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九州壇氏のレビューコレクション

  • みちそう!
    みちそう!
    社会人であるジンさんに恋した少女の物語。10分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 予想していたよりもずっとほんわかした雰囲気の作品で、温かい気持ちになれました。ジンさんは良い人オーラが出ていて、良いですね。個人的には、部長さんも好きです。ちょっとおどろおどろしい見た目ですが、ラストは普通に出てきて笑ってしまいました。 ごちそう様でした。

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  • 夢の狭間で
    夢の狭間で
    記憶の一部を失った主人公が、アカネちゃんと共に学校をまわるお話。僕は10分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 気軽にプレイしていたのですが、ラストの展開にはちょっとじーんとしてしまいました。 「アカネちゃんはどんな気持ちで主人公が目覚めるのを待っていたのだろう」 等、色々と想像せずにはいられませんでした。

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  • 風待ち人 夢追い人(iPhone・iPad対応版)
    風待ち人 夢追い人(iPhone・iPad対応版)
    3人の若者が、自分の本当にやりたいことを探していく物語。僕は40分ほどで読了できました。自分の趣向に合う部分が多かったこともあってか、大変印象深い作品となりました。 @ネタバレ開始 本作品の大きな魅力の1つとして、リアリティのある描写があげられると思います。キャラクターはみな等身大で親近感が持てましたし、展開も「新入社員あるある」が満載です。先輩の悪口に神山が同意してしまうシーンなんかは、身に覚えがありすぎてちょっと苦しくなりましたし。金田のネクタイが微妙に曲がっているのを見た時は、芸の細かさにちょっと感動してしまいました(笑) なお、写真画像を背景として使った点も良かったと思います。 特に素晴らしいと思ったのは、本作品のテーマでもあろう「夢」についての描写です。理想と現実のギャップに悩む彼らの描写は圧巻で、何度も心揺さぶられました。例えば、 「安心しているんだな、僕は。彼女のようにならなくてよかった、と。履歴書に空白を作らなくてよかった、と。」 という神山の独白には、魂を感じました。個人的に、この発言には神山の色々な思いが込められているように感じるので、額面通りにとるのもちょっと違う気がします。が、それでもこれは彼の本心の1つであると思うし、実際、夢にはこうした側面もあると思います。ここらあたりから「彼らは一体どんな答えに辿り着くのだろう……」と気になって仕方がなくなり、夢中になってプレイしていました。 その後の展開も、素晴らしかったと思います。思い切って夢の舞台へ身を投じる者。やり方を変えながら夢を追いかける者。そして、明確な夢がなくても、今いる場所で頑張って喜びを見出していく者。どのあり方も、きっと正解なのだと思います。彼らの頑張る姿は最後までリアルに描かれていますが、そこには作者様の温かいまなざしが注がれているようにも感じられました。同じような経験で悩んだことのある、というか、現在進行形で悩んでいる僕としては、大変励まされる思いでした。 主要キャラクターは3人ともとても魅力的ですが、1番好きなのは金田です。彼が祖父との思い出を話すシーンは、ちょっとウルっときてしまいました。また、彼が酔っぱらった岬さんの言いなりになってしまうシーンも大好きです。英語で歌うシーンは、カオス過ぎて吹き出してしまいました(笑) なお、1番自分に似ていると思ったのは神山です。彼の行く末は特に気になっていたので、彼が見せてくれた最後の笑顔はとても印象に残りました。 演出は総じてハイセンスで、フリーゲームとは思えない出来栄えだったと感じます。挿入歌「よわむしスクートニプ」が流れるシーンは特に印象的で、まるで映画のワンシーンを見ているかのような心地でした。ラストシーンも、めちゃくちゃお洒落ですよね……! 「風待ち人 夢追い人」というタイトルもぴったりとハマっていて、制作者様のセンスの高さを至るところで感じました。 イラストは、岬さんの立ち絵が特に好きです。彼女がタバコを吸っている立ち絵は、とても素敵でした。余談ですが、最初は年下にしか見えなかったはずの彼女が、後半はちゃんと年上に見えてきて、その点にもちょっと感動してしまいました(笑)  @ネタバレ終了 総じて、全ての面でハイレベルの作品であり、特にシナリオは心に深く残りました。素晴らしい作品をありがとうございました。

