九州壇氏のレビューコレクション
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止水 -しすい-僕は約2時間ほどでプレイできました。グラフィックや演出もハイクオリティで完成度が高い本作品ですが、僕はそのシナリオに強く心動かされました。特にラストの展開が素晴らしかったと思います。 @ネタバレ開始 「田舎」、「神社」、そして「幼馴染のヒロイン」と自分の好きな要素が揃っていたこともあり、大きく心揺さぶられる作品となりました。 自分としては、ラストの展開がもっとも素晴らしかったと感じました。中吉エンドも美しくて良かったですが、自分は大吉エンドが胸に刺さりました。あのルートで了が選んだ道には、想像できないほどの苦難もあっただろうと思います。それでも、最後の2人の様子をみるとこれで良かったのだと思いました。僕はクリア後にタイトル画面が変わる演出が大好きなのですが、本作品のそれは特に強く心に残りました。クリア後もしばらくはプレイ画面を閉じることができず、余韻に浸っておりました。 また、個人的な好みで言わせて頂きますと、中盤に了が止水を探しさまようシーンも大変良かったと感じました。同じような光景が繰り返され、少しずつ色を失っていく演出のおかげで、了が理性を失っていく様子がひしひしと伝わってきました。あの絶望感があったからこそ、ラストの美しさが際立ったのだとも思います。 演出面は僕が言うまでもなくハイクオリティで、物語への没入感を高めていたと思います。表情豊かなキャラクターたち、操作しやすいUI。フルボイスであることも含め、商業作品と比べても遜色ないものであったと思います。演出の際のウェイトなんかも絶妙で、同じくゲームを作っているものとしては大変勉強になりました。 キャラクターで言えば、ダントツで止水が好きです。彼女を好きになり、了には強く感情移入できたおかげで、中盤以降は感情がジェットコースターになっていました(笑) また、彼女の父親であるつかささんも素敵でした。どんな思いで2人を見守っていたのかと思うと、胸に来るものがありますね……。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!
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そしてパンになる(ADV版)僕は計7時間ほどで読了できました。あまりにも予想外な展開が見どころであろう本作品ですが、個人的には、登場人物らの交流と成長の描写が特に素晴らしかったと感じました。 @ネタバレ開始 本作品の大きな特徴は、終盤の驚きの展開にあると思います。特に、心音ルートのラストの展開は言葉を失いました。キャラクターとしては特に心音が好きだったので、感情も大きく揺さぶられました。 また、おまけルートのラストのインパクトもすごかったです。個人的には「皆、このルートでなんとか救われてくれ!」と思いながら読んでいたのですが、ああいうオチになるとは……。悲しんだらいいのか笑っていいのか分からない。そんなとても不思議な感情に包まれました。「自分だったら、食べるんだろうか?」なんてことも、読後はしばらく考えてしまいました(笑) この感覚はしばらく忘れられそうにありません。 なお、僕が最も素晴らしいと思ったのは、モノづくりに励む登場人物たちが交流を通して成長し、結果として素晴らしいものを作り上げるという過程の描き方です。パン作りのことはまったく知らない僕ですが、「こういう交流があれば、確かにより良いものが作れそうだ」と強く感じましたし、「なんだかパン作りって面白そうだな」とも思いました。 シナリオは特に恵美ルートが好きです。亮と恵美がお互いの腕に嫉妬しているところや、恵美の本当の才能が徐々に明らかになっていくところ、彼女が自分の才能に磨きをかけていくことでパン職人として成長していくところ、等々……。本ルートは説得力を感じる描写が特にいくつもあり、読んでいて強く引き込まれました。最後の盛り上がりも素晴らしく、「青春もの」の醍醐味を1番味わえるルートだったと思います。 ヒロインとしては心音が1番好きです。呼び方が突然変わるシーンは、正直悶えました(笑) 心音とはなんとか幸せに結ばれてほしいと思っていたので、なおのことラストは衝撃を受けました。やっぱり、自分なら食べられないかなあ……(笑) @ネタバレ終了 面白い作品をありがとうございました!
