天凱彼岸花(テンガイ ヒガンバナ)のレビューコレクション
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夢にまで見たアイドル感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 タイトル画面の時点でゆらゆらと動くロゴ周りの星たち。 ふわふわに揺れる髪や瞬きする目と可愛さがたっぷり詰まったアイドルにふさわしい演出に心が躍りました。 @ネタバレ開始 開始直後、ステージを背景に語られる誰かの独白。 輝かしい舞台にいる誰かの物と思いきや、それを否定するような内容でもあり…。 そして場面は切り替わり仕事帰りの主人公が帰宅する場面へ。 典型的な仕事に疲れたサラリーマンといった様子で、夕飯をいただきながら見る動画を配信サイトから探しているもよう。 偶然視界に入ったインディーズバンドのライブ映像を見ながら現実的な問題を指摘する主人公。 だけど彼も以前は音楽をしていたようでクローゼットの奥にはまるで見ないように、だけど手放せないという心理が隠れているように押し込まれたギターケースの存在が。 少し休むつもりがどうやら眠ってしまったようで、女性の声が聞こえ瞼を開ければ…。 可愛らしい女の子らしさに溢れる部屋にフリフリのドレスを身にまとった女性が!? さっきまで自分の部屋にいたはずなのに、どうみてもそこは自分の部屋ではなく。 間取りこそよく似ているようでも完全に置かれている家具から今目の前にいる彼女の部屋に自分がいると考えた方が自然な状況。 先程から突然現れた不審者状態の主人公に目の前の彼女は警戒している事も合わせ、何とかやりすごさなければまずい。 選択肢がきたので、とりあえずハズレと思う方を選択。 完全にただの不審者となった主人公の視界が暗くなったと思えば、自分の部屋に戻っていた? どうやら先程までの事は夢のようでそこでおしまい。 今度はタイトルにもある重要ワードであろう「あんた…アイドルか何かか?」を選択。 すると彼女は少し驚いた様子を見せるも、上機嫌といった反応になり。 とりあえず難は逃れたかと会話を続行しようとするとファンの演技をしているのに名前で呼んで欲しいと言われる無理難題が…。 そんなのわかる訳がないと、素直に名前を確認すれば田中恵という名前であり、親しみを込めてメグと呼んでも構わないと教えてもらえた。 …凄く直感的な感覚ですが、主人公がスマホを扱っている事から時代は現代なのでしょう。 しかし彼女の名前はどちらかといえば80年代かそれより前に多そうな名前の印象を受けました。 部屋の中も、可愛らしい女の子の部屋なのはそうなのですがどこかセンスがレトロなのも気のせいなのか。 (特にベッドにかかっているレースに花の絵×青の配色な掛け布団?のセンスが顕著でしょう) 会話を続けるうちに、主人公は今の状況が夢であると推測。 実際にエンド1の際には夢オチだった事も考えれば、突然場面転換した事も合わせてそう考えるのが自然でしょう。 それなら夢かどうか確かめようとばかりに主人公の頬をビンタしようとするメグ。 やめさせようとするも間に合わず、頬に痛みを感じる事に…。 結局目を覚ましたら自分の部屋だったという事から夢だったのに変わりはないのでしょうが、夢の中でもビンタをされたら痛いんだ…? その後、学生時代の友人であるトウマと合流し昨日の彼女について調べていく流れへ。 もしかしたら彼女は以前どこかで会った事がある人物なのではないか?と思うもトウマは知らないと返答。 ならばもう用は済んだと帰ろうとするも、トウマがパンケーキを食べ終わるまでは付き合う事になり。 その際彼がスマホで見せてくれたショート動画を投稿できるSNS。 そこには18歳の若者が自分で作詞作曲をした曲を弾き語りしている動画が流されていた。 そして、そこから今度はトウマ側の本題を切り出そうとしたところで話を切り上げ退席する主人公。 次に場面が切り替われば、目の前には再びメグの姿が。 場所はメグ行きつけの喫茶店らしく実際にテーブルには今彼女がいただいているホットケーキの皿もあり。 初めて訪れた場所ではあっても、構造はどこか昼にトウマと食事をした場所によく似ているというまたしても不思議な部分もあり。 お洒落とは思うのですが、やはり内装の雰囲気はどことなくレトロ感が漂う感じですね。 店主の趣味と言えばそれまでなのですが、配色や壁紙に窓際を飾っているレースの感じというのでしょうか…。 話しかけてみれば、どうやらメグも主人公の事を夢の中の登場人物と思っているらしく。 お互いに相手が夢の中の存在と思っている奇妙な構図のようでした。 トウマといい、目の前でおいしそうに甘味を食べられパンケーキを羨ましいと言えばメグはパンキーキが何かを理解していない? 確かにパンケーキとホットケーキの違いって何?と聞かれると難しいですが、少なくともメグが食べているのは厚みからホットケーキなのでしょう。 以降、定期的に夢で主人公とメグは顔を合わせるようになり…。 後日、今度はメロンソーダをいただいているメグとの会話にて主人公が以前バンドをしていた過去を話す流れに。 家にギターケースがあったりトウマが見せたショート動画に関する流れ、そしてインディーズバンドに対する現実的な独り言を思えば想像はできていました。 ここで再び選択肢が。 上を選んだ場合そのままエンドに直行でしたが、これがなかなか予想外の展開だったというべきか。 メグのアイドルスイッチをONにしてしまった結果、主人公がアイドルとしてデビューというとんでもな事に!? お前がかよ!?と全力でツッコミをいれつつ。 でもまぁ…幸せならいいのか?いや、いいのか…? 本筋の選択肢を選べば、自身はもう28歳である事。 今更遅いという事を伝える流れへ。 ここは主人公の言い分というか、現実的な事を考えたり大人になるという事を思えばとても理解できるのが辛い所。 メグはまだ28歳じゃないのと言いますが、一般的に28歳と言えばすでに定職についており後輩もできてある程度責任のある仕事が任せられる年齢でしょう。 人によっては家庭もあり、妻子を養っている頃合いとも想定できる。 だから夢を追いながらも生きていく事を考えれば20前半か、遅くとも半ばが潮時と思うのは無理もない。 悲しいけれど、夢を追いかけるのに遅い事はないという言葉はあってもそれを実際に掴めるのはほんの一握りの人しか存在はしないのです。 しかしメグは主人公の演奏するギターが聞きたいとお願いをしてくる。 しばらく触れていないので演奏できるかわからないと返せば、次に会う時までに練習をしてきてと諦める様子もなく。 選択肢として、ギターを取り出し演奏をするかしないのかを問われ。 演奏しない事を選べばかつて彼が音楽をやめた理由であろう記憶の断片が零れ落ち。 彼女にもう二度と会わない事を願って眠れば、夢で会う事はなくなり日常へ…。 これは夢を追いかける彼女の熱に影響された一時の夢だったのだというように。 ギターを演奏する事を選べば夢の中でメグが嬉しそうに報告をする流れへ。 今までまともに事務所に向き合ってもらえなかった彼女が、ようやくレッスンを受けさせてくれるように。 メグからしてみれば、主人公と夢で話をするようになってから彼女の状況は好転しているらしくここで一つの想定が生まれる。 彼女はこの世界のどこかで生活をしている、実在する女性であり 主人公と彼女の人生がリンクをしている。 だから主人公が前向きな行動をすれば、それが結果として彼女へも影響しているのだとしたら? それまで向き合う事を避けていたギターを演奏した。 たったそれだけで彼女は夢に向かい前進したというのも偶然の一致にしてはできすぎている…。 そして、三ヶ月が経過したある日…とうとうメグがステージに立つ事が決まるという待ち望んだ展開が! 大きなコンサート会場で事務所の新人代表として歌えるという晴れ舞台。 しかし、その施設は現在閉館しているはずというやはり奇妙な点が再び浮上し…。 やはりメグは実在する人物だとしても、主人公と生きている時代がズレている? 今まであった、夢の中でメグと会う際に感じた不思議なレトロ感。 部屋は間取りが似ていて、行きつけの喫茶店も構造はどこか似ている。 とすれば、今生きている時代が違うだけで二人は同じ場所にいると考えるのが近そう…? こうなると気になってくるのは、主人公の住む部屋は事故物件であり過去に自殺した人がいたという話で。 メグは本来、主人公の生きている現代では故人のはずだったが何かしらの理由で干渉ができたのをきっかけに運命が変わったのではないか。 だから主人公が前向きに行動をする事で彼女は死の運命を回避している…? 実際、今も夢でメグに会う前に主人公はトウマへライブハウスで演奏をする予定があると話をしていた。 それもメグのデビュータイミングと同じ、今から二ヶ月後でありこれも偶然で済ませるには都合が良すぎる。 それを聞いたトウマも、思わずお前本当にユカリなのか!?と驚きを隠せないようで。 元々、主人公が音楽をやめたのはバンド活動に熱中しいつかプロになる事を夢見ていたのにその夢を悪い大人の食いものにされた事が理由だった。 やりきれない話ですが、そういった悪質な者が存在するのは珍しい話でもなく。 けど、それ以上に主人公にとって辛かったのは自分がどこにでもいる夢見る若者の一人であるという事実だった事。 自分は特別で、将来音楽の道で成功するとどこかで信じていたのに。 私見ながら、夢を見る…しかし、追いかける若者である事と将来成功する事は両立はするでしょう。 問題はそれがどれ程難しいことなのか? それまでに現実ではどれだけ多くの人が諦めていく事になるのか。 思い上がりにすぎなかったと主人公は思ったのでしょうが、そもそも成功すると信じて行動をしなければスタートラインに立つ事ができないのも事実であり。 後は夢を夢で終わらせない為にどこまでやれるのか…そういう勝負にも関わらず諦めたのだなと。 でも、それを責めるのも違うしそこから安定した仕事をする道を選ぶのもまた彼の人生でしょう。 そして、ここにきて順調なはずだったメグにも予想外のトラブルが。 本来彼女がデビューするはずだった舞台で、他の子がデビューをするという事に話が変わってしまった? 二人の人生がリンクしているなら、主人公サイドで何もトラブルがない以上メグに問題が起きる要素なんてなかったはずなのに。 諦めモードになるメグに対して、今度は熱を取り戻したように彼女へ言葉をかける主人公。 そこでようやく発覚する、メグは今まで精一杯の強がりで振る舞っていたという事。 辛い想いをしながらも、それでもいつか夢は叶うと信じてきたけれど一体それはいつの事になるのか? 一体、いつまで耐えればいいのか。 メグは、自分を応援してくれる相手は主人公しかいない。 だけどそれだけでいい、メグが欲しかったのはこれだったのだと悲痛な訴えをする。 そして、ここは重要と言える選択肢でしょう。 もう精神的にボロボロであるメグと一緒にいるべきか、一緒にはいられないと判断するべきか。 もし、一緒にいる事を選べば彼女は夢が叶わずとも主人公に依存する事で心を保つ事はできるのかもしれない。 しかしそれは、本当にメグの為だと言えるのか? 本当に彼女の事を思い、夢を応援するというなら突き放すというのも必要な優しさかもしれない。 バッド回収を先にして、最後は気分良く終わりたかった為あえて見ている地雷を選びました。 メグと共に生きる事を選んだ主人公は仕事をやめ、自由になった時間で彼女に会いに行くため夢を見る事にした。 その為に、薬を服用して…たった数時間会えないだけで寂しがる彼女の為にもう少し作用時間の長い薬を使おうと考えるようになって…。 共依存としか言えない歪んだ世界で…自分にだけ微笑むアイドル、メグとの時間を望む結末。 再び選択肢に戻り、もう一方を選べば主人公はようやく気付いたらしい。 自分が前向きに行動する事で、彼女のプラスになると信じていたけれどそんな事はなく。 むしろ、自分と出会った事で彼女は弱くなっていき傷を舐め合うようになっていたと。 これでは支え合いではなく、この関係は依存でしかない。 だからこの関係はここまでにするべきで。 この先は、自分で頑張らなければならないのだと。 プロになれるのか、それはわからない。 それでもこれからやれるだけの事をやって、自分の事を信じていこうと決意を告げる主人公。 それを聞いたメグも、いつかプロになった時には自分の隣でギターを演奏して欲しいと返し。 そして、彼女がデビューをした時にはCDをたくさん買って欲しいと精一杯の笑顔を向けた。 やがて、夢から醒め。 主人公はライブハウスでの演奏後、仕事を続けつつもコツコツ演奏も頑張ってみる事を選んだ。 再び主人公が音楽を演奏した事を喜ぶトウマ、そんなトウマにまた一緒にバンドを組んで欲しいと頼む主人公。 以前話題にあがったショート動画の投稿も、とりあえずやれる事は試してみたいと前向きな様子は心が温まり。 どうやら最近はレトロブームとして、主人公達の親世代で有名になった曲のカバー等が流行っているらしい。 そして、ある動画で耳にした曲は…忘れる事のない、この声は……。 芸名を古河ゆうか。 本名が、田中恵という昭和アイドルのものだった。 例え、もう会う事がないとしても。 それでも主人公は最終的に、前向きに歩み出すという応援をしたくなる素敵な結末でした。 一方、メグは無事にデビューをして夢を叶える事に。 歌が終わり司会者との軽めのトークがされる中でされる『好きな人』についての質問。 アイドルに恋愛話はご法度とばかりに舞台袖にいるマネージャーは両手で大きな×を作って合図を送る。 (この司会者さん、きっと後で叱られるんだろうな) なんて思いながら、彼女は夢で会った彼についての気持ちを正直に言葉にする。 ぶっきらぼうで、口は悪いけど自分がアイドルになる事を誰よりも応援していてくれて。 きっと、今自分がこの場所に立っている事を誰よりも喜んでくれている大好きな人がいる…。 「‟夢”を見ました」 夢の中でしか会えない関係だったけれど、それはただの夢じゃなかった。 スタッフロールの後に語られる出会いの日の直前にあっただろう出来事。 きっと、本来の彼女はやはりもしここで主人公と出会わなければ死んでいたのかもしれないと思えて。 だけど、涙で濡れた顔を見せても自分の事をアイドルと言ってくれる人と出会えて事でもう少しだけ頑張ろうと思う事ができた。 夢の中でしか会えない、違う時代を生きた二人の出会いによって動き出す物語。 いつもの事ながら、読後感としてどこか救われた気持ちになれる素敵な内容でした。 @ネタバレ終了 全てが終わってから見れば、タイトル画面にも思わずにやりとする要素があったり。 素敵な作品をありがとうございました。 -
七不思議の七番目 幸色の厄災ちゃん感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 感想及びレビューとしてゲーム本編の感想について触れる所から始めるのが筋とは思いますが、それ以上に述べたい事がある為少々順番が前後しますがご了承ください。 まず、大変私事なのですが長年オカルトやホラー作品を愛好しており『七不思議』や『怪異』といった物も好物と言えるのですがこのゲームはそれらの要素が好きな方なら100%を超える満足及び満点の回答及び解釈を作中で述べております。 それらの要素に明るくない方でもわかりやすく、そしてある程度知識があったり好きな方なら「わかってらっしゃる!」と言わずにはいられない点。 これは、オカルト及びホラーが好きな者として一言お礼を言わせていただきたいです。 この名作を生み出してくださり本当に、本当にありがとうございました。 そして、その世界観を構成する文章の美しさ。 夕日の色に対する表現一つに対しても語彙のセンスが滲んでおり、伝わりやすさと表現の美しさを両立させつつ決して浮く事のないという匙加減。 日本語の性質上、同じ物を表現するにも様々な表現が可能である分どう表現をするか?は所持している語彙とそこから適切な物を選ぶセンスを問われる物と思いますが全編通してここまで読んでいて、終始すっと入ってくる文章という事が素晴らしいです。 なので、配信という性質上途中で区切りながら進行こそしましたが、もし裏で一人プレイするならそのまま終わりまで読み進めても負担がない事だったと思います。 @ネタバレ開始 まず、導入として謎の少女とのやり取りから始まり。 「私の存在を――七不思議の七番目を、いつの日か忘れてくれると約束してください」 説明欄から、七不思議の七番目を自称する少女の手伝いをして七不思議を終わらせるという事は前提として理解していたので、これはきっと他の七不思議を消した後に繋がる部分かな…と思い。 物語はそのまま第一章へ。 「火は煙より生まれ落ちる」と章のタイトルがついているのを確認し、それは逆ではないだろうか?と疑問に思いつつスタート。 主人公が友人である幽実ちゃんから七不思議を教えてもらうという導入としてもわかりやすい物。 ラインナップは定番とも言えるハナコさんの噂から始まり 悪魔の手、小さな妖精さん、枯れず桜の木、見知らぬトモダチ、正体不明の六番目、かわいい少女の亡霊 合わせ鏡や桜の木に関するネタはそれなりに有名だし、全部の七不思議を知ったら呪われるという意味で六番目も定番と言えば定番な印象。 ただ、この場合ナンバリングとして六番目と七番目の内容が逆ではないだろうか?と疑問にも思いつつ。 (タイトルの通り、七番目と七不思議を終わらせる物語なのでその都合と言えばそれまでか?とこの時点では一旦深く考えず) ここのやり取りで好きなのが、キャンバスと色を用いた例えですね。 数多の色、七不思議が集まる事で空白という白色にも意味が生まれる。 純粋に全部知ったら不幸になるというだけで終わらせていい所を幽実と主人公のやり取りからストンと納得の行く形に昇華する。 この先でも何度も触れると思いますが、この作品において特に好感が持てる点は怪異というのをただの便利な舞台装置でなく設定を掘り下げしっかり定義を持たせた上で扱っている事。 正味、怪異と言ってしまえば割と何でもありというか「人間にとってはどうしようもない理不尽な存在」として多少雑に扱ってもそれらしい物ができてしまう性質上、ここに拘りを持って話を作られているという点はあまりにも評価ポイントが高すぎました。 それは出現理由や撃退方法だったり。 しかし、この作品における怪異(七不思議)は全てにおいて成り立ちや撃退方法…そして何故七不思議である必要があったのか? そこまでひっくるめて重要な意味を持ち描写されております。 ◆まず、一番目のハナコさんについて 当初は主人公と同じく女の子のすすり泣く声が…!?と思いきや、3回目には冷静さを取り戻しつつあったのか音の聞こえ方が正確になり音の正体が判明。 厄災ちゃんの解説する通り、もしこのような条件で聞いた人ならどう思うか?という点から聞き間違いがあってもおかしくないと思えた事。 そして、今後も肝となる七不思議がどのように生まれるかという話。 もしも最初は勘違いが発端だとしても、噂が立つ事で初めて怪異現象は発生する。 聞き違えた噂はやがて真実となり、水洗音は少女のすすり泣く声となり…ドアの向こうにはまだ自我も完成していない不完全ながらもハナコさんとして姿を持った少女がいて。 火(怪異)から煙(噂話)が生まれるのではなく、火は煙より生まれ落ちる。 これは古くから妖怪とされる物が人間にとって理解できない自然現象や責任転嫁の先、願望等から生み出されたというルーツを汲んでおりオカルト方面に明るくない人にもこの流れを自然に説明されているのが良かったです。 そして、それに対する対処法も元になった勘違いを正す事というで人々の関心を向けられないようにする事。 妖怪もそうですが、いわばその存在を知って語り継いでくれる誰かがいないといけない部分は共通と言えるのでとても理に適った対処法と言えます。 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という主人公の独白の通り、ある意味わからない事というのが一番恐怖を煽る材料になる事なのも踏まえ。 ここで章タイトルの意味と合わせ上手い!と感心せずにはいられませんでした。 そして、実際にハナコさんを目撃した事でいずれ人間に危害を及ぼす存在を無視する事ができなくなった事。 厄災ちゃんがかわいいから、という下心も理由ながら約束は果たそうとする事。 最後に厄災ちゃんと出会う前に独白で語られていた非日常に対する憧れを満たせる事。 ここでしっかり動機を説明された事で主人公が今後も七不思議を終わらせる手伝いをする理由としては充分だと思います。 さらに、七不思議をテーマとする上で一番有名であろう花子さんをベースとした話を初手に持ってくるというのがやはりオカルト方面に明るくない人でも物語の入口としてイメージできる存在を適切に選ばれているなと思えました。 ◆悪魔の手、第二章について 章タイトルが「鏡の国の妖精さん」とあったので、確かに鏡や妖精に関する七不思議はあったけどまるでアリスを連想させる名前だなぁと首を傾げ。 今度はハナコさんとは違い、すでに明確に悪さをしている七不思議が相手という事で急ぎで対応しなければ…と思いきや突然のメイド登場!? 周囲に視認されていないのでもしや七不思議?いや、でもメイド姿の七不思議って何だろう…と読み進め。 新聞部の掃除をしている描写とタイトルでもしや?と思いつつこの光景を見守ればやはり小さな妖精さんと判明! てっきり‟小さな”という事で三角帽子の似合う小人のイメージをしていましたが、重要なのは掃除をする為の存在という部分のようで。 服装や目的遂行の為に本来怪異は物に触れられないという法則を限定的にだけど無視できる点はなるほどと思いました。 とはいえ、七不思議を終わらせる事が目的なのに空白だった三番目を作り出してしまうのは利便性として理解はできるけどどうなのだろうか? ここが気にならない訳でもなかったのですが、理由は後にきっちり回収されている事やそこで主人公がどう立ち回るのかを含め面白い形になったと思います。 厄災ちゃんも悪魔の手が悪さをしている事を把握しており、今夜決着をつけるという方向へ。 