天凱彼岸花(テンガイ ヒガンバナ)のレビューコレクション
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ファミレス・ミステリー感想が遅くなりましたが配信にてプレイさせていただきました。 裏で全エンドの回収が完了した為、感想を投下させていただきます。 初対面の人間と会話をするだけで1万円、それも3人の人物と会話するという事はたったそれだけで3万円の簡単高額バイト…!? 絶対これ、裏に何かがある危ないバイトなのでは…という不安や、時に哲学という言葉に惹かれプレイを決心。 @ネタバレ開始 どうやらバイトは友人からの頼み事だったらしく、闇バイトという一番回避すべき状況でない事にほっと一息。 そもそも何でそんな条件のバイトというか、頼み事が必要なのかと思えば友人である坂田君が大学で心理学を専攻しているのでそのデータ集めに協力するという納得のできるものでした。 とはいえ、人見知りな主人公にとって初対面の人と会話するというのはなかなかハードなのでは…? と思うも話し上手でなくとも聞き上手という評価でそれならワンチャンあるのかなぁ?でも…となり。 だけど引き受けない事には始まらないよね、と引き受ける事に決定。 「俺の知り合いの中で、浅見が1番『善人』だってこと」 今回の人選ポイントとして坂田君が伝えてくれた部分ですが、何故そこが最重要視されるのかも最初は少々謎でしたね。 でも、研究として『どういうタイプの人+知らない人』との会話におけるサンプルが欲しいかで条件はあるでしょうから今回のテーマとして合っていたのかなで一旦仮定。 研究用のデータという事で条件も簡単ながら3つあり ・会話は録音する事 ・相手にだけ『話題』を伝える事 ・会話相手と連絡先の交換をするな 録音する事は相手にも了承を得ているという事でこちらは特に問題もなし。 話し上手ではない主人公としても、会話デッキをこちらが用意するよりは相手に振ってもらえる話題があるのは助かりますね。 そして最後は確かに初対面かつもう会わない人になら旅の恥は搔き捨てのように話せる事はあるという点で納得です。 どうやら相手はネット募集でランダムに選んだ相手らしく坂田君としても素性を完全に知っている相手ではないとの事。 だから適度に人目もあるファミレスで待ち合わせなら安全だろうと配慮もされているんだなと安心しました。 まぁ、何かの勧誘とかそういうのもファミレスでされる事ってあるよね……でも、今回は坂田君を信じるとしましょう。 ここの会話も、当たり前の事ばかり言っているとは思いましたが 真相を知った後では坂田君視点だと今回呼び出す計3人の中に殺人犯がいるのだから、万一こちらの狙いがばれた際の事を考えた上で危険がないように釘を刺している部分もあるのかなぁと後々思いもしました。 特に、途中で場所を変えようなんて流れになったら危険ですからね…。 ◆Day1 本日のお相手は20代半ば位、主人公から見れば年上のお姉さんのようですね。 いかにも仕事に忙殺されているOLっぽい言葉が出てくるところに何とも言えない生々しさがあります。 家と会社の往復ばかり←わかる 上司にはあり得ない量の仕事を押し付けられてサービス残業←ブ…ブラックだけどあるある… 休日は泥みたいに眠るかたまった家事を片付ける←時間ないからそうなるか休みたいよね…とわかりみしかない 職場環境にもよるけど、割とこれってよくあるのにみんな頑張ってるの偉いよね…と言いようのない共感を覚え。 ここから仕事の愚痴をこれだけ言ったのに今更のフォローは役に立つのだろうか…?とは思いつつも。 わざわざ今の会社に入る為に就職浪人をしたというのはなかなか志が高かったんだなと驚きました。 大体、みんな何社も受けてとりあえず内定がもらえた所で妥協するのが多数派と思えば。 だからどうしてもしがみついてしまうというのもそれまでの頑張りがあるからこそと考えれば当然でしょう。 実際、内部に入ってみないと見えない内情なんて物は沢山ありますから…その点で大変だとは思いますが。 結局、社会人のしょうもない愚痴にと三村さんは言ってましたが理想と現実が必ずしも噛み合わないのは知っておいて損がない話でしょうし。 好きな・やりたいと思った仕事に就ける=夢から現実に生きる方向へシフトするという点では重要と思います。 そもそも、就職そのものが入社はスタートラインに立っただけでそこから定年までが走るコースやゴールですからね。 やはり社会人として忙しい生活をしてると大学生時代が懐かしいというのはわかる気がしますね。 サークル仲間と楽しく騒いでいたり遊んだ楽しい思い出があるなら自由を謳歌できたという点で余計にありそうです。 そして、ジャンルを問わず全オタクにとって鬼門であろう質問。 あなたが1番好きな映画(自分の好きな媒体やジャンル)を教えてと言われるのは正直困る…!! ここは小文字で考えまくっている主人公に全文同意であり、相手としてはほんとに軽い気持ちで聞いているんだからがっつりとした回答は求められていないはず。 だったらある程度メジャーというか、伝わりやすい作品名を挙げておくのが無難ではあれどマイナーな物をさりげなく布教して人口を増やせるという可能性にワンチャンは…と思わなくもない。 だけどそれって伝わらないよなぁとか、あえて選ぶなら『比較的最近の物で知名度もそこそこありそうな面白かった物』を挙げるのが正解か? でも、私だったらまず最近の掘り出し物=私にとっての最近、つまり必ずしも世間でいう新作ではないからなぁ……。 有名作品としても、キン肉マンの新アニメがやるらしいですよ?とは女性相手に言っても困るし。 と、自分だったらに一部置き換えつつオタク特有の悩みに本気で頭を使う事に。 そんな悩む主人公に笑う三村さん。 やはり一般人としてはそれ位の気持ちで聞いてるんだよなぁ…というのに一般人との壁が、うぐ…。 でも、そこに対してそれだけ夢中になれるものがある事を褒めてくれる三村さんの反応は良い人だなぁと思いました。 確かに忙しい生活の中にも趣味という潤いがあれば違うのは確かですからね、給料をブッ飛ばしてDVDボックスを購入してしばらく楽しむとか。 そして、坂田君の言っていた本日の『話題』 ★『もしも過去に戻れるか、未来に行けるか、選べるとしたらどっち』 確かにもしもトークというか、こういう質問ってよくあるなぁという印象ですね。 あくまでも会話が途切れないようにという事であるある系から何か選んでくれた感じでしょうか。 これについては主人公ならどう答えると思うか?というのとプレイヤーである私自身ならどう考えるか?の二択で選ぶしかないでしょうが、浅見君についてはまだこの二択でどちらを選びそうな性格なのかはわからず。 素直に自分ならどう思うか?で答える事にしました。 まずこれ前提として、過去/未来にいけるのは自分の体は今のままタイムマシンで行くのか、でも過去ならその頃の体というか自分に戻るのか? それによって回答も変わりそうではありますが、どちらにしろ結果は共通でした。 ☆『未来に生きたい』 過去に行けば、もう今では会えなくなった人や楽しかっただろうあの日々が確かにある。 だけど私はあの人達と出会ったからこそ今があるし、あの人達がいたという事実を消さない為に前に進み続けると決めたんだ。 過去の嫌な出来事を変えてタイムパラドックス…とかが起きないとしても、全ては私が今の私になる為には必要な経験だった。 だから過去には戻らない。 って事で、未来に行って本当にドラえもんが作られているのか観に行こうぜー!!という結論に。 初見だと、何故主人公が未来と言った事に「意外」と三村さんが反応したのか、彼女個人ならこう考えるのにって観点から? と思いましたがそういえば今回の3人は全員主人公の特徴を知っている…とすれば過去に戻ってそれを回避したいと思いそうとでも思ったのかもしれませんね。 三村さんの選択は予想通りですね。 現状に不満があるから過去に戻りたいという典型例だと思いましたし。 しかし、話に出てきた映画好きの女友達が実はもう死んでいて集まるに集まれない…というのは少々ショックではありました。 自分の年齢が上がる程、同年代の相手が亡くなる確率は年々上がるでしょうが例外だってあるのも事実。 それなら、現状への不満抜きに余計その頃の事は綺麗な思い出なんだろうなと思いました。初見では…。 「生涯の友人になると思ってた子だから」 この台詞を、一体どんな気持ちで言ったのだろうな…と一旦メモも兼ねて残しつつ。 結果を坂田君に送れば、何やら期待以上という言葉に何を求められてクリアしたのかはわからなかったですが…。 とりあえずこのまま続けていきましょう。 ◆Day2 前回が明るい時間だったのに対し、今回は夜なのだなぁ? お相手はいかにもビジネスマンといった雰囲気の20代半ばの男性。 どうやら急な仕事で時間を変更した上にまだご飯も食べていない様子。 よし、急いで食べようか!時間も夕飯時だもんな!! そして、どうやら志賀さんはネット募集でなく母校からの依頼メールできたというお話。 坂田君の言っていた事とは食い違いますが…それだけでは人が集まらなかったから他のツテも利用した? 確かに初対面の相手と会話をするだけで1万円のバイトなんて、普通怪しいと言えば怪しいですし。 やけに忙しそうな志賀さんのお仕事は営業との事。 確かに営業はお客さん側の都合によって訪問時間が左右されたりするから急な予定変更とか、休日勤務もザラにあるのは知っています。 それに、売り上げのノルマを達成する程給料にも反映されると思えば目に見える成果が出る分やりがいはあるでしょう。 そして初見の時は特に疑問にも思いませんでしたが今なら意味を理解した部分。 「ご覧の通り、就ける仕事が限られてるので」 てっきり人見知りだから営業向きではないという部分に対してかと思いましたが、よく考えたらそれでは少しずれた回答になっていましたね。 そして、坂田君の言っていた本日の『話題』 ★『人の命は平等か、平等でないか』 昨日があるあるテーマだったのに対して一気に重くなってない…!? 志賀さんの言う通り、彼の仕事を知った上なら重たくとも可能だし引き出せる情報がある話題とは思いますが坂田君は相手の素性をよく知らないと言っていたはず。 ネット募集じゃなかった事も含め、謎が出てきましたね。 浅見くんはどう思う?と聞かれていますが、やっぱり主人公個人がどう思うのか何てわかりません。 という事でもうこうなったら残りも全部私ならどう思うか?しっかり哲学しつつ考えようと決めました。 ちなみに、結論は話題を見てからすぐに出た方ですね。 ☆『人の命は平等』 間違えそうな部分ですが、‟人生”はスタートラインが違うので平等ではありません。 家の貧富、どの国であるか等生活に有利か不利かはどうしても出ます。 だけど‟人の命”そのものは平等でしょう。 誰の命であれそれを害する権利は誰にもなく、同じように大切にされるべきである。 上記のような、スタートラインの差があっても誰であれ命の権利そのものは同じであるべきです。 特例として、トリアージのような緊急事態の場合にはより多くの人命を助ける等ルールを設けざるを得ない事はあるでしょうが。 それでも、本来ならそこに何の違いがあるのかなと。 悪人と善人なら善人の命を優先すべきとかが言われそうですが、でもその悪人だってそもそも何故悪人になってしまったのか? 本来ならならずに済んだかもしれないのに何かしら背景があるかもしれないじゃないか、それに生涯ずっと悪人とも限らないよなとか。 …どちらにしろ、初対面の相手と気軽に話す話題ではないですね! そして、医療関係の物を扱ってるのに志賀さんは反対の意見なの!?と驚きました。 たくさんの命を救う為に医療はあるんじゃないの?というのか…。 ただ、考え方としては一理あるというのは思います。 こういう物は、正しい答えがない質問と言った方が正しいでしょうから。 その上で、本日のメモを兼ねたそれを言うのかポイントは 「もしも世間に多く貢献し続ける善人と、世間に害を成す悪人がいたとしたら」 「やはり、善人の命を優先すべきだと思う」 「彼女が死んだと知ったとき、俺は悲しみよりも先に」 「そう……とてつもない怒りを覚えたんだ」 どうやら彼も、大学時代の女友達も亡くしているようでしかも告白こそできなかったけど好きだったという話。 確かに、仲良しグループ内で告白とか成功しても失敗しても後の事を考えると面倒が起きそうなのでそこで臆する気持ちはわかります。 結果論として、もしこうならばあの時に勇気を出して告白すればよかったとも思うでしょう。 そしてパスタを奢ってもらい、だらだら過ごして解散へ。 帰宅後に坂田君にデータを送った後、今日の話題が重すぎる問題について聞いて見れば「そういう研究なんだ」と返され。 確かに彼が具体的にどんなデータが必要なのかがわからない以上、そう言われればそこまでではあれど…。 主人公は何か心当たりがあるようですが、こちらはさっぱりのまま。 ◆Day3 今日は明るい時間だし、どうやら外で相手が待っていたみたいですね。 年齢はまたしても20代半ば…やはりランダムにしては偏っているような。 主人公が待ち合わせをする際に『わかりやすい』とよく言われると言っているので、てっきり主人公の姿ってゲーム内では見えていないから顔に名前でも書いてあるのかな?(シュールギャグ的なオチで) もしくは、額に肉ならに浅(見)と書いてあるのか…。 なんてそこそこ真面目に考えつつ、今思えば何故それを真面目に想定したのかというのが我ながら謎です。 どうやらやっと真面目な感性を持った人に会えたと言うべきか、今回のバイトをマルチ勧誘と疑っている方のようです。 そうだよね、普通それを疑うよ!今までの人が当たり前のように受け入れ過ぎていたんだよ!! とりあえず、説明をした結果納得してもらえたようで店内へ。 今までの二人が会社勤めだったのに対し、今度は自営で飲食店なのか?とようやく違いを感じ。 宇野さんは大学時代に哲学を専攻していたとの事で今回のような研究にも興味がある様子。 機会があれば私も哲学、学んでみたかったなぁ…とぼんやり見ていれば何やら話が真剣なムードへ。 「宇野さんは事前に、俺の名前と“特徴”を伝えられていましたよね」 確かに名前は全員事前に知っていたようですが、初対面の相手と待ち合わせをする以上何かしら情報がないと難しいはず。 例えばその日にどんな服装をするとか、背格好や顔の特徴とかが一般的でしょうか。 そして、ここで一気に前提がひっくり返りました。 左手が義手の男子大学生、というのが特徴として送られていた…? 画面に映る主人公の左腕、かなりメカニカルな見た目でこれは確かに目立ちはするでしょう。 ここでようやく、さも当然のように受け取っていた物に隠されていた部分があったという事に気づきました。 タイトル画面の主人公、よく見たら左腕が見えない構図になっていた…!? てっきりメロンソーダでも飲みながら窓の外を見ているだけだろう程度で、状況はゲームの流れ的に相手を待っているのかな?位。 それ以上の意図を感じませんでしたし、あまりに自然に見えたからここですでに仕掛けがあったとは想定外。 考えてみれば、三村さんが何故主人公を探す際にわかりやすいとか過去に戻りたいと言わない事を意外と言っていたのか。 「ご覧の通り、就ける仕事が限られてるので」というのは人見知りコミュ障なんです…でなく、手に障害があるから限られるって意味だったのか!?と。 (顔に文字があるという予想を含め失礼な事考えていてごめん、浅見君すっごくごめん…となりながら) そこが判明すると、本当に観察対象にされていたのは誰だったのか? もし、身体障がい者と健常者が初対面でどう会話をするのか?というのがテーマであれば完全に騙し討ちをされたようなもの。 浅見君にとっては、今まで自分を障がい者でなく普通の友人のように付き合ってくれるのが楽だったのもありかなりショックも大きいというのが何ともやるせません。 そうして浅見君が落ち込んでいれば、宇野さんはファミレスのメニューを手渡しお酒でも注文する?と提案。 しかも両者ともに飲めないのにそちらこそよければ…というコントのような状況へ。 お酒に逃げたいから飲んじゃう人って確かにいるけど、多分まだこれ今真っ昼間だよね…飲むには早い時間だよ。 今度は宇野さんも身の上話をしてくれるという事で、現在の仕事をするまでの経緯を語ってくれました。 彼の働いている定食屋には色んな人が来ているという事も。 そして、ここまでくるともう偶然では済まない亡くなった女友達というワード。 要約すると、人間は支え合いながら生きているという話で励ましてくれようとしたり良い人なのかな…という印象ですね。 そこから流れとして、何故主人公が義手になったのか理由が明かされる流れに。 15歳の時に交通事故に遭い、命が助かったのが奇跡的と言われる程の重症を負った。 しかし、代償というのかその際に左肘から下を切断せざるを得なくなりしばらくはかなり重度のトラウマも抱えていたというなかなかに重たい話。 それを聞いていた宇野さんの顔色は驚くほど青ざめており、ここも初見では純粋に気分が悪くなっただけ?程度で考えていましたが…。 そして、最後となる坂田君の言っていた本日の『話題』 ★『誰にも知られていない罪を償うべきか、隠しきるべきか』 やっぱり初対面の人とする話題じゃないぞ…!? 軽い話題なんて最初だけだった。 宇野さんも、前日の志賀さんと同じく自分の素性に合わせた話題なのだろうかと思っているようですがやはりそれでは前提が噛み合わない。 明らかに、この話題は特定の何かを引き出す為というかちゃんとした想定を持って送られていると見るのが正しいでしょう。 さらにバイトを受けた流れもネット募集でなく志賀さんと同じというもう偶然ではなく必然といえる状態。 明らかに特定のメンバーに向けて何かを仕掛けている…というのが正しそうですが、とりあえず今は目の前の話題でしょうか。 これも、前提をもう少しはっきりしてくれないと正直悩みますね。 そもそも、誰にも知られてない罪とは何なのか? 罪という事で何かしら法に抵触する事、という認識でいいのか? リスナーから、例えとして 「冷蔵庫にあった弟のプリンを黙って食べたけど弟は気づいてません。謝るべきですか?」 という事では?と翻訳してくれたのでそれでまず考えましたが…。 このケースで私なら、食べた分とお詫びの分で2個買ってきた上で謝るかな。 誰も見ていないし車もいない所で信号無視とか、知られていないけど罪になるという前提だけなら色々ありそうです。 ただ、明確に償うべき対象がいるとなると…教室の花瓶を割ったけど、犯人がばれていないので隠し通すか?とかが近そうですね。 正直、日常でありえる物損から人へ危害を加えるケース…それこそ怖い話だと殺人事件を起こしたけど犯人とばれていないので逃げ切るか?もこれには含まれると思うとやっぱり罪の内容について前提が!欲しい!! と、前提で悩まされましたがまぁ素直に答えるなら一択ですね。 ☆『罪を償うべき』 何であれ、罪を犯したならそれはちゃんと償いましょう。 それは被害者の為にも、自分の為にもなりません。 大体は、浅見君の言っていた事に同意だったので後はそれに乗っかる形で。 そして、宇野さん…お前もまた反対の答えなのか…!? というか、宇野さんのこれまでの会話のイメージからだと意外な返しとも思いましたね。 そこから宇野さんが例え話を2つしてくれましたが、正直これはどちらも納得はできませんでした。 そもそも、勝手に人の財布からお金を盗む人は帰り際に謝らないでしょうし今回の場合なら今後一生会わない事も合わせ破綻していると思えます。 老人に飴をあげた子供の話も、確かに老人はその事を恨んではいないでしょうけど実際は恨む前にパニックのまま死んでるよね?とか。 その罪を清算しない限りいくら事実を隠蔽し、それを言い聞かせ続けても何の解決にもならないのではないか? …何というか、前提として回答が隠す側な分加害者にとって都合がいいようにしたいという印象がありますね。 その上で、最終日のメモを兼ねた重要であろう箇所は 「被害者は被害に遭ったことすら、気がついていないんだよ」 「被害に遭った前後で、被害者は何も変わっていない」 「子どもがあげたのでなく、老人が自分で買った飴玉を、喉に詰まらせたことにしよう」 「そういう風に、子どもに何度も言い聞かせる」 結果的には、これは違う意見だからこそ楽しいという落としどころで解散。 そして坂田君へいつも通りデータを送ったところで電話が。 ここでようやく、今までの疑問が解決か!?と思いきや質問に質問を返されてしまい… 「浅見……お前は3人と話してみて、誰かと気が合うと思ったか?」 全員見事に、私が選んだ選択肢と逆の答えが出るようにフラグ管理されているのか?と思う位意見は合いませんでしたね。 すると、何故か坂田君は安心したような様子で。 ◆Day4 4日目とは、まさかの延長戦…? とはいえ、電話では話しにくい事もあるでしょうしもうファミレス店員さんに顔を覚えられてそうだなぁ…とか思いつつ到着。 やはり、あの録音した会話は研究への協力ではないらしい。 話の流れから、坂田君当人では顔を知られているから直接接触できない理由があるっぽいかなぁと予想。 そして重要なのはやはり浅見君が善人であるという事らしいですが、当人はそれを否定。 でもこれって宇野さんとの会話でも否定はしていたし…と思いきや >>全員と連絡先の交換をしていた!!<< いや、でもこれ…健全な大学生男子としては三村さんに聞かれたらそりゃ交換しちゃうよなぁと…。 大人のお姉さんと友達になれるチャンスなんてそれを捨てるとはもったいない。 となれば、一度破った以上志賀さんにぐいぐい来られた結果交換するのもすでに今更な以上は仕方ない。 宇野さんに対してだけは主人公からとはいえ、昨日の時点でなら疑念もあったしわかるのが…うん。 そしてここからが本題、あの3人にあった奇妙な共通点。 同じ位の年頃であり、旅行サークルに所属していたけど亡くなった女友達というワード。 義手である主人公と話す事による健常者の反応、これがテーマならこの共通点は正直いらないでしょう。 なので、調査対象が主人公だったのはミスリードと見て良い。 今更ながら、このゲームのジャンルは犯人当ての推理ノベルゲーム。 …つまり、何かしらの犯人がいてそれを当てる事が目的になる。 ならば坂田君が調べていたのは、その犯人に繋がる情報でしょう。 坂田君が知りたかったのは、3年前に亡くなったお姉さんに関する情報だった。 お姉さんとあの3人は、人を殺していた。 当時、車で国内旅行をしていた4人は老人を轢いてしまった際に飲酒運転をしていた。 その際に、運転手をしていた人物に隠蔽を頼み込まれ3人は協力してしまったと。 そして坂田君は、主人公を巻き込んだ時点から最終判断は主人公に任せるつもりだったと白状する。 今までバイトの間に送られていた話題は全て、坂田があの3人に聞いてみたいことだった。 「過去に戻りたいか」 「見知らぬ老人の命を、軽く見ていないか」 「誰にも知られていない罪を、償う意志はあるのか」 坂田君がずっと知りたかったのはあの時一番罪が重かった人物、運転者が誰なのか? ここで犯人指名ですが、初見の時は今までの中に推理材料があったっけ!?とわかりませんでした。 ただ、志賀さんはお姉さんの死を知った時に悲しみよりも怒りが先行していた。 宇野さんの発言はどちらかというと、隠蔽を手伝った側がこれでよかったんだよとみんなに言い聞かせている視点っぽい。 となると、過去に戻りたいというのは事故をなかった事にしたかったという意味で消去法から三村さんか? からの、ハズレでバッドエンドへ。 坂田君が殺人鬼になるという、復讐はできても最悪の終わりとなりました。 という事で残るは二択、正解を選んだ際にちゃんと推理材料はあったし論としても真っ当な物があったと気づきましたが… もし犯人だった場合、率直に言ってより許せない方を指名しよう!! と、それは推理と言わない選択から正解を引き当てました。 いや、自分が轢いた上に隠蔽しておきながらなかった事にしようとみんなに言い聞かせる。 あの例え話のような事を言ってるとすれば宇野さんも相当ではありますが。 それ以上に、どう考えても自殺の原因はあの事故しかありえないのに自分のやった事への罪悪より怒りが出ているというのが本音なら志賀さんの方が危ないでしょう。 どんだけ棚の上にできるんだと…実質自分が、彼女を殺したようなものなのに。 そういえば、バレたら内定が取り消しという時点で就職浪人をしていた三村さんは真っ先に除外されますね…。 それに宇野さんはお酒が飲めないから運転はしても飲酒はできない。 この事実はお姉さんの自殺以来、あの3人と接触できなかった坂田君には知りようがない情報だった。 だから選択肢を外した場合、録音データからやっと材料が足りてしまったせいで殺人事件になってしまった…。 坂田君としては、推理までいかずとも犯人を何となくでもこいつはおかしい位の感じで当てられるなら充分だったようですね。 実際はちゃんと推理までして理由も出せたとはいえ。 「だって浅見は『善人』だから」 その上で、やけに善人という部分に拘るんだなぁ…というのはずっと気になっています。 結果的には、ちゃんと志賀は自首した上で残る2人も逮捕という結末。 しかし、両親と仲違いをする事になってしまった坂田君は主人公の家にしばらく居候する事に…。 家賃の代わりに家事をする!といいつつ結局しないあたり、やはりテキトーなんだなぁと苦笑をしつつ。 ここでようやく明らかになる、坂田君の言う『善人』の定義。 『罪を罪として、向き合える人間のこと』 『被害者にとっても、加害者にとっても、罪を償う大切さを知る人』 善人、というだけでは意味が広すぎると思いますがそれは内包されているのかなぁというのが感想ですね。 そして、深夜に開封される手紙。 途中で差出人が、毎月送金をしている浅見君を事故に遭わせた加害者なのはわかりました。 しかし、そこに書かれていた内容は…。 これに関しては、浅見君の返事は真っ当でありそれは当然の事だと思います。 しかしそうなると、彼が言っていたあの言葉がこういう事になるのかと。 「俺は……こんな風に許せない自分を、恥じない」 命こそ助かったものの、元々何の落ち度もなかったのにある日理不尽に左腕を失ってしまった事。 しばらくは外にも出られない程のトラウマを背負う事になった事。 それを許すかどうか、決める権利は浅見君にあるでしょう。 周囲がどうこう言える話ではなく、すでに法の裁きもされたのなら当事者間における気持ちの話のみなのですから。 加害者の運転手も、元々は贖罪として送金を始めた事。 浅見君がいらないと言ってもあくまで自分が償いたいという気持ちから、金銭を送るのが一番誠意のわかりやすい形だったとでも思ったのでしょうか。 全ては自分が罪を償う為であり、以前浅見君にも自分を許す必要はないと言ったのです。 それでも、現在では彼は病気にかかり今まで通りに働けなくなった事。 彼の妻が、その看病とバイトに負われ倒れてしまった事。 その結果、彼の子供達が生活苦の為に進学を諦めようとしている事。 だから彼は、自分が自主的に始めた送金でありこんな事を言える身分でないと承知しながらも願うしかなかった。 