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九州壇氏のレビューコレクション

  • みちのく怪奇譚 3話
    みちのく怪奇譚 3話
    僕は30分ほどで読むことが出来ました。気軽にプレイできる伝奇もので、小難しい設定は全然ありませんでした。あまり伝奇ものに馴染みのない方でも問題なく楽しめる作品だと思います。 @ネタバレ開始 とても楽しく読める物語でした。 本作品には、なんだかほっとしてくる雰囲気があったと感じます。キャラクターは良い奴ばかりで、読むのがしんどくなるところはほとんどなかったです。また、主人公たちの学生らしい言動を見ていると、自分が大学生だった頃のことを思い出しました。「子供の遊び」を、あえて本気でやりたくなったりしますよねぇ……(笑) 伝奇ものとしての読み応えもありました。当初僕は「蛇」が悪さをするものとばかり思っていたので、「彼」にはとにかく謝りたいですね(笑) 過去の友情が今なお生きているのは、格好良すぎると思います……! 個人的には、この手のお話を「30分でお手軽に読める作品」にまとめ上げているのが素晴らしいと思いました。伝奇ものって、どうしても語るべきものが多くなってしまうし、制作側としては沢山語りたくなっちゃうジャンルだと思います。また、専門用語をどこまで使うのか、なんて細かいところの案配もなかなか難しいと感じます。その点、本作品は「キャラクターが親しみやすい」、「必要以上に難しいことを語りすぎない」といった特徴のおかげか、ストレスなく読むことが出来ました。キャラクター紹介を作中に入れたことも含め、細かいところまで読み手への配慮が行き届いた作品だと思いました。    @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • さよならチョコミント
    さよならチョコミント
    僕は5分ほどで読了できました。文章が大変美しい作品で、読んでいるだけで青草の匂いやチョコミントの味が感じられるようでした。ノスタルジックなBGMも魅力的で、物語の雰囲気によく合っていたと思います(「露草」という曲なのですね。素晴らしい……!)。 ストーリーについては様々な考察ができるものになっています。僕も自分なりに色々と想像してみました。 @ネタバレ開始 途中で発生するイベントへの反応が主人公とチコで大きく異なるところをみると、現在2人が置かれている境遇も全然違うのでは、と思いました(チコの方がより厳しい世界に身を置いているように感じます)。また、チコに触れる時の2人の様子を見ていると、「昔のチコには、『装甲の接ぎ目やリベットのわずかな凸凹』なんかなかったのでは?」という気もしました。 「過去の2人はもっと距離が近くて、よく遊ぶ仲だったんじゃないか」 「最期が迫る中、『また昔みたいに遊んでみたい』とどちらかが提案したのではないか」 なんてことを想像しました。 最後のチコの様子を見ても、この2人はもう2度と生きて会えないのだろうという気がします。だとすると、とても切ないお話ですね……。 @ネタバレ終了 ノスタルジックな雰囲気を味わえる素敵な作品でした。ありがとうございました。

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  • 私の執事ジェラルド
    私の執事ジェラルド
    僕は30分ほどで3つのエンドを見ることが出来ました。どのエンドにもそれぞれの良さがある、味わい深い作品でした。 @ネタバレ開始 僕が本作品で特に良かったと思うのは、「1番良いエンドはどれか」を作品側がはっきり提示していない点です。どのエンドも「得たものがあれば、捨てたものもある」ことが示され、少し切ない思いになるのは同様でした。単純ではない問題に対してあえて「正解」を決めず、読者ひとりひとりに委ねる。そのスタイルが素晴らしかったと思います。 かくいう僕の1番好きなエンドは、END2です。もちろん、彼らが置いてきたものを思うと心苦しいのですが……。それでも、想いあう2人には結ばれてほしいという思いが強かったです。 とはいえ、ここらへんは読者の好みで全然変わってくるだろうと思います。ぶっちゃけ、どのエンドもとても良かったです……! キャラクターも魅力的でした。特にジェラルドは「漢」ですね……! 前半は、「なんて口が悪いやつだ!」なんて思っていたんですけど(笑) ナタリア次第で、潔く身を引く男になれるし、大規模な策略を実行することもできる。そこに、彼のナタリアへの想いの強さを見たように思います。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 泣けない兎2
    泣けない兎2
    「泣けない兎」の続編。僕は1時間半ほどで全てのエンドを見ることが出来ました。前作「泣けない兎」もキャラクターの個性が光る素敵な作品でしたが、今回は更にテーマを深めた内容になっていると感じました。エンドによっては壮絶な展開になりますが、それだけにTrue Endで救われる思いがしました。 @ネタバレ開始 本作品は「白夜に何があったのか。今、何を考えているのか」に迫っていく物語です。僕は前作「泣けない兎」クリア直後に本作品をプレイし始めたのですが、いきなり迎えたバッドエンドに心をえぐられました。「笛、あんなに頑張ったのに……!」と思うのと同時に、「白夜はどんな思いでいるんだろう? 過去に何があったんだろう?」と気になって仕方がなかったです。 本作品の素晴らしい点として、バッドエンドが「単なる間違い」になっていないことも挙げられると思います。特定のエンドでしか見えないものが多々あるので、全てのエンドを回収したいという気持ちになります。その中では白夜の壮絶な過去も語られるため、読むのがつらくなることもありました(笑) が、本作品にはそれを上回る魅力もあるため、結局休憩することなく一気に読ませて頂きました。 物語の内容ですが……。白夜の過去を知って何度も心を乱されました。白夜の様子を見ていると、傷つけられていたのは体ばかりではなかったことがひしひしと伝わってきます。プレイ中は彼の言動に「どうして!?」と思ってしまうこともありましたが、全てのエンドを読み終わった後は「あのような考え方をしなければ、笛と出会うまで心を保って生き残ることもできなかったのだろう」と思いました。True endに至るための選択肢(笛の言動)は少し難しくもありましたが、本当の意味で白夜の思いに寄り添ったものだったと感じ、納得感がありました。見ないようにするしかなかった思いと今後どう向き合っていくのか……。今後の展開がとても気になります。 キャラクターは今回もみな魅力的でした(ただし両親は除く)。笛と白夜に対しては「とにかく幸せになってほしい……!」という思いでいっぱいです。神様や精霊たちは前作ほど出番が多くありませんでしたが、みな少ない登場の中でも「らしさ」を見せてくれて良かったです。そして、シーラ様は今回も素晴らしかったです……! 叶うことならシーラ様にお仕えした以下略 @ネタバレ終了 総じて、作者様の熱量を至るところで感じる素敵な作品でした。今後のお話もとても楽しみです。ありがとうございました!