前回と違い今回は妖精ちゃんも一緒という事で実に花のあるメンバー構成ですね! そして、内心両手に花と思っているのが厄災ちゃんにばれてる辺りもやはり上手だなぁと微笑ましく。 そこでサービスとして恋人繋ぎをしてくれる厄災ちゃんの行動も、ある意味日常の一部感覚になっているように思いました。 今回は怪異の消滅手段として前回と同じ手はとらない。 内容としては、怪異そのものを殺す事というなかなかの強硬策。 「私達怪異は生きていませんが、死んでもいないのですから」 なかなか言い得て妙というべきか、確かに生物の定義には入っていないけれどそこに存在をしている以上死んでもいない。 怪異に本当の意味で死ぬ時があるとすれば人々から完全に忘れ去られる事だとしても、死んでいないなら殺せる理論そのものは成立するでしょう。 結果的に、一時的な対処法だとしても。 どちらにしろ、問題はその為に使用する手段というべきか…さすがにお札で除霊なんてご都合主義な事は難しい。 (仮にそんなお札があっても、うっかり厄災ちゃんも触れたら除霊されないか心配という意味でも) 暴力という原始的な手段という事で、やっぱり体を形成する為のコアみたいな物を破壊する認識なのかな? とはいえ人間から怪異への肉弾戦って通じるのだろうか…と主人公と共に考えていれば、出てきたのはまさかの包丁!? 思った以上に人間でも殺せるアイテムの登場はなかなかの衝撃と生々しさがありました。 怪異であれ、何かを殺すのに使用するのが刃物であるという事に。 ただ、守り刀の概念があるように刃物に魔除けの効果があるという意味ではあながち間違いでもない…のですが、それだけの理由ではなかったのが…後に文字通り胸を刺されるような痛みとして味わう事に。 幕切り包丁《キディングミー》 英語の方は詳しくないので当初はリスナーさんから『冗談を言う事。からかう事』といった意味合いだと教えていただき。 確かにある意味冗談のような存在の怪異を殺す武器なのだからそういう名前なのか?と納得はしました。 嘘が嘘であるうちに解決したいという意味合いの発言も、ハナコさんの際に厄災ちゃんから聞いた記憶もありますし。 が、全てが終わった今では他の意味合いがあるような気がして調べたのですが…それは物語でこの包丁について詳しく触れる部分で語りたいと思います。 厄災ちゃんの説明を聞いて、やはり核(コア)を破壊する概念は存在したかとなりつつ主人公の疑問も尤もな所。 本当に最速で七不思議を終わらせるなら人間の協力がなくともこの包丁で全て解決するはずですし。 だけど、厄災ちゃんは結果だけを求めるならそれに違いはないとしながらもこの包丁は本当に最後の手段である事。 「罪も罰も贖罪もなく、ただ無価値に殺めるだけの結末は、出来ることなら避けてあげたいんです」 これは単なる自分の我儘と言いながらも、伏し目がちにそう吐き捨てる彼女の真意は…。 厄災ちゃんも七不思議であり、同じ怪異の立場だから? 相手が怪異であれ、不必要な殺生は避けたいから? この時点で考えられるだけの答えを想定しましたが、本質的な物はもっと奥底の後半に。 主人公の独白で語られる通り、厄災ちゃんの過去を知らない我々は今知りうる情報から、表面から見える物を汲み取る事しかできない。 七不思議を終わらせる事を願いながらも、過程を選びあえて最速の道を手放している。 どちらにしろ、今わかる事は厄災ちゃんとしては可能ならこの包丁を使わずに全てを終わらせたかったであろう事。 だけど、悪魔の手にはもう猶予はない、だからこそ最終手段を択ばざるを得なかった事。 だったら私としては心は一つでした。 主人公の在学中に解決しないとか、今すぐ学校が崩壊とかしない限りは過程を選ぶのは問題でもないのではないか? 厄災ちゃんの手伝いをする以上、より彼女の希望を叶えて遂行すればいいじゃないかと。 だから、だけど、今回ばかりは仕方がない以上本来は使いたくなかった包丁を使う。 それを覚悟の表れとして私も主人公と共に受け入れました。 そして場面は割れていない方の合わせ鏡の方へ。 人が暗闇へ感じる無意識の恐怖。 これは知識として持っていましたが、鏡って100%光を反射できないの!?と、合わせ鏡の奥の方は真っ暗に見えるというのは初めて知りました。 暗闇の中なんて、何が潜んでいるのかわからない。 見えないからこそ恐ろしい。 今回も、何故合わせ鏡という物から怪異が生まれるのか? 最奥である暗闇の中に実は潜んでいる何か、悪魔の手という存在を生み出すには充分すぎる理由でした。 同時に、理由が理由だからこそ活発化が早くなってしまった事に対しても。 合わせ鏡を怖いと思う理由として、心のどこかで悪魔が住んでいる事を知っているからという部分については人がいると思えば存在するという点では怪異と大差はないのかなと。 元々合わせ鏡が儀式のような物であると考えると、そこから召喚されるモノ…悪魔、悪魔の手。 という形になったのも頷けるような所はあります。 そして、肝心の悪魔の手は餌がいても安易に出てこない辺り知恵とまでいかずとも本能的に狩りをする賢さを身に着けてしまったのか。 活発化が進行するとそれだけより確実に害をなす為の行いをするにも強化が入る辺り、やはり長丁場でも今夜で決着をつけないとまずそうだなぁ…。 場所を変え、聞き込みができないとはいえ痕跡を探すにも出現場所は踊り場の合わせ鏡なのに鏡のある踊り場以外に立ち寄るのは意味があるのだろうか? 出現するのにトリガーがある、というのは確かにありえる!と思いましたがそれが何かもわからず。 休憩の前に立ち寄ったトイレにて、赤外線センサーすら無効化してしまうという件で夜の帳がいかに反則的な効果なのか改めて認識しつつ。 (つまりこれ、その気になれば赤外線センサータイプのセキュリティを突破可能という結構悪用できる能力なのでは…) 洗面台で鏡を見て、ふと現実に戻される描写にふふっ…としたのもつかの間。 鏡越しに映る小さなはめ殺しの窓。 厳密にいえば、その窓に映った自分の後頭部……? まさか、と思いきやもう手遅れだった。 え、合わせ鏡の条件さえ揃ってしまえば場所は問題じゃなかったという事…!? 確かに獲物が油断した瞬間を狙うという意味で、今が一番のチャンスなのは違いないにしてもそんなのあり!? 突然の状況に混乱しつつも、台詞送りをする度にどんどん迫ってくる手。 もう終わったと思いきや助けがきた! と思ったら今度は妖精ちゃんが悪魔の手に捕まったってどうすんだこれーーーー!! それに、主人公やプレイヤーは知り得ない『末端の端末』という情報。 待ってくれ、末端の端末?七不思議へ包丁を使用する際には核を攻撃しないといけない…という事は…。 すでに打ち合わせ済みとばかりにされる厄災ちゃんと妖精ちゃんの会話。 妖精ちゃんが、鏡の中に入って悪魔の手の本体である核を斬り殺す? 帰ってこれるんだよね?という疑問と嫌な予感を主人公が同じタイミングで聞いてくれ、答えは帰ってくることはできないという物。 妖精ちゃんの台詞から、何故七不思議を終わらせる予定なのに空白となった三番目の代わりに妖精ちゃんを生み出したのか。 悪魔の手を退治する、妖精ちゃんはその為だけに作られたという存在だった事。 その段階から、もう二人の間ではこの結末は想定されていた事。 主人公に作戦の全てを話していないのも、絶対に納得しないだろう事を含め全てが繋がった時は絶望しかありませんでした。 章タイトルである「鏡の国の妖精さん」っていうのは、鏡の中に妖精ちゃんが入ってしまうこの結果を意味していた…? …だからこそ、プレイヤーの代わりに怒りを表しここからは全て俺の我儘だ。 妖精ちゃんを助ける為に反撃する主人公に好感しか持てませんでした。 こんな悲劇的な事なんてあってはいけない! 「合わせ鏡の最奥に抱く恐怖心が生み出す『悪魔の手』の噂」 今思えば、合わせ鏡という概念と根源的な恐怖から生まれた噂が悪魔の手ならば場所は問題ではなかった。 成立しやすいのが踊り場だったというだけで…と思考のカケラを選ぶ場面で回想を見た際に別にこれ反則ではない(けど、定義になる場所が増える夜は危険しかない)という点に気づき。 そしてここにきて新システムの登場!? 鏡を見るのが楽しくなればいいなら組み合わせはこれだ!と選択に成功するや否や駆け出していく主人公。 砕け散る鏡とスッとするようなキメ台詞。 …からの、鏡を割ったのが学校にばれるのはまずいという現実的な問題へ。 そこは妖精ちゃんの能力で無事解決し、今からでも前言撤回しておくべきか?と内心思っている主人公が先程勇ましさがあった彼と同一人物なんだよなぁ…と温度差に肩の力が抜けていき。 問題はこの後、キーワードは自分でも選んだのでわかっていても具体的にどうするか?は不明なので後日談を見て思わずその発想はなかった!となりました。 楽しいと思える場所にする為の飾り付け。 確かにファンシーな見た目もあり、見るのが楽しくなるというのも理解はできる。 さらに別の噂で塗り替える為に、その鏡ではかわいい妖精が見えるという噂を妖精ちゃんや厄災ちゃん協力のもと実現するという楽しい要素しかない物にするという完璧な作戦。 怪異は鏡に映るという性質をここで回収にきた事や、章タイトルを今度こそ平和な形で回収完了した事。 一度は悪い意味で回収されてしまうのか?と思っただけに、良い意味で完全にやられました。 そしてよくぞ言ってくれた主人公。 この問題を、厄災ちゃんが一人で抱え込む必要なんてないんだ。 確かに主人公は一般的な人間だけど、それでも対等な協力関係でありたい気持ちはとても理解ができます。 少女一人が抱え込むにはあまりに重すぎる物を、何か助けになれるのなら。 忠告の部分は、最後はお別れしなきゃいけない以上わかってはいても今はただ厄災ちゃんの助けになれるならそれでいい。 この思わぬ解決法をやってのけた主人公がいるならきっと大丈夫だろう。 そう思いながら、気持ちの良い読後感がありました。 ◆幕間、デートという七不思議退治へ 今回は章でなく幕間?というか、開幕デートのお誘い!? つまりこれは先日のお礼も兼ねたデレという解釈で……なんてものはなかった。 気になったのは、幕間のタイトルである「明日ありと思う心の仇桜」という文章。 そういえば七不思議の中に桜に関する物があった記憶はあるので、それに関する内容かなと当初は軽く考えていたのですが実際はこの物語が『誰が為の物か』に迫るかなり重要な話で…。 「一つ、確認しておきたいんですが、先輩にとって私は魅力的な後輩に見えていますか?」 ここで明かされる厄災ちゃんの計算。 当初から距離が近かったのも一種のハニートラップのような物であり、自分という怪異に価値を感じてもらう為。 厄災ちゃんが望むように目的を達成するにはどうしても人間の協力者が必要であり、主人公も本当に偶然あの教室に入れたというレアケースにすぎません。 となれば、その協力者になれるかもしれない相手を繋ぎとめる為に使えるものを…自分自身すらも利用するというのは必要と思ったのでしょう。 「ほんの少しでも罪悪感が芽生えたなら、私のお手伝いをしていただけませんか?」 それは色仕掛け、彼女の持ち前の美貌により物であったり人の良心に訴える方法であったり。 次の機会がいつかわからなく、七不思議が人に害を及ぼす前に全てを終わらせる必要があったからこそで。 厄災ちゃんは最初、主人公の人の良さに付け込んでいると白状した上で 善性にだって限界はある事。 見返りもなしに人助けをしてもらえる程世の中は甘くない事。 何より、彼女自身が無償の奉仕を信じられない性格である事を語ります。 だから無償の愛ではなく、損得勘定による繋がりを求めていた。 自分の事を主人公から見て手元に置いておきたくなる可愛くて従順な人形のように思ってもらおうと振る舞っていたと。 これ自体はどれもその通りな話で、最初こそ善意で手伝いを引き受ける事はあるかもしれませんがそれにもどこかで限度はくるでしょう。 最初のハナコさんこそ穏便な手段で解決はしましたが、気長に噂を訂正するという手段を取る事だって手間ではあります。 それに、想定外の活発化だったとしても悪魔の手のように明確に危険な目に遭う七不思議を相手にする場合だってありえる展開です。 (本来はその前に終わらせるつもりだったとしても、絶対はありえない以上想定も可能ではあったでしょう) 「では、意地悪な質問をします。先輩はどうして、まだ私を助けてくれるのですか?」 厄災ちゃんのこの質問も、尤もな物でしょう。 主人公自身、命の危険もあった事を認めつつどうしてまだ手伝いをしようとしているのか。 プレイヤー視点ではそれがゲームの目的だからと言えばそれまでですが、ここで重要なのは当事者である霊斗君がどう思うのか? 「……厄災ちゃんと過ごす時間が楽しいから、じゃだめか?」 彼は厄災ちゃんという少女や、以前も述べていたこの非日常を気に入っていた事。 そして何より前章で、全てを厄災ちゃんが抱え込む必要はないと思っていたのです。 それを端的に表した言葉は彼女にとって魅力的な答えに感じたようで。 しかし、想いという物は面白いと思えば熱が入り、つまらないと思えば熱が冷める。 厄災ちゃんと過ごす時間が楽しいと思っても、それが己の身を危険に晒すに値すると思えなくなってしまった時がもしきてしまったら? その時も同じように七不思議と向き合えるのか、絶対の約束なんてできないと心中で思う主人公はある意味正直と思えました。 変わらない物はなく、絶対なんて物はまず存在しないのが世の常。 それは自分の気持ちであれ同様である以上、無責任に絶対大丈夫というよりは余程誠実でしょう。 「けど、人助けの理由なんて始まりは感情的なものだろ」 「なんとなく助けたいと思ったから助けて、そう思った理由は後付けで考えていくもので」 彼にとってはそれが厄災ちゃんが可愛かったからとか、非日常を楽しいと感じたからとかそういった物で肉付けされていき。 感情という理由のない心の揺らぎを、理性で納得して受け入れられるようにする。 恐らく人間が無意識の中で行っている事を綺麗に言語化しているように思えました。 そして厄災ちゃんも、その納得と言える物を欲しているようで。 先輩を信頼する私に、私が納得したい。 生前は人間だった厄災ちゃんも、生きている人間と同じようにその納得に至るステップが欲しかった。 だから彼女は、信頼の証として今まで話さずにはぐらかしていたかつて自分が生きていた頃の話をするという選択を選ぶ。 記憶の大部分は七不思議として生まれ落ちる際に抜け落ちてしまった。 それでも、彼女はかつてこの桜花高校の一年生であり二年生になる前に死んでしまったという事。 こんな形で学校生活が終わるのが嫌だったという死の間際の想いが叶ったのか、次に目を覚ました時には七不思議の七番目として存在していた事。 死んだのはもう少し前だったけれど、怪異になったのはちょうど主人公が入学した位の頃だった事。 実は主人公を先輩と呼びながらも、実質同級生のような関係の方が近かったという真実。 でも、厄災ちゃんは年を取らない永遠の一年生であり先輩呼びに憧れがあったと打ち明けてくれました。 部活に入っていない主人公としても、後輩という存在に憧れがあったのでお互い今のままがちょうどいいという事になり。 「ふふっ、ではこれもまた私達の利害関係ですね」 軽い冗談のようにそう言ってくれる厄災ちゃんに、そんな些細な事でも彼女にとって納得の材料になるなら悪くはないかなとこちらも微笑んでしまい。 そして疑問だった事、厄災ちゃんは生前あった自分の名前を憶えているのか? 記憶としては持ちこしてなくとも、それは学校について調べるうちに知る事ができたので教える事は可能であると前提をした上で彼女は問います。 「先輩は、少女の名前を知りたいですか?」 それに対する主人公の答えは、厄災ちゃんがどっちの名前で呼ばれる方が嬉しいのかが重要である事。 彼女が今の在り方、厄災ちゃんと呼んでもらう事を嬉しいと思うのならそれ以外の名前は知らなくていいと返答をした事。 信頼と、それから尊重の証。 まだまだ出会ってから一ヶ月と少しなのだから、信頼はこれからも積み重ねていけばいい事を合わせ100点の返しだなと思いました。 そして再びデートと称して夜の学校を散歩する事に。 初めて昇降口から出た所で厄災ちゃんは七不思議の四番目について知っているかを尋ねてきました。 四番目の内容は『枯れず桜の木』の噂、現在は五月も中旬だというのに未だ満開を維持している明らかに季節外れの怪異。 やはり、タイトルから桜に関する物という予想は当たっていましたがそれだけでなかったのは意外な展開でした。 七不思議の一つとして数えられている桜の木々は元々七不思議という枠組みが作られる前から存在していた怪異だった事。 その、怪異としての特性がまさかの『桜の木』であるという誰も予想ができなかっただろう内容で驚きました。 …って事は元は何の木だったのだろう? 元の木が何であったかはわからずとも、人々がそれを桜の木だと思い込んだ結果桜の木になってしまった。 それ以外は別段害のある存在でもないという辺り、怪異もまた人の日常に溶け込んで存在している。 現在では珍しくなりつつあるのかもしれませんが、きっと昔にはもっとあったのだろう光景がある事に何とも言えない感慨がありました。 対処法としては、七不思議になった事で新しく付与された特性を取り除く事。 つまり、桜の木である事が問題なのではなく今も満開である花を散らす事が怪異としての噂を終わらせる事へ繋がるという内容でした。 乱暴な手を選ばずとも、お願いをすれば解決するという辺り前回と違って穏やかに解決しそうというのには少し安心。 現場に到着すれば、実は桜ではない何かの木だとわかっていても美しい満開の桜がそこには並んでおり。 今年最後となる花見を、夜桜を鑑賞した後に気づけば夜も更けて。 ここで桜の木に語りかけた厄災ちゃんの言葉は、何故例年以上にこの桜が開花を続けたのか。 彼女が七不思議をなるべく平和に終わらせていきたいと思った理由をうかがわせていました。 「『桜の木』の怪異さん。今日まで七不思議のために咲き続けてくれて、ありがとうございました」 人々に望まれて咲き誇る、偽物の桜の木。 だけど今年だけは、この桜は七不思議としてたった一人の為にずっと咲き続けていたのだと。 「ですが――もう、私は大丈夫ですから」 七不思議が全て終わった時、七不思議の七番目である厄災ちゃんも消えてしまう事。 それが桜の意志なのか、自動的な防衛本能だったのかはわかりませんが全ては七不思議が消えない為だった。 彼女の言葉を受け入れて花を散らせていく桜の姿は美しく、されどもいつかくるさよならの時を示しているようでもあって。 明日ありと思う心の仇桜 夜半の嵐に吹かぬものかは もし、明日も桜の花を見る事ができると思っていても、夜半に強い風が吹いてしまえば散ってしまうかもしれない。 明日が必ずしもあるのかは分からない、だからこそ今を精一杯大事に生きていきたい。 タイトルにも引用されているこの歌は、元々桜に例えられた人の命についての内容であり。 今まさに夜に花を散らす桜の姿といつまで続くのかわからないこの厄災ちゃんとの関係にも言える事でもあった。 言葉選びや文章力といった面で元より作者様が文学に対する知識が高い方だとは思っておりましたが、ここでこの歌を出すのは今後の展開も合わせ素敵な流れであり教養の高ささ感じました。 ◆友情と美徳を知る、第三章について 「親愛なる君にはじめましてを」という章タイトル、残る七不思議が何だったのかを思い出した時にまさか…とは思いました。 珍しく早起きをした結果、いつもより空いている電車に乗り駅まで到着した主人公。 そこでばったり出会ったのは、友達の幽実ちゃんでした。 …三番目である妖精ちゃんを除き、ここまでに対処ができた七不思議は順番通り。 残るのは五と六、そして厄災ちゃんの担当する七番目だけ。 六番目は所謂、知ったら呪われる系でありまだ未知数でしたが五番目の内容は薄っすらと覚えていました。 知らない間に知らないはずの友達ができているという怪異。 これまで霊斗に友達と言える存在はどれだけ出てきたのか?それは人間ならばたった一人しかいない。 幽実ちゃんとの何気ない会話の中、記憶に矛盾がある事を疑問に思う主人公。 明らかに脳内へノイズが走ったように見えるのに、きっと勘違いだろうという位の軽さでそれを流してしまう場面は軽いホラー要素でした。 何はともあれ、主人公が教室で授業を受けていると…ひょっこりと姿を現した厄災ちゃんが!? え、厄災ちゃんって夕方~夜しか行動できないんじゃないの? それとも、授業中で廊下の前に人がいないからあの教室から出られただけ? 予期せぬ出来事に椅子からひっくり返りそうになる主人公。 これはしょうがない、誰だって驚く。私だって驚いた。 そして悪びれる事もなく、教室の中を歩いていく厄災ちゃん。 他の人には彼女の姿が見えない以上それを疑問に思う人は当然存在せず。 事情を確認してみれば、どうやら彼女は七不思議の五番目を探す為に行動しているようでした。 厄災ちゃんの読みではその五番目はこの教室にいるという。 しかし、形のある怪異ではないので目で探そうとしても見つける事はできないと言われ。 七不思議の五番目、それは見知らぬトモダチの噂。 当たり前のようにそこにいて、いつの間にか友達になっているという不思議な怪異。 昼休みになり、厄災ちゃんに質問をすると見知らぬトモダチは人の形をしてそこに存在している訳ではない。 七不思議を全て知っているはずの厄災ちゃんでも、その出自と正体…どこから生まれ落ちたのかが謎に包まれた存在という厄介な内容のようでした。 でも、怪異としての性質は理解しているけれど説明が難しい事に変わりはなく。 概念としては、生きている人間に能力や技能を与えるといった形式に近いという事が判明。 そして厄災ちゃんの読み通り、屋上で厄災ちゃんと主人公の様子を窺がうのに耐えかねたその当事者は姿を見せた。 それはやはりというべきか、幽実ちゃんであり彼女は本来なら人間には見えないはずの厄災ちゃんの姿も見えている。 彼女に厄災ちゃんが何者であるかを話した上で放課後、厄災ちゃんのいる教室に行く事を約束。 