意を。 なんて事を微笑みながら、口の前で人差し指を立てつつ言いたくなるような物語でした。 この度は面白い作品をありがとうございました。
  • 天使のエゴ
    天使のエゴ
    タイトル・イラストに一目惚れしてプレイしました! これで処女作…すごいです! 立ち絵やスチルもとても可愛くてすごく良い作品でした! @ネタバレ開始 おまけに出てくるお兄さんがイケメンでした! メインキャラだとパーチェくんとシエロさんが推しなので、終盤のパーチェくんの命を賭けても全うするところとシエロさんが大好きと伝えるシーンでは悶絶しました… この先の物語やそれぞれのキャラについて、楽しみに待ってます!
  • キミが恋するはずだった100人の運命の相手
    キミが恋するはずだった100人の運命の相手
    作者様の過去作品が面白かったので、とびつきました。ゆるい???や名前のセンス、効果音がツボです。 @ネタバレ開始 >オートセーブをしている為、終わらせたところによってはバグが起きる可能性があります。その際もご報告頂けると助かります。 とのことで、7人チェンジを続けると、強制的にピンポンパンポーンと効果音が鳴り???のセリフから進みません。ブラウザを再起動しましたが、同じところで止まります。???の名前も???Pに変化しています。スキップを使うと次のテキストが読めるようになりましたが……。同じ条件でも(3週目)でスキップを活用したら大丈夫でした。 (もう1つ、上のデータで データをリセットする →いいえ にした後ゲームを始めると※セーブ中※から動かない時がありました。 直前にホラー演出があったので、これは演出だったらすみません。これの発生条件は全員チェンジでクリアかもしれません) 全キャラクリアしました。私は???推しです。運命を1つ見つけたら100つあると思えというGのような言い方に笑いました。あとはイアンさんですね。名前に大爆笑して、素朴な顔に癒されました。 @ネタバレ終了 凝っていて、癖になる面白い発想の作品、ありがとうございました!長々と失礼いたしました。
  • Journal Journey
    Journal Journey
    タイトル画面がwolfエディタな感じだったのでノベコレだとちょっと珍しいと感じ印象に残っていました。 RPGのマップやドットアイコンを活かすことで、一般的なノベル・ADVとは少し勝手が変わり、キャラとその周辺の景色全体をより効果的に見せることができるのか、とプレイ中とても感心しました。 シナリオはしょっぱなから衝撃的な展開で、側面から少しずつ紐解いていくミステリー感が好きでした。 @ネタバレ開始 初見時には御者の言葉遣いが少し引っかかったので気になっていたのですが、物語を進めるにつれなるほどとなりました。 ドット絵がプレイヤーに与える視覚情報の少なさ逆手にとりゲームの中身にうまく反映していたのが素晴らしかったです 散らばっていた点と点が終盤で一気につながっていく瞬間の気分は最高でした。また1から読み返したくなる面白さです。 @ネタバレ終了
  • 人生、お返しします。
    人生、お返しします。
    自分と同じ姿をして歩いていたというドッペルゲンガー?の男を探しに行くという設定が面白かったです。 確かにそういう話を聞いたらちょっと気になるかも、とカイに共感しました。 @ネタバレ開始 でもどうしてそこまで探す必要が?もし相手が本当に怪異のドッペルゲンガーだったら怖くないのかな?と思ったら、どうしても"もう一人の自分"に会わないといけない理由があって・・と怪異系ホラーの予想を良い感じに裏切ってくる展開でシナリオに引き込まれました。 怪異として生きるなら本来消えなくてはいけないのは自分ではなく元の彼。カイだってこの世界でカイをやっていたい。やりなおしたい。 でもそれと同時に、元の彼にも生きていてほしいというカイの優しさもあり、 その2つの感情の中揺れ続けているカイの心境が見える各EDがすごくよかったです。 "4人"の友情が優しい世界で好きです。 @ネタバレ終了 温かさと切なさが混じった儚いゲームでした。