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九州壇氏のレビューコレクション

  • 初恋の後悔
    初恋の後悔
    僕は2時間40分ほどで読了することが出来ました。読了後、「自分も人生に誠実でありたい」と思えるような素晴らしい作品でした。 @ネタバレ開始 とても良い読書体験ができたと感じています。 僕がまず素晴らしいと思ったのは、その雰囲気です。本作品からは温かさや誠実さがずっと感じられていて、読むほどにこちらも優しい気持ちになれたように思います。これは、本作品が持ついくつかの魅力からくるものだろうと思いました。 本作品の魅力の1つとして、多くの登場人物が「優しい人」であったことがあげられると思います。全編通して、「距離感を大事にして、相手の領域はむやみに侵さないようにする」といった配慮が出来る人が多かったように感じます。彼らとの思いやりのある交流は、玉木くんだけでなく、プレイヤーの心も癒してくれていたのだと思いました。 なお、どうして彼の周りに温かい人が多いのかも考えてみたのですが……。その理由の1つとして、玉木くん自身がある種の誠実さをずっと持ち続けていたこともあるのかな、なんて思いました。もし彼が自分の心に嘘をつき続け、嫌いな人の前でもニコニコしているような人間だったら、彼を取り巻く人間関係はまた違ったものになっていた気がします。 彼らの学生生活が良い意味で「普通」であったことも、本作品から温かさを感じる理由の1つだと思います。自分にも身に覚えのあるような他愛もないやり取り。それが出てくるたびに、なんだかほっとしました。 例えば伊藤さんと自己紹介を行うシーン。早く終わって気まずくなる様子が丁寧に描かれていますが、あそこまで細かく描写するところにこそ本作品の魅力があるのだと思いました。「あるある」を大切に描いているからこそ、彼らの存在を身近に感じられたのかな、と。 他にも、古くからの友達と馬鹿なことをやったり、バイトに忙殺されることに悩んだり、一人旅をするシーンも好きです。「こういうこと、自分もやってたなあ……!」と懐かしい思いで読ませて頂きました。 なお、本作品の大きな見どころであろう玉木くんの成長の描写も、大変興味深く読ませて頂きました。 冒頭の彼は、自分を守ることに一生懸命だったように感じます。しかし、周囲の人との交流を通して少しずつ自己洞察を深めていき、ついに恋を知ることになる……。その流れが丁寧に描かれていて、素晴らしいと思いました。ちゃんと自分の頭で考えて選択していこうとする彼は、これから良い人に巡り合うだろうなと思います。彼を見ていると、自分も襟を正さねばという思いになりますね……! なお、個人的には佳世ちゃんとの再会のシーンが大好きです。彼女とはまたどこかで再会してほしいとずっと思っていたので、彼女が再登場してきたところで痺れました。佳世ちゃんにも是非幸せになってほしいなあ……。 演出面も丁寧に作られていたと感じました。主人公が何かを考えているところでは背景が少し暗くなるのですが、こうした細かい配慮のおかげで物語への没入感が増したように思います。クリア後の「登場人物」も大変良い演出だと思いました。それぞれの人物とのエピソードが思い出されましたし、「玉木くんがこうした心境に至れたのも、沢山の人のおかげなんだよな……」としみじみとした気持ちになれました。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!

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  • てんがいちかく
    てんがいちかく
    僕は20分ほどで最後まで読むことが出来ました。徐々に真実が明らかになる構成で、大変面白かったです。 @ネタバレ開始 感想欄の雰囲気から、「多分意外な事実が明らかになっていく系なんだろうな」と予想しつつ読ませて頂いたのですが……。素晴らしい構成に終始唸らされました。個人的には、「なるほど、そういうオチだったのか」と一度思わせてからの最後のどんでん返しに痺れました。 なかなか重たい話でもあり、特に主人公の最後の言葉が印象的でした。「てんがいちかく」とは、大河くんからみた主人公のことだったのかな、なんて僕は思いました。 @ネタバレ終了 総じて、プレイ時間に比して満足感の大きな作品でした。ありがとうございました!