幽実ちゃんは、いつかこんな日がくるであろう事をわかっていたような様子で…自分に何かが起きている事は把握をしていたのでしょう。 いざ教室に到着し、怪異同士では事情を互いに理解している様子でしたが主人公には何が起きているのかわからず。 厄災ちゃんとしても、主人公には全てを知ってもらうつもりであり質問をします。 「ねぇ、先輩。先輩はいつ、幽実さんと友達になったのですか?」 高一の春に隣のクラスで知り合って、と答えようとしたところで脳内に走る軽い電流のような痺れ。 二人は中学以来の友達のはずで、出会ったのはもっと前のはずなのにそれが思い出せない…? しかし、出会いの記憶がなくても幽実ちゃんが大切な友人である事に変わりはない。 必死に思い出せない事に言い訳をしようとする主人公に、幽実ちゃんは真相を告白しました。 彼女は元々、あまり人と話す事が得意な人間ではなかった。 成長をすればいつかは改善されると思っていても、友達どころか日常会話を交わせるレベルの知り合いも作る事ができないままで。 それでも、彼女には友達がいなくても大好きなお兄ちゃんがいればそれでよかった。 でも、そのお兄ちゃんは中学三年生の夏に事故で亡くなってしまい気づけば彼女はもう自分の隣に誰も座っていないと気づいてしまった。 それでも、もうずっと孤独のままだとしてもお兄ちゃんとも思い出があればいいと思い地元から少し離れた高校へ、顔を知っている生徒が一人もいない新天地で生きていこうとした矢先。 見知らぬトモダチの力によって、主人公である霊斗君は自分が幽実ちゃんの中学からの友達であると思い込んで話しかけてきた。 本来なら、ここで真実を語りこの怪異を七不思議の五番目としないまま消滅させるのが正解だった。 けど、それができなかった理由がとても人間らしいというのか… 一人が良いなんて思い込もうとしても、本当は心のどこかで求めてしまっていたのだから。 会話が苦手でも、相手を信じられなくても、私と話してくれて、私を信じてくれる、そんな都合のいい友達が欲しい。 だって、一人ぼっちは寂しいものだって気づいてしまったのだから。 彼女が嘘を重ねている事、本当はいけない事だと理解しながらもそれでも寂しいという気持ちには勝てなかった事。 それを中途半端で、やっぱり駄目な人間だったのだろうと彼女自身は述べていますがそれは違うと思いました。 誰だって、心の中に空洞があればそれを埋めたいと願うし人を恋しく思う事だってそれ自体が悪なのではない。 空席となった自分の隣に、また誰かが座ってくれる事を恋しいと思うのは当然の心理でしょう。 人間なんて、そんなに強くできていないのだから。 厄災ちゃん曰く、幽実ちゃんは元より怪異との親和性が異常な程に高く他人の感情に敏感すぎた事で理由のわからない心の揺らぎに恐れを抱くようになってしまった事。 所謂、見える体質とか霊感体質と言える物を持つ事は当然他の人と違った何かを持っていたり何かしらの受信をしやすいからこそというのも想定はできる訳で。 生前の厄災ちゃんがそうであり、その結果七不思議の七番目になってしまった事を合わせれば説得力は充分にありました。 そして、この五番目を鎮める方法は勘違いを正す事。 幽実ちゃんと主人公の間にある矛盾を指摘し、本来の記憶を取り戻す事で五番目は終わりを告げる。 「私と妖精ちゃんを救ってくれたように――幽実さんを、救ってあげてください」 これから行う事に俯いている主人公に、優しい微笑みを浮かべて鼓舞の言葉をかけてくれる厄災ちゃん。 これは、主人公にしか…霊斗君にしかできない事だから。 記憶のカケラを組み合わせる事で、矛盾している捏造された記憶を正していく。 最後に決着として告げる真実。 「――――俺は、お前と友達じゃなかったんだ」 その言葉を合図のように、今まで存在していた七不思議の五番目は消滅をしていった。 霊斗君と幽実ちゃん、相互の体から抜け落ちていく見えない何か。 そして、そこから解放されれば幽実ちゃんは頬に伝った涙を拭い別れの言葉を口にしようとしたのでしょう。 だけどその前に、それを遮ったのは 「――だから、今日から俺と友達になってほしいんだ」 幽実ちゃんの辛さを理解できたからこそ、この言葉は彼女にとっての救いであり物語を見守っているプレイヤーにとっても何よりもありがたい言葉でした。 嘘はよくないとしても、そもそも友達になるきっかけなんてそんなものである事。 いつの間にか話すようになってて、気付いたら当たり前のように友達になっていた。 それならば気にする必要はないのだと。 それでも幽実ちゃんが出会い方に罪悪感があるというなら、もう一回やり直しをする事を提案し。 自己紹介をして、また最寄り駅まで一緒に帰る時にオカルト好きを披露してもらうという以前にも行った流れをする。 大事なのは出会いのきっかけより、そこから重ねてきた時間であり霊斗君にとってこの一年は最高に楽しい時間であった事。 例えそれが、見知らぬトモダチの力だったとしてもその事実に違いはない。 だからもう一度、友達になってやり直そうと歩み寄る。 そうして二人がまた歩み出す流れはあまりにも美しいものでした。 結果として、幽実ちゃんもあの教室に入れる事から厄災ちゃんにも同性の友達ができたというのも収穫という意味では良かったですね。 …しかし、幕間にあった仇桜の歌のようにこれまでと同じ日常や明日がくるとは限らない。 胸を撫でおろした着後に出た不安を煽る内容に、いよいよ物語も終盤に入る事も合わせて最後の一文が示す意味に絶望しかありませんでした。 ◆幕を切るという事、第四章 それまであったはずの、厄災ちゃんの教室が認識できなくなった…? 理由として考えられるのは、今までは見知らぬトモダチの影響で七不思議への関与ができていたのにそれを消滅させてしまった事。 そして、残る七不思議も三つであり概念そのものの力が弱まってしまったのかもしれず。 どちらにせよ、七不思議に関与する資格を失ってしまった事に変わりはない。 それでも何とか厄災ちゃんに連絡を取ろうと手紙を書き、本来なら厄災ちゃんの教室に一番近い位置である廊下の位置へ置いてみれば。 「そのやり方では、お嬢様に声は届かないのですよ――霊斗様」 聞き覚えのある声に振り向いてみれば、そこには同じく七不思議である妖精ちゃんの姿が。 彼女が見えるという事は、七不思議を視認する事は今でもできるという事か? 怪異である厄災ちゃんは現世の物である手紙に触れる事はできないという指摘をされ、場所を変えて妖精ちゃんに事の詳細を聞く流れへ。 教室が見えなかったのは、厄災ちゃんが意図的に封鎖をしていたから。 その理由は、七不思議を終わらせようとしていた為で。 妖精ちゃんと厄災ちゃんを除けば残るのは名前もわからない六番目。 そして、その七不思議の六番目は生前の厄災ちゃんを殺した犯人だった。 生前の厄災ちゃんはその容姿や誰とでも仲良くなれる才能を持っていた事から人気者であった。 それは幽実ちゃんも持っていた怪異との親和性にうまく折り合いをつけたから持っていた能力であり、彼女は幸せな人生を過ごしていた。 けど、そんな彼女の人生は行きずりのストーカー男に殺される事で突如終わりを迎えてしまったという。 しかし、厄災ちゃんはただ殺されるという事はなくストーカー男を包丁で刺し返した。 自身が殺された包丁で、ストーカー男を殺し返してしまった結果一本の包丁によって繋ぎ返され…厄災ちゃん七不思議の七番目に。 ストーカー男は七不思議の六番目になった。 その時の包丁こそ、悪魔の手を退治する際に使おうとしたあの幕切り包丁《キディングミー》 読みがカナによる表示で、恐らく霊斗君が聞き取った音をそのままプレイヤーが視認していると思った事。 実際に、キディングミーで検索をすれば『冗談を言う事。からかう事』といった意味合いなのは正しかったです。 しかし、もし音だけで判断しているからこそ正しい綴りを理解していなかったら? killing me(私を殺す) この包丁が生まれた経緯、そしてもし他の意味なり正しい綴りがあるとすればこれしかありませんでした。 怪異を殺す包丁であり、それはすなわち厄災ちゃんを殺せる武器でもある事。 そして、彼女がどうして七不思議を終わらせようとしていたのか? 妖精ちゃんによれば、七不思議は厄災ちゃんの怪異化から全てが始まったという事。 元々、七不思議が生まれるだけの土壌があり最後の一押しとして怪異と親和性が高い厄災ちゃんが七不思議の七番目になってしまった。 その結果、空白である席を埋める為に怪異は七不思議という枠組みに入れられる事になってしまう。 確かに、厄災ちゃんが怪異になったのは主人公が入学をした頃であり見知らぬトモダチが生まれた頃とも合致している事。 六番目は自動的に埋まっていた為、残る席を今まで退治してきた七不思議が埋めていった結果現在のような状態へなってしまった。 さらにタチが悪い事に、生前の性質をそのまま引き継いでしまったのか六番目は人間でなく七不思議の七番目…厄災ちゃんを殺す事を目的とした怪異になってしまった。 六番目についてだけ、やけに情報が足りなかったのは人間にとっては無害だった為。 関りがなければ噂が広がる事もないという実にシンプルな理由だった。 厄災ちゃん自身は、この終わり方に対し納得をしていたのでしょう。 この形が、一番綺麗な終わり方だと時折口にしていたというのなら。 だけど…! 本当に、そんな事が許されていいのか? 「自分を殺した男に再び殺されるのが、綺麗な終わりなわけねえだろ……!」 まるでシンクロするかのように、こちらの気持ちを言葉にしてくれる霊斗君。 もしいつの日か、厄災ちゃんが成仏をし現世を離れる事がくるのだとしてもどうしてこんな方法を選ばなければいけないのか? 自分を殺した男にもう一度殺されるなんて、そんな彼女にとってただひたすら辛いだけの結末が許されていいはずがない。 結果的に、厄災ちゃんの怪異化によって七不思議が生まれたとしてもそれは結果論でしかなく。 彼女はただ、幸せな人生を歩んでいただけなのに理不尽にその命を奪われた被害者でしかない。 生きたいと願う事の何が悪いんだ。まだ十六歳の、これからもっと楽しい人生が待っている少女がそう思う事の何が罪だというのか!? それを罪というなら、そんなふざけた事を言う奴らを私は許せない。 むしろ彼女は、全ては自分の責任だとずっと罪の意識に苛まれながら七不思議を終わらせようと頑張っていたのに。 厄災ちゃん自身が何か悪事をした訳でもないのに、それなのに罪を背負う…それがひたすらに悔しくて。 霊斗君が納得がいかぬままなのは当然として。 妖精ちゃんが、表情を変える事なく語るしかできなかったはずの彼女が涙を流しながら厄災ちゃんを助けて欲しいと訴えかけている。 計画は今夜、時間がない事は厳しいですが…ここで動かなければ嘘でしょう。 そして始まる、厄災ちゃんの独白。 何故厄災ちゃんが主人公を協力者として選んだかと言えば自分が見えていたから、たったそれだけだった。 しかし、本来ならば普通の生徒には認識できないはずの教室を見て入ってきてしまった人がいた事。 後に誤解と判明はするも、この時の厄災ちゃんにとってはそれだけ七不思議の力が強まった結果である最悪の想定があった。 結果的に、実はそこまで七不思議の力はまだ強まっていなかったものの悪魔の手の際にすぐ対処ができた事は幸いだったというべきか。 それに、主人公は偶然にも異性であり優れた容姿を持つ厄災ちゃんにとっては自分を対価として利用できるという点でも都合が良かった。 だからその為に、主人公が気絶をしているうちにこっそりと荷物を観察し学年を把握して自分は後輩の役割を演じると設定をした。 その方が善意に付け込んで頼りやすいだろうという打算の上で。 幕間の時にも述べた、利害関係として互いに利用する事で協力を続けてもらうつもりだったという話。 お互いを使い捨てできるような、そんな間柄でいるつもりだったのに…。 気付けば、霊斗君は厄災ちゃんにとってかけがえのない存在になっていた。 教室で、六番目の出現する時間を待ちながらこれまでの事を思い返す厄災ちゃん。 やがてその時はきて、廊下に出ればその先には忌むべき物の姿が…。 予想はしていましたが、やはり厄災ちゃんは七不思議が生まれたのは自分のせいである事。 そして、その七不思議は厄災ちゃんを存続させる為の七不思議となり時にはこの世の人間を脅かす存在になった事に責任を感じていた。 「罪も罰も贖罪もなく、ただ無価値に殺めるだけの結末は、出来ることなら避けてあげたいんです」 もう手遅れになっていた悪魔の手だけは仕方ないとしても、全ての七不思議は厄災ちゃんをきっかけ生まれ落ちた物ばかり。 彼女にとっては自分の責任で生を受けてしまった怪異達を、ただ無意味に殺めるなんて事はしたくなかった。 罪も罰も、本来背負うべきなのは自分なのに…七不思議を終わらせる為にただ命を奪われてしまう事を思えば。 しかし、その厄災ちゃんだって本当は何も悪い事はしていないのに。 何故彼女だけが罪を背負わらなければいけないのか、再びあの時と同じように包丁に刺される事で終わりを迎えなければならないのか…。 覚悟を決めても、押し殺しても零れ落ちてしまった言葉。 そして、それに対し反論するかのように響くここにはいないはずの声。 霊斗君が、間に合った!! ここから始まる打開策の模索、これまでに集めた記憶のカケラを整理しながらまずは前提を整えていく。 現在残っている怪異は三つであり、厄災ちゃんが消滅をすれば繋がりを持った残りも同時に消滅をする。 そう思っているからこそ厄災ちゃんはこれしかないと思っていた。 しかし、実はそこに前提の勘違いがあれば? ここは指摘されるまで気づかなかったというか、言われてみればすでに今まで前例があったのに不思議と気づく事はありませんでした。 妖精ちゃんは厄災ちゃんが噂を流す事で生徒の間に広まり形を持った怪異である事。 だから、厄災ちゃんが消えても生徒の間で噂が生きている限り妖精ちゃんが消えることはない。 逆に、ストーカー男は見知らぬトモダチのように怪異と親和性が高い厄災ちゃんの思い込みから生み出された怪異だった事。 そうなれば、霊斗君がするべき事は決まっていて。 彼女に信じてもらう為、霊斗君がかける言葉が本当に的確すぎました。 厄災ちゃんが自分を罰する必要性を感じる限り、六番目は何度でも蘇ってしまうからこそまずはそこを正す必要がある事。 そして、もし厄災ちゃんの消滅で七不思議が終わるとしてもそれを理由に自らの存在に罪の意識を感じる必要はないという事。 「だって――生き続けたいという気持ちが、悪いことなわけがないんだから」 プレイヤーはいくら感想を抱けても、それを厄災ちゃんに伝える事はできない。 だから、本当にこちらが思う事をまるで読み取っているかのように厄災ちゃんに伝えてくれる霊斗君という存在がありがたいと思えた。 厄災ちゃんが独白で思ったように、本当に素敵な人なのだと。 「害をなす怪異が生まれてしまったら、また二人で鎮めればいい」 「不幸をばら撒いてしまうなら、それを上回るほどの幸福も一緒に振り撒いてやればいい」 今までだってそうしてきたのだから、鏡を改装した際も鏡で厄災ちゃんを見た人は幸せを感じていたのだから。 妖精ちゃんのような、人を幸せにする怪異だって生み出したのだから。 ただ感情を並べ立てただけの自分勝手な願望論だとしても、霊斗君なら厄災ちゃんの為にどこまでも付き合ってくれる。 まずはその為に、目の前の脅威を排除しなければならない。 考えてみれば、見た目が包丁である幕切り包丁は怪異を切れるのは当然として人間にも刺さるのだろうか? 相手も同じ凶器を持っている以上、行動を間違えればこちらが刺されて死ぬ可能性も存在はする。 キザに決めるなら好きな子の為なら死んでもいいとか言ってしまうような場面でしょうが、霊斗君には生き延びて厄災ちゃんを納得させるという死ねない理由がある。 そして、土壇場でよく気が付いたというのか…六番目が怪異である七番目を殺す為だけに生まれたのなら初めから生きている人間の姿なんて見えていなかった。 だからそこに気づけば対処もできる訳で、巧く核を貫いた結果六番目は消滅をした。 脅威の去った今、ここからがいよいよ本題と言えるのでしょう。 厄災ちゃんに生きて欲しい。 それも、不幸でなく幸福を振り向くような…厄災ちゃんも幸せでいられるような人生になるように。 ここで、章タイトルの回収をする事を含め新たなスタートを祝う意味でも素敵として言いようがありませんでした。 七不思議の物語はここで幕切れ…物事としての終わりを迎える。 そして、厄災ちゃんの怪異としての物語はここからが始まりという意味の言葉で、幕が切って落とされたと表現をされた。 「そして七不思議は幕を切った」 ◆エピローグ、幸色の真相 思えば、何故七不思議の少女は厄災ちゃんという名前なのにタイトルには幸色という言葉があったのか。 これは当初ずっと疑問でした。 あらすじにも、最悪の不幸をもたらす存在という表記をされている厄災ちゃん。 それと幸福を意味するであろう幸色という表現は正反対のようであり…。 後日談として、電車に揺られる霊斗君。 目的の駅に降りて幽実ちゃんと会話をすれば、どうやら知らない間に厄災ちゃんと何やら賭け事をして遊んでいたらしい。 厄災ちゃんってあの制服以外の服装になれるのか?という疑問はさておき、すっかり仲良しさんだなぁというのがとても微笑ましいです。 妖精ちゃんも、いつものように部室の掃除に向かうようで。 相変わらず表情はわかりにくいものの、感情が掴めるようになってきたり妖精ちゃん自身も霊斗君との会話を楽しんでいるようで何よりでした。 そして霊斗君が何故わざわざ早起きをして朝の時間に厄災ちゃんへ会いに行ったのかと思えば…? 確かにこれもかつての応用と言える発想!? 合わせ鏡の噂を別の内容で上書きしたように、厄災ちゃんに紐づいている不幸をもたらすという部分を変えてしまえばいい。 その方法は、彼女を取り巻く噂を幸せな内容にしてしまう事。 これが成功すれば厄災ちゃんはみんなを幸せにする怪異としてこれからも生きていける…! 誰も不幸にならず、厄災ちゃんも生徒のみんなも幸せという素敵な構図になる!! 時間はかかるかもしれませんが、これは確かにそれでも実行する価値はあるでしょう。 そしてそして、そして…… ここからが本当に、ほんっとうに完全にやられた!?というべきか。 まさか全ての伏線をここで回収にくるなんて、誰が予想ができたというのか……。 厄災ちゃんのゲームを作ってみようと思うと言う霊斗君。 待てよ、ゲーム…?もしかしてそれって…? 「ただまぁ、薔薇色とまでは言わなくとも、日常に幸せな色を添えられるような、 そんな楽しい物語を作りたいですね」 も、もしかしなくても…!? 「例えば、そうだな――七不思議の七番目『幸色の厄災ちゃん』とかどうだ?」 このゲームのタイトルだー!!! そして、スタッフロールが終わりタイトル画面に戻ればそこには笑顔を浮かべる厄災ちゃんの姿が…。 もうこれは完敗というか、何故この作品のタイトルがこうなったのか。 何故、ゲームである必要があったのか。 このゲームは、厄災ちゃんが幸せを呼ぶ存在であると広める為の物語だったから。 タイトル名の由来は無論ですが、ロゴにさりげなく混ざっている包丁…恐らく幕切り包丁も厄災ちゃんとは切り離せない関係であり。 このゲームを遊ぶ人が増える事で、厄災ちゃんが幸色をもたらす怪異へどんどん近づいていく。 天才ですか?こんなの人におすすめしない理由が存在しません。 七不思議や怪異を題材とした物語というだけでも完成度が高いばかりでなく、実はゲームを始めている時点ですでに厄災ちゃんに協力ができていたなんて…。 いつか彼女が幸色をもたらす厄災ちゃんとして、そんな形で生きていける日がくるのなら。 それを願わずにはいられません。 @ネタバレ終了 ヒロインである厄災ちゃんが可愛いのはもちろんなのですが、主人公である霊斗君もとても好感が持てる人物である事がとても印象的でした。 霊斗君自身はただの一般生徒でしかなく、怪異と戦う力は持っていないのですがそこは閃きと行動力で解決していく事。 そこまでの道筋もあくまで今手持ちにある情報から自分ができる事を全力でするのみという点で納得ができる内容なので、ご都合主義もなければ読み進める上での苦もなく。 良い人であるのに違いはないけれど、人間らしい葛藤から滲む誠実さも持ち合わせている。 登場人物みんなにそれぞれの魅力がありますが、彼が厄災ちゃんに出会う事で物語が始まったのは本当に良かったなとしみじみしました。 こんなに素晴らしい作品に出会えた事、本当に感謝いたします。 幸福のおすそ分けをしていただきました。 それでは、この度は本当にありがとうございました。 -
