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天凱彼岸花(テンガイ ヒガンバナ)のレビューコレクション

  • クチナシホーンテッド ~幽霊メイドの逆襲~
    クチナシホーンテッド ~幽霊メイドの逆襲~
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 題材の時点でこれは面白そうだな!と前々よりチェックしていましたが、ようやく時期が来た事もありワクワクとスタート。 @ネタバレ開始 物語冒頭、作業員が怪奇現象に遭う場面からとホラー物の導入としてもよくあるノリ。 幽霊メイドさんの目的についてはなるほど…と思いきや、時間が一ヶ月後になり突然個性的な登場人物が? 十字架という辺り幽霊退治だから教会関係者かな…、でもこっちの少女とはどういう関係なのか。 それにこの両という青年が主人公かな、とざっくり把握。 したところで、仕事内容?面接? と、どう考えても絶対応募する人がいないだろう怪しさしかないバイト募集があった事と主人公がそれに応募した事が判明。 どうして応募しようと思った!? というか、幽霊屋敷でのバイトで落ち着いた雰囲気の職場じゃなかったらむしろ嫌すぎるよね!? 条件としてもこれって基本、知り合いに頼れないから募集してる=未経験者しかいないと思うんだ!? と、いきなり満載ツッコミどころを指摘しつつ。 いざ問題の屋敷に入ってみれば早々に怪現象に遭遇とテンポのいい流れ。 あ、これ結構危ない状況なんじゃ…と思いきやあまりに冷静な対応を両くんがするのでメイド幽霊さんも私も「えっ!?」となり。 仕切り直しとばかりにメイド幽霊さんこと、猫柳さんのお顔が見えるようになればあら可愛い。 特技としてお掃除はともかく、ポルターガイストだと聞くなんて人生でなかなかないよなぁ~からの結界解除(爆破) 全体を通して、お話のテンポが良いので中だるみする事なく最後まで楽しめるのがこの作品の良い所だなと思いますね。 会話シーンでは視認ができなかった猫柳さんの足がない事が確認できる一枚絵も、確かにさっきまではわからなかったけどこれは完全に幽霊だ!? というインパクトとこの見せ方の角度が好きです。 公英さんが除霊が行えるとの事だったので、てっきりその関係として見える事もできるのでは? と最初疑問に思っていたのですがそれとこれは別能力なのか…と改めて主人公が雇われた理由にも納得しつつ。 しかし、当人曰くずいぶん昔であってもちゃんと修行を積んだ除霊師が今はお嬢様にお仕えしているというのもますますどういう縁なのかは疑問は深まり…。 (服装はツッコミを入れたら負けな気がしたので気にしない方向で) 生きている人間に間違われたのを喜ぶ猫柳さんが可愛かったり。 会話中左下にいるちっちゃいメイジーちゃんも良かったり。 話のテンポもですが、目で楽しませるという意味でも芸が細かい…! 確かに魔除けの祈祷が有効ならそれで工事は進められるのでは?と思いきや 準備に時間がかかるのは仕方ないとしても…こいつ、結構守銭奴だな!?と結構短時間の間に公英さんのキャラが掴めました。 早速、最初の試練へ。 こちらが風の音でよく聞こえなかったと言えば再度何をするのかアナウンスしてくれる辺り猫柳さんも結構ノリノリな様子。 クリック式で部屋の中を探索しながら写真集めの開始。 ガラス棚を調べた際の会話で猫柳さんがこちらを見ている様子が入るのは、例え中にある物に金額的価値がなくてもこのお屋敷で過ごしてきた日々を共にした物として思い出があり。 それは金額で一概に測れる物でもないよね…と解釈しておりました。 再プレイしつつこの場面を見てみると もしかしたら、工事云々の話も会話中にあったのでメイジーちゃんが当初の約束を破った事への気持ちもあったかもしれませんね。 幽霊屋敷巡りが好きだったり、オカルト系が好きという辺りメイジーちゃんとは話が合いそうだな~と微笑ましくなりましたが確かに主人公の思う通り「幽霊屋敷収集」と「テーマパークへの出資」 この2つは両立しないような?まだ何か情報が足りないのだろうか…という部分は引っかかり。 ただ、メイジーちゃんのこれまでの反応からそういった物が好きというのは少なくとも嘘ではなさそうなのが…。 調査パートも、両くんとメイジーちゃんの視点を入れ替えつつ片方の位置からでは見えない物を情報として見せて探索する。 これは面白いやり方と思いましたね。 うっかり勢いあまって廊下まで1枚写真を飛ばしてしまっていた猫柳さんのドジっ子ポイントにもくすっとしたり。 ようやく全部の写真が集まりその内の一枚に注目をしながら会話をしてくるとさらっと「写りが悪くてお恥ずかしいです…」と混ざってくる猫柳さん。 実際に声が聞こえるのは主人公相手のみなのに、まるでそこにいるのが自然のような振る舞いをしてきたり敵対関係なのにどこか隙があるというか…反応が人間臭いところが好きです。 屋敷の名前に梔子とついているのもあるのでしょうが、廊下にある照明が鈴蘭のような形をしていたり食道にあった百合のシャンデリアもですがなかなか花をモチーフとしてお洒落な物を使用しているセンスが見ていて楽しいです。 次の試練として書斎に移動し。 レビュー用再プレイという事で配信時には記憶頼りで曖昧だった部分も本当に気のせいだったか確認しましたが、やっぱり公英さんって取り壊しの話はしていたよな!? それと書斎での会話に出る「文学より数字を見る方が好き」という発言は初見の時にも思いましたがお前はそういう奴だよなぁ…と。 そして、ポルターガイストという言葉で済ませていいの!?という迷路の登場。 迷路内の会話を通して、猫柳さんが今までどんな想いで屋敷を守り続けてきたのか。 確かに、自分の家を興味本位で立ち入って茶化すような人がきたら気分が悪いと思えば今までも充分嫌な思いはしてきたでしょう。 猫柳さんにとっては、最後まで思い続け地縛霊になってしまった位に大事な場所な事も合わせ。 きっと、この80年の長い時間。 今まで猫柳さんが見える人がこなかった事を考えれば、この迷宮の試練の間ようやく自分が見えて会話のできる相手との時間を取りたかったのも理解できてしまいます。 試練を自力で乗り越えた時に、メイジーちゃんの落とし物を手渡してくれたり最後となる次の試練を突破されれば大人しく除霊されるつもりである事。 冒頭の作業員が怪我をしたのはうっかりやりすぎてしまったというのも含め、やはり猫柳さんがとても悪い幽霊とは思えない。 第一、本当に悪霊ならわざわざ試練を用意する必要もなく。 これだけのポルターガイストが使えるなら強硬手段は問題なく取れるはず。 それに、試練がクリアが可能という設定にされている事が猫柳さんが悪霊ではない何よりの証拠と思います。 屋敷の存亡に自分が浄化されるかどうかがかかっている以上、反則ですがクリア不可能な物を用意するのはありでしょうし。 メイジーちゃんも、そして両くんも思うように本当に話し合いで解決はできないのだろうか? 最後の試練の説明を終えた後に発せられる、猫柳さんの独り言を見るとやはり本当にこの人はただこの屋敷や主人の事が好きなだけの幽霊でしかないという思いが深まります。 さて、いよいよ最後の試練。 これまで回った場所で使用されていた花に関する情報を覚えていればよく、ヒントもあるのでサクサク進められますね。 最初に指定されているのも食堂でメイジーちゃん視点に切り替わった時に印象的だった百合のシャンデリアである事もあり。 謎解きを進める途中で行われる両くんとメイジーちゃんの会話。 「わたしを信じてくれるんですね」という問いに対する「先に、信じてもらったので」という意味深な返し。 この時点ではわかりませんでしたが、後の回想を見ればどうしてこんな怪しさしかないバイトの面接を受けたのまではともかく採用後に断る事もしなかったのか。 ここまでの情報も合わせ、やはりメイジーちゃんは信じられる子だなと思えました。 となると、怪しいのは現在単独行動をしている事。 そして、取り壊し発言を誤魔化したり「テーマパークの為には更地」というワードを言っていた公英の方…。 元々、メイジーちゃんのお父様の取引相手というのも一体どんな経歴で何をしている人なのか謎が増えていくばかり。 取引相手という言葉から、何かしら商売はしているのだろうなとは思いますが…。 ゴールは使用人の部屋として使われていた屋根裏部屋。 確かに、ここは生前の猫柳さんが最後の時を迎えた場所という意味でも納得できました。 いくら約束とはいえ覚悟はできたと言いながら、それでも浄化されるなんて怖いに決まっている。 「今ちょうど、この辺の床で土下座してるから」というなかなかのパワーワードも入りつつ、ようやく猫柳さんとメイジーちゃんが対話をできる流れへ。 ようやく猫柳さんがどんな理由でメイジーちゃんが信用ならないと思っていたのか。 そして、メイジーちゃんの気持ちが通じてようやく和解できそうな事。 「わ、私が…お屋敷を守らないとって……ひとりでやらないとって…ずっと……」 これに関しては、本当に今までそうだっただろうんだなと。 すでに住む者のいなくなったお屋敷、成仏してしまっただろう主人達。 そうなればもう猫柳さんがどうにかしなければならず、重荷だった事でしょう。 そして、とうとう本性を見せやがったな…公英!? これは下手をすれば屋敷ごと両くんもメイジーちゃんも除霊込で爆破されない? 屋敷が跡形もなく吹っ飛ぶタイプのやばい事が起きない?と本気で心配になり。 大きな音がした時には本当に爆破されるのか!?と身構えました。 と、思ったら…明らかに何かやばそうな重機が出たーーーーーーー!? これはいよいよピンチか…?と思いきやまだ除霊をされていなかった猫柳さん!! 両くんとメイジーちゃんは安全な場所へ移動できましたが一体どうするんだ…とハラハラすれば…… ロボだこれーーーーーーーーーーー!? いや、確かにホラー要素はないと聞いていたのでホラーゲームをする時とは違うノリでいましたけど。 今までもコミカルな要素がなかったと言えば大嘘だとは思いますけど…。 一体、屋敷がロボットになるなんて…一体誰が予想できるんだ!? ほんと、何を食べていればこんなぶっ飛んだ発想ができるのかと(誉め言葉) ポルターガイストとしか言いようはないけど、それを素直に受け取るメイジーちゃんもそれでいいのか!? 重機の方もホーリー重機とか名前がついてるし…一体我々は何を見ているんだ……? (もはや霊感がどうとかの話じゃない)←むしろそれで片づけてはいけないと思うの…。 そして、この状況で何ができるか?と言っても…と思いきやまさかの配信をするだと…!? 「待って、今これYouTubeで配信してるんだけど配信の中で配信が行われるの!?」