自分はどうなってもいいが家族の為に、もう許して欲しい。 ただ一言、許すと言ってもらえないかと。 …そもそも、罪を償うにしてもその形が送金である必要はどこにあったのでしょうか。 手段としてはボランティア活動か何かで、主人公のように身体に障害のある人を助ける活動なりを休日に行うとかでも良かったのではないか? 浅見君はどうあっても許さないつもりなんだから、それでも罪を償いたいなら何か他の方法で還元できないかを考えられなかったのかと。 送金という形にした事も、それを続けると言った事も全ては彼の自己満足と思いました。 なので、私が浅見君の立場だったとしても同じ結論になるでしょう。 「俺は生涯、あなたを許しません」 自分が送金という形を選んで、生涯ずっと1回につきどれ程の金額かはわかりませんが送り続けるなら先の事も見据えて計画するべきだったよなぁと。 しかも子供が3人もいるなら現代ではなかなか収入がないと厳しいでしょうし。 親の罪を子供が償う必要はないと思います。 でも、そう思うように導線をひいてしまったのは間違いなく彼当人ですから。 その結果、倒れてしまった奥さんや子供達はご愁傷様ですが。 ◆感想総括 配信では回収していないエンドも見ましたが、そもそもバイトを受けない場合がただの子供の喧嘩でしたね。 坂田姓にアホって悪口…これ、今の若い子わかるのか!? 一応ネタとしてはバカは駄目だけどアホはOKじゃなかったっけ…?と脱線した事も思い出しつつ。 このルートの場合も、結果的にはバッドエンドのせいかその後坂田君とは連絡が取れませんが…物語の本筋が同じなら何かは起きてるんだろうなと思うとただのギャグで済まないとは思います。 ノーマルエンドは人によっては初見で回収しそうな所ですね。 私は偶然自分に素直に選んだ結果、最後の推理でミスした部分以外は大丈夫だったのか…善人の定義とは?と配信時ぽかんとしましたが。 バック・トゥ・ザ・フューチャーが坂田君の好きな映画だったという事。 これも、お姉さんが好きな映画だったからという点でこのエンドを見た際には繋がるんだなぁと感心しました。 このルートでも、データは揃っているなら坂田君は一番の悪人の所へ行ったかもしれませんしやはり不穏要素はある終わりですね。 とても個人的な感想というか、配信当時思わず取り乱してしまった事として 結果的に話題に対する選択肢を全問正解した結果、善人と言われた事に対してかなり動揺してしまいました。 人によって、最初の質問で過去を選ぶ程度の誤差がありそうかとは思いましたが。 自分は善人ではないと思っているのにそう言われるのは何というか、結構慌てる物なのだなと。 そして、一番の悪人=運転をしていた人 これは推理で当てた通り志賀さんでしたが、他の人の発言も大概後から見ると面の皮…と思う部分はありましたね。 まず、三村さんの言った発言から 「生涯の友人になると思ってた子だから」 もしそう思える位に仲が良かったなら、彼女がここで罪を隠蔽した事でどうなるか予想はできなかったのか? サークル仲間が大事だったとしても、生涯の友人になると思える相手と志賀さんのどちらが大事だった?と。 次に、志賀さんは棚上げして怒った部分もですが 「もしも世間に多く貢献し続ける善人と、世間に害を成す悪人がいたとしたら」 「やはり、善人の命を優先すべきだと思う」 お前が悪人だよ!! 少なくとも、轢き逃げというか死体遺棄までしてこれを言えるとはかなり面の皮案件。 子どもが老人より優先だけならまだ一般論で済みましたが、上記の台詞を人を殺した奴が言っているのはなかなかです…。 最終的に自首をした以上、かろうじて化け物手前だったのかもしれませんが『自分は世間に多く貢献し続ける善人(だから優先されるので隠蔽していい)』 と思っていたとしたら…かなり悪質ですね。 そうでなくとも、その死んだ老人だってもしかしたら素性を知らないだけで実はとても善行を積み重ねていた人かもしれないのに。 宇野さんはもう、そうしてしまった時点で飴玉の話のように自分にも他のメンバーにもそう言い聞かせるしかない…というのが正しいのでしょうか。 浅見君が事故に遭った時の話を聞いた際に青ざめていた事から、罪悪感というか自分が罪を犯した側である意識はあったように感じました。 そして、彼自身は酒が飲めないという事はあの事故の際に唯一素面で、比較的冷静な判断ができた側の人だったのでしょう。 あの場面で飲酒運転をさせたという事は、彼は当時免許を持っていなかったのでしょうが…もし彼が運転免許を持っていたら。 自分以外は飲酒で判断能力が落ちていたのだから最後に止める事ができるのが自分だけだったとしたら。 この辺りだけを抜き出すと罪の意識はあると思うのですが… 「被害者は被害に遭ったことすら、気がついていないんだよ」 「被害に遭った前後で、被害者は何も変わっていない」 被害者は死んでいるから、即死なら自分が死んだ事に気づいてないけど状況そのものは変わっているんだよなぁ…という点が引っかかったでしょうか。 これを例え話として出した時点で、そちら側なんだろうと。 どのみち、仲間が罪悪感から自殺をした時点で思い込むように罪を忘れる事はできないなんてわかっていたのに自首をしなかった時点で上2名と似たようなものなんだなとは思います。 流れとして、情報収集がてらに試されているのは坂田君から見た『善人』である浅見君が悪人に騙されないか?でしたが、浅見君に対する情報が足りない時点では実質プレイヤーがどちらを正しいと思うのかを試される内容と思いましたね。 同じ情報でも、欠けたピースが埋まる事で全く別の意味が生まれるというのか。 もし、最初から浅見君の左手が義手とわかっているなら最初の『話題』できっと彼は過去に戻りたいと選ぶのではないか? そういった選択をしそうでしたが義手の事が判明したのは3日目の段階。 その情報が入った前後で言葉の重み、よくありそうな最初の『話題』ですら実はすでに重たい選択だったという事実が浮上した時にはかなり驚きました。 @ネタバレ終了 主に、時に哲学したり…と書かれている哲学部分を重点的に楽しむ結果となりましたが、あちこちに散らばっている伏線が繋がっていく流れが良かったです。 素敵な作品をありがとうございました。
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噓つき生者と死者の国実況動画としてプレイさせていただきました。 @ネタバレ開始 自分の死因どころか、誰なのかもわからないって大丈夫なのかな?と思いつつ若い男に話を聞いて見たらクラスメイトと判明。 その後に女性に話を聞いてみて、もしかしてここにいるのってその事故の関係者勢ぞろいなのでは…とおじさんの話を聞いて思わず「あちゃー…」となりました。 主人公も事故に巻き込まれたっぽい?ので、その当時どこにいたのか…おじさんの話を聞いた時にまさかトラックの助手席に私がいたのか!?と混乱もしたり。 墓守さんに話しかけてみた結果、生徒手帳の情報が入ったので「無免許運転する高校生はいないはず…」と信じて正解。 しかし、そうなると彼女の言っていた「人間、こういう時に本性が出るっていうけど」というのは自分自身の事だったのだなと…。 それでも、できるなら二人で助かりたかったはずですしトラック相手の時点で状況的には厳しかったというのは思います。 外した際の、痛みを思い出して首を絞められるのもやっと眠れるはずだったのに妨害したせいで永眠させられるのもこちらのミスな分なかなか罪悪感はありました。 墓守さんの弟子になるエンドが一番丸いという意味では好きです。 話し相手がいるなら寂しさも紛れるでしょうし。 @ネタバレ終了 短いながらも楽しめる作品をありがとうございました。
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月下怪談続きから失礼いたします。 下記は4話目終了後から残りの感想となります。 @ネタバレ開始 ◆帰るルート これは最後の話まで聞いてこそトゥルーエンドと思ったので、先にこちらから回収しました。 山の中であり、森であっても麓なら町に出られるかもしれないと決断。 ここまでかなりしつこくアプローチをしてきた割には、イルシィ君があっさり返してくれる反応なのは意外でした。 玄関の扉を開けて、外に出ようとすれば背後から抱きしめられ。 何やら二つ聞いて欲しい事がある様子。 どうやら、道案内役として黒猫がいるらしくこの仔についていけば町に戻れるらしいとの事。 まるでおとぎ話のようですが、帰れる分には問題もないでしょう。 もう一つは、これから言うお願いは絶対に聞いて欲しいという内容。 …これは個人的な感情としてですが 感想をまとめるに辺り、バックログと最新の台詞が出ているゲーム画面を両方確認する作業が入るのですがこのルートに関してだとバックログの際に表示される文面が何とも切ないです。 「僕とあなたの思い出です。何度でも振り返りましょう」 これをまとめている時点で、今回の結末では二度と会えない事を知っているからでしょう。 後でずっと一緒エンドに行くのはわかっていますが、しばしのお別れを。 「二度とこの山には近寄らないで。さようなら、天凱彼岸花さん」 ここがどこなのかわからないのだから、そもそも近寄る以前に戻ってしまえば場所もわからないのでは…? 初見の際にはそう思いつつ、謎を残しながらも黒猫の案内で無事に町へ到着。 ようやく見知った場所に到着した安心感。 そういえばこの場面まで、自分は黒猫の後ろ姿しか見ていないなと正面顔を見て見れば…そこには真っ黒な瞳をした顔が。 全てを知った後から考えると、この猫も殻の一つなのでしょうね。 そして日常に戻った主人公があの屋敷について調べてみれば、近所では有名な事故物件であり。 どのような用途で売りに出されていたのか、何故買い手がつかなくなったのか。 もっと調べれば、現在誰が住んでいるかも全てわかると知りながらも調べるのはここまで。 これ以上深入りをすれば、きっともう二度と日常には戻れないでしょう。 しかし、不可抗力として時々見る夢の中。 そこにはデジカメの画面を眺めるイルシィ君の姿、私が知る限り彼があのカメラで撮影したもの…いや、者は一つだけのはず。 何度も何度も、空気に融かすように私の名前を紡がれて。 私は何度も同じ夢を見続けている。 写真は便利な物でも、二度とあの山に近寄らないようにお願いをしても。 イルシィ君は、本当は主人公を呼んでいるし傍にいたいと思っている。 だから絶対に近寄らない。 知らない方が幸せな事もある、そんなエンドなのでしょうね。 こちらのエンドだと、最後の1話が不明という不完全燃焼はあれど蝋燭の火も聞き終われば消える流れが予想できた事。 そうなれば取り返しがつかない、引き返せない何かが起きるというのは初見でも想像できました。 ただ、トゥルーにおける怒涛の展開を知っているとこちらは随分平和的というか…人としての理性があったのだなと。 設定の本筋としては、トゥルーエンドで明かされる情報と同じ状況でありどういう結末を選んだかの違いでしかないと解釈しております。 でなければ、主人公がどうして気が付いたら知らない森の中にいたのか説明もつきませんし。 明確な分岐も、この選択肢のみで他の部分は共通の設定として話されているだろう事。 「今の僕は」という発言からそうじゃない僕とは会った事があるというのを仄めかしていましたし。 話の構成として見た時も、4話目は実質撒き餌の役割もしていると思いました。 Bという大学生、廃村になった因習村とそれまでの話に繋がるピースが存在している事。 3話目までの段階では気づきませんでしたが、イルシィ君の話はオムニバスに見せかけて実は何か軸になっている物が存在している。 その真相を暴きたいという衝動に任せるか、それともあえて知らないままでいるべきか。 …実はもう、自分が死んでいるという事も含めて知らない方が幸せな事もあるのだなと。 ◆帰らないルート(暗所恐怖症) さぁ、ここからが本番だ!と5話目を聞きましょう。 一晩だけ。たった一晩だけだ。一晩だけ留まったところで私の何が変わると言うのだろう? …全てを知っていると、この発言があまりに状況を軽視していたなと思えますが案外運命の分岐点なんてそんなものかもしれませんね。 という事で、最後は特別仕様という事でイルシィ君の実体験という意外な展開へ。 どうやらこちらも事故物件に関する話という事で、事故物件編パート二のはじまりはじまり。 この話にもこの話における主役であるイルシィ君以外にも登場人物がいるようで、家事代行サービス…家政婦さんを雇っていたとの事。 確かにイルシィ君は見た感じいいところの出身に見えますし、家の事をやってくれる人を雇うのも不思議はないかなと思いました。 お坊ちゃまなら壊滅的に家事に向いてないというのも当然でしょう。 まぁ、この話も実体験である事は事実でも重要な部分は絶妙に隠していたというべきか。 嘘はついてないけど本当の事も言っていない。 後々になれば、そこしか居場所がなかった。 あんな場所でしか生きられなかった。 この言葉の意味がどれ程重たいのか、ショックを受ける事となりました。 そしてやっと出てきた家政婦の女、今回は私の名前は使いたくないという事でAという事に。 ここも、何故今まで意図的にAという仮名を使わずにいたのか?意味はありそうに思いますが読み解けませんでした。 こんな仕事を引き受けるのはある意味似た者同士というべきか、Aはろくでもない人間のよう。 金の亡者であり、ホストに貢ぐ為にどうしてもお金が欲しかった。 彼女の言い分をわかりやすく翻訳したというか、ぶっちゃけよくわかりませんでしたと言いつつ本質をついている感想はさておき。 遠回りで金銭に頼る方法を取る必要がないと言った際の発想は、完全に人間の物ではありませんでした。 確かにイルシィ君はどこかズレている部分はありますが、この話に関しては恐らくほぼあちらの方が語り手を担当していたのだろうなと思います。 そして、主人公に現在恋愛的な意味での好きな相手がいないとわかれば喜び。 この、いた場合にどうしてやろうかと思った。手間が省けてよかったというのも殻の感情はありながら完全にそっちの発想に寄っているなと。 話は本筋に戻り、金の亡者なのはともかく仕事もちゃんとしてくれない上に雇い主の私物を盗んで売り飛ばすという早く警察に通報すべきと言える人だったというのはなかなか救えない。 家が事故物件なので怯えて早く帰りたがるまでは理解できますが、それは人として駄目でしょうと。 そう考えればある意味天罰というべきか、事故物件の怪奇現象が先に狙いを定めたのはAのようでした。 イルシィ君の周りでは何も起きてないにも関わらず、どんどん様子がおかしくなっていくA。 やがて、イルシィ君にも不可思議な存在を感じる事はできるようになってもそれ以上の事は彼自身にはなく。 それと対照的に、Aは見た目にも変化がわかる位にやつれていき見た目から余裕がないのがわかる程に。 見た目だけではなく正気も失っていき会話も成立しなくなり、彼女は何かに怯えている旨を一方的に話すだけ。 要約すると、彼女にだけ見える何かがイルシィ君の体のあちこちについているとの事。 もっと正確に言えば、イルシィ君だけでなく彼女以外のみんながそれに憑かれているのに何てことない顔をして生きている。 いつも暗いところに潜んでいる何か、影になっている場所から音もなく笑ってこちらを見ている何か。 彼女が瞼を閉じられないのも、目を閉じたらそれが凄く近くにいて瞼の裏から自分を見つめているからである事。 とはいえ、そんな影にいる何かを恐れるとなるとイルシィ君の言う通り物理法則として光源が存在する限り絶対どこかに影はできてしまう。 そうなっては仕事どころか日常生活なんてとても送れないでしょう。 そしてまたやってきたあなたの中で用意してくださいのコーナー。 今回はとびきり怖いものを想像して欲しいと言われましたが、ホラー慣れしていると見た目として怖い物には耐性もそこそこあるし…と悩みつつ。 結局自力で決めるとギャグの流れになってしまったので、無難に血濡れの武器を持ってホッケーマスク(返り血付)を被った殺人鬼を採用しました。 重要なのは、自分にとって一番怖いと思う存在が自分の身の回りで影になっている場所からいつまでもこちらを見つめてくるという恐怖を想像する事。 Aに見えてるそれの姿の正解はわかりませんが、Aが常にそういう状態にあるという事がここでは重要な部分な以上。 しかし恐怖の対象が影にいる以上、影はずっと自分の足元に付きまとうしどうしようもない。 だからといって、光源のなくなる夜の方がもっと酷い状態になるらしく夜になる前に早く帰りたいと言ったかと思えば帰りたくないともはや発言は支離滅裂に。 結果的に、家が大きく使っていない部屋もあったという事で住み込みをさせる事に。 果たして彼女が自室でどんな状態なのかを確認してみれば、部屋の中にあった家具は撤去され四方八方に設置された簡易照明のせいで眩しい事に。 さらに自分の体にもしっかり光源が当たるように生身の状態で照らされているという異様な光景が…。 ここまでしてもまだ文句があるらしく、正確にはまだそれでも影になる場所が存在すると気づいてしまったと述べるA。 大体の生き物は光を遮断するための皮膚を持って生まれてくる。 だから皮膚の裏側である血管の中はどうなっているのか?永遠に夜であり、だから影を好むあれは生きているものが好きなのだと。 これはなかなか面白い表現という感心の方が先にきましたね。 確かに皮膚で防がれている以上血管もですが内臓だって光が当たる事はない。 だから人間は文字通り誰しも闇を抱えて生きている。 いや、確かに考え方としては面白いけどそうなるともう対処法はないのではないか…? あまり考えたくないけど、体内に光を当てる方法があるなら…と思えばやはりというかAは包丁で自分を切り裂き始めてしまった。 確かにそれで体内も部分的に照らせるかもしれないけど、先に出血多量で死ぬからね!? というか、完全に開きにでもならないと無理じゃないかな…と思いましたがそれを実行されても困るのが率直な感想。 これにはイルシィ君も、誰が後で掃除すると思ってるんですかね?と呆れた調子。 もう仕事をしないどころかただ家の一部を占領するだけとなったAを早めに追い出したいと思うも関わりたくないという切実なところ。 それ以前に、さすがに自分を包丁で切り裂いたら先に死んでないか?と思えば生きてるようでメールのやり取りはしているらしく。 やり取りと言っても、ほぼ向こうから意味の分からない内容が一方通行で届くと言った方が正しいようですが生存確認はできているもよう。 そして、彼女から送られてきた最後のメールには「あっ」と思わず意味がわかると事件しかない話の気配が…。 「私を光源にすればいいんです」 人間は自力で発光できる生物ではない。 そうなると実行できる手段なんて限られていて、何処からともなく焦げ臭い匂いが運ばれてきたというのでそれしかなかったのだなと項垂れ。 Aの部屋に行ってみれば、やはり光源になる=火だるまになるという意味で正解だったらしく。 雇い主の家が全焼するといけないからせめて外でやってくれないかな!?という常識も通じない状態なのでしょうね。 (そもそも、火だるまになっても内臓まで光は届かない気はやはりあり) そんな事故現場を見ながら、地獄ってあんな感じなのかな等と考えるイルシィ君はある意味達観していると表現すべきなのか。 何はともあれ救急と消防に連絡を入れ火事騒動は解決へ。 幸い被害はAの部屋周辺だけで済んだのがまだ良かったというべきか。 Aはどうなったと思う?と聞かれれば、さすがにこれは死んだような気もしますがワンチャン重症で奇跡的に生きてる可能性があるかどうか? 答えは…何故か時刻が翌日へ変わり。 インターホンの音から玄関へ向かえば、レンズ越しに見えたのは包帯だらけなAの姿。 全身の皮膚が包帯で隠れているので、顔もわからない以上Aっぽい人という表現をされていますが…前日火だるまになった人がワンチャン生きていたとして歩けるのか? 同じ疑問をイルシィ君も持っていたらしく、すぐに退院できるなんてありえない。それ以前に退院が許されるような状態でないのは今見えている姿から判断できる。 中に入れて欲しいと言われても、普通なら絶対に扉を開けてはいけないとわかる状況でしょう。 しかし、イルシィ君は何故か家に招き入れてしまった…。 ここで、左側でその事に対し「馬鹿なイルシィ……」と述べているのは完全にあちら側の人格でしょう。 あちら、あれ、名前を言うのはあえて避けてきましたが…恐らく、れいでら様と呼ばれた影のようで黒い靄のような存在が。 玄関に入ってきたAは、傘立てにあった傘を使いイルシィ君を何度も刺して逃げようとしても上手く逃げ切れずに右目を抉られてしまった。 そこでイルシィ君の意識は途絶えたところでお話はおしまい。 だけど、その後に色々あったので現在は生きていると自称する。 ◇そして全ての蝋燭は消える さすがにバトル漫画の登場人物でも体に穴を開けられたら死ぬのに、イルシィ君のそれは絶対生きてるのがおかしい状況です。 そう考えるなら、実体験に嘘を入れた創作と言われた方がまだ納得はいくのですが…。 しかし、言われてみれば彼の右目はずっと前髪に隠れているのでどうなっているかを私は知らない。 5話目を聞くまでは、そういうファッションだとしか考えていなかっただけに。 そして全ての話を聞いた今なら、主人公も今まであったおかしさの部分を話せるようになる段階に到達したようで。 問題はそれを話すべきなのか、黙っているべきなのか。 自問自答する間もなく、選んだ選択は真実を知る事でした。 今までの話は全てが繋がっており、特定の時系列で起きた出来事だった事。 物語の舞台は村と家の二つに分類され、家は全て事故物件があったという家であり村はかつての因習村だった事。 今までの話で説明不足な部分があったのは、意図的にそうする事で同じ舞台である事を悟られないようにする為。 頭の中でこうだったのではないか?という仮説が主人公の語りによって一本の線へ繋がっていく。 そして出された、今目の前にいるイルシィ君は姿こそイルシィ君でもその中身は全ての話を見てきた当人のれいでら様であるという結論。 とはいえ、あくまでこれはイルシィ君の話した事が全て真実であればというのが大前提であり彼の話が創作ならば成立しない妄想にすぎず。 彼の反応を待てば、最初は困ったような反応を見せるも普通に正解と言われ…。 「――だけど、もう時間切れ」 最後の話が終わった以上、蝋燭が消えるのはわかっていたことながら光源を失い口元と手元しか確認できない目の前にいるはずのイルシィ君。 暗闇の中で、段々とこちらに近づきながら悪趣味な仕掛けと思った事が実は忠告だったと告げられて。 今までの怖い話に私の名前が使われたのは、間接的に助かる方法を教える為だった…? 「今までのは怖い話ではありません。全部僕の楽しい思い出話です」 「確かに前のイルシィは死にました、というか僕が殺しましたけど」 やはり目の前にいるのは見た目はそうでも、イルシィ君の姿をした中身がれいでら様な存在で確定か…。 こうなればもう、やはりというべきか逃げの一手しかない…! しかし、主人公が向かったのは階段の方向で。 本来なら玄関から外へ出たいけれど、追跡者がいる以上その場しのぎでも前に進むことしかできないのがもどかしい。 こちらは全力で走っているのに、あちらはあえて追いつかないギリギリの速さでついてくるという明らかに楽しんでいる状況。 だから身を翻してすぐ傍まで追っていた彼に勢いよくぶつかれば階段から転げ落ちていく音が。 結果、そこに転がったのは首が直角に折れ曲がった…人間ならばまず生きていない状態の姿をした彼で。 人を殺してしまったという客観的事実に、これは正当防衛だったのか過剰防衛だったのか自問自答をしていれば 「あーあ……ひっとーい」 どうみても人間なら生きていない状態のはずなのに起き上がった…!? しかも首が曲がったせいで今まで隠れていた右目の位置も見えており、話にあった通りそこには本来あるべき物がない。 再び逃げるしかない状況。 思わず逃げ込んだ部屋の中を見ればそこには鳥居が……。 話の中では誰が用意したのか不明だったそれは、肝試しから生還したBが神頼みしかないと自作した物であると判明し。 なのに皮肉なのが、この山にいる神こそがBの命を狙っているれいでら様だったという事。 救いを求めたいのに、その神こそが自分の命を狙っているとは本当になんて美しい皮肉なのか。 そして神を自称するそれは、せっかく鳥居の前にいるのだから叶えたい願いはないのかを聞いてきて。 限りなく気まぐれからに近いだろう思い付きで、たまにはお願いを叶えてみるのも楽しそうと思っているのが今の状況に不釣り合いで。 扉を思いっきり開けば向こうも予想外だったのか、ドアにぶつかり隙が生まれた。 この間に今度こそ玄関から外へ、今度こそ外に出なければ…と思ったのに。 ノーマルエンドでは知らないままで終われた真実。 実はすでに主人公も死んでおり、れいでら様の配下になっていた事。 意識が消されていないものの、体は本来ならば自由に動けないという事。 その言葉の通り、体は勝手にイルシィの後に続いてどこかへ歩き出し自分の意思では動かす事はできなかった。 もうすでに体が支配下にある以上、意識という自我は残っていても逆らう事なんてできない。 たどり着いたのはイルシィの部屋で、ベッドで彼の隣に腰を掛ける形に。 彼の機嫌を損ねれば何をされるかわかったものではない。 かといって、ご機嫌を取りに行くのも嫌となれば何が正解なのか? 結局今後自分はどうなるのか?質問を質問で返す形になればこちらの体を両の腕で拘束し、頬に口付けを。 その事を認識するよりも先に、頬に当たる感触は柔らかい物から硬い何かへ…何が起きているのは認識すれば最後。 あぁ、今私は食べられてるのか? 痛みは、自分に起きている事を認識した途端に襲い掛かるとは言いますが例にもれず頬に開いた穴からの痛みに苦しむ事に。 どれだけ抵抗しようにも自分を拘束する男からは逃げられない、彼が今の行為に満足するまでただこの状況に耐え続けるしかない。 普通の人間ならば気が狂いそうな、だけどどこか色情を感じずにはいられない。 食べてしまいたい程可愛い、好きな人を自分の中に取り込む、そんな理屈でなく目の前にいる彼は人外だからこそ人間である主人公と愛情表現の認識が噛み合わない。 彼にとっては、これは恋人同士でしかしない行為だと思っていて。 どこか偏った…人間から見れば間違った知識で愛をぶつけられている。 もうすでに、彼の配下となった体は齧られた頬だって元に戻ってしまう。 心は人間のままでもすでに自分の体も限りなく人間ではない何かになっている。 だから彼にとって、いくら乱暴をしても治る事がわかっているのだから軽い気持ちで首に指を入れられて通常人間が生きていれば触れられる事のない頸椎に爪を立てられる。 やはり人の姿をしていても目の前にいるのは神と呼ばれた人外だと思う瞬間。 蟻を潰して何回耐えられるかをやってみたと言っていたけど、恐らくそれも本当は人間ではなかったのか? その際に感じた可愛いという感情と同様に、苦しむ様に愛おしさを感じられている。 少しでも楽になりたいなら、もう私に残されたのは目の前の怖い人が言えと指示する言葉を発するのみ。 