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九州壇氏のレビューコレクション

  • かみさま の きもち
    かみさま の きもち
    2人の神様の気持ちを描いた物語。僕は5分ほどで読むことができました。 本作品の大きな魅力は、絵本を読んでいるかのような雰囲気にあると思います。テーマの選び方。テキスト。音楽。画像。ゲームシステム。その全てが、雰囲気を作るのに役立っていたと思います。特に、何度か繰り返し同じ表現、似た表現を使用する点がユニークでした。この作者さんの過去作品は全てプレイしていますが、この方はこうした遊びを入れた表現を書くのがうまいと感じます。余談ですが、過去作品をプレイしている者としては、バッジにも出てくるクマのぬいぐるみを見てニヤリとしてしまいました。 テーマについては、面白い着眼点だと感じました。かみさま達の違いについて、そういう風に考えたことがありませんでした。今度神社に行ったら、ふとこのお話を思い出しそうな気がします……。 独特な雰囲気が面白い素敵な作品でした。ありがとうございました。

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  • パーソナル・スペース
    パーソナル・スペース
    1人のコピー人間の生きた足跡を見ていく物語。僕は2時間30分ほどで読了できました。個人的な趣向と合致したこともあって、僕にとっては大変印象深い作品となりました。 @ネタバレ開始 個人的には、まず宇宙を舞台にしているところに強く惹かれました。いきなり私事を語ってしまい恐縮ですが……。僕は星や宇宙が好きで、プラネタリウムにも1人で行けちゃうような人間です。星空の美しさにはいつも癒されていますし、「あの星のある場所に、僕達は絶対に行くことが出来ないんだよな」なんてことを考えて、切ない気持ちになることもあります。そんな個人的趣向も影響しているかもしれませんが。本作品のタイトル画面を開いて、いきなり感動しました。まるで、静かに煌めく星空を見ているような気分になりました(「ピアノと星空の短いバラード」という曲、素敵ですね……! さっそく自分でもダウンロードしてみようと思います)。 シナリオについてですが、構成が非常に良かったです。情報の見せ方が大変巧みだったと感じます。 「過去に何があったんだろう」 「これから何が起こるんだろう」 その両者が気になるため、先を読まずにはいられなくなりました。個人的には、「ラズリは今どうしているんだろう」、「シロエはクロハと会えたんだろうか」という点が1番気になっていたんですが。こうした重要なことは、後半にならないと明らかになりません。「プレイヤーの気持ちをよく分かってらっしゃるなあ」という思いで読んでいました(笑) なお、自分も創作をしている身としては、この構成を成立させるための細やかな工夫にも感銘を受けました。本作品は、どうしても入れなければならない説明が多々あったと思います。そんな中でこの構成を成立させるのは、相当難易度が高かったはずです。しかし、「チャプターの初めにさりげなく説明を入れる」、「良いタイミングで語り手が情報を整理する」といった工夫のおかげで、混乱することなく物語を読むことができました。 しかし、そんな見事な構成も、「パーソナル・スペース」という物語においてはスパイスに過ぎないものだったと感じています。この物語最大の魅力は、作品のいたるところで感じる制作者さんの温かなまなざしにあったのではないかと思います。 徐々に明らかになってくる事実は、冷たく残酷なものだとも言えます。シロエはどうしようもないものに翻弄され続けてきたし、その終わりも、第三者からみれば悲しいものであったように見えます。ラズリが最後に起こした行動だって、ファンビル人であれば「何の意味があるのだ」と評するかもしれません。が、それを見届けた者達は、彼らの歩みに敬意を抱いていることが伺えます。今後も、残された者達はそこに意味を見出し、これからを生きる活力に変えるのではないかな、と想像しました。 「生き物同士で争わずにはいられない本能。寿命という生き物の定め。そして、宇宙の大きさと冷たさ。それらに比べれば、1人1人の思いや願いはひどくちっぽけなものに見える。だけどそうではない。そこには、確かな力がある」 自分は、本作品からそんなメッセージを読み取りました。プレイ後は切なくも温かい気持ちになれましたし、生きていくための活力をもらえたように思います。このパーソナルデータを公開してくれた方には、深くお礼を申し上げたいです。 他の面で言いますと、テキストに感銘を受けました。とにかく読みやすかったです。表現もそうですが、文字が大きいのも良かった。その分、テキストウィンドウには2行までしか表示されないという制限もあったのですが。そんな環境の中ですいすいと読むことができたのは、ひとえに制作者さんの技量があってこそだと思います。プレイヤーとしては想像しかできませんが、様々な苦労や工夫があったんじゃないかなと思いました。 また、SF設定の説明も良かったです。シリアスな話である分、プレイヤーが納得できるようなリアリティを持たせなくてはならない。かといって、あれこれ語りすぎるとテンポが悪くなったはずです。本作品は、説明の分量がほどよく、書かれていないことは読者の想像で補完できるものになっていたと感じました。 イラストも大変魅力的でした。特に、最後のイベントスチルは心が震えました……。立ち絵はどれも良かったですが、ラズリが口を開けて笑っているのが特に好きです。過酷な状況でも明るく生きる彼女には、なんだか勇気をもらいました。 @ネタバレ終了 総じて、大きな感動を与えてくれた素晴らしい作品でした。ありがとうございました。