と実況の際は超展開にパニックとなりました。 あまりの超展開にメイジーちゃんも壊れたか…と両くんと同じ意見になり。 そういえば、ミニゲームありって概要欄にはあったけど…まさかの配信が始まってコメントを拾うミニゲームとか100%予測不可能すぎました。 パークの情報部何してはるん…?とか、もうこれ完全に公英の台詞が悪役のそれなんだよなぁ…とか。 概要欄にある情報と作中にある情報を含めても、大怪獣バトルなのかスーパーロボット大戦なのかのような何かが起きるなんてほんっとに予測外すぎる…これが天才か。 ミニゲーム自体は反射神経を問われましたが、何度でも挑戦はできたので苦戦しつつも無事クリア。 全てが終わった後に屋敷が何事もなく元に戻ったのも…もう、ツッコミはいらないよねという悟った顔になり。 さすがにこんなポルターガイストが常識にとらわれない程万能としても無茶をすれば猫柳さんは…… と、ここでエンド分岐へ。 概要の通り、セーブ推奨箇所でちゃんと取っていたので回収そのものは楽にできました。 でも、結果として3回ミニゲームをする事となりましたが…やっぱり何度やってもどうしてこうなったのかがわからない……。 予測できる要素もなかったよね?とも自問自答。 初回はメイジーちゃんエンドへ。 あの時返した髪飾りをしているのも合わせ後日談らしさがある事や結果として屋敷の取り壊しがなくなり安心しました。 そしてあれだけ悪役ムーブをしたのにちゃっかりしている公英よ…。 最後にハッピーな感じで終わりたかったので次は公英エンドへ。 電車に乗る場面までは同じだったので、これは本当に分岐してるのかな…?と思えば全く違う場所へ。 からの、まさかのゴーストバスターズ結成!? 確かに公英は除霊はできても見えないと言っていたので組む事による利益はわかれど…。 (もはや別世界となったエンドロールを見守りながら) そして、締めくくりとして猫柳さんエンドへ。 このルートでも屋敷は無事であり、絶対あのまま消滅しますって展開をしながらちゃんと生存(?)していた猫柳さん。 いや、無事だった分には大いに嬉しいんだけどね!? ラストを見るに、余生というべきか…幽霊の場合何と表現するのが適切かわかりませんが割と充実していそうで安心しました。 基本、どのエンドでも屋敷は無事だったんだと思いたいですが公英エンドの場合のみそれを確認する事はできず。 気にする事はないという台詞も、あれは両くんに向けられた物なのか…それとも、あのスーパーロボット大戦もどきをしたのにこの結末を選んだプレイヤーへ向けた物なのか。 顔が影となった猫柳さんを見ると申し訳ない気持ちにはなり。 お話のテンポが~とはすでに何度か触れましたが、終盤の超展開がきても思わずどうしてそうなった!?と驚きはしましたが「でもこのゲームではありえる事かもしれねぇ…」という謎の納得はありました。 急展開というか、急ハンドルを切る流れを入れる場合それが受けれられる土壌があるか?が大事な部分だと思うのですが、すでに迷路の時点でポルターガイストで済ませるには割と大規模な事をやっていたので最後の力を振り絞っての最終決戦なら、確かに…?となったのか。 @ネタバレ終了 本当に、これは単にテンポが良いとかそういうレベルじゃない。 最後までプレイヤーを飽きさせないどころの騒ぎじゃない名作です。 ありがとうございました。

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  • 古都の謎解物語 幻の湖の演舞劇
    古都の謎解物語 幻の湖の演舞劇
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 東洋ファンタジーというジャンル自体に珍しさを感じたのもありますが、コマンド選択というシステム面等も面白そうと興味を持ちましたね。 あらすじにもある 今は昔、遠い東の地に平宮京と呼ばれる都があった。 この一文から始まり、かつて起きた物語を追体験していくような導入がなかなか印象的でした。 @ネタバレ開始 オリジナルの世界が舞台となる作品では、その世界における設定や用語等をいかにプレイヤーへ説明するか? ここが難しいポイントと思うのですが、上記の通り物語を読ませるような導入や主人公がプレイヤーと同じく詳細を知らないという前提なので調べ物をして物語のキーとなる吉祥国の説明等を把握できる事。 そして何より親切と思ったのが、情報コマンドからいつでも作中に出てくる大事な単語は説明を確認できるのでうっかり忘れても問題なく置いてきぼりにならない。 独自の物であるコマンド選択システムについても、書斎~話すコマンドの流れまでがチュートリアルになっているので丁寧な作りなのが好印象です。 探索アドベンチャーではそれなりにあるあるな必要な情報を調べないまま進行して詰むというタイプでなく、情報が集まったら進展する安心安全なタイプ。 調べるコマンドも画面内の特定箇所を選択する形式ですが反応する箇所の数や、今が調べるコマンドの必要な場面かわかった上で進められるので探索要素が物語を楽しむ上で邪魔にならない加減な事。 それとは別に、初めて福河へ到着した時等ストーリー進行上は調べるコマンドを使わなくていい場面でも小ネタ感覚で周囲の情報を知れるのはちょっとお得感がありますね。 物語としては、藤宮ちゃんの紹介から知り合った瑠未ちゃんと調べ物を進めていき吉祥国の湖上演舞とは何なのか? 吉祥国そのものが昔の国で情報を得るのが難しい事もですが、湖上とついているのにまさかの近辺に湖がない!? といった謎を解き明かしていく事。 一見、無関係に思える田植えの祭事や焼物が謎解きに関わってくるという次が読めない展開。 初回福河到着の際にもお世話になる話すコマンドを使用した際、陶器屋の主人の選択肢が一番上にあるので新しい場所にきたらとりあえず上から全て選んでいくプレイスタイルなら「居部焼」という単語やその特徴を一度は見た上で進行するであろう事。 ちょっとした事ですが、こういう部分が後の謎解き(白い陶器への違和感)をする際にスムーズにいくポイントだなと感心します。 タイトルにもある通り、謎解物語として主人公と共に情報を集めながら謎を解き明かす事がプレイにおける目的となりますがストレスなく進行ができる設計をされている為ストーリーを楽しむという観点においてもちょうどいい塩梅に思えました。 世界観という点だと、古き良き日本の田園風景を思わせる部分もですが宿屋でご飯をいただく場面は見ていておいしそうだなと思えましたし演舞堂の舞台もこういった建造物が好きならテンションの上がる物でしたね。 初見の際は、西国から来た劇団の人→飾り刀→実は灯台下暗しだった情報の場所という流れに驚きました。 ただ、全てを知った後で考えると何故西国の人が異国の剣舞…湖上演舞の事を知っていたのか? ここが結構、物語の締めくくりで明らかになる情報も含めそういう事だったのか…となったポイントですね。 白瑞は評判も良い事から歴史のある鍛冶屋という点で、ちょうど資料があったのはまだ疑問なく受けいれておりましたが。 そして、謎が解決したのにまだ続く物語。 後は何が起きるのかと思えば…かつて同じ状況の中暗殺事件があったというもはやフラグとしか思えない新情報!? 現在の福河と平宮京は友好関係にあるので大丈夫な可能性もあるとはいえ、何事もなく終わるとは思えない…。 …でも明日から田植えで忙しくなると言っていたような?と確認をしてみましたが、追加の刀納品会話を見る前だと急遽田植えは延期になったという現地での会話があったのかと気づきました。 最短選択肢で進行しなかった場合も、ちゃんと進行度に応じた会話は用意されているという点ではあえて寄り道をするのも悪くないなとなりましたね。 さすがに劇団長がそのまま犯人というのはあるのだろうか?と追跡すれば… これよくある時代劇で悪代官がやる会話の奴だーーー!!という悪事の会話。 ここで現場を抑えられたら一番良いとしても、役人がいる訳でもない以上一旦退くしかないのが悔しい所。 御所様は侍達が取り囲んで警備をすると言われても、接近して直接というのも手ですが暗殺としたらばれにくい方法を取りそうだなぁとは思い。 むしろ警戒すべきは遠距離の凶器ではないか?と安全面を考えれば御所様は鎧と兜を装備すべきだよな?と本気で思いながら進行しました。 現地にヒントがないか探索をすればやはりあった絶好の狙い撃ちスポット。 やはり狙撃は暗殺の基本だったか…(今回は弓だけど) いよいよ始まった演舞本番。 昼に確認した木を調べればわかっていたけど思わず「いたーーー!?」となってしまう射手の登場。 正体を確認すればやはり暗殺狙いだったのが判明し、だけどこのままじゃ主人公が危ないと思いきや…え?木から落ちた!? 普段なら「敵を見つけたら即刻デストロイだー!」と突撃思考の私ですが、何故木から落ちたのかわからない以上体を痛めているように見えるのも演技であり罠の可能性があるのでは…?と疑い。 そんな私の警戒を知るかとばかりに即刻行動する卯月君、判断が早いな!? 結果的に、射手が木から落ちたのは瑠未ちゃんのおかげでありそれに使った道具がまさかの鍵縄という意外性の塊。 忍者の出る作品以外で活用されるのは…初めて見たかもしれないな?となりましたが、確かに何か探し物をしていたとはあったのでこの為だったのかと納得しました。 しかし、これがお客さん向けの試作品という事はもしかして…お得意様に忍者でもいるのかな?と忍者大好きの者としては個人的には夢が膨らみましたね。 今回におけるMVPは瑠未ちゃんと藤宮ちゃんですね! どちらが欠けていてもまず湖上演舞の事は不明のままであり、暗殺を阻止するという面でも駄目だったでしょう。 個人的に、伝統を守る事も大事ですがそれと同様に新しい事に挑戦していくという事は重要と思っているので新しい物を作ってみたり商売のルートを広げようと頑張る瑠未ちゃんはとても好感が持てました。 特に、市で新しい層へ向け客商売をする事が商売の難しさを想えばよく頑張ろうと思ったなととても感心できます。 なので、平宮京へ行った際に商いを手伝うのも「むしろやらせてください!宣伝させてください!(※実際にするのは卯月くんです)」となりました。 …そして、これが本当に綺麗な締めくくりとなった場面。 何故、吉祥国は昔話の存在になってしまったのか。 福河にもっと情報があってもおかしくないのにと気になっていましたが、かつての暗殺事件の結果報復により… 文字通り、歴史から消え去ることとなったという一文で全てが繋がりました。 だから後世へ情報を残す事も許されなかったのかと。 西国の劇団の者はその際にかろうじて生き残った者の子孫だからこそ湖上演舞の事も知っており、恨みもあったのだと。 今は昔の物語である。 ここが、ゲーム開始時にある表現とも合わせゲーム本編が物語の追体験でありながらその中でさらにその世界の歴史へ触れる事となる。 世界観の表現や深みを出すという点で言えば満点としか言いようがない構成です。 後日談として、かつては暗殺の道具となった湖上演舞はやがて庶民にも馴染のある娯楽の一部となり文化として生き続けていく。 また後日暗殺計画が起きないか?そこは少し気になりはしますが、瑠未ちゃんも商売が上手くいってるみたいだしこれは文句なしのハッピーエンドですね。 良き商品は広く様々な人の手に渡って欲しいものです。 @ネタバレ終了 独自の世界観を舞台とし、謎解きを楽しみつつ物語としても綺麗に折りたたまれている。 セーブ機能はありますが、1章1章がそこまで長くないので気軽にプレイできた事。 章を選択できるので手軽に特定の部分を振り返るという事もできますし、ゲームの作りとしても遊びやすく思いました。 続編もあるという事なのでそちらもまた後日プレイさせていただきたいと思います。 良い作品をありがとうございました。

