ホラー・オカルト
8462 のレビュー-
真実か×××かストーリーを追うごとに、理解っていきます。すごく面白かったです
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タイトル無し真っ黒な画面のインパクトに惹かれてプレイしました!! 途中まで「……ん?何コレ?」と思っていたのが、まさか最後で「ああ……そういうこと……」と思わさせられました。 @ネタバレ開始 最後の、一気にすべてが削除されていくシーンで、明確に「主人公は死んだ」とは明言されていないものの、全てを察させられる感じ……いろいろと考えさせられました。 もし死後の世界がこんな感じだったら、絶対死にたくないです。 自らを殺す人は、こんな5億年ボタンよりもタチの悪い世界に行きたいんじゃないから。 幸せになれなくてもいい、その代わりに不幸に苛まれなくてよい世界に行きたいから。 (ちなみに私は、死後の世界というものは、姿どころか意識を持つこともない世界だと思っています。幸はないが不幸もないという世界です。幸せな人は絶対行きたくないでしょうが、不幸に曝されすぎた人間は行きたくなってしまうのでしょう。) ………以上、私の謎の駄文でした。それでは。 @ネタバレ終了
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死に戻り階段感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 その階段を一段下りれば死人ですら生き返るという死に戻り階段。 タグにもありますが、ホラーやオカルト要素が強めな世にも奇妙な物語という印象が強い噂話ですね。 そして、その真相は一体何なのか? @ネタバレ開始 あなたの地元に有名な心霊スポットはあるだろうか、という文言から始まり主人公の地元に存在する神社…天妙神宮についての紹介へ。 神社に到達するまでは600を超える階段を上る必要があるという、思わず階段の数で有名な金毘羅さんでも大体どれ位だっけ?と思うそれは人を遠ざけるのも無理はないだろうという立地。 (金毘羅さんは奥社に行かないなら785段で済むらしいので、そう変わらないとしたらかなりのハードモードでしょう) それだけでなく、昔から語り継がれている噂として山の麓から天妙神宮へと続く階段は通称「死に戻り階段」と呼ばれている事。 その階段を一段下りればたちまち一年若返り、死人ですら若返る。 この情報だけでも不思議な場所という印象はありますが、夜になると悪魔が下りてきて悪い子を見つけて食べてしまうという大人が子供に言い聞かせるような話もあるようで。 さすがに悪魔云々は作り話としても、若返り効果のある階段という点は興味深い話です。 しかし、主人公も小学生の時に試してみたけれど何も起きず。 その段数から運動部がトレーニングに利用しているようですがやはり何も起きていない。 様々な人が噂を確かめようとしては失敗に終わったようで、若者の間ではあくまで雰囲気を楽しめる肝試しの場所程度の認識になっているようです。 そして、どうしてそんな噂ができたのか… 「一緒に階段を下りた相手と恋が結ばれる」という今までの要素と何も関係がない新しい噂までできている始末。 その効果があるかどうかはさておき、主人公も今年の肝試しは女の子からのお誘いを受けているようで楽しみにしているようですね。 だけどそんな時に限ってというのか、肝試しを運営するオカ研の人員が足りずに手伝って欲しいと頼まれてしまう事に。 ここで断ると本編にいけないでしょうが、まぁエンドは全部回収予定なので初手は断りましょう。 と、選択をしたら…いきなりゲームの種類が変わった!? この萌えっ子ちゃんなきゅ美って誰!? 恐らく肝試しがきっかけでその時の女の子と結婚し娘ができたのでしょうか。 新しい噂が本当になってしまった…とぽかーんとしていればまた場面は変わりニュースが。 「時任グループの社長、時任定雄さんが行方をくらませてから今日で一週間が経過しました」 何やら事件は起きているようですが、主人公の平穏な日常に関わりはなく。 娘とお風呂に入る流れでエンドを回収。 という事で先程の分岐へ戻り。 手伝いを引き受ければ驚かし役を引き受けたのは主人公だけのようであり、主人公を誘ってくれた女の子は別の人に声をかけたようでした。 問題は、その人物がこちらに手伝いをして欲しいと頼み込んできた帯山田であり…3年生特権として参加者側を楽しむ為だったであろう事が判明。 どうみても女の子とイチャイチャする気だろう帯山田を置いて帰宅する流れへ。 すると、いかにもホラーなBGMと共に登場する当初主人公と肝試しに参加する予定だったきゅみ子ちゃんが登場。 母親の名前からとって娘はきゅ美になったのか…なるほど……なるほど? DNAの法則をガン無視してそうだなぁとか色々思う事はありましたが、まぁ結果的にこれは断って正解だったなと今度こそ帰宅。 翌日、驚かし場所は自分で探すという事で現地に向かうもやはり体力的にここまで来るのは大変だったようで。 600段以上を上るとなると、これは肝試しに参加する方も運営として驚かす方も先に体力がなくなりそうだなぁ…とぼんやり心配になりました。 資料によると、毎年賽銭箱が驚かし場所として使われているらしい。 人が隠れるのに向いている位のサイズらしく、毎年使われているという点で新鮮味には欠けるも候補として加える事に。 山門へ戻り、順路として肝試しの際には全員がここを通るので開始早々驚かすには結構良いかもしれないと考えていると誰かの話し声が。 三人分の声が聞こえ、内一人はこの神社の神主でありどうやら案内をしている様子? それ以外の二人は男女が一名ずつで何と芸能人のようでした。 『白い肌は白い化粧品から』 という彼女が出ているだろうCMのキャッチコピーと共に紹介される女優、千堂かなこ。 見た目なかなり若々しいですが、今年で44歳というどうみてもありえない年齢に驚くしかなく。 男性の方は現在放送されているライダーシリーズの最新作に出ている俳優であり、彼がペットボトルの水を飲むとまたもや宣伝のようなカットインが! 色気がすごすぎて子供に悪影響を与えると苦情が殺到したミネラルウォーターのCMが目の前で再現されているという、これまた凄い物を目撃してしまったようで。 こそこそと彼らの様子を見ていれば、参拝を済ませた3人は会話をした後にかなこさんが何かを神主に手渡し2人はもう帰っていくようでした。 ここで、神主と芸能人2人のどちらを追いかけるか?という選択肢になりますが…。 普通なら野次馬根性として芸能人一択と思われるのに、神主を追いかける事に何か意味があるのか? 結果として、神主を選ぶと彼が何かを食べているのを目撃する事に。 先程手渡されたのが食べ物だったのか? それにしてもこんなにすぐに食べるのもおかしな話だと、少しからかうつもりで声をかけてみれば当然エンド回収へ。 エンド名が「見てはいけないもの」という事から何を食べていたのか不明ですが、明らかにホラー的な意味で何かがあるのは違いない。 一般人らしく芸能人の方を追いかけようとすると、何と山門あたりで2人がキスをしている場面を目撃してしまい…。 これは熱愛シーンを見てしまったか?と思いきや、直後にかなこさんが階段を一段下り…一緒にいたはずの彼は消えてしまった。 