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  • Your Concept
    Your Concept
    僕は1時間ほどで読了することが出来ました。コンセプトバー・カフェ(コンカフェ)がどんなものなのかを体験できる、素敵な作品だったと思います。僕自身はコンカフェにそこまで馴染みがないのですが、「コンカフェって、めっちゃ楽しそうだな……!」と思いながら読ませて頂きました。 @ネタバレ開始 本作品の大きな魅力として、コンカフェの店員さんとの軽快なやり取りがあげられると思います。個性豊かなメンバーとのやり取りはどれも楽しく、何度も通う主人公の気持ちはよく分かりました。ディーブな話ができてテンションが上がるところは、自分もかなり身に覚えがあります(余談ですが、自分も〇花さんのおみ足が好きです(笑))。それに加えて、仕事の労をねぎらってくれたりもしたら、そりゃまた行きたくなりますよね……! キャラクターとしては、特にゆいさんが好きです。 物語としては後半大きく動き出しますが、ここからのシリアスな展開もかなり読みごたえがありました。ゆいさんの関係がどのように変わっていくのか、こちらもドキドキしながら読ませて頂きました。コンカフェで働いている店員さんの中には、同じように頑張っている人って結構いるのかもしれないなあ、なんてことも思ったり。今後さらに続きを制作中ということで、とても楽しみです。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • エレベーター ~性格不安定な僕とみよちゃんの物語~
    エレベーター ~性格不安定な僕とみよちゃんの物語~
    僕は1時間ほどで全てのエンドを見ることが出来ました。プレイしていて、とにかく楽しい作品でした。 @ネタバレ開始 とても面白いゲームでした! どうすれば「けっこんエンド」にたどり着けるのかとあれこれ考えるのが実に楽しかったです。これはまったく個人的な話なんですが、「しんせつ」なだけだと「おしい」で終わってしまうのは、なんだか自分にも当てはまる話だという気がしてドキリとしました(笑) 「けっこんエンド」の過程で主人公がとった行動はめちゃくちゃ格好良いと思います……! 苦労してたどり着いたこともあって、エンドロールが流れた時はちょっと感動してしまいました。 主人公の性格によって、みよちゃんと課長の反応が全然変わってくるところも大変良かったと思いました。2人とも人間味がある良いキャラで、掛け合いはどれも楽しかったです。なお、みよちゃんがほの字になってからのやり取りが僕は1番好きですが、「へんたい」になってしまった時に罵られてしまうのも悪くな以下略 演出面にもこだわりを感じました。 グラフィックについては、キャラクターの表情がくるくると変わるところが印象的でした。みよちゃんの赤くなっている顔と、ジト目をしている表情が特に好きです。 BGMについては、特にエンドロールで流れている曲が良かったです(「The Milkey Way」という曲なんですね)。 また個人的には、登場人物たちの性格、発言に「少し前」の空気を感じられたところも素晴らしいと思いました。特に課長さんのキャラクターは絶妙で、レトロゲームっぽさがよく出ていたと思います。この辺りはやりすぎるとかえって興ざめになっていただろうし、かなり塩梅が難しかったんじゃないかなという気がします。こういう細かいところのバランス感覚も含めて、本当に良くできた作品だと思いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • Sea glass(シーグラス)
    Sea glass(シーグラス)
    僕は20分ほどで最後まで読了することが出来ました。とてもお洒落な作品で、読んでいるだけで自分もバカンスに行っているような気持ちになれました。文章やグラフィックも洗練されており、作者様のセンスの良さを至るところで感じます。全体として無駄を感じるところがなく、短編作品としての完成度が高いとも思いました。 @ネタバレ開始 「美しい私」に命を懸けたその在り方について考えずにはいられませんでした。彼女はおそらく自分に厳しいストイックな人間なんでしょうけど、一方で、それが多くの人に愛される所以だったという気もします。他の道はなかったのだろうかと考えると、少しやるせない思いにもなりますね……。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • お前のスパチャで世界を救え
    お前のスパチャで世界を救え