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  • 僕が死んだ夏
    僕が死んだ夏
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 すでにある意味オチはついているタイトルに惹かれたのもありプレイしてみましたが、結論から言うとタイトルの状況に至るまでの過程。 そして、そこが終わりで残りは軽いエピローグのようでなくむしろそこからが本番とも言える奥深さ。 訳があり死んだ魚のような目をしていたり、子供にしてはネガティブが先行した考えや発言をしていたほたる君が転校をきっかけに少しずつ立ち直っていく物語。 それを微笑ましく見守っているからこそわかりきっていた事なのに、タイトルにある死んだというのはネガティブ思考だった僕は死んで新たな自分に生まれ変わったという意味だよね…? とあらすじの時点でそんな訳がないのはわかるのに、願わずにはいられない…読み進めたいのにその為に指を動かすのが恐ろしい。 自然と、登場人物への感情移入ができる。 「こんな毎日が、ずっと続けばいいのに」 まさしく、そんな気持ちになるお話だと思います。 @ネタバレ開始 (再度プレイしつつ、初見の際に思った事や改めての事等を書き連ねる為乱文となりますがご了承ください) 配信で結果的に周回した際気づいた、冒頭のほたる君の殴られた痕を示す頬。 後に、ほたる君が母親のヒステリーや暴力に悩まされており妹を守って擦り減っていった事を想うと彼の思う家族の定義というのもそう思うのは頷けます。 これは一般論として、他人と他人が一緒になり血の繋がりのある子供が鎹となり、だんだん家族と‟成って”いくとかもあるのですが…ほたる君の場合は悲しい悟り方をしてしまったのだなと。 そして、最後に彼が母から聞いた言葉も今思うとこの対象は彼ではなく……とぞっとしております。 田舎は噂の広まりやすさが異常というか、子供の方が思った事を口にしやすいのはあれど転校初日から針の筵。 そんな中、ほたる君を庇ってくれたひかる君。 初見でこの時点では「主人公が彼ら(仲間)の誰かに殺される」という事をまだ強く警戒していた為、ひかる君の行動も実は裏があるのではないか? 一見人の良い顔をする子が実は…とかもありえる展開だしなぁと内心疑っていたのですが、すぐに全力で土下座をしたくなる位の良い子でした。 ほたる君としては事情があるから提案したとはいえ、突然苗字で呼んで欲しいと言われそこは採用しつつ親しみを込めるように「ほたる」という呼び方を提案してくれたひかる君。 転校初日だけでなく、ほたる君と友達になろうと接してくれる。 初見の時は、てっきりほたる君の父親がひかるという名前?と意味と取り違えたあのやり取り。 そして会話が止まり、不穏要素漂う赤い文字で出るほたる君の心の声。 …考えてみれば、それが当然だったほたる君にはこれが本来変な事であるなんてわかる訳がなかった。 それを教えてくれる人もいなかったのだから。 そして、後に混乱の原因ともなりましたが ひかる君の元々の父親(すでに亡くなっている)の名前は「ゆーさく」である事は判明しても、今の父親の名前は出ていなかった事。 そのまま現在の家族構成の話へ自然と行ってしまったのでそこに何の違和感も持つ隙はありませんでした。 血の繋がりがない妹を可愛いと言うひかる君に対し、妹という存在を嫌悪しているほたる君。 冒頭で、僕たちという表現を使っていた事からほたる君は一人っ子ではなく妹か弟がいるのではないかと思っていましたが…。 ヒステリックな母親と子供が二人。 もし、ほたる君の思う妹という存在の表現が実際にあった事だとしたら矢面に立たなければならなかった彼にとってはそう感じるのも無理はないとしか言いようがなく…。 ほたる君とひかる君の帰宅パートに挟まるすずねちゃん視点。 個人的にはひかる君の性格なら普通に友達も沢山できそうなので男の友達にも困って無さそうなのに…と不思議ではありました。 ただ、可愛い女性陣とも仲良しな関係で嫉妬なりやっかみで嫌われているのかな?とも首を傾げつつ。 そして、後の「主人公が彼らに以下略」を思うとすずねちゃんの台詞はどうとも取れるのが少し怖いかもしれない、というのが正直な感想でした。 そんな不安を良い意味でぶち壊す、すずねのスパルタ勉強塾という単語。 馴染のメンバーなら高火力でもほたる君を巻き込めばスパルタ加減が弱くなるというまさに策士の発想…! ひかる君とあかりちゃんが似た者同士というのにも同意しつつ、思った以上にスパルタだった勉強塾の内容に思わず笑ってしまいました。 (個人的には英語が苦手なので、算数問題集1冊も大概ですが読み方が完璧になるまで正座が一番きつそうだなぁと…) 光源のような名前のコンビの首根っこを掴んで歩き出すすずねちゃんというのも、きっとこの子達にとっては日常なんだろうなとほっこりする図でした。 その後、四人で並んで帰っているイラストも味があって好きです。 そして、心理的にあちら側にはいけないと心の壁があるほたる君に歩みを合わせてくれるみんな。 これを自然に行えるなんて、みんな…本当に良い子ばかりだなぁと。 本当に殺人事件は起きるのだろうか?とこの辺りで当初の警戒心は薄れていました。 どうしても私の目線上、子供の立場よりは親や子供を守る年齢層の方になる事もありますが まだ小学生位の子供であるほたる君がどうしてこんなにも傷を負って悩まなければならないのか。 生まれた理由はどうあれ、生まれた命の価値に違いはなく子供は等しく守られるべき対象なのに。 家庭が普通でない事だって、それはほたる君に罪がある訳ではないのに。 ほたる君にだって、普通の子供のように幸せになる権利があるのに。 だからこそ、今こうやって彼に優しく接してくれる友人というのがどれ程救いになる事か。 頼む、殺人事件起きないでくれ…(無駄と承知でも祈る) 夏休み前の学校が終わり、寄り道をしつつ秘密基地に遊びに行く約束をする場面は何とも子供らしいやり取りだなぁと。 すずねちゃんに寄り道の事がバレたら一緒に怒られそうだけど、そこに仲間もいるなら案外悪くないものなのかな、ときっと子供が本来友達と過ごすであろう日常がそこにある。 ただそれだけで、たったそれだけかもしれないやり取りがどうしようもなく愛おしいです。 そして、ひかる君の帽子を追いかけた結果怪我をしてしまったほたる君。 頭から出血して倒れるなんて大怪我というか、頭をぶつけるのは本当シャレにならない位恐ろしい状況なので早く救急車呼んでぇぇぇぇ…!! というか、自分が出血している事に気づいたほたる君の発言があまりに冷静過ぎるというかひかる君の服を汚すといけないって心配してる場合じゃない!! (これも考えてみれば当然の反応だというのは理解すれど、やはり何度見てもヒヤヒヤしてしまいます) 思わず落ち着きなくうろうろするひかる君。 泣きながら絆創膏を貼ってくれるあかりちゃん。 予想通りというか、やはり受けていただろう家庭内暴力と比較すれば大した事はないと落ち着いていたにすぎなかったほたる君の心境。 普通「打ちどころが悪ければ死ぬ」という言葉は使っても「打ちどころが良ければ運悪く勝手に傷は治ってしまう」なんて言いません。 これを経験則から学び表現として使っているほたる君の過去を想えば、それだけで胸が苦しくなります。 どんなに暴力を振るわれても、彼は奇跡的に命だけは助かり病院にも連れていかれず結果的に傷は自然治癒してしまったんだと…。 『ただの僕が、ただ転んだだけ』 今までの境遇から自分の価値を低く見ているのはわかっている、だけど…。 そう思いながらも、同時に無意識に涙を流している事に気づいたほたる君。 確かにひかる君にとって帽子は宝物と言っていたけど、彼は決して友達を軽んじる性格ではないだろうしほたる君が自分の為に怪我をすれば当然悲しむでしょう。 他の2人だって、こんな大怪我をした友達を見れば心配するのは当然の反応であり。 これは特別な事じゃなくて、本当は当たり前の事なのに今までのほたる君にはその当たり前すら与えられなかったんだ。 友達に何かがあれば心配するのは、自然な事なのに。 涙を流せるようになった事も合わせ、ようやく彼にもその当たり前な事がどこかで馴染んできた証拠なんだろうなと。 『転んで泣いていいのは、駆け寄ってくれる大人がいる子供だけだよ』 だから目線が悟ってるというか、子供のそれじゃない!! 君だって子供!怪我をしたら泣いても不思議はないし、しかも今回結構大怪我だよね?と頭を抱えずにはいられない。 まだまだ守られるべき立場なんだから…と思うも、ほたる君の境遇を思うとこういった考えになっても無理はないので余計に頭を抱えるしかなく。 怪我が実際大したことはなかったのは結果論だからな? 頭の怪我って実は結構怖いんだからな?と念押しをしたくなりつつ(※実際声に出しつつ)ひとまず夏休みパートに入って少し胸を撫でおろし。 公園で逆上がりをする件で、ほたる君もすっかりとけこんだのを会話から感じるようになりました。 これ、煽っているのではなく真面目に理由を考えてるんだろうなぁと微笑みながら。 そして、恐らく物語序盤との違いがあるとすれば口の開き方程度であり。 なのに、ほたる君の目にハイライトがないシーンでもこの辺りから自然と表情の見え方が変わってきたように感じました。 まるで同じ絵画を見た複数の人が、人によって同じ物にも関わらず違う表情に見えたと言うように。 転校初日に見せた表情と同じはずなのに。 今では失礼な事を考えたのを指摘されてつい、心底めんどくさそうな顔を見せていると感じている。 (本当に気のせいでないか、ブラウザ版とDL版同時起動で比較もしましたが本当に同じ表情なのに不思議だなぁとなりました) この辺り、ほたる君の表情をどう感じるか?が登場人物とプレイヤー両方の視点で変わっている事。 そしてそう感じるようになったのはすずねちゃんの言う通り、彼らが仲良くなってきた証であり表情を繕う必要がなくなった証拠。 それだけほたる君が、やっと年齢相応の子供らしさがある行動を取っても大丈夫と無意識にでも思えるようになったのだと思うととても大きな進展です。 すずねちゃんの言う『居場所を見つけたイルカみたいな顔』というのも、客観から見てほたる君が落ち着ける場所をやっと見つけたという裏付けに思えこの日々がいつまでも続いて欲しいと思うばかりです。 (でも、殺人事件起きるんですよね?頼むから起きないで。いや、起きるな) そして、初見の際は「あらかわいい」程度で深く考えなかったはるちゃんとの接触。 ほたる君から見たはるちゃんの印象は彼の中にある妹という存在のイメージも込で感じた物だと思っていましたが、これも後々になると……。 血が繋がってないにしてもひかる君に対し、兄の事をちゃん付するんだ?という疑問はありましたが、ほたる君にはお兄ちゃんと言っていた事はこの時点ではそこまで気になりませんでした。 よくある、年上の男性をお兄ちゃん呼びするのは普通の事ですし。 場面は変わり、秘密基地に行く日。 ひかる君がすずねちゃんから出された秘密基地禁止令をクリアする為の条件部分を回想する際に、ほたる君の表情がやれやれと言いたげというか…ここでも思わず見ていてクスッとしてしまう様子に感じるように思えました。 勉強が嫌いなはずなのに、ほたる君と秘密基地に行く為に頑張って1つ終わらせたけどそれが8月4日までかかったのもリアル感があるというか…頑張る動機含めとてもひかる君らしいなぁと。 7月中には間に合わなかったけど、今日秘密基地に行ったら勉強を頑張るから!というのも微笑ましく。 そして、期限には間に合ってなくてもひかる君なりに頑張った結果も踏まえ許可を出してくれただろうすずねちゃん側の事を想ってもこの子達における日常を感じられるのが本当に好きです。 田舎にある秘密基地というと、簡素な木材やビニールシートを組み合わせて作ったとりあえず雨をしのげる程度の小屋?程度の物。 もしくは自然が豊かなので大木の中に人が入れる空洞があるタイプかな?とほたる君と一緒にどんな場所なのかワクワクしつつ。 しかし、工事の音でほたる君が苦しそうにする様子とその心当たりに確かに…と思ってしまい。 顔色の悪いほたる君を気遣うはるちゃんは他の子も言う通り年の割にしっかりしてるし、優しい子なんだなと。 ほたる君からはるちゃんへの対応はどうしても心理的な前提もあるし、そうでなくても調子が悪い時は言葉を選ぶのもしんどいからしょうがないよね…と見ていました。 そして、ひかる君もほたる君を気遣ってくれる辺りやはり優しい友人だなぁとほっこりし。 可愛い妹であるはるちゃんが疲れてないか声をかけるのも兄としても優しい子なんだと思えました。 今日はおんぶを拒否しているというのは、まだ知り合って日が浅いほたる君がいる手前照れているのかな?と疑問はあれど一旦仮定は置き。 ひかる君が意外と運動ができない描写…あったよねぇと思い返しつつ、それでも妹の為なら山道でもおんぶをしていたというのも彼らしいというか…それは大人でも大変だろうになぁと感心しました。 その後に「うるせーーーー!!」と、もはやいつもの漫才のようなやり取りが入るのも気心の知れた友人のやり取りという点で本当に好きです。 ようやく到着した秘密基地ですが、まさかの廃校!? 手作り感があるにしてもほたる君の予想していたツリーハウスやテントはないだろうと思っていましたが、これは完全に予想外でした。 そしてまさかの秘密基地第一発見者がはるちゃん!? という事は、結構山奥と思えるけどここまでみんなで遊びにきた事があったのか…と驚かされ。 普通の廃墟でも充分ホラースポットですし、それが廃校であれば余計に怖い物に感じても不思議はない。 あかりちゃんの最初は怖かったというのも普通の感性だよなぁと思うし、内心ほたる君が平気と答えつつも「怖いよ」と思うのも当然だよなと。 ただ、ここも後々になると…一番怖いのは廃校でなくはるちゃんだよな、とだけ。 いざ秘密基地で始まった遊びであるかくれんぼ。 学校を使った大規模なかくれんぼなんてみんな一度はやってみたい奴だよね!と個人的には興奮でした。 普通の教室から特殊教室まで、一般的な隠れ場所や学校特有のレアな隠れ場所まで選り取り見取りですし一度位やりたかったよなぁ~!!と。 (場所が廃校なので、危険を考えれば遊び場として問題があるのは大人の目線で見ると心配なのですが) 鬼を決める際も今回が初めてであるほたる君にも配慮され、老朽化由来から怪我をしない為にすずねちゃんから付け足された足元に気を付け走らないというルール。 場所が場所なので心配はありますが、その中でもちゃんと安全性を考えている辺りはすずねちゃんらしいですね。 目配せの意味を察し、ひかる君ととっておきの場所に隠れるほたる君。 ここの一枚絵が、本当にひかる君が楽しそうな顔をしている事やある種の秘密を共有している(一緒に行動する事で、二人しか知らない隠れ場所にいる状況)行動。 後に出る差分も含め、特に印象的で好きな場面です。 ベランダの下を見ると、そこには不気味な印象を与えるように存在する蛞蝓沼。 沼が近くにあるという点でだけでも充分危険なのに、たまに死体があがってくるという噂まである不穏さを煽るには充分な場所。 ひかる君の言う通り、実際は沼に近寄らせない為の噂と考える方が自然ですし大人は当然として子供の背丈では体全部が中に沈んでも不思議はないでしょう。 ただ、偶然としても沼の埋め立てや学校を壊そうと工事をする度に事故が多発して今も残っている…となると霊的な何かもありそうという点で不気味さはありますね。 そんなホラー要素を挟みつつも、鬼に見つかり「ここは2階!ベランダだからセーフ!」と言い訳をするひかる君とそれに反論するあかりちゃんのやり取りで一気に日常感へ引き戻されました。 と、思いきや…黒い何かが横切った? 校舎に入る前にほたる君が感じた何かの気配と合わせ、ホラー展開が続くの?とドキドキ。 個人的には、ここであかりちゃんの語る肝試しの時の話が「鬼畜か!?」と突っ込みどころもありました。 廃校舎というだけでもホラー要素があるのに、怖いのが苦手な子に脅かし役まで配置済みの肝試しはあかん…。 (結果的に、人為的だったのでお化けはいないから大丈夫と思える要素になったのはオーライとして) 「守る人がいれば大丈夫かな」 お化けより怖いものを知っているという部分に察しがつく事や、兄として妹を守る為に耐えてきたほたる君だからこそ出た発言でしょう。 やはり子供らしい日常に慣れてきても根深い物が発言や思考から見え隠れするのを見ると、彼が受けてきた仕打ちは本当に酷い物だったのだと爪痕をうかがわせます。 ---------* 個人的に、全てを知った後から見ると実際はもっと伏線としても爪痕という言葉では済まない規模の物が存在している事には物語の構成として上手いと言わざるを得ないのですが…正直、ほたる君の気持ちを思うと心が曇りました。 でも、序盤のマイナスしかない状態から徐々に明るくなっていき子供らしさが表に出てくる。 それでも、消せない爪痕をふとしたタイミングで、要所で見せるという手法はほたる君という人物を表現する上でとても効果的な塩梅と思います。 月が人の目から見て満ち欠けをするように、目に見える状況は変わっても月そのものは同一の物でしかない。 物語の核である『僕』がどんな人物であり、どのような過程の末に『死んだ夏』の日へ到達するのか。 それまでに、どこまで感情移入できるのか?これが物語の面白さを決めると言っても過言ではないでしょうから。 ここを重視すると自然に、ほたる君を取り巻く環境や関係者も掘り下げられるという点で友達である3人も本当に魅力的な人物と思えました。 「こんな毎日が、ずっと続けばいいのに」 この言葉を本当にそうであって欲しい、初見の時もレビューの為再プレイをしている時も何度でも思ってしまう。 『僕が死んだ夏』というゲームのストーリーには、そう思わせる力がある。 ここは重要な事だと思うので、本編の感想とは脱線しますが書かせてください。 ---------* そして判明する黒い何かの正体。 確かに黒猫なら姿は黒いな!?野良猫自体も珍しい事でないのも踏まえ、わかってみれば案外そんなオチかと安堵。 野良や捨て猫を拾う際の話として、すずねちゃんの発言は正当な物だし私も意見としては全面的に同意します。 ただ、同時にその発言から今まで辛い事ばかりの境遇から幸せを与えられたほたる君の心に刺さるというのも…そういう思考をしてしまう事も理解できるのが辛い所です。 「出会った以上は絶対見捨てねえぜ!」 「絶対に幸せになろうな!」 それでも、この発言を心から言えるひかる君なら大丈夫だろう。 今までの行動からとっくにわかりきってはいても、彼という人物を表現するには充分すぎる場面で。 心に残る光景に思えたのはほたる君だけじゃないと、プレイヤーの視点でも共感できました。 この辺で私の中におけるひかる君への好感度が上限値を超えた記憶があります。 結果的に、猫はちゃんとひかる君の家で飼えるようになって解決。 名づけのセンスでどうして自分の名前+2号ってつけようと思った!?と突っ込みをしつつ、結局それに反対し怒ったはるちゃんも猫にはると命名したのもナンバリングがないだけで兄妹だな!?という似た者同士だなぁと笑う場面か ……と、この時(初見)は思っていました。 大切にしたいものに自分の名前をつけるというのは、どこかで聞いた事がある概念なので珍しくてもない事とは言えない程度に感じながら。 それを聞いたほたる君がふらついたのもツッコミ的な表現でガクッ!となったとか、当人が言う通り純粋に猛暑の影響程度と流しながら。 実際は、思わず悲鳴をあげたくなる真相があると気づいた今は思わず顔がこわばってしまう場面だったのだなと思います。 そして、再び行われるかくれんぼ。 いつもの場所に隠れながら行われる会話でようやくかつて思った事を、ひかる君みたいな兄が欲しかったという一度飲み込んだ言葉を伝えられた事。 やっとこれを伝えられるまでになれたんだと、思わず吹き出し笑うほたる君の表情も含めとても心に温かさが染み渡りました。 そして、ほたる君自身もこれまでの事を『今の日々のために起きた悪い夢だったんだって思えるくらい』 そう表現しながら、微笑みながらも涙を浮かべる様に強く頷かずにはいられませんでした。 