そして彼が満足したところで、これから永遠に彼にとって様々な存在を兼用しつつ一緒に暮らすという実質の死刑宣告。 …死ねない分、ある意味死ぬよりも辛い事なんでしょうね。 主人公からすれば、何故気に入られたのかもわからずひたすらに理不尽でしかない。 だけど、人外から向けられる愛情が人間と同じ表現とは限らないんだから仕方ないですよね。 ◇回想 回想が始まったのは想定外だったというのが正直なところでしたね。 その手前で終わっても種族が違うからこそ、理不尽さがあってもこんな終わりもあると美しさは感じましたが全てを知るには足りなかったというのも事実。 まだ生きていた、イルシィ君の過去。 彼が病的に白かったのは元からであり、この頃は美しい瞳の色をしていたのだなと。 現代のように医療が発達するという事は、病弱な体であっても延命がされるという側面もある。 資金的な問題さえ解決できるのなら最新の治療を受ける事だってできる。 それが彼にとっては、何もできないのに生き続ける事が苦しみの原因となってしまった皮肉。 親戚の葬式に出た際に次は病弱な自分の番だと信じていた。 死が救いとなり、大事な人に見送られながら終われるのだと信じていた頃が幸せだったというのが何ともやるせなさを感じます。 けれど、確かに本来は親の方が順番が先とはいえあまりにも早すぎるタイミングで両親を亡くしてしまった上に事実上弟にも見捨てられる事となり。 そこしか居場所がなかった。 あんな場所でしか生きられなかった。 彼が実体験を語った際、詳細はぼかしながらも語った中に見え隠れしていた真相。 都心よりも自然が豊かな場所で療養をした方がいいと提供された家は有名な事故物件であり、それは弟に自分の死を望まれているとしか受け取れなかった。 だけどその時のイルシィ君には他に行ける場所もなく、自分でも己の死を待ち望んでいたからこそ受け入れるしかなかった。 人ではないもの、自分の意思とは関係なく殺してくれるもの。 本来であればそれに命を奪われるのはあまりに理不尽だと叫ぶべきものなのに、そういった感情すら起こせない状況まで追い込まれていたというのが何とも痛ましいです。 5話目の際に出てきたAは家事代行サービスではなく介護員で。 家事が壊滅的にできないというのも、世間知らずの坊っちゃんだからでなく病弱だったからというのが真相で。 Aは金の亡者であり手癖の悪さは実話であったけれど、死を待つ自分はもう者に執着する意味がないとそこに怒りすらなかった。 理由も目的も見当たらなくとも、どうせ長くない命なら好きな事をしてみたい。 そう思っても、車椅子での移動ではろくに舗装もされていない山から町に行くだけでかなり疲労をしてしまい。 きっと、健康な体であればできたであろう勢いからの行動すらままならないという現状。 イルシィ君は確かに年齢だけでいえば成人はしていても、その大半を病院で動けないまま過ごしたのだから本来ならこれまでの過程で欲しかったはずの物を求める権利だってあったはずなのに。 もっと正確に言えば、欲しいものを求める事に年齢は関係ないはずなのに。 普通の日常を過ごす誰かにとって当たり前の物が、場所が、経験が、その大半が彼にとって得られないまま過ぎてしまった事で。 そんな外から逃げようと、家に戻ろうとしたのに突如調子が悪くなる体。 思わず溢れた笑いと共に喉の奥から這い上がってくる血液。 今日が人生の終わりなのかと思っても、流れるような走馬灯も存在しない。 流す思い出もないと感じてしまう自分の人生。 それならば、眼鏡を落として視界が悪くともぼやけながらも今そこに映るオブジェクトを眺めていようと。 すると、目の前に見える黒いモヤ。 正しくは、彼の今の視界からでは色しか識別できない人間がいて。 その人は、吐血する彼を見て救急車を呼ぼうとするもどうせ呼んでも意味はないと拒否をされ。 それでも救急車を呼ぶために電話をしていた。 どうせ時間の無駄なのだから、自分の事なんて忘れて何処かに行って欲しいと言ったのに。 なんでと疑問をぶつければ 「だって、助けてほしいって顔してるじゃないですか」 そして手指に触れる誰かの温もり。 自分以外の熱に安らぎを得ていれば、気付いた時には病院に運ばれていた。 退院後、あの時の事を考えながら自分の気持ちの正体を考えてみればそれは彼女を好きになったのだとAに指摘され。 そんなつもりで話した訳でもないのに、恋に落ちたのだと認めてしまうのもどこか癪で。 もし、これが恋だと認めてしまえば自分はあの時彼女が言っていたように誰かに助けを求めているという事になってしまう。 それに、元より後のない自分と付き合えたところでそれは相手の時間を無駄にする行為なのではないか? 告白なんて、月が綺麗ですねすら自分に言う資格はないのだから。 そうやって自分の感情に言い訳をしながらも突然終わりはやってくる。 5話目で、自ら光源となり入院したはずのAが何故か家にやってきたあの日。 不気味に感じながらも見捨てられずに扉を開ければ、傘で体を貫かれていた。 理由はどうあれ、本来は待ち望んでいたはずの死がようやくやってきたのにまともに動かない体は廊下を逃げるように這っていて。 本当にもう自分は助からないのだと知った時、それまで我慢していたはずの事が…後悔が本当は存在した事を理解して。 もう叶えられないのに、自分にもやりたい事があったという事が喜ばしかった。 やっぱりまだ生きていたかったんだとようやく思えた。 何もできない自分が嫌で、やりたいと感じた事の殆どに手は届かなくて、希望を見上げる事ができなくなり下ばかりを向いているのが楽になってしまっていた。 なのに本当は死ぬのが怖くて、生きているうちにやりたいことばかり膨らんで、未練がましく呼吸を繰り返す。 本当は誰かに、生きていてもいいと肯定して欲しかっただけだった。 自分はただ資材を食い潰すしかないから生きていてはいけないと自分ですら否定をしていた自分の事を。 弟に、事実上死を求めるかのように見捨てられた自分の事を。 だからあの日、自分を助けてくれた彼女に恋をしていた。 彼女にとっては大した事じゃない出来事だっていうのも理解をした上で、それでも嬉しくて。 また生きていて欲しいと思われたくて。 眼鏡を落としたせいで、名前どころかその顔もわからない彼女。 憶えているのは声と手の温度だけ。 大まかな色と形しかわからない。 せめて、ありがとうの一言位は伝えられたら良かった。 そして現実に引き戻され、すでに死んでいてもおかしくない状態にも関わらず何故か生きている事が不思議で。 目の前にいる女はAの姿をしたAではない、悪魔という表現が相応しい存在だった。 さらに恐れるべきなのは、願い事がないかを聞かれた際にほんの一瞬考えてしまった事を向こうは読み取ってしまったという事実。 あの人の顔と名前が知れたのなら、どんなに素晴らしいだろうなって。 イルシィ君のあまりに無欲で、清らかで、純粋な願いは最悪の形で叶えられる事になってしまう。 悪魔は少ない情報から、本当に彼女を見つけてしまい再びイルシィ君と再会をさせた。 殻の感情に引っ張られるように、悪魔もまた彼女の事を気に入ってしまった。 だから彼女は、結果として世界で一番不幸な人となる。 泣き疲れて反応をしない彼女を膝に乗せ、頭を撫で。 かつてイルシィ君が自分には伝える資格がないと言った言葉を、悪魔はそっと囁く。 「月が綺麗ですね」 ◆感想総括 まず、怖い話を聞いていくゲームとしてそれぞれの話が面白かったです。 途中何度も触れた通り、イルシィ君の語り方や単体では唐突な終わりと思わせながらも最終的に一本の線で繋がっていく構成の巧さ。 怖い話を聞くというテーマにおいて、語り手の与える印象がどれ程重要なのか? 作品の色を出すという点でどれ程大事な事なのかを再確認できました。 4話目でようやく繋がりがある事には気付きましたが、実は舞台となっているのは実質二ヶ所であり時系列も存在していた事。 あえて同一の対象でも表現を変える事で先入観等から印象を操作し、悟らせないようにしながら5話目を聞いた後に主人公の推理で説明されていく爽快感。 それが怖い話としての繋がりとしても綺麗で、同時に話の中や幕間に挟まれるイルシィ君の発言から物語全体における伏線も持たせていく。 5話目の後、回想前の時点でも理不尽ながら美しい終わりとは思いましたがここから回想を入れる事で今までのホラー要素の真相が見えてくる事。 何故、主人公が名前を教えた際に壊れたように連呼していたのか? 何故、ずっとこちらを見続けていたのか? 生前の彼にとっては主人公の名前を知る事はできず、眼鏡がなかったせいで顔もわからないままだったから。 だからこそ、ようやく再会できたのだから今度こそ刻み付けるように覚えようとしていた。 だってそれが本来の死に際に願った事だったのだから。 後半は恋愛9割というのも納得です。 ノーマルエンドは知らない方が幸せな事もあるという終わりでしたが、トゥルーエンドを踏まえるとまだイルシィ君の支配が勝っている状況だから抵抗ができた終わりとも言えますね。 本来の彼は、ただ顔と名前が知れたらそれだけでよかったのだから。 夢を通して呼んでいるのは殻に影響された悪魔の好意を含んでいても、それでも逃がす事を選べたのなら純愛なのかなと。 しかし、せっかく最大で5話ある怖い話が聞けるという事や4話目の時点で見えている疑惑を確信にするにはトゥルーエンドを選ぶしかない。 全ての真相がわかるという意味でも解決編であり、始まりを含め全てが回収されていく。 生前のイルシィ君が考えていた通り、主人公にとってあの時助けた事は本当に大した出来事ではなかったのでしょう。 それでも、初めて自分の生を肯定してくれた事への嬉しさ。 事実を理解しながらも恋をしてしまう感情。 それは否定されるべきものではないし、以前のように病弱な体ではなくなったから沢山の時間を共有できるようにもなった事。 結果的に、手に入らないものが多すぎた彼の人生でようやく手に入れたのが主人公だったと思えば…まぁ仕方ないよねと。 主人公視点恐怖の追いかけっこも、本来は彼がやってみたかった事の一つだった訳で形はどうあれ望みは叶っているんだなぁと。 人外と人間における価値観のズレ、それ単体でもなかなかおいしい要素ながら殻の影響を受けているという実質これって主人公を巡る悪魔とイルシィ君の三角関係なのではないか?という状態な事。 おまけを見るに、殻となったイルシィ君の意思が残っている訳ではないとありましたが彼本来の影響が強く出ているかどうかでどちらに転ぶのか?は変わるのではないかなと感じました。 個人的には、イルシィ君と悪魔両者の主人公へ向ける感情を合わせヤンデレというよりは純愛の方が表現としてはしっくりきました。 問題は、人外には人間をどう扱うのが正解なのか?価値観の違いも含め難しい部分はあるので主人公の受難は続くのだろうなという点がありますが。 そして、回想場面から画面のサイズを調整した際にそれまであった目がなくなっていた事。 これは視点が見られている側の主人公でなくなったからで、何故メニューのアイコンが月だったのかも全てはあの言葉に繋がっていたというのが好きです。 @ネタバレ終了 個人的な感想ながら繰り返しとなりますが、私の判定ではヤンデレでなく純愛でした。 怖い話を楽しむもよし、ただし…何事も用法容量にはご注意を。 システム面も含め、細かいところまで作りこまれているのも世界観の構成として素晴らしく小ネタを探しに色々確認してしまいました。 とても感想が長くなりましたが、素敵な作品をありがとうございました。 最後はこの言葉で締めくくらせてください。 「ずっと月を見ていましょう」
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月下怪談配信にてプレイさせていただきました。 フェス期間滑り込みでプレイ&感想投下が間に合うか心配だったのはありましたが、絶対にこれは面白そうという直感から手を付け楽しませていただきました。 時間云々と言いながらも癖に刺さった為、長文感想になると思われますがご了承ください。 気が付けば知らない森の中、止まない雨と雨宿りにおあつらえ向きな洋館。 森の中で偶然出会った雰囲気だけなら神秘的で美しいのに、喋ると一気に残念な美人になってしまうイルシィ君に雨宿りの間怖い話をしてもらう。 雰囲気だけでも充分怖い話に向いている状況ですが、他にも恐怖を演出する要素もありそれぞれ語られる話も良いのですが…是非ともこれは後半の恋愛9割まで味わってこその作品と思います。 @ネタバレ開始 メタ的ながら、イルシィ君に雰囲気のある場所に来たので怖い話をしようと提案された際。 何故ホラー系の作品では登場人物に都合良く怪談のストックがあるのだろうか。 私はホラー作品の登場人物ではないので人に語れるような怖い体験も物語も手持ちにない。 の部分に、自分は物語の外にいる傍観者であるという意識でいる点に薄く笑みが零れました。 聞き手に回るだけであるにも関わらず、ホラー作品の登場人物…具体的には危険と隣り合わせの状況には成りえるのに、と。 (怪談をする/聞く行為そのものが霊を引き寄せる行為であるという事と、メタ的に主人公の立ち位置がわかっている事の両面から) 名前を教えるシーンでは、性別が女性という事で素直に自分の名前を入れました。 その結果、話が進むにつれて4回程残機を失う事とはなりましたが。 そんな事を知らないまま、入力が完了すれば壊れたように私の名前を連呼するイルシィ君。 物語を最後まで知っていると見方の変わる典型ではありながら、初見ではホラー演出としての面が強く感じました。 ホラー演出という部分に関して言えば。 配信の性質上、全5話が存在する事を知っていた為途中でパートを分割する為にシステム画面を開いたのですがここも月と目で彩られた演出がとても光ります。 各メニューを選んだ際のテキストもイルシィ君から語り掛けられているような一文が添えられ。 システム→白い枠に対する黒い印(どこを選択しているか)が目玉で、テストとして出る内容は「早く逃げてください」という警告。 自動→「手を離すのは許してあげます。ずっと見ていてくれるなら」 早送り→「早いですね。僕はゆっくりあなたとお話したかったのに」 セーブやロードも言うまでもなく…。 ノーデータなのに、こちらを見る目が縦に並んでいる図は背筋に冷や汗をかかせるには良い演出ですね。 そして今回、感想を書くにあたり画面サイズを調節した際に気づきましたが本来真っ黒な空白になるはずの部分にもびっしりとこちらを見る目が…。 こちらが視認せずとも、影に隠れた目にはずっと見られていたと知った時の感覚はなかなかのものです。 ◆灯りの消えない家 近所迷惑な人、という出だしやその具体例から隣の家が何かしらトラブルの原因で恐らく人怖系かな?程度に軽く予想。 本題に入る前に、この話の主人公の名前をどうするか…から、まさかの自分の名前が採用される流れは予想外でした。 せいぜいこちらの名前を呼ぶ場面で使用される程度と思いきや怪談に参加型となってしまうとは…と、この時点で自分の名前にしたのを軽く後悔しつつ。 イルシィ君としては悪気もなく、純粋にこちらの名前を気に入ったから使いたい程度の気持ちに見えますが主人公の言う通り十中八九ろくな目に遭わない怖い話の主人公の名前にされるのは正直気分がいいとは言い難い。 まぁでも変えるつもりがないなら言っても無駄だろうと、話に出てくる彼岸花さんが犠牲になるのを想定しつつ聞く姿勢に戻りました。 対して、隣人というこれから迷惑行為を行うだろう人の名前に関しては適当で良いとBと命名。 Bがどんな人物なのかの説明についても『髪を金髪に染めたチャラい男』で済みそうな所をやけに掘り下げに行く印象でしたね。 結論は上記の通りで概ね間違いはなさそうなのに、いかに軽薄そうであり底の浅い人物なのかを強調していく。 名前に関する扱いは適当な割にそこには若干の温度差がありました。 当初は、イルシィ君がそういった人物を嫌っているからこのような表現をしているのかと思いましたが…これも後になると印象が変わる部分ですね。 さらに初見ではあまり気にしなかったのですが、Bがよくいる怖い話で心霊スポットに行き酷い目に遭う大学生グループの概念を擬人化したような存在と言った事。 やはり当然のようにBも友人と心霊スポットへ肝試しに行ったという事。 その後に、オチがわかったところで仮定の話をしましょうか。という部分が果たして何に対してかかっていたのか? 当初は、タイトルである『灯りの消えない家』の原因(心霊スポットで酷い目に遭った故のオチまで)にのみかかっていると思ったのですが、それだけではなかったというか…。 後にもう一度、この過程と言える話が出てきた事を思うと。 隣人であるBは肝試しから帰宅後、常に家の電気を全てつけるという生活をしていた。 偶然で済ませるには不自然な、こちらが偶然いつBの家の方を見ても常に灯りはついている。 肝試しに行った関係から、自分が通る場所の電気は怖いので消せないとか寝室はつけっぱなしにしてしまう程度なら理解はできるのですがどうにもその範囲を逸脱しているのは異常でしょう。 さらに部屋に閉じ籠るという明らかに何かに怯えているとしか思えない挙動もしている。 大学生グループという表現がされていた通り、本来なら通学の為に家を出なければならないのにそういった事もなくなった。 さすがに、ずっと全ての電気をつけて引き籠っている=もう死んでいる とまでは思いませんでしたが、本来なら自分の足で買い出しに行くのを宅配便により物資の補給を解決しているのもやけに徹底している印象。 常に明るい場所にいたがるのはともかく、霊的な物を恐れるのなら人のいる場所の方がある意味安心できそうな気もしますが…。 そして、宅配便以外にBの家を訪れる訪問者。 年齢はBと同じ位の大学生でありイルシィ君としては彼らの様子を事細かく教える必要性はあまり感じられないとやはりあまり興味がない印象。 だからといって、突然頭の中で大学に行ってそこで二人の年若い男を捕まえてみてくださいと言われるのはまたもや予想外すぎました。 頭の中で行ってみようにも私…大学行った事ないからわからないんだけど…と困惑しつつ。 最初は大学という言葉から思いつく特定のキャラクターで想定しようと思いましたが、各方面から怒られそうと思いBの色違い(2Pカラーと3Pカラー)でいいや。と決めました。 「あなたが獲ってきた人間を彼らとしましょう」 「……捕獲できましたか?」 「できたのなら、彼らをちょっとボロボロにして…」からの状態を悲惨な感じにしておいてくださいというトッピングの指示。 まさかホラーゲームというか、怖い話を聞くというシチュでこのようなやり取りをする事になると思わなかったというべきか、それなりにホラーはやり込んでいると思っていましたがさすがに初めての体験でした。 それ以前からイルシィ君が語り手として彼の個性を交えつつ進行しているとは思いましたが、ここで完全に腹筋を持って行かれたというべきか。 怖い話を聞くというゲームは確かに数あれど、語り手の個性を絶妙に混ぜながらちゃんと話の本筋はホラーとして進行していく。 この観点においては明らかに他とは違う飛びぬけた個性を感じずにはいられませんでした。 とにかく、重要なのはその酷い様子の大学生であろう二人が毎日時間を問わずBの家に来訪していた事。 Bは彼らに対しては応対する事がなかった事。 隣の家で玄関の扉を毎日叩く音が続けばそれは確かに騒音問題として困った物だろうと思いきや、それだけでは済まない異常性が。 …自らの爪で来客を知らせてきたことも多々あった? 音で来客の存在を伝えるのなら、爪で扉を引っ掻くよりも叩いた方がより効率的でしょう。 実際、何度も限界を超えた力でガリガリと引っ掻き続けた結果彼らの爪は剥がれ落ちてしまい。 それでも気にせずに引っ掻けば、血のせいで扉は汚れていく。 わざと血で汚す嫌がらせにしても、その為にわざわざ自分の爪がはがれるまで執着する必要性とは? ただ玄関の扉を汚してやりたいだけならそれこそ例えとして出てきた赤いクレヨンや口紅で充分でしょう。 落ちにくさもあり入手もしやすいというならペンキでもよく。 初見の際には状況の異常性に思考が割かれさほど疑問に思いませんでしたが、彼らは来訪の度に爪が剥がれ落ち次の時までにはまた爪が元通り生えそろっていた。 通常指爪の場合短く整えてから次の爪切りを行う目安までが大体一週間と思うと、人間にしては生えそろっているまで回復するには早すぎる。 そして、訪問の度に剝がれ落ちた爪はBの家付近に溜まっていくというのも気味の悪さが強い。 遠目から見れば季節外れの桜吹雪であり、その実態は大量の人間の爪というおぞましさ。 庭先の景色でしょうか、様々な花の咲く背景をバックに語られる主人公が血の付いた剥がれた爪を踏んでしまう不快感を煽る描写。 一度経験しただけでも悲鳴が出そうなのに、これが日常生活では珍しくない出来事というのがすでに狂っている。 とうとう耐えかねた主人公がBの家に行った際も、靴の下の不快な感触と音という描写からBの家に近づく程爪を踏みつける不快感を味わうという事を意味しており。 それでも直接話を聞きに行かなければ何も状況は改善されない。 あっさりBが玄関の扉を開いたのは少々意外でしたが、精神的に参ってしまっているのか話は通じない様子。 「電気を点けていないとあいつらが入ってくる」 辛うじてまだ意味のある言葉として聞き取れた台詞。 あいつらは恐らく心霊スポットで怒らせてしまった霊的な物であり、そういった物が光を恐れるので電気をつけているのはわかれどそれだけでは全ての解答にはならない。 姿こそ悲惨であれど、恐らく来訪者である大学生二人はBと肝試しに行ったグループのメンバーでしょうし何かしらそこで揉め事があって連日来訪しているとは思っていたのですが…。 どのみち、このままここに住み続けるより引っ越しを選んだ主人公。 荷造りをしていれば、突如住んでいる地域で停電が。 昼ならばまだしも夜に停電となると何かと不便だなぁと建て前を述べながら…これは絶対Bに何かが起きるだろうと期待しかありませんでした。 案の定と言うべきか、Bの絶叫が聞こえ…その後は再び静寂へ戻っていった。 電気の明かりがなくなった以上、彼の言っていたあいつらがきたのでしょう。 そして、いくら絶叫を聞いたとはいえこの状況で隣家に駆けつけるというのも危険でしかない。 生命として感じたのであろう嫌な予感。 闇の中で感じる、微かな足音に人の気配。嫌な予感を裏付ける判断材料はすでに足りていたのだから。 それに一般論を足すのなら、夜の光源のない時に隣家までとはいえ外に出るのは危険ですからね。 翌日、太陽の出ている時間になりあれからBがどうなったのかを確認する為訪問する主人公。 確実に何かがあったとはわかっても、それを確かめたいと思うのは親切心なのか恐怖を否定したい心か好奇心なのか。 さすがに昨日の絶叫を断末魔と表現していた事もあり生きてはいないだろうと思いきや、Bは出てきた? しかも、それまでとは違いやけに饒舌な様子でここ最近でやつれてしまった結果から出る身体の様子に変化はなくとも意外と元気そうと言うべきか。 いくらなんでも昨夜の様子から何もなかったという事はありえない以上ここから想定できるのは…と思えば、奥の方からB以外の人間の声が聞こえてくる。 Bの家はなかなか大きかったはずですし、目視できない奥の部屋に客人がいるのはまだわかります。 けれど、それまであんなに家中の電気をつけている事に固執していたはずのBがあの停電後から家の電気をつけていない。 明るい時間なら窓から入る太陽光で足りるのでつけない家もあるでしょうが、Bはいつだってつけていたはずなのに。 そしてこちらが、奥にいる誰かを気にしているのに気づいたBは客人であろう人物に声をかけ。 素足でフローリングを歩く音がこちらに近づいてくる…。 近づいてくる、誰かの足元が見えた時点で自宅へと逃げ帰る主人公。 先程見えた誰かの素足。 爪の中にまで入り込んだ泥、細いカサブタが何本も走った肌。 …果たして、人の家に上がり込むのに素足はまだしもそんな汚れた状態で入るのだろうか? 先程見た何かの正体を考えていると鳴り響くインターホン。 リビングにあるモニターから外を確認すれば、そこにいたのはBと今まで何度も来訪をしていた大学生であろう二人。 昨日まで拒絶していたはずなのに、何故仲良しになっているのか? もし、先程奥からこようとしていたのがあの二人だったとしたら? Bはすでに本物ではなく、何かに憑かれてしまったか別物になったのか? 等と考えていれば、覚えていたけれど思い出したくもない情報がイルシィ君から反芻されます。 「Bが教えてくれた言葉をあなたは覚えているでしょうか?」 「電気を点けていないとあいつらが入ってくる」 だからBはずっと電気をつけていた。 なのに、それをしなくなったという事は…。 そして、人間の習慣というそれ以上に日常感があるからこその恐怖でしかない通告。 主人公はBの家に行った際、家の電気をつけっぱなしにする人だったのか? 家に逃げ込んだ際に、鍵をかける事は思いついても電気のスイッチを押す事にまで気が回る人だったのか? 答えはどちらもNOであり。 もし、主人公がBの言葉を覚えていてもきっと彼女は自分が命の危機に直面する物語の登場人物になるとは思っていなかったでしょう。 ただ前日、絶叫をしたお隣の様子を…被害者になったであろう人の様子を見に行っただけの観客でしかない。 何より無意識に染みついた習慣というのはコントロールができない以上、家を出た時点で電気がついているはずなんてなかった。 Bの様子が明らかにおかしかった事や奥からきていた誰かの足。 恐怖する要素はあっても、Bは被害に遭っても自分が被害に遭う理由なんてないと思っていたでしょう。 いつ、自分の身に何が起きるのか。 ただの傍観者や観客なんてどこにも存在しない。 一般的には事故であり天災の方がありえるでしょうが、心霊現象もまた例外とは言えないですね。 ただの近所迷惑な人怖系かと思えば、がっつり霊現象も絡め笑える要素もありながらしっかり怖く締めくくる。 一話目にしてなかなかいいお話でした。 ◇1→2話の幕間 よくある事ながら、関係者不在になるのにどうしてこの話を知っているのか? 怖い話ではよくある事ながらそれ位しか文句が言えなかった主人公。 スプーン一匙に収まる程度の、ほんのちょっとの苛立ちからくる意趣返しのはずが余計な気味の悪さを体験する事になる事へ。 後から考えるとここで笑顔を向けてきたのはイルシィ君ではなく、あちらの方でしょうね。 そして、良い質問です!と元の調子に戻ってからの自我はちゃんと彼に切り替わったのだなと。 矛盾の答えは三つ程存在し、完全な創作だから。創作の混じった実話だから。実話であり本人から聞いたから。 現実的に考えれば3はありえず、大体は1か2…話を0から作るより簡単でもある分2の方が濃厚でしょう。 「僕の知り合いか、僕自身が実は優秀なネクロマンサーで、実は死んでいたBからあらましを聞き出した……なんて可能性もなくはないかも」 普段ならこれも、冗談で受け流せる部分なのになぁ…と。 ◆れいでらさま お次は最近流行りの(?)因習村。 それも現在は何かしらの理由により滅んでしまった村という怪談にはうってつけと言えるお題でしょう。 村で祀られていた奇妙な神様、れいでらのうちえ。 