その場に残るのは彼がいたという証拠の衣類や時計のみ。 それを拾い集めたかなこさんは神主のいる本殿へと引き返していく…。 一体何が起きた…? 怖くなり階段を一気に駆け下りていく主人公。 その途中で思い出したのは、死に戻り階段に関するまだ語られていなかった方の噂。 しかし、1年若返るごとに自分に近しい人物が1人失われる。 だけど、ただ下りるだけじゃ何も起こらない。 若返るには、悪魔の協力がいる。 つまり、この階段を試した人達はこの条件を満たしていないから何もなかっただけにすぎなかった。 何故子供への脅しにしても神社へ続く階段に悪魔の噂がくっつくのか? それが宗教的にも噛み合わないだろうと疑問でしたが、元々あった噂の全文を知ればその意味はしっかり理解ができました。 神主を追いかけた場合、彼がかなこさんから受け取った何かを食べていた事。 連れが消えてから、まるで証拠隠滅のようにその場に散らばった衣類を集めた彼女が再び本殿へ引き返していった事。 そして、何故44歳の彼女があんなに若々しいのか…。 噂に出てくる悪魔は神主であり、その悪魔の協力があってこそかなこさんの若さは保たれていた…? ここで主人公から物語はかなこさんの視点へと変わり、何があったのかが明かされていく。 生き物なら逃れない定めというべきか、かつて世のすべての男性を虜にしていたかなこさんも加齢には勝てなかった。 沢山の男性に囲まれていた日々もいつしか過去の話となり、かつて自分のいた位置には若い子が抜擢されるように。 SNSに流れるコメントも、すでにかなこさんは過去の人だというような内容が流れており彼女を苛立たせていく。 私だってあの頃のように若ければ かなこさんは30手前という年齢から訪れる現実を受け入れられなかったのでしょう。 確かに若いというのはそれだけで財産ではありますが、年齢を重ねても活躍されたりその年齢だからこその美しさを出せる女優さんというのは存在すると思います。 そう考えると、彼女にとって一番の武器が若さだったのではないか?とは思いますが…それはそれで受け入れがたい問題かもしれません。 そして心がすさんでいったある日、とある心霊番組…というよりは川口浩探検隊を連想させるような番組? によって若返ると噂の階段についての存在を知る事に。 普段ならただの噂でありくだらない番組と流してしまうような事でも、本当に若返りの効果があるならと番組で紹介された現場へタクシーで向かうかなこさん。 道中、栄光の日々が忘れられずそれが失われていく絶望やその結果として「若返り」に執着する事に思いを馳せる場面があり。 栄光というのはそれが強い刺激であればある程脳を麻痺させる麻薬のような効果を与えてしまう以上、忘れられずに執着するのもまた人間の性というべきなのでしょうか。 5年前に稼いだお金を様々な美容品や温泉などといった若返りに効果があるとされる物に費やしてきたけれど、一時的な効果はあっても維持をするには大量のお金が必要になってしまう現実。 よく名前を聞く美容手術等、そういった美容関連の物だって定期的に摂取しなければいけない以上お金で買える若さの延命はそれだけ莫大な対価がかかるのが前提でしょう。 だから結局はどこかでみんな気持ちに折り合いをつけて受け入れるしかない、もしくは少しでも遅らせるような比較的継続できる習慣や品を取り入れる事で抗うしかない。 女性として、彼女の気持ちはわからないでもないですがこれは一度強い刺激に脳を焼かれた故…とすればこの後の流れも含め当然の結末だったのだろうと思います。 あの600を超える階段を上るも0時過ぎという事もあって入口である山門は閉じており、どうしたものかと思えば中から出てくる神主。 何故かかなこさんがくる事を知っていたような口ぶりであり、彼女が人違いではないかと疑問を口にすれば…目の前の神主の姿は悪魔に豹変していた。 それを見て、思わずうっとり魅せられたと表現した時点でかなこさんは完全にこうなる運命というのか引き寄せられてしまったのでしょう。 人間の作る若返りに効果のある商品ではあくまで一時的な効果しか得られない。 けれど、目の前にいる悪魔の力を借りれるならばそれは間違いなく可能であるという確信。 契約の証として、自身の血を与える事で若返りの権利を得たかなこさん。 しかし、その為には自分に近しい人間を1歳につき1人犠牲にしなければならない。 階段の下で待たせていたタクシーでそのまま実家へ向かい、翌日に家族旅行と称して両親を生贄にしたかなこさん。 2歳の若返りによって最近の悩みであった肌のトラブルがなくなりハリも戻っている事を確認する。 ここで、両親が服だけを残して消えてしまったという事実でなく即座に自分の顔に触れ効果を試しているという時点で行動が起こせる時点でそうであったとしても、もう人としての心は残ってないのだなとわかる場面ですね。 そうして、5年前の美しさを取り戻す為に残り3人を捧げたかなこさんは年に一人を捧げる事で若さを維持し続ける事に…。 そこから20年が経過し、再び周囲にもてはやされるようになったかなこさん。 かつて自分の代わりかつての代表作でヒロインを演じた若い子だって、20年が過ぎれば時の流れに従い40歳位にはなっているのでしょう。 もう私より見た目のひどいおばさん、と言うかなこさんの心境は完全に若さを維持する事に執着した何かであり。 そんな中、かつて交際をしていた時任さんともう一度交際を開始する事に。 かなこさんは若さを維持していても周囲の人間は当然ながら年齢を重ねる以上、彼は50歳間近というかなこさんが本来の年齢相応であればそこまで見た目や年齢差もないだろう方でした。 いつしか、彼がかなこさんにとって一番近しい人物となっており年に一度の生贄を捧げる時期が近づいてきてしまう。 時任さんは若さやルックルといった魅力がある訳でないけれど、何故か惹かれてしまう対象であった事。 もし、自分が若さを維持できれなければ彼は別の女性に乗り換えてしまうのではないか? だけど、生贄の条件である近しい人を捧げるという事は彼を失う事を意味している。 これまでならば、若返りの為なら誰だって生贄にしてきたのに初めて生じた迷い。 歳を取りたくない。しかし、時任さんを失う事だって嫌。 けど、自分が結婚を迫っても暗い顔で断る彼を繋ぎとめるには若さが必要なのではないか。 判断を迫れる場面となり、彼を生贄にするかどうか選択肢として選べるようで…。 ここが、もう手遅れながら人間として最後の…本当に最後の一線を守れる場所だと「生贄にしない」事を選べば。 それにも関わらず彼に別れを告げてから3日後に、何故かニュースとして彼が亡くなった事が報道され…。 かなこさんと交際していた事から彼女は警察から話を聞かれる事になり、周囲にも何故か彼女と付き合った相手はみんな死んでしまうという噂で盛り上がる始末。 結果、彼女は若さこそあっても誰も寄り付かないままここから本来の年齢へと近づいていく事になるのだろうという終わりへ…。 時任さんに関するニュースは最速で回収できるエンドでも見かけましたが、こういう繋がりを持っていたのだなというのが驚きでした。 では、結局亡くなってしまうのなら生贄にしても結果は変わらないのではないか? …強いて言えば、死体は残らないので失踪という形になるのでしょうが。 その答えを知る意味でも今度は「生贄にする」という選択の方へ。 