そうだよ!ほたる君にだって幸せな日々を過ごす権利はあるんだ!! と、もはや何回述べたのかわからない事をようやくほたる君自身が理解して受け入れてくれたんだと…。 だから、その後に続いた言葉もてっきり本質的にネガティブ思考な自分の事を…という意味で受け取りました。 どこかでこの後に起きるであろう展開を予感させるには充分な心理描写であったのに、それを見ないフリをしたかったと初見の時にはきっと思っていたんだろうと思いながら。 この後に起きる展開、このゲームのタイトルは…。 最後のかくれんぼ、内緒話を持ち掛けるメモと待っても現れない待ち合わせの相手。 予想ができてしまう、やめてくれと思ってしまうし、やっと手に入れたほたる君の幸せな日々を終わらせたくないと内心読み進めるにも指が重い。 「どん」 僕が、主人公であるほたる君が死ぬ事はわかっていたはずなのに。 その事を事前に知らなかったひかる君同様に、できる事なら泣き叫びたくなってしまう。 …いや、これで万一ひかる君が実は犯人なら私は数ヶ月単位で寝込むよ?と真相究明パートへ。 確定情報としてあらすじ時点で、彼らの誰かに殺されるというのはわかっているので考えたくはなくともこの中に犯人がいる…というのがなかなか胃の痛い。 直感的に、犯人として考えられるのは序盤の印象からいけばすずねちゃんと予想。 回想の、ハイライトのないあの顔でほたる君が言う『僕がひかる君を最初に見つけられなかったことある?』 これが、時間にすれば短くも彼らの付き合いの深さを想像させるには充分すぎる言葉でした。 完全にひかる君の隠れ場所を熟知している事を補強するすずねちゃんの発言も含め。 当初は、まともに学校に通えていなかったほたる君が勉強追いつけるかな?と不安な気持ちもあったのですが立場が逆転している様子だった事。 ひかる君に勉強をさせる口実として中学は義務教育なのに、一緒に中学に進級できないと嘘をついていてばれないようさらっと話題を変える様子。 もう様々な意味で「いいんだよ、これでいいんだよ!!」とそこにあった日常がただひたすらに愛おしい。 しかし、もうほたる君はこの世にいないしこの後にされる難しい場所に隠れて欲しいという会話が最後のやり取りだったと思うと…この後に何が起きたかを含めどうしてそんなお願いをしたのか。 意図も含め考えてしまうと、何とも言い難い気持ちになります。 そして一見ギャグか?と思えるひかる君のかくれんぼへの本気度全開な隠れ場所。 かくれんぼは相手を脅かすゲームじゃないから!という発言。 これ単体だと笑いどころなのに、後にかなり重要な情報になるという繋がり方は推理を楽しむという点で良かったと思います。 ひかる君目線でも、仲間の中に犯人がいるかもしれない可能性が示唆され。 すずねちゃんの何があっても自分は味方という発言も、何とも意味深であり。 意外だったのは、確かに田舎等生徒の少ない学校では学年が違ってもクラスが同じ場合はあると知っていた。 けれど、あかりちゃんはまだわかるとしてすずねちゃんも年下なの?という事実。 ひかる君にとって、妹ができる前から自分より年下である友人2人は守るべき対象であり自分はお兄ちゃんだからそれが当然と思っていた。 とすれば、その守るべき対象の中に犯人がいるかもしれないというのは…ひかる君にとってあまりに残酷な事なのだろうと。 同時に、お兄ちゃんだから年下を守るのは当然の事とするひかる君の事は誰が守ってくれるのか? お兄ちゃんという表現こそ使っていても、ひかる君だってまだまだ子供なのだから守られるべき対象であるのに違いはなく。 子供同士で助け合う事はいいとしても、本来は大人が守らなければならない。 ここは推測ですが、すずねちゃんとひかる君は同じく片親だった事。 すずねちゃんのしっかりした性格から察するに、身近な大人である親に頼るにも万全とは言い難かったのではないかなと。 環境として自分がしっかりしなければいけない、そんな状況にあったからそういう子になっていった。 もしそうなら、素直に捉えればしっかりした子だねと褒められるのかもしれないけど…やはり子供がもっと甘えられる環境はあって欲しいなと思うのはエゴなのかと複雑な気持ちも少々。 自宅に戻りはるちゃんからも情報収集をしつつ、はるちゃんの発言そのものは幼い子供らしさは感じる。 けど、お化けがほたるお兄ちゃんをゆーどうして沼に…という部分も後の情報と併せると全く笑えない意味合いになってしまう。 お化けの出る沼に近づかないよう警告をするはるちゃん、これも素直に受け取れば子供らしい発想と心配が合わさっただけに見えますが……。 「ひかるお兄ちゃん、はるを守ってね」 改めて見ると、この場面で初めてはるちゃんはひかる君に対し「ひかるお兄ちゃん」という呼び方をしたんですね。 でもまたすぐにちゃん付に戻っているのも注視ポイント? ひかる君がほたる君の死に納得がいってないように、あかりちゃんも同じく納得はしておらず悩んでいた事。 ほたる君は本当に彼らの友達として受け入れられ大切に思われていた。 その事を改めて再確認する事で…だからこそ犯人は許せないし、かといってこの中に犯人がいるとも思いたくない。 突き飛ばされた際にほたる君は、その相手に恨まれていると感じていた点を含め本当に何があったのか…。 そしてずっとさも当然のように思っていた前提がいきなり間違っていたと判明する場面。 ほたる君が祖父母の家に住んでいるというのは言われていたけど、てっきり母方の方だと思い込んでいたのに何故か出て行った父方の方だった!? どこかで言われていたのに読み落としたのかと配信時はパニックになりましたが、ここまでどちら側の祖父母なのか明言はされてなかったと再確認。 ここからほたる君の過去に対する情報が一気に増える事も合わせて当時はかなり混乱しましたが…これが先入観か、と今なら落ち着いて読めます。 この辺りから ・何故ほたる君が名前で呼ばれるのを嫌だったか ・ひかる君の父親の名前もひかるだと思っていたのか ・判明しているひかる君の父親の名前は、すでに死んでいる方のみである ・妹がいる描写のあったほたる君が何故今は一人っ子なのか という疑問点も解決し、確かに今まで出てきた情報に嘘はない。 嘘はないけど…大事な部分が綺麗に隠されていたって事か!? 違和感を持てたとしても、初見では全て正解する事ができないだろう巧妙さ。 ほたる君は父親は自分達を捨てたと母親から説明をされていたけど、それだって正しい情報ですらなかったという衝撃。 ゲーム開始時点でほたる君の頬にある痕を見るに、暴力を受けていたのは確定情報だしそれ以降判明している情報だけでも母親の性格に問題があるとは思ってました。 けど、この事実は……。 そしてある意味怖いのは、まだ4歳でありながらすでに母親と同じ目をしていると言われた妹の方。 財布を手渡せるかはともかく、父親を逃がす為に助ける為に行動を起こした…までならよく勇気を出したねと言いたかった。 だけど、その後の発言がとてもそんな幼い子供の発想とは全く思えない。 「あの女を近づかさないようにするから」 近づかせないようにする事を条件に出した…? 今でなく、いざという時は引き取って欲しい?もうすでに、兄は限界といえる状態なのに…!? ここから逃げて助けを呼ぶ事で自分や兄を助けて欲しい。 もしくは、動けるようにしたのだから今から自分や兄と一緒に逃げようと提案する。 4歳の子供が頑張って知恵を絞り行動を起こせるとしてもこれが恐らく年齢としては限度でしょう。 その上で、警察を呼ぶ事や助けを呼ぶ事は許さないとまで付け加えている。 逆じゃないか?何が目的なんだ? 幼い子供の行動力を超えた行為として父親を助けた事以上に、明らかに年不相応に知恵が回る事。 一体何を目的としていざという時という表現を使ったのかが全く理解できない事。 その理解しがたい娘が、はるちゃんだったという事。 これらが繋がった時、もはや声にならない悲鳴が出ました。 ほたる君の‟はる”に対する初印象は本来の彼女がどんな人物か知っていたから? 「ひかる君の妹のはるちゃんだね」 この台詞以降、ほたる君がはるちゃんの名前を呼ぶ事はなく。 ずっと、はるちゃんに対してはひかる君の妹と表現し頑なに名前を出さなかった事。 これが、(今は)ひかる君の妹の(今の名前は)はるちゃんという意味だった事。 …あれ?でも戸籍上の名前は母親と同じでまみだよね?と頭がぐるぐるしますが、別にこれも冷静に考えれば本名を言う必要もないよなと。 少なくとも、辰久(父の方)にとってもその名前はトラウマでしょうし再婚前にひかる君の母親へ事情を説明すれば違う名前を名乗らせてもばれないよう手配もできそうですし。 まみちゃん…いや、はるちゃんも別の名を受け入れているならいいのか?もしくはすでに改名したのか。 はる(仮)ちゃん名前がどちらにしろ、父親の言った娘もあの女と同じという点は猫に自分と同じ名前をつけたという点から「あの女の血ぃぃぃぃぃ!!」と絶叫する程度には理解出来てしまいました。 というか、こんな知恵が回るエピソードがあるという時点でも恐怖しかない。 そして帰宅の場面でとうとうすずねちゃんが犯人なのかに迫る場面が。 証拠品として出されたすずねちゃんの字で書かれたと思われるメモ。 やはりそうだったのか!?と思うも、どこか違和感もあり…。 ひかる君の指摘する通りに筆跡は似ていても、何故か全てひらがなで書かれていた事。 すずねちゃんは中学1年の勉強もわかると言っていたので確かに彼女が書いたにしては不自然と思える。 それにひかる君の隠れていた位置から自動的に二階にいた二人は容疑者から外れる事。 後は作中では指摘されていませんでしたが、当日雨が降っていたのに汚れたりしわになる形跡もなく綺麗な状態なのはありえないのではないか? (最後は、雨が降る前に異変に気付いたメンバーでほたる君を探した際に見つけた可能性はありますが…状態が良すぎるという点は作為的には思いました) もうこの時点で、犯人が自動的に絞れたなと…頭痛がして。 だけど、今までこの子達の間で築かれた絆が本当に強い物だったからこそちゃんと違和感に気づき、互いの性格を知っているからこそ相手を責める事なく仲間割れをせずに済んだ事。 こんな友達がいるって素敵な事なんだろうなぁ…ここに、ほたる君もいたらもっと良かったのに。 女の子同士の美しい友情と今後の方針にそっちは任せた!と思いつつ、今度は行方不明事件についての情報か…でもそれってほたる君の死んだ理由と直接繋がるんだろうか?と思いながら翌日へ。 判明した情報から、以前ほたる君達3人は裏山の付近で目撃されていた事。 はるちゃんが秘密基地の第一発見者だった点から、以前にもきた事があったから場所を知っていたと考えるのは正しそう。 