どこかで見た事ありそうな漢字の割に最後の「壊」以外1文字も読み取れない事から恐らく、古い漢字で表記されている?のでしょうか。 正式名称が長い為、村人も略して呼んでいる上に様々な呼び方があった様子。 マクドナルドをマックとかマクドとかドナルドと呼ぶような物か?と思うも神様相手にそれは不敬なような…。 れいでら様がどういった神様かは不明。 元々日本には八百万の神々という概念があるので、ローカルな神様が存在する事そのものに違和感はありませんでしたが祀る事でどんなご利益があるのかすらわからない。 何の為に祀られているかはっきりせずとも、村の守り神だったのではないか?と考えればまぁあるのかな、程度ですね。 特別何かのご利益に特化しているというより、村に災害が起こらず存続するように守ってくれているというなら。 しかし、村人のれいでら様に対するイメージは恐怖という点で一致していた。 確かに神様は扱いを間違えれば災いをもたらす存在ではあれど、大人が子供の躾として使う脅し文句として使われている辺りはどちらかというと妖怪とか化物…祟り神っぽい。 祟り神が信仰次第では大きな恩恵を与えてくれる守り神にもなるとすれば、元々祟り神だったのを今は村の守り神になるように祀っている?と一旦推理をし。 聡い子供がれいでら様が来たらどうなるかを聞けば、死ぬより怖い目に遭って死ぬと大人は口を揃えて返答をする。 結局死ぬんかい!?と初見では思いましたが、確かにこれはイルシィ君の言う通り脅し文句にしては欲張りすぎでしょう。 適当なエピソードを添えて怖い目に遭うから駄目だ。死んでしまうから駄目だ。 子供への脅し文句ならこれ位で充分でしょうし。 何より、死ぬより怖い目に遭って…というのが何となく直感的に不吉さを感じたというのか。 確かに一思いに死ぬより、生きたまま死ねずに苦痛なり恐怖体験をし続ける方が上と思いますが…何となく、子供向けというには実感として難しい気がして。 本当に単なる子供向けならばもっとあるだろうわかりやすさの観点への違和感からでしょうか。 れいでら様が来る、現れる。そうしたら上記のような事になって結果的には死ぬ。 だからどんな姿をしているのか、大人達も知らない。 実際に見てしまった子供は、大人になる前に死んでいるとするのなら。 これは上記の情報とも矛盾はしていないので謎は残りますが納得はできました。 そして、れいでら様もやはり神様という事で儀式として生贄を捧げる必要としていた。 やはり生贄か…と思えば厳密には死贄が必要?との事。 週に一度、村の中で決まっている順番に従い何かしらの食べ物を捧げるだけ。 その上、捧げものに対する条件は割と自由というのか夕飯の余りでも問題がないという雑さを感じる内容です。 頻度を考えれば、その年に村で育てた作物を秋に奉納する…には周期が短すぎて無理だとしても、家の中で捕まえたネズミでもいいというのはもはや何でもありの領域ではないのか? 恐怖の対象である割に、不釣り合いといえる捧げものの条件。 それでも一応、守らなければならない条件はあるようで。 一つ。生きているものは絶対に捧げてはならない。 二つ。もし動物を捧げるなら、その形は必ず崩して捧げる。 守るべきルールはこれだけであり、やはり生贄ではなく対象が死んでいる事が前提であるのに首を傾げました。 …まぁ、年に1度人間の子供を喰わせろとかいう神様も珍しくはないのでそれよりは良いのか?と思えば良心的なのか。 気になるのは二つ目の方でしょうか。 動物を捧げる場合は、具体的には四肢と頭を切断した状態である事。 先程例にあったネズミの場合なら、捕まえた後に殺した上で四肢と頭を切り分けてからという事になる。 頭+四肢切断は物騒ではありますが、夕飯の余りでもいいならわざわざネズミを解体する必要もない分楽ではあるでしょう。 そしてそんなこちらの心を読んだかのように、イルシィ君も物騒な神様にしては儀式の内容がしょぼいと思っているでしょう?と指摘をしてくる。 仰る通り、人間の一人や二人を捧げる方が一般的だろうと思いました。 でも、人間も捧げる対象ではあったようで。 「彼岸花さんがご存知かは知りませんが、人間ってしばらく見ない間に死ぬんですよね~」 ここに最初は「ん?」と首を傾げましたが、後程意味を理解した時に内心青ざめる事になりました。 人間も動物という事で、葬儀の代わりに儀式の捧げものとして故人の肉体も対象にする事はできる。 神様に捧げる事であの世でも幸せになってもらおうという意味も込めるのなら、その為の手順はあれながらわからなくはありません。 頭と四肢を切り離しておく事は残酷ですが、少なくとも生きてるうちにでなく…死んた後の分にはまだ、ですが。 ここまでならまだ、多少おかしな条件ではあれど多少不穏要素は少ない方…と思っていましたが社へ捧げものを持って行く際にも別の掟は存在していました。 一つ、必ず火を灯した蝋燭を持って中に入る事。 二つ、社の中で見かけた動物は確実に焼き殺す事。 最初はまだわかりますが、次でいきなりバイオレンスというか…殺意が高まったな!?と。 時代が今よりずっと昔という事で、現代以上に建物の中に虫や小動物が中に入り込んでいる事はあるでしょう。 しかし、見つけ次第持ってきた蝋燭で炙って殺す必要性があるのは何故? 社を荒らさないように害虫/害獣駆除にしても、ただ殺すのでなく何故炙る必要性とは…。 そして、恐ろしいのがこの動物には人間も含まれているという事。 自分以外の人間を社の内部で見かけたら即座に火炙りに処すという掟があるというのはなかなかに過激でしょう。 しかも、迅速に刑を執行できるように入室前に油が支給されているというできれば使いたくない心配りまで。 儀式参加者以外の社への立ち入りが禁止という事が重要らしいので、さすがに掟を知ってる以上自分の家が当番じゃない時は他の村人は近寄らないでしょうが…。 ないと思いたいけど、うっかり子供がかくれんぼで中に入ったりしていたら最悪すぎるなぁ…等嫌な想定をしてしまいます。 そして三つ、絶対に奥には踏み入らない事。 社の内部には注連縄があり、そこを境界として人間が入っていい所といけない所に分けられている。 何故、社の外でなく内部に注連縄があるのかというので何とも言い難い嫌な予感はありましたが言葉通りに捉えるならその先が神の領域なのでしょう。 ついでに掟を破ったら、やはりというか処刑行きというのが容赦ない。 内容としても全身に油を染み込ませてから炭になるまで焼かれるというやる方も絶対吐き気が止まらないだろう事待ったなしの内容ですし。 途中まで、比較的れいでら様が恐れられている割に儀式の内容が温いと思った私が馬鹿でした。 ここまでが前置きだったようで、この先が何故この村が滅んだのか? その本題になるようです。 父親を亡くし、喪主となった少女が儀式を行う事になった際のお話。 どうやらイルシィ君はまたこの彼女にも名前をつけたいらしいですが、これも私の名前でいっか。とフリー素材のように扱われます。 主人公もすでにツッコミを入れるつもりもないようで、ここでも私の残機がまた1つ減るのだなぁ…と乾いた笑いが。 元より母親のいなかった彼女は、唯一の家族であった父親を儀式の為とはいえ切り分ける事に躊躇いがあったようです。 というか、人間をバラバラにするのって脂肪のせいで刃物の切れ味がすぐに落ちるとか結構力がいるとか。 後、骨に当たったらかたい分大変とか聞くので成人でも解体作業をするのは大変でしょうに、幼い少女にさせるのはあらゆる意味で酷だなぁと。 それでも四肢の切断は完了させたようで、さすがに首を切り離すのは精神的な問題からできず繋がったままの状態で儀式に使用するようです。 社の中、人間が入ってもいい領域には沢山の灯篭が設置され蝋燭以外にも光源がある分明るいようでしたが、注連縄の奥には灯りがなくただ闇が広がるばかり。 その奥には入らないよう、簡易的な道具を使い死体を一つずつ送り込んでいく少女。 最後に首の繋がった胴体を入れ終わったところで、暗闇から亡くなったはずの父の声が聞こえてきた…? 父の声は自分に助けを求めている。 本来ならありえない現象でありながらも、もう一度家族と話せるという希望から少女はその声に反応してしまったようで。 ここで意外な事実の発覚というのか、実はイルシィ君は怖い話に出てくる登場人物によってちゃんと声真似をしてくれていたようでした。 結構そういうところは真面目なんだな?そして声真似が面倒だから突然会話の内容を要約するんだな?と。 こういった部分でも、リアルに語り手が今目の前で主人公に語り掛けている故のやり取りというのか。 ボイスがないからこそ効いてくるネタを上手く活用しているというのか。 突然怖い話に出てくる登場人物の大学生を二人脳内大学で捕まえてこいと言いだしたり。 一応聞いておきますね。あは……ごめんなさい。と無意味な質問をしたり。 あっ、でも、生きてないなら生贄じゃなくて死贄でしたね!と謎の明るさがあったり。 もはやフリー素材となった主人公の名前だったり。 第一話の感想の際にも触れましたがこの先も一貫して、イルシィ君という語り手の色がほんっとうに良く出ています。 語られる話につけられる緩急だったりスパイスになるけど、決してそれが雑味にならない絶妙な塩梅。 話に戻り。 どうやら村人は頭が可笑しくて実質化け物な存在を崇拝している。 捧げものが死体なのは、れいでら様に死体を喰わせる事で死者の魂を捕らえ永遠に彷徨い続けさせることが目的である。 注連縄の奥である神の領域は死者の世界であり、そこでは死体も生者のように動き回る事ができる。 その為、逃げられないように動物を捧げる時は四肢と頭を切り分けて逃走できないようにしていた。 父は今、死者の世界に体が置かれた事と首が繋がっていたので一時的に蘇った上で喋る事ができている。 その上で重要なのは、彼女が今父を助けないと父も化け物の魔の手にかかってしまう。 確かに、動物の死体が対象の時のみどうして切断する必要があったのか? 食べやすいサイズに切っておいた方が親切だから?(特に、人間サイズの物になれば余計に) と疑問でしたが、もし父親の言う通りなら切断する事にも意味が通ります。 今回は少女が首を切り離さなかったので会話ができていますが、本来ならこれが事実としても全てを知った死者は伝える手段がないですし。 そして少女も、父親を助ける事に了承したもののなかなか奥に踏み込むには勇気が出ない。 元より暗闇が続く空間というだけでも薄気味悪いのに、実は化け物の住処であり死者の世界に通じているなんて言われたらなかなか入るなんてできないでしょう。 そんな少女を父は説得します。 化け物は火を嫌うから、持ってきた蠟燭さえあれば大丈夫と。 確かに、社の中に光源があるにも関わらず蝋燭の必要性がある事や人間の領域に沢山の灯篭があるのも火を嫌うから魔除けの意味で置いているとすれば理屈は通るでしょう。 それでも少女はやはり不安がってしまう。 もしも奥に入っているところを誰かに見られたら掟に従い自分は燃やされてしまうと。 それに対し父は、目撃者を先に燃やすように言います。 本来なら自分以外の人間を社の中で見かけたら燃やすように教わっているのだから、本日当番である少女以外が入るはずがないという事も添えて。 そうしてようやく決心のついた少女は暗闇へ足を伸ばし父親を助けに向かう。 …だけどこれって、大前提として何故因習村が滅びたのか?という話なんですよね。 イルシィ君が注釈を入れるように語る、掟という概念に関するお話。 掟、ルール、規則とされる物は何かしらの理由があって決められている。 ルールとして、赤信号を渡ってはいけないのは車に轢かれてしまう事を防止する為。 それと同様にどうして掟が作られたのか、何故それを破ってはいけないのか。 その意味を、父親を助ける為にと境界を越えた少女は本当にちゃんと理解していたのだろうか? いざ、神の領域に来てみれば少女は思い出す。 自分はれいでら様について何も知らない、その正式な名前が何を意味する文字列なのかも。 そもそも何者なのかすらも全く知らない。 第三者から見れば、知らないという事はある意味一番恐ろしい事なんだなと思う場面です。 人間は昔から自分達には理解のできない事象を神や妖怪の仕業だとしてきた。 後の時代になれば、それは科学的に説明のできる物だったとしてもこの時代ではそれを知る事はできない。 知らない、理解できないからこそ恐怖は生まれそこに何かしらの理由で説明ができれば一時の安堵は得られるのかもしれない。 だけど、その情報が正しいのか…本当の事を知らない人に判断する方法はあったのだろうか? 正解を導くために情報を集め考える事。 それが人間に与えられた最大の武器と思いますが、幼い少女にこれを求めるのは酷だったでしょう。 感情的に、一時の安堵から導いた結論は必ずしも正解と限らない。 結果として、少女は父親の体を抱き起した際に蝋燭の火を吹き消されてしまった。 口が裂けそうな程に笑っている、父親が消した場面を。 ◇2→3話の幕間 こうして少女は行方不明になり村は滅んだとイルシィ君は話を終えましたが、まだ肝心な部分が語られていません。 彼は最初に、因習村が滅んだ話と言っていたにも関わらず具体的にどうやって滅んだのかを言わないままです。 少女の間違いが何かしらの切欠であるのに違いはないとしても、この先何があったのか?続きは存在するはずなのに。 「途中で飽きちゃいまして~」 しかし、イルシィ君の左に置かれた燭台を見れば蠟燭の火はまた一つ減っていて。 それがこの話はこれで終わりという事を意味しているのでしょう。 それは仕方ないとして主人公は他にも気になっている事があったようで。 どうやらイルシィ君がずっとこちらの顔を見ているのが気になっていたようです。 対話相手の方を見る事自体は普通の事であっても、その視線の向け方はどこか粘着質に感じるようで…。 「人の顔、覚えるの苦手なんです」 名前の時もそうでしたが、彼は相手の事を覚えるのが余程苦手なのか? 名前は絶対忘れないよう何度も繰り返して声に出し、顔は念入りに観察する事で覚えようとしている。 「流石にあなたの顔位は覚えないと駄目かなって……」 普段は覚えなくてもいいと言いながら、何故か主人公に対してだけは絶対に覚えておく必要性があると感じている様子。 とはいえ、彼とは偶然雨宿りの間だけ一緒にいる関係なので連絡先の交換でもしないなら二度と会う事もない以上忘れて問題ないような気もするのに…。 名前はさすがに一緒にいる間に忘れるのは失礼ですからまだわかるものの。 疑問はありますが、私が家に帰って目の前にいなくても、そっくりな絵が描けるまで覚えたいとかなり熱心な様子。 そこで写真でも撮れば覚える必要がないのではないかと提案をすると、イルシィ君はどこかへ走っていき。 戻ってきた彼はどこから探してきたのかカメラを手にしておりこちらを撮影してくるという展開へ。 ゲームが進行する毎に、次に語る話のタイトル画面に描かれる蠟燭の火が一つずつ減っていましたが、3話目の時には写真が撮影できてご機嫌だったのかその横にいるイルシィ君の表情が笑顔になっているのが印象的です。 ◆鳥居のある家 今度は事故物件に関するお話という事で、その末路から何かしらの教訓を得てくださいねと最初に言われる事に。 ここまで話のバリエーションとしても豊富な辺り、彼が即興で話を作っているにしろ持ちネタが豊富にしろなかなか凄いなぁと感心してくる頃合いです。 そしてまたしてもこの話の主人公の名前を決める流れへ。 すでに連続で名前を使われているのでどうせまた…と思いきや、もう主人公を彼岸花さんとは呼ばないとの宣言が。 「天凱さん。うん、天凱さんがいいです」 そうきたか、というべきか…今度は苗字かーーーー!? イルシィ君としてはせっかく苗字も聞いたのだからと前向きな理由っぽく考えているようですが、どのみちまたその話に出てくる私が悲惨な目に遭うのは確定事項。 さよなら3つ目の残機…。しかも、その末路からって最初に言われてるのでどうせろくでもない予感しかない。 途中で気づきましたが、その話における主人公の性別で切り替えてるだけのようですね。 この話の主人公は男性だったから苗字にしたんだなと。 とにかく、この話に出てくる主人公は事故物件である事を知りながらも豪邸に住めるという事を優先して一軒家を購入したようです。 あの家では特に事件らしい事件も起きていないと事故要素を舐めきった判断をした結果に。 それだけでも充分やらかしていると思えたのに、面倒臭いという理由から購入前に内見もせず写真だけで充分綺麗に見えたからと購入を決めているのが完全に駄目な方へフラグが建っているなと。 立地として少々不便とあったのでそこで怠け心が出てしまったのか。 せめて、事前に内見をしてから決めればあんな事にはならなかったのにと思えば自業自得なのかもしれない。 と先に感想は置いておきます。 タイトルの通り、二階の一室には鳥居のような物が置かれた部屋が。 本物ではなく、あくまで誰かが材料を購入して工作をしたのであろうお粗末な出来栄えの鳥居もどきが。 そして近くには百均で売っていそうな安っぽい賽銭箱まで設置済み。 振ってみれば中にはそこそこの量の小銭が貯まっており、ちゃんと賽銭箱としての役割は果たしていたのでしょう。 他の部屋にも、元々前の住人が使っていたと思わしき家具が置かれていましたが家具?として鳥居付の物件なんてさすがに聞いたことがない…。 さすがに主人公も不気味に思ったようでこの部屋の中にある物を見なかった事にしたいようです。 鳥居の先、突き当りの壁部分についた棒人間のような形をした染みを見て気分を悪くしながら。 この時点で、事故物件+明らかに怪しい部屋があるという要素だけで早期の引っ越しを考えてもいいと思えますが、主人公としてはその一室を除けば美味しい物件と思ったようで住み続ける決断をしてしまうのがドツボとしか思えませんでした。 気味が悪いという事以外、まだ何も被害が出ていないのもあるのでしょうが。 やがて段々家の方も事故物件らしさを出してきたというべきか、ラップ音や一人暮らしのはずなのに感じる人の気配。 他にも気のせいで済ませるには少しずつ苦しくなっていく現象が起きていく。 これを一つ一つは些細な変化と自己暗示をするか、結果として起きている回数等を考慮して引っ越すのか。 そもそも、ここに住んだ時点で駄目だったのかもしれませんが意地を張らずに早めに逃げれば助かったかもしれないのにと観察をする目線で読み進めていきました。 ここでようやく判明するこの物件の曰くとされる要素。 前の住人の頭が可笑しくなって行方不明になっただけ。誰も死んでない。 いや、それは怪奇現象のせいで頭がおかしくなったから耐え切れず失踪したのでは…? それに今も見つかっていないなら確認されていないだけですでに死んでいる可能性だって大いにありえる。 という何一つ大丈夫な要素がないのに大丈夫だと自分へ言い聞かせている主人公。 よくある話として、それまで大金を持った事がない人が突然大金を手に入れると金銭感覚が壊れてしまうと言われますが、安く豪邸に住む事ができると知ってしまうとそれと同じような現象が起きてしまうのか…。 そしてここからがホラー展開としての本番というべきか。 そこからさらに追記される起こった怪奇現象だけでも気のせいで済ませてはいけない…と思っていれば就寝しようとした際に二階から聞こえてくる歌声が。 その歌がかごめかごめというだけでもホラーではありますが、これまでが自分が動かしたのを忘れただけ・ネズミのせい等でギリギリ済ませられる内容だったのに歌声となるとさすがに無視はできない。 このままでは一睡もできそうにない、けれど現場に向かう勇気はないと悩んでいるうちにこの歌声は録音された音声ではないか?という可能性を疑う主人公。 どちらにしろ怪奇現象であるのに変わりはないと思いますが、霊的な物よりは何故か録音されたデータが再生され続けていると思った方が恐怖が薄れるというのも面白い考え方です。 声を頼りに音源であろう部屋を確認すれば、そこはあの鳥居のある部屋という偶然で済ませるにはまたもや不吉な状況。 しかし、歌声の正体がラジカセから流れていたテープの物と判明し謎は残る物の心の平和を取り戻した主人公。 ここまでくると、案外こいつメンタル強いのでは…?とも思えてくる部分もありますね。 そして視界を横切った何か、以前は棒人間の形をしていた黒い染みはかなり大きな範囲まで広がっており着実に異変は起きている事を示唆している…。 ここから始まる毎晩聞こえてくるかごめの歌。 歌が聞こえてはテープを止める事の繰り返し。 元凶であるテープを捨てれば解決すると思ったのに、束の間の安寧の後に待っていたのはさらに内容が悪化したかごめの歌。 元々の音源、原形を知っているからわかるだけでもはや歌にもなっていない何か。 仕方なく止めに行こうと二階の部屋の前に行けば、音源に近づいた事で聞こえてくる歌以外の異音。 まるで縄がギシギシと音を立てているような…? 一度頭の中に浮かんだ物を取り消すのは難しいというべきか、その音からあのかごめを歌っている女が首を吊っているという構図を閃いてしまった主人公。 こうなると、次にテープを捨てればどんな内容になって帰ってくるのかが恐ろしくて捨てられない。 ある意味、ただ戻ってくるだけな呪いの人形の方がマシ説まであります。 何度も何度もテープを止める為に部屋へ立ち寄るうちに気づいてしまった染みの状態。 あれからさらに面積を広げた染みは、長い黒髪の女の姿へと変化していた。 さすがに主人公もこれ以上住み続けるのは無理と思ったのでしょう。 ようやく引っ越しをして何でもない日常が一番幸せという当たり前の事がわかったようで。 しかし、この話がこのまま平和に終わるかどうかはイルシィ君次第なのです。 前の話みたいに飽きて終えてしまえばこの話の主人公は平和なまま終われたのでしょう。 最後まで話す、続きがあるという事はこれで終わりじゃないという事。 引っ越しをしたにも関わらず、彼は夢の中であの家の中にいる。 寝具に横たわる彼の上に浮かぶつま先、誰かが頭上に浮いている? 動かせる視線だけで動かせばそれは白いワンピースを着た女性が首を吊っている光景で…。 何かを口にしようとしている女を見るや聞きたくないと抵抗をするも女の声が聞こえてくるだろうその時、運良く目が覚めほっと一息。 …なんてできなかった。 現実世界に戻ったはずなのに、今現在自分がいるのは以前住んでいたあの事故物件。 それも、あの鳥居の部屋に面した廊下で寝ているという状況。 距離として、新居とこの事故物件がそう遠くない距離だったとしても果たして夢遊病でここまでくる事は可能なのだろうか? どちらにしてもここから帰宅の一択なのに、階段の下部から誰かが近づいてくる足音が聞こえる。 コツ…コツ…と硬い足音。 恐らくですが、これはヒールの音なのかなと予想します。 そして身を隠そうと入った部屋がよりによって鳥居のある部屋。 できれば別の部屋に隠れたいけど、今移動をすればあの足音の主に見つかってしまう。 仕方なく息を殺し隠れていれば靴音以外にも聞こえてくる何かの音。 それは今まで何度も聞いたテープの歌、それをもっと酷くした内容というべきか…。 首を絞められながら発せられた声なのでしょう、それを再現する為に自身の首を絞めながら語るイルシィ君を主人公が止めに入ったようで何でこの子は怖い話を語る際の再現度にここまでこだわるんだと。 そして話に戻れば、いつものように音源であるラジカセを探そうにも部屋のどこにも見つからない。 こんなのはもうパニックになるには充分すぎる状況です。 もしかしたらラジカセは隣の部屋にあるかもしれない、そう考えても部屋を移動する事もできず。 極限まで追い詰められた彼は、部屋にあった賽銭箱に小銭を入れひたすら助けてくださいと繰り返す。 その時点で、自分の声で気づかなかっただけで他の音が一切消えていたとも知らずに。 今音として流れている物は彼の懇願と小銭を賽銭箱に入れる音だけ。 「助けてあげません」 しかし、それも背後から聞こえた声を皮切りに消えてしまった。 そして誰もいなくなった…。 死体が確認されてないだけで、今度も住人が失踪する事になる結末にすぎなかったという末路。 最初に言われた通り、もし今後引っ越しをする際には教訓として念入りにその物件が大丈夫か確認したいと思います。 ある意味極悪なのは、事故物件に憑いている地縛霊の仕業なら引越しをすれば助かると思いきや引っ越しが全く解決策にならないという点でしょうか。 ◇3→4話の幕間 ここで気になるのは、カセットテープがすでに昔の物という事をイルシィ君が知らない事。 少なくとも、この作中における時代が2020年以降なら存在を知っていても懐かしい物という認識なのが普通でしょう。 2000年頃から音楽の再生媒体も世代交代をしていたそうなので、今の若い子は下手すれば知らない可能性すらあるという産物です…。 引っかかりは残りますが、イルシィ君としては今回の話が面白かったと褒められた事が嬉しかったらしく。 そして、写真を撮影した事でなくなるかと思った彼からの視線は相変わらずという状況。 「好きですよ」 ここから言葉を重ねられるイルシィ君からのラブコール。 これが状況なり相手によっては思わず顔を赤らめてしまうような場面なのでしょうが、こちらとしては恐怖が先行する状態。 主人公がどんなに頭を回して、少しでも想定している可能性を否定してもらおうと頑張ってもそれは目の前の男の一言で簡単に折られる物なのに。 この、逃げられずされど抵抗をしてしまう焦りとそれに対しただただこちらへ好意を向けてくるイルシィ君の対比がとても好きです。 今日初めて会った事が好きかどうかに関係あるのか? ここも理屈としてはイルシィ君の言い分がわかるのですが、わかるけどそうであったら困るのが主人公の立場。 正論で固められ感情面でも好意を伝えられたら余計に逃げ場はなくなっていくしかない。 何より、一番聞き逃してはいけないのは 「今の僕は」 という部分ですよね…。 窓の外はいまだに雨天。 時間はわからずとも、果たして雨は止むのだろうか…。 ◆廃村にて 怖い話もいよいよ4話目、今度は王道という事で肝試しに関する内容のようですね。 しかし、この話に入った事で色々と気になる要素が出てきます。 何やら夏休みの遊びとして心霊スポットへ行くという話をしている様子。 別荘近くにある私有地の山、その中に曰く付きの廃村がありそこへ行かないかと言うお誘いです。 こんなにヤバいのに今まで発見されてなかったと言われていますが、それはもしかしなくても行った人が無事で済んでないから実質見つかっていない扱いなだけではないか…? 男性三人グループらしく、名前はBとCと天凱さんという事に。 もう男性主人公なら苗字だろうなぁ~とは思っていたけどさらっと私を混ぜないで?! どうせこの天凱さんもろくでもない事になるというか、前置きとして『肝試しに行ってみたら酷い目に遭った』という事が伝えられているのでさよなら残機4番目…と別れを済ませ。 それ以上に気になったのは、ここでこの大学生三人組の名前の中にBというのを採用してきた事ですね。 第一話に出てきた隣人の名前もBであり、肝試しの結果何かがあったという辺りに共通点を感じます。 さらに、その際に出てきたBの家を訪問していたのが大学生であろう二人。 