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  • 泣けない兎
    泣けない兎
    僕は2時間ほどで読了することが出来ました。沢山のキャラクターが出てくるのですが、その1人1人が深く印象に残る、素敵な物語でした。 @ネタバレ開始 本作品の大きな魅力のひとつに、生き生きとしたキャラクター達の存在があげられると思います。神様や精霊はどんどん出てきますが、みな個性的で強く印象に残りました。その中でも特に、シーラ様は美しくて素敵でした……! 自分がドМなのもあって、例の選択肢では迷わずまずあちらを選びました(笑) 最終的には願いをかなえてくれるところも含めて、とても魅力的だったと思います。 主人公である笛も良いキャラクターでした。精霊たちが笛に協力的だったのには、様々な要因が絡んでいると思います。長年の準備期間があったからこそ、彼らを説得できた。笛は運が良かった。それはそうだと思います。しかし一方で、笛のまっすぐな思いがなければ精霊たちもきっと協力してくれなかっただろうとも思います。笛の願いが叶うTrue Endでは、心が温かいもので満たされました。「泣けない兎2」ではどのような物語が読めるのかとても楽しみです。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 三秒前の恋人
    三秒前の恋人
    僕は5分ほどで読了できました。物語はもちろん、「ティラノでこんなことができるのか!?」という感動もあって、大変印象深い作品となりました。演出に自分自身も関わることが出来るのも、また素晴らしいと思いました。 @ネタバレ開始 ストーリーについては、読み手によって様々な解釈ができると思います(それが本作品の魅力の1つだと思います)。 個人的には、最後も完全に記憶を取り戻したわけではないのかな、と思いました。男性のあの時と変わらない穏やかな微笑みが、僕には悲しいものにも見えました。 しかし一方で、全く同じ金魚や指輪を選んだことは、単なる偶然にしては出来過ぎている気もします。あの時の記憶は、男性の心のどこかにちゃんと眠っている。そう信じたいなと思いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

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  • メモリ - 学校の怪談 -
    メモリ - 学校の怪談 -
    僕は1時間ほどで読むことが出来ました。軽妙な文章のおかげでするすると読むことができましたが、一方で、その内容は濃かったと感じます。様々な思惑が交差するお話で、かなり読みごたえがありました。もっと味わいたいと思った僕は、本編を2度読ませて頂きました。「この行動にはそんな意味があったのか……!」と気が付くところも多々あって、2度目も楽しく読むことが出来ました。 @ネタバレ開始 本作品はミステリーとして大変良くできていたと思います。提示される謎はなかなか興味深いものでした。「どうやって?」という方法も気になりましたが、それ以上に「何のために?」という目的が気になって、自分なりに色々と考えずにはいられませんでした。結局、僕は真実にほとんど近づけませんでした(笑) 途中まで色々と疑ってしまっていたミナミさんには謝罪しなければなりません(ヒントはきちんとあったので、鋭い方ならちゃんと推察できるだろうと思います)。 黒幕の正体を知った時は本当に驚きました。終盤の山田さんのあの行動も全く予想外で、あのあたりは何度か鳥肌がたちました。後日談のオチもバッチリ決まっていて、大変面白かったです。 しかし、先生の洞察力、判断力は本当に素晴らしいですね……! 冒頭のミチヲ先生とのやり取りから只者でないと思っていましたが、いやはやすごい。先生の推理力には最初から最後まで感嘆するばかりでした。自分は2度目のプレイもしたのですが、これがまた楽しかったです。例えば、百合子を誘導するようなある人物の台詞。初回プレイでは全然気に留めなかったんですが、なるほどそういうことだったんですね……! 再読することで、改めて先生の鋭さを感じました。 洗練された文章も本作品の大きな魅力のひとつだと思います。語彙の豊富さや読みやすさ、テンポの良さは大変勉強になりました。また、それに加えて素晴らしいと思ったのは、文章を読むだけで百合子がどんな人物なのかちゃんと伝わってくる点です。ユーモアもまじえた彼女の語りは、読んでいてとても好感が持てました。彼女と先生が今後どんな物語を紡いでいくのか、とても楽しみです。 @ネタバレ終了 総じて、最初から最後まで楽しく読める素敵な作品でした。ありがとうございました!