けど、何でわざわざ廃校になんて行ったのか自分では想像できずひかる君の推理と図書館のおじさんの会話からだんだん何があったのかわかってしまい……。 「大丈夫だよ、もうすぐ会えるからね」 あの女の血だーーーーーーー!!!と、もう配信当時は取り乱していたと思います。 証言におけるほたる君の様子から、完全に計画したのは妹しかありえない…。 さらに翌日、すずねちゃんとあかりちゃんはほたる君は自殺であり図書館での情報から母親を殺した事実に耐え切れなくなったと推理を話した。 けど、プレイヤーからはほたる君が突き飛ばされたのは確定していて…さらに父親の証言からはるちゃんがそういった小細工をする知恵が回るのは間違いないと言いきれてしまい…。 もうこれは、あえてすずねちゃん達が真犯人がわかった上で自殺という結論にして妹が親友を殺したという致命傷を与えないようにしているのか!? それとも本気でそう思っているのか!?どっちなんだ言ってくれ…!! (前者の場合、多分そうなるよう昨日すずねちゃんが誘導しただろうまで想像ができて) @ネタバレ終了 そして、ここまでは配信でも読んだ部分までの感想と再プレイをしての感想となりますが ここから先は確認できなかった部分についての感想となります。 @ネタバレ開始 思わず皿を落としたひかる君、不穏さしかないBGM…もう、この時点で読み進める為の指が震えてしかたありません。 やっぱりメモの状態についての予想が当たっていた!! そしてはるちゃんの表情が変わった瞬間、やはりあの女の血だ…この娘は……!! そして、そして、そして…父親を役立たず呼ばわりと…とうとう本性を出しやがったと…。 胎内における記憶、自分を守ってくれたほたる君が自分にとって王子様でありいつまでも一緒にいたい相手だった事。 もし、ほたる君が誰かに殺されたという事が不明のままなら…万が一自殺としてありえただろう動機である『転生して兄弟になるチャンスに賭けた』想定。 あの会話を、ベランダで初めて聞いた際に浮かんだ事が…実際の物語ではどうしようもなく身勝手な動機として実行されてしまった事。 豹変してからのはるちゃん…いや、まみはいっそここまでくれば清々しいまでの悪女でしたね。 ただ、これが妹であるまみだけの歪みというよりは血というべきなのか…むしろ、呪いの領域と言った方が近いというのが率直な感想でしょうか。 二人の母親は自身が愛されたいが為に我が子に愛する人と自分の名前をつけた。 結果として、その一方的に歪んだ愛と関係性は子供であるたつひさとまみでも起きてしまった。 これはもはや、代がかわってもただ繰り返されるだけの呪いじゃないかと。 全てを知っても、今は自分の妹のはるなのだから今後は自分が見張らないといけない。 関係も変わり、誰にも真相を言えないひかる君はこれからどうなってしまうのか。 おまけはきっと後日談だろうと思いましたが、あれ?成長したほたる君にみんな中学生って事は…これはもしや来世? それとも、別の世界線とか…こうだったらよかったのにというifストーリーで終わらせてくれるのか? …何て甘ったるい物はなかった。 もうひかる君はほたる君とは夢でしか会えない事実。 時期としても恐らく夏休みが終わり、僕が死んだ夏…蛍の命が短いようにその夏と物語は終わりを迎えたのだと。 これから先の出来事が観測できないのなら、せめてもの抵抗として生まれてくる赤ん坊は女の子でありますように、ほたる君のようやく手に入れた幸せな日常を終わらせた彼女の願いが叶わない事を祈って。 これ以上、呪いが繰り返されない事を願うばかりです…。 果たして秘密を抱えたひかる君の精神はいつまで持ち堪えられるのだろうか。 ひかる君はみんなを守るというけれど、だったら誰がひかる君の笑顔を守ってくれるのか? 本当にどうしようもない形で、すずねちゃんの心配していた事が起きてしまったんだなというのが最終的な感想となりました。 @ネタバレ終了 恐らく普通に人が連想し過ごしているだろう当たり前の日常は、実は全然当たり前なんかではない。 それがある事は、実は本当はどうしようもなく幸せであるという事。 (その事を理解した上で生きている人が、果たして実際にどれ程いるのかはわからないとも添えつつ) あるべきだろう日常はとても愛おしいと思える物で、しかし何かのきっかけであっけなく失われてしまう物でもある。 そんな、ひと夏の出来事でした。 @ネタバレ開始 そして、途中からほたる君の表情が同じ立ち絵なのに違う表情に見えたように 全てが終わるとタイトル画面だって同じイラストなのに目的を果たした後の表情という意味に解釈は変化をして。 @ネタバレ終了 個人的には色々と考えさせられましたが、間違いなく良い作品であり。 ありがとうございました。

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  • 『STELLA System Down~星見台の憂鬱~』
    『STELLA System Down~星見台の憂鬱~』
    配信にてプレイさせていただきました。 思考実験は好きなのですが、配信で行う…という点でこれは良いチャンスだと思った事を正直に告白いたします。 ニューゲームを選んだ際に、選択肢を選ぶ前に自分の中の答えを作るとゲームの面白さが100%を超えるかもしれないとの記載があった為メモ帳に各質問に対する自分の解答をメモしながら進行いたしました。 以下、それを含めての感想となります。 @ネタバレ開始 Q1,残り1000人の地上の人類は…(初見選択:滅びる) A,1000人の内訳によるが、滅びる。 1000人の内、男女比や何人が労働可能であり赤子や幼い子供、そして老人か? この割合によってはまず人口が増えるか問題と最低限現状を維持できるだけの労働力が足りるのかが怪しいラインだと思うので滅びるかなと。 Q2,星を見ることには(初見選択:意味がある) A,星見には意味がある。 その結果集めたデータが後で何の役に立つのかわからないから。 また、古くから人は星を見る事で何かを見出してきた。 つまり、意味はあるのではないか。 Q3,人間らしさとは(初見選択:心があること) ただし、選択内容としてはほぼ同一と解釈したので『心』の中に『感情』も内包されていると解釈した上での選択です。 A,理性がある事 感情や衝動を止めるという事ができるストッパーの存在。 人間が社会を形成する上で、これがなければ成立しないという点も含めあえて挙げるならこれかと思いました。 Q4,バックアップで復元した存在は(初見選択:同一人物ではない) これは『同一‟人物”』という単語より、人間ならばどうか?という前提で答えます。 人物という意味なら違う。 例えバックアップを取った時点では同じデータの個体だとしても、その先の日を生きた記憶の同一性がない事。 バックアップ以降に、オリジナルの後日と全く同じ過程を再現できないならば別の個体となると思います。 (これは、過程すらランダム性の複合より実質再現はできないという判断も含め) Q5,お祝いには何を用意すべき?(初見選択:まず実用性。ペンと時計) 自分と相手の間柄による!!(最重要) ただ、前提の話が云わば弟か妹ができた為お祝いに悩むという事なのである程度親しい間柄という前提で。 まず、相手に何が欲しいか探りを入れる。当人が自己購入予定の場合も警戒。 ここで指定があればOKですがなかった場合→複数あって困る物はあげない。 食べ物は好みや消費期限の問題があるからあげない。 (選択肢の誕生日ケーキの場合、当人やその家族が用意して被る可能性も踏まえ) 無難に金券といった、相手が後から欲しい物を手に入れられる手段がベターかと思います。 自分で導いた解答と用意されている二択の内容が違った場合はより近いのはどちらか?で直感的に選びましたが、自然と後の会話を見ると論として納得できていたので不思議に思いつつ面白いなとなりました。 反対の選択肢を選んだ場合の会話も裏で把握しましたが、やはり直感で選んだ方がより自分と近い考え方という結論になりました。 @ネタバレ終了 という事で最初はエンドAへ。 ただ、次に回収したエンドBの方が好みな点からより多くの解答が一致した結果とは反するんだ?という意味で個人的にはニヤリとする部分もありました。 おまけとして思考実験のお題もあったので、こちらも嬉々として解答をメモに取りつつ二人の見解を聞いて笑ってしまいました。 こちらもメモは取ったので、解答を記載します。 @ネタバレ開始 ◆トロッコ問題 レバーは操作しない。 本来死ぬはずがなかった人を犠牲にはしない。 ◆中国語の部屋 仕組みだけで言うならそれは決まった動作をしているだけで感情は存在しない。 ただ、外から見た時にそれを証明する手段はない以上外の人(受け手)の感想に依存するものである。 ◆五分前仮説 京極堂で見たy……これについては、否定はできない。 ◆シミュレーション仮説 まず、そのシミュレーションで上位の存在がどのような結果を見たいのか?が気になる。 自分の存在が何であれ「自分の思う考えの上で行動をする」という事に変わりはない。 (後半は五分前仮説においても、結局そこは同じと思います) ◆水槽の脳 まず、この脳はどの段階で取り出された物かを前提として定義したい。 ある程度経験を積んだ脳なら与えられた刺激で方向性を誘導されても、結果を導くのは脳が蓄積した知識や経験則であり自分の意識である。 この実験が今起きているかどうかは否定できない。 ◆チューリングテスト 知識の偏り。 人工知能は多くの情報を持っており反応できる幅を広くとっているので偏りのない無難なやり取りができる。 特定のワードから連想される対象等、その人の経験や知識による知識幅や趣向に偏りといったものは人間にしか成立しない。 (身も蓋もない表現なら、濃すぎる性癖トークができるなら人間では?理論) 思考実験における二人の見解は概ねアルタの方が自分とは近かったと思います。 その上で、最後の質問には『アルタ』と回答します。 正直、私自身は自分の性質を理性で強すぎる感情を制御していると思っていたので配信時はより共感ができるという点で説明も見たのに何の疑いもなくアルタの方が感情的担当と何の疑いもなく誤認していました。 確かに、ベティスをたしなめる場面や仕事で満たされる事に疑問がないという点は理知的担当らしいとは思えど誰かにあだ名を付けたりする事やどこか理を優先しているのに垣間見える人の持つ無駄…のような。 そういったところが人らしさに感じたのかもしれません。 おまけの思考実験解答含め、無駄な前提を切り捨てるという点では…それも感情故かもしれないけれどベティスの方がより無機質に感じるのも不思議ですね。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

