九州壇氏のレビューコレクション
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お前のスパチャで世界を救え僕は1時間で全エンドを回収することが出来ました。にあちゃんの可愛らしさに惹かれてプレイし始めたのですが、笑って泣けるシナリオにぐいぐいとひきこまれていきました。 @ネタバレ開始 とても楽しく読める作品でした。Vtuberという題材の新しさや、にあちゃんの可愛らしさがまず目をひく作品だと思うのですが、シナリオも素晴らしかったと感じます。序盤から提示される謎のおかげで、こちらもあれこれ考えながら読むことが出来ました。また、テンポの良さやクスリと笑えるネタを仕込んでいるところも、本作品の大きな魅力だと思います。個人的には、消失を免れるための解決策が好きです。ぶっ飛んでいるようで結構リアリティがある形になっており、素晴らしいと思いました。エンドとしては【?END】が1番好きです。 なお、「Vtuberの消失」というテーマには自分にも苦い記憶があるので、本作品のテーマはかなり心に刺さりました。自分にもひっそりと応援していたVtuberさんがいたのですが、現在は活動中止となってしまい、アカウントはもちろん、公開されていた動画も全て削除されています。こういうケースは決して珍しくないんでしょうけど……。まるではじめから存在しなかったようになってしまうのは、結構悲しかったんですよね。「もっとちゃんと声を届けておけばよかった」という後悔はいまだにあるので、本作品の主人公にはかなり共感できました。「推したいと思った時に全力で推す」という態度を今後も大事にしたいと思いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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Vergunty ヴァーガンティー僕は4時間30分ほどで3つのエンドを回収することが出来ました。主人公達の想いの行方に目が離せなくなる、素晴らしい作品だったと思います。 @ネタバレ開始 すごいシナリオでした……。美月君との関係をめぐる葛藤だけでも十分読みごたえがありましたが、そこにジュンさんまでからんでくるとは……! 終盤は「これ、どうなっちゃうんだ?」とハラハラしながら読ませて頂きました。 本作品の大きな魅力のひとつとして、丁寧な心理描写があげられると思います。視点を変える、過去のエピソードも時折はさむといった工夫のおかげで、主要メンバー全員に感情移入できる作りになっていたと思います。それだけに、終盤の展開は心揺さぶられました。「こちらの気持ちもわかる。でも、あちらの気持ちもわかる……!」と何度も頭を抱えました(笑) 彼女らが単なるわがままな人間でなかったことも大きなポイントだと思います。正直な思いを相手に伝えたり、自分が犯した過ちを隠さず謝罪するシーンは、どれも強く印象に残りました。「自分が同じ状況だったら、ここまで誠実に言えないかも……」なんて感心してしまうこともありました(笑) しかし、そんな彼女らですら振り回されてしまうのが、恋心だということですよね……。「恋は理屈じゃない」ことを痛いほどに思い知らされるストーリーだったと思います。 キャラクターで言えば、特に美月君が好きです。彼が苦悩を経て人間的な成長をみせてくれるところは、本作品の大きな救いになっているように感じました。また、前作「Lechenaultia -レケナウルティア-」の登場人物である春市と直が出てきた時はなんだかほっとしました。 結末については、2つの結ばれるエンドが好きです。美月君推しの僕ですが、ジュンさんとの生活も穏やかな幸せが得られそうだな、と思いました。なお、どちらともと結ばれないエンドを見ることが出来たのも良かったです。「選ばれなかったとしても、彼らはまた前を向いて歩いていけそうだな」と思えて、少しホッとしました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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モブだけど、主人公くんを好きになってもいいですか?僕は2時間ほどで全エンドを見ることが出来ました。シナリオやグラフィック、ムービーなど全ての要素が丁寧に作られており、完成度の高さを感じました。とにかくプレイヤーに余計なストレスを感じさせない作品で、終始物語に没頭することが出来ました。 @ネタバレ開始 僕が特に良いと感じたのはシナリオです。本作品は正統な恋愛青春ものですが、「読者が望むものをきっちりおさえてくれている」という安心感が終始ありました。 例えば、「ヒロインの小声は主人公に聞こえない」、「年上のお姉さんにからかわれながらもアドバイスをもらう」、「ちょっとバカっぽい友人が、終盤で格好良い一面を見せてくれる」なんてのは、身も蓋もない言い方をすれば、ギャルゲの「お約束」にあたると思うのですが。そのどれもが素晴らしくて、僕はニヤニヤするのをおさえられませんでした(笑) 「お約束」ってつまり、頻回に使われるくらい良い手法なんだと再認識……。プレイ中は、こちらがギャルゲに期待しているものを十分に味わえているという満足感がありました。 一方で、本作品ならではのオリジナリティを感じるところも多々あり、「よくあるギャルゲ」とは一線を画すシナリオに仕上がっていたと思います。「固定観念と、自分の本当の思い」が本作品のテーマかなと僕は思ったのですが、登場人物たちのそうした葛藤を丁寧に描いているところに個性を感じました。 僕は特に未空ルートの展開が好きです。クライマックス直前の栞の言動には、ちょっとウルっときてしまいました。また、その後の展開も大変良かったです。それまで自分のことをモブだと認識していた未空だからこそ映える、素晴らしい演出だったと思います。大変楽しく読めた作品でしたので、ラストは物語が終わることに寂しさも覚えました。 キャラクターはみな良いやつばかりで、嫌いな人物は1人もいませんでした。メインヒロインの2人は正直甲乙つけがたいですね……! どちらも良い子過ぎて、選択肢を選ぶのは毎回つらかったです。彼女ら2人に好かれる遙真が羨ましすぎる(笑) なお、ヒロイン2人についてはボイスも素晴らしかったです。照れた時の声のかわいらしさは反則だと思います。 少しだけ制作者目線の感想も述べさせて頂きますと……。「特殊な設定に頼らなくても、こんなに感動できるシナリオが描けるのだ」という点にも感銘を受けました。それは自分が制作者として目指しているものでもあるため、本作品に学ばせて頂くところは大変多かったです。登場人物らの長い間大切にしてきた思いを丁寧に描いているからこそ、ここまで感動できるものに仕上がったのかなあ、なんて思いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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螺旋卵形線チェルアルコ僕は8時間ほどで全エンドを見ることが出来ました。ストーリーはもちろん、「これを1人の人間が作った」という事実にも感動してしまうような、素晴らしい作品でした。特に、徐々に真実が明らかになっていく構成は圧巻で、時間を忘れてプレイさせて頂きました。 @ネタバレ開始 僕が本作品で1番素晴らしいと思ったのは、シナリオの構成です。エンドを回収するごとに少しずつ真実が明らかになっていく構造になっており、どんどん先を読み進めたいという気持ちにさせられました。プレイ中は「あのシーンってそういうことだったのか!」と気付く快感を何度味わったか分かりません。 個人的には、カラナールエンドで明らかになる事実に1番驚きました。まったく予想外だったのですが、最初からもう一度読み返すとちゃんと伏線があったことにもびっくりしました。「記憶はあるけれど、いまいち感情が伴っていない」こともそうですし、「鞄の中身が女の子っぽくない」というやり取りすら伏線だったとは……! 本作品は、再読がこうして楽しめたところも大きな特徴だと思います。「あー、今この人はこんなこと考えているんだ。だからこんな言い方をするのか」と気が付くことが多々ありました。 各シナリオの内容も素晴らしく、読み終えると主要キャラクター全員に愛着がわくものになっていたと思います。なお、フェルシニーへの印象は大きく変化するので、自分でも大分戸惑いました(笑) それでも終わってみると、「フェルにもやっぱり救われてほしい」と思いましたね……。 また、モナカが主人公であることも、本作品の大きな魅力だと思います。過酷な運命の中にあっても。分からないことがあっても。その中で正しいと思うことを選び、一生懸命に進んでいく。そんな彼女が主人公だからこそ、この物語を冒険するのがこんなにも楽しかったのだと思います。 なお、いくつかの謎は抽象的な説明に留められており、様々な考察も可能なものになっていたように感じます。