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  • タイトル無し
    タイトル無し
    イラストや背景画像がなく、BGMや効果音もない。さらにはタイトルすらないゲーム。僕は10分ほどでクリアできました。 @ネタバレ開始 とにかく、素晴らしい発想の作品だと思いました。 本来、音楽や画像といった情報を提供できるのがノベルゲームの強みですが、あえて無くすことでこんなにも効果的な演出になるんですね……! プレイ中は行く先が見えず、自分自身もどんどんと不安になっていきました。また、選べる選択肢が消えていく演出も面白かったです。真実を突き付けられていく恐怖を自分も体験することが出来たように思います。 ありがとうございました。

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  • 未完の後悔
    未完の後悔
    写真部の4人が織りなす青春の物語。僕は50分ほどで読了できました。制作者様が作品に込めたメッセージがひしひしと伝わってくる力作だったと思います。 @ネタバレ開始 本作品の大きな魅力は、4人の内面の変化を丁寧に描いていることだと思います。特に、小坂さんの心理はかなりダイナミックに変化するので、大変読みごたえがありました。後悔した過去と向かい合うことがテーマとして描かれており、プレイ後は自分自身についても振り返らずにはいられませんでした。 後悔している記憶と向き合うのって、どうしても怖さを伴うんですよね……。「過去はどうせ変えられないんだから」と自分自身に言い訳して、苦い記憶を意識の端におしやろうとしたことは、僕もあります。なかなか過去のことを言えない小坂さんには、かなり共感していました。 後悔をどう扱うかは、その人の価値観によって大きく左右されそうです。また個人的には、置かれている環境やタイミングも大事だと思います。そういう意味では、仲間の力を借りて向き合えた彼らは、幸運だったのかもしれないとも思いました(もちろん、向かい合う怖さに打ち勝った本人たちの勇気も偉大だと思いますが)。こういうこともあるから、人の縁は大事にしたいよなぁ、なんてことも思ったり……。話は少しそれますが、写真部の4人はみな優しくて良い奴らですよね。序盤、相手を思うが故に身動きが取れなくなっている彼らの様子が描写されますが、その部分もすごく納得がいきました。優しいからこそ、なんですよね……。 小坂さんが終盤に至った心境は、大変興味深かったです。彼女は過去と今一度向き合うことで、いじめをしていた相手への怒りに気づくことが出来たのだと思います。 「私は、相手に怒って良かったのだ」 「自分のふがいなさをこんなに責めなくても良かったのだ」 そう思えたことで、結果的に小坂さんは自分自身を許すことができ、背負った重荷が軽くなったのだろうと思いました。後悔の記憶から逃げることも、時と場合によっては悪いことではないとは思います。しかし、改めてその記憶と向き合うことができれば、その体験を再解釈でき、結果として自分の苦悩を軽減できることもあるのだろうと思いました。本作品のおかげで、大変良い読書体験ができたと感じています。 @ネタバレ終了 本作品をプレイして非常に驚いたのは、効果音だけでなく、イラストや音楽も自作された点です。シナリオの強いメッセージ性も含め、作者様の熱量には圧倒される思いでした。個人的には、4人で集合しているイラストが1番好きです。素敵な作品をありがとうございました。

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  • 僕らの一歩
    僕らの一歩
    ノベルゲームをしている学生の物語。僕は15分ほどで読了できました。 自分もノベルゲーム制作をしていることもあって、終始親近感を持って読むことが出来ました。描写は端的で淡々としていますが、主人公の内面には多分もえたぎるものもあったんじゃないかなと思いながら読ませて頂きました。 @ネタバレ開始 日常を不器用に生きる様子と、チャットの中では好きなことを率直に語り合う様子が対比的に書かれている点が印象的でした。 三田君も木山も、普段の生活では欲求不満を抱えていたのだと思います。三田君は本当の思いを言えずに周りに合わせてしまう一方、木山は正直に思っていることを言って浮いています。日常生活でうまく立ち振る舞えないからこそ、彼らは創作に向かうのかもなあ、なんて思いました。「この後、2人はどうしたのだろう」と、その先を想像せずにはいられませんでした。