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がんばれ!ヤマトくん僕は10分ほどで読了できました。教育番組に登場しても何ら遜色ないようなクオリティで、素晴らしかったです! @ネタバレ開始 可愛らしい見た目の本作品ですが、クオリティは大変高かったです。どんな風にこの作品が作られたのかもとても気になります……! ストーリーも短いながら起伏に富んだ内容で、プレイ後の満足感は高かったです。 好きなキャラクターはネイルちゃんです。大きなリボンが特徴の彼女ですが、ひょっとしたら彼女の下にあった文庫本「魔女の宅急便」を読んで影響を受けたのかな、なんてことも想像しました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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雨音と自動人形 結(むすび)僕は1時間30分ほどで読了できました。いずれの要素もハイクオリティですが、本作品はそれらの調和が高いレベルでとれている点が特に素晴らしかったです。 @ネタバレ開始 「ここではないどこか」の世界へと強く引き込まれる作品でした。「バス停で主人の帰りを待ち続けるアンドロイド」という冒頭の強い引きから始まり、そこから徐々に真実が明らかになっていく。そんな洗練されたシナリオで、最後まで一気に読ませて頂きました。 プレイ中は終始、美しい物語の世界に酔わせて頂きました。立ち絵やBGM、ムービーはいずれもハイレベルです。また、単に各要素が綺麗だとか格好良いというだけでなく、それらの調和がとれているところが素晴らしいと感じました。それぞれの要素のベクトルが一致しているからこそ、ここまで物語の世界に深く没頭できたのだと思います。 個人的には、こうした美しい雰囲気を壊すことなくこのシナリオを描き切っている点が最も素晴らしいと感じました。本作品は人間の生々しい部分もけっこう描かれていて、特に終盤は書き方次第で雰囲気が大きく異なる物語になってしまったと思います。本作品においては、人の弱さ、儚さにすらも一種の美しさが感じられ、終盤の展開によって雰囲気が大きく損なわれたとは感じませんでした。この点に僕は強く感銘を受け、プレイ後は無粋ながら色々と考えずにはいられませんでした。「博士の過去がきちんと描かれていたからこそ、彼への哀しみを感じられたのかな」とか。「だからといって過去をあまりにも長々と書かれるときつかっただろうな」等々……。考えれば考えるほど、このあたりはさじ加減が絶妙だったのだと感じます。 肝心のストーリーですが、こちらも素晴らしかったです。博士の身勝手にも思える願い。それを、かつての博士と共に育んできたアヤの思いが否定する。このシーンは、演出の力もあって深く心に残りました。思いを受け継いだアヤが封じ屋として活動を続けているというラストも泣けてくるほどに素敵でした。エンディング後のタイトル画面も印象的で、しばらくはBGMの「Dear Childhood Memory」を聞きながらアヤの姿に見入ってしまいました。 @ネタバレ終了 総じて、「ここではないどこか」へと連れて行ってくれる素晴らしい作品だったと思います。この物語に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました!
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夏色のコントラスト【リメイク版】僕は40分ほどで読了できました。Nscripter版はプレイ済みで、10年以上ずっとHDに保存していたくらいに大好きな作品なのですが、今回久しぶりに本作品を読むこととなりました。改めて素晴らしい物語だと思いましたし、以前は意識していなかった本作品の良さを感じました。 @ネタバレ開始 読んでいるだけで心が温かくなってくる物語でした。何かものすごく特別な事件が起こるお話ではない。強烈な個性を持った作品というわけでもない。それなのに自然とストーリーに没頭してしまったのは、登場人物や舞台となった田舎の魅力によるものだろうと思います。 キャラクターは優しくて思いやりのできる人ばかりで、「この中に入れてほしい……」なんてことも思いました(笑) 自分は特に健児が好きです。小学3年生でこれだけの気遣いができるとなれば、きっと広瀬君以上にモテるのではないでしょうか(笑) また、作品全体から感じられるメッセージが温かくて、その点も大変良かったと思います。ラストは、「世界は明るい色ばかりでできているわけではない」ことの肯定的な面を感じさせてくれるものであり、今回もジーンとさせて頂きました。 次に文章についてです。文章の読みやすさ、テンポの良さについては今さら僕が言えることもありませんので……(笑) 自分は生活感のある描写について感じたことを少し述べさせて頂きます。 例えば、広瀬君と健児がキャッチボールをするシーン。ゴムボールをなくして、今は硬式のボールとグローブが1つだけあることがさらりと語られます。このシーンは、あってもなくても展開に大きな影響はないはずです。でも一方で、こうしたくだりがあるのとないのとでは作品の印象が全然違ってくるだろうとも思いました。この描写によって、「ゴムボールを買い直そうという話にはならなかったのか」とか、「グローブ1つで普段はどうしているんだろう。ひょっとして健児は……」など色々な想像が自然に働き、結果として彼らが生活している様子がリアルなものとして感じられました。あいはらさんの文章に対して、「簡潔で読みやすいのに、それでいて情景が目に浮かぶようで、すごいなあ……」となんとなく思ってきたのですが、それはこうした描写によるところもあるのかな、と今回思いました。 なお、なかなかない機会ですので、自分がHDに保存していたNscripter版と読み比べをしてみました。リメイク後は全体として文章が更に読みやすいものになっていたと思いましたし、登場人物のセリフがより「その人らしい」ものになっていたと感じました。後半、めぐみと話をするシーンは特にリメイク後の方が好きです。 @ネタバレ終了 自分にとっては約10年ぶりに再読するような形となりましたが、今回も主人公たちと共に穏やかで楽しい時間を過ごすことができました。素晴らしい作品をありがとうございました。