読者同士であれこれ考察するのも楽しいんじゃないかな、なんて思いました。なお、自分が気になったのは……。 ・ロクスルートで最後に出てきた子は誰だったのか?(ひょっとして他作品で説明されるのかも?) ・モナカ、フェルの妹、スリヴァ、青の巫女の関係性は、結局どういうものだったのか?(フェルの妹の魂がスリヴァに宿り、その後青の巫女になったということ?) ・クリスには何が起こっていたのか?(そばにいたクリスに知らないことが結構あったのはなぜか。一部の記憶は分け与えられなかった? ひょっとして、知らないふりをしている時もあった?) ・クリスは最後どうなったのか?(存在の成り立ちを過去に遡って否定するということは、やっぱり……?) 等々……。物語の世界にかなりひきこまれていたこともあって、しばらくこうした謎のことばかり考えていました(笑) ただ、自分の理解力が足りず読み取れなかったところもあると感じるので、また時間をおいて読んでみたいと思います。 ここからは、エンドごとの感想を少し書かせて頂こうと思います。 フェルシニーエンド 初回でこのエンドにたどり着きました。フェルシニーに対する印象は、プレイ中に大きく変化しました。正直、僕は彼のことをなかなか好きになれずにいました。が、別のエンドでフェルシニーの過去を見てしまうと、彼にも共感せずにはいられませんでした。彼の多面性をきちんと描いているところは、本作品の素晴らしい点の1つだと思います。 僕は特にED3が好きです。 ルーシャエンド 最初に「彼のエンドをぜひ見たい!」と思ったのですが、結局2番目に見ることになりました。初回プレイ時のルーシャは残念ながら……だったので、初めてルーシャエンドを見られた時は感動しました。ルーシャがモナカに向けていう愛の言葉、普段なら「ちょっと真っすぐすぎるぜ……!」なんて感じそうなんですけど。ルーシャが言うと格好良いんですよね。 ED4はおさまりの良いエンドだと思いますが、僕は特にED5が好きです。 カラナールエンド 図らずとも4番目にプレイしたのですが……。4番目に読むことが出来て本当に良かったです。本作品の大きな謎の1つに触れるルートであり、特に読むのが面白かったです。ロクスルートで示された「あの人物の不在」の答えが提示された時は、本当に驚きました。 それにしても、カラナールは一途すぎて泣けますね……! モナカのことをどんな思いで見守っていたかと思うと、今でもちょっとくるものがあります。彼は特に幸せになってほしい1人です。 ロクスルート 3番目にクリアしました。個人的にロクスが1番好きなキャラであることもあって、大変面白かったです。ロクスがそばにいる時の安心感は異常ですね(笑) 能力的に頼りになるのはもちろんですが、その人間性に惚れました。「俺の運命」という呼び方、ロクスほどに似合う男はいないだろうと思います(笑) ビジュアルについては、魔法使いのロクスも、魔法使いでなくなったロクス(と呼ぶのは間違いかもしれませんが)もどちらも格好良いです。 なお、このルートで明らかになるフェルニシーの過去も印象に残りました。 クリスルート このルートにたどり着く頃には自分のテンションもかなり上がっていたのですが、こちらの期待にこたえてくれるエンドだったと感じます。「繰り返してきたからこそ、こうしてクリスと対峙できたのだ」という点が、めちゃくちゃアツいです……! また、これまでつかみどころのなかったクリスが感情を爆発させる様子は、かなり迫力がありました。 END12でクリスはどうなってしまったのか。またモナカ達と出会えることはあるのか……。本ルートは気になることも多すぎて、クリアしたその日はよく眠れませんでした(笑) 加えて、本ルート中のロクスの台詞が素晴らしかったです。 「全ての命は、幸せになるために生まれて来るのだ」 「そしてどうか信じて欲しい。 ……それでも世界は、愛に満ちて美しいのだと」 この2つは、この作品をここまで読んできた我々に向けられているようにも感じられて、少しウルっときてしまいました。 ストーリーのことばかり述べてしまいましたが、美術面、演出面ももちろん素晴らしかったと思います。特に、色鮮やかで神秘的な雰囲気もあるイラストはどれも強く印象に残りました。 @ネタバレ終了 総じて、作りこまれた世界観とシナリオの構造が圧巻の素晴らしい作品だと思いました。この作品に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました!