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  • 空の果てからこんにちは
    空の果てからこんにちは
    とある少女との出会いからはじまる物語。僕は2時間30分ほどで全エンドを見ました。プレイ前から面白そうだと期待していたのですが、良い意味で予想を裏切ってくれた作品でした。 @ネタバレ開始 本作品の大きな魅力は、その舞台設定にあると思います。メイラの立ち絵を見て衝撃を受けない方はいるのでしょうか……(笑) この演出には、いきなり驚かされました(改めて見てみると、DLページにあるプレイ画面では、それが分からないようになっているのですね)。 共通ルートではその設定をうまく生かした展開が続き、大変楽しく読ませて頂きました。特に、メイラとヒロサキさんで初めて空を飛ぶシーンが好きです。読んでいるこちらもワクワクさせられました。また個人的には、万有引力の象徴ともいえるリンゴをシナリオに組み込んでくるところも良いなと思いました。余談ですが、同じく制作をしている身としては、「どうすればこんな面白そうなアイデアが思いつくんだろう」ということも気になりました。青いリンゴをたくさん食べれば良いのでしょうか。 個別ルートでは、上記の設定を生かしつつ、ヒロインとの恋愛をうまく描写していると感じました。ところどころ伏線もはられていて、後になって「なるほど!」と感動することが何度かありました。また、どのエンドも「空の果てからこんにちは」という素敵なタイトルを回収するような終わり方で、その点も良かったです。 ヒロインはどちらも良い子ですが、個人的にはリコがものすごく好みです。彼女のルートは読んでいてホッとしましたし、終わり方も素晴らしかった。シナリオとしての完成度は特に高かったように思います。 なお、個別ルートでもっとも印象に残ったのは「オールクリア」直前の展開です。例の「す〇嵐」の演出から始まった後、本編より若干緊張感のある展開が続いて。そこからむかえたラストには、こちらも少し目頭が熱くなりました。この個性的な設定をうまくいかしたグランドフィナーレだったと思います。彼らのその後は、とても気になりますね……。 本作品のもうひとつの魅力と言えば、ユーモアに富んだ文章だと思います。例えば、「右の頬をはたかれて、左の頬も、差し出していないのにはたかれた」といった言い回し。状況を簡潔に説明しつつ、ユーモアも忘れていない素敵な表現だと思います。「うまいなあ……!」と感心することは他にも多々ありました。 本作品は総じて、プレイヤーを楽しませるための色々な工夫がされていたように思います。バッジの説明や「read me」の文章もユーモラスで、読んでいて思わず笑ってしまいました。メタ発言は好みが分かれるのかもしれませんが、自分は好きです(そういう作品を僕も書いたことがあります)。「○○ルート」なんて言っちゃうヒロインは、なかなかお目にかかれないだろうと思いました(笑) また、ちょっとエロい表現も入りますが、これも本作品の魅力だと感じました。リコに対する例の三択では、もちろん即座にセーブして全て試しました。ただ、さすがに「被りたくないと言えば嘘になるが……」というヒロサキさんの発言には驚きました。同じ紳士としてヒロサキさんを尊敬しています。 グラフィックも非常に良かったです。立ち絵の美しさは言うまでもありませんが、デフォルメされた2人の絵も好きです。OPでこれらイラストがピョンピョン動いているのを見ると、なんだか幸せな気持ちになれました。 また、イベントスチルも深く印象に残りました。特に、リコルートのラストとオールクリア直前の1枚が好きです。繰り返しになりますが、あの2つのラストは本当に素晴らしかったです。 @ネタバレ終了 総じて、始めから終わりまで楽しく読める素敵な作品でした。素晴らしい物語をありがとうございました。

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  • 胡蝶蘭のメヌエット
    胡蝶蘭のメヌエット
    主人とメイドのやり取りを描いた作品。僕は40分ほどで全エンドと「encore」を読了できました。 @ネタバレ開始 この物語は、非常に小さな舞台で繰り広げられます。登場人物は2人。場所も(ほぼ)変わりません。が、個人的にはこれが大変良かったと思いました。閉じられた舞台だからこそ2人の親密さがよく伝わってきましたし、「この2人はどんな関係なのだろう」という疑問に集中することができました。 手描きの絵も物語に良くマッチしていたと思います。この作品にしかない素敵な雰囲気に酔うことができました。 また、2人のやり取りも素晴らしかったです。特に、「沈黙」という選択肢があるところには、感動を覚えました。沈黙が雄弁に語ることがあることは、実生活では当然のことなんですけどね……。それを積極的にゲームに用いようというアイデアに脱帽です。沈黙によるコミュニケーションをこれだけ有効に使っている作品、僕は初めて目にしました。 さらに言いますと、メイドさんが良いキャラしていますよね……! 赤面している顔が大好きです(笑) メイドさんのおかげで、この作品は救われているところが大きいように思います。本作品は緊張感のあるやり取りが多いし、特に最初のプレイはシリアスな展開ばかりだったのですが。5番目のエンド(で良いのでしょうか?)と「encore」は個人的に心に響きました。2人のやり取りを見て、こちらも嬉しくなりました。 @ネタバレ終了 総じて、「やってみて良かった」としみじみ感じられる作品でした。素敵な物語をありがとうございました。