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  • 脱出サスペンスゲーム エリア33
    脱出サスペンスゲーム エリア33
    配信にてプレイさせていただきました。 なかなかエンドを回収するのに手惑い、2日かけてトゥルーエンドまではクリア。 残り13個+隠し?の1個まではいけましたがこれ以上は現状無理と判断してレビューを書かせていただきます。 @ネタバレ開始 どこか懐かしい選択肢をクリックしていく方式…と思いきや、当然の権利のように隠れている隠れ選択肢に気づかないと困る場面もあるという仕様。 スタート時点の部屋内で3ヶ所に進行上のヒントがあったので、とりあえず進むのに問題はありませんでした。 (選択肢の配置法則がシンメトリーというのは初日の配信終了後に攻略チャートを作成している際気づきましたが) 一見同じ流れになる場合も過程の選択肢によって後の反応が変わったり、特定のエンドにいくには必要になったりと結構細かく分岐しているのでその法則とどの流れに分岐するかをはっきりさせればもっとエンドが回収できそうかな?という感はあり。 重要ワードはシンメトリー(対称性) それと、某部屋の縦読みであった「記憶は全て嘘」というのが何を意味するのか? エンド条件に関するのは ・脱出時の人数 ・それまでに殺人を行ったか ・所持しているカードキーの枚数 と、目星がついたので後は判明している範囲で各部屋や場面で何の選択肢があるか? 特定の部屋やイベントに行く方法はどうすればいいか? それと、各カードキーの入手場所は初日のプレイで全て判明していたのでこれらをメモに取り2日目のプレイへ。 真っ当に考えれば不殺かつより多くの人数での脱出が一番良いエンドと思えたので、ユー シーちゃんからカードキーをもらってから四人部屋→三人で脱出…からどうするか?で一度悩み。 初日ではゴンゾウとベスちゃんを助ける際にスプーンを使用で三人での脱出だけど殺人の代償エンドとなってしまったので、作戦名:俺に恩を感じろプレイ(四人部屋で好感度が上がりそうな行動を選択)をしつつ、ベスちゃんと二人で逃げるエンドの際には戦力が足りないから駄目だったのでは?今なら人数的にいけるかも?で自己犠牲を選択→無事に三人無事かつ不殺でカードキー入手の条件を充たせました。 裏でチャートを作る為試行錯誤している際、ウィリアムを殺さずカードキーをもらう方法がわかっていたので後は順番にカードキーを回収すれば…と思いきやまさかの出口以外を選んだ際今回も別行動…? でも、さよならはまだ言わないよ!とあったので後々合流できる可能性を信じて後は順当にウィリアムに気に入られつつカードキーの回収とユー シーちゃんを連れて迷路を突破。 多分隠しエンドがカードキーを全て入手して某所で使う事だろうと思い後回しにしてみたらエンド31…? じゃあこれを使うエンドが…と、使用した結果無事にトゥルーエンドへ。 隠しエンドはどこへ…?という疑問を残しつつ、諸々の理由で突然のRTAが発生したり等しましたが、真相がわかって見れば物語としてはそういう事か…と納得しかなく。 縦読みもその事を意味していたという点ですっきりしました。 @ネタバレ終了 しかし、トゥルーエンドにこそ到達しましたが手持ちのエンドリストを見ると回収できてない内11~17がごっそり抜けていたり、他の間が飛んでいる物(8,9,19,21,23,26)についてはまだ前後のエンドと近い条件?とある程度の予想ができますがさすがに大幅に回収できてないのは見つけてない別ルートでもあるのかな…? と、配信としては終了しましたが裏プレイをするもここで限界でした。 また後日閃いたらエンド回収はしたいと思います。 思わずガチでチャート作成に走る位にはやりがいのある面白い作品でした。

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  • 可惜夜のがんがら荘
    可惜夜のがんがら荘
    大変感想が遅くなり申し訳ありません。 最新作の可惜夜のさかしま町まで配信にて毎回楽しくプレイさせていただきました。 導入部分から不穏しかない始まりにこれは変えられない運命…だろうと思いつつも何か抜け道は!?と思わずにはいられませんでした。 @ネタバレ開始 まず、前回救出したマテオ君が今作からレギュラーメンバーに加わったというのが素直に嬉しかったです。 シリーズでこそあれそれぞれの作品で話そのものは個別に完結しているので前作が未プレイでもプレイが可能な事や、タイトル画面にある登場人物紹介で今作から始めても支障がない作りにはなってこそおりますがやはり前作をクリアしたからこその部分はありますし。 すでにさかしま町までプレイ済みの上で現在レビューを書かせていただいているので言える事ですが、南風原さんと助手子ちゃんとは違った視点の要素を入れられるという意味でもマテオ君の加入は良い結果になったと思います。 従来通り助手子ちゃんは何故その状況でドラマに集中できるの!?というヒント役で。 マテオ君は探索における同行者として進行に必要な部分や警告をするといった役で。 助手ポジションの人物が増えた事で明確に役割分担がされた事や、少なくとも南風原さん一人で探索していた頃よりは安全になりそう(※死なないとは言っていない)と精神的なオアシスも増えました。 今回、物語の始まりがマテオ君の見た夢という事もありますが過去にもオカルト系な要素はあっても実態はからくり仕掛けの罠だったり正しい姿を視認できないだけで人間だったりと明確に霊系統と言える部分にも見える視点と見えない視点の両面から演出ができるという点も良かったです。 (中学校のアレは……霊感がなくても見えている時点でもう力を持ち過ぎ駄目な領域なのでノーカンとして) 謎解き自体は安定の助けて助手子ちゃん!と、もう自力で全問正解は無理となってますがストーリーは最後まで楽しめているのでいつもながら本当に頼れる助手ですね…。 少女視点で判明する情報や、管理人の発言や部屋を物色した際の情報から「お前…!お前…!!」と推定(限りなく黒)犯人への怒りがこみあげ。 用途は不明だけど、とりあえず用意しておいた身代わり人形がこんな所で必要だったとは!?と、最後まで油断ができないストーリーでした。 後日談として語られるお話で、少女が無事に遺骨も魂も父親の所へ帰る事ができただけでも…良かったのかなと。 収集物を全て集めた際に読める事件内容自体は悲しい出来事ですし、探索中で断片が見つかる度にそこに書かれた言葉から隠し切れない不穏要素で心は痛みましたが…。 ある意味、昔は地域で子供を育てていたのでご近所さんなら大体安全な相手だったのに今では知っている相手でも警戒しなければならないという世知辛さ。 実は危険はとてもすぐ近くにあるという理不尽さ。 それを改めて認識する形となりましたが、過去は変えられずとも今回の一件からその中で今一番取れる最善は選べたのなら…。 しかし、ある意味一番の怖い話となる部分はあの水槽って所謂その建物で使用される水を確保しておく貯水槽…ですよね? つまり事件後、あそこに住んでいた住人達は何も知らずにその水を飲んでいたという事で…。 @ネタバレ終了 シリーズ物ながら、どんどん手強くなっていく謎解きや新しい要素が入ったりとプレイヤーを飽きさせない作りであり。 南風原さんには気の毒ですが、次はどこで大変な事件に巻き込まれるのかな?と楽しみになる自分がいます。 いつもながら面白い作品をありがとうございました。

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  • 可惜夜のあかすぐり
    可惜夜のあかすぐり
    大変感想が遅くなり申し訳ありません。 最新作の可惜夜のさかしま町まで配信にて毎回楽しくプレイさせていただきました。 今度の舞台は逃げ場のない船の中!? いつもながら物語導入部分で南風原さんが事務所を掃除しているお約束の描写に実家のような安心感を持ちます。 @ネタバレ開始 いきなり気を失い客室と思われる場所からのスタート。 部屋にあるメモから怪しい集まりという事は察し。 トータルで見ても今作が一番間違えたら即死の時間制限付き選択肢に直面する場面が多かった印象もあり、怪しい集まりの者に鼠とばれたら命がない危機感もあってとてもスリルがありました。 確かに命がけの二択という意味で緊張感はあれど、今回に関しては信者の演技や天使を崇拝するという部分を守っておけばまだ回避がしやすい…と思いきや、最後の最後で慎重さを優先しよう!と判断ミスをしたのが個人的に悔しかったです。 謎解きは愛州中学校の時点で難易度が上がっているとは思いましたが、今作も助手子ちゃんの力を借りて何とか突破はできました。 いざヒントをもらうと「そういう事か!?」と内容によっては頑張ればいけたかもしれないと思えるライン、自力で気づけなかった事が悔しくなる絶妙な加減でしたね。 前作、前々作と悲しい巫女や色々アウトー!な学校だったり救いって何だっけ…?となる事が続いた分、本作のトゥルーエンドはようやく色々な意味で良かったと言える内容で安堵しました。 今作も色々事件というかやばい事は起きているので一概にハッピーとは言えないのは同様であれ。 確かに、蘇生した死者が生きていくにも身元保証をどうするのか?等を考えてもこの終わりでよかったのでしょうね。 @ネタバレ終了 いつもながら面白い作品をありがとうございました。

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  • 0時のアラビアンナイト
    0時のアラビアンナイト