かなこさんとしては、彼を生贄として自分の中に取り込んでしまえば自分の中で生き続ける事になるという結論に至ったようです。 そして、彼の体液を手に入れたから翌日に処刑台への道とも言える階段を上る事に。 山門には毎年の事だからか、待ち受けている神主こと悪魔の姿が。 かなこさんから体液の入った瓶を受け取ると、悪魔はこんなものを持ってくるとは珍しいと笑いだし。 「よほど彼のことが好きなんですねぇ。でもそんな彼ですらあなたの執着にはかなわかなったようだ」 ここは人間の行動を観察する悪魔としてはまさに面白い部分でしょうね。 そして、そんな悪魔の笑い声が今日に限りひどく耳障りに感じたかなこさんは悪魔をせかし、悪魔が瓶を丸のみにしたのを確認するとすぐに時任さんの手をとって階段を一段下りてしまった。 隣に散らばる彼の衣服。 頬を涙が濡らし、やはり彼を失いたくなかったという気持ちは本物だったのだと感じながらもいつものように衣服を回収しようとそちらへ視線を向ける。 すると、衣服に隠れて白い封筒が落ちているようで…彼の持ち物だったのでしょうが何が入っているのか? それに手を伸ばそうとした瞬間、かなこさんはバランスを崩して階段を転げ落ちてしまう事に。 毎年この階段へ向かう時にはいつもスニーカーを履いていたのに、何故か今回ヒールを履いていた事に気づかなかった事。 そのせいで簡単にバランスを崩してしまった事。 さらに、階段を転げ落ちる中で彼女の体に起きる変化。 階段から落ちる度、下る度にどんどん体は若返っていき子供の姿へ…そして、最終的には赤ん坊の姿へまで変化してしまい。 そんな彼女を見下ろした悪魔は、赤ん坊となった彼女を食べてしまうという結末へ。 悪い事はできない、人の命を奪い続けてきたのだから奪った人数を考えればむしろ食べられるだけで済んだのはまだ軽い方ではないか?までありますね。 (その後がどうなるかはわかりませんが) 彼女が最期に目にしたのは、悪魔に踏みつけられ汚れてしまったあの封筒。 これが何だったのかは次の視点、時任さんで語れる事に。 21歳の若さで企業をしてから28年間、忙しい日々を送るも日本を代表するような大企業まで会社を大きくする事に成功した時任さん。 海外進出も視野にいれ、さらなる躍進を…と思っていた矢先に発覚してしまう自分の病。 ステージ4まで進行した癌、他の臓器にも転移しており余命は長くとも3ヶ月という絶望的な状況。 初期ならばまだどうにかできたかもしれませんが、末期の癌となるとさすがに生存は絶望的でしょう。 投薬を行うも、それに伴う副作用に苦しむ日々。 余命とされた3ヶ月後はアメリカの大手メーカーと交渉をする日であり、会社が海外進出をする上で重要な日と言えるでしょう。 だから自分以外に任せる事はできないと、何とかならないかと情報収集をし病気を治せないかを考えるもそこにあるのは気休め程度の文章に重い現実だけ。 なので、通常ならおとぎ話で済ませてしまうような事にも縋りたかったのでしょう。 不老不死・蘇生・タイムスリップ・若返り、どれも非現実的でありながら病気が治らずとも命さえ延命できる方法があればと検索を開始する時任さん。 そこから得られる情報は怪しげで詐欺のような物ばかりでしたが、その中の1つに目を奪われる事に。 それは、かなこさんも見たあの番組についての画像投稿であり取り上げている人も明らかに馬鹿にしたネタの扱いでしかなく。 けれど彼もまた、B級にも満たないテレビ番組だという事を頭では理解しつつも病院を抜け出して現場へ向かう事に。 もはやあの脅威の段数の階段を上るのも苦しい体でこそあれど、真相を確かめるには実際にこの先へ行くしかないとふもとまで到着したところでかけられる声。 振り向くとそこには、あの悪魔である神主が立っており彼がくるのをわかっていたかのような態度でした。 悪魔が契約についての条件を説明し、それに対しどういう意味だと返そうとするも激しく咳込み吐血をしてしまう時任さん。 「これが答えだ、俺には時間がない」 そして、先程の吐血で付着した血を差し出し契約は完了。 ここでわかる新事実として、どうやら悪魔と契約をしても寿命そのものは延ばせないらしいです。 時任さんの寿命まで残る時間は2ヶ月と17日。 寿命は49年と5ヶ月と16日8時間14分。 悪魔の行う若返りとは、他人の命の蝋燭から蝋を奪い取りつぎ足すという事。 しかし、最大値を延ばす事はできないのであくまで寿命の範囲内で若返りをするというのができるのみである事。 だから彼は、どれだけ若返り病に気を付けていても決まった寿命からは逃れる事はできない。 死因が現状なら病による物ではあれど、もし結果を変えようと病にかからなかったとしても別の死因になるにすぎないというだけ。 そして、自身が悪魔と契約をしてしまったという事実を認識した瞬間光を失い。 再び気づいた時には、階段に散らばる26名分の作業服と両親にプレゼントしたおそろいのコートがそこにあった。 次からは階段を上れるだけの体力は残しておいて欲しいという悪魔の発言から、恐らくそのままでは階段を下る以前に最上段までいけない彼の為に悪魔が初回サービスをしたという事でしょうか。 そこから意識を失い、目を覚ますとそこは病院ではなく自分の部屋でありいつも着慣れたスーツを着ようにも何やら違和感がある。 28年分の若返りを果たした結果、時任さんは当人でなく息子として新社長という立ち位置を演じる事になったようです。 悪魔が巧い事細工を施したのか、それに対する違和感を誰も持っていないようで成功はしたのでしょう。 部屋で一人になってから思い返す過去の記憶。 娘が生まれたらパパはすごい会社に勤めているんだと自慢したいと言っていた社員がいた事。 会社を大きくするまでの苦楽を共にしてきた社員たちの言葉。 たった一代でここまで会社を大きくした事。 そして、その過程で彼は自身が周囲にも恵まれていた事を自覚していた事。 そんな大切な存在を、自身の延命の為に生贄としてしまった事実。 それはあまりにも辛すぎる為か、心を蓋をする事で封じてしまったようであり。 犠牲にしてしまった者達の為にも、ここでこの時任グループを終わらせる訳にはいかないと前以上に仕事に没頭する時任さん。 しかし、そのまま次に迎える予定だった本来の寿命で次世代にバトンを繋がれば良かったのでしょう。 けれど彼は最初に犠牲にしてしまった物達の為にも仕方ないと言い聞かせながら、それから20年ごとに若返りを繰り返すようになってしまった。 繰り返すうちに、罪悪感も薄れ金におぼれてどんどん心がすさんでいくように。 最初は本当に会社の為だったのだとしても、2回目の若返りを選んだ時点で会社はすでに海外進出も果たして起動に乗っており後任を探すなり育成する時間もあったでしょう。 なのにそれをしなかった時点で結局は会社でなく自分の為でしかない形になってしまった。 はたして彼がもう何回目の若返りをした頃だったのでしょう。 CMに起用する芸能人を選ぶ際に、彼がかなこさんと出会ったのは。 まだ若返りに執着をしていない見た目のままの若さだったかなこさんとの触れ合いで、時任さんは幸せという物を感じるようになった。 そして、彼女のまぶしい笑顔に触れていると自分がとても醜悪なものに感じてしまいやがて距離を置くようになってしまう。 ここがかなこさん側でいう、年を重ねた結果人が離れていった時期と重なってしまったのが一番の不幸というべきなのか。 