偽証討論長くなってしまい申し訳ありません。 こちら、おまけ要素等についての感想です。 @ネタバレ開始 全員分を読む為に、初見プレイで失敗した部分をやり直しまずは無事解放へ。 正直な所、一番好きなのは先にも述べた通り黒木さんであり彼の過去編は思わず涙を流す程の内容でした。 でも、今回の感想をまとめるにあたり各自の人物を再考すると虹葉さんも結構気になるというか…一番印象が変わっただけにここに名前がないのが少々残念でもあります。 ◇赤音ちゃん 本編では、どうしても自分は生きて帰らなければいけない。 お母さんの所へ帰らなければいけないと執着していた彼女。 その母親の交際相手が実は紫田さんの兄であったという部分までは判明していましたが…。 回想の始まりは、その母親の恋人である徹さんとの会話から。 能力者として目覚めた子供達を助ける活動をしており、発言内容からも心優しい人物であろう事はすぐにわかりました。 赤音ちゃんが母児家庭というのはわかっていましたが、確かに女手一つで子供を育てようと思えばお金が必要になりそういった業種につくものおかしくないでしょう。 彼女はその事を感謝しており、同時にそんな母を馬鹿にする相手には容赦をしないというなかなかアグレッシブな顔もあったようで。 赤音ちゃんがしっかりした性格なのも、そんな大好きなお母さんを助けたいという気持ちからと思えば納得はできました。 そして、彼女が寝ている間にされていた会話から母親としては赤音ちゃんが能力者である事を隠しつつ、トウカイに行かず広い世界を見てもらいたい事。 トウカイへ移住すれば能力者とその家族は最低限の生活が保障される事を思えば、移住そのものは充分ありの選択肢ながらもそれよりも娘の為を思って頑張っていたんだなと思うと親としての愛情を感じます。 そして、そんな素敵な方だからこそだらしない所があっても徹さんも好きになったのだろうなと想像はできました。 だけどいつまでも幸せは続かないというべきか、本編の時点で赤音ちゃんはトウカイに住んでいたはず。 黒木さん曰く紫田は能力で兄を殺害した疑惑がある、というのは事前情報として知っていたので夜の公園で待ち合わせをするという部分でもう嫌な予感しかありませんでした。 赤音ちゃんも同じように考えていたようで、いざ時間になり公園へ行ってみればそこにはすでに息絶えた徹さんの姿が…。 徹さんが亡くなる事はもう動かせない過去であるとしても、その第一発見者が赤音ちゃんだったという事。、 小学生が見るにはあまりにもショッキングすぎる光景という点でも辛かったのですが、その際の叫び声に反応した母親も徹さんの死体を見てしまった事。 それ以降、精神的なショックにより倒れ働けなくなった母親の為に…生きる為にトウカイへ移住する事を決意せざるを得なかった流れを思うとどうして…と思わずにはいられませんでした。 確かにこの状況で母親を一人残す事になってしまえば、いつ自殺をしてもおかしくない以上彼女の本編における発言は当然の物でした。 ◇桃ちゃん 人間は嘘ばかりだと本編で語っていた桃ちゃん。 彼女は自分が自動的に能力を発動している事を知らず、何故みんなが本心と違う事を言っているのか理解をしていなかった。 やがて、幼い桃ちゃんはそれが嘘だという事を知り無知故にその疑問を両親に投げかけてしまった結果親から捨てられる事に。 浮気はいけませんが、嘘は時に対人における必要な潤滑油となると思うとそれが全て意識せずとも見えてしまう桃ちゃんはかなり辛い状態でしょう。 何より、自分達の落ち度を棚に上げて桃ちゃんを否定する両親の方が精神的には余程化け物と言える事も思えば理不尽の塊でしかない。 やがて食べる物に困った桃ちゃんはあの施設に誘拐され、そこから生還後はトウカイで生活をする事に。 トウカイで小学校に通うようになってからも、桃ちゃんからは人の嘘が常時見えている事に変わりはなく。 まだ理解をするには幼く、悪気はないにしろクラスの中心にいた子にみんなが嘘をついている事を教えた結果事態は悪い方向へ行ってしまった事。 【嘘】を知り、【嘘を吐く】ことを覚え、【人に本当のことを言ってはいけない】と学ぶ。 見えてる視点が違うからこそ、だんだん他の人間が無意識に取っている行動を覚えていく流れがとても痛々しい…。 やがて本編でも言われた言葉、道化を演じると決めた事。 それを中学の時点で理解してしまったというのがあまりにも悲しすぎました。 そんな事をしていれば自分が磨り潰されていくのは当然ともいえる訳で、彼女が好きだったバンドもそんな中で唯一心が動いた物だったというのが重たすぎる。 そしてここにきて判明する、第一章で突如桃ちゃんの一枚絵が入ったのも浦霧君の嘘に反応をしたからだった事実。 それまで嘘を吐く人は人を騙す醜い生き物だと思っていた桃ちゃんが、今回のゲームの中でみんなと触れ合う中で誰かと仲良くなりたいと思えた事。 嘘が必ずしも悪意を持った物ではないと理解した事。 こんな状況でも他人を思いやっている感覚を心地良く思っていた事。 状況が状況なので手放しで喜べない物の、結果的にこのメンバーと縁ができた事は桃ちゃんにとって救いだったんだなと思うと感慨深いです。 だからこそ、彼女が最期にその嘘は許せないと言った相手は…自分が死ぬ事になっても後悔はなく譲れない事だったというのが切ない内容でした。 ◇黒木さん 開幕お母さんのような発言をしている黒木さん。 あれ、君ってそういうキャラだっけ?と首を傾げればどうやら妹である千春ちゃんに向けていたようで。 ある程度自分の年齢がいくと高校生はまだ子供というのは激しく同意ですね。 結婚できる年齢になったという反論にも、まだ未成年だから保護者の同意(俺の同意)が必要だし俺は同意することはないと切り返すのも完全にただの過保護なお兄ちゃんだと和んでしまい。 そういえば元々は両親を亡くしてから別々の所に引き取られたはず…と思えば、桃ちゃんと同じタイミングで誘拐され、そこから心配になった結果親戚から引き取り面倒を見る事にしたという事が判明。 もしかしなくても黒木さん、相当面倒見がいいよなぁ…と本編の時点で思っていた事が補強をされ。 兄貴がおかんみたいだと友人に愚痴を言う千春ちゃんも、帰りが遅い兄貴の為に冷えても味が落ちない物を夕飯にしようと考えている辺りで仲良しなのが隠し切れず。 平和な兄妹の日常をもっと見たいな~と思いきや、突然事件が発生しそれに立ち向かう黒木さんの姿が。 能力廃絶主義の過激派、確かに本編でもそんな物が存在したのは聞いた記憶がありましたがトウカイの外でもそういった暴動が起きているという時点で物騒という言葉で済ませるのも温い位の事態に。 それでも黒木さんの行動で無事に主犯は取り押さえられ、周囲にいた仲間も警察によって取り押さえられるという見事な手腕。 そんな黒木さんを褒める友人へ、ブラコンかよとツッコミをされるような言葉を返す千春ちゃんが微笑ましい。 と、思ったのもつかの間。 取り押さえられていた男の一人が拘束を振り払って車に乗り込み千春の方へ突っ込んでくる!? それはまずいと思えば、友人が千春ちゃんを庇った結果代わりに車に轢かれてしまい…。 結果、どれ程の重症を負ったのか…内容からして今から救急車を呼んでも助かるのか怪しそうな状態で。 そんな友人を見れば、黒木さんからも今目の前にいる死にそうになっている友人本人からも止められているのに治癒能力を使おうとする千春ちゃん。 辛うじて友人が助かる段階まで治療されるも、その背後には先程の男が立っており能力を使う場面を見られた結果背中を刺される事に…。 そして場面が切り替わり、囚人№03340と呼ばれる黒木さんの姿が。 あの後黒木さんは、妹を殺害した犯人を能力により殺していた。 本編中、ずっと理性的に立ち回る大人の行動をしていた黒木さんが我を忘れて能力を暴走させていたという真実。 最期のゲームで虹葉さんが言っていた通り、黒木さんが実は誰よりも強い激情を持っているというのはすでに察しがついていました。 そうでなければおかしな部分しかなく、彼は常に他の人を守る為に自分が一番危険な事を引き受け続けていた。 犯人を入力する際、第一章で多数決の結果になった時や三鈴ちゃんに犯人の指名をするように言うも実際に入力は自分がすると言っていた事。 誰かに、自分の行動のせいで誰かを殺してしまうという罪の意識を背負わせない為に汚れ役を進んで引き受けていたにすぎず。 脱出ゲームパートで能力上戦闘ができるのが自分だけとはいえ、自ら一人で探索をする事を選んだ事。 それならばせめてどの扉にするかを選ぶ権利位ありそうなのに最後に残った物でいいと他人を優先した事。 第一章において、赤音ちゃんを助けたい浦霧君と衝突した時だって黒木さんにとっては辛い場面だったのは想像にやすく。 本心では浦霧君のような気持ちを持ちつつも、そこを大人の理性で抑えなければならないと判断せざるをえない場面でした。 闘技場におけるなれの果てとの戦闘も、自分が戦わなければ彼から見て子供である二人は守れない。 その為にどれ程酷い重症を負っても、生還させる為に応急処置だけで済ませ先を急ごうとした事。 三人行動に入ってからは常に先頭を行き、物音の確認をする際だって自分が率先して動いていたじゃないか。 「ガキはすぐに自分の命を投げ出しやがる」 これも結局は自己犠牲を厭わない浦霧君に対してでもあり、かつて友人の為に能力を使って殺害された妹の事でもあり…。 そんなガキの代わりに、自分が犠牲になって最期には時間稼ぎをしようとした事。 「…………死ぬガキが減らせるなら。自分の命ぐらい差し出してやるさ」 過去編における、この言葉が全てだったのでしょう。 彼がトウカイに移住せず、自身が能力者である事を隠して生活していたのも全ては妹の近くにいる為だった。 千春ちゃんを失った黒木さんにとっては、もう生きる目的もない。 第一章で述べる金という物に対し、大事なものなのにかけがえのない物ではないのが良いと表現していたのも言外には彼にとってのかけがえのない物は存在し。 でも、それはもう失ってしまったという事の裏返しだった。 一見、メンバーの中で一番現実主義であり皮肉屋な面を持っているように見える彼こそが表に出さないだけで実は誰よりも強い激情を持っていた。 全ては大人の理性で制御しているにすぎなかったという事実。 それだけでも共感ができすぎて胸が締め付けられる思いでしたが、過去編最後の台詞で完全に涙腺は耐えられませんでした。 ◇翠さん 子供の優君こそが一番大事であり、その為ならどんな事でもできると言っていた翠さん。 我が子の誕生、これからも家族で幸せに生きていくと信じていた一番幸せだったとされる過去。 本編中でも触れられていた通り、優君は心臓が弱く長生きが難しいとは知っていました。 その事実に泣き出しそうになる翠さんを支えてくれたのは夫である幸一さんであり本当に良い夫婦だったのでしょう。 ドナーを探したり、手術にかかるお金を稼ぐ為に必死でいる時も優君が成長し家族全員でいられるうちはまだ楽しいといえる時間だったというのがいかに家族がいる事がそれだけで意味を持つのか。 それを感じるには充分だっただけに、過労の末に幸一さんを失ったというのが理不尽すぎると思いました。 贅沢な暮らしを望んでいる訳でもなく、ただ健やかに家族みんなが一緒にいられるだけでいい。 たったそれだけの事すら叶えてもらえないのかと。 そして、心臓の事もありただ生きているだけでも大変であろう優君が父親を亡くしても自分がお母さんを支えると言う位に優しい子へ育っている事。 本当に心からの愛情を注がれたからこそ、それだけ良い子に育ったのだと私は思っています。 当初限界だとされた五歳を乗り越え大きくなっていく優君。 しかし、年齢を重ねられているといっても状況が悪化している事には変わりもなく十歳の誕生日が近くなった頃に倒れてしまった。 もう一度、大きな発作が起きたら助からない可能性が高い。 自分に近寄ってきた紫田を嫌悪しながらも、可愛い我が子の為なら自分はどうなってもいいと協力を求めても変えられない現状。 ここにきてようやく判明する、第一章で最期の光景として見た翠さんの姿をした何かの真相。 彼女は虹葉さんから取引を持ちかけられており、優君の為なら他の人を殺してもいいと決意をしていた事。 三鈴ちゃんの言う通りなら、ここにいるメンバーは誰も人を殺す事ができない人ばかりと確定している事。 だから虹葉さんは記憶操作で殺人事件をでっちあげるも、元々人を殺す気がない人しかいないのならその先もゲームとして停滞するのは予想ができたでしょう。 だったら、一番動かしやすい弱みを持った人をそそのかせばいい。 桃ちゃんに解毒剤を飲ませベッドで休ませた際も何故か合流しようとした時には死んでいる事。 これも謎でしたが、桃ちゃんの記憶にある最期の言葉と合わせ全ては翠さんが犯人だったという事で納得しました。 ◇浦霧君 自動的に発動してしまう能力であり、気づく事のできるきっかけもない以上それを知らないが故に起きた悲しい事件というべきか。 浦霧君がそれまで他人に受け入れられる事を当然と思い、誰であれ友達になりたいと純粋な気持ちを持っていたからこそ起きたのがまた残酷ですね。 初めて本気で他人に拒絶された事が悲しくて怖かった。 これそのものは人の持つ感情として何もおかしくはないのに、不幸だったのは浦霧君はその感情を人に感染させてしまう事。 周囲に自身の感情が感染する事で起きる光景に恐怖し、またさらに強い恐怖が感染しては途切れない悪循環が続いてしまう。 もしクラスの担任の先生が浦霧君が泣き止むまで対処していなければどうなっていたのか…。 この件が原因で自治領トウカイへ移住を決定する、ここまでは仕方のない事としてまだ済むと思いました。 しかし、あのクラスメイトがエレベーターを待つ間にやってきた事で引き金が引かれてしまう。 先に言うと、これは誰が悪いという話ではないのが難しいです。 クラスメイトにとっては自分の母親が浦霧君を落ち着かせようとした結果、植物状態になってしまった。 だけど浦霧君は意図的に感情を感染させているのではなく自動的に能力は発動している。 何よりも、人間である以上何かしらの感情を持たないでいるというのは無理な話です。 それがまだ精神的にも未熟な子供となれば…。 「あんたなんか死んじゃえばいいんだ!」 クラスメイトとしてはそう思うのは仕方なく。 浦霧君が素直に自分のせいでそうなった以上、この言葉を受け入れてしまったのも仕方なく。 でも、その結果何が起きるかと言えば…その感情が周囲に感染した結果浦霧君以外の人間が自殺してしまったという最悪の事態であり…。 両親をその際に亡くしてしまった結果、浦霧君はお姉さんと暮らす事に。 先に能力者としてトウカイに住んでいたお姉さんと一緒に暮らしながら、大きくなった浦霧君はお姉さんの活動に協力したいと思うようになった。 ある意味、この姉弟はどちらも根っこが善性というのか…。 本編における計画を実行する程の記憶を忘れた浦霧君がひたすらお人好しだったように、お姉さんも自分が辛い目に遭いながらそれでも能力者と非能力者が仲良く暮らせる世界を実現できると信じていた。 能力のせいで、必要以上に人に傷つけられ命の危険すらあったはずなのにこれを目指せるお姉さんもかなりだなぁと。 そしてようやくその夢の一歩が叶うという段階で暗殺をされてしまうお姉さん。 その結果、結ばれるはずだった協定も白紙に戻され彼女のしてきた活動はだんだん偏見報道により事実が捻じ曲げられていく。 もうそれだけでもあまりに辛すぎるのに一番致命傷だったのは… 倒れた虚に駆け寄ったのは僕とその仲間たちだけで ほとんどの人が虚から流れ出る虚紅玉に目を奪われていたこと。 僕たちが虚の応急手当をしようとしている時に 虚紅玉を拾い集めていた人たちが大勢いた事。 前半は、お姉さんの能力を噂で知っていたとしてもいざ実際に目にしてみれば…でギリギリ理解はできなくもない。 でも、人命の危機に宝石を拾い集めようとしている人がいたとしたらそれはどんなにおぞましい事か。 浦霧君が何故こんな破滅的な計画を行おうとしたのか、理由としては充分すぎました。 人の嘘や醜さを常に浴びていた桃ちゃんもかなり辛い状態とは思いましたが、自分の大事な人をこんな形で失っていたのならもはや『うん、滅ぼしていいと思うよ』と諦めて頷きたくなる位には醜悪でしょう。 ◇三鈴ちゃん 本編中の彼女からは想像できない独白が印象的でした。 自分という物が希薄でも、どうすればいいかは理解ができるので面倒がないように生きてきた。 しかし、後輩が勝手に応募したオーディションに出た結果わざと演技では手を抜いたのに合格してしまう事に。 社長には全てがお見通しで、三鈴ちゃんが女優として最適な能力を持っていると理解していた上で合格を出した事。 三鈴ちゃんは頼まれれば断り切れず引き受けてくれるだろうという事も計算をした完璧な計算でした。 実際に三鈴ちゃんは女優として有名になり、事務所も大きくなっていった。 社長としては三鈴ちゃんを見つけた際に、自分の夢が大きく前進すると確信をしておりどうしても契約をしたかった事。 だけど、三鈴ちゃんはそんな事を望んでおらず…それを承知の上で騙し討ちをするような形になったという事を打ち明ける場面は印象的です。 それに対し、三鈴ちゃんは気にしてないと言うし嫌な思いもしていないと返す。 だけど、楽しいとも思っていないだろうと指摘をされれば返す言葉はなかった。 社長は、そんな三鈴ちゃんにとっていつか楽しいとか好きと思える事を出会えるように願い。 三鈴さんは私の物!と言うとても懐いている後輩もいる。 何だかんだで、人に恵まれているなぁと思えば本編に繋がるよう二人は突然失踪し三鈴も誘拐をされゲームの流れへ。 ここからは最終章でも語られていた事を再認識する事に。 セーブポイントが目覚めた部屋だったのは残念でも、やり直しができる事は本来アドバンテージだったとこの時は思っていた事。 最初は誰も紫田さんを殺さずに全滅をしたので、流れを変えようとしたら何故か違う展開を迎えてしまい…。 何度繰り返しても失敗を繰り返すだけ。 やはりというべきか、心はすり減っていき…巻き戻しをすれば死ぬ事はなくとも脱出もできない、それをひたすら繰り返すだけ。 解決法が見えているならまだしも、何も希望がないのなら嫌気がさすのも自殺をしたくなるのも当然でしょう。 だけど、それを止めたのが浦霧君だった。 その時のやり取りが、何とも彼らしいというのか。 三鈴ちゃんが否定的な事を言えば自分がその考えを変えてみせると必死に訴えかける。 どこにもそれができるなんて保証はなく、本当にただ目の前の事へ必死なだけでしかない。 人はそれを青臭い等というのかもしれない。 けど、今まで自己が希薄であり何かに対して強い感情を持ったことがない三鈴ちゃんにしてみれば面白いと思えたのでしょう。 自分に持っていない物を持っている彼を。 たから、楽しいという気持ちを感じて人生で初めて心から笑った。 やがて浦霧君を通して、好きという気持ちを知り。 実は自分がみんなの事を好きだったのだと理解した。 誰一人死んでほしくはない、無事に脱出して欲しいと考えるようになった。 だけどやはり未来を変えるにはまだ手段が足りない。 みんなに自分の能力を、今まで見てきて知り得た情報を信じてもらえば悲惨な未来は回避できるかもしれない。 とはいえ、それだって簡単な事ではなく彼女が選んだのはあの結末だった。 ◆総括 何かを知る事で目線が変わる物が存在する。 その点でいえば、あらすじも秀逸と思いましたね。 生き残った先に見えてくるのは……悲しい世界の真実だった。 ここだけを見ると、それは第一章で操作対象である浦霧君視点での話とプレイヤーはまず思うだろう事。 しかし、実際最終的に生き残っては何度も繰り返しているのは三鈴ちゃんだった。 この物語の始まりこそ浦霧君の計画であり、プレイヤー視点でも隠されている数々の嘘にまみれたこの世界。 首謀者でありながら記憶を失っている事で参加者として自ら用意した計画に立ち向かう事になる流れ。 それを変える為に三鈴ちゃんは最後、浦霧君の記憶を取り戻す形でバトンを繋いだ。 人物としても対照的な浦霧君と三鈴ちゃん。 人間に失望し、鏡を突きつけてやろうとした浦霧君が結果的に人間を助ける事を選べた事。 感情が希薄だった三鈴ちゃんが、楽しいや好きを理解する事で全員の生還を目指した事。 彼らが互いに助け合いみんなが生存できる未来を目指すという流れは本当に美しく。 結果として、他のメンバーも何かしら問題を抱えていてもこの先はきっと何かが良い方向で変われるのだろうと信じられる。 @ネタバレ終了 推理物という性質上、犯人がわかると面白味が減るという考え方もあるのかもしれません。 しかし、この偽証討論というゲームは各キャラや伏線といった部分の作り込が素晴らしい分何度も読み返したい読み物に近い感覚で何度でも楽しめる作品と思います。 今回、感想をまとめるにあたり再度プレイをしましたがやはり良い物は良いという事を再確認したり以前は気づかなかった事を見つけたりととても楽しめました。 素敵な作品をありがとうございました。 -