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泣けない兎 短編集「泣けない兎」、「泣けない兎2」に引き続いてプレイさせて頂きました。僕は1時間20分ほどで5つのエピソードを読むことが出来ました。本作品を読んでいたからこそ楽しめたところもありますが、「泣けない兎」シリーズの導入編として読むのも全然問題ないと思いました。 @ネタバレ開始 「泣けない兎」、「泣けない兎2」をプレイ済みだった僕は、本作品の概要を読んで「結構重たいお話なんだろうな」と想像していました。事実、壮絶な過去が描かれるところもあったのですが……。本作品はそれだけにとどまらず、「その傷とどう向き合うのか」についても描かれており、短編作品としての完成度が高かったと感じます。 この作品では、神様や精霊たちが沢山のものを失ったことが描かれます。それは身体の一部だったり、大切な仲間だったりするわけですが……。加えて、「それまで信じていたものがなくなった喪失感」を作品のいたるところで感じました。彼らの失ったものは大きく、今後も心の傷がなくなることはないだろうと思います。それでも、その傷と共に生きていこうとする彼らの強さを感じました。 個人的には、「空言家族」が1番好きです。この作品で、セージ兄貴のことが一気に好きになりました。物語としての完成度が高く、シオンとの「兄弟」の伏線が最後にいきてくるところでは感動しました。また、ほど良くコミカルなところも良かったです。特に、イリスの前で兄貴がニッと笑うシーン。めちゃくちゃ笑いました。 コミカルなシーンと言えば、「ハナミズキ」でイリスが花を投げつけるシーンも良かったです。その設定上、イリスの内面に触れる機会はこれまで少なかったのですが、本作品のおかげでイリスに対しても親近感がわきました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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みちのく怪奇譚 3話僕は30分ほどで読むことが出来ました。気軽にプレイできる伝奇もので、小難しい設定は全然ありませんでした。あまり伝奇ものに馴染みのない方でも問題なく楽しめる作品だと思います。 @ネタバレ開始 とても楽しく読める物語でした。 本作品には、なんだかほっとしてくる雰囲気があったと感じます。キャラクターは良い奴ばかりで、読むのがしんどくなるところはほとんどなかったです。また、主人公たちの学生らしい言動を見ていると、自分が大学生だった頃のことを思い出しました。「子供の遊び」を、あえて本気でやりたくなったりしますよねぇ……(笑) 伝奇ものとしての読み応えもありました。当初僕は「蛇」が悪さをするものとばかり思っていたので、「彼」にはとにかく謝りたいですね(笑) 過去の友情が今なお生きているのは、格好良すぎると思います……! 個人的には、この手のお話を「30分でお手軽に読める作品」にまとめ上げているのが素晴らしいと思いました。伝奇ものって、どうしても語るべきものが多くなってしまうし、制作側としては沢山語りたくなっちゃうジャンルだと思います。また、専門用語をどこまで使うのか、なんて細かいところの案配もなかなか難しいと感じます。その点、本作品は「キャラクターが親しみやすい」、「必要以上に難しいことを語りすぎない」といった特徴のおかげか、ストレスなく読むことが出来ました。キャラクター紹介を作中に入れたことも含め、細かいところまで読み手への配慮が行き届いた作品だと思いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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さよならチョコミント僕は5分ほどで読了できました。文章が大変美しい作品で、読んでいるだけで青草の匂いやチョコミントの味が感じられるようでした。ノスタルジックなBGMも魅力的で、物語の雰囲気によく合っていたと思います(「露草」という曲なのですね。素晴らしい……!)。 ストーリーについては様々な考察ができるものになっています。僕も自分なりに色々と想像してみました。 @ネタバレ開始 途中で発生するイベントへの反応が主人公とチコで大きく異なるところをみると、現在2人が置かれている境遇も全然違うのでは、と思いました(チコの方がより厳しい世界に身を置いているように感じます)。また、チコに触れる時の2人の様子を見ていると、「昔のチコには、『装甲の接ぎ目やリベットのわずかな凸凹』なんかなかったのでは?」という気もしました。 「過去の2人はもっと距離が近くて、よく遊ぶ仲だったんじゃないか」 「最期が迫る中、『また昔みたいに遊んでみたい』とどちらかが提案したのではないか」 なんてことを想像しました。 最後のチコの様子を見ても、この2人はもう2度と生きて会えないのだろうという気がします。だとすると、とても切ないお話ですね……。 @ネタバレ終了 ノスタルジックな雰囲気を味わえる素敵な作品でした。ありがとうございました。