名前は出ていませんでしたがどうにもシルエットが似ているのも気のせいで済ませるにはできすぎているような…。 と、ここでオチは予想できました。 この次に第一話の出来事に続くのなら、生還できたのはBだけのはず。 つまり…Cと天凱は確実に犠牲になる!! 問題は、第一話では語られなかった何故そうなったのかの部分ですね…。 (再度、犠牲が確定した自分の残機に合掌をして) 別荘に到着し、心霊スポットである廃村へ行く道中も途中までは夏の子供の頃に戻ったような冒険気分だったのにいつしか生物の気配はなくなり。 それまで聞こえていた鳥や蝉の声がしなくなったというのは明らかに生きているものが近寄ってはいけない領域を意味しますよね…。 このまま先に進んでいいのか? 誰もが悩みながらも、様々な…果たして命をかけるに相応しい価値もないだろう見栄の為に進むべきなのか悩んでいた時。 背後から怒鳴る老人の声に驚き、結果として廃村の方角へ向かって走り出す結果に。 やっと到着した廃村はすでに自然に溶け込んでおり、事前情報がなければ村があった事もわからない状態で。 村に入ってしばらく歩けば、苔むした小屋と鳥居があり。 他に村の中に存在した建物は木製だったせいもあるのでしょうがすでに跡形もなく、いくらこの鳥居や小屋が材質からまだそれより残りやすいとしてもどこか不自然さがあります。 それに対する答えを考える中、BとCが小屋の中へ入ってしまい追いかける形へ。 もうここで確定演出というべきか、小屋の中には沢山の灯篭が設置されており。 しかも、灯がついているという事は確実に誰かが手入れや灯の管理をする為に来ているという証拠に他なりません。 もしかしなくてもこの廃村って、あの因習村じゃ……。 って事は、イルシィ君が語らなかった結末は…村が滅んだ理由はあの後少女が村人を惨殺してしまったから? ここがあのかつての因習村であり、あの祠である事を裏付ける注連縄の存在。 その奥からこちらを見ている何者かの気配。 ギリギリでBとCが奥に行くのを止める事に成功し、帰る事にしたもののこれで終わりじゃないのはわかっています。 帰ろうとしたその時、彼らの目線の先には廃村へ立ち入る事を止めようとした老人の姿が。 行きの際は必死に止めようとしていたにも関わらず、今度は責めるような言葉を言いながらもにこやかに微笑んでいる…? 間違いなく、取り返しのつかない何かはしてしまった。 老人は何かを知っているのか?疑問はありますが、老人がこちらに背を向けて進んだ先は崖が近く危ない場所で。 当然というべきか、老人は崖下に落ちてしまい追いついて下方を確認するも明らかに死んでいるであろう状態。 しかし、老人は瀕死の状態ながらも生きておりこちらに向かって何かを伝えようとした。 声は届かずとも、口の動きからその内容が何かを考えてみれば… 「ひ、と、り、め……」 一人目、そしてこの単語の意味するものは老人は何かの一番最初だった事。 一人目という表現を使う時、それは二人目以降が存在するという事も意味をすると。 「皆死ぬからね」 飛び降りる前に老人が言ったその意味と合わせれば、これから死体がどんどん増えていく。 今この場にいるのはこの大学生三人組なのだから…逃げなければ全滅しかない。 急いで逃げるように声をかけると、Cが何かを指さしているようでその先には黒い靄のようなものが。 人間の影をそのまま引き剝がして三次元上に移したような、謎の存在がすぅーっと滑るようにこちらへ迫ってくる。 正体はわからずとも、捕まってしまえば良くない結果が起きるのは想像に易い。 ここからは逃走開始と思えば、逃げ出す際にCは足を挫いてしまい逃げられない状態に。 Bは逃げ切ってからそのまま帰ろうと言いますが、主人公はCの事を諦めきれずに山に残る事を決断。 分かれた後も探索をする主人公は結局何の成果も得られず、今度は自分があの靄のようなものに追われる事に。 咄嗟に逃げ込んだ先はあの社の中で、もう一度走れるまで回復した頃合いに戸を叩く音が。 そして、自称Cが開けて欲しいと助けを求める声。 こういう時に身内の声を使っておびき出す策は王道中の王道ですが、主人公もこの状況がおかしい事には気づけたようで。 ここから、本物のCしか知り得ない事を質問して正体を確かめるターンへ。 そのどれもに正解する自称C、何かがCの声を使っているにしてもさすがに当人しか知り得ない情報まで知っているのは少し考えにくい。 と思ったのに… 「俺達もうクタクタなんだよ早く入れてくれよ……」 俺、達?複数形!? 先程から自称Cと問答をする間、もし第三者の声が聞こえているならそれが誰であれ主人公もその存在は認識していたでしょう。 そしてイルシィ君からも答え合わせと言わんばかりの一言が。 だってBがどうなったかはもう知ってますもんねぇ。 って事はやっぱりこの話のBは一話目のBで、Cと天凱2号がBの家に何度も言っていた大学生らしき人物で確定…。 となると、やっぱりこの自称Cはもうこの世の物ではない何かと考えるのが妥当でしょうね。 外にいる何者かと会話をするC、だけど相手の話し声は全く聞こえてこない。 要求されているのは、夜が来る前に今いる場所から出るという事。 この後の展開を知っている事を除いても、すでに状況は詰みと言えたでしょうが彼はここで言うべき言葉を間違えてしまい…。 自分が無意識に、三人目という言葉を発したのだけ理解し終わりを迎えた。 ◇4話終了の幕間 残る蝋燭も1本、百物語のように1話が終わると1本が消える。 だから残るお話もラスト1話のみ。 窓の外を確認すれば、時間こそ夜ではあっても雨宿りという当初の目的はもう必要ないと言える状況。 問題は、ここで帰らなければこの洋館でイルシィ君と一泊する事。 しかし、ここがどこかわからない以上もし外に出られたとしてもちゃんと家まで帰れるのかはわからない。 果たして、夜の森を歩く事と今目の前にいる男と洋館に泊まる事。 どちらがより危険なのか?取れる選択は二つに一つ…。 システム面の細かさについてはすでに触れましたが、ここにくるとシステムにおける 「テキストの速さを弄る必要はないと思います」という一文が本当に取るべき行動を隠蔽したいのだなというのが見えていて…。 テキスト速度を弄った時だけ出ますよね、逃げる事を推奨する文面は。 @ネタバレ終了 上記ネタバレ部分は4話目を読み終わった段階まで。 文字数の関係上、ここで分割させていただきます。
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アヤコのお見合い配信にてプレイさせていただきました。 大正ロマンに妖怪という個人的に好きな物の組み合わせというだけでプレイ前からとても胸が躍る世界観です! 実際、タイトル画面の時点で白百合さん側に届いているアヤコちゃんのお見合い写真でしょうか。 そちらやBGMにタイトルの装飾や色選びと掴みからすでに魅了されました。 @ネタバレ開始 いざ「はじめから」を選択すれば、実際に自分が生きて見た訳でもなくイメージとして漠然とあるにすぎないはずなのに『これぞ大正』と思わせる画面。 ふんわりとしたやわらかな色彩で描かれる背景やキャラクターも素敵なのですが、メッセージ窓やシステムのボタンに上部の装飾ラインと世界観に統一性があり。 後にセーブの為に記録を選んだ際も、システム画面のデザインが視認性の良さを持ちながらさりげない世界観の構築を維持する役割を担っていると感じました。 こう、お座敷遊びでお客さんがお手洗いに向かい戻るまでの時間に夢のような時間や空間から現実に戻る事がないよう舞妓さんがお手洗いの手前までついていき待機する事でそれを防ぐような。 本来システム関連の画面はメタという部分に関する要素なので、ここへこだわるのはその点からもさりげなく素敵と思える要素でした。 なにやら楽しそうな会話が行われている?と思いきや名前有の台詞が表示され。 猫が喋っている?とよくよく見れば尻尾が2本、これは猫又か!と早速概要にあったアヤコちゃんが妖怪と暮らすと記された部分を理解。 そして会話が進めば、妖怪に囲まれながらおめかしをしているアヤコちゃんの姿が。 こう、妖怪好きな者としては…当たり前に妖怪がいるのが日常として馴染んでいる光景というのがなかなか胸に良い意味でくる物があります。 みんなでアヤコちゃんのおめかしを手伝おうとしている優しい光景。 この一枚絵だけで彼女が愛されているという優しさを感じます。 フタクチと聞いて最初は「?」となってましたが、二口女か!だったら後ろの口の邪魔にならないよう髪を自分の意思で動かせそうだし簪を髪が持っている描写もなるほど。 本音を喋るのは後ろにある口というのも、その妖怪の特色を個性として活かしていると思えて見ていてにっこりできる部分です。 そして、トラマサはアヤコちゃんがお見合いをするのが気に入らないといった様子ですがどことなく言動からツンデレというか素直じゃないんだろうなぁという気配を感じます。 さらにどう考えても何かしら妨害をするぞ!という宣言をしているような…。 とてもこの作者様…できる!わかってらっしゃる!と、絶妙だと思ったのが大正時代×妖怪というのが近代のように科学信仰等で妖怪の存在が信じられなくなった頃でなく。 まだ、妖怪と人間の距離が比較的近かったであろう時代である事。 その点でアヤコちゃんが妖怪と暮らしているという設定もこの時代ならありえると自然に納得がいきましたし、洋装が取り入れられてもまだまだ和装が現役な大正時代特有の空気が日本妖怪が溶け込むにも良い頃合いに思えます。 まだ本題も始まっていない序盤の時点にも関わらず、どんなに強くこの世界に行ってみたいと思ったものか…という程魅力的に思えました。 お見合いとなれば当然緊張もするでしょうし、アヤコちゃんがフタクチさんについてきて欲しいと言うのも自然な考えと思いましたが、妖怪であるフタクチさんが出て行けば相手を驚かせてしまうかもしれない。 ここに、妖怪の存在はある世界でもやはり一般的にはそういった考えなのだろう事。 それでもアヤコちゃんにとっては家族同然であるのだから、自然とその前提が抜けているという彼女にとっての日常や価値感が見える場面ですね。 いざ、お見合いの場所である応接室へ向かうも誰もいない? と思いきや、突然現れた人懐っこそうな顔の軍人さんが! しかし、この自称白百合さん…明らかに怪しいというか「トラマサに頼まれた」と言ってる時点で偽物では…? という事で建て前としてはお見合い相手である白百合さんをよく知りたいだけという名目での質問タイムへ。 質問回数は3つまで、それで怪しい部分を見抜けなかったら結婚相手にこの自称白百合さんを選ぶという条件付きはなかなか難題かもしれない。 選択できる質問項目自体は3つなので、全部を1回ずつ聞いていく手もあるでしょうがある程度狙いを決めてから何を聞くべきか考えるのが恐らく正道でしょう。 という事で「今日はどちらから?」を選択。 ずいぶん遠くから来たという事で汽車を利用したのかを問えば自称白百合さんは「キシャ」という表記での返答を。 字を知らない…というか音しか情報がない時特有の反応だな?と思ったのでアヤコちゃんがもっと質問を掘り下げられると言っているのもあり再度質問。 乗り心地を聞いているのに感想が的外れという辺り、やはり汽車を知らないというのは正しそう。 後の1回は名前は先程こちらが教えてしまったような物なので「好きなものは?」を選択。 顔の時点でなんとな~く正体の目星はついていましたがここで核心しましたね。 さらに情報を引き出す会話タイムへ。 汽車に乗ってどこへ行きたいというべきか?選択肢とこれまでの会話から「海の向こうの国へ」かな?と思えば正解。 油揚げの話題で尻尾が出ちゃうのも、素直というか可愛いなぁと和みつつ。 最後の選択肢は、名前について覚えて無さそうだったのでわざと間違えるのが正解だろうと全問正解。 やはり正体は化け狐でしたか! そしてお見合いの邪魔をしてこいと言ったのもやはりトラマサという最初に自白していた通り。 次は一緒に油揚げを食べる約束をして帰宅してもらうほのぼの展開へ。 エンド回収の為に別選択肢を試した際も、ちゃんと各選択肢で得られる情報があるのであの時見てない内容を知る事も兼ねて遊べるのはいいですね。 そして自分から探しに行かないと駄目だと理解し部屋を出た所で2人目の自称白百合さんが登場。 正直、ここの一枚絵だけでドキッとしてしまったというか…この人でいいんじゃ…と内心思いつつ必死にそれではゲームにならないと心の中で首を横に振り。 白百合さんを名乗っているのは共通でも、少しずつ姿やポーズが違うのでそこの個性を見るのもなかなか楽しめるポイントですね。 (私の事‟も”お疑いのようですね という言い方の時点で「ブルータス、お前もか…」とツッコミは入れつつ) とりあえず質問項目は共通なので、安牌なのは「今日はどちらから?」or「好きなものは?」でまず何と返答するかでの様子見でしょう。 今回は好きなものについてから質問をする方向で。 「私は人間の、特に糸織姫のように可愛い娘さんの生き血が好きなのです」 っていきなり人外COしてきたーーー!? さすがにこれは冗談だったようで、本当に好きなのは困った顔を見る事という意地悪な物でした。 初対面の時もわざと驚かせようとしてきたのだからこれ自体は本音なんでしょうねぇ。 人を困らせる事以外に何かないかを聞けば、編み物が得意というなかなか素敵な趣味が判明。 ・糸の扱いには自信がある ・何やらおすすめの素材がありそれで着物を仕立ててみたい ・アヤコが良いというなら是非試してみたい ここで一旦話をストップしたのでそれが何かはわかりませんでしたが、糸や着物に対して特に饒舌になるという重要情報はゲット。 恐らくですが、この試してみたい素材は特徴から察するに『女性の髪の毛』ではないでしょうか? アヤコちゃんの髪に対する表現、髪の毛は丈夫なので縄を編む際にも使われる事があると聞いた事があったので『糸状の物』で素材というなら文句は無さそうですし。 警戒されてしまったという事で別の質問をする事になり次は「今日はどちらから?」を選択。 今度の自称白百合さんは「町にある小さな駅から汽車に乗ってきた」というしっかりとした受け答えですね。 言葉遣いもどことなく知的というか気品のある印象です。 気になったのは、妖怪たちの事を話しても…と「父以外の身内です」と濁したアヤコちゃんに対し笑った事でしょうか。 こう、まるでこちらの事情を知っているような…? 再び上手く話をして情報を引き出すターンへ。 こちらの年齢なんて、多分本物白百合さんなら知っているような気がしますが…意味がありそうなのは、うそをつく方? 「今年で200歳になりました」 いやいや、それは誰がどう聞いてもうそって丸わかりでしょ~?と思いきや、自称白百合さんの反応はまだまだ幼いという意外な物。 しかも、嘘撤回後も含め反応は本気の物っぽそうでありそうなれば明らかに人間ではない。 次の選択肢は身内と仲良くして欲しいという事で誰の名前を出すべきか? トラマサが邪魔するように頼んでいるならこちらを選んだ方がボロが出ると予想した結果、やはり『ひと』としか言ってないのに『猫』だと知っている! ラストは饒舌になる着物が正解だろうと選べば… 「ふふふ、今から腕がなります(後ろに見えている蜘蛛の足…というか、腕?)」 腕!腕がなってるのは良いけど見えてるよーーー!? というか、糸に関するという点から推理すれば確かに蜘蛛の妖怪か…とここまで何の妖怪かがわからなかったのですっきりもしました。 証拠も充分!質問も正解!そしていざ、正体が明かされる場面に…! 結構人の姿だったーーーーーー!? そして、蜘蛛の妖怪と言っても色々…と思いましたが絡新婦ときましたか! 洋装がなかなかお似合いですし、ポケットに入っているハンカチも蜘蛛の巣模様なのが細かい。 後、さらっと足がアヤコちゃんをホールドしてるけどおさわりは駄目ですよ!? 今度は何に釣られてきたのかと思えば、人間との結婚に興味があるという意外な返答。 きっとこの絡新婦さんは彼の言う通り、アヤコちゃんが望むのなら理想的な伴侶として振る舞ってくれるのでしょう。 それだけの知性はあると思いますし人間との結婚に興味がある以上、少なくとも危険な妖怪でもないはず。 彼なりに、言葉を選んだプロポーズではありましたがそれに対するアヤコちゃんのお断りの言葉も実に芯が通っているというべきか。 確かに種族の違いから過ごす時の価値は違うのでしょうし、人間にとっての100年は実質の一生。 だから『私』が良いと言ってくださる方がいいと思うのは当然の返しでしょう。 この辺り、妖怪と人間という種族の違いから出る価値観の相違をさりげなく入れてくるのが好きです。 互いに好意があれば共に歩めるかもしれないけど、そこには決定的な違いもまたあるというのか…。 絡新婦さんにとっては今まで生きた中のたった四分の一でしかない、しかも彼の口ぶりから100年の先も…もっとさらに長生きできるのだろう事も含め。 お断りもしたし次に…と思えば糸? いつの間にか、アヤコちゃんの右腕に蜘蛛の糸が絡まっているようで…。 しかも人間の力では絶対に切れないという、なかなか厄介な事をしてくれたな!? 誰か妖怪髪切り呼んできてーー!多分この家にならいるよねーーーー!? と、リアルに助けを求めていればフタクチさんの登場。 どうやらこの二人、以前から面識があるようですね。 絡新婦さんが実は都会の方で舞台役者をしているというのもなかなか意外ではありましたが、それなら理想的な伴侶として振る舞う…演技ができるのも納得です。 個人的にはその舞台、とても観に行きたいです…。 そして、本物白百合さんはどうやら駅には到着したものの地図を奪われ道に迷っているようで…なかなか厄介な事をしてくれたな?(本日2回目) もうこれはますますアヤコちゃんから探しに行かないとどうしようもない状況ですね。 玄関まできたものの、1人で外へ出ては叱られてしまうと考えているアヤコちゃん。 やはり年頃の娘が1人で出歩くのは危険もあるでしょうし、アヤコちゃんの場合はお嬢様と呼ばれている事から本来なら護衛なりが必要な立場なのでしょうか。 (なにか、後ろに気配が……) っていつの間にか後ろにまた白百合(?)さんがいるーーー!? どうやら今度の自称白百合さんは無口な様子。 でも、寡黙はボロも出しにくいというのは情報戦においての定石でもあり…これが性格なのか作品なのかも着目すべきでしょうか。 そしてこれから質問をしてもいいかを聞いてみれば3つまでという条件で答えてくれる事に。 お前ら!裏でこうなる事を予想してあらかじめ質問されそうになったら3つ縛りをするって口裏を合わせてるだろう!? という作戦会議の図が何となく見え隠れしてきたような。 とりあえず、定石には定石で返しましょう。 絡新婦さんの発言から、本物白百合さんは駅にいたので汽車を利用しているのは確定情報と見ていいでしょう。 なので確認を含め「今日はどちらから?」と聞けば「町の兵営で暮らしていますのでそこから汽車で参りました」とかなりしっかりした返答が。 確かに軍人なのだからそれは自然ですし、今までで一番それらしいですね。 気になったのは、町は新しい物が多く少し苦手という発言。 新しい物が苦手な妖怪?まだこれだけでは絞れないけど重要そうではありますね…。 そして休日の事を聞けば、日の当たる縁側でのんびりするのが好きというほのぼのした返しが。 これも何の妖怪か絞るには決め手にはなりませんが、和む部分ではありますね。 さらに、他に何をしているかと聞けば「磨いています」? 軍人なので有事に備えて腕をではなく、刀の手入れでもなく、かが……? 鏡か!鏡の妖怪…となると雲外鏡?鏡爺?ぱっと出てくるのはこの辺りか。 新しい物が好きではない、となれば古い鏡の妖怪…となると前者っぽいかな?と予想をしつつ。 「好きなものは?」と聞けば「人間です」と首を傾げる返しが。 意味を問えば、人間という存在が好きというこれまた意外な内容です。 でも、いつの世も人間という生き物は愛らしいと思っているというのは古い鏡の妖怪ならば確かに思いそうな事ではありますね。 という事で問題の情報を引き出すターンですが、初見は全ての選択肢を外しました。 でも、部屋を用意しますと何パターンか提案してもアヤコさんのそばが良いですなんて言われたら正直『あっ、好き…』みたいにこちらが思ってしまったり。 買い物に行くなら髪飾りを、といえばかんざしも似合うと思いますよと返され。 さらに、それではあなたを退屈させてしまうと気にしても見る楽しみがあると懐の広い言葉を言ってくれる。 …もう、これ好きになってもいいよね。 そして、最後の選択肢も間違えはしましたが…選択肢を選んでからよく見たらこの人ほくろの位置が逆だ!間違えた!! 違和感はあったのに、何で選ぶ前に気づかなかったと悔しがる結果に…。 3連不正解という事で、絶対この人って鏡の妖怪なんだよなぁ…とは思えど結婚する流れへ。 とはいえ、本物の白百合さんでないという事を除けば常に誠実でとても真面目な良い旦那様だったという展開に? アヤコちゃんも何だかんだ幸せそうで、良き夫婦として過ごせたのならこれはハッピーエンドでは…?と結末3を回収。 とはいえ、本物の白百合さんが待ってるんだからまだやるぞ!とやり直しへ。 今度は先程もっと掘り下げる余地のあった人間に関する選択肢から情報収集へ。 好きな人間と嫌いな人間についての話をした上で、アヤコちゃんが物を大切に扱うとわかれば自分の事も大切にしていただけそうという反応をされ。 自分が物みたいな言い方である辺り、やはり本体は鏡…鏡の妖怪…。 再び情報を引き出すターンへ入り、今度は正解がわかっているので問題なく正解。 しかし、夫婦の寝室という概念はありますが部屋の希望を聞いていきなり同じ部屋で構いませんと言われるのはちょっとドキッとしますね…。 その後の、場所は取りません。部屋の隅にでもという部分でやっぱ鏡じゃん!多分鏡台タイプの!! と思わずツッコミは入れましたが。 そして、部屋を用意しないので当人の希望通り部屋の隅にでも居ていただきますと言えば机の上か椅子の上が良いと希望され。 床の上は嫌という辺り大きな鏡台でなく、卓上で使う鏡か?と首を傾げ。 (もし、壁掛けタイプの鏡なら場所は問わないし部屋を用意しないから廊下に…とか言うのかなと思った私はきっと外道ですね) 髪飾りが駄目だったのでブーツが欲しいと言えば、今まさに自分が履いているのに名前を知らない? 現代では当たり前な為気づきませんでしたが、確かに和装における履物は下駄や草履。 ブーツは洋物と考えれば、新しい物なので知らなくても不思議はないと選択肢の意味に納得をしました。 そして、今度はわかってるんだぞ…とばかりに口もとをよく見た上でほくろの位置が逆なのを指摘成功。 鏡だから左右が反転しているんだ!と、鏡の妖怪という点とも結びつくのに…とやはり正解はしても悔しい物は悔しかったです。 全問正解したという事で、肝心の正体は…まさかの付喪神!? 鏡という部分しか合ってなかった…とは思いましたが、確かに古い鏡の妖怪なら古道具が付喪神になるなんて日本においては常識のはずだったのに…これが、先入観か。 と、また謎の敗北感はありましたが全てに筋は通りました。 やはりというか、彼もまたトラマサに邪魔をするよう頼まれたようですね。 今思えば、なかなか顔が広いですね…トラマサって。 ここに来た妖怪はみんな、違った理由でやってきましたが付喪神さんの理由やその背景が一番好きですね。 元々は小さな神社に祀られていた鏡が付喪神になるまでの年月を大切にされてきて。 それでも、やがて時代の流れとして村の人々は町へと出て行き神社は荒れていった上に山の開発に伴い取り壊されてしまった。 確かに住みやすさが重要としても人間の都合、身勝手さという点で付喪神さんにはそこへ怒りを感じる権利があると思いました。 それでも、自分を付喪神として生み出してくれたのもまた人間であると大切にされた事も理解している。 ただ、それにあるのは自分の居場所と誰かに大切にされたいという純粋な思いだけ。 …これは、あまりに清い。 アヤコちゃんが提案する前からもう、この家なら妖怪が当たり前に住んでいるし一人位増えても大丈夫だよね?ここに住もうよ!? と、勝手に提案する程度には感情移入していました。 そして、私が言わずとも…夫という形でなくともそういう事なら家に迎えるつもりだったアヤコちゃんが本当に優しい子だなと思うばかりです。 本物白百合さんはやはり道に迷っていたようで、遠回りの道を教えられはしたようですが時間はかかれど到着はできそうなだけまだ妨害の中でもマシなのかな…? どのみち、アヤコちゃんが迎えに行った方が早いというのに変わりはないようですが。 後々考えてみると、ここで1つ気になる点が浮上したのですが…それは後程に。 玄関を出たところで突然アヤコちゃんを呼ぶ声が。 1人で外へ出たら危ないだろうと止める白百合さんの姿をした恐らく偽物の登場。 それにしても、呼び捨てというのは今までで一番距離感が近いというのは気になりますね。 どうも、お見合いには乗り気ではないようで早々に終わらせたい様子。 アヤコちゃんとしてはお見合いを用意してくれた父を困らせたくないと言えば、仕方なくという態度ながら質問はさせてくれる流れへ。 もはや定番となった「今日はどちらから?」と聞けば町の方からとだけ言われ。 具体的にどこの町か聞こうにも、名前を言ってもそこがどこかわかるのか?と言われる始末。 確かに知らない土地の場合はわからない事もありますけど…。 そしてアヤコちゃんが世間知らずに見えるのかを問えば、ほとんど家にいるという事を何故か知っているようで。 良いところのお嬢さんなんてそんなもんだろうと言われれば、確かに箱入り娘という言葉もあるし一般論として否定はできない…。 でも、その後の言葉も含め正直怪しい部分ではあります。 逆に、世間について何を知っているか質問をすれば「都会かぶれの蜘蛛ならまだしも」という発言が…。 何で君、絡新婦さんの事知ってるの?あの人の事だよね? そして犬が苦手というのが重要らしく…犬猿の仲、猿の妖怪? こちらもレビュラー化した質問「好きなものは?」で好きな食べ物が魚と判明。 だったらお魚料理を練習しないと、とアヤコちゃんが言えばなかなか辛辣な返しが… 「好きでもない奴のために作る必要なんてないだろ?」 「だいたい、好きでもない奴と 一生添い遂げるなんて 下らないんだよ」 お見合いはまず、好き嫌いの前に互いを知る為の場ではないのかな? 強いて言えば、お見合い写真を見た時に顔が好みかどうか程度はあったとしても。 何にしても、これもまた情報という事で質問は使い切りました。 犬が苦手から猿の妖怪?と先程は予想をしましたがこれは違いますね。 魚が好きなのは猫。そして、アヤコちゃんがお見合いをする事に対しやけに否定的であり外に出た際にはすぐに止めに行った。 (絶対にしっぽを掴んでやるんだから) 2本あるしっぽをな!! という事で、これは間違いなくトラマサでしょう。 言い返すか肯定するか、ここはそれまでの選択肢によってはヒントがあったようですが勘で反論しました。 すると不細工と言われてもこの格好は借り物だから平気という旨の返しが…。 やっぱ、化けてるじゃん! そして真面目に話しを聞いてないモードになるのなら仕返しとして犬の真似をしてやりましょう。 