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エソラノコト僕は20分ほどで全てのエンドをみることができました。作者様のセンスの高さをいたるところで感じる洗練された作品で、読了後は物語についてあれこれと想像せずにはいられませんでした。 @ネタバレ開始 超常現象がでてくるお話ではありますが、その一方で2人のやり取りは等身大であったところが特に素晴らしかったと思います。エソラの謎が解けるきっかけがアプリという点も印象的でした。「この世界の目立たないところで、ひっそりとこんなことがあったのかも……」なんて思わせてくれる物語でした。 舞台を屋上に限定し、あえて多くを語らなかった点も本作品の雰囲気によく合っていたと思います。僕は幼馴染という関係が好きなのですが、それもあってかプレイ後はしばらくこの作品のことばかりを考えていました。個人的には、2人にまた再会してほしいなと思いました……。 グラフィックはどのシーンも美しく、素晴らしい出来栄えだったと感じます。様々な顔を見せる夏の空と、ずっと長袖を着たままのエソラの対比が切ないですね……。読後は「ギャラリー」を見ながらしばらく余韻に浸らせて頂きました。エソラがにっこりと笑ったイラストが特に好きです。 要所でのみBGMを使用するという演出も大変良かったです。時間を経過を思わせる効果音も強く印象に残りました。 @ネタバレ終了 総じて、どこを切り取っても美しい作品で、強く心に残りました。夏の終わりにこの作品をプレイできて良かったです。素敵な作品をありがとうございました。
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ティラノフェス2021オープニング
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夢見た少女のニルヴァーナ僕は10時間ほどで読了しました。全ての面で完成度が高い作品ですが、自分はその中でもシナリオの質の高さが強く印象に残りました。読んでいてとにかく面白い作品で、10時間があっという間に感じました。 @ネタバレ開始 僕が特に素晴らしいと思ったのはシナリオです。本作品は読者を引き込む力がすさまじく、特に中盤からは夢中になって読み進めていました。平日の夜、ほとんど徹夜でプレイしてしまうくらいに面白かったです。 本作品は、謎が徐々に解き明かされていく過程が見事だったと感じます。中でも第1章は素晴らしい完成度で、この章を読み終わる頃には「夢見はいったい何者なのか」、「主人公である在志はどうなってしまうのか」、「夕月はどうなってしまうのか」という大きな謎が気になってたまらなくなっていました。 なお、その謎の答えは最後の最後まで分かりません。そうなると、分からないことへのストレスを感じてもおかしくなさそうですが、本作品ではそのようなことがほとんどありませんでした。これは、途中で新たに出てくる小さな謎がきちんと解決され、それとともに大きな謎の真相が徐々に見えてくるという構造になっていたからだと思います。作品全体を貫く大きな謎と、各章ごとに解決される小さな謎。これらの配置のバランスが実に見事で、読んでいてとても面白かったです。 また、「緊張」と「緩和」に富んだ展開も本作品の素晴らしい点だと思います。在志達に突き付けられる問題はかなり深刻なものであり、その問題に直面しているシーンでは毎回緊張感が高まります。一方で、その途中の日常パートは結構ほのぼのとしていて、登場人物らのやり取りを楽しく読むことができました。本作品で「読み疲れ」をほとんど感じなかったのは、この緊張と緩和のバランスが良かったからだと思います。 少しだけ同じ物書きとしての目線で語らせて頂くと、「タイムリミットまで1年間」という設定が秀逸だったのだと感じます。一定の緊張感を保ちつつ、その上でコミカルで微笑ましいシーンも入る余地が生まれたのは、この長いようで短い期間設定があったからかな、なんて思いました。 なお、「緩和」の1つであるギャグパートも面白かったです。例えば「流してくれ」、「し、島にですか?」の下り。夢見の特殊な環境で生きてきた背景も感じさせる、ハイセンスなやり取りだったと思います(笑) また、季咲を肩車する流れで発せられる「どうなっちゃうの!?」というセリフ。ここは声優さんの言い方もめちゃくちゃ良くて、しばらく笑いが止まりませんでした。 ちなみに、笑っていいのだろうかと迷ったのは白菊が縛られてしまうシーンです。「なぜわざわざこの縛り方なんだ?」と思ったのですが……。これは僕の心が汚れているから笑えたのかもしれません(笑) 作品全体を貫くテーマにも強く心を揺さぶられました。