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  • Paint Over
    Paint Over
    納得のいく絵が描けなくなった相沢君を主人公とした物語。僕は30分ほどで読了できました。シナリオやイラスト、演出いずれも完成度が高く、短編ながら大きな満足感を得られる作品だったと思います。 @ネタバレ開始 シナリオについては、相沢君と牧野さんの高校生らしいやり取りが特に良かったと感じました。美術を愛する者同士である2人の、程よい距離感の描写が印象的でした。こういう青春を過ごしてみたかったなあ……(笑) また、主人公の悩みの描き方も巧みであったと感じます。かくいう僕は、絵が全く描けません(笑) しかしそんな僕でも、漠然としたものに悩んでしまう相沢君の心境には共感できました。新しい刺激を受けることで吹っ切れるという展開も、すごく納得がいきました。 それにしても。好きなものに一生懸命な人ってまぶしいですね……。彼らの姿には勇気をもらいました。 イラストと演出については、特に2人で紅葉を見に行くシーンが印象的でした。まさにノベルゲームだからこそできる表現だったのではないかと思います。

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  • 名もない吐息
    名もない吐息
    1時間ほどで読了できました。 自分も“青春後“を生きていることもあってか、大変興味深く読ませて頂きました。人によっては「子供っぽい」、「甘えている」と評価するかもしれない、でも、誰かにとっては切実な「生きづらさ」を大切に扱った作品だと感じました。 @ネタバレ開始 読んでいて最初に面白いと感じたのは、2人の距離感の描き方でした。2人が、腹のうちを探り合いつつも少しずつ近づいていく感じがよく伝わってきました。こうしたリアルな雰囲気を丁寧に描写していたからこそ、彼らが時折見せる大胆な行動が特別なものに見えたのだと思います。 2人の心理が変化していく様子は、大変興味深く読ませて頂きました。 個人的には、直井の心理に共感を覚えることが多かったです。彼には理想の大人像があったこと、そして、それに比べて自分は平凡だと思い知らされてきたことが、文章の端々から伝わってきました。当初の彼の中には、「このままで生きていくのは嫌だ」という思いがあったのではないかと思います。鴨野さんに対する、随分と思い切った行動がそれを示しているように感じられました。 また、鴨野さんの中にも、「平凡な自分を認めたくない」という思いが多少なりともあったんじゃないかな、と感じます。 鴨野さんは、「溜息に名前を付ける」という言葉をかなり気に入ります。ここからは個人的な解釈ですが、「溜息に名前を付ける」とは、自分の今の苦悩を特別なものとして扱うことを意味しているのかなと思いました。終盤の彼らは、「自分の切実な悩みも実はありふれたもので、自分は平凡なことで悩む平凡な存在なのだ」と思い知らされたのではないかと思います。いよいよそれを受け入れるしかなくなって出てきた言葉が、「溜息に名前があればいいんですけどね」というセリフだったのかもなあ、なんて思いました。 個人的には、彼らが時折見せてくれるユーモアに救われる心地がしました。「ため息に名前を付ける」なんて考えたことなかったですね(笑) 直井も作中で同じようなことを言っていましたが、こういうささやかな彩りが“青春後”を生きる上で大切なんだろうなと思います。 『自分は平凡である。それこそ、名もない吐息みたいに、特別でも何でもない存在である。それを受け入れて、生きていかねばならない』 僕は、本作品からそんなメッセージを受け取りました。 “青春後”の悲しみにそっと寄り添ってくれるような、素敵な作品だったと思います。ありがとうございました。