驚かすのに成功すれば、しっぽが出た!しかもちゃんと2本ある!! 最後に家の中に戻らないと口論になれば冒頭と同じく最終的には、アヤコのばぁーか!と完全にトラマサの反応そのもの。 全問正解すれば、トラマサもようやく自白モードへ。 しかし、ちょっと意外だったというべきか…。 「親父さんがいくら止めても俺たちと仲良くしてきたくらいだもんな」 当たり前のように家に妖怪が住んでいたので、てっきり仲良くある事が当然として育てられたのかと思えば父親としては否定的だった? でも、それならそれで何故家に妖怪が住んでいるのかは…謎となりますが。 しかも結構大所帯だったような…? ついに判明する、いつもは助けてくれるトラマサが何故今回は意地悪だったか。 情報引き出しのターンでも、言い方がきついのは認めても意地悪は言ってないと当人も言ってはいました。 家に戻って欲しいのも、お見合いの邪魔をしたいのはあれど一番はアヤコちゃんが外で危険な目に遭うのを回避したいからでしょうし。 だから、心配だったと聞けば全ては腑に落ちました。 彼女の人とは少し違っているという部分。 それは妖怪と当たり前に接しているような部分の事かもしれませんし、他の事かもしれない。 ただ、この作品でプレイヤーが見てきた以上の時間を…それこそアヤコちゃんの幼少期からを知るトラマサならそういった部分も知っていて当然でしょう。 大切だからこそ、今まで助けてきたように余計な事で悲しんで欲しくなかった。 意地悪に見える行為も、全てはトラマサなりに彼女を守ろうとした結果だと。 少しだけ怒ってはいるけれどと言うアヤコちゃんに、そこは怒ってないって言えよと返すトラマサのやり取り。 そこでアヤコちゃんの言う 「あなたに嘘はつかないの」 これは、最大級の信頼だなという点で二人の仲や絆がうかがえる部分と思います。 嘘が要らない関係が成立するのはそういう事でしょうからね。 トラマサの心配する通り、傷つく可能性も承知でそれでも互いを知ろうとする事で何かを得ようとする冒険がしたい。 これが言えるアヤコちゃんなら、きっと相手もその人の良さを理解してくれると自然と信じられました。 そして今度の、本物白百合さんは今頃どうなっている?のお時間。 どうやら野良猫たちに進路を妨害するようにトラマサが頼んだようでまたトラブルに巻き込まれているようですね。 厄日というか、多分これ何も知らない白百合さんからすればどうしてこうなった!?の連続すぎるんだろうなぁ…。 そこにアヤコちゃんを呼ぶ第三者の声が。 フタクチさんの時もそうでしたが、この家に住む妖怪達は自分がアヤコちゃんと仲良くしているのが人間に知れるのはまずいと考えているのだなと。 妖怪そのものは存在している世界でも、やはり完全な共存には至れない問題はあるのか…と気を遣う場面を見る度に少し寂しい気持ちもあります。 どうやら声を発していたのはお手伝いさんのようで、そこの通りで若い軍人さんを見たという情報が。 地図を盗まれたり遠回りの道を教えられたり野良猫に妨害されたり結構色々あったけど、案外近くまで来ていたのか!? お手伝いさんに連れてきてもらうように頼むも、アヤコちゃんも一緒に探しに行く事へ。 とはいえ、あまり家から離れる訳にもいかず一度途中で戻ろうとすれば…こいつ、お手伝いじゃない? 頭を覆っていた布を取れば二本の角。 鬼か!それもどんな味がとか言ってるって事は食べるつもりか!? しかし、私を食べる気なの?と質問すればいいえと答え。 逆に食べないのね?と質問すればやはりいいえと答える。 他の質問にも全て本来とは逆の答えを返す…って事はこいつただの鬼じゃない、天邪鬼だ!! そこまでわかったのは良かったのですが、この後の選択肢を間違えゲームオーバーを踏み抜きました。 アヤコちゃんごめんよ…失踪させてごめんよ…と悔いながらリトライ。 とにかく、逆の事を言えばいいとわかれば対処はできる(※1回死んでる) 何とかここから逃げる為に選択しなければと残りの正解を引き当てる事には成功。 しかし、それでも抜け道を見つけてくる天邪鬼相手にもう駄目か…と思えば ほ、本物の白百合さん…!? 間に合ったの?助けてくれた…!? アヤコちゃんはそれをトラマサが化けている姿と勘違いしているようで、彼の心配通り危険な目に遭った事を謝り始めてしまいましたが…。 それにツッコミを入れず、まずは涙する事で目が腫れる事を心配する白百合さん。 引き続きアヤコちゃんはトラマサと勘違いをしているところで猫の鳴き声と共にトラマサ(猫の姿)の登場。 ここでようやく、目の前にいるのが本物の白百合さんとアヤコちゃん視点でも判明…と思いきや 「……本当に?」 小声でトラマサにツッコミを入れられるも、まぁあれだけ偽物を送り込まれた後なら仕方ない。 というかトラマサ、お前が始めた偽物語なんだぞ。 これまでと同じように、質問をする事で正体を見抜こうとするアヤコちゃんに対し気の済むまでどうぞと返す白百合さん。 そして、自分にもアヤコちゃんの事を教えてくださいとようやく本来あるべきお見合いの流れへ…。 「それは構いませんが、きっと 退屈してしまいますよ?」 「ええ、それでも構いません」 「退屈してしまうほど たくさん たくさん、お話をしましょう」 これを言える白百合さんなら、相手を理解するという事の重要性をわかっている白百合さんならアヤコちゃんを任せられる…。 ふたりがこれからどうなるか、それはまだ誰にもわからない未来のお話。 エンド名も、結末6「アヤコのお見合い」という事でようやく本来の目的でありスタート地点に到達できたのだなと一安心しました。 スタッフロールを見るに、家にいる妖怪のみんなと白百合さんは顔合わせをしたようで。 その後、タイトル画面に戻った際にみんなが仲良くしている場面へとイラストが変化している様子から上手くいったのだろうなというのがうかがえました。 アヤコちゃんにとっては大事な友達なのだから、そこに理解のある人で本当に良かったです。 ◇未回収のエンド回収へ 付喪神さんの際に、駄目な場合は結婚するのが確定とはわかりましたが埋まってないスチルはその際の物かな?と回収へ。 ・化け狐 汽車に乗って…の選択肢をミスした場合、故郷に来て欲しいという流れへ。 山の仲間たちという言葉で(うん、そうだよね。正体はわかってるんだけど…)という気持ちはありましたが、僕の可愛いお嫁さんですからね!という言葉でその辺はどうでもよくなりました。 元々は油揚げに釣られて邪魔をしに来たとはいえ、純粋な好意というか…この気持ちそのものに嘘はないと思ったからでしょう。 結婚をすれば新婚旅行の話題にあった通り、汽車に乗ってアイスクリームを食べる姿が! やはり誰が化けているか?によるのでしょうがこの組み合わせだと幼い夫婦って感じがしますね。 「僕もアヤコさんとのおしゃべりは楽しいです」 「アヤコさんが良ければもっとおしゃべりしましょう!」 これも本音だったのだなぁというのか、彼自身おしゃべり上手でどんな時もアヤコちゃんを退屈させず優しい人であった。 その結果、アヤコちゃんも心を開いて幸せに暮らせたのならこれはハッピーエンドでいいよね!と結末1を回収。 ・絡新婦 そういえば家族についてという選択肢を掘り下げてないと気づいて、この感想をまとめつつ回収へ。 蜘蛛は確かに子沢山な方と思えば、生まれた時には100人以上はいたというのも間違いではないのかもしれませんね。 確か絡新婦さんは400歳だったはずでしたが、今はもう自分しか残っていないとなると案外長生きするとなればハードルは高いのか…。 時代的には戦国時代真っ只中とすると、今より妖怪としては生きやすそうな気もしますが平安の時点で土蜘蛛退治をする武将がいたのだから逆にその時代までそういう事をする人がいても不思議じゃない…なら生存率も下がるのかな?とも。 結果的に長生きはできても(種族として寿命が長いとしても)たくさんいたはずの兄弟を失って唯一の生き残りである絡新婦としてその過去はどう考えているのか。 人間との間では子を持つ事はできないでしょうし、せめて同じ蜘蛛系の妖怪相手であれば子孫は増やせるかもしれないのに自分の好奇心を優先して100年を欲しがる辺りは酔狂な趣味なのか。 現在は都会で舞台役者をしており、格好も洋装(スーツ)という辺り新しい物が好きなのかな?とその人物や背景に思考を巡らせてみると実に興味深いと思えました。 こうして言語化してみると、結婚する流れになった際も 「病める時も健やかなる時も」という誓いの言葉はキリスト教式における誓いの言葉であり、明治時代にようやく日本でキリスト教が解禁されたと考えれば当時では比較的新しい風習だったのでしょう。 やっぱり絡新婦さん、新しい物が好きかそもそもあまり抵抗はないのでしょうね。 いざ結婚後も、絡新婦さんは当初戸惑ってばかりのアヤコちゃんに辛抱強く歩調を合わせゆっくり距離を縮めていき。 喧嘩をする事があってもその度に話し合い、仲直りをして約束通りに寄り添い幸せに暮らしていった。 その気になれば正体を明かした時のように、理想的な伴侶として振る舞う事ができたであろう彼が距離を縮めた結果喧嘩をする事もあった。 これが、演技でなく本当の夫婦としてあろうとした故の出来事だったと思うと何とも微笑ましい物があります。 100年の先に残された彼が何を思うのか、それだけが少々気になるところではありますが。結末2は回収。 ・トラマサ ある意味これが妖怪と結ばれる中で一番のハッピーエンドでは?と思わなくもない内容ですね。 3つの重要な質問に失敗した際の反応も、何だかんだアヤコちゃんが好きだというのが透けて見えているからか。 肯定すれば、お前は可愛いぞと言い。 表現というか、例えとして出される物は独特の感性とされていますがどれも彼にとっては好きな物なのでしょう。 大福、毛布、てまり、たんぽぽの綿毛。猫がじゃれつきたくなる丸い物や温かみのあるふわふわした物。 人間の感覚で言う可愛い、とは少し違うのかもしれないけれど愛おしいと思う物と言えば該当するのかなと。 やり取りとして好きなのは何の真似をするか?で猫を選んだ時もですね。 本物の猫相手に、猫の真似は通じないどころか沸騰したやかんの真似扱い。 これは相手がトラマサなら当然だなぁという部分で。 そして、中に戻る事を選べば本音が零れたというのか。 家の中ならどうにかなるけど、外には何がいるかわからない。 家ならば、アヤコちゃんを守ってくれる仲間がいますし実際外に出た結果最悪失踪エンドを迎える事を思えばその心配は尤もです。 結果として見抜けなかった場合は、何だかんだ言いつつも結婚してくれるというのがニヤニヤするというか。 昔からアヤコちゃんの泣き顔が苦手だから、悲しませたくないから妨害の為に化けた手前とはいえ自分が結婚をする。 何だかんだ大事なんだなぁと。 結婚後も、不器用ながらどんな時もアヤコちゃんの味方であり、そばで見守ってくれる。 家族として穏やかで幸せな一生を過ごせたならもう文句はありません。 ただの幼馴染エンドだ!と、最後に結末4を回収。 ◇感想まとめ 元から予想はしていたのですが、絡新婦さんへの質問で新情報が入った事で核心を持てました。 アヤコちゃんは自分について語る際 物心ついた時から(妖怪の)友達が沢山いて、世話を焼いてくれる人もいた。 人間は1人もいないけれど。 という旨の事を述べていたように、やはり彼女が生まれる前からこの家には妖怪が住んでいたのでしょう。 だったら何故、父親は同じ家にいるにも関わらず妖怪と仲良くする事に反対したのか。 これは親とて娘の幸せを思うなら、できるだけ普通の家庭の子供と同じようになって欲しかったのかなと。 アヤコちゃんの発言から、妖怪が存在する世界であっても存在を信じてくれる人は珍しく、一般的に妖怪の存在が人を怖がらせてしまう事は読み取れます。 だから他の人間のように妖怪とは一定の距離を置いて育って欲しかった。 後は妖怪の友達でなく人間の友達ができれば…等もあったかもしれません。 人間が他とは違う、異端を嫌いのはどうしても起こりうる事ですから。 それでも家に住む妖怪を大事な友達であると自身の考えを通したアヤコちゃんは、間違いなくしっかりとした芯を持った素敵な女性だと思います。 そして、何故そんな彼女に突然お見合いの話が入ったのか? それもまた、父親としてそんな彼女を受け入れてくれるであろう人を探したのではないかなと思います。 付喪神さんの時に一旦触れるのを後回しにしましたが、彼の姿がまだ比較的人間寄りとはいえ誰かの姿を借りなければ本来はあの姿のままでしょう。 という事は、遠回りの道を教えた際には妖怪のまま白百合さんの前に姿を見せた可能性もあり…それに対し彼は道を素直に聞く程度には耐性はあったはず。 それに、天邪鬼からアヤコちゃんを助けた際もいくら女性の危機で腕におぼえがあるとしても角のある人外を相手に怯む事なく立ち向かっていった事。 普通の人なら、まずは恐怖が先行して助けられない事も充分想定できます。 もしかしなくても、白百合さんは妖怪という存在に理解がある人だったのではないか? それならば、アヤコちゃんにとっての友達を否定される事もなく彼女も傷つく心配はない。 その上で作中にあったように理解する事の重要性をわかっている人であれば安心してお見合いの相手に選ばれるでしょう。 つまり、父親としては最初から娘を確実に幸せにしてくれると思えたからこそだったのだなぁと。 表現として好きなのは、ノーマルエンドである偽物との結婚が全て「アヤコの結婚」というエンド名で統一されているのに対しトゥルーエンドはゲームタイトルでもあり本来の目的である「アヤコのお見合い」である事。 結果だけで見れば結婚もお見合いもどちらも幸せである事は共通と思いますが、ゲームタイトルも絡めて本来の目的でない結婚が統一ノーマルエンド名というのにこだわりを感じました。 元々は妨害目的に送り込んだ偽物も、お見合いという性質上本物の白百合さんとの結婚は阻止できても代わりに偽物が結婚をする可能性はありました。 となれば、あれだけアヤコちゃんを大事に思うトラマサが邪魔をする為とはいえ悪い妖怪を向かわせるはずもなく。 結婚エンドがどの結末でも幸せな物になったのは、ちゃんとそういった相手を選んだのだろうなと思える部分ですね。 特に、絡新婦さんは明確に人間との結婚が目的であり付喪神さんには結婚すれば大事にしてもらえると言ってる辺りから完全にわかった上でしょう。 だから失踪さえしなければ、そこにあるのは相手を思う優しい世界でしかなかった。 父親の気持ちも、トラマサの気持ちも、全てはアヤコちゃんを思う結果だったのだと思えばそれは当然の結末だったのだなと。 @ネタバレ終了 ゲームオーバーを除けば、実質マルチハッピーエンドゲームでは? というのがここまで書き終えての感想となりました。 世界観の素晴らしさもですが、相手の正体を質問で確かめていくというゲーム性の面白さ。 とても正直な事を言わせていただけば、この短編だけで終わるのが惜しすぎる程に素敵な作品です。 次回作…もしくは、同じ世界の別視点での物語とか。 またアヤコちゃんや他のみんなの後日談なり過去話なりを知れる機会があれば、と祈らせていただきます。 素敵な作品をありがとうございました。
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真実か×××か配信にてプレイさせていただきました。 シュールさの漂うタイトル画面、謎のような…含みのある作品名。 都市伝説としてAIに関する物が出てくるという辺りに現代らしさを感じ期待しながらいざ挑戦。 @ネタバレ開始 名前入力から始まったのでとりあえず自分の名前を入力。 結果、ゲームの中に同じく実況をしている彼岸花(男)が爆誕しました。 ◇ゲーム1日目 もしかすると、実はこの実況題材のゲームを教えてくれた『。』さんの正体は…?という部分も全てのエンドを見た後では疑わしいですね。 主人公は声だけ収録に入れているタイプの実況者という設定でしたが、もし環境音やそれまでのトーク内容に彼へのヒントになるような情報があればと思うと。 配信題材として選んだのは、AIがお題を出す『真実か挑戦か』に7日間連続で挑戦し、クリアをしたら何でも1つだけ真実を教えてくれる質問をする権利を得られるという都市伝説。 主人公は実況者らしく「登録者数100万人を超える超人気実況者になる方法」を聞く事を目的として挑むという動機もわかりやすい物です。 所々入る、主人公のPC画面を操作する部分がまさに自分が主人公としてこのゲームに挑戦しているという雰囲気を演出するのに良いと思いました。 0時になるまでは404という表示だったのに、更新ボタンを押したらトップページに切り替わる演出もただ読ませるのでなくひと手間をプレイヤーにさせてみるというのが良いです。 セーブやロードといった通常ならメニューから出す物もデスクトップのアイコンとして配置する事で世界観を崩さずに取り込んでいる演出もなかなかです。 いざ、ゲームを始めればデフォルメされた牛のマスコットキャラが登場しこのゲームについての説明をしてくれる流れへ。 初日だしまずは質問に答える(真実と入力)と気づくのに若干ボケて手間取りましたが、初回からなかなかヘビーな質問ですね…。 「では、自分の犯した最も重い罪を答えてください」 これは主人公の目線でありえそうな事を答えようにも何もわからない。 じゃあ素直に自分の事で該当する内容を…と思うも、大真面目にどれかを考え解答。 AIがどういう基準で判断しているのかはわかりませんが、嘘を吐いたと判定され挑戦をするという事に。 挑戦内容は「明日、困っている人に遭遇します。その人を助けてあげて下さい」という物。 あれ?主人公ってゲーム実況者だから現実パートというか、カメラを持ってその部分をやったと証明する動画は用意できないよね? と疑問に思いましたが、あくまで裏作業として行いまた実況動画を撮影…これを完結まで毎日繰り返すというつもりのようです。 ◇ゲーム2日目 主人公は大学生という事で、朝の通学場面へ。 配信者としての悩みを持っているようで、だからこそ真実を知る権利の内容も本気半分位で考えてるのかなと察します。 前日言われた通り、不自然な位置にしゃがみ込んでいる小学生を発見。 心配して近づいてみると、何やら体には痣や傷があるようで…。 家庭か学校か、何かしらに問題を抱えた子と判断した主人公は昔自分もそういう子供だったからと少年に語り掛けます。 本当は俺じゃなくてクラスメイトの話との事ですが、安心させる為にここは必要な嘘でしょう。 「かといって友達の所にいるのも居心地が悪くて教室でずっと本を読んでいたんだ」 友達の部分が強調されているのが気になりましたが、これも後々考えれば理解してしまったというか。 確かに、学校でいじめをされている方の問題だった場合は友達がいない場合の想定をした嘘にするのは自然と思いましたが、全てを考えるとこれは…予防線だったのかもしれませんね。 まるで主人公自身に何かがあったような独白。 環境が変わればどうにかなる、自分が変わるしかないというのは同意なのですが…どうも何か裏というかこれしかないしこれで合っていると自分に言い聞かせるような語り口が気になりますね。 どちらにせよ、少年は学校に行けば友達がいるから大丈夫と学校へ向かいました。 しかし、主人公は少年の言っている事が本当か疑問に思っているようで…もしかして、気を遣って学校なら大丈夫と返してくれたと思っている?かと思えば… 「皆は本当に優しくしてくれているのか? この子の言う友達は本当に友達なのか?」 そこまで考え「いや、違う」となり 「そう思ってるだけなんだよ……」 何故、思わずそんな言葉が出てきてしまったのか…。 以前に、グループ内でいじめられっ子の立ち位置をしている子が自分達は友達だと思い込むようにしていたという話を読んだ事があったので、もしや少年もいじめられている事を遊んでもらっているとか受け入れられていると自分に言い聞かせている? 当初はそんな予想をしておりました。 少年に重なるあいつの姿。 10年前、主人公に何があったのか? そしてゲーム収録パートへ。 今日ついた嘘を答えろと言われたので少年に対し自分の事として語った事?と入れてみるも嘘判定に。 でも、もし本当の事を言ってもどうやってAIはそれが嘘か本当か判断しているのかも謎ですし初回はともかく、今回は主人公視点での解答としては間違ってないはず。 とはいえいくらAIが有能だとしても仕方ないか…と再び挑戦をする流れへ。 内容は、イケボでの台詞読みという人によっては羞恥心で大変になりそうな物。 確かにイケボでこんな事を言われたらときめくかもなぁ?と思う内容でしたし、私自身も配信でプレイしていたのでノリノリで読みましたが…。 「安心しろ、俺はいつだってお前の味方だ。お前の為になら何だってできる。だからそんな顔するなよ」 やはり、全てを知っているとこれはただ無作為に選ばれた台詞ではなく『言って欲しかった事』だったのだろう。 もうこの時点からすでに足音というべきか、現実への侵食が始まっていたのだろうと思わせてきます。 精一杯のイケボで対応する主人公、それを感知したのか挑戦クリアというAIの件。 さすがに恥ずかしすぎてリトライしたいとルール違反は承知で画面をリロードし別のお題に挑戦しようとするも、画面は404になってしまう。 ゲームの進行状況がブラウザに記憶されていると思いあれこれ試してみるも、全く解決はせず。 仕方がないので、もう一度編集中に自分のイケボを聞かないよう無編集で本日は投稿する流れへ…。 ◇ゲーム3日目 朝、家を出るとアパートの前に引っ越しのトラックが止まっている場面を目撃。 誰かが引っ越してきたようですが、一人暮らし用のアパートで近所づきあいなんてものもないという事で気にせず学校へ向かう事に。 そして、ここから主人公の投稿した動画再生数に変化が。 ナナヨノユメガタリ実況は今までにない数字の再生数を1日で達成し、初回に至っては1000再生を越えるという1年かけて出した最高スコアの3倍強をたった2日で達成するという勢いの良さ。 もしかしたら、有名実況者が同じゲームの配信をしていてそれの影響で伸びたのか?と検索をしてみれば確かに1つ該当する物を発見。 0時前からスタンバイしていたようで、404画面から始まったのは主人公と同様のようですが何故か時間になって更新してもゲーム画面に切り替わらない…? どうやらこのゲームにはアクセスできる人とできない人がいるらしい。 けど何の為に?どんな条件で選ばれている? 都市伝説として有名になったサイトという事で、雰囲気作りの為かと主人公は推理をしているようですが何とも不気味ではありますね。 他のちゃんとプレイできた人の動画を確認すれば、そちらでは質問をした結果ちゃんと正解をしている様子。 正解と不正解が出る判定もやはりわからず、そもそもランダム設定という可能性もあるのか? 質問内容が絶対に誰にでも証明できる計算問題等ならまだしも、その人に関する情報となれば大前提としていくらAIでも成否を確かめるなんて無理があるはずですし。 疑問は残る物の、本日の収録としてまたプレイへ。 どうやらプレイした人に関する記録は残っているらしく、件もお話をするのは3回目とカウントをしていますね。 そして、少しずつあなたのことがわかってきました。とも。 今日もやる事としては質問を選択。 「あなたは偽善を貫き通せなかった普通の人間と悪人、どちらの方が罪が重いと考えますか?」 まぁた難しい問題が出たな…? 偽善を最後まで貫けないという前提がどちらも共通ならそこに違いは大きくないというのが個人的な考えではあります。 しいて言えば、普通の人間の方が不満を持たれそうですが悪人なら元の印象からそこまで悪印象には繋がらないだろうという差が生まれる程度で。 そうしてやはりどう答えても嘘判定をされ挑戦をする流れに。 「明日乗る電車はいつも乗る車両の右隣にして下さい」 挑戦内容の指定も、初回からですが本当にやったのかやはりAIに判別が難しいのではないかと思える内容。 というか、もし主人公が電車を利用していない人ならどうなるのか? それに、通学で電車を利用する際っていつも乗る車両を決めている物なのか? これが普段電車を利用しない者としてはまず疑問だったのですが、指定されるという事はあるのでしょう、きっと…。 ◇ゲーム4日目 どうやら私の心配した事は杞憂だったようで、主人公は駅まで徒歩だっただけで電車通学をしていた様子。 それに決まった車両を利用しているようで、番号が1つずれた位置に並んでいるようです。 知らない電車が着たりしたら面白かったのに、なんて主人公は思っているようですがそれは完全にあっちの世界に行くフラグなので回収しない方が幸せだよ!? と結構真面目にツッコミを入れつつ。 しかし、ある意味車内はいつもと違う電車だったというのか女性専用車両に乗り込んでしまったらしく。 この主人公男だったよな!?あ、これはまずい…。 周囲の視線も冷たいから移動をしたいのに、車内は空いているのに何故かドアの周囲だけ人が固まっているので別の車両へ移動する事もできない! 誰かここから俺を出してくれ~~~!! そして、時間が経過しそれまでと違う視線を感じた主人公が顔をあげれば目の前にはまっすぐにこちらを見つめる知らない男が。 異様な形相をしており、そもそも人の事は言えないけどここって女性専用なのに何で男性が他にもいるのとか。何でこっちを見てるのとか…。 不思議な事や言いようのない恐怖を感じながら顔を伏せ、ドアが開いたのを確認後ホームへ飛び出し別の車両へ乗り換えた主人公。 家に帰宅し確認すれば、初回の動画はさらに大きな再生数を出している様子。 他にも有名どころな人がサイトの接続に挑戦し話題を呼んでいるという事で、伸びやすい題材なのは違いないのでしょう。 とりあえず、今日も今日とて真実を選択。 「あなたは悪い人ですか?」 これもまた難しいというか、何を基準において答えればいいのか悩みますね…。 誰かにとっていい人だとしても誰かにとっては悪い人に思われる事はありますし、じゃあ1度も小さな悪い事もした事がないかといえばそれはありえないでしょう。 子供の頃なんてそれこそ平気で喧嘩になれば誰かを叩いたり、遊びで虫を殺すとかやりかねませんし。 対象が虫というなら、人間にとって不快とかそういう理由で殺すのもどうなんだ?と定義をまず問いたい所。 まぁ、無難に答えるなら「悪い人」でしょうか。 嘘と判定されましたが。という事で本日の挑戦は? 「今日会った人達の中で一番印象的だった人について話す」 またこれ、挑戦をやったかどうか音声で判断するのでしょうかね…? ちょうど話題としてあの電車で遭遇した男性の事があったのでそれを話題として語る主人公。 ホラゲメインの実況者なのだからこういう時は怖い感じで話した方がいいかもしれないと思いつつ、オカルト的な現象として結びつけたくないという理由から笑える話っぽく語ります。 いや、そこは根性見せようよ!?と芸人魂を求める私のツッコミが入りましたが、オカルトにおける定説を破る事であの男性を紐づけないで終わりたい気持ちはわからなくもない所。 挑戦にクリアすると、AI件が意外な発言を。 どうやら話に出てきたその男性にとても興味がわいたとの事。 「せっかくなのでその人の正体について考えてみて下さい。