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  • Crescendo Moon
    Crescendo Moon
    僕は20分ほどで最後まで読了できました。とても良い雰囲気の作品で、プレイ後は心が温かくなりました。 @ネタバレ開始 本作品はその舞台設定が素晴らしかったと思います。夜の海というひっそりとした場所が舞台であることが個人的に良いなと思いましたし、そこに現れた女の子との等身大の交流も良かったです。お互い、普段の様子は知らない点も好きなポイントです。「2人とも、昼間はまた少し違う顔で過ごしているのかもなあ」なんて思いました。 2人で過ごした時間はわずかですが、その思い出はそれぞれの胸にずっと残り続けるんじゃないかな、とも思いました。 女の子の立ち絵も柔らかな雰囲気で本作品に良く合っていたと思います。表情が豊かな点も良かったです。 @ネタバレ終了 とても素敵な作品をありがとうございました。

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  • 明日、嘘がわからなくなっても
    明日、嘘がわからなくなっても
    「今日、真夏の星を、愛衣と」の続編であり、オリ姉こと織音との交流を楽しめる作品。僕は1時間45分ほどで最後まで読了できました。僕は前作「今日、真夏の星を、愛衣と」もプレイ済みです。前作のキャラクター達との再会に懐かしさを覚えながらプレイさせて頂きました。 @ネタバレ開始 本作品の見どころは、やはりオリ姉との交流だと思います。いやあ、オリ姉可愛かったですね……! 個人的には、前作よりもずっと魅力的なキャラクターとしてうつりました。途中、ちょっとドキドキしてしまうような展開になることも含め、オリ姉の魅力を堪能できるお話だったと思います。きちんとハッピーエンドで終わるのもこの2人にぴったりだなと思いました。 また、前作「今日、真夏の星を、愛衣と」で登場したキャラクター達とまた会えたのがとても嬉しかったです。今日華は本作品でもちょっと良い仕事をしてくれたと感じます。それだけに、夏姫にももう少し見せ場があったら嬉しかったなあ、と個人的には少し思ったり……(笑) なお、僕の推しの1人でもある寮長が最後の最後で出てきてくれた時は思わずガッツポーズをしてしまいました。 愛衣と会話をするシーンは、本作品の中でも特に印象的だった場面の1つです。彼女とまた軽妙なやり取りができることが僕も嬉しかったし、だからこそ、「どうしようもなく、俺はもう前に進んでしまっていることに気付かされた」という准の独白が切なかったです。「今日、真夏の星を、愛衣と」をプレイした時の感動が蘇る、素晴らしい演出だったと思います。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 高層マンション
    高層マンション
    高層マンションの書斎に閉じ込められた主人公が脱出を試みるお話。僕は45分ほどで「真エンド」を含む全てのエンドを回収することが出来ました。「幸せとは何か」という問いが様々な形で提示される作品で、自分なりに色々と考えずにはいられませんでした。 @ネタバレ開始 本作品の真骨頂は、吉田浩の物語が1度終わった後からだと感じます。特に、「真エンド」直前で明かされた真実には度肝を抜かれました。吉田浩は「何も知らないから幸せだった」というわけですね……! 「良い話」として成立しつつも、それだけで終わらせなかったところに本作品最大の魅力があると思いました。 個人的には、吉田匠がどんな道を選んでも何かしらの悩みを抱えることになる点が良かったと感じます。生きていれば誰かを傷付けることは絶対にあるし、後悔することもあります。誰かの幸せのために、自分はぐっと我慢しないといけないことだってある。そうした人生の苦みをいっさい抱えずに生きるのは不可能なんじゃないかな、と個人的には思っています。 そんな人生の中で、我々はいかにして幸福を見出していくのか。どういう考え方でいて、何を頑張っていけば良いのか……。そのことについて、改めて自分なりに考えさせられました。とりあえず、「家族には優しくありたい」と改めて思うことができたので、本作品には感謝しています(笑) @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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