偽証討論感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 あらすじを読んだ感じ、各章で犯人を見つけては最後の生き残りが確定するまで繰り返していくタイプの脱出ゲームかな? とざっくり予想をし、面白そうだなと軽い気持ちで手を出したのですが… 凡人の想像をはるかに超える予測なんてできる訳がなかった超展開、情報が増え全ての線が繋がっていく美しさに各キャラクターのバックボーン。 異能という特殊な力を持つ人がいる世界観における設定の作り込の細かさ等と、大ボリュームなのに続きが気になって手を止めたくないと思わせる力が凄まじい作品です。 登場人物の中では黒木さんが一番好きです。と前置きをしつつ @ネタバレ開始 目を覚ませばそこは知らない部屋。 直前までの記憶を思い出してみればどうやら突然誘拐されてここまで連れ込まれたという定番の流れ。 殺意しかないケースの場合、まずスタート時点の部屋から出るにもトラップ解除が必須になるので手足等が拘束されていないのはひとまず安心というべきか。 やけに思いドアノブを動かし先の部屋に進めば真っ暗な空間、しかもさっきまでの部屋には戻れないというおまけ付。 他にも部屋に人がいる事がわかり返事を返してみればこの状況を「ドッキリ」だと思っている能天気な反応が。 言葉遣いも合わせて若い女の子かな?と予想をしつつ。 他の人の声も聞こえてくる事からどうやら同じ部屋に複数人いる事は判明、とはいえ暗闇の中で知らない人といるのは危険しかないですよね…。 誰かが電気をスイッチを見つけたようでやっと明るくなったと思えばいきなり死体を発見。 同時に、現在部屋にいる人を確認すれば次に聞こえてくるのは奥のモニターから聞こえてくる声? どうやら画面に映る虹葉という女性の言う通りにしないといけない状況を把握しつつ、犯人を当てる要素があるのは事前情報として承知していましたがちゃんとした根拠も含めて証明しろという条件付き。 能力という言葉に首を傾げながらもルール説明が終わったのか一方的に通信は切られてしまった。 読み進めてみると、どうやらこの世界では50年程前から超能力者が日本のあちこちで生まれるようになったという事。 最初は歓迎された能力者達もやはり人間だからというべきか、問題が起き現在は自治領トウカイという場所から出ないで暮らす事を条件に情勢は落ち着いている事。 そして、能力者にとって自身の持つ能力を明かす事は本来抵抗のある行為である事。 当たり前のように三鈴ちゃんが自身の能力を明かしたのも、本来ならあまりやりたくない行動なのでしょうね。 テンション高めなギャル系と思った桃ちゃんが自分の発言が滑ったと把握した際に大人しくなる温度差が好きです。 どうやら流れとしては各自の持っている能力を含め自己紹介をしていくのだと把握。 その流れで主人公の名前の読みが判明しましたが、漢字表記の時点であれ?とは思いましたけども 主人公なのに『ウラギリ』君なの…?というこれは新手のギャグなのかと思わずツッコミを入れました。 感情の色を見る事ができる三鈴ちゃん。 動物と会話ができる桃ちゃん。 聴力が優れている翠さん。 分析力という今回重要だろう能力を持つ赤音ちゃん。 空気中の水分を凍らせる黒木さん。 殺人事件の調査という点では、実質鑑識の役ができる赤音ちゃんと簡単な嘘探知機ができる三鈴ちゃんがこの中では有効な能力でしょうか。 そして浦霧君は何だろうと思いきやまさかの能力なし? 先程の説明に黒木さんの発言から非能力者が混ざっているのは不自然と思えるも、一応全くないという訳でもないようで。 とはいえ、何かしら使えそうな能力がないのはこの状況で痛いよなぁ…と調査がスタート。 注射器は赤音ちゃんの能力から視て麻酔薬が入っていた事。 死体を調べてみれば手帳から黒木さんと関連がある事。 倉庫で見つけた書類のリストに並べられた桃ちゃんの名前。 ある意味で至れり尽くせりというべきか、倉庫に犯行で使用できる物が調達できる状態というのが絶対殺人事件を発生させた上でこのゲームを行うという運営側の意図が見え見えで少々頭が痛いですね…。 そして桃ちゃんに話しかけると業務日誌を入手。 やはりここは元々危険しかない施設のようで、やたら倉庫に殺意の高い物があるのも以前からその為だったと把握。 (ついでに桃ちゃんへ、30半ばはまだおっさんじゃないぞと心の中でツッコミを入れつつ) 翠さんにも話を聞くと、どうやら部屋が明るくなるまでの流れを把握していたもよう。 全員の部屋の鍵が一斉に解除されてからそれぞれが外に出るまでのタイムラグはあっても、さすがに暗闇の中で犯行を行うのは無理があるのではないか? とりあえず、翠さんが聞いた音に関する時系列のメモをもらえたのでこれは後で重要な証拠になりそう。 一応、モニターを調べれば虹葉さんに話しかける事は可能とあったので試してみればなかなか辛辣な…。 彼女に目的を聞いてみれば、完全に人間に試練を与える神のような発想の回答が返ってきた事にそれは確かに物語として面白いけど、当事者には果てしなく迷惑なんだよなぁ!? という…こんな状況でなければある意味気は合うのかもしれない疑惑を感じ。 情報も大体集まってのでいよいよ推理…と会話が始まれば途中で突如挟まる桃ちゃんの一枚絵。 え、何か重要な意味がありそうだけどなんだ…!? 情報共有をしていけば今回の被害者である紫田さんはロクデナシな人と判明。 同時に、黒木さんがこのトウカイにおける警察の仕事をしているという情報もゲット。 どうやら今回拉致されたメンバーは何かしら被害者と面識がある人が多そうな雰囲気。 黒木さんが明らかに嘘をついていたので追求すれば、動機があったので隠したかったと白状。 「ああ。大事だね。金は大事だ。金で買えないものはそれほどないし 何より大事なものなのにかけがえのない物ではないっていうのか最高だ」 この発言に対し達観しているというか、と浦霧君は反応し私も大筋は同意でした。 でも、後から後半にある部分の意味合いを理解した時に叫びたくなってしまったというべきか…。 主人公側では知らない情報として、実は各自が最初にいた部屋で被害者を殺すように言われていた事が判明。 順番は不明ですが、それって全員何かしら動機があるから集められたのは間違いなく…。 推理を進めていけばだんだん真相へ近づいていき、所々で三鈴ちゃんがアシスタントをしてくれるのもあってスムーズに進行していきました。 やっと気になっていた何かが擦れた跡が死亡推定時刻と犯人を誤魔化す為のトリックであり、それを仕掛けたのが赤音ちゃんと判明までした所で大問題が。 紫田さんを殺す為の仕掛けをしたのは赤音ちゃんだけど、実行犯は自分の部屋のノブに細工をされた人になってしまう…!? しかも、全員自分の出てきた部屋がわからない状況だから犯人が誰なのか絞る事すら困難というもはや確率ゲー状態。 何より厄介なのは、これを仕掛けた赤音ちゃんは自分の部屋以外にセットしたのでそれ以外という事しかわからない。 虹葉さんに確認を取り、この場合で言えば犯人として指名するのはセットをした人でなく該当する部屋の扉を開いた人という判定になるのも把握。 知らないうちに殺人をしていたなんて嫌すぎる…どころか、ちょっと待てよ?という嫌な予感が。 「ガキが面倒なことやりやがって」 「そんな言い方しなくても」 翠さんの大人気ないと言いたげな発言は子供を持つ立場としてわからないでもないです。 でもまぁ、黒木さんの発言もほんとそれなぁ…というか後に続く言葉を聞けば確かにそのせいでみんなが窮地にたたされているのはご尤も。 「ガキの考え無しな行動のせいでな。 だから、ガキは嫌いなんだ」 物語としてはこの先も、ちょいちょい黒木さんはこれだからガキは…という発言をしていきます。 この時点ではまぁ状況も状況だし、子供が嫌いな人も珍しくはない程度に捉えていました。 けど、ほんっとうに全てを知った後になれば……。 このトリックでは、仕掛けた赤音ちゃんは確かに犯人ではないけど同時に犯人を当てなければ生存できない点で実は何も有利ではないという指摘にそう言えばと思い。 当人の言い分としては、理不尽な世界に反抗したくなったという思春期の子供のような動機のようで。 まぁでも赤音ちゃん、家庭事情も何となく複雑そうだし小6ならそういうお年頃なのかなぁ…。 でも、よりによってこんな時に巻き込んで欲しくなかったというのも本音だなぁと心中複雑に。 犯人を指摘する際、どう考えてもドアノブがやけに重たかったのはそういう事だよね? と、選べばやはり仕掛けがされたのは主人公の部屋が正解だという詰みといえる事実が判明。 名乗り出るか、名乗り出ないか、ここで選択肢を迫るのか…と思いつつ勇気が出ない為初見は後者を選びました。 黒木さんの提案で多数決という形になり、結果として提案をした黒木さんが犯人という事に。 誰が選ばれても同じことだと言いながら、自ら投票ボタンを押すも結果は不正解。 …これ、やっぱり名乗り出ないと駄目か。 仕方ないと名乗り出ようとすれば三鈴ちゃんからストップがかかる。 赤音ちゃんの感情の色がおかしい?嘘をついている? もし嘘があるとすれば…これか?と注射器を選択。 誰かしらが犯行を行える段階ですでに被害者は意識を失っていたとなれば、確かに注射器の中身が眠らせるための用途な薬というのはおかしい! そして、何故そんな嘘が必要だったかを紐解いてしまえばロープの仕掛けこそが犯行方法と決めつけた場合に赤音ちゃんに対し何かしら有利になる状況が存在するから。 注射器の、本当に入っていた中身は毒。 だけどそれを証明する手段が存在しないなら、ここで浦霧君が取った行動ははたからみれば正気を疑う自己犠牲でしょう。 でも、彼は赤音ちゃんを信じていたからこそ残った中身を自分に注射する事で証明しようとした。 結果的に赤音ちゃんが止めに入った事で中身が毒物であると判明。 初見では全て正解を選べませんでしたが、説得における選択肢をとっさに選ぶのはなかなか難しかったです。 毒物の特徴から全ての証拠も揃い、いよいよ犯人を入力する段階へ。 結果としては正解であり、赤音ちゃん以外は先に進めるようになりはしたものの…。 浦霧君の気持ちは痛い程わかるし、可能であれば私だってそうしたい。 結果的に赤音ちゃんは殺人をしたとはいえ誰かがしなければ駄目だった以上、こんなのは強要されたようなものでしかない。 生還した後に罪は償えばいいというのだってその通りだし、もし方法があれば脱出させたい。 けど、アンクルが作動している時点で赤音ちゃんが部屋から出れば最低でも足首は爆破されてしまう。 大した治療道具も、病院に駆け込める状況でもない今それでも強行すれば結果的には激痛の末に失血死をするのは回避ができないでしょう。 「みんなで考えればきっと方法はある!」 そう発言する気持ちも、そうしたい気持ちも痛い程にわかる。 とはいえ、毒ガスが出てきた事によりもう相談するにも時間がない。 赤音ちゃん自身も、人を殺した自分は帰る事はできないという旨の主張をしている。 同じく部屋に残った黒木さんが浦霧君が先に進まない限り隣の部屋にもガスが入る事で他の生き残れるはずの人達にも危険がおよぶ事を指摘。 赤音ちゃん自身がもう生き残るつもりがないというのもその通りで、だからこそ諦めるにはこれしかなかった。 「悪く思うなよ」 と呟き、能力によって赤音ちゃんの全身を氷で閉じ込める黒木さん。 こうなればもう助ける事もできない。 そして、結果的にこれは赤音ちゃんとしても望んだ結果だからこそ呟かれた「ありがとう」という言葉。 ルールとして説明はされていたとはいえ、実際に誰かが犠牲になるというのは辛いものですね…。 感情としては浦霧君の気持ちが痛い程わかり。 理性としては黒木さんの判断がより犠牲を出さずに済む内容なのも理解できるからこそ。 次の部屋に進んだと思えばこっちの部屋でもまた死体!? 一体今度はどうしろと…と思えば、今度は推理ゲームでなく脱出ゲームパートという内容へ。 扉の数から、3ヶ所にルートが分かれているのもあり分かれて探索をする流れに。 確かに説明された内容としても理解はできますが…正直、この状況で別行動って死亡フラグではないか?という不安が先行しなくもない。 とはいえ、狭い通路で固まって行動した結果一網打尽より生存率は上がるのでメリットとして何を重視するか?の話でしょう。 二人一組に分かれ、人数の関係からこの中で唯一戦闘できる能力を持つ黒木さんのみ単独行動。 どの扉にするかは各自の希望から決定。 果たしてこの先には何が待っているのか…。 廊下を見ただけでも先程までの大きな特徴がない一般的な場と違い、一気にSF物に出てきそうな近代的な雰囲気に。 医務室には何やら怪しげな色の液体が入った入れ物がたくさん並んでいたり薬を生成する機械を発見。 今は触らないけど覚えておこう、という事は後々重要な場所になる可能性もあるのだろうか…? 食堂らしき部屋では栄養面は完璧だろうとしても見た目からおいしくなさそうというか、デストピアで支給されそうな食事を連想させる物も発見。 一口食べてみようか?で何の疑いもなく口にしてしまう三鈴ちゃんにびっくりしました。 「ここは本当に施設の人が食べていたものだから。大丈夫」 …ここが食堂だと即言い当てた事もだけど、何で三鈴ちゃんにそんな事がわかるんだ? ちょっと怪しい部分はあれど、現状ではこれ以上の情報はなさそう。 そして他にも食堂内を調べれば何かの爪痕もあり。 痕から推定するに熊ぐらいの大きさがあるというのも、今後その動物なり怪物なりと戦闘になる可能性があるという前触れかと思えば嫌な予感しかしません。 と、思っていたらロックされていた扉の先に明らかに怪しい物が!? 大きなカプセルの中に入っている、怪物?の姿。 部屋に入ってすぐの時は全体が見えなかったので見逃していましたが、画面の左の方には中央以上に明らかに人の形をしていないものまで入ってるときた。 奥の部屋でPCを調べれば、カプセルの中にいたのは人体実験をされたなれの果てという最悪な事実が判明。 爪痕の時点で何かしらがこの施設を徘徊している危険は想定できましたが、ガラスの割れたカプセルの存在は完全にそういう事だよなぁとやはり危険が隣り合わせなのを再確認し。 廊下に戻れば別の扉を選んだはずの翠さんの姿が? さらに今度は桃ちゃんがこちらにぶつかってくるという予想外の展開。 桃ちゃんから事情を聞けば本来進んだ先でどうやら怪物、なれの果てと遭遇したようで…。 人の形はしているけど、体が溶けたみたいになっていて歩くたびにびちゃびちゃと音を立てていた…? しかも手を変形させて攻撃までしてきたという辺り完全に敵対生物なのは確定。 やっぱりあの何かが脱走しましたと言わんばかりのカプセルはそういう事だよねぇ…と頭を抱えました。 でも、これでどうして翠さんが単独行動をして姿を見かける事になったのかも説明はつきました。 急いで追いかけないとマズイという桃ちゃんの意見には同意だったので、追いかけようと思いきや… 「待って!そっちは駄目!」 桃ちゃんが矢に刺された!? そういえば脱出パートが始まる際に罠の存在は説明されていたけど、でも何で三鈴ちゃんはまたそっちに罠があるのを知っていたかのような発言をできたんだ? 急いで応急処置をし、今度は解毒剤が必要という事で先程の薬を作る機械の出番がここか!と医務室へ。 しかし、初見の際は機械の操作を間違えたので一旦リセットをしようとした結果エラーを起こし薬が作れないという展開へ…。 自分のミスを呪いながら桃ちゃんが脱落してしまいました。 これ以上犠牲を出す訳にはいかない(※桃ちゃんは自分の責任)という事でショックはあれど翠さんだけでもと先へ。 制御室にあるモニターから施設の各地を見れば集合場所になっている部屋に明らかにやばいものが映りこみ…。 反対側にあった部屋のロックを解除してそちらを調べれば犠牲者を発見。 どうやらあの自殺をした管理者以外にも何かしらのトラブルでやられた施設側の人間もいるようだ。 というか、遺書であろうメモにさらっととんでもない事が…と思えば抱えていたケースの中に爆弾が!? 床に爆弾についてのメモがあり、どうやらこの犠牲者が薬の機械のメモで名指しをされていたサイトウという人物と把握。 こんな研究をしている時点で大体みんなロクデナシ…とは思っていましたが、わざわざ付箋を用意してもらったりまだ若いのだから研究より自分の命を優先しろと心配されたり仲間への情はあったのだなぁと思うと複雑な気持ちもあります。 しかし、感傷に浸る暇もなく爆弾解除へ。 途中選択肢を間違えるも間違えてもセーフな部分だったようで最後のコードの部分まで進みました。 しかし、そのコードについては配線を外すとしかマニュアルになく目の前にあるのは二色のコードという状況。 間違えると即座に爆発という事でここだけは間違えられない、こういう時は直感を信じるのみ!と全て外し正解しました。 いよいよ残るは一番奥の扉。 誰かが倒れている?と駆けよればすでに亡くなっている翠さんの姿が…。 結局助ける事ができなかった無念はあれど、状況的に彼女を襲ったなれの果てが近くにいる可能性も高く。 一度黒木さんと合流し、情報共有をした結果どうやら正解のルートは黒木さんが進んだ先だったと判明。 正直、いくら戦闘能力があるとはいえ単独行動の時点で一番危険だった以上ちゃんと生きて会えたのにほっとしたというのも本音です。 それにモニターから集合場所であるこの部屋になれの果てがいたのは見ていたので偶然鉢合わせをしなくて良かったとも。 闘技場のような場所に出た所で奥から水音を立てながらやってくるなれの果てと遭遇。 硫酸を飛ばしてくるという当たったら無事で済まないおまけ付というのに、先に進むにも逃げるにも無視ができないのが痛すぎる。 やった!はやってないフラグだよ浦霧君!! 唯一の戦闘要員である黒木さんがなれの果てと戦う展開になるも、体が液体のようになっているせいか氷の槍に貫かれても平然としている!? 斬撃を入れようにも通用はせず、かといって氷の中に閉じ込めようとしても高速移動で回避されてしまうという不利な展開。 相手にダメージが入らないのに黒木さんは少しずつ被弾をしていく一方…。 何かこちらにできる事はないのかと思えば 「……寒い」 三鈴ちゃんの言葉で、いつの間にか空間の温度が下がっていた事。 そして、硫酸の凍る温度になったのかなれの果ての体に変化が! 「全身が凍ったら、割ることもできるだろ」 氷の剣の一撃でなれの果ては砕け散り戦いは終わりを迎えた。 とはいえ、あれだけの戦闘をした以上黒木さん側も無事ではなくただれた傷口を凍らせる事で応急処置をするしかできない状態。 頼むから医務室戻ろうよー!? でも、当の黒木さんが先を急ごうとするので仕方なく階段の先へ。 その先にあった一室を調べれば…何でお前が死んでるんだ!?と衝撃しかない虹葉さんの死体を発見する展開に。 死体を調べてみれば傷口やその周囲にある痕跡から先程遭遇したなれの果てに襲われたように見え。 しかし違和感というか、虹葉さんの能力は未来予知でありそれが本当なら対策はできたはずではないか? 予測はできても回避はできない能力?それとも実は偽装死体? どのみち、この先に出口へ繋がる場所はないという事で一旦今まで調べた所に隠し通路等がないか調べ直しに。 黒幕が何故か死んでいる時点で出口は機能しているのか?もし出られても謎しか残らないのは気がかりな所。 そして想定しておくべきだった最悪の想定との遭遇。 再び聞こえてくる水音、音源へ目を向ければ先程とは別のなれの果てが…! 浦霧君の言う通り、確かに先程倒したのは硫酸で攻撃はしてきても鋭利な物で突き刺すタイプの攻撃方法ではなかった。 水音という共通点で勝手に勘違いをしていただけで、実はまだなれの果ては存在していた事実を見落としていた。 まだなれの果てに気づいていない三鈴ちゃんを攻撃しようとなれの果ての指が鋭利な形へと変形し、とっさに三鈴ちゃんを庇うべく間に体を飛び込ませる浦霧君。 「やれやれ。これだからガキは嫌いなんだ」 「ガキはすぐに自分の命を投げ出しやがる」 黒木さんの声が聞こえたかと思えば、浦霧君は黒木さんに突き飛ばされ代わりに黒木さんの心臓が貫かれてしまい……。 時間稼ぎをしてくれると、自身となれの果てを氷漬けにしてくれた黒木さん。 前々から薄々感じはいましたが、この人のいうガキは嫌いという発言は単に子供嫌いという意味じゃなかったんだ。 二人だけになり逃走しようとするも、三鈴ちゃんから気になる発言が。 まるで、以前にも同じ事があったような…また、みんな助からない? だけど今は気にしてる場合じゃないとようやく出口を見つけるも、なれの果てに追いつかれ…最後に見えたこれは一体? バッドエンドかと思えば、ここでまさかの主人公交代? 今度は三鈴ちゃん視点で今までの物語を見る流れなのかな? と、ここでモニターを通して虹葉さんが登場。 最初の推理ゲームパートで聞いた通り、どうやら部屋の外にいる紫田さんを殺すかどうかゲームの説明を受けていた様子。 でも大きな違いとして、三鈴ちゃん視点では社長や後輩が人質になっておりもし自分が敗北すれば二人の命もないという事。 それに浦霧君の時は身に覚えのない壁に用意されたルールについて書かれた紙の存在。 そういえばここで正規ルート以外の選択肢を選んだらどうなるのだろう? 部屋にとどまった結果、浦霧君の際と同じく首吊り状態の紫田さんを発見してゲームオーバーへ。 全てを知った上でなら納得はしますが、ただの視点チェンジとしか思っていないとこれが本筋なのに何故ゲームオーバーなのか?と疑問を持ちそうですね。 扉を開けた際も、あの時と同じ部屋なのはわかりましたが前回ではなかった大きな白い机と椅子が。 さらに一番の違いとして、紫田さんが生きている!? 君が最初か、という言葉から三鈴ちゃんに声をかけられた順番はわからずとも部屋から出たのは最初である事が判明。 浦霧君視点の際にも出てきた後輩に関する話がここで繋がってくるとは…。 そして、殺されて当然というかこれは全方位に恨みを買っている人物なのは違いないと紫田さんについては納得しかありませんでした。 結果的には時間稼ぎをされ、紅茶を飲んだ所で持ち時間が終了。 初期位置の部屋に戻ってから、三鈴ちゃんの考える疑問に同意しつつ再びロックが解除される音が。 どうやら今回は誰も殺人を選ばなかったという別展開?もしかして別の世界線? 何が起きているかわからないですが、三鈴ちゃんの発言を見るに本来初対面のはずの浦霧君の名前を知っている? これだけなら行間というか、実は名前を聞く件をプレイヤー視点で見せられていないだけかと思えば黒木さんの名前も知っている? そして、その後に黒木さんが自己紹介をしている時点でやはり自己紹介をしていない、面識はないと考える方が前提としては正しそうで…。 調査パートが始まり、浦霧君に話しかけてみればやはり初対面なのかを疑われる流れに。 それに対する三鈴ちゃんの返しは弟に似ているという以前とは違う内容へ変化。 他にも以前とは違い、紫田さんから虹葉さんが自由解放党の人間ではないという情報も聞き前提が噛み合わない事が増えていく。 以前は気づきませんでしたが、もしかして日誌にあった社長というのは紫田さんの事だった? そして、リストに名前があった以上何かしら関係はあると思っていた桃ちゃんが実は以前この施設に誘拐されていた事が判明。 倉庫に置いてある物も増えており、机の上に置かれた文房具や金庫と前回では存在してないはずの物が。 今回は誰も犯行を行っていないのでロープも使用した痕跡がなく、やはり同じ部屋や似たアイテムはあってもどこかがズレた世界という感覚がします。 以前は疑惑どまりだった紫田さんが能力者かに対する情報も今回は翠さんの証言で確定。 さらに黒木さんもまず間違いないとした上で、ある程度能力の内容について目星をつけられる情報を提供してくれるという展開の違いも。 決定的な証拠がないという部分は共通でも、今回ははっきり言うんだな?と思いましたが 『空気か酸素を操れる能力』 というその気になれば簡単に人を殺せる相手が生存しているからというのが分岐点だったのかと今ならわかりました。 調べられる箇所を全て調査した所で突然の消灯時間通知。 浦霧君視点の時と展開が違うのもあって、全く先が予想できないですね。 翌朝?翠さんが朝食の用意をしていたようなのでお手伝いをし貴重な食事タイムへ。 その中の会話から、今現在もこの部屋の中は監視カメラによって様子を見られている上にそれがどこかへ中継されているという疑惑が。 黒木さんの言う通り、確かによくあるデスゲームを見る事を娯楽にする趣味の悪い金持ちスポンサーとかはいてもおかしくないでしょう。 ひとまず凶器になる物を金庫にしまう事で誰にも殺人を行えないよう対策を取り。 この部屋から脱出する為のパスを知る為紫田さん相手に討論をしたまでは良かったのですが… かつて桃ちゃんと仲良くなり、一緒に逃がしてもらった子が黒木さんの妹だった? リストアップをしてまで探していた特定の能力を使える人。 