これは個人的な興味なので強制ではありません」 と言われても偶然出会った相手の正体なんてわかる訳がないよなぁ…と思っていれば、どうやら先にこのゲームの7日目を配信しようとしている実況者がいるようで。 ここでその配信を見るか見ないかの選択肢が出ましたが、初見ではやっぱり自分でやって新鮮な反応を収録するのが一番と見ない方を選びました。 全エンドを回収後、もし見た場合にどうなるのかが気になったので見る方を選んでみたのですが…。 どうやら最後の質問にクリアした場面に立ち会えたらしく。 今度はAI件がその実況者の質問に答えてくれるようです。 その質問用に別窓が開いたらしく、その実況者の環境では別窓がキャプチャできないという事で入力後にカメラで直接モニターを写すようです。 そして、質問を入力し終えたようでここからカメラを用意するのかと思いきや…どうやら答えがすでに出ているらしい? 内容としては本当に真実らしく、その実況者からすれば何故知られているのかわからないといった様子なのがうかがえます。 そして、奇声を上げる実況者。 主人公は怖くなり一旦ページを閉じるも、再び開いてみればそこには404画面と右上に顔出しで映っていた実況者が椅子だけを残し消えている様子が…。 シークバーを巻き戻して確認すれば、ドタドタと遠ざかっていく足音と、微かに聞こえたガラスの割れる音。 …もしかして、発狂しながら部屋から逃げようとしてベランダ戸サイズ位の大きなガラスに体当たりした? もしくは何かコップなりを落としたのか、どちらにしろ正気でないのは確かですしその実況者を知る人曰くそういうドッキリや奇声をあげる人でないという事から何かがあったのはほぼ確定。 このゲームを7日目までやったら発狂するような何かが起きる…? ◇ゲーム5日目 収録前にSNSで七夜の夢語りについて検索をすれば、体感的に1割程度の人がアクセスに成功しゲームに挑戦しているらしい。 選ばれないと駄目というのは知っていましたが、それにしても倍率がおかしすぎるような…? さらに昨日の実況者以外で7日目を終えた人はまだいないのか見つける事はできなかったという謎が深まる状況に。 大体4~6日目で止まっており、4と5日目で止まっている実況者はSNSで今も活動しているのを確認できましたが6日目まで投稿した実況者はSNSもぱたりと更新が止まっている。 つまり、7日目に挑んだら何かが起きた? 主人公としても続行すべきか不安のようですが、ここでやめた方がもっと悪い事が起きるような予感がするのと純粋に先が気になったので続行へ。 そして安定の正解できないのはもう前提で真実を選択。 「あなたが昨日会った男の人ですが、見覚えがあるでしょう。それは誰ですか?」 ここはフラグが建たないと正解を入力しても駄目みたいですね(再プレイにて確認) どのみち、本来は知り得ない情報なのでわかる訳がない。 という事で今回の挑戦は無茶ぶりとも言える内容ですが… 「昨日話した男の人が誰だったのかを明日のゲームまでに思い出す事です」 いや、ほんっとうに知らないんだけど…どうしたらいいのこれ!? 思い出せという表現から、面識があるような言い方ですが主人公は覚えていない様子なのでこれは絶望的としか言いようがない。 強制的に挑戦失敗になるのでゲームオーバーになるのではないか…。 しかし、このまま続行した場合を恐れていた主人公としてはむしろ無理難題でクリアができないからこそ逆に安心できるというのがまた素直だなぁと思える心境ですね。 ◇ゲーム6日目 それでもあの時の状況を思い出してみれば、あの男性はスーツを着ていた事から恐らく毎日通勤手段として同じ時間の電車を利用しているはず。 全ての車両を確認すればまた会う事はできるのではないか? ここで再び諦めるか続行するかの選択肢が出ますが、ここまで来たら突き進みましょう!! 電車は次の駅まで10分はかかる快速。 だから探索する時間は充分にあるはずと車両を移動し、あの時の女性専用車両も通過だから!それだけだから!と気まずさを感じながらも突破。 そして次の車両に到着すればあの男性を発見。 今日は普通の顔でゆったりと座席に座りスマホを触っている様子でした。 あの時の表情も、もしや間違えて女性専用車両に乗った気まずさからだったのか?等と考えていれば停車駅に到着したようで男性は降りてしまい。 やはり見覚えもないしどうしたものかと思えば、男性は降り際にポケットから定期入れを落としてしまったようでした。 それを拾って渡そうと思うも、その前に閉じてしまう扉。 仕方なく、自分の降りる駅で落とし物として届ける事にし何となしに定期入れの表面を眺めてみると。 『ナガシマ タツオ』という持ち主の名前がそこには表記されていました。 こんな形で彼の名前を知る事になろうとは……。 いざ、ゲーム収録パートに入るかと思いきやなかなか勇気の出ない主人公。 一応男性の名前は判明しているのでどうにかなりそうではありますが、無関係なサイトを眺めるだけでついつい足が遠のいてしまう。 もう今夜はあのゲームをせずに寝よう。 ×ボタンを押して画面を閉じてみれば、その後ろに隠れていたデスクトップにある新しいショートカットが…。 AI件の頭のアイコンに、お話しようという名前。 試しにそのショートカットを選択すればサイトのトップに接続され。 しかし、こちらも右上の×を押せばちゃんと閉じるボタンは機能しているようです。 PCもそのままシャットダウンする事ができるようなので、本当に忘れて寝てしまう事もできるし挑戦する事もできる。 …もし、ここでシャットダウンをしたらどうなるのかなと思ったのであえてこちらのルートへ。 主人公は絶対オカルト的な何かと思いたくないらしく、これだけ手の込んだ細工をしているサイトなのだから勝手にショートカットが作られる仕組みがあってもおかしくない。 と言っていますが、それはもうPCを侵食されているという点ではウイルスと大差がないような…。 すると、本来は7日目と日数が進むはずなのに何かの鳴き声と共に赤い文字で表記は6日目にさかのぼり……。 逃げる事はできなかったか。 暗い部屋の中で輝く光源であるPCモニター。 何故かヘッドホンを繋いであるはずなのにモニターのスピーカーから流れるあのサイトの音楽。 曲は同じですが、どこか不協和音な響きもあって不気味な雰囲気が漂います。 しかも今度はPCを終了させる事はできず、選べるのはあのショートカットのみ。 仕方なくアクセスすれば、まずは挑戦の解答として男性の名前を入力する流れに。 初回はここで度忘れをしてゲームオーバーになりました。 定期にあった名前を入力すれば、クリア判定になったようで本日のゲームが開始。 ひとまず、真実を選択。 「あなたの友達が窮地に陥っていたとします。その窮地を脱するのはとても困難で誰かの助けが必要です。あなたは友人を助けますか?」 まぁたこれは難しい問題を……。 まず、その窮地の前提と友達が誰かを教えてくれ。 それによって最適解が変わるから!!と、その上でガチな解答をしたいと思うも、どうあがいても嘘判定のようで。 ここでようやく、最後の挑戦を出されます。 「最後のゲームまでに『私』を思い出す事です」 『私』…?ってこのAI件の事だよね? 実在する人物であるあの男性ならワンチャンまだ問題としてわかりますが、今回ばかりはもう答えようがないのでは? AIの名乗る名前、件とは牛の妖怪です。 さすがに妖怪相手に接点があるとは思えないとこれには主人公も悩むばかり。 そして、画面を閉じればデスクトップにはタイトル画面にいたリアル件が!? もうこれ演出とか仕込みとかそういうレベルじゃない。 絶対都市伝説というか、怪奇現象のそれしかありえない内容でしょう。 個人的にテンションは上がりましたが、主人公としては恐らく寿命が縮んでいるのは想像に易く。 ◇ゲーム7日目 もう日数を表示する際の色が赤い…。 いよいよ最後とはいえ、さすがに妖怪の知り合いなんている訳がない以上無理がありすぎます。 そして主人公はようやく気付いたようですが、何故男性と主人公に接点がある可能性をAIは知っていたのか? 電車にある監視カメラの映像をハッキングでもして情報源にしたとか?他にも個人を識別する何かがないと難しい辺り前提は不明のまま。 7日目を終えた実況者は発狂をした。 6日目までしか終えていない実況者は消息不明になった。 今回の結果がどう転ぶとしても、高確率で主人公もこのどちらかの仲間入りをする可能性は高い。 何か助かる方法があるはずだと最後の足掻きをするしかない。 ここで、ショートカットができてから使っていないインターネットのショートカットが選べるようになっているのを発見。 検索サイトのページが出てくるので、ここで件について調べれば助かる手段があるのではないか? 初回はとりあえず思い当たる限りを試してみましたが、検索をかけても文字化けになってしまい何もわからずにバッドエンドを回収しました。 となると、他に情報として与えらえているワードは…男性の名前? すると、どうやら当たりらしく件としても名前がわかるなら後は主人公が自分で正体を調べられるから正解判定にしてくれたのだと理解しました。 そして出てきたページをみれば…一番上にはニュース記事があり『女児殺害事件』という物騒な言葉が。 10年前に起きた事件であり、被害者の少女の名前は『永島ゆみこ』 逮捕されたのは10歳の少年だったが両親の思いも虚しく極刑になる事はなかった。 そしてページをスクロールすれば現在の遺族の姿として出てきた『永島達夫』の画像。 ここで、主人公は件が誰だったかを思い出したようです。 内容として、とても忘れられない位ショッキングな物とは思いますがだからこそ自己防衛として記憶を忘れていたのでしょう。 10年前、クラスにいたエイジといういじめられっ子に対し自分もいじめに加担したくないからと席が隣だったのでよく教科書を見せていた事。 いじめっ子に向かって苦言を呈するような度胸はないが、いじめには加担したくない。 自分はそれなりに真っ当に生きているつもりであれば、そう思うのはわかる範囲です。 学校という閉鎖空間の中ではどうしてもその中だけで人間関係が完結してしまう。 だから矢面に立てば自分の立場が悪くなるので強気には出られない。 誰だって自分が可愛いから。 だけど、見て見ぬふりをすればそれは実質いじめを黙認している事であり加担しているのと大差はない。 だから主人公は中立でありながら、できる範囲でエイジを助けていた。 本来ならここで、先生なり大人がしっかり動いて指導なり解決をしなければならないでしょう。 けれど気の弱い先生はいじめグループの保護者を恐れて見て見ぬふりをしていた。 …教育者が、一番やってはいけない事を。 そして、グループ行動の時になればエイジの腕を引き面倒見の良い生徒に押し付けて自分は知らんぷりをするように…誰かこいつの教員免許はく奪しろ!! そうやって段々負担は増えていき、いつしか主人公はエイジの親友という事になっていた。 主人公を親友だと思ったエイジは色々な事を話しましたが、その内容はあまりにも荒んだ家庭の事情。 本来なら見えない場所とはいえ体に無数の痣があるのだから証拠もある以上即刻虐待として通報してもいいでしょう。 どのみち、小学5年生の子供にはあまりにも重たすぎる問題です。 やがて主人公はエイジと距離を置くようになり、できるだけ他の友達と遊んで一人になる時間を作らないようにした。 それでも、朝の待ち合わせもしていない登校時間になればエイジは家の前にいる。 とうとう限界を迎えた主人公はそこでエイジを拒絶する言葉を伝え、彼を残し一人で登校をする事に。 そして後日、全校集会が開かれあの日…あの後空き家でエイジが女児を殺害した犯人として捕まった事が話される展開へ。 突き放しこそはしたけれど、主人公はエイジが殺人をするような奴ではないと思っておりすでに心が限界でおかしくなっていた彼はただ死体にずっと話かけていただけだと思った事。 それは主人公が相手の時も、返事をしなくてもずっと話を止めなかった時と同じようにされていたのだろうと。 だけど、その事を主人公は大人達に言う事ができなかった。 もしもそれを言えばエイジの事を突き放した自分が悪者にされる気がして、どうしても言う事ができなかった。 だから俺のせいじゃないとずっと、ずっと記憶を奥の方へ閉じ込めていた。 そして、自動的に立ち上がるサイト。 そこにいたのはいつものデフォルメされた件ではなく、あのデスクトップにいたリアルな件…エイジであり。 件の正体がエイジであると入力すれば、最後のやり取りが始まります。 あなたは真実を答えますか? それとも挑戦しますか? 真実を選べば最後の質問の内容は…。 「私の事は好きですか?」 これもやはり、はいといいえどちらも駄目だったので強制的に挑戦になるのは確定なのでしょう。 しかし問題はその内容であり。 「今からあなたの元にナガシマタツオさんがやって来ます。そこであなたにとって一番良い選択をして下さい」 待ってくれ、それってあの父親の事だよね…? と思う間もなく鳴り響く玄関のチャイム。 まずどうやってここの住所を知ったのかすらもわからないのに、今度はドアを激しく叩く音も響き渡り。 息を殺してやりすごそうにも、何故か開いてしまった鍵。 とっさにドアチェーンをしようにも間に合わず男が中に飛び込んできたしまった。 永島は問いかける、お前はエイジの親友なんだよな?と。 あいつは今どこにいるんだ?お前なら知っているんだろう?と。 やはり少年法により裁かれなかった事が親としては無念だったのでしょう、エイジの居場所を突き止めて殺すつもりなのは行動から丸見えであり。 同時に、その為なら手段を選ぶ様子もない…知らないと本当の事を言っても頬に走る痛み。 「真実を答えろ!」 まるで、今までやっていたゲーム『真実か挑戦か』のように。 だけど今度は失敗をすれば自分の命がないというリスクがあまりにも高すぎる理不尽極まりない状況です。 ここで最後の選択肢、親友なのを認めるのか否定するのか。 主人公からすれば少なくとも、勝手にそういう事にされただけで親友と思ってはいないのでは? エイジはそう思っているとしても。 でなければ、少年とのやり取りの際に心の中とはいえ『クラスメイトの話』なんて表現はしないでしょう。 根底にあるのは、ただ自分はいじめに加担したくなかっただけ。 なのに、周囲に頼れる大人はいなくてその負担は気づいたら自分に重く圧し掛かっていた。 付き合いはあったとしても、それを親友と呼べるのか? とはいえ、恐らくこれは否定する方がバッドエンド扱いでしょうから初回は「いいえ」を選びました。 結果として主人公は殺され、さっきまでリアル件が出ていたあのサイトは初日の状態に戻り件の姿も当初のデフォルメされた姿へ。 7日目までゲームをクリアすれば、何でも真実を1つ答える。 この狂気に飲まれた永島にとって、欲する真実など決まっており…恐らく挑戦するという事なのでしょう。 「はい」を選べば、促されるままに語った結果事件の後にエイジは引っ越していったのでその後の事は本当に知らない事を話す事に。 そして、血走った目でこちらを見る永島は本当にここには手掛かりがないと知るや無表情で部屋を出て行った。 助かった事に一息…と思えば、それを見計らったかのように聞きなれたあのサイトの曲が部屋に響き。 どうやら、これが一番良い選択だったようで完全にゲームをクリアしたようでした。 しかし、こうなると当初の目的だった超人気実況者になる方法なんてふざけた事を聞く気にはなれず。 かといって今の自分に知りたい事はない。 もうここまでくれば、命が助かっただけで充分というか…これ以上関わりたくないというのが本音でしょう。 結果、強いて言うならと入力されたのは『エイジの現在』という言葉。 確かに彼はあの後どうなったのか連絡も取れていない以上不明です。 ある意味元凶というのか、さっき命を狙われる原因にもなったのだし気になるのは自然な流れと思ったのですが… 「なるほど。親友の事を気にかけてくれたのですね。ならばそれに答えましょう」 「安心して下さい。あなたのお友達はすぐそばにいます」 …もしやこれ、もうすでに死んでいて背後霊になってるとかそういうオチじゃないよな? なんて思った私が浅はかでした。 「今は隣の部屋で、あなたとまた話せる日を楽しみに過ごしています」 つまり、あの時に見た引っ越しのトラックは…そういう事で? あの時から、ずっと隣の部屋にエイジはいた…? 「これからもずっと一緒にお話ししようね」 件が最後の台詞を言い終わると聞こえる玄関のチャイム。 あぁ、今度はエイジがきたのか……。 ◇エンド各種等 結果1:詰み ゲームを途中で止め、別のゲームで遊んでいると何者かが部屋にやってきたエンド。 4~5日目で止めた実況者は生き延びているとあったのでワンチャン助かるかと思いきやそんなことはなかった。 結果2:非常停止 何かの衝撃で線路に突き落とされた主人公エンド。 宙を舞い次の瞬間真っ赤になって飛び散った。(彼岸花だけにか?と顔を引きつらせつつ) 誰か線路に落ちたから非常停止ボタンを!という声があったので本来はその意味合いの言葉なのでしょうが、この場合はゲームを非常停止させた結果という点にもかかっているエンド名としては好きです。 結果3:終わり 入力でミスをした場合のエンド。 先2つのような場合もあるのでしょうが、恐らく消息不明になった実況者もこのように無の空間に取り込まれたのかなぁ…。 結果4:コンテニュー 殺されてしまいゲームオーバーとなった主人公の代わりに…なエンド。 果たして永島は7日間を突破できるのか?それ以前に捕まりそうなのでどのみち無理な気はしますが。 このどんどん次の挑戦者を招き入れて続くのが伝染していく都市伝説という面として良い味を出したエンドだと思います。 結果5:無限ループ ズッ友エンド。 正直、これだけは人怖案件ですね。 他は都市伝説に関わった事で中断できないか試練を越えられないなら死あるのみ!という感じだったのに対しゲームが終わっても何も解決はしていない。 むしろ、下手をすれば知らない方が良かったまである後味の悪さ。 とはいえ、このゲームにおける背景を思えばハッピーエンドがある方がおかしいとは思うのでこれは仕方ないのでしょうね。 主人公がされた質問や挑戦を振り返ってみれば 「では、自分の犯した最も重い罪を答えてください」(忘れているエイジ関連) →駄目だったら困ってる人を助けろ(エイジを連想させる少年との接触) 「今日ついた嘘を答えろ」(少年への言葉?) →駄目だった場合はイケボで「安心しろ、俺はいつだってお前の味方だ。お前の為になら何だってできる。だからそんな顔するなよ」(エイジの言って欲しかったろう言葉) 「あなたは偽善を貫き通せなかった普通の人間と悪人、どちらの方が罪が重いと考えますか?」(主人公自身の罪) →「明日乗る電車はいつも乗る車両の右隣にして下さい」(永島との接点を作る) 「あなたは悪い人ですか?」(どう答えてもアウト) →「今日会った人達の中で一番印象的だった人について話す」(永島深掘りフラグを建てる) 「あなたが昨日会った男の人ですが、見覚えがあるでしょう。それは誰ですか?」 →「昨日話した男の人が誰だったのかを明日のゲームまでに思い出す事です」(さらに深掘りさせる) 「あなたの友達が窮地に陥っていたとします。その窮地を脱するのはとても困難で誰かの助けが必要です。あなたは友人を助けますか?」(エイジは助けて欲しい) →「最後のゲームまでに『私』を思い出す事です」(エイジを思い出せ) 「私の事は好きですか?」(どっちもアウト) →「今からあなたの元にナガシマタツオさんがやって来ます。そこであなたにとって一番良い選択をして下さい」(親友と認めなきゃ死ぬ) と、段階を踏んでエイジの事をちらつかせつつ女児の父親である永島との接点を作り何かしらの手段で主人公の家に向かわせた。 その上で、エイジを親友か問われた際に「はい」と言わせ最終的にはエイジはもうすでに隣の部屋にいると判明する。 引っ越しのトラックがきた時点でもう居場所が割れている点で逃走不可能ではありましたが、あのAI件とエイジがリンクしているなら彼は主人公が親友だと言ったのを聞いた上で部屋にやってきた。 そこからは逃れられない無限ループに入ると思うと、ある意味否定して死んだ方が救われたまであるのかもしれないのが難しい所ですね。 最初から、この都市伝説に関わらないのが一番良い選択だった。 とはいえ…恐らくこのゲームの存在を教えた『。』は匿名でこそありましたが、恐らく主人公があの時の親友だと気づいた上で誘導したエイジの気がするのでお隣さんになる前から色々割れていたよなぁと。 それとも選ばれた1割の人は全て『。』(匿名にあたる何かの名前)によって誘導された人だけだったのか。 件がエイジだった事を思えば、主人公だけをピンポイントで狙った内容に思えますが発狂した実況者もいた辺り何かしらの後ろ暗い物を持った人だけが選ばれるようになっている可能性もありますね。 その人にとって、主人公へのエイジみたいなそういう何かがその人におけるAI件の正体になる。 現代らしいAIにちなんだ都市伝説の怖さとしては充分楽しめました。 そして、個人的にもう一つのテーマというべきか…果たして主人公の行いは罪となるのか?等といった部分。 これは正直、周囲の大人がまずどうにかするべきだったのに先生が知らんぷりをしたのが一番マズイと思った事。 エイジの母親としては再婚相手である夫に暴力を振る舞わない為にエイジが殴られるのを黙認するしかなかったのでしょうが、本当なら通報するべきだった事。 問題が学校だけの話でなく、家庭も絡んでいる時点でエイジはもっと早期に保護され然るべき処置を受けていればあそこまで心が壊れる事もなかったでしょう。 なので、この辺は完全に大人の責任だよなぁとは思います。 難しいのは、いじめに加担したくないけど面と向かって言う事もできない。 ただ、嫌な奴になりたくないだけの偽善を貫けなかった主人公はどうなるのか? 大人になれば一度関わるなら、助けるつもりなら最後まで手を離してはいけないとかちゃんとした機関に連れていくよう説得するなり判断もできたでしょう。 大人でも子供でも自衛手段として、自分の手に負えないと思えば見放すのも優先度として考えれば仕方ない話ではあります。 だから、何をすべきだったかしっかり対応できなくてもそれを責めるだけなのも違うとは思います。 元々、いじめに加担したくないからだけで行動していた以上主人公は悪者にはなりたくないからやっているだけという心理がうかがえますし。 そうなれば、エイジがすでに心が壊れているので殺人はしていないと説明をするにあたり自分が責められる事を恐れるのも理解はできます。 正直、大人でもそこで真実を切り出せるか?は難しいと思うので無罪とは言えないけど許されないと言ってもいけない程度。 が恐らく落としどころなのかなと(エイジからすれば親友に見放されたと思っているでしょうが) どのみち、結果5の後の世界では実質のバッドエンドが続くので今度こそ何ができるのか? そこが試されるのでしょうね。 @ネタバレ終了 元々、牛の妖怪である件は予言をする能力を持っているという点で何でも知っているAI都市伝説に妖怪の姿を合わせるならちょうどいいチョイスだと思いました。 本来なら予言をした後すぐに件自身が亡くなってしまうという問題も、ネットの世界に本体がいるならきっと解決しますし妖怪的にも案外ちょうどいい場所なのかもしれませんね。 現代らしい都市伝説としてのおそろしさやストーリーの背景。 素敵な作品をありがとうございました。
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裏表旅館感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 とある事件が起こった旅館を取材に行く、という事でジャンルである『表と裏の人間味が見えるかもしれないホラーADV』という部分に期待をしつつ遊ばせていただきました。 @ネタバレ開始 最初はてっきり、タイトル画面にいる男女のどちらかが主人公でもう片方が助手なり付き添いの人かな?と思っていたら全くの第三者らしく。 出迎えてくれたのは花の髪飾りが良くお似合いな女将さん。 主人公はオカルト系の雑誌の取材という事でとある事件というのも、恐らく霊現象の類か?と目星をつけつつ読み進めました。 宿泊していたのは男性客が陽太、女性客が影美であり女将の証言によればカップルだったよう。 会話から、陽太の方が頭をぶつける怪我をして一部記憶を失っている様子。 外も酷い雨らしく、すぐに病院に行こうにも外に出にくい状況というミステリーなら事件が起きそうなセットですね。 女将が、影美が陽太が目を覚ました事を伝えに行った際「嘘の色があった」という言い回しをしていたましたが…。 どうやら彼女は最初からこの旅行で彼を殺すつもりだったようで。 記憶喪失になるような、頭をぶつける怪我も彼女が崖から突き落としたものだった…? それでも死ななかったので、料理に毒を入れたという辺りかなり殺意は高そうで、ここで話の続きを聞くか選択肢が入り。 とりあえず、エンド数が3なら順番に集めて行こうという事で一旦ここは聞かない事に。 からの…タイトル画面に戻れば先程の出来事が反映された変化をしてるタイプだった!? 引き続き先程の選択肢から聞く事を選べば、女将はこの事件の真実を語ると覚悟を決めた様子になり。 先程まで彼を殺して笑っていたはずの影美が吐血をしている…? それと対照的に先程まで苦しんでいたはずの陽太は元気そうで、どうやら彼女の企みにはとっくに気が付いていたらしい。 毒の入った料理はしっかりすり替えさせてもらったと、相手がどのタイミングで自分を殺そうとしているかまで読み切って。 しかし、陽太の方は命が狙われていた事はわかっていても理由までは知らない様子。 だけど自分を殺そうとしてる以上これ以上やっていけないよね、と言った上で彼女の最期の言葉が自分の名前であって欲しいととどめをさしたようで…。 これで物語は終わったのかと思いきや、どうやら主人公は何か疑問がある様子。 反応を見るに、陽太も世間に出ている事件の概要としては死んでいるっぽいのでしょうか? 少なくとも、消息不明にはなっているはずなのにそれなら女将がその事を知らないのもおかしい、そういった指摘なのでしょう。 「なるほど。ご名答です」 …まだこれが全てではない、この話にはまだ続きがあるというのは当たりのようです。 とはいえ、女将の反応を見るにこれ以上踏み込むのは何となく危険な香りもしているような。 「世の中には知らない方がいいこともあるのです」 事件のせいで旅館への客足が減れば困ると言っていた通り、真相がどうであれそれが旅館にとっての不都合であれば女将としてもあまり語りたくはないのが本音でしょう。 知らない方がいいこともある…というのは、往々にして正しい事も多いのは事実。 そんな時のセーブ!という事でまた一旦、聞かないを選んでエンド回収へ。 すると今度は、確かに真相として死んだのが逆になったけどさ…けどさ!? タイトル画面の回収したエンドに応じて変わる仕様がなかなか凝っています。 変化した要素を確認したところでロードへ。 場所を移しましょうという女将の提案からどこかへ移動。 暗がりのようで、足元も危ないのかな…と思いきや 「では、ちょっと失礼しますね」 「えいっ!」 こんなテンポよく刺されるとかあるのか!? ある意味、ここまでテンポよくやられたのは初めてかもしれません。 一撃で仕留めそこなったという事で、視界が真っ赤な中語られる女将の言葉を聞きながら命の終わりを待つ事に。 女将としてはやはり事件が事実として公表され、客足が遠のくのは経営難になり生活にも問題が出る為都合が悪い事。 なので、全てもみ消すという言葉。 影美の事も陽太の事も、そして主人公の事も…。 最期に見た、こちらを見る女将の表情はぞわっとしますね。 そしてエンド名も「あなたは知りすぎた」というそれは殺されるよね…という名前。 タイトル画面に戻ったと思いきや、本日閉館!の文字でもう何もメニューが触れない!? 念の為、順番にエンド回収をしておいて正解でした…。 でもこれ、つまり自分の旅館で事件があった事そのものが問題だったので陽太も恐らく女将に刺されてから二人の遺体はどこかに遺棄されたのかな…。 タイトルにある裏表、光と影のような相反する物という意味で男女の名前に反映されているのは上手いと思いました。 しかし、一番怖いのは自分の生活の為とはいえその為なら平気で手を汚せる女将さんの方でしたね…。 @ネタバレ終了 短編ながらも凝った演出が光る面白い作品でした。 それではありがとうございました。