    配信にてプレイさせていただきました。 一人でも遊べるマダミスというぼっちな私にもありがたいゲームですね! マダミスそのものは以前数回プレイした事はあるのですが、こういった一人でプレイできるゲームとして落とし込むというのは難しい事だったと思います。 @ネタバレ開始 初手でリリィさんを選んでプレイしたので犯人を当てる事と、2周目としてメリィさんを選んだ際に目的を達成する条件を満たすのが結果として簡単になりました。 ヒロイン3人がそれぞれ違う情報やアイテムを持っているので、ちゃんと本家マダミスを再現されているのも良いですね。 本筋である、事件の犯人探しと別に個別の達成すべき目標設定。 ヒロイン毎のタイムテーブル表示や追加情報(証言)発表。 全体での議論に1対1の密談と、流れとしてもマダミスをした事がある人ならわかってらっしゃる!となる位ちゃんとプレイ時に含まれる内容を網羅されていますし。 物語としては、各ヒロインが目的を達成する事で基本真っ黒な事情を抱えた男性陣が救われ好転していく。 最初、タイトルにあるアラビアンナイトの部分も含め何故この舞台設定で乙女ゲーかつマダミスな題材にしたのか?がわからないままプレイをしましたが、王子が女性恐怖症になった理由とその後の行動や運命の相手を見つける事で血が流れる事はなくなった。 レイジ王子にとってのシェヘラザードがリリィさんだったという事で合点がいきました。 0時というタイトル部分に王子の名前をかけているのもですが、作中に出てくる重要アイテムのガラスの靴…といえばシンデレラの魔法がとける時間も0時であり。 シンデレラでは城でガラスの靴を落としたシンデレラを王子が探しに行く流れですが、この作品の場合はガラスの靴を片方ずつ持った者が城へ向かった結果後日談として本来の持ち主の元へ戻る。 本家と逆の流れを取る事や乙女ゲーの要素として運命の相手を見つけるという所にも繋がる点でなかなかシャレているなぁと感心しました。 @ネタバレ終了 概要欄にもある通り、新感覚!なゲームでありタイトル画面の「はじめから」を選んだ際述べられている通り初の試みの為、具現化するにあたり難しい事も多かったと思われます。 が、私としてはフリーゲームは作者様が好きな事ややりたいと思った事を表現し挑戦できるのが最大の強みでありプレイする側もそれを感じて楽しめる物と思っております。 なので、今後も作者様のやりたい事をまたこうして作品として遊ばせていただければ…と思いました。 それでは、面白い作品をありがとうございました。

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  • Novel Dragoon
    Novel Dragoon
    配信にてプレイさせていただきました。 たけのこ王国vsきのこ帝国の対決というある意味全方位で戦が起きるワードをチョイスしたせいでシュールなのか何なのかわからない事になった事をご報告いたします。 @ネタバレ開始 何かを崇拝する狂信者、その信仰対象の名前は!? と言われ真っ先に『汝は人狼なりや?』における狂信者を連想したので「人狼」と即答ならぬ即入力をした結果、実は後に狼のキャラが出てきた際に驚く事となりました。 偶然の一致がある意味一番怖い…。 そして、国の強さの秘訣として「プロテイン」と入れたせいでプロテイン大会という恐ろしい大会が行われる事となり王子の怯え方も合わせプロテイン…とは…? という謎の哲学に直面したりストーリーそのものは真面目なのにカオスな読み物が出来上がりました。 @ネタバレ終了 ゲーム内に出る単語を入力して決められるというのは発想として新しく面白い遊び方でしたし、自ら生み出した締まらないゆるいカオスに何とも言えない表情になったりするのもまた味がありました。 純粋に、ゲーム内では語られいない物語の先も気になる内容でしたので真面目にヒントのワードを入れて読んだらそれはそれで楽しめただろうなとも思います。 @ネタバレ開始 それはそれとして、ラストでまさかのこれが本にされ作者の名前として自分の名前が世に出るの!?だったら匿名Aとかにすればよかった!! (全力でボケに走り切れてもいないゆるカオスになったので名前を出さないで!と黒歴史ノートを書いた時のような反応) という終わりにガチな反応が出ましたね…。 @ネタバレ終了 グラフィックやアニメーションにも力が入っており、だかこそワードでふざけた時の温度差も凄くなる…。 とても楽しめる作品をありがとうございました。

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  • WHO THE HELL AM I
    WHO THE HELL AM I
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 自分が誰なのかを推理するゲーム…というだけでもジャンルとして珍しいと思いましたが、ジャンルは推理ADVでありその推理材料として回想を見ていく。 これがこのゲームにおける主人公の目的でありできる事として正しいですが、もっと根底にあるテーマは別にあると感じました。 @ネタバレ開始 私の中では『推理ゲームの皮を被った哲学(人の生きる理由)を問われる物語を読むゲーム』という方が感覚としてはしっくりきましたね。 推理ゲーム要素としては最後の選択肢で自分の正体と思う人物を選ぶだけで他に根拠となる要素をプレイヤー側が作中で提示する必要もなかったので最悪総当たりでもクリアそのものは可能な事。 (はずれの場合は、恐らく本来行われただろう根拠を語るパートがばっさりカットされた上で扉の先に行ったんだな…と理解はしましたが) なので、その推理上重要な部分である正解を当てる為の回想であり4人の物語こそがこのゲームにおける実質の本体だなぁと。 謎解きについては、私は二択まで絞った結果間違えたので2回目で正解はできました。 が、その際に述べられた根拠を聞けば自分が前回「シウである」と答えた為、酒の話について嘘を言っているので違うという部分で「あああーーーー!?」と悔しくなりました…。 登場する4人はそれぞれ自分の人生について悩んでおり、立場が違えば内容も様々でどの悩みもそれぞれ理解や共感ができてしまう為聞いていて胸が重たくなる感覚がありました。 流されるように生きてきたトールは気づけば戦争に出る事になってしまい。 シウは教会の真実を知り神なんていないと知りながら異物としての自分を隠して生きていて。 スカーレットは今までの頑張りは何だったのか…と、やり場のない感情を抱える事になり。 ロータスは記憶喪失も含め自分とは誰であり、まず生きる為には選択肢がない現状であり…。 誰が主人公の正体であれ、これは生還できたとしても今度はこの悩みと再び向き合わなければならない事。 どの悩みも、今の生き方から外れない限り抜け出せないのは目に見えているでしょう。 それまで自分という芯が曖昧だった者がそれを見つけられるのか? 衣食住は保証されている分自分を偽り生き続ける事は大変でもまだそちらの方が安全ではないのか? 自分の望みとは違ってもそれで不便のない生活が保障されているなら? 年単位で戻ってこない記憶である以上、この先だって戻ってくる保証などあるのか? 本作は世界観こそ剣と魔法のファンタジーであれど、恐らく多くの人はトールくんのような悩みを抱えながら生きているという点で一番共感を集めると思いました。 彼の場合は子供の頃からという点で若干早いとは思いましたが、大半の人は現実を知る程大きな夢を持ってそれに突き進む事を難しさからとりあえずの安定性を求めて就職なりをして生涯を終える。 役割として便利屋とか、人からすればいたら助かる存在かもしれないけど案外こういう立ち位置ってしばらくすると名前も忘れられがちである…という事も含め、ある意味現実的であり。 私自身、そういった時期はそれなりに長かった為彼の戦闘中の叫び含めいつか彼が欲した物を見つけられる時がくるのを祈りたいです。 シウちゃんは境遇としてどんな生き方をするか選ぶ事ができなかった以上仕方ないし、現状から逃げ出そうにも下手をすれば消されてしまうリスクすらある。 衣食住の保証された環境であり、学校にも通えたといえば聞こえはいいでしょうがその裏に何があったのか…これは関係者しか知る事はできず相談できる相手もいない。 だから見つかった場合のリスクは承知でも、酒場で楽しみたい!そうでもしなきゃやってられない!となるのは大変良く理解ができてしまいます。 むしろ、自分が異物である事を自覚しながらも他と同じである演技を続けるなんて心が擦り減るの待ったなしなので…これは時間の問題で現状から脱しなければ心が壊れたかもしれないのが恐ろしいところです。 スカーレットは私も思わず「お姉さま!!」と言いたくなる位格好良い武に優れた女性という好みにドストライクすぎたのですが…なぜ彼女がここまで頑張っていたのか。 いくら成果をあげようとも最終的に女である彼女は家を継ぐ事ができず、最終的には政略結婚の駒としか扱われない。 しかし、立場上利用弱音等も許されずそれを相談できる相手もいない。 戦争は順当にいけば勝利して終わりその後には結婚をする事がもう確定事項として待っている…。 となれば、今までの自分の人生とは何だったのか? 現代日本でも近年ようやく女性が社会に出て出世するのが当たり前になってきたものの、これ自体は時代に関係なく相当根深い問題でしょう。 個を定義する物として、意識の連続性という物が存在する。 もし、かつての記憶を失った人は以前の自分と同じ人間と言えるのか? 思考実験でたまに言われる話ですが、かつてのロータスとはどんな人間だったのか? それがわからず、思い出せずとも生物である以上生きる為に何かをしなければならず結果として今の立場にいる。 他の3人とはまた違った変化球ではありますが、何故生きるのかという点で言えば彼の抱える問題も深刻でしょう。 なくした記憶は戻らないかもしれないし、それが濃厚であり。 それまでの自分もわからない中どう生きるべきか?それを教えてくれる人等当然いない。 第三者の無責任な物言いで良ければ、彼らに現状を変える為の提案をする事は可能かもしれませんが重要なのは作中でも言われていた通り 「自分で選ぶという事」この一点に尽きるでしょうね。 結局、自分の人生に誰かが責任を取ってくれる訳ではない以上その結果がどうあれ自分が選んだ決断を信じて進むしかない。 だからこそ、主人公が蘇生後に4人で旅に出る場面は彼らが自らの選択で新たな人生を歩み出した、その大事な一歩なんだと祝福せずにはいられませんでした。 生きていれば絶対に困難だってある、だけどそれが自分の決断した結果なら立ち向かって行ける。 人間は弱い生き物かもしれないけれど、同時にその強さを持ってもいる。 なので今は、彼らの新たな旅立ちを祝福し見送ろう。 推理ゲームというと、犯人(今回は自分の正体)がわかると再度プレイをする気持ちが起きにくいというのが難点とは思いますが私はこの作品において重要なのは彼らのそれまでの人生・悩み・そしてどう生きる事を選ぶのか。 人間の物語を見届けるという観点で楽しむ物と思っております。 なので、もしどこかで気持ちが落ち込んだ時…彼らの悩みながらも最後は好転していった様を読み直し元気をもらいたい。 そう思える作品でした。 @ネタバレ終了 長文となりましたが、これは長文にならない方が嘘だと言わせていただきつつ。 素晴らしい作品をありがとうございました。

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