    僕は1時間で全エンドを回収することが出来ました。にあちゃんの可愛らしさに惹かれてプレイし始めたのですが、笑って泣けるシナリオにぐいぐいとひきこまれていきました。 @ネタバレ開始 とても楽しく読める作品でした。Vtuberという題材の新しさや、にあちゃんの可愛らしさがまず目をひく作品だと思うのですが、シナリオも素晴らしかったと感じます。序盤から提示される謎のおかげで、こちらもあれこれ考えながら読むことが出来ました。また、テンポの良さやクスリと笑えるネタを仕込んでいるところも、本作品の大きな魅力だと思います。個人的には、消失を免れるための解決策が好きです。ぶっ飛んでいるようで結構リアリティがある形になっており、素晴らしいと思いました。エンドとしては【?END】が1番好きです。 なお、「Vtuberの消失」というテーマには自分にも苦い記憶があるので、本作品のテーマはかなり心に刺さりました。自分にもひっそりと応援していたVtuberさんがいたのですが、現在は活動中止となってしまい、アカウントはもちろん、公開されていた動画も全て削除されています。こういうケースは決して珍しくないんでしょうけど……。まるではじめから存在しなかったようになってしまうのは、結構悲しかったんですよね。「もっとちゃんと声を届けておけばよかった」という後悔はいまだにあるので、本作品の主人公にはかなり共感できました。「推したいと思った時に全力で推す」という態度を今後も大事にしたいと思いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • Vergunty  ヴァーガンティー
    Vergunty  ヴァーガンティー
    僕は4時間30分ほどで3つのエンドを回収することが出来ました。主人公達の想いの行方に目が離せなくなる、素晴らしい作品だったと思います。 @ネタバレ開始 すごいシナリオでした……。美月君との関係をめぐる葛藤だけでも十分読みごたえがありましたが、そこにジュンさんまでからんでくるとは……! 終盤は「これ、どうなっちゃうんだ?」とハラハラしながら読ませて頂きました。 本作品の大きな魅力のひとつとして、丁寧な心理描写があげられると思います。視点を変える、過去のエピソードも時折はさむといった工夫のおかげで、主要メンバー全員に感情移入できる作りになっていたと思います。それだけに、終盤の展開は心揺さぶられました。「こちらの気持ちもわかる。でも、あちらの気持ちもわかる……!」と何度も頭を抱えました(笑) 彼女らが単なるわがままな人間でなかったことも大きなポイントだと思います。正直な思いを相手に伝えたり、自分が犯した過ちを隠さず謝罪するシーンは、どれも強く印象に残りました。「自分が同じ状況だったら、ここまで誠実に言えないかも……」なんて感心してしまうこともありました(笑) しかし、そんな彼女らですら振り回されてしまうのが、恋心だということですよね……。「恋は理屈じゃない」ことを痛いほどに思い知らされるストーリーだったと思います。 キャラクターで言えば、特に美月君が好きです。彼が苦悩を経て人間的な成長をみせてくれるところは、本作品の大きな救いになっているように感じました。また、前作「Lechenaultia -レケナウルティア-」の登場人物である春市と直が出てきた時はなんだかほっとしました。 結末については、2つの結ばれるエンドが好きです。美月君推しの僕ですが、ジュンさんとの生活も穏やかな幸せが得られそうだな、と思いました。なお、どちらともと結ばれないエンドを見ることが出来たのも良かったです。「選ばれなかったとしても、彼らはまた前を向いて歩いていけそうだな」と思えて、少しホッとしました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • モブだけど、主人公くんを好きになってもいいですか?
    モブだけど、主人公くんを好きになってもいいですか?
    僕は2時間ほどで全エンドを見ることが出来ました。シナリオやグラフィック、ムービーなど全ての要素が丁寧に作られており、完成度の高さを感じました。とにかくプレイヤーに余計なストレスを感じさせない作品で、終始物語に没頭することが出来ました。 @ネタバレ開始 僕が特に良いと感じたのはシナリオです。本作品は正統な恋愛青春ものですが、「読者が望むものをきっちりおさえてくれている」という安心感が終始ありました。 例えば、「ヒロインの小声は主人公に聞こえない」、「年上のお姉さんにからかわれながらもアドバイスをもらう」、「ちょっとバカっぽい友人が、終盤で格好良い一面を見せてくれる」なんてのは、身も蓋もない言い方をすれば、ギャルゲの「お約束」にあたると思うのですが。そのどれもが素晴らしくて、僕はニヤニヤするのをおさえられませんでした(笑) 「お約束」ってつまり、頻回に使われるくらい良い手法なんだと再認識……。プレイ中は、こちらがギャルゲに期待しているものを十分に味わえているという満足感がありました。 一方で、本作品ならではのオリジナリティを感じるところも多々あり、「よくあるギャルゲ」とは一線を画すシナリオに仕上がっていたと思います。「固定観念と、自分の本当の思い」が本作品のテーマかなと僕は思ったのですが、登場人物たちのそうした葛藤を丁寧に描いているところに個性を感じました。 