彼女に深い勘違いを与える事になったのを知らないまま、別れてしまった事が最大の分岐点だったというのが物悲しいですね。 彼女と過ごした時間を思えば、いくら仕事の奔走してもすでに若返りたいという願いは持たないようになっており。 余命が一年となるも、もうすでに自分は本当の生きる意味を見失ってした事に気づいてしまった時任さん。 そのことに気づかせてくれた彼女に最後にもう一度だけ会いたいと接触をしてみれば、彼女はあの頃と同じ姿をしていた。 そして、一度だけと思っていたはずなのに彼女と過ごす日々があまりにも魅力的だった結果再び交際を再開してしまう。 彼が結婚を承諾できなかったのは、もうすぐ自分が寿命を迎えると知っていたから。 …本当に、もはや手遅れ過ぎる展開が続いた結果の結末であってもここでもし余命の事を正直に伝えていれば彼女はまた違った選択を取れたのかもしれませんね。 やがてやってくる終わりの日。 彼女から、明日行こう誘われたデート先はあの死に戻り階段がある天妙神宮。 彼女も自分と同じく若返りの契約をしていたからこの姿を保っていたという事に気づき、次は自分を生贄にしようとしている。 果たして愛した女性からそんな提案をされたら、自分だって沢山の命を生贄に捧げた身でありながら何を思うのか? 素直に考えれば、因果応報でしょう。 他人の命を奪い続け、ありえない延命を繰り返した者が今度は奪われる側になるだけ。 その彼女と疎遠になった間に、彼女に何があったのかはわからずとも同じ穴の狢がこちらの命を狙っている事に違いはない。 もしも、彼女を恨んだら? 彼女が自分に近づいてきたのは全て生贄にする為の条件を満たす為だった。 生贄にできるのは、近しい者である以上対象とある程度仲を深めなければならない。 すでに20人単位を何度も繰り返していた時任さんにとっては、彼女も同様の悪人であり最初の出会いから全てが演技だったと思ったのでしょう。 …本当に、最初の出会いの頃はまだ本来の彼女であったと知らないまま。 そして、悪魔の言葉を思い出し復讐の方法を閃く流れに。 契約者を生贄にした場合、若返った分だけの寿命を宿している事。 つぎ足された他人の蝋は溶けだすと、元の人間の蝋燭を太くしていく事。 本来の太さよりも、継ぎ足し溶けた分だけ段々上塗りをされ…コーティングされた結果肥えていく魂。 それは悪魔にとって、とてもやみつきになる程美味であるという事。 これまでに大量の命を生贄とした彼を生贄とすれば、存在すらも消えてしまう程に若返ってしまうと思いつくや否や音も立てずに玄関へ向かい。 靴箱にある彼女のスニーカーをすべて回収し、彼女が当日安全に階段を歩けないように仕向けたのは彼だったという事がわかる結末へ。 最終的に彼女が悪魔に食べられる終わりと繋がるのはこちらなのだろうと納得しかありませんでした。 では、すべてを受け入れたなら? 再会した時、何故数十年が経過しても同じような若々しさを彼女が維持していたのか。 明確に言葉にはされませんでしたが、やはりという言葉が出ている事から薄々予想はしていたのでしょう。 それでも、自分の残されたわずかな時間で愛する女性の望みが叶えられるならば少しは醜悪だった自分の人生にも意味があったのかもしれない。 彼女は生きる目標を見失った自分にとって、生きた意味を与えてくれたのだから。 彼女の人生に意味を与える事が自分にはできないのは残念であっても、命を差し出す事で手助けは出来る。 だから、彼女の寝顔を眺めながら大切な事を手紙に書き残す事を選んだ。 感謝の気持ちや、自身が契約者である事。 自分が消えた後はそのまま階段を下りるのではなく、急いで儀式の終了を悪魔に告げなければならない事。 明日、階段を下りる直前に…自分が消える直前に彼女に手渡そうとポケットに忍ばせて。 しかし、このルートでもやはりかなこさんは何故かスニーカーでなくヒールを履いており最終的に手紙の中身は不明のまま彼女は悪魔に食べられてしまう。 このエンドを迎えた際は、スタッフロールの曲も相まってとてもしんみりとした雰囲気があり好きです。 隠されていないはずのスニーカーは何故選ばれなかったのか? それも含めて悪魔が仕組んでいたとしたらまさしくエンド名である「届かぬ想い」なのでしょう。 今まで、この契約を求める人間を察知していた事を思えばこんなチャンスを逃すとも思えないですからね。 因果応報として美しいのは、かなこさんの末路がわかるルートを経由している以上エンド5までがワンセットという扱いに思えます。 だけど、時任さんがどういう人物なのかを考えるとエンド6が正規であって欲しい気持ちはあります。 そして、かなこさんの魂を食した後であろう部分から再び続きがあり…天使襲来のファンタジー展開へ!? 天使により悪魔が退治される展開になるかと思えばそんな事は全くなく。 そういえば堕天使って悪魔の事だったなぁと思い出しながらエンド名を確認。 今後また天使に見つかる事がないよう、より強い結界を張り直し今後も悪魔はこの場所で若返りを願う人間を待ち続ける。 しかし、今思うとあの心霊番組に関する情報を見た二人が見事に引き寄せられた事を思うとあれも悪魔側が定期的にそれで引き寄せられる位強い若返りの願望を持った人間を集める為の罠だったのではないか? 二人があの番組の情報を知った時期は全く違うタイミングだったと思うと、とてもピンポイントすぎますし何か仕掛けがありそうに思います。 と、ここまでしんみりした物の 残りの回収してないエンドがある事に気づき結構初期の方に見逃しているのを攻略情報から把握しました。 サッカー部に混じって運動ヤッホーイ!という平和な終わりに、盛大に何も始まってない!! とはなりましたが…このエンドの時だけはエンド1と違ってニュースも把握しておらず芸能人がくる事も観測をしていない。 つまり、考えようによっては何も起こっていない一番平和な世界ではないか? という現実逃避をする形で締める事となりました。 @ネタバレ終了 くれぐれも、怪しい噂とおいしい話にはご注意を。 なんて事を微笑みながら、口の前で人差し指を立てつつ言いたくなるような物語でした。 この度は面白い作品をありがとうございました。
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Snow Girl短編ながら、いや短編だからこそとてもインパクトとキレのある作品でした。 主人公の男性が拾ってきたアンドロイドのユキとともに生活するお話。出会ったその瞬間から愛しあうふたり。 @ネタバレ開始 のはずだったのになぜか雪だるまのように少しずつ溶けていく「アンドロイド」。序盤から存在する違和感が急速に大きくなってきますが、スーパーの店主とのやりとりを通じて主人公の精神状態に対する疑念が確信に変わります。警察が踏み込むと止められた冷蔵庫の中で異臭を放つ「アンドロイド」。無線で事実が明らかになりますが、せめて主人公は拾ってきただけだと信じたいところです。歪んだ認知の表現が秀逸でした。 @ネタバレ終了 なるほどそういうことだったのかというラストの着地も鮮やかでした。多くを語りすぎない表現も素晴らしく、このくらいのさじ加減にはとても憧れます。
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幽心どんなエンドでも自分が選んだ未来なのですね。希望をもって逃げずに真実を見ようと思いました!