話の内容からそれは治癒能力であり、数も少ないからこそ利用価値もあった。 …と、ここまでは理解できたのですが桃ちゃんもリストに名前があったはず。 だけど桃ちゃんの能力は動物との会話という、わざわざリストアップしてまで探す能力かといえば違う気がして何かが噛み合わない。 とりあえず、パスはわかったのでいざ入力をしてみれば扉が解除されるどころか停電発生!? そして暗闇の中で何かが起こり、結局紫田さんは殺される結果へ…。 今回は何も起きないと信じたかったけど、やはり事件は起きてしまうのか…。 推理を進めていけばさらに前提がひっくり返るような新事実が。 翠さんが自分の能力を偽っていた?本当は変身能力だったと? そして犯人の指定を三鈴ちゃんが、実際に入力をする責任は黒木さんが果たしてくれるという展開へ。 ここは素直に翠さんを選択するので正しいだろうと思えばさらに想定外の発言が飛び出すという想定外から想定外が続く流れに。 「でも、三鈴っち嘘ついてるっすよね?」 章が切り替わりとうとう最終章へ。 翠さんの時点で他にもいる可能性はあっただろうし、桃ちゃんがリストに入っていた理由も全て説明がつきました。 桃ちゃんの本当の能力は噓探知機の役割を持っている。 そして、今まで人の嘘が能力により見えていたからこそあえて道化を演じてきたという発言。 …思えば、桃ちゃんは初対面の頃から今時テンションな軽いギャルっぽいノリではありました。 でも、発言が滑った時のへこみ方というか本質的には陽でなく陰キャというのか…。 それに、それが本当だったら赤音ちゃんが犯人だった際に本当はそんな事を思っていないと強く言ったのも嘘をついている事がわかっていたからこそであり。 自身の能力を明かす事はせずとも、根拠を提示できずとも本当に違うとわかっていたからこその発言だった。 そう繋がった時、全てに納得がいき。 同時に、三鈴ちゃん視点での操作だったので勝手に次の主人公と思っていただけで三鈴ちゃんは何か嘘を隠していたという背筋がぞわっとする事を突きつけられてしまう。 そしてここにきて、三鈴ちゃんから浦霧君の視点へ緩やかにかわっていき再び主人公が交代という展開へ。 三鈴ちゃんが犯人という状況、それを追求する上で赤音ちゃんが味方である場合鑑定のできる能力がどれ程強いのかを思い知る事となりました。 どんな細工をしても分析をされたらばれてしまう事。 言われてみれば前の章で三鈴ちゃんは暗闇の中で何か光を見ていた事。 その時は気にしていなかったけど、それが蓄光塗料による光だったとすれば何の矛盾もない。 この前章で重要な情報を隠しつつ、今度は三鈴ちゃんが主人公で物語が進行するだけという思い込みから最終章へ持って行く流れは惚れ惚れとしました。 まさに推理物における手法、信用できない語り手すぎる。 次に重要になるのは、三鈴ちゃんは翠さんに自分の能力を材料として紫田さんを殺害するようお願いができたという事。 紅茶に毒を入れ死亡時刻を操作する方法は判明しても、実際に使用されたカップに左利き用の物がなかったとすればどのカップに毒を入れたらいいかなんてわかるはずがない。 確率としても七分の一では賭けに出るにもあまりに不安定すぎる数字で信用はできず。 ヒントとして、今回の犯行に能力が使用されているとしても表向きは偽装をしていた以上あまり本来の能力とかけ離れた物を装うのは難しい。 浦霧君がどんどん並べていく疑問点、本来初対面のはずなのに何故三鈴ちゃんはここにいるみんなの事を知っているのか? 前章でも疑問に思っていた事が実は重要な伏線だったと回収されようとしている…。 そして、選択肢として出てきた彼女の能力候補。 信じがたいけれど、正解を知った時は選びつつもそんな事がありえるのか!?となりました。 時間を巻き戻す能力、それを使って狙った状況がくるまで何度でもやり直す事ができた。 その上で自分の能力を信用してもらう為に自分の犯行を見抜いて欲しかったという絶対に到達できない動機。 制約こそあれど、本来なら自分が生還するだけならその能力で簡単に脱出できるはずだった事。 なのに、何度繰り返しても何故かみんなの行動は変化してしまい未来は変わってしまった。 「また、みんな助からない」 思えば、確かにあの時の発言もまるで何度も繰り返し同じ結末を見てきたような言い方でした。 プレイヤーが浦霧君視点として遊んだ第一章も、三鈴ちゃんにとっては何度も繰り返したループの1つに過ぎなかった。 そして、唯一記憶を引き継ぎながら繰り返し続けた三鈴ちゃんの言葉があまりにも重たすぎました。 繰り返しの中で、みんなの事を好きになり全員が助かるルートを探そうと抗い続けていた事。 何度も繰り返し、第一章のようにまた助からないと嘆く事もありながら本当はとっくに心が折れてもおかしくない状態の中ずっと一人で戦い続けてきた真実。 80から先は覚えてない、けれど100は過ぎているだろう回数も繰り返していれば精神が崩壊したって当然なのに…。 さらに実は浦霧君が本当にウラギリ君だったというネタではなく本当だった!?という流れ。 もうこれだけ能力詐称のバーゲンセールが起きているんだから、実は浦霧君が能力を持っていても不思議はありません。 それに、その能力の内容を考えれば今カメラで撮影されている映像が何故配信されているのか?理由が繋がってしまう。 本当の動機は現在記憶を失っている浦霧君にはわからない。 だけどまさに、お前が始めた物語だろ!?という事実に変わりはない以上決着は浦霧君がつけなければ終わらない。 それに気づかせる為に、三鈴ちゃんはこの命がけの大仕掛けをした。 記憶を失っていても本質的な人間としての部分が同じであれば、本当の浦霧君はどうしようもないお人好しというか青臭いけどそこが魅力的な人である事に間違いはないでしょう。 彼が始めた事だからこそ決着をつけてもらわなければならない。 それと同時に、もし記憶を取り戻したとしても本来行うはずだった計画を中止する事ができる人であると信じる事が大前提にある。 自分の命を対価に、何度も繰り返した世界からみんなを助ける為の方法として三鈴ちゃんはその事を信じて託したんだと。 浦霧君は無事記憶を取り戻すも、三鈴ちゃんはルール通り命を落としてしまいこれで本当に後戻りはできなくなってしまった。 二度と時間を巻き戻す事はできない以上、これが本当の最終決戦ですね。 決着の方法は電気椅子に座った上でそれぞれが勝利条件を目指す事。 敗者は当然、座っているのが電気椅子という事で感電死するという文字通り最期のゲーム。 浦霧君が敗北した時点で恐らく感情の感染に耐え切れず全滅するのは待ったなしでしょうが、もし駄目だったとしても黒木さんが次の挑戦者になると言ってくれるのは心強さを感じました。 お前だけの責任なんて言わせられるわけ無いだろうとは言ってましたが、だからこそ連帯責任としていざとなれば勝負をするつもりだという事が。 今まで散々これだからガキは…と言いながらも、子供の癇癪ぐらい受け止めてやるのが大人である事。 だから、気にせず好きにやるように浦霧君を後押ししてくれる事。 また後記させていただきますが、黒木さんのこういうところが本当に大好きです。 いざ討論が始まり改めての自己紹介が終わったところで、今度は仲間達に対しての精神攻撃とも言える言葉をかける虹葉さん。 ここでそれぞれが自分にとって痛い所を的確に突いていくもみんなは負けない。 ちゃんと自分の言葉で、自分の意思で立ち向かっていくのは最高の演出です。 そして虹葉さんが持っている、後に明かされた記憶を操作できる能力。 誰も殺人をせず計画が失敗する事を未来予知で知った虹葉さんは自分から動くしかなかった。 三鈴ちゃんは何故か未来が変わる事や自分視点ではそれが事実だった為見落としていたけれど、本来なら彼女の言う通り他の人は記憶を持ちこせない以上三鈴ちゃんの行動でしか未来は変わるはずがない。 その操作ができるのは、その情報を知った上で干渉ができる人物に限定されそれは未来予知の能力により三鈴ちゃんの能力を知っていた虹葉さんにしかできなかった。 そう考えれば、何故第一章の時に虹葉さんが死んでいたのか。 結末としては三鈴ちゃんのみ生存した以上彼女があの後再びループを選ぶ事は確定だったでしょう。 だから死んでも問題がなかったので予定調和と言わんばかりの顔もしていた。 やがて明かされるこの世界の秩序を保つ為に重要だった秘密、能力者は高所恐怖症でありトウカイから出る事が物理的にできないから今まで安全が確保されていた事。 言われてみれば確かに何故トウカイがそんな高所にあるのか必要性という点を考えれば不思議でした。 能力者当人でもほとんどの人がその事実すら認識していない事も、気づけないようになっていた仕組みも含めちゃんとした理由は存在していた。 なのに、実はそれすらも記憶操作によるものであり解除されてしまえば能力者は外の世界に出る事が可能になってしまう…。 思わず、やめろ!!と言いたくなる事を教えた上で記憶操作を解除する虹葉さん。 もう何をしても詰みの状態じゃないかと、何を選べば正解なのか頭が痛いとしか言いようのない流れへ。 それでも、最後に必要だったのは三鈴ちゃんの言葉を信じる。 これが正解だったというのがストーリーとしても完璧というべきか、三鈴ちゃんの信じる浦霧君でいればいいんだという事が彼に託して亡くなった彼女への最大のアンサーでした。 個人で世界なんて救わなくていい。 浦霧君はやりたいことをやればいいし、やりたいことを一生懸命できる人である。 決心を固め、優君の安全や赤音ちゃんのお母さんとの合流をまずはする事。 そしてみんなを頼り、ここからできる事をしたいと協力を願う美しい流れ。 虹葉さんも含め、みんなを助けたいし守りたいというお人好しすぎるけどやはりそれでこそ浦霧君と言える部分も含め直前までの絶望が一転して希望へと塗り替わる爽快感。 しかし、虹葉さんは自身の信念として…滅びるべき悪として死んでしまった。 彼女が未来予知をできるなら、こうなる結末は見えていたはず。 三鈴ちゃんが何度も抗いながら繰り返しハッピーエンドを目指したように、虹葉さんもまた人間への試練として到達するべき結末へ行けるとわかれば最初から受け入れるつもりだった。 立場は違えど、結果的には人間の可能性を信じていたり愛があるというのか…本質的には虹葉さんも純粋な悪人とは違う筋が通った人だったという点で憎めない存在でした。 …むしろ、彼女も被害者の一人という方が正しいのかもしれません。 規格外とも言える能力発動の代償として、薬を必要とする程の苦痛を与えられ続けれており未来予知はできても世界に干渉することができなくなった虹葉さん。 いくら見る事ができても自分の行動で結果を変える事ができなくなってしまい、見ている事しかできないというのがどれ程苦痛な事か。 自ら望んだ訳でもないのに世界の傍観者になってしまった、人為的に…誰かの欲望の為に生み出された能力者である彼女の立場を思えば今回の暴挙はさすがに行き過ぎでもそれまでに与えられた結果生じた歪みとも取れます。 最初は彼女の言う、人間が試練を超える事を見るのが好きというのも理屈はわかるがやってる事が限度を超えているとしか言えませんでした。 しかし今思えば、自身の行動で結果を変えられる人間への憧れだったのか。 彼女の背景を思う程ただの善悪で割り切れない物がある事を考えさせれます。 無事にトゥルーエンドを迎えたと思いきや誰かの声が…? 見守るように読み進めればそれは…そして、それは決して我儘なんかじゃないと言えるでしょう。 結果的に浦霧君を止めて、向かうべき未来へと進めてくれたのは間違いなく三鈴ちゃんのおかげです。 先にも述べている通り、本来なら心がとっくに折れても、精神が崩壊してもおかしくない数を繰り返しながら結果を変えてくれた彼女の事を思えば。 そしてお姉さんの能力はまだ見ていない未来への干渉はできずとも、現在と過去の浦霧君を見守る事。 過去であれば、見る事ができ干渉ができる事。 これから起きるだろう事を思えば、過去を変える事で三鈴ちゃんは生還し世界に騒動が起きる事もない。 だけどそれは浦霧君の歩みや、最終的に選んだこれからの未来をなかった事にする意味でもある。 どちらが正解なのか。 それを問われたままタイトル画面へ切り替わる演出はなかなか熱い展開でした。 しかし、未来を変える場合必要になるのは過去を変えるかつ三鈴ちゃんの生還を目指す事。 お姉さんにできるのは浦霧君の意識に介入し選択を促す事。 となれば、浦霧君を操作できる時でなければ効果がない以上、第一章に分岐点が存在する? お姉さんとプレイヤーはすでにトゥルーエンドを知っている。 この章における本来の犯人は赤音ちゃんだけど、実際は虹葉さんがそう思い込ませているだけにすぎない。 まさかこういう事…?と選択をすれば正解を引き当てた!? 「……おかしいわね。このタイミングで君に分かるはずがないのに」 虹葉の未来予知では本来、このまま第一章の結末を迎える事を知っていたはず。 そして、このタイミングでという発言から彼女はやはりいつかトゥルーエンドの世界線へ到達する事も知っていた。 一見すればプレイヤーと介入しているお姉さん以外は知り得ないメタ発言でも、虹葉さんが未来予知としてすでにいつか迎える終わりまで知っていたならこの言葉も出る事に不思議はありません。 何故浦霧君が真相を言い当てたのか、そのカラクリを知るのはプレイヤーとお姉さんだけ。 変える事のできない未来を観測するしかできない虹葉さんにしてみれば、実は浦霧君も未来予知の能力を持っているように見えつつも自分の力で運命を変えたように見えたのでしょう。 俄然興味が出てきたと全員解放され、平和な後日談へ。 そこにはこれからどこかへ出かけようとする浦霧君と三鈴ちゃんの姿が。 この世界だと虹葉さんも生存していて、ちょっかいをかけているという形で何だかんだ楽しそうだなぁと。 結果的に平和に物事も進み、あの時のメンバーは定期的に連絡を取る仲になっているというのもトゥルーエンドまでに築いた絆や縁は消えないという点で安堵しました。 紫田さんはまぁ今までにやった事がやった事なので必要な犠牲だったという事で。 @ネタバレ終了 全てのエンドを回収するだけでもかなりのボリュームというか、物事には全て意味がありそれが繋がっていった時の衝撃という点では本当に感服いたしました。 あらすじにもある『嘘にまみれたこの世界で嘘を見破り真実を見極めて生き残れ』というフレーズも、そりゃ犯人を見つける討論をするのだから当然…等という誰にでもすぐ想定できるような意味ではなく。 隠され続けていた真相へ到達した際の爽快感やそこまでの道のり。 登場するキャラクターそれぞれにある背景を知り、物語への深みや説得力が増していく様。 ミステリー・推理物として謎解き要素が楽しめたのは当然なのですが、それと同時に物語を深く楽しむ事もできる。 おまけ要素として、条件を満たすと解放される登場人物の過去に関するエピソードも合わせるとさらに理解が深まり…中には読んでいる最中に涙を堪えきれなかった物もありました。 という事で、ここからはそのおまけ部分を含めた箇所についての感想となります。 (全文をそのまま投稿した場合、文字数制限上途中で切られてしまう為ここで分割いたします) -
怪奇!開けてはいけない扉卍感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 タイトルにある卍でギャグの気配を感じつつ、しかしあのこは~の部分からは正統派なホラーの気配も感じつつ。 これは実際にプレイして確かめるしかない…!とばかりに強く興味を惹かれました。 未プレイの方向けに強く伝えたいのは、ホラーとして何も間違ってないのにここまでギャグが噛み合っている作品はもはや天才の所業。 という部分ですね。 大事な部分なので先に書かせていただきました。 @ネタバレ開始 概要の時点で明記されていますが、メインキャラであるめぐちとちわちゃんのメンタルが強すぎて本来ならもっと怖い状況なホラーのはずなのに絶妙に軽減されてしまうマジックが凄まじい。 正直、色々ブレイクさせるギャグを絡ませる場合はその場面に適した表現なりを上手く使わないと所謂滑るリスクもあると思うのですがどの場面も質の高い笑いを提供されるという安定感が素晴らしいです。 やる事としてはシンプルに、制限時間以内に外にいる悪霊に対抗する手段を見つけて生還を目指す。 これだけであり操作方法もシンプルで選択肢の取りこぼしもまずない親切な仕様なのでストレスなく探索やストーリーに集中できました。 難易度は素直にノーマルを選択。 意味ありげな夢から始まり、うとうとしたと思えば次の瞬間には知らない玄関? キャラがリアクションをする際に「!?」等いった表示の演出が入ったり見ていて楽しいですね。 ドアスコープの向こうにいる何かの目、明らかに人のものとは思えない声に叩かれるドア。 床に落ちていた紙と現在時刻(00:40)を見るに制限時間の3時まであまり時間もなさそうという状況。 まずは間取りの把握と各部屋の配置がわかりやすく表示され、兄というワードも合わせなるほど…と思いきや 間取りのイラストに血痕が!? え、もしかしてこの通りあちこちに血痕があるの?そこまで正確に教えてくれたの…? いきなり血痕付で間取りを把握したらただのホラーなのに、会話を通して「気になってることがあって……」と見せる流れのおかげで二人の会話にわかるぅ~となりながらギャグになり怖さが緩和されていますね。 ブラウン管テレビについての会話を見て、確かに今は薄型テレビが主流だよなぁという部分で家電類がどこか古いのは納得。 今回は初回だし、まずは気になった所を調べながら情報を集めて行こうと各部屋で気になった箇所を調べていく方針で。 選択肢の後ろにある数字のおかげで制限時間までに後どれ位余裕があるかを把握できるのでそこだけは慎重になりつつ。 キーボードの写真に対する『脱出ゲームあるあるの~』と反応するのがメタい発言だな!?と思うも元から結構ギャグなノリだったので世界観として壊される事はなく。 しかし、さきの部屋から聞こえるピアノの音はホラーにおける定番でちわちゃんも何故か顔色が悪くどこか様子がおかしい? 当人はそれを隠そうとしているので心配だけどどうしようと悩み、めぐちが怖いからやめる方向の選択肢をチョイス。 (……やべ、俺のメンタルが強すぎるせいで信じてもらえねえ……!) 果たしてホラーゲームにおいてこんな台詞を聞く場面があろうとは…!? 結果として、説得力を持たせようとした結果小学生相手に失禁を報告しただけの、ヤバいやつになってしまうめぐちに合掌。 でも、ちわちゃんはちゃんと真意を理解しているっぽいので結果オーライという事で。 部屋のクローゼットを調べると、中に遺体こそないものの血まみれ状態な事を確認。 そしてちわちゃんもどうやら限界なようで一時撤退へ。 「千羽はメンタル激つよ小学生なので、家がちょっと血まみれなぐらいで怯んだりしないんです!」 いや、割とトータルで見ればこの家の場合ちょっとという量じゃなかったような…? というか、メンタルつよつよはわかっていたけどそれを自分で言うんかい! と思いながらも、あの部屋かつクローゼットにだけ何か違いがあったというのは重要そうな情報。 さすがにそのまま探索に戻るのは鬼だと思ったので休ませつつ、探索に戻りたいならちゃんと休むか俺より大声を出すんだなと言うめぐちがギャグ要素はあれどちゃんとお兄さんしてるってところに和みました。 そして、ちわちゃんにとって何故か駄目だった場所がめぐちの場合は玄関の血だまりと判明。 となればますます何か理由があるはずと思ったところでアイテムのビデオテープを入手。 …個人的には、ちわちゃん位の年齢だと実物を見た事すらないのか~という点におけるジェネレーションギャップがある意味下手な怖い話よりもダメージが大きかったです。 ビデオテープを再生する際の経過時間が10分というのがなかなか制限時間を考えると厳しそうとは思いましたが、間違いなく重要情報は手に入るはず。 実際、中身を確認すればどうみても今いる場所でかつてあった殺人事件を記録しているようで…。 事件再現部分は文字だけの説明でしたが、内容としては結構恐ろしい事が起きていたんだなとこの家に残る血痕と合わせ再確認する事となり。 家電類がどこか古いのも23年前と同じ状況だったとすれば当然でしたね。 ちわちゃんの推理通りなら、確かに死体がない事等からそのままタイムスリップしたというより現場を模した空間に来たという説の方が合っていそう。 解放された推理⑨からちわちゃんもまた、ここにくるまでにずっと不思議な夢を見ており内容としてもさきちゃんが体験した内容を思わせる物。 すでにおままごとは始まっていて、死んだ人の役割を与えられているから死んだ場所に対する恐怖があったのに納得したのと同時に、ちわちゃんの言う通り『殺人鬼がきて同じ死に方をする』までがセットだったら? というのが最悪すぎかつ、否定できる根拠がない想定なのが恐ろしいです。 通常の探索で起きるイベントにも純粋な脅かしポイント等はありますが、一定の時間になると発生するイベントもなかなか悪霊らしい物で。 最初は警察を装い、次はちわちゃんの両親の姿へ。 以前見た紙の言葉が正しいなら、3時になるまではこちらからドアを開かない限り向こうから入る事はできないのでしょう。 だからこちらからドアを開けたくなるような罠を仕掛けてくる。 ちわちゃんにとって開けたくなる相手を演じたのなら、当然次はめぐちにとってそう思う相手を装うのは想定可能でした。 ただ、それがめぐちにとっては想像以上に辛い物であり。 ちわちゃんがいた事で危機回避ができた事は当然として、精神的にも大きな支えになっている。 この二人の関係性がとても素敵に思います。 それと、悪霊でもやっていいことと悪いことがある!と行動した結果、説教除霊師千羽が誕生する流れは好きです。 最後の時間発生イベントでは『二度とこちらの身内を装うな』という言葉は守ってくれたのか、直球的にドアを叩いてはあけてと叫ばれ。 時間的な焦りも混じる頃合いだったのもありますが、ちわちゃんの発言で思えず「どうして?」