厳しい運命を背負った登場人物が支えあいながら奮闘する様子を通して、「人が持つ強さ、温かさ」をひしひしと感じました。これは、軽々しく扱ってしまうと陳腐になりかねないテーマだと思います。が、本作品はその逆である「人の弱さ、冷たさ」もちゃんと描いていたからこそ、テーマがまっすぐに胸に響いてきたように感じます。ラストはとても心が温まるものでしたが、在志達の強さがなければこのような展開にはならなかったんでしょうね……! 「自分も誠実に生きたい」と思わせてくれる、素晴らしいエンディングだったと思います。 他の素晴らしい点としては、主要メンバーが全員魅力的であることも挙げられると思います。みんな、仲間思いで本当に良いやつらですよね……! 読み進めるほどに全員に愛着がわいてきましたし、だからこそ、夕月やあずきが夢見に敵意を向けるシーンは胸が苦しくなりました(この物語があのようなエンドで本当に良かったです……!)。 また、登場人物の立ち絵やボイスも素晴らしかったです。 立ち絵はもう見ての通りのクオリティで、僕が言うまでもないと思います(笑) ボイスについては、どなたもシリアスなシーンからギャグシーンまで違和感なく演じられていて、商業作品にもひけをとらない完成度であったと感じます。個人的には、終盤のあずきのボイスに痺れました。 BGMも印象的なものが多かったです。各キャラクターのBGMは、いずれもその雰囲気によくマッチしていたと思います(中でも「なんじゃろほい」と「SAKI.Channel」が好きです)。 なお、全てのBGMの中で僕が1番好きなのは、タイトル画面で流れる「夢見る少女の世界」です。特に、クリア後のタイトル画面でこの曲が流れた時は鳥肌が立ちました。この物語の始まりと終わりを彩るにふさわしい、素晴らしいBGMだと思います。 @ネタバレ終了 総じて、商業作品に遜色ないクオリティの作品でした。中でも読者をぐいぐいと引き込んでいくシナリオが秀逸だと感じました。この素晴らしい作品を作り上げられた皆様には感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
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ブラックコーヒー僕は20分ほどで全て読了することができました。短編ではありますが満足感の高い作品でした。文章、イラスト、BGM、効果音、それら全ての要素で品の良さを感じました。プレイ後はブラックコーヒーとショートケーキを食べたくなりました。 @ネタバレ開始 節度のきいた、ほど良い距離感で繰り広げられるふたりの会話が素晴らしかったです。ED3は特に微笑ましく、その先を想像せずにはいられませんでした。 落ち着いた雰囲気のBGMと効果音も印象的で、自分もお洒落な喫茶店に行った時のような気持ちになれました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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忘れ傘の矜持僕は50分ほどで読了できました。ユニークな設定と、楽しい雰囲気が魅力の素敵な作品だったと思います。 @ネタバレ開始 最初から最後まで楽しく読める作品でした。 僕が本作品で特に素晴らしいと感じたのは、2人(2つ?)の傘のキャラクターです。どちらもかわいらしかったですし、何より、「こんな生い立ちの傘なら、確かにこんな性格になりそうだ」という納得感がありました。この作者さんは以前からモノを擬人化してお話を書くのがお上手だと思っていたのですが、本作品でもその持ち味が存分に生かされていたと感じます。個人的には、ペチュがとても良かったです。 また、牧野さん、巫女さん、友人である堂林といった他のキャラクターもみな生き生きと描かれており、彼らとのかけあいはどれも楽しく読めました。終わってみると主人公であるツグミが1番常識人だという気もしますが、その一方で、彼の性的嗜好は強烈に印象に残りました(笑) ストーリーについては、起承転結がありつつも雰囲気が重くなりすぎないように描かれている点が印象的でした。2つのお話、どちらもストレスなく楽しく読むことができました。 ペチュの物語は、彼女とその持ち主の絆を中心に描かれたものです。僕がペチュというキャラクターを好きになったこともあって、特に良かったと感じます。「モノと話せる能力があったら本当にこんなことがありそうだ」と感じるお話で、感情移入しながら読むことができました。 ニュンの物語は想像していたよりもスケールの大きな話へと展開していくので、その意外性を楽しむことができました。巫女さんの強烈な個性が光るお話でもあり、何度か声を出して笑ってしまいました。 演出面については、物語に没入できるための様々な工夫がなされていたと感じます。特に、ペチュとニュンはものすごく動きますし、表情もくるくると変わります。彼女らを愛らしく感じたのは、イラストや演出の力も少なからずあると思います。 システム面については、音楽鑑賞とあとがきがあるのが良かったです。BGMへの一言も全て楽しく読ませて頂きました。 少しだけ気になった点をあげさせて頂くと、セーブ、ロードをする方法が少し分かりにくかったかもしれません。個人的には、メニュー画面へと飛ぶアイコンがもう少し見えやすいと更に良かったのではないかと思いました。 @ネタバレ終了 総じて、作者さんの個性、そして、ストレスなく楽しく読める工夫を強く感じる素敵な作品だったと思います。ありがとうございました!