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嘘つき生者と死者の国こんにちは、SOALのスカと申します。 ツイッター(Xか…)の企画で墓守さんを描かせていただくことになり 気になっていたのもありまして、プレイさせていただきました! @ネタバレ開始 謎解きや頭を使うゲームが好きなので(得意ではないです) すごく楽しめました! 最初何も考えず、素直に若い男の子を選んだら血まみれの彼にめちゃくちゃ怒られて 「ごごごごごめんね…!」となりました笑 素直すぎた…笑 彼じゃなかったら彼女だと思っていたので、 次は無事に生き返りルートに行くことができました笑 多分すべてのルートを回収させていただいたと思うんですが、 個人的には墓守さんの弟子ルートが好きでした!フード可愛いですよね…!(そこ?) 生き返りも希望があって素敵だなと思いました。 カラフルになっているのが、現実に帰ってきた感があって素敵な演出だなと思いました…! コンパクトながらこんなにもEDのバリエーションが作れるんだな…!と感服いたしました…! @ネタバレ終了 素敵なゲームを遊ばせていただき、ありがとうございました!
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落とし屋・麒麟 ~薫酒~もう一度、あの素敵なイケオジに会いに行くぞ〜!とワクワクしながらプレイさせていただきました。 @ネタバレ開始 一緒に飲むでは、なんだかもう記憶がなくなりそうなくらい大人の色気に当てられました。か、顔が良い、表情も良い…遊び慣れてるってこういうことだ…ともはや怯えながら、ゆったりとした時間を楽しませていただきました。 触れられる場所も、あと1つが少し難しく、他の方のコメントを頼りに触れ合ったのですが、頭を殴られたような衝撃に襲われました。イケオジってずるい!! と、おまけの破壊力が凄すぎて、イスミさんにしなだれかかっている記憶しかなかったので、もう一度声をかけるところから始めました…。 いやしかし、どうしてご自身を呪おうとした女性にあんな優しくできるんです!?よ、余裕に溢れている。 でもまぁ、余計な敵を作るよりも後々が楽そうではありますが…。彼なりの処世術だったりして、なんて考えたりしました。 @ネタバレ終了 素敵な雰囲気のゲームをありがとうございました!!
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暁の果てへ-現代風聞怪事譚-気になったのでプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 複数回選択肢があり、分岐で様々なエンドが見られて楽しかったです! 現代風に怪異が表現されているのも面白いですね。 個人的に猿夢くんが好きです。 @ネタバレ終了 素敵なさくひんをありがとうございました! 続編など出す予定がございましたら、また遊びたいと思います。
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メルティ・エレベーター作者さんのゆるふわな絵柄と相まってとてつもないインパクトがありました。過去の作品はいずれもほのぼの系だった記憶しかないこともあって、頭の中でえー!えー!と叫びながらプレイしました。これはもう夢に出そうなほどの強烈さです。 かなり短時間でコンパクトにまとまった作品ですがその分印象も強く感じられました。色んなパターンのEDが見られてとっても満足です。ありふれた日常を噛み締めて生きていきたいと思いました!
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怪奇!開けてはいけない扉卍攻略がのってたおかげでコンプできました 普段と違って長時間一気にできたのは キャラクターとシステムのおかげかも ありがとう
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探しもの概要欄にあるとおり、5分以内でさくっと遊べるゲームでした! どこがホラーなんだろう?と思っていたのも束の間、 @ネタバレ開始 なるほど、これは怖いですね!? 嫌な想像しかできないアイテムが見つかっちゃいましたね。見つけたそれで、主人公くんは何をする気なんだろうな… そこが描かれていないからこそ、あれこれ考えて楽しんでいます! @ネタバレ終了 サクッと遊べるけど楽しいゲームを、ありがとうございました!
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ハシゴ町の忘れ物レトロチックな雰囲気のグラフィックとホラーテイストな探索が楽しめるゲームです。スタート直後から興味をそそる展開で不穏な空気がビンビンでとても緊張感がありました。特に何度か遭遇するシーンは見た目も音楽もスリルMAXでした。 初めは謎だらけの町ですが、中盤から終盤にかけて因習モノ的な背景が明らかになってきます。和風ホラー・オカルトが好きな方は垂涎の展開だと思います。全体的なボリュームがほど良く、またラストが非常に綺麗だったと感じました。
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さびしがりゴースト恋くんが可愛いです。
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【新番組】あかちゃんとあそぼ!【放送開始】深夜2時から放送の赤ちゃん番組がまともな訳がないと分かりきった状態でプレイしました。 放送を重ねるごとに募る不穏、不安、不信…番組が始まるより前の出来事を、なんとなく予感させながら迎えるエンディング。 短い作品ながら、番組という構成に要素を落とし込んで、ホラーを成立させているのが上手いなと思いました。 罪は、消えない。面白い作品をありがとうございました!
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落とし屋・麒麟私はイケオジと話すんだ!!の一心でプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 とりあえず最初は、と心のままに答えていると、1円足りない呪いを掛けられてしまいました。じみに、いやかなりキツイ呪いですね!?ゲームの雰囲気にのまれて怯えていましたが、この呪いでクスッとさせていただきました。 いくつもの呪いを掛けられつつ、なんとかイケオジに会えた時には、ザ・大人の色気にあてられて動揺してしまいました。が、呪われている身ではそんな余裕はなく… 祓と払でお祓いの値段が違うっぽいことについて、祓では素直にイスミさんのお話を聞いているので、もう危ないことと関わらないだろうと思ったのかな、なんて思いました。方や払では、ちょっと痛い目を見せなければ、また危ないことに手を出すと思ったからだったりして…。 とまあ、かなりイスミさんに対して好意的な解釈をしている気がして(?)、なんだか彼の手の上で転がされている気がします。 秘の中の質問で、顔をぐっと近づけられた時、別の質問をした時に見た怖い顔をが忘れられずに身構えたのは良い思い出です。あれは、安心して素敵なお顔を拝めるボーナスタイムだったんですね…! しっかりと怖かったし、イスミさんにお灸をすえられたので人を呪うなんて考えずに生きていこうと思います!! @ネタバレ終了 素敵なゲームをありがとうございました!!