ともなり。 確かに、最初に見たメモで開けてはいけない事を注意され何とか撃退する手段を探すという事で解決をしようと思っていたものの、本当の最適解は現時点ではわかっていないのも事実。 こういう状況でまず、ドアを開けて受け入れるという選択肢=死に直結する、というのが通常である事も踏まえると考えにくいとは思いましたが…。 子供の名前候補にあった『颯と楓』という名前。 小さく書かれていた『産んであげられなくてごめんね』という後悔の言葉。 育児書にあった、特殊な流産についての内容。 殺人事件以外にも、この家でかつてあっただろう事がぼんやり見えてきましたが初回プレイでは途中で時間切れ。 まだ探索できていない場所もあったし、情報はもっと集めたかったけど仕方ないとパートチェンジ。 からの対策を考えようと思ったところで、あれ…?結構アイテムを手に入れた気がするのにどうして対策手段が何もないの…? (※フラグが揃っていない事に気づいていない) って事で、何の用意もできませんでしたーーーーーー!! という無策で挑む事に。 どのみちここからグッドエンドは無理だと思いきや、まさかの選択肢が2つある? とりあえず、困ったらもう踊るしかない! めぐちも何かそれでいい感じにならないかなとか言ってるしやるしかねぇ!! まさかこんな状況で少女とはいえ女性相手に『シャルウィダンス?』ってお誘いする事になるなんて…とちわちゃんも巻き込んで。 心の中で今のめちゃくちゃな状況を正当化しようと現実逃避しているちわちゃん。 お前も踊るか?とホラーってなんだっけ…からの エンド10 このあと普通に殺された という表記に笑うしかありませんでした。 もう片方の扉をおさえる方も、確かにどちらへ開くかってわかってなかったというかその発想はなかったというべきか…。 とにかく、このセンスにはただただ脱帽です。 結果的に今回は駄目だったとはいえ、探索そのものはそれなりにした結果どこを調べた際に何が手に入るか等の情報は確認ができた。 となればもうこちらも本気で対応してやろうじゃないかと作りました。 今回エンドを迎えるまでに回収できた情報をメモし、後はどこを探索していないか? ⑨という事は推理を最低でも後8個は成立させないといけない以上そこへ繋がる情報源を集めれば進行するはず。 と、必死に書き出した自前の攻略チャートを。 そのおかげで次の周ではサクサク情報も集まりエンドもかなり埋める事に成功。 どうやらアイテムを手に入れてもそれを使う為に特定の推理を見ている事が必要なフラグだったとようやく理解。 そこからさらに残るエンドでまだ行けていないパターンは何か? それにはどのフラグが必要なのか?を吟味しつつ。 本来、殺人事件が起きなければお誕生日会が開かれていた事。 今まで渡せなかったかえちゃんへのプレゼントに、はやて君にしか見えていないけど家族みんな本当はかえちゃんに会いたいし姿が見たいと思っていた事。 本当の家族による行われるはずだったお誕生日会は無理でも、おままごとでもそれでかえちゃんが喜んでくれるなら受け入れる選択肢はありだった事。 ここでようやく、以前は「どうして?」となった本当の最適解についても理解し途中で席順を間違えたりしつつも最終的にはグッドエンドを回収。 同じ市内に住んでいるとは判明していたけど、まさかこんなに早くにちわちゃんと再会する事ってあるの!? という終わりには驚きましたが、結果的にこれで良かったんだな…とほっこりしました。 自前チャートのみでエンドコンプを目指したのですが、どうしても1つだけわからないエンドがありそこだけは行き方を確認。 拒絶か受け入れるか、はっきりその二択のみしかないと思っていたのでどっちつかずの対応をする事が条件というのは盲点でした。 @ネタバレ終了 純粋な作中にあるホラー描写は怖いと言えるのに、大体その直後めぐちとちわちゃんによって緩和される分個人的には怖いのが苦手な人でもそこそこやりやすいのでは? という事は思いました。 それとエンド10に繋がる選択肢…あれが出てくるゲームは名作と相場が決まっているのでその意味でもおすすめしたい作品です! 難易度も自分に合わせての選択ができますが、初見~全エンド回収までとりあえずノーマルで問題はなかったです。 初見かつ一度エンドに到達するまでに手に入る情報の塩梅としても絶妙に感じました。 今後またこの二人が出てくる作品があれば、後日談が見たいという気持ちもあり是非またプレイしたいです。 素敵な作品をありがとうございました。 -
胡蝶の教室感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 みんな大好き七不思議!という事で個人的にはホラー表現もドンとこい派なのも合わせワクワクしながら挑ませていただきました。 @ネタバレ開始 主人公の言いたい事もわかるけど彩香ちゃんの言いたい事もわかるかなぁ…と見守りながらのスタート。 掃除を終わらせ、帰宅と思えば舞台は突然夜の学校へ。 やはり七不思議が出てくる時点で夜の学校ってのはお約束ですよね! それまでにいたはずの人の気配もなしという点で単に時間が飛んだというよりは何かしらの原因で異世界へ行ったという方が正しそう? あれ、でも概要の文面では3人と言われていたような…と思えば玄関にて3人目のメンバーである凛子ちゃんと合流。 持っていたはずのスマホがないというのは普通に驚く点でもあるでしょうが、探索の際に使えるアイテムが減るという点でもなかなか手痛いなぁと見ていれば代わりにポケットの中に何か入っているようで…。 そこには7つのお願いを聞いてと書かれたメモ用紙が。 主人公達と合流する前に凛子ちゃんがざっと1階を見てくれていたようで、探索先の候補が絞れるのはありがたかったですね。 3階まで行ってみるとガラスの割れる物音が…マップを見るにそんな音がしそうなの場所は限られると理科室へ。 音の発生源を調べるようとしてみれば…人体模型とエンカウント!? 結構気さくに挨拶をされた気がしないでもないですが、とりあえず敵意はなさそうなので話を聞いてみると何やらお願いがあるもよう。 彩香ちゃんが言う通り、おそらくメモにあった7つのお願いと関連がありそうですね。 人体模型君のお悩みはどうやら恋愛についてのようで。 七不思議にも恋愛問題とかあるのか…怪異とか都市伝説のネタとしてはありそうだけど人体模型が、というのはちょっと意外な組み合わせでしたね。 それに、内容としても告白の為にどうするべきか?という結構重大な問題です。 凛子ちゃんの提案で図書室に行くのが決定。 恋愛小説なら確かにちょっとした参考書にはなるのかもしれないかも? でももし、間違えた本を選んだら即死とかあるのかな…とヒントを元に選択。 個人的には、男女の心理学の本の方が理屈から学んでアプローチをかけるという点では良さそうな気はしましたね。 (果たして七不思議に人間における男女と同じ理屈が通用するのかは不明として) 後から駄目なパターンも回収しようと流行の恋愛小説以外の本も渡してみましたがどうやら問題はないと確認。 さすがに初手のお願いから全力で殺しにはこないか…と優しさを感じました。 メモの数字も6になっているのを確認し、どうやらこの学校から脱出するにはこの方向性で良い事も判明。 ホラー×七不思議が題材だとやられる前に撃退とかひたすら逃走という場合が多いのでお願いを叶えるのがメインなのも物珍しさがあって良いですね。 しかし、七不思議も全部が全部人体模型君のように無害かといえばそうでもなく…。 図書館で見つけた呼び出し方から花子さんともエンカウント。 推定異世界な夜の学校だし非常事態だから…と思っていましたが、よく考えたら女子トイレに男子である主人公がいるのって普通に問題行動ですね。 花子さんが驚くのもむしろ当然の反応だと納得をしていればまさかの主人公は女の子と言い張る展開へ…!? 花子さんの困りごとは友達が欲しいという内容。 それに対しストレートに気味が悪いからと言っちゃう凛子ちゃんはなかなか度胸があるな?とこちらがヒヤッとする事に。 でも、花子さん自身もそこは問題視してないっぽいのでほっと胸を撫でおろし。 とりあえず見た目からどうにかしようとヘアアレンジでイメチェンをしてみればこれはなかなか可愛らしい女の子の姿に! 女性陣とおそろいというのも友達感があって素敵ですね。 …このまま平和な流れでいけるかと思えば、ここからが本番だった。 花子さんに手を引かれるまま、こっち側と呼ばれる世界へ連れていかれ。 見た感じ、景色が左右反転しているので恐らく裏側の世界みたいな概念の場所っぽく見える。 それだけならまだ良かったものの、謎の物音がすると思えば下半身がない女子生徒が現れ…これは恐らくてけてけ? 明らかに重要事項であろう、同じところに留まり続けるのはまずい気がするという警告。 ただでさえ単独行動かつ、先程とは違う世界という点で広範囲を調べないといけないのに時間制限までつくのはなかなか緊張感がありシビアでした。 一応、警告として同じ場所にずっといると這いずる音が聞こえてくるのでそこからすぐに移動をすればセーフという判断材料があるのは助かります。 元から使用はしていましたが、音が重要という意味ではイヤホンが必須ですね。 てけてけは光に弱いというヒントを得ながら何とか表の世界へ戻るも、何故か追いかけてきたてけてけに捕まってしまいエンド3へ。 夢落ち?と思わせてからのそんな事はなかったという展開でしたね…。 そして、今度はてけてけを退治できる?という事でさらに探索を進めると前回は見逃していた音楽室イベントを発見。 解決する途中に他にも用途がありそうな刃物を手に入れまずはピアノのお願いを解決。 これも初見だと理科室→図書館で見つけた呼び出し方の本から真っすぐトイレに行ってしまうだろうという点でちゃんとエンド回収面でも順番通りに行く仕組みになっていたんだなと感心しました。 退治する武器はあれど後はどのタイミングで使用するのか? 通常の時間切れエンカウント状態で捕まったら駄目でしょうし、順当に考えるなら光で気絶させてからがチャンスかと試して無事成功。 とはいえ、その際の文章が相手が七不思議とはいえなかなか容赦がないというべきか何かに憑かれているかのような状態と表現するべきか。 どうあれ、これでてけてけに捕まってのエンドは回避できただろうと病院で目を覚ますも今度はまさかの訪問者が……。 そうか、好きな相手ってそういう事だったのか…という納得と同時に、でもこれってここからどうしたらいいんだ?と首を傾げ。 言われてみれば主人公が裏から表の世界へ行けたように、あの鏡を通れば誰でも通行は可能だったという事実に思わず「あっ」となり。 てけてけが追いかけてきたのもここが原因だったのかと納得をしつつ今度の今度こそ…と思えばまたどうしてこうなったと頭を抱えるエンド1へ到達。 さすがに完全にヒントというよりもう答えを見ないとわからないとなった為、確認をしてからメモを取りようやくエンド0へ。 結果的に七不思議のお願いも、人体模型君は好きな相手であるてけてけにプレゼントを渡す事を成功し。 それはてけてけにとっても欲しい物だったという点で利害の一致で解決へ。 美術室の少年は元から主人公へ協力的でしたが、生きてる人間を巻き込みたくないとかてけてけの危険性を知っているからこそ頑張りすぎてきたというべきか。 鏡を閉じない事が条件と見た際には「てけてけが来るのに!?」とかなり驚きましたが、その後に起きた事を考えれば納得しました。 これで鏡も綺麗なままでいるという願いが叶えられ問題はここからどうなるのか。 途中までは、やはり結末は変えられないのか?とハラハラしましたがここでまさかの花子さん登場! このルートではちゃんと友達になれていたし、助けにきてくれたのか…と感謝しかない流れへ。 一度切れたミサンガは不吉かもしれないけれど、この結んだ跡が友達の証でもあり守ってもらえた事の証明と思えば解釈なんて物の捉えようでしょう。 ようやく、誰も犠牲にならない世界へ到達できた事に安堵しました。 @ネタバレ終了 プレイの感想としてはなかなか難易度が高く、ヒントがあり助かりました。 後半(番号としては若い順)のエンドになる程条件に到達するのも難しくなっていきましたが、だからこそ隠しエンドの達成感も強くなったと思います。 面白い作品をありがとうございました。 -
浅葱一子は悪喰である。感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 概要の説明にある通り、ハッピーエンドなし等の注意書きは把握し覚悟の上でプレイに挑みました。 あらすじにあるこっくりさん自体がホラーにおける駄目なフラグになる傾向も含め、ホラーは慣れてるしと途中まではどんな内容や展開が起きるか想定もしつつ…でしたが完全に予想は裏切られました。 @ネタバレ開始 開始時点ですでにこっくりさんが行われた後であり、誰かにつけられている主人公。 同じくこっくりさんをした仲間がすでに3人学校にこなくなっているという説明もあったので、完全に始まりからクライマックスの状況と言える緊張感。 からの、恐らくこの方が一子先輩であろう女生徒との出会い。 彼女のいる第一準備室付近まで来た時点でそれまであった足音もなくなっていた事や、タイトルから彼女はただものではない…少なくとも怪異と戦える能力は持った人だろうと予想はできました。 その通りというべきか、彼女には主人公が何かから逃げていた事がわかっている様子で…。 まずは彼女の手をとらない限り生存はできないだろうと確信。 ただ、マルチエンドという事で回収できるバッドは集めに行こうと思ったので初回は拒絶を。 からの…これはゲームならではのぞわっとくる演出ですね! 表示されている台詞の内容自体は普通の言葉なのに、本当に大事な事は…全く違う内容は…声という形で脳内に聞こえてくる。 不気味さを煽りながら振り返り帰ろうとするとそちらは怪異の胃袋へ向かう進行方向でした、と。 次は正規ルートに入るよう手を取って。 どうやら安全な場所にたどり着けたようだ…と思えば、見える人からは主人公の後ろにいた何かがはっきりついてきているのが丸わかりの状況だったというやはりあのままでは危なかったと肝が冷える場面。 実際、先程のバッドを見るに足音が消えた場所でずっと待機していただけでそこまで戻ったから…と思えば妥当でしょう。 心当たりとしてはやはり最初に行われていたこっくりさん位しかない。 だけど、こっくりさんで呪われる時は何かしらトラブルが起きて中断されたケースが大半と思うと話を聞く分には違いそう? 疑問はあれど、その際に質問された内容と返ってきた解答を照らし合わせると今までに消えた3人は主人公のした質問の解答で結婚をする順番通りという偶然で済ませるには不気味な情報も。 こっくりさん…狐…狐の嫁入り…? それに、最初に消えた子はこっくりさんの結果の通りなら雨の日だった…けど、狐の嫁入りは天気雨の時だしなぁ…。 狐の妖怪でも白山坊の花嫁って確か食べられる前提だったような…と手持ちの知識も引っ張り出してみても『結婚』というワードそのものは多分そこまで重要ではない。 指定された順番に意味は見出せそうだけど、という所で一旦結論を仮置き。 それに、最初の子から連続で3人が消えているのに主人公がまだ生きているのも奇妙な点ではあります。 一週間の間アレにつけられているってやけに猶予が長いような? 気になる情報も増える中、どうやら一子先輩なら主人公の助けになれそうという希望の光! 所謂見える人って同時にそういった怪異と遭遇したり実害を受けやすい体質の印象が大半だったので、見えるけどそういった物に嫌われるタイプというのは珍しいなと思いました。 でも、世の中には霊感はあるけど浄化する事ができるので天敵認定されて嫌われている…というケースもない訳ではない。 タイトルに意味があるなら『悪食』というワードがその怪異に嫌われる体質なり能力に関係はするのだろうか。 どちらにしろ、今まで一人で解決できなかった事がこのまま彼女の協力なしで終わるとは思えず。 でも、バッドから…と、ここも外れだろう選択肢から。 一子先輩が得体の知れない人というのもそうですが、巻き込んで被害に遭わせる訳にもいかないのは正論で。 その代わりとばかりにもらったお守り。 「絶対、開けて中を見ては、ダメよ」 耳元で囁かれる声に強く念押しされるような、ゲームだからこそできる演出という点を効果的な場面で表現に使用する事においてこの作品は本当に巧いなぁと感心します。 それからの帰路、確かに言われてみればここにくるまでに聞こえたあの足音は全くしていない。 何が書かれたメモなのかは気になりますが、ちゃんとお守りとしての効力はある…? だったら明日、また先輩へ相談をして本格的に対処をすればいけるのでは? からの、実はまだ逃げ切れていないとばかりに深夜に聞こえる足音。 そして開いてはいけないと言われていたのに、打開策を求める為とはいえお守りの紙を完全に広げてしまった主人公。 「開いたら、おしまい」 書かれていた内容も、全然打開策でも何でもなかった!! 内容から察するに、恐らくこれは怪異に嫌われる体質の一子先輩が書いた文字だからこそ何かしらの効力が一時的にあったと見るのが正解なのか…。 (0時を回ってから足音が再び聞こえ始めたという辺り、元々時間制限が本日中だったり効力は長くなかったor段々弱くなっていたのかもしれないとしても) でも、開いたらおしまいって…わぁ…わ…ぁ……(予想外の方向性から殴られる衝撃) 結局全面的に一子先輩を頼るしか道なんてなかったと先輩の提案からお泊りをする流れへ。 どうやら家庭事情も一般的ではなさそうでバーを経営しているマスターが身元請負人である何やら訳アリな様子。 とはいえ、いざ現地に行ってみればマスターも優しそうな人だし店内もなかなかお洒落な雰囲気。 自宅として使用している最上階の部屋も、少し前までこっくりさん(仮)に追いかけられたホラー展開でおろおろしていた事を忘れるような別世界でした。 主人公も、先輩とならこっくりさんをどうにかできるかもしれないと希望を持つような流れに。 先輩としても、事象がある=存在しているならそれに対処法があるのは法則として不可能ではないと前向きな見解をくれる。 詳細はまた調査の必要があるとしても、確かに特定の手順だったりお祓いの方法があるなら怪異の原則として可能なのは私にもわかります。 そして、先輩から自分にどうして欲しいかと質問をされ。 確かに一緒に調査をしてもらうなら何かしら方向性が欲しいよなぁ…でも、選択肢そのものは3つともどれも正解のような? やはり、今のままでは情報が足りないし欠けたピースを集めに行くのが先と判断。 一度友人達に会ってみるを選択。 自分の安全が保障されている今だからこそ、行動範囲を広げるのも可能な以上まずは先に消えた3人について調べるのが先決でしょう。 もし状態はどうあれ生きているなら証言も聞けるし生存確認が取れる。 駄目でも…何かしら現場に今使える証拠があるかもしれない。 いざ友人の家に向かう前に職員室で聞ける情報を集め。 やはり3人の友人とは今も連絡が取れていないまま。 だけど、学校から友人達の家に電話をしても反応がない…となると友人当人はまだしもその家族は出てもいいよね?と。 今はプライバシー云々の時代だから、と主人公は言っていましたが本当にまず学校が様子を見に来てくれたら話も早かったのになぁと最初の家へ。 やはり呼び鈴を押しても反応はなし。 ただ、二階の…友人の部屋の窓は開いているようなので見える位置まで移動をすれば人影!?からの……。 その様子をてるてる坊主に例える先輩が冷静過ぎて怖いのと、そういえば最初の子って天気について質問していたっけ…?という記憶が蘇り。 警察も到着したようで、どうやら両親を刺殺した友人が最後に自室で自殺をしたような状況という見解。 しかし、一体どうして突然そんな事を…。 バーに戻ってから、何故先輩があんなに冷静だったのかマスターに聞いてみればやはり何か訳アリな過去がありそうな感じ。 あれかな、家族を失った際に怪異に関する能力が身についたと考えるのが王道なのだろうか。 生まれつきの場合もあるけど、そういった物って何かしらの代償に手に入れるケースもそれなりにあると思えば…。 そして翌日、今度はテストの範囲を聞いた友人の家へ。 一階がお店になっているという事で一見するとお洒落な雰囲気はあれどやはり閉まっている様子。 自動ドアなら閉店中は開かないだろうし、外から見た限り得られる情報もなし。電話も当然反応なし。 どうしようと思えばマスターの所で生活をしているからか、すぐに裏口の事に気づく一子先輩。 情報は欲しいと言ったけど、こういう場面であっけなく開く扉って完全に罠の臭いしかしないよなぁ…と嫌な予感は継続しつつ。 中に入ればすぐに気づく程の異臭。しかもそれは先に死体となった友人の家でしたのと全く同じ物…という事は…。 聞いた内容がテスト範囲だから、文房具だった?とても人間の犯行でやれるとは思えない猟奇的な現場がそこには。 先輩が異臭騒ぎの前に友人がしていた質問内容も確認していたのもあり多少予想はできていた物のなかなかのエグい物でしたね。 こうなると、見立て殺人でしたか…それぞれがした質問内容に関する物を使用して死んだ状態で発見するという負の連鎖が続いている状態に。 正直、もうこの時点で最後の友人も連絡がここまで取れていない時点で手遅れとは思う物の主人公の葛藤通り「もう駄目かもしれない/まだ大丈夫かもしれい」と鬩ぎ合うのは人情でしょう。 当人達にとっては軽い遊びのつもりでこっくりさんをした結果、友人がこんな形で死んでいくなんて嫌すぎる。 (こっくりさん自体が本来は禁忌の降霊術なので駄目なのは置いておき) 先輩は戻ってきたものの、確かめたいのに足を進められない。 もし、3人目の友人の死を視認してしまえば次は自分だと最悪の形で突きつけられる事になるのだから。 それでも主人公だけやけに猶予が長かった事を想えば先輩もいるし、最悪即刻命を奪われる…まではないとは想定こそできますが、どこにバッドエンドが潜んでいるかなんてわからないからなぁと。 と、思えばここにきて確かに?となる提案。 