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  • 生真面目な後輩ちゃんのゲーム
    生真面目な後輩ちゃんのゲーム
    後輩ちゃんとの会話を楽しむゲーム。何度かプレイしたのですが、それでも10分ほどで読了できました。とにかく、後輩ちゃんの動きがかわいらしい。特に、腰に手を当てる動作に悶えました(笑) また、猫の話をする時にニコニコする様子もかわいかったです。 後半の展開の仕方は、本作品のもう1つの大きな個性だと思います。個人的には「まさかそうくるとは」というものだったので、かなりドキリとしました。後輩ちゃんがかわいらしいだけに、最後のセリフはなかなかくるものがありましたね……。色々な意味で忘れられない作品になりました。ありがとうございました。

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  • イディカ 幻想の理想卿
    イディカ 幻想の理想卿
    かつて理想郷とも称されたイディカで生きる人々を描いた物語。僕は1時間ほどで読了できました。 いきなり緊張感のある所から始まる本作品。徐々に明らかになっていく真実が面白く、そのまま一気に読んでしまいました。 本作品の大きな魅力は、長編RPGを彷彿とさせるようなしっかりとした世界観だと感じました。特に印象的だったのは、イディカの歴史について語っていく描写。簡潔でありつつも想像力を刺激してくれて、大変素晴らしかったです。「かつてこの国はどんな風に栄えていたんだろう」、「どんな生活が営まれていたんだろう」と想像せずにはいられませんでした。 登場人物たちの描写も良かったです。厳しい局面の中で信念をもって生きる彼らは、みな生き生きとしていました。ゲームの終わりには「彼らのその先がもっと見たい」と思いましたし、個人的には、トワとアフェールの過去ももっと見てみたいと感じました。 演出面も大変凝っています。一筋縄ではいかないバトルシーンも楽しく、まさにRPGをプレイしているような気分になりました。現王には何度か負けてしまったのですが(笑) それだけに勝てた時は嬉しかったです。余談ですが、現王のグラフィック、格好良いですね……! 敵ながら感動してしまいました。 プレイ後は歴史小説を読み終わった時のような余韻が残り、思わず大きなため息が出ました。プレイ時間に比して満足感の大きな作品でした。素晴らしい物語をありがとうございました。

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  • Eveplus(イヴプラス)
    Eveplus(イヴプラス)
    わたしとその家族が幸せに生きる様子を描いた物語。15分ほどでトゥルーエンド含めて読むことができました。 @ネタバレ開始 個人的には、心が締め付けられるような物語でした。トゥルーエンドは「こうなってしまうのでは……」と予想した通りに提示され、正直なところ、どんな気持ちでいればいいのか分からなくなりました。わたし含め、皆幸せそうにしているけれど、本当にこれで良かったのだろうか。「わたし」はこれからどうなってしまうのだろうか。深い余韻を残してくれる物語でした。ありがとうございました。

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  • Escape Box
    Escape Box
    4分以内に脱出することを目標に謎を解いていくゲーム。1度爆発しましたが、2回目でちゃんとクリアできました(笑) 4分以内という時間が絶妙で、最後の部屋ではドキドキしながら操作をしておりました。個人的には、天秤の謎解きが1番苦戦しました。 制作者目線で言いますと、「どうやればこんなシステムが作れるんだ……!?」と感動しておりました。 余談ですが、「爆発するよ」と告げるアカネちゃんはサイコパスっぽくて大変よろしいと思いました。

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  • 夕空の下、屋上へ
    夕空の下、屋上へ
    夕方、屋上での交流を描いた物語。もう一度見たくて2回プレイしましたが、それでも5分もかからずに読了できました。 夕焼け空のように、時間は短くとも印象に残る作品でした。BGMやSEも物語にぴったりで、臨場感を高めていたと感じます。 @ネタバレ開始 彼は現在進行形でつらい思いをしているのでしょうね……。ひょっとすると、彼女の方も言いたいことがたくさんあるのかもしれないな、と感じました。

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  • げきをつくろう! ~お花見に行こう!~
    げきをつくろう! ~お花見に行こう!~
    お花見の準備をするゲーム。20分ほどでGOOD ENDに到達できたと思います(多分)。 「どの料理だと楽しいお花見になるのかな?」と考えながら選択肢を選ぶのが楽しかったです。最後に出てきたイラストは素敵ですね! 皆楽しそうでほっこりしました。

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