僕は特に未空ルートの展開が好きです。クライマックス直前の栞の言動には、ちょっとウルっときてしまいました。また、その後の展開も大変良かったです。それまで自分のことをモブだと認識していた未空だからこそ映える、素晴らしい演出だったと思います。大変楽しく読めた作品でしたので、ラストは物語が終わることに寂しさも覚えました。 キャラクターはみな良いやつばかりで、嫌いな人物は1人もいませんでした。メインヒロインの2人は正直甲乙つけがたいですね……! どちらも良い子過ぎて、選択肢を選ぶのは毎回つらかったです。彼女ら2人に好かれる遙真が羨ましすぎる(笑) なお、ヒロイン2人についてはボイスも素晴らしかったです。照れた時の声のかわいらしさは反則だと思います。 少しだけ制作者目線の感想も述べさせて頂きますと……。「特殊な設定に頼らなくても、こんなに感動できるシナリオが描けるのだ」という点にも感銘を受けました。それは自分が制作者として目指しているものでもあるため、本作品に学ばせて頂くところは大変多かったです。登場人物らの長い間大切にしてきた思いを丁寧に描いているからこそ、ここまで感動できるものに仕上がったのかなあ、なんて思いました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 螺旋卵形線チェルアルコ
    螺旋卵形線チェルアルコ
    僕は8時間ほどで全エンドを見ることが出来ました。ストーリーはもちろん、「これを1人の人間が作った」という事実にも感動してしまうような、素晴らしい作品でした。特に、徐々に真実が明らかになっていく構成は圧巻で、時間を忘れてプレイさせて頂きました。 @ネタバレ開始 僕が本作品で1番素晴らしいと思ったのは、シナリオの構成です。エンドを回収するごとに少しずつ真実が明らかになっていく構造になっており、どんどん先を読み進めたいという気持ちにさせられました。プレイ中は「あのシーンってそういうことだったのか!」と気付く快感を何度味わったか分かりません。 個人的には、カラナールエンドで明らかになる事実に1番驚きました。まったく予想外だったのですが、最初からもう一度読み返すとちゃんと伏線があったことにもびっくりしました。「記憶はあるけれど、いまいち感情が伴っていない」こともそうですし、「鞄の中身が女の子っぽくない」というやり取りすら伏線だったとは……! 本作品は、再読がこうして楽しめたところも大きな特徴だと思います。「あー、今この人はこんなこと考えているんだ。だからこんな言い方をするのか」と気が付くことが多々ありました。 各シナリオの内容も素晴らしく、読み終えると主要キャラクター全員に愛着がわくものになっていたと思います。なお、フェルシニーへの印象は大きく変化するので、自分でも大分戸惑いました(笑) それでも終わってみると、「フェルにもやっぱり救われてほしい」と思いましたね……。 また、モナカが主人公であることも、本作品の大きな魅力だと思います。過酷な運命の中にあっても。分からないことがあっても。その中で正しいと思うことを選び、一生懸命に進んでいく。そんな彼女が主人公だからこそ、この物語を冒険するのがこんなにも楽しかったのだと思います。 なお、いくつかの謎は抽象的な説明に留められており、様々な考察も可能なものになっていたように感じます。読者同士であれこれ考察するのも楽しいんじゃないかな、なんて思いました。なお、自分が気になったのは……。 ・ロクスルートで最後に出てきた子は誰だったのか?(ひょっとして他作品で説明されるのかも?) ・モナカ、フェルの妹、スリヴァ、青の巫女の関係性は、結局どういうものだったのか?(フェルの妹の魂がスリヴァに宿り、その後青の巫女になったということ?) ・クリスには何が起こっていたのか?(そばにいたクリスに知らないことが結構あったのはなぜか。一部の記憶は分け与えられなかった? ひょっとして、知らないふりをしている時もあった?) ・クリスは最後どうなったのか?(存在の成り立ちを過去に遡って否定するということは、やっぱり……?) 等々……。物語の世界にかなりひきこまれていたこともあって、しばらくこうした謎のことばかり考えていました(笑) ただ、自分の理解力が足りず読み取れなかったところもあると感じるので、また時間をおいて読んでみたいと思います。 ここからは、エンドごとの感想を少し書かせて頂こうと思います。 フェルシニーエンド 初回でこのエンドにたどり着きました。フェルシニーに対する印象は、プレイ中に大きく変化しました。正直、僕は彼のことをなかなか好きになれずにいました。が、別のエンドでフェルシニーの過去を見てしまうと、彼にも共感せずにはいられませんでした。彼の多面性をきちんと描いているところは、本作品の素晴らしい点の1つだと思います。 僕は特にED3が好きです。 ルーシャエンド 最初に「彼のエンドをぜひ見たい!」と思ったのですが、結局2番目に見ることになりました。