ここまで2件も同じ学校の生徒が事件に巻き込まれているのだから、同じく突如登校をしなくなった最後の一人である友人に電話で連絡がつかないなら警察だって動くはず。 こっくりさんの話が信じられないとしても、さすがに別の線から無関係と言い切るのは難しいでしょう。 (全員同じクラブに所属しているという点でも客観的な共通点はある) 駄目元で電話をかけてみれば最後の友人、麻衣ちゃんと連絡が取れた!? しかも叫び声とか会話が難しい状態でなくちゃんと喋っている!! どうやら主人公と同じくずっと何かにつけられて怯えている様子。 今まで登校こそしていなかったものの、ずっとそれに恐怖した結果部屋から出られなかったと考えれば生きていた事にも説明はつく。 そして、足音の正体もこっくりさんなら主人公と同様に先輩が近くに行く事で助かるかもしれない…! 急いで麻衣ちゃんの住むマンションへ、電話も繋ぎっぱなしだし電話越しに励ましつつ6階まで急げば今度こそ… と思いきや、先輩が落ち着いた様子で主人公に危ないと言い体を引っ張ってくる。 そして、本来いた二歩後ろの場所には上から落ちてきた……どうして待てなかったんだぁぁぁぁ…!? 今度こそ、今度こそ助けられると思ったのに…。 もうここまでくれば主人公のメンタルはボッコボコどころの状態ではないでしょう。 死体を目撃するだけでも充分ショックなのに、最後に関しては直前まで生きていたのに間に合わなかったというさらなる絶望まであれば。 と、思ったらここで選択肢? 正直、悲しかったとショックだったはどちらも両立するしあえて選ぶような内容なのだろうか…。 そりゃ普通はまず最後のインパクトも含めショックでは?と選べば「清々したんじゃない?」とまさかの返し。 …友人が、死んでるのに!? そしてここまで開示されていなかった、主人公と他3人の関係性が具体的にはどういう内容だったのか。 実は主人公は3人にいじめられていたけど友人と思い込んでいるにすぎなかった…? 霊現象のように空気が震えるのか、店の中の物も揺れるのにそれに動揺しない先輩に、え?マスターも…? 元からこの空間にいるのは、先輩もマスターも普通の人ではなかった…? (先輩はもう確定でただものではないとわかっていても、マスターもか…とはやや意外) 人が不幸になればいい、死んでしまえばいい、そんな事を願ってしまえばこっくりさんにとって叶えない訳がない位のおいしい願い事でしかなかった。 そして、それをこっくりさんの最中に願ってしまった時点で主人公もこっくりさんと、怪異や人外と同じく怨恨の化物である事。 だから、3回も願いを叶えてもらったのだから対価は支払わないといけない。 人呪わば穴二つ。 本来、誰かの死を願うというのは、それ位にリスクも伴う重たい事でありいけない事とされている。 現代では結構軽率に、誰かに向かって「死ね」という暴言も言われるでしょうが言霊の持つ意味やそれがどう作用をするのか。 「ただあの子達に死んでほしいと思っただけなのに」 それまでの事もあり、主人公としては思わずそう願ってしまった背景はあれどその重さとよりによってこっくりさんをしている状況でだったというのは半分位擁護はしきれないかなぁというのが素直な感想。 (現代人の価値観なら、まぁまだ若いのもあってその意味と対価を理解できないのはしょうがない部分を差し引いての計算で) では、悲しかったと言った場合は? …もっとスプラッター的な意味でまずい真相が待っていた!? え、でも少なくとも3人目に関してはちゃんと直前でも会話をしていたし…遠隔で落とすのなんてできるのか? 疑問はあれど、一子先輩はこっくりさんの用意をし呼び出しを行う。 すると主人公の背後にいたはずの何かが十円玉に移動したようで…やはり実害がなかっただけでずっと、いた? このルートの場合はこっくりさんを憑依された主人公が3人を殺していったという内容。 確かに普通の少女が行うにはあまりにも無理がある犯行なのは否めない。 特に、文房具をあの描写がされる程の状態まで突き刺すなんて女の力ではできないでしょう。 それどころか、この憑依していたこっくりさんはこっくりさんですらなく…。 「我の力を貸そう、コイツらを恨んでいるのだろう」 そう、主人公の耳元で甘く囁いた悪霊でしかなかった。 そしてこの段階になると主人公の心の声も、殺人を否定するのでなく先輩がどこまで知っているのかを恐れる描写へと移り変わり。 「一度魂を化け物に売った人間を、その後もその人は、人間と呼ぶのかしら?」 誰にも邪魔をさせないと悪霊に先輩を殺すよう命令をし、結果失敗こそすれど。 もう人を殺す行為に躊躇がない。 その段階までいってしまえばもうそれは人間ではないでしょう。 元より鬼は、人の心の中にいる存在なのだからこれに関しては先輩の言う通りです。 果たして先輩はどの段階から気づいていたのか? 神との契約により人間を食べられないのなら、目の前にいる主人公が食せる条件を充たすまで手元に置いておけばいい。 人間が家畜を食べ頃になるまで育てるように。 そしてここで明かされる悪食という言葉の意味。 先輩の正体。 見事なタイトル回収でした。 他のルートでも、主人公が罪を犯しているというか友人と言っていた他の3人を良く思っていないのは変わらず。 違いがあるとすれば直接手を下したのか、完全なこっくりさんによる呪殺だったかでしかない。 一応、生存できるルートこそあれどそれも実質は飼い殺しである事を踏まえると確かにハッピーエンドと呼べる物はないのでしょうね。 完全に先入観というか、この手のゲームにおける主人公は何かしらの理由で巻き込まれた被害者である。 だから主人公が語る情報はほぼ確定(不確定の事に対し勘違いのケースを除いて)として扱う前提で読み進める物。 実は主人公が取り返しのつかない位すでにやらかしていた事後だったというパターンは珍しかったのもあり意外性がありました。 だからこのゲームにはハッピーエンドは存在しない。 ルートによって多少展開の違いはあっても、この行いをした者が救われる事はありえないのだから。 その意味でエンド名にもなっている『因果応報』という言葉がしっくりきましたね。 そして何より、いくら人間の言葉を話して一見友好的な態度をしているように見えても本質的に怪異と人間は別の存在である。 その理不尽さというか、人ではどうしようもできない存在を描くという意味で一子先輩はインパクトのあるキャラクターでした。 主人公を助けようとした態度だって、結局自分の利益になるので一時的な利害の一致で動いただけにすぎず。 こっくりさんが食べたいから。 主人公の魂が食べ頃になったから。 行動原理はそれでしかなかったというのがまさしく怪異だなぁと感心します。 ただ、欲を言えば一子先輩の魅力をもっとたっぷり堪能するという意味で今作が長編作品だったら…という気持ちも少々。 おつまみ(おまけ)で続編に繋がるであろう話題もあるので、そちらでまたお会いできるのを楽しみにしております。 @ネタバレ終了 何と言いますか、ごちそうさまでした。 注意書きとしてある要素が大丈夫な方向けでこそありますが、怪異という物への表現という点で未プレイの方には一見の価値があるとおすすめしたい作品です。 ありがとうございました。 -
彼らの秘密のたからばこ感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 普段乙女ゲームという物をした事がない為、概要の説明文を見た感じそんな私でも入門しやすそう(?)という電波をキャッチしたのがきっかけです。 途中までは案外普通に乙女ゲームであろう内容なんだな?…と、思っていた時が私にもありました(過去形) @ネタバレ開始 内容としては攻略対象である2人、いぶき君とあおい君どちらのルートに入って進めるか?というシンプルな流れ。 どちらのルートに入った際も本筋で起きている物語は同様という事で、もう一人のルートをプレイする際も別視点ではこんな事が起きていたんだなぁと視点補完をするイメージなのも面白かったです。 私としてはあおい君の方が母性本能をくすぐるというか、好みだったので王道と言えばまず幼馴染からの攻略か?と思いつつもあおい君のルートから攻略開始。 彼の抱えている問題点や、その中でも行動を起こす為にどうしても主人公の物を近くに置きたいという衝動も本来なら叱るのが正解とは思いながらも「そうだよね、頑張ろうとしてるんだからしょうがないよね!」 という全面的に甘々思考をしつつ先にバッドエンドから回収。 正規の方ではちゃんと甘々な関係でありつつも、今後の為に妥協点を手探りしながら解決へ向かうという意味でとても幸せな気分を味わえました。 いぶき君は幼馴染&お隣さん特有なお部屋訪問イベントという役得もありつつ、こんなにべったりされるのも悪くないかなぁ~とこれはこれで…。 彼が大事にしていた宝箱は気になりましたが、子供の頃ならそれこそ綺麗な石とか微笑ましい物だろう程度で想定していたのですが…これが後から、反射的に喉笛から空気の洩れる音が出る状態への伏線だとは。 無事に両方の正規エンドを回収完了!と思いきや…あの、あなたは誰?という流れへ…。 確かにバッドエンドの時点でヤンデレと言える行動を起こす位だったあの二人がどちらかのルートに入ったからといってヒロインを諦めきれるのか?と言われたらNOでしょう。 ゲームの仕様として描写されない事はあっても、生きている人間の中で起きている出来事ならば当然それで重たいとも言える感情が消える訳もありませんから。 その意味では結構、リアルな部分に踏み込んだというべきか。 余計な事をしやがって…というべきなのか。 でも、そのシナリオ破綻してますよビームッ!に該当するここからどうなるかを期待していたので結果的には後の展開は楽しめました。 同時に、本当にここまでならまだヤンデレバッドエンドはあっても普通の乙女ゲームだったなぁ…とは思っていたので衝撃も受けましたが。 明らかに良からぬ事しかないとしか言えないタイトル画面の変化。 基本の操作や進行はそのままでしたが、今度はルートに入っていない相手がその間どんな気持ちでいたのか?を知る事になるという想定できたかもしれないのに見ないフリをしていたとも言える部分を突きつけられ。 そして、攻略対象は2人だけとされているのに選択肢によってはまるで攻略対象と同じようにプロフィールの出る人物が増えた…だと? でも固有エンドはないって明記されていたような…と読み進めればどちらのルートでも大事件しか起きなかったと頭を抱える事態へ。 とはいえ正直な話…サンプルサムネのバットをスイングしようとしてるいぶき君のイラストでプレイする事を決めた部分はあったので、作中で該当箇所にきた際は内心「ここできたかー!!」とある意味歓喜ではありました。 そして明かされる宝箱の中身。 確かに何が宝と思うかは個人の自由…とだけコメントさせていただきます。 あおい君も最初は事故!?と思わせてからの…だったので、結局このゲームの攻略対象ってある意味どっちもどっちなのでは?と気づいた時にはもう手遅れでした(どっぷり楽しんでいるという意味で) 本当に、本番に入るまではバッドエンドこそ存在してもほんっとうに平和だったんだなぁとしみじみしましたね。 個人的に、本番開始後もまだあおい君は(殺人事件さえ起こさないよう気を付ければ)まだ…まだ、大丈夫?だよね?という判定。 いぶき君はヒロインに対しどうしたいか?を知ってしまうと逃げないと危険しかないと思える事や、彼の抱えている問題点を考慮すると固執するのはわかる部分があるので難しい問題という複雑さがありますね。 どのみち、本番に入った時点でもうどちらを選んでも後戻りはできない事態になっているのは確定として。 そして、ここにきてまさかの3人目の攻略対象? それも今まで全く姿を見せていない相手というのも不思議でしたが、ここに関しては割とメタな神様の言う通りというか…。 シナリオとしては攻略対象である以上、仲良くなって和解しかありえませんし本来存在しない攻略対象と思えばオブラートに包め!なのはさておき妥当…だけどこの神様と同意見になるのは癪な気がしないでもない複雑な乙女心。 それでも未読スキップの末に進展?と思えば、ここからの展開は予想外の予想外すぎました。 てっきり注意事項にあったメタ要素は神様に関する部分だけと思っていたのもありましたが 「ねえ、君が選んだせいなんでしょ?こんな展開さ」 まさかのいぶき君がヒロインでなく、プレイヤーの方に向かって話しかけてきた…!? 確かに彼からしてみれば、自分がヒロインと仲良くする話だけがあれば良くて他の攻略対象もそのシナリオも邪魔でしかなく。 それを選択するプレイヤーですら邪魔な存在なのは違いないでしょう。 プレイヤーがいて、ヒロインが他とくっつく選択を選ぶ対象がいる限り永遠にヒロインはいぶき君の物にならない。 だから自分は邪魔をしてやるし、世界観もシナリオだって壊してやる。 それでプレイヤーがいぶき君に対し嫌悪なり不愉快な気持ちになる事を望むような事も言う。 多分、これに対する正解は彼の言う通りに嫌な気持ちを持って彼を嫌う事なのかなとは理屈ではわかります。 「そうだったら、嬉しいな。お揃いだね、僕たち」 「そのどうしようもない嫌な気持ちだけが、僕と君の絆なんだよ」 だとしても、こんな事を言われたらむしろ恨めないというのが私の素直な気持ちでした。 人に興味を持てず、ヒロインしか人間として認識をしていない。 そのいぶき君が嫌悪とはいえ、今見ているのが…視線の先にいるのがプレイヤーである自分である事。 人ですらない何か、としか思っていないのかもしれないけれど『僕と君の絆』という言葉を使った事。 「君にとって人生で一番不愉快だったキャラクターが、僕でありますように」 この一言を残し、手を振ってブラックアウトへ…。 ある意味、これって方向性は違えど…いぶき君からプレイヤーへ向けられた一種のラブレターなのではないかなと私は解釈しました。 彼にとっての願いは上記の台詞の通りだとしても、そう思えてしまったらその願いは聞き入れる事なんてできない。 聞き入れたフリをして表面上悪態をつく事はできても、内心まで偽れないに決まってるじゃないかと。 だから、ごめんね。がこちらからの返しになるのかな…。 @ネタバレ終了 序盤は結構普通な乙女ゲーム(ただしバッドエンドはある) 本番に入ってからはメタやヤンデレ要素つよつよな本性を出してきたな!?と思える流れへ。 だけど、最後まで進めた時に胸に残る物は何なのか。 飽きさせない展開の連続と、最後の答えがプレイヤーによって何になるのか? 私の答えは折り畳み部分に置きましたが、これは触れた人がそれぞれどう感じるのかが知りたくなりますね…。 素敵な作品をありがとうございました。 -
可惜夜のさかしま町大変感想が遅くなり申し訳ありません。 可惜夜もこちらが最新作という事で配信にてシリーズ全てを楽しくプレイさせていただきました。 プレイした当時としては週に1度は可惜夜シリーズを遊べるという楽しみがある!! とウキウキだったので、現状こちらが最新作であり一旦の終わりという事で楽しみ半分寂しいの半分はありましたね。 @ネタバレ開始 先に結末というか、トゥルーについて触れると ここ2作品が比較的救いはあったのに重たいのがぶっこまれたーーー!?というのが素直な感想でした。 (これ自身は話の内容として仕方ないというか、避けられない未来だったので納得はしています) 必ずしも真実が幸せなものとは限りません ここから始まる、それでも貴方は真実を確認しに行きますか? という選択をする文面や画面効果も雰囲気が充分あり、それでも全てを知らないと納得はできないと「はい」へ。 今作も、真相というか深部へ踏み込むという部分においてマテオ君の役割が大きいですね。 何はともあれ、生還できた以上もうあの公園に近寄らなければもし今後、知らない犠牲者が出る可能性はあっても南風原さん達には関係のない話でしょう。 真相が明らかになったところで証拠が足りなければ警察に犯人を突き出す事もできはしない。 (証拠についても、あくまであちらの世界で手に入れた物という時点で証拠能力もどうなのかな…という事踏まえ) 「…誰かを線路に突き落として殺したりしてないよね?」 ここまで到達したなら、薄々以上に思っていた確信へ触れる発言。 そして、最初の南風原さん視点では聞き取れなかった言葉もマテオ君にはちゃんと聞こえていたという事実。 会話から、やはり犯人はそういう事だった点やこれまでにも身代わりとしてたくさんの人を犠牲にしてきたという真相。 確かに調査中に首吊り死体のある家はありましたが、ここで繋がってくるのかと…。 まだ両親の死を理解できない年齢ならまだしも、それを死体として認識できているのに通報もせず家に居場所がないと表現する時点でこういち君側にも事情というか、明確な歪みや問題点を抱えている部分はあるのだと思います。 かといって、それが誰かを傷つけていい理由にはならないのですが。 「こういちくんがおしえてくれた かみひこうき。じょうずにおれたよ」 皮肉にも…というべきか、結果的には自分が教えた紙飛行機が彼を向こう側へ導く原因になってしまった。 これでもう、全員があの世界に行き犠牲者も出ない本当の終わりがきたんだなと。 収集アイテムが紙飛行機であった事や、最後にもらった紙飛行機もこれ単体では何故今このタイミングで? と思ったのに最後の〆に向かって綺麗に一直線で繋がっていたんだなぁというのが好きです。 こういち君が間違え続けて何故か来てくれないとは認識していたので、今度こそ間違えずに来てもらえるようにした仕込みなんだろうなという部分も合わせ。 謎解きとしては、もう私の頭ではヒントを使用するのが前提の難易度ではありましたがまだ最終的にクリアは可能な事。 トゥルーエンドを見る為に前提として収集物がある事は明言化されているので明らかに最後の謎解きであろう箇所を終わらせる前に見逃しがないようチェックができる点は良かったです。 プレイ時間が思ったより長くなったのも、これって助手子ちゃんがドラマに間に合わないのでは!?という心配をする事になる、ある意味ではネタになったのが今ではいい思い出となりました。 そして、見えている地雷とわかっていても見てはいけないと言われると見たくなる物はありますよね…。 (一度目は許してくれるだけまだ優しい方とは思いつつ) @ネタバレ終了 耳に残るゆうやけこやけの歌や、明るい時間ならきっと一般的に感じるであろう商店街を舞台の中心とした事。 (※ただし一般的ではない怪奇現象は起きる物とする) 日常と非日常の境にいるような、でもこれどう考えてもあちら側…を堪能させていただきました。 いつもながら素敵な作品をありがとうございました。 -
大正占術奇譚申し訳ありません!文字数制限で千切れました 続きを投下させていただきます。 @ネタバレ開始 「ねえ、最後に聞かせて。 大正時代って、一体何だったの?」 ツルバにとっては後の時代の人間が決めることだと言い。 ヤエコにとってはすべてが輝いていた時代だったと言い。 まだ当時子供だっただろうトワには…難しい問いかけかもしれなかったのかな?と思い。 答えはきっと人の数だけ存在する…というのが無難であり間違いでもない解答でしょう。 でも、あえて明確な答えを出すならそれはその時代を生きた誰かにとって、あの頃は良かったと言いたくなる輝かしい時代だった。 ヤエコが決戦前の独り言でこぼしたように。 時代はズレますが、本質的な部分ではカイハラが明治時代は良かったと言っていたのと恐らく大差はないのでしょう。 それが現代ならば人によっては昭和であったり、平成であったり。 きっと誰にだってある輝かしい時代、綺麗なものを見たという思い出。 それがこの作品では大正時代だった、それが全てなのかなと。 …と、しんみりしましたがマブキが現代に戻ったという事でいよいよ最終決戦へ。 タロットに描かれた姿同様に首に縄をかけられたマブキ。 そして、ノヴェルの中に出てきたロシアンルーレットによる決着方法。 って…弾を全部に入れて初手こっちに渡すのは反則だってーーーーーー!? これはさすがに死んだか?と思いきや…鏡? まさか、元の世界の戻る際に他にも使えそうなボツを探して持っていたとは想定外でした。 起死回生からの今度はお前の番だ!によるターンエンド。 そしてようやく建物の外に出れば、外はすっかり真っ暗に。 だけど、あの時見つけたボツのように月の明かりに照らされながらきっと無事に帰る事はできるのでしょう。 ようやく…ようやく長い物語も終わりを迎えたのかと年表から始まるスタッフロールを眺めながらほっと一息 …では、終わらせてくれませんでしたね。 やはりあの占い師…ただものではない。 次のターゲットは今このゲームを遊んでいるプレイヤー自身となるか? マブキが最初に読むのは決まって奇の本だったように。 実は、このゲームを起動した際にプレイヤーも必ず手に取っているのですよね。 「架空 ノヴェル・ゲエム 大正占術奇譚」 水晶玉に映りこんだ『奇』の文字で始まる本を、タイトル画面へ行く前に。 だから「クリック・トゥ・スタアト」を押した時点で、実はプレイヤーもマブキが主人公のノヴェルを観測する次のターゲットだとしても何らおかしくはなかった…。 @ネタバレ終了 ノヴェル1話1話それぞれの内容も良いのですが、全ては大正時代に起きた物語という括りで大正の雰囲気を味わいつつ。 最初は純粋に自分なら占いを信じるかどうか?のテストからプレイを始めましたが、続行するうちにこう…世界の深淵へと足を踏み入れ。 詳細は折り畳み部分にも記載したのですが言葉選びや表現というのでしょうか、それがとても自分の中にある価値観と響いたり共感できた部分が多く読んでいてとても面白いと思えました。 結果的に、個人的にですがこれは同じ占いをテーマにしつつ掛け合わせる物として大正時代が制約の少なさを抜きにしても正解だったと思います。 程よく遠くなってしまった時代だからこそ、ノスタルジックと現代の少女であるマブキの組み合わせがよく映えたと思うので。 感想を書くに辺り、莫大な文字数となってしまい申し訳ありませんが「好き!」や「良い!」と思った部分を全て詰め込んだ結果こうなりました。 このたびは素敵な作品をありがとうございました。