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怪奇!開けてはいけない扉卍まだクリアできておらず、現在実況プレイ中ですが、楽しすぎるので感想をば。 怖い!!!!!!!!!!!! けど同じくらい笑ってしまう!!!!!! ストーリーもシリアスでありつつ、キャラ同士の掛け合いが心地よくて最高です。 ホラーが苦手なゲーム実況者ですが、今のところめちゃくちゃ楽しめています!!! 最後までしっかり丁寧に実況プレイさせていただきます!
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透明人間(仮)気になったのでプレイさせていただきました。 最初、透明人間になった?状態から導かれていくわけですが… @ネタバレ開始 明らかにヨシコの質問は人の善悪をはかる目的で問いかけられていましたね。 後悔しても、何も帰ってはこない。 ならば邪悪の芽を今ここで摘むべきか? 反省の余地があるなら生かすか? 復讐者側からみてもやるせない問であるように思いました。 せめて安らかに眠れますように… @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。
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七人一役色んなヤンデレがいてドキドキしました。好きなヤンデレのタイプは何かなぁとワクワクしながら遊べるのもよかった。 @ネタバレ開始 孤立型ヤンデレが一番好きでした。世界中が敵になっても味方でいてくれる彼女に惚れました。 しかし、主人公が自分に振り向いてくれるように仕向けていたとしたらゾッとしますが…。 @ネタバレ終了
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今日の晩ごはんは■■です(完全版)晩御飯全て美味しかったです。 @ネタバレ開始 お母さんが振る舞う食事はどれも救いようがなくて、闇ゲーとして楽しむことができました。自分は最初、オムライスにしました。お兄ちゃんが亡くなった妹を演じなければならない脅迫観念といない者として今まで扱われていたのは心にグッとくるものがありました。最初は繋がりがあるのかなと思っていましたが、晩飯を食べるにつれて、『サラ』と『お母さん』の関係性が食べ物によって変わってることに気づけました。特に、『ミートボール』は『サラ』が何かになりかわられてて、『オカアサン』を襲ってて鳥肌が立ちました。もし、小さい頃にこのゲームをやっていたら、眠れなくなります。『ミートボール』のエピソードはまるで伊藤潤二の漫画を読んでる気分になれて面白かったです。 他の食事を経た先のサラの隠しエンドに胸が救われました。夕食を食べれるのに感謝です。 @ネタバレ終了 ごちそうさまでした。
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トキワ怪奇譚配信にてプレイさせていただきました。 以前TLで作品の存在を知った際にいつか配信にて遊ばせていただきたいと思っていましたが先日ようやくそれが叶った為感想を書かせていただきます。 全編通して雰囲気のあるドット絵で進む物語。 小さな違和感、という部分から一体何が待ち受けているのか? @ネタバレ開始 まず、先にプレイするにあたって通るであろうルートとそれによって解放されるスキルと呼べる物でしょうか。 想定された順番通りに結末を知る事ができる点や次にやる事に迷わなくて良い点も含め、このスキルの解放による導線の引き方がとても素晴らしいと思いました。 初回では蛇崩君の誘いに対してどう対応しても結末壱になる事は確定し、蒼い目をしたあの子は何だったのか?という部分が疑問のまま次の周へ行く事。 そこで「社交性」という、いかにもあの子に話しかけてくださいと言わんばかりの物が増えれば試してみたくもなります。 (そしていざ会話ができてもやはり条件的に足りない物があるのを臭わせながらエンド&スキル解放へ) そうやって進展しながらも何かが足りずにエンドを迎え、スキルが解放されたら心当たりのある選択肢を試してみる。 一周が短いゲームだからこそストレスもなく段々情報が増えていく事や、ようやく壱以外の結末に行けた時の達成感は良かったです。 主人公のトキワ君は言葉遣いも礼儀正しそうな印象を受ける普通の学生。 内容は思い出せないけれど、嫌な夢を見たというところから毎回物語はスタートし。 朝食を済ませて、皆勤賞を狙う為に遅刻しないよう学校へ全力で急ぎ教室に到着後は友人と会話をしたり等どこにでもありそうな日常の光景だなぁと思えます。 しかし、突然強い視線を感じ周囲を確認するもその正体はわからないまま朝の会へ。 もしやこれが概要にあった『小さな違和感』? 帰宅時間になった際もやはりその視線を感じて後ろを振り向けば知らない生徒の姿が。 初回のスキルがない状態では何もできず、一体あの子は何だったのか?となりながら蛇崩君と帰宅する流れへ。 ゲームの仕様上、セーブやロードがないのでどうせエンドに関しては全部回収するんだしと楽しそうという理由から蛇崩君の誘いに乗って隣町へ向かってみましたが何故か周囲は真っ暗に…。 そのまま何が起こったのか…?と思いきや、突然場面は自宅で父親と会話をする場面へ。 さっきまで明らかに何かあったのにその事を覚えていない様子のトキワ君。 そこに対する疑問もかなり大きかったですが、就寝前にあったあの子は誰だったんだろう?という部分も気になるなぁと思いきやエンド壱&スキル解放へ。 また初めからプレイをすれば帰りに視線を感じた際に話しかけるかどうかが選べるように! 社交性ってこういう事かと納得しながら話しかけてみれば、シキと名乗るその子はトキワ君に用事があったようで。 学校では話しづらい内容→もしかして告白…!?というのは少々飛躍している青春の発想だとは思いますが、何にしても話はしたいので一緒に帰る事に。 するとシキちゃんは小声で 「くそ…どこも監視されてるな…今回は捨てにするか?」 という何やら意味深な台詞を呟き、今回は捨てという事はもしや…ループしていたりして? そして本題に入り、シキちゃん曰くこの町はおかしいという事。 確かにずっと夕方というか、何でずっと夕焼けの色なんだろうなぁとは思っていましたがこれってそういう仕様(?)でなくこの世界の住人から見ても変な事だったのか!? と衝撃を受け、夕方で時間が固定されているなら確かに朝昼夜もないのでしょう。 時間についてはトキワ君が時計によって時間を確認したという描写は作中になく、誰かが今は何の時間なのかを伝えてきているのみ。 そういう点では、確かに時間が本当に進んでいるのかを知る事はプレイヤー視点でもできないはず…。 さらに、初回で蛇崩君の誘いに乗っていたのでそれな!と思ったのは町の外が存在しない事。 あれはトキワ君の住む町の範囲を出た事で、それ以上地形が用意されていないから起きた事だった…? とはいえ肝心のトキワ君は記憶を持ち越しできないようでいくら指摘されてもわからない様子。 