初回プレイ時のルーシャは残念ながら……だったので、初めてルーシャエンドを見られた時は感動しました。ルーシャがモナカに向けていう愛の言葉、普段なら「ちょっと真っすぐすぎるぜ……!」なんて感じそうなんですけど。ルーシャが言うと格好良いんですよね。 ED4はおさまりの良いエンドだと思いますが、僕は特にED5が好きです。 カラナールエンド 図らずとも4番目にプレイしたのですが……。4番目に読むことが出来て本当に良かったです。本作品の大きな謎の1つに触れるルートであり、特に読むのが面白かったです。ロクスルートで示された「あの人物の不在」の答えが提示された時は、本当に驚きました。 それにしても、カラナールは一途すぎて泣けますね……! モナカのことをどんな思いで見守っていたかと思うと、今でもちょっとくるものがあります。彼は特に幸せになってほしい1人です。 ロクスルート 3番目にクリアしました。個人的にロクスが1番好きなキャラであることもあって、大変面白かったです。ロクスがそばにいる時の安心感は異常ですね(笑) 能力的に頼りになるのはもちろんですが、その人間性に惚れました。「俺の運命」という呼び方、ロクスほどに似合う男はいないだろうと思います(笑) ビジュアルについては、魔法使いのロクスも、魔法使いでなくなったロクス(と呼ぶのは間違いかもしれませんが)もどちらも格好良いです。 なお、このルートで明らかになるフェルニシーの過去も印象に残りました。 クリスルート このルートにたどり着く頃には自分のテンションもかなり上がっていたのですが、こちらの期待にこたえてくれるエンドだったと感じます。「繰り返してきたからこそ、こうしてクリスと対峙できたのだ」という点が、めちゃくちゃアツいです……! また、これまでつかみどころのなかったクリスが感情を爆発させる様子は、かなり迫力がありました。 END12でクリスはどうなってしまったのか。またモナカ達と出会えることはあるのか……。本ルートは気になることも多すぎて、クリアしたその日はよく眠れませんでした(笑) 加えて、本ルート中のロクスの台詞が素晴らしかったです。 「全ての命は、幸せになるために生まれて来るのだ」 「そしてどうか信じて欲しい。 ……それでも世界は、愛に満ちて美しいのだと」 この2つは、この作品をここまで読んできた我々に向けられているようにも感じられて、少しウルっときてしまいました。 ストーリーのことばかり述べてしまいましたが、美術面、演出面ももちろん素晴らしかったと思います。特に、色鮮やかで神秘的な雰囲気もあるイラストはどれも強く印象に残りました。 @ネタバレ終了 総じて、作りこまれた世界観とシナリオの構造が圧巻の素晴らしい作品だと思いました。この作品に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました!

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  • 泣けない兎 短編集
    泣けない兎 短編集
    「泣けない兎」、「泣けない兎2」に引き続いてプレイさせて頂きました。僕は1時間20分ほどで5つのエピソードを読むことが出来ました。本作品を読んでいたからこそ楽しめたところもありますが、「泣けない兎」シリーズの導入編として読むのも全然問題ないと思いました。 @ネタバレ開始 「泣けない兎」、「泣けない兎2」をプレイ済みだった僕は、本作品の概要を読んで「結構重たいお話なんだろうな」と想像していました。事実、壮絶な過去が描かれるところもあったのですが……。本作品はそれだけにとどまらず、「その傷とどう向き合うのか」についても描かれており、短編作品としての完成度が高かったと感じます。 この作品では、神様や精霊たちが沢山のものを失ったことが描かれます。それは身体の一部だったり、大切な仲間だったりするわけですが……。加えて、「それまで信じていたものがなくなった喪失感」を作品のいたるところで感じました。彼らの失ったものは大きく、今後も心の傷がなくなることはないだろうと思います。それでも、その傷と共に生きていこうとする彼らの強さを感じました。 個人的には、「空言家族」が1番好きです。この作品で、セージ兄貴のことが一気に好きになりました。物語としての完成度が高く、シオンとの「兄弟」の伏線が最後にいきてくるところでは感動しました。また、ほど良くコミカルなところも良かったです。特に、イリスの前で兄貴がニッと笑うシーン。めちゃくちゃ笑いました。 コミカルなシーンと言えば、「ハナミズキ」でイリスが花を投げつけるシーンも良かったです。その設定上、イリスの内面に触れる機会はこれまで少なかったのですが、本作品のおかげでイリスに対しても親近感がわきました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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