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  • 死ぬよりもつらいこと
    死ぬよりもつらいこと
    1時間ほどで読了できました。 この作者様のゲームは、ほぼ全てプレイしています。 自分でも不思議に思っていることとして、「なぜ自分は浦田さんのゲームにこんなにも惹かれるのだろう」というのがあります。浦田さんが描くテーマは毎回かなり重たくて、けっこうドロドロとしたものを見せられます。楽しい気分で読めるシーンより、暗い気分になるシーンが多いかもしれません(笑) それなのに、どうして好き好んでこの方の作品を読んでしまうのか。 それは多分、「浦田さんは全力でテーマに取り組み、嘘偽りなく描く」ことを知っているからだと思います。自分ならつい「うまくかわす」ことを考えてしまいそうな事柄でも、この方は決して逃げず、真摯に取り組みます。だから毎回、「このテーマを浦田さんはどう描くんだろう」と気になってしまうんだと思います。 そんな浦田さんの作品で僕が1番好きなのが、この「死ぬよりもつらいこと」です。浦田さんの並々ならぬ思いを感じることのできる傑作だと思います。 @ネタバレ開始 本作品では描写の解像度が高まったと感じるシーンがいくつかあって、そこに作者様の個性を強く感じました。そのうちの1つが、誰かの死で苦しんでいる人の描写です。この部分は、作者様自身が深く考えなければ書けないものだという気がしました。 例えば、海翔の場合。 兄が自殺した後、海翔の母は激しく感情を表出します。が、時がたつにつれて、彼女は少しずつ前に進み始めました。一方、海翔は全く泣けませんでした。その後も、「兄が急にいなくなった」という現実としっかり向き合えないままに、時間がどんどん流れてしまいます。海翔の苦しみは、もちろんうつ病のせいでもあるのでしょう。しかし本質的には、兄の自殺に向き合えず「取り残されてしまった」という感覚があるからこそ生じたんじゃないかな、と思いました。このあたりの海翔の心理描写は非常にリアルで、夢中になって読んでしまいました。 また、杏の心理描写も、真に迫るものがありました。 父の死があまりにもつらかった彼女は、自分の心を守るために父を憎みます。が、その一方で、「父が死んだのは自分のせいだ」ともずっと考えていました。父を完全に嫌いになってしまえればもっと楽になれるのでしょうけど、彼女はそれを選ばなかった。というか、選べなかったんでしょうね。表面では父に怒りを覚えつつも、深いところでは父を愛していたからなのだと思います。こうした複雑な思いが同時に存在するという描写には、深く共感できました。また、杏が本当の自分の気持ちに気が付くシーンには、目頭が熱くなるほどに感動しました。 目を覆いたくなるくらいにつらいものを描いた本作品ですが、登場人物たちは最後に「それでも生きる」と決意します。個人的には、この作者様がこのような形で物語をしめたところにも、深く感動させて頂きました。 技術的な部分に言及いたしますと、本作品は特に構成が素晴らしかったと思います。真一郎と栄一が創作に向かうシーンはかなりテンポも良いし、楽しく読めます。これが序盤にあったからこそ、自分は物語に深く入り込めたのだと感じます。 キャラクターとしては栄一が好きで、創作にストイックなところが良いと思いました。「物語の解釈を制作者がべらべら語りたくない」という言葉は、少し耳が痛かったです(笑) 立ち絵も曲もすべて自作されたとのことで、その努力に脱帽です。ED曲は特に歌詞が印象的でした。クリア後も何度か歌詞を見ながら聞き入ってしまいました。 @ネタバレ終了 本作品を読むことが出来て、本当に良かったです。素晴らしい作品をありがとうございました。

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  • 忍者爆発
    忍者爆発
    20分ほどでクリアできました。はじめはバッドエンドばかりでしたが、2、3回くらいプレイすると何をすれば良いかがだいたい見えてきました。 @ネタバレ開始 ものすごくエネルギッシュな作品で、ぐいぐいと引っ張られていきました。 自分の心の動きとしては、「何が始まったのか全然分からん……」に始まり、「おお、そうだったのか!」となり、最後で「いや、やっぱりよく分からん!」となりました(笑) 個人的には、概要欄にあるエンディング到達条件が「心の忍者がある」となっているのがツボ。初めから終わりまでめちゃくちゃ面白かったです。 「ぶちこんでいくぜ!」は流行語大賞が狙えるレベルだと思います。

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