この情報を引き継げるのは、プレイヤーしかいないという事でシキちゃんの忠告はしっかり覚えておく事として。 次に、観察眼が解放されたので今まで見落としていた何かがわかるのだろうか?と何を調べるか考えつつ次の周へ。 監視されているという事を考えていると、またシキちゃんに話しかけても進展はないでしょう。 そういえば、観察眼という事は今までなら見落としていた事もわかるのでは?と再び隣町を目指す事に。 シキちゃんも何やらこの世界の仕組みに対し主人公に気づかせようとしていたようですが、隣町へ誘う蛇崩君も言葉や声色は気軽に友人を誘うムーブをしながら何やら事情がありそうな所はありました。 今日は彼の部活が休みだから偶然一緒に帰宅できたとはいえ、単に隣町へ遊びに行くだけならそれこそ休日の方が時間だってあるでしょう。 観察眼なしで真っ暗からの結末壱の際もでしたが、隣町へ行くだけなのに蛇崩君が何故か緊張している様子だったのもここで理由は判明しました。 初見の時は特に気にしていませんでしたが、彼の目的はトキワ君をこの町の外に連れ出す事。 「お前はあんな町にいるより、外に出た方がいい」 「そのためなら俺の命張ったってかまわない。 お前は、友達だからな」 全てを知ると思わず泣きたくなるというのか、本当に彼は命をかけて助けようとしていたのが胸にきます。 そして、観察眼のおかげか前回では見えなかった道のようなものが見えるように。 枝分かれしているものの、真ん中が一番はっきり目立っているので正解の道なのか? 蛇崩君にその事を提案すると、何やら不快な音が…。 そこから、今までと違う口調でこちらと会話をするようになる蛇崩君。 予想はできていましたが、あの音の後から蛇崩君と思って会話していた相手は別の何かであり…目の中には首をくくる縄の模様が。 ここでスタッフロール!?と驚き、どうやらようやく壱以外の結末を回収できたようです。 しかし…誰かの足によって踏みつけられた蛇は…? 次に解放されたスキルは隠密。 これでシキちゃんの言っていた監視の目を搔い潜る事ができそうですね。 予想はビンゴのようで、シキちゃんに話しかけてみると人通りが少ない場所を知らないか聞かれる展開に。 ようやくシキちゃんがトキワ君と本来どんな会話をしたかったのかがわかると思いきや… 「それじゃあ、逝こうか。あの世」 まさかのあの世逝きを提案される展開!? さらに、実はトキワ君がとっくに死んでいるという何それ聞いてないという情報も出てきて頭がついていけない事に。 こちらの手を掴むシキちゃんは、とてもその細腕から出ていると思えない力があるようで。 さっきまでは普通の歯並びだったはずなのに、ギザ歯になったのを見て「これ、明らかに人外だ…」と悟り。 そしてまたスタッフロールか…と思いきや、画面いっぱいに出る赤い「返せ」の文字。 結末の名前も綱引きであり、トキワ君の腕を引っ張り合いをしている様子が見えます。 感想文を書くに辺り検証してみたのですが、観察眼を持っているかどうかで真っすぐ帰宅した場合に調べられる箇所や得られる情報も違うのですね。 観察眼がない状態では本2は出てこず、神社の名前も何故か文字が読み取れない。 しかし、観察眼があってもその時の状況によって本で得られる情報が変わるのでこういった違いを見るのを楽しむ面で周回をするのが楽しかったです。 つりなわさまには、感謝の念と贄が必要である事。 これが文字が白い時だと贄の部分が捧げものというマイルドな表現になっており、恐らく真実が隠された状態なのでしょう。 さらに、何やら物騒な事しか書かれていない儀式の内容も記載されており…。 本2ではその儀式の為に自分の子でありながら双子の弟をつりなわさまへの供物としてしばらく生かす事にしたという内容が。 この日記が書かれた時期にもよりますが、それってやはりあの儀式はされていたという事であり。 配信中には縊の文字が読めなかったので後から知りましたが、縊死体=首吊り死体という意味だったんですね…。 神様の名前もつりなわさま、町に複数の首吊り死体が見つかった→赤縄神社之歴史という本にあった事からつりなわさまにより自死へ導かれている者が多発している。 だから急いで生贄を用意しなければならなかったのかと。 そして、写真の情報からトキワ君の双子の弟がその生贄であり家族写真もその部分が欠けた状態になっていたのでしょう。 …そう思っていた時期が私にもありました。 隠密スキルがあるのなら、本殿の奥…覗いてはいけない場所に潜入する事もできるのでは? 予想は当たっていたようで、こっそり様子を見る事に成功。 けれど、中に見えたのは…布を被った何か。 赤い液体に染まっており、その赤は周りの床にも広がっている。 それに対し跪いている父親は一体何をしているのか? トキワ君は、それが生贄であり本当にあの儀式は行われていたと理解したようで。 だけど、本殿の中を見るのは初めてにも関わらず存在する妙な既視感。 その正体を知る前に、トキワ君の腹から突然の出血が。 そこからはあの本にかかれた儀式の手順通り傷口を広げられ内臓を出されていき……。 ようやく気付いてしまった、あの人は自分にどんな目を向けていたのか。 最後のスキル、霊視が解放されいよいよ最後の結末回収へ。 の、前に。 結末一覧から、回収した結末によって人物紹介が見れるようで今さっき回収した肆にはトキワ君の父親の情報が。 しかし明らかな矛盾というか、息子の名前が礼人となっている。 弟は存在するようですが、認識するのも嫌なようでまともに会ってもいないのが判明。 でも、壱を見ると主人公の名前は彩人となっており…。 主人公は…長男じゃない? 今度こそ、最後であろうはじめからを選択。 どうやらトキワ君もすでに真相がわかっているようで基本の流れは同じなのに、台詞や考えている事に違いが出ている。 今までずっと学校に行く流れだったのに、実は学校なんて行ったことがないという新情報。 シキちゃんの言っていたこの世界に時間の概念はないという事。 全てはトキワ君が決まった場所に到着すると次の展開が始まるようになっており、急ぐ必要なんてなかった。 今までは普通に会話をしていたけれど、蛇崩君が誰なのか…トキワ君にはわからないようで。 (こちらは心当たりがあるので、全力でうわぁぁぁ…と心の中で叫んでおりましたが) シキちゃんは綱引きに敗北したからか、それともこれで全てに決着がつくからかもういなくなったようですね。 毎回のように、隣町へ行こうと誘ってくる蛇崩君。 それに対し、なぜいつも誘ってくれるのかを問えばお前を誘うのは初めてだぞという返しが。 彼も何かを知ってるようで、この世界の正体はわからないけれど全てはトキワ君をここから出したいと思ったからと言われます。 …結末によっては、そのせいで彼は犠牲になっている事もあるのに。 全ての真相は、父親が知っている。 いざ、それを問い詰めようとすると父親の姿をしたそれはまるでくくったように首が伸びてしまっており縄の痕もついている。 そして自分はトキワ君のともだちであり、躰がなかったので父親の死体をもらったと発言。 生前のトキワ君の、生贄にする為だけに生かされていた弟の願いである両親に愛されたいという願い。 