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私の執事ジェラルド僕は30分ほどで3つのエンドを見ることが出来ました。どのエンドにもそれぞれの良さがある、味わい深い作品でした。 @ネタバレ開始 僕が本作品で特に良かったと思うのは、「1番良いエンドはどれか」を作品側がはっきり提示していない点です。どのエンドも「得たものがあれば、捨てたものもある」ことが示され、少し切ない思いになるのは同様でした。単純ではない問題に対してあえて「正解」を決めず、読者ひとりひとりに委ねる。そのスタイルが素晴らしかったと思います。 かくいう僕の1番好きなエンドは、END2です。もちろん、彼らが置いてきたものを思うと心苦しいのですが……。それでも、想いあう2人には結ばれてほしいという思いが強かったです。 とはいえ、ここらへんは読者の好みで全然変わってくるだろうと思います。ぶっちゃけ、どのエンドもとても良かったです……! キャラクターも魅力的でした。特にジェラルドは「漢」ですね……! 前半は、「なんて口が悪いやつだ!」なんて思っていたんですけど(笑) ナタリア次第で、潔く身を引く男になれるし、大規模な策略を実行することもできる。そこに、彼のナタリアへの想いの強さを見たように思います。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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泣けない兎2「泣けない兎」の続編。僕は1時間半ほどで全てのエンドを見ることが出来ました。前作「泣けない兎」もキャラクターの個性が光る素敵な作品でしたが、今回は更にテーマを深めた内容になっていると感じました。エンドによっては壮絶な展開になりますが、それだけにTrue Endで救われる思いがしました。 @ネタバレ開始 本作品は「白夜に何があったのか。今、何を考えているのか」に迫っていく物語です。僕は前作「泣けない兎」クリア直後に本作品をプレイし始めたのですが、いきなり迎えたバッドエンドに心をえぐられました。「笛、あんなに頑張ったのに……!」と思うのと同時に、「白夜はどんな思いでいるんだろう? 過去に何があったんだろう?」と気になって仕方がなかったです。 本作品の素晴らしい点として、バッドエンドが「単なる間違い」になっていないことも挙げられると思います。特定のエンドでしか見えないものが多々あるので、全てのエンドを回収したいという気持ちになります。その中では白夜の壮絶な過去も語られるため、読むのがつらくなることもありました(笑) が、本作品にはそれを上回る魅力もあるため、結局休憩することなく一気に読ませて頂きました。 物語の内容ですが……。白夜の過去を知って何度も心を乱されました。白夜の様子を見ていると、傷つけられていたのは体ばかりではなかったことがひしひしと伝わってきます。プレイ中は彼の言動に「どうして!?」と思ってしまうこともありましたが、全てのエンドを読み終わった後は「あのような考え方をしなければ、笛と出会うまで心を保って生き残ることもできなかったのだろう」と思いました。True endに至るための選択肢(笛の言動)は少し難しくもありましたが、本当の意味で白夜の思いに寄り添ったものだったと感じ、納得感がありました。見ないようにするしかなかった思いと今後どう向き合っていくのか……。今後の展開がとても気になります。 キャラクターは今回もみな魅力的でした(ただし両親は除く)。笛と白夜に対しては「とにかく幸せになってほしい……!」という思いでいっぱいです。神様や精霊たちは前作ほど出番が多くありませんでしたが、みな少ない登場の中でも「らしさ」を見せてくれて良かったです。そして、シーラ様は今回も素晴らしかったです……! 叶うことならシーラ様にお仕えした以下略 @ネタバレ終了 総じて、作者様の熱量を至るところで感じる素敵な作品でした。今後のお話もとても楽しみです。ありがとうございました!
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泣けない兎僕は2時間ほどで読了することが出来ました。沢山のキャラクターが出てくるのですが、その1人1人が深く印象に残る、素敵な物語でした。 @ネタバレ開始 本作品の大きな魅力のひとつに、生き生きとしたキャラクター達の存在があげられると思います。神様や精霊はどんどん出てきますが、みな個性的で強く印象に残りました。その中でも特に、シーラ様は美しくて素敵でした……! 自分がドМなのもあって、例の選択肢では迷わずまずあちらを選びました(笑) 最終的には願いをかなえてくれるところも含めて、とても魅力的だったと思います。 主人公である笛も良いキャラクターでした。精霊たちが笛に協力的だったのには、様々な要因が絡んでいると思います。長年の準備期間があったからこそ、彼らを説得できた。笛は運が良かった。それはそうだと思います。しかし一方で、笛のまっすぐな思いがなければ精霊たちもきっと協力してくれなかっただろうとも思います。笛の願いが叶うTrue Endでは、心が温かいもので満たされました。「泣けない兎2」ではどのような物語が読めるのかとても楽しみです。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!