ここにいれば安全だと、もう辛い事や苦しい事を思い出す必要もないと伸ばされる手。 「またはじめから。何度でもはじめから」 何故、このゲームには『はじめから』しか存在しないのか。 同じ日常を繰り返されるのか。 「繰り返し、繰り返し、はじめから」 全ては生贄として、つりなわさまに捧げられたトキワ君の為に用意された世界だったから。 スタッフロールが始まると、そこには生贄にされる前…生前最後の様子であろうトキワ君の姿が。 そして、結末伍を回収するとタイトルの文字もそれと同じく「常盤回帰譚」へ。 タイトル画面が変わる作品は名作と相場が決まっておりますが、まさかタイトルの漢字まで変わるのは初めてだよ!? 音が同じでもその意味は全く変わり…これまで伏せられていた情報がおまけから明らかになりました。 名前の塗りつぶされた男の子。 彼には双子の兄、いつの間にか部屋にいた蛇、障子越しにしか会話のできない誰か。 三人の友がいた。 やはりというか、蛇の名前が虎之介でありそれは蛇崩君の名前と似ている事。 本来なら同じ年頃の友達がいないはずのトキワ君の友達役として出てくるのであれば、それは生前から友達だった蛇である彼しかありえなかったでしょう。 この世界を構成するにおいて、人間の姿で登場したようですがつりなわさまに逆らってでも友達を助けようとずっと頑張ってくれていた。 その事を思うと胸にこう、熱いものがきます。 障子越しにしか会話のできない相手は誰だったのか? 候補として、配信ではシキちゃんでないかという予想がありましたが…真相は不明ですね。 漢字が読めた今ならわかりますが、つりなわさまの正体はくびれ鬼でしたか…!! それなら元は妖怪だった事や、神として祀られてからも人間が栄えようが滅びようが興味がないというのも納得しました。 うん、それは駄目だ。あれは死へ誘う妖怪だもん…。 結末は5+αというのは知っていたので、恐らくここから進めると回収できると予想してまたはじめから。 すると、部屋の外からこちらに向かって誰かの声が聞こえてくるようになり手形も窓に浮かんでいます。 それ以外は特に展開に違いはなく、恐らくもう一度結末伍までの流れを繰り返すのだろうと思い進行開始。 それまでに手に入れたスキルは持ち越せないようなので、完全に1からのスタートですね。 結末肆までは特に変化はなし。 しかし、その次にはじめからを選ぶといよいよ進展が…。 本来同様、今までの事が夢ではなかったと気づくと同時にそれまで手形と窓を叩く音でしかこちらに干渉のできなかった誰かの影が見えるように。 それは少年の声をしておりトキワ君を迎えに来たと言っています。 配信中には、開ける方を素直に選んでいたので開けない場合はどうなるのかを見ましたが…。 「信じられない…か」 「いいよ…何度だって迎えに来るから」 「待っていて…」 その誰かの声を最後に、本来の結末伍へ行くルートへ戻っていくようですね。 と、確認ができたので開けましょう。 外にいたのは双子の兄のようで、この世界からトキワ君を助ける為に来てくれたようです。 そして、またあの不快な音が聞こえたかと思えばそこからトキワ君の名前は『トキワ』から『スイ』という表記へ。 『ニイサン?』も『ニイサン』となりスイ君はお兄さんの事を思い出したようです。 それでも顔は何故か見えないままなのが気になりますが…。 スイ君はお兄さんの手を握り脱出する流れへ。 その、握った手と反対の…お兄さんの右手に握られた血濡れの鋏は見ないふりをして。 最後のスタッフロールが終われば、そこにはもう何もなく。 唯一存在する、はじめからを選ぶと「あの子の魂はここを去った」という事からトキワ君…いえ、スイ君はつりなわさまの世界から脱出できたのでしょう。 残ったのは過去だけ、という事でこの後に『はい』を選べばまた最初から遊べるようですがここでプレイは終わろうと思います。 ◆感想総括 全てはつりなわさまの生贄となったトキワ君が、彼の為に用意された日々を繰り返している世界だった。 だけどそれに気づかないよう暗示でもかけられているようで、過去にも思い出した事はあったようですがその度に記憶を消されてはこの日々を繰り返していたのでしょう。 眠ってしまえばそれまでの記憶は夢という扱いになり、同じ毎日を繰り返していても気づく事はない。 けど、彼の友はそこから彼を助けようと試行錯誤していて最終的にあの世界から脱出する事になったのだなと。 シキちゃんに「あの世へ逝こう!」と言われた時は「君ってこの世界はおかしいという事に気づかせてくれる味方ポジションじゃないの!?」と混乱しましたが、彼女が死神であればトキワ君の魂が穢れてしまう前に連れて逝く事が救済と思ったのでしょう。 少なくとも、この世界で永遠を過ごすよりはまだマシでしょうし全てがわかればあれも形はどうあれ助けだったんだと思います。 正統派な助けようとしてくれたポジションである蛇崩君が個人的には一番好きなキャラクターです。 生前から友達であった人間の為に、命を張っても助けようとしてくれるなんて人間同士だったとしてもそんな人は早々いないでしょう。 どうすればいいかはわからない、けれどこの世界の外に行けば助かるかもしれないと毎日隣町へ行こうと誘い続け時には犠牲となり踏みつぶされてしまう。 トキワ君は蛇崩君が人間の姿だった事で思い出せなかったようですが、この二人の関係性がとても好きです。 しかし、どうやってお兄さんはこの世界に来たのか…。 元妖怪とはいえ、祀られて神となった相手の領域に入るなんて簡単な事ではないでしょうし。 それと同時に気になるのが、父親はすでに死体になっていたという事。 これは儀式をしたけど間に合わなかったのか、それとも誰かに殺されたのか。 当初はお兄さんの持っている鋏の使い道として、父親を殺害し弟の代わりに生贄とする為、父親に対し開腹する為に使ったのではないか…。 後、その時にすでに内臓の代わりに縄を詰め込まれたトキワ君の腹から生贄でなくなるように縄を取り出そうとして使用したのか? と予想しましたが、家族で殺し合わないで!?となりますね…。 同時に、父親の死体に縄の痕がある=つりなわさまの力により首を吊った、と解釈するならさすがに子による親殺しは発生してないのでしょうが。 生きていても干渉できる手段はあるのではないか?と思っていたので、恐らく一番最初に想定できるお兄さんが自殺をし魂だけとなった事でこの世界に介入できた。 という説は何故かこの感想をまとめるまで全く浮かびませんでした。 (霊視を入手する事でやっと兄の存在を認識できたと考えると…やはり死んではいそうだなとは今更ながら思いましたが) どのみち、生贄となったトキワ君がちゃんとあの世界から出ていく事に成功したのならそれは彼を助けようとしたみんなの願いが届いた結果なので良かったとは思います。 @ネタバレ終了 ゲームシステムを絡めた巧い物語となっている事。 一周が短いのでテンポ良く進行し、次の周で何をするべきかもわかりやすいので攻略で詰まるという事はないと思います。 全てのピースが繋がった時の爽快感も素晴らしいです。 それでは、素敵な作品をありがとうございました。