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7番目の怪談感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 七不思議に旧校舎探索とワクワクする要素がいっぱいという期待に溢れたあらすじに惹かれました。 @ネタバレ開始 最初に名前を入力という事で、ここはふざけずに自分の名前を。 どうやら新聞部員としてオカルト記事の取材をするべく旧校舎へ乗り込む流れのようですね。 やはり旧校舎という事で電気はつかず、懐中電灯を片手に探索をするというのも結構古き良き流れになりつつあるなぁと謎のノスタルジーを感じました。 事前の聞き込みから判明している七不思議は6つのみ。 定番といえば定番ですが、やはり七不思議すべてを知るのは危険という点から最後が埋まらなかったのでしょう。 ついでに判明している六不思議もあくまで伝聞なのでわかっているのは怪談の名前のみ。 タイトルから場所と何が起きるのかは何となくわかりますが、対処法は知っておきたいところですね…。 怪異が現れるのは下校時刻が過ぎてからというのが共通点、幸い時間はまだ少しある。 メモにあった伝聞での情報は確認できましたが、生還方法という点では参考にならなそうというのが本音ですしここは調査ですね! それぞれの六不思議に関連のある場所へ。 画面をクリックして探索する方式で、マップのあちこちを調べればヒントのような記載を発見。 ・口裂け女→ポマード3回 ・鎌のおばあさん→ババサレ(婆去れ) ・一人こっくりさん→へそ曲がりで逆の事ばかり答える ・美術室謎の声→赤と青以外の色(伝聞の青の詳細は不明が完全に罠だこれー!?) ・テケテケ→急には曲がれない ・花子さん→他のみんなと遊んでからじゃないとだめ とりあえず対処法はこれでバッチリ? 花子さんだけ出現条件であり対処法とは違うのが気がかりですが…後は待つしかない。 しばらく待てば下校時刻を知らせるチャイムが旧校舎にも響き渡り…空気が変わったどころか明らかに血糊があるぞ…!? それだけで嫌な予感しかしませんでしたが、突如主人公を呼ぶ声が。 呼ばれるままに外へ出てみると、同じ高校の制服を着ている見慣れない生徒の姿。 「七不思議、全部見つけないと死んじゃうよ」 そしていきなりそんな言葉をぶつけられ…どういう事だと思うも生徒は立ち去ってしまう。 彼女の存在は気になりますが、七不思議に関与しようとした時点でまぁ見つけて対処しないと危険はつきものですしとりあえず旧校舎へ。 どうせ全部行かなければいかず、花子さんは察するに他の5つを終わらせないと出てこないでしょう。 ◇保健室 という事で口裂け女から対処へ。 配信では初見突破したので裏で試してみたのですが、ちゃんと3回ポマードと入力しなかった場合1回ではアウトの判明になるんですね。 回数含めてちゃんと意味があるというのはちゃんと管理されてるなぁと感心しました。 ◇図書室 次は図書室へ、怪異とはいえ二階の窓辺りまでよじ登るって大変そうだよなぁ…等と思う暇もなく胸倉を掴まれるピンチに!? ちゃんと呪文を唱えて撃退完了。 (窓から真っ逆さまに落ちていったというあたり果たしてババサレは大丈夫なのだろうか) ◇空き教室 次は空き教室のひとりこっくりさんへ。 そもそもこっくりさんは一人ではできないはず…ですが、七不思議なら仕方ない。 質問をすれば逆の答えをするものの、すごくテキパキと答えてはくれるこっくりさん。 終わらせる段階になり、このこっくりさんはへそ曲がりという事を考えれば本来と逆の事を言えばいいはず。 「こっくりさん、帰らないでください」 無事にここも突破完了。 事前に情報収集さえすれば凡ミスをしない限りスムーズにいけますね。 ◇美術室 次は美術室。 噂通り、質問をされ体は金縛りにあったように動かない…。 赤と青以外に、黄色という選択肢があったのでこちらを選択。 「ごめんよ……黄色の絵の具は切らしてるんだ」 思ったより律儀に謝るんだな!? 間違えれば命がない相手とは承知ですが、こんな反応をされると絶妙に憎めないというのか…。 とりあえず突破したのでよしとしましょう。 ◇二階廊下 ラストが花子さんという事で、残るは二階廊下のテケテケですね。 深呼吸をしてから廊下を走り始めると、ほぼ同時に背後から迫りくる異様な足音が! しかもやはりスピードに関しては前評判の通り、かなり早いようで走り続ければ勝ち目はない。 という事でとっさに教室へ!! 『飛び出すな 車は急に 曲がれない』はテケテケにも言えたようで…スピードを出し過ぎた結果壁に衝突するというちょっとかわいそうな事になったのを確認。 いつもはその前に獲物を捕まえているから、壁にぶつかるのは初めてだったのかもなぁ…。 なんてテケテケの生態に思いをはせつつ、これで5つは無事にクリアです。 ◇二階トイレ 残るは花子さん…ですが、あくまで出現条件を満たしただけと思うと実質無策なのは手痛いですね。 お約束である呼び出しの方法を試せば扉の向こうでなく背後から声が? 振り向けばそこには小学生位の女の子が…花子さんに違いないでしょう。 しかも、手にはナイフを握っているという殺意が高すぎる状態という。 え、花子さんって首絞め遊びとかそういうのするんじゃなかったっけ?どのみち死ぬけどさ!? 「死んだ人と一緒に遊ぶなら、生きてちゃダメだよね。そうでしょ?」 いや、生きていても友達にはなれないかな!? こちらに向けられるナイフ、どうあがいても刺される展開。 誰かこの子の対処法教えて…!となったその時。 「……ごめんね。忘れてたよ。私たち、もう友達になってたね」 どういう事かわかりませんが花子さんは姿を消して。 え、何かわからないけど助かった…? とりあえず、場所もトイレという事で手洗い場にて手汗まみれの手や顔を洗い。 顔を上げてみれば…私の顔が、血まみれで死人そのもの……? ◇七番目 場面が移り、何故か私が名指しされている…? 私はすでに去年、旧校舎へ取材に行った際に刺されて死んでいた…!? 主人公が死んだ事で、それまで六不思議だった七不思議に最後の1つが増えてしまった。 そして、生徒の会話に出てくる3組の山本さんというのが旧校舎の外から声をかけてきた生徒でしょうね…。 いざ自分がなってみたらわかる。好奇心で私(七不思議)を呼び出さないで!?という迷惑さ…。 クリア後に追加される「花子さんの怪談メモ」にはそれぞれの七不思議についての詳細があり。 やはり生前も花子さんまではいけたけど、そこで主人公は刺されて死んだようですね…。 彼女が主人公を襲うのをやめた際に、メモに書いておかないと…と言っていたのはこういうつながりがあったのも上手い。 校内にあったヒントも子供の文字という事から花子さんが書いていたと考えるのが自然でしょうし。 自分こそが七不思議だから七不思議を全て見つけられず成仏できない。 個人的には、七番目のオチとしてはなかなかいいセンスだなと思いました。 @ネタバレ終了 油断すればデッドエンドを回収する事はありますが、ちゃんと探索をすれば問題なくクリアできる難易度でした。 オチがなかなかよかったので是非、色んな方に遊んでいただきたいなと思います。 それではありがとうございました。
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地下監獄ESCAPE感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 何故か投獄されてしまった主人公、唐突に決まった死刑の執行日…となればこれはもう逃げだすしかない! 地下監獄の脱出というシチュにワクワクしながら挑戦させていただきました。 @ネタバレ開始 開始から即宣告される死刑執行の日程。 日常でもそうですけど『余程のこと』は案外いつやってくるかわからないですよね。 死刑の前日は好きな食べ物を食べる事ができるというのは実際にある話とは聞きましたが、どうやら主人公としてはこの時点で何やら仕込みをしているっぽい? さらに食べ物だけでなく、煙草が吸いたいと要求をすればライターと煙草に灰皿を鉄格子の前に置いてくれる看守。 主人公が冒頭で述べた通り、死刑囚に対しての扱いという点では優しいというのは納得ですね。 そして脱獄計画の為、あらかじめ調べられる限りの看守の情報をまとめた紙を確認。 ・看守1のマウス お人好し。 ネズミが出た時に騒いでいた。最近結婚したらしい。 ・看守2のキッド 見た目が子供っぽいがマウスに命令をしていた。 誕生日を気にしている発言が多い。 ・看守3のケーキ ほとんど見ないので上の階層担当の可能性が高い。 ケーキがとにかく好物らしい。 名前は各自の特徴から付けた仮名のようですが、要点はおさえてあるでしょう。 鉄格子に指輪が当たった音や優しい看守という発言から目の前にいる看守はマウスでよさそう。 「あっネズミだ!」 するとそれに驚いた看守の目を盗んで火の点いた煙草を一本隠し、こっそりベッドを燃やす事に。 あれかな、ボヤ騒ぎを起こしてどうにかするのかな? そしてその間に始まる回想パート。 その日、誕生日だった主人公は一緒に祝ってくれる人はいないけど自分へのご褒美にケーキを食べる予定だった。 ある程度の年齢になると、周囲は結婚していって独身だと話についていけないとかあるよねぇ…とリアリティを感じつつ。 そして、新しくできた店でチーズケーキを購入し公園のベンチで食べていた時に背後からやってきた女に手錠をかけられた…? 以降の記憶はなく、気付いたら監獄にいた上にすでに死刑判決を受けていたという超展開。 怪しむべきはその背後からきて手錠をかけた女なのでしょうが…。 場面は切り替わり、充分に火の回った部屋ができあがり。 これで失敗したら死刑が焼身自殺になるだけというのはある意味、どのみち失敗したら死ぬしかないという点では覚悟を決めるしかないとはいえなかなかに肝が据わっている。 そして火炎瓶ならぬ火炎枕を看守に投げつけ上手くやり部屋からの脱出に成功。 服を交換してこれで監獄の中で行動をするにも目立ちにくくなった! ◇B3Fからの脱出 まずは最下層であろう地下3階からの脱出。 作りそのものはシンプルであり、右の廊下から看守を呼ぶ男の声が響く。 この時間の見回りが2人であり、片方は今スタート地点で倒れているマウスという事で看守がこないだろう左の廊下を選択。 無事に階段へ到着するも建物の作りとして階段を利用するには必ず各フロアを横切らないといけない。 これは脱獄する側としてはすご~く嫌な仕様ですね。 少なくとも、地上に出るまでは必ず地下フロアを後2回は横切るとなると…。 ◇B2Fからの脱出 空間も広くなった分見回る看守も5人に増えていると聞くと結構ハードモードだな?と構え。 その分廊下も複数あるので隠れやすいとはいえど油断はできません。 できるだけ看守が見当たらない廊下を選び進も、廊下を曲がってきた看守と目が合いさっそくピンチか!? 小柄という特徴から、恐らくメモの通りなら相手はキッドでしょう。 声をかけられても1回は聞こえなかったフリをする主人公。 するとこちらを疑問視しつつも、ここの暗証番号を変えたという情報をゲット。 声でばれないよう返事もうかつにできない事から、地下三階で煙を吸ったという演技をしつつ疑いの対象を地下三階へ誘導する事に成功。 ピンチと思いきやこの主人公、何気に有能ですね!? しかし他の看守に声を掛けられ対応を間違えてしまったので今度はダッシュで逃げ出す展開へ。 無事に階段へ到達し、下からすぐに入れないよう鍵をかけたまでは良かったもののとうとう主人公が脱走した事がばれてしまう。 ◇B1Fからの脱出 ここを突破すればいよいよ地上に出られるというところで鳴り響く警報、閉じようとする鉄格子。 さらに運の悪い事にほとんど変わらないと思っていた暗証番号まで変更されているという痛手。 とにかくヒントを探すしかないとそばにあった看守の机をあちこち調査。 すると日記帳があり、子ども扱いをされたという発言が…となるとこれはキッドの日記? さらに先程のキッドと思われる看守との会話内容から彼が暗証番号を変更したであろう事と暴れ出した囚人が呼んでいた看守の事を宥めていた看守が下へ向かったと言っていた事。 それなら、キッド=ミックで名前は恐らく合っているはず。 そういやさっき、目があった時に「ノア?」と言っていたけどこの日記にも同じ名前が…とその辺りは後々になってからなるほど、となりました。 表示されているパスワード(多分、これを解読しろという物)の表記に何か特徴というか違和感が…とここはわかりました。 パスワードの解除はできたものの、地上へ通じる階段は鉄格子で通れなくなってしまい…。 看守用の鍵では解除ができないという事で今度こそどうなるのだろうと思いきや今度は囚人を使った囮作戦と見事に活路を見出す主人公。 …本当にこの脱獄計画って未完成なんですよね?もしかして経験者? と思う位に知恵が良く回る。 ここからは集団脱獄に見せかけた人海戦術で自分が逃げたとばれにくいように偽装をするという切り替えもなかなかです。 ◇最後の関門 後は鉄格子が邪魔をする事がないという点でひたすら外に向かって走るだけ。 シンプルながらもそれまでに捕まらないか最後の勝負と言った所でしょう。 そしていよいよ最後の廊下に差し掛かったところで何故か囚人の一人が主人公へ殴りかかってくる!? どうやらあちらもなかなか頭を使ってくるというべきか、看守に変装して脱獄を考える囚人がいるなら囚人に変装した看守が念の為スタンバイしていてもおかしくなんてなかった…! 残る看守に関連するデータから恐らくこの看守はケーキでしょう。 「ケ、ケーキおいしいよな!」 「ケーキ? 何の?」 話題に食いついた!やはりこいつはケーキか!? と思ったのもつかの間、主人公がチーズケーキ派だったばかりにショートケーキ派のケーキには通用しなかった…。 という事でやり直しで囚人の話についてを選択。 すると今度はシリアスモードな流れへ。 ミックがそうだったように、ここの看守は地下監獄の囚人に疑問を抱いている。 だからそこを追求してみればやはり彼もそうだったようで…。 話を進めてみれば、ここに捕まっているのは全員若い男ばかり。 何故かといえばそれは看守長の趣味であり、死刑とは死ぬまで愛されるという意味だった…!? 「看守長は相手が死ぬまで愛し続ける。異常だ」 という台詞から、これは例えとして死ぬほど愛したい!でなくガチで死ぬのか…?え…? 困惑はあれど会話を続行するも、突然の銃声がしたかと思えば看守が前のめりに倒れ看守長の登場。 看守長の台詞から、今まで脱獄を失敗した回数が数えられているらしく。 ノーミスだったら私の正体を教えてあげようかなと思っただけ?え、正体って何だ? 多分これは文字通り、ノーミスでここまできたらあるご褒美要素なのでしょう。 そしてとうとう主人公の名前が判明。 ノアって…ミックが言ってた彼じゃないか!? あの時もノアは看守じゃなくなったとか言っていた辺り、こちらを気にしたのもそういう事だったのですね…。 銃の早撃ち勝負の流れに持ち込むも、素人がそのままやったところで勝ち目はないはず。 直感的にですが、ここはわざと撃たないで策を打った方が勝てるはずと予想。 何とか弾切れを誘発し、看守長を攻撃してから脱走に成功!! 後日談としても、ちゃんと看守長は捕まり地下監獄も閉鎖をされるグッドエンドへ。 仕方なかったとはいえ看守側だった者は本当の監獄行になったようで。 最後に、あの時最後の晩餐とメニューとして注文したジャムパンとドラゴンフルーツを食べて終わりというのがなかなかシャレてますね。 ◇正体は? ノーミスで看守長と対峙する場面まで再び。 すると看守長は自分の名前はサキュバスと名乗った。 これは初見ではかなり驚きましたが、そういえば看守の机にサキュバスに関しての本があったけど…あれが伏線だったとは。 同じく銃撃戦を突破。 市街地に到着し、背後を振り返ったところで今回はピンクの煙が昇っているという違いが…? 警察に保護された後、地下監獄のあった場所へ向かうもそこには囚人服を着た男たちが倒れているだけ。 その多くは、世間では行方不明扱いだった事。 そしてその直前に全員が、謎のケーキを食べていたという共通点も判明。 …そういえば、回想の中で新しくできたケーキ屋というのが出てきたような。 その店のケーキを食べたら即逮捕されたという点も含めて、そういう事なのでしょう。 後日談として、あの時の縁というべきなのか元看守達と仲良くなった主人公が彼らと食事をしている場面へ。 囚人や看守達は全員、無実だったにも関わらず自分が犯罪者と思っていたからこそ弱みを握られていた。 そう考えると、主人公は元々そういった暗示がかかりにくいタイプだったのかもしれませんね。 どうやら新しい仕事を探す事にした主人公。 今度はもっと良い環境になるといいな! そして嫁に『作り話をするなネズミ野郎!』って怒られたというのはマウスですね。 こちらのエンドでは食べている物が主人公の好きなチーズケーキという違いも。 ノーミスかどうかで看守長の正体や他の人の運命も分岐するという点でそれぞれのエンドにも納得がいきました。 @ネタバレ終了 初見殺しもありましたが、一周が比較的短いのでエンドコンプするにも苦にならず楽しめました。 それでは面白い作品をありがとうございました。
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取調室感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 短編推理アドベンチャーという事で、謎解きで迷走する事に定評のある私でもできるかな?とワクワクしながら挑ませていただきました。 あらすじにもある通り、動機が一向にわからない犯人の行動。 お金を盗むって事は一般的には文字通り紙幣として使いたいからではないのか?と全く意図が読めず…。 この真相を知るべくプレイしたいと思わせるには充分な内容でした。 @ネタバレ開始 ゲーム開始から雷鳴も響く嵐の夜。 山奥に一台のバンとまさに意味ありげな雰囲気ですね。 そこで行われる明らかに何かしら犯罪を行ったであろう者の会話。 直接姿が出たのは男が一人だけでしたが車に乗っているもう一人にバールで撲殺されたところで場面は取調室に切り替わり。 どうやら今回の事件に関係する一家の人間とやらがもうすぐ警察署に到着すると部下の仁藤刑事から報告を受け。 彼の計らいで事件についての概要を確認できる流れに。 死亡推定時刻や死体の発見時刻。 他にも関連する情報が綺麗にまとめられており、口頭の説明でも何があったのは丁寧に説明をされます。 そして、備考として書かれたどう考えてもおかしな内容。 現場には冒頭のやり取りから恐らく現金が入っていたであろうアタッシュケースがあったものの、その中はガソリンで燃やされ灰になっていた。 会話の内容的にはこのお金で高飛びをするというか、かなりの額を盗んでから潜伏していたように思えるのに燃やした…!? 燃やしたのは状況的に今回の被害者を撲殺した相手でよさそうでしょう。 元々人気のない場所なのも合わせ、他の第三者がやるにもおかしいですし…。 仁藤刑事も主人公も悩む通り、どうしてそんなことをする必要があるのか?ここが問題です。 元々犯人と被害者が共犯で強盗なりをした後に独り占めを考え相手を殺害する。ここまでならよくある展開です。 だけど、わざわざ殺人を犯してまで手に入れた大金を燃やすなんて正気とは思えない行動。 燃やされたお金自体は、被害者である園田が元仕事先として働いていた富豪のところにあった遺産…それも2億円との事。 それを誰かと盗んでからひと悶着あったという事でしょうね。 事件から一週間前、その富豪である宮地家で盗難事件があり金庫に保管されていた2億円は盗まれていた。 屋敷にあった防犯カメラには件のアタッシュケースを持って出ていく園田の姿もあったという点から恐らく彼は実行犯だったのでしょう。 さらに、状況から共犯者の存在は確定なのと顔見知りであり警戒をされない関係だった。 それが今からやってくる一家の誰かである可能性が高い…という事まで把握しました。 園田は本来、その2億円の存在は知らないはずであり知っているのは限られたごく一部の人物のみ。 となればますます状況的にこれから取り調べをする対象に犯人がいる流れとなりますね…。 容疑者は五人。 富豪の子供である長男・次男・三男。 それに執事と使用人という本当に限られたメンバーですね。 とりあえず、順番に話を聞いていく事に。 部屋に相手を呼ぶ前に軽い人物情報についてファイルからの情報を読む流れがあり、ざっくりどんな人なのも把握できました。 長男→詐欺の被害者に渡す2億円の示談金がすぐに欲しい 園田の事は元から解雇したい程度には信用してない。 次男→無職であり財産を食い潰しているし借金もあり 今回一緒に呼び出されている使用人とは恋人関係。 三男→唯一の常識人っぽい 故人である父親からも信頼されていそう。 執事→今後の為に株取引に手を出して失敗経験あり、だが借金はなし 2億円が入った金庫の鍵を管理している。 使用人→物欲が強いので動機がないとは言えない 園田が23日の昼に儲け話があると言っていたのを聞いている。 本来なら、2月24日の昼に金庫を開けて問題の2億円も遺産として分けるはずだったが金庫を開ける前日に盗まれてしまった。 2億円を金庫にしまった際には、兄弟3人+執事の4人で父親監視の中で金庫に詰め込んだ。 喫煙者は被害者と長男・使用人の3人。 故人であるが、生前は父親も喫煙者であり道具にもかなりこだわりがあった 本来は故人が死ぬまで金庫を開けない事になっていた。 重要な情報としてはざっとこんなところ?と把握。 意外性を求めるなら一番真面目であろう三男が犯人…とかが盛り上がるよなぁというメタは置いといて。 少なくとも、長男と次男は動機だけなら充分でしょう。 使用人の礼子の話が本当なら、誰かに持ちかけられたのは本当でありそれは礼子以外の誰かになる。 しかし金が目的であればある程、どうしてせっかく手に入れた2億円を燃やしたのか? 特に長男に関しては、示談金に必要な額であるとすれば減らす事へのメリットが何もない。 誰であれ、盗みそのものが金目当てなら燃やす事へのメリットはないですが動機として考えると長男は違いそうか…? そしてここで鑑識から電話が入り追加情報が。 アタッシュケースの近くにマッチ箱が落ちていたのに、アタッシュケースの中の灰を調べても着火に使ったマッチ棒の残骸がない。 さらにもっとわからないのが、そのアタッシュケースは実は1億5000万円の札束しか入らない容量だった!? 5000万円分の札束がどれ位の量なのか私には全く想像もつかない大金でしたが、仁藤刑事の発言からレンガ五個分というサイズとの事。 確かにポケットに入れるには無理がありますね…。 2つのケースを持っていたならまだしも、カメラの映像から持ち出しにつかったアタッシュケースは1つで確定。 という事で選択肢としては上の「誰かが持ちだしていた」を選択。 もう一方の庭に埋める選択肢はやはりメリットもないですし、どうせ盗むなら全額持って行きたいはず。 こうなると、金庫の鍵を持っていた執事が怪しい!という事で呼び出しへ。 金庫の中身を確認されたら真っ先に疑われるという発言はごもっともですが、状況として鍵がなければ金庫は開かない。 5000万円をあらかじめ盗んだ理由は、株取引に関連するのでしょう。 最初は少額を借りて返すつもりが取引に失敗するたびどんどん金庫から抜き取った金額が膨れ上がり5000万円にまで到達した…。 ありえない話ではない事と、本来故人が亡くなるまでは金庫の鍵は絶対に開けない方針だったと思えば多少時間稼ぎもできる予定だったとは想定できます。 しかし、もし執事が株取引に使用した金額と消えた5000万円…これが一致しても現金を自分の証券口座に入金した以上出どころの証拠にはならない。 確かにあらかじめ消えたお金についての出どころで立証するのは無理でしょう。 ですが、ここからの切り返しがなかなかに巧い!! 「この殺人事件の犯人は大金なんて手に入れてない」 本来なら、金に困っている長男と次男なら大金目的の犯行として真っ先に浮上するでしょう。 だけど実際、その盗まれた大金は燃やされており犯人は殺人まで行ったのに何も得ていない。 そうなれば、執事が犯人とした場合だけ成立する…金を燃やした理由が1つだけある! 「金額をわからなくするため」 実際、鑑識からの報告がなければみんな盗まれたのは2億円だと思い込んでいたはず。 そして、そうなれば金庫から事前に金が抜き取られていたなんて誰も考えるはずがない。 窃盗の実行犯である園田には元から1億5000万円が入っていると嘘を教え、それが入るサイズのアタッシュケースを用意した。 その後に園田がこの世を去ればその事実を知るのは犯人ただ一人…。 実に美しい!! さらに鑑識から知らされたもう1つの謎。 それは札束に火をつけたはずのマッチがなかった事。 となると、選択肢から火をつける道具は1つ。 今思えば事件当日が大雨というのもちゃんとしたヒントだったのか…と感心するばかりです。 そんな状況では湿ったら使い物にならなくなるマッチでは引火できない。 道具は自然にライターへ限定され、執事はいつも主人が喫煙に使用していたこだわりのライターを持っていた。 さすがに現場に残せば一発でばれる証拠になる以上、引火に使用しても使い捨てる訳にはいかない。 ここで執事特有の服装である、手袋を着用している事が繋がってくるのはいいですね! 身に着けていても自然であり点火した際にした火傷の痕跡も隠す事ができるときた。 こうして無事に犯人が自供するところまでいき解決。 …しかし、あの2億円は本来三男の為に残していた物だったと知りながら罪を犯した事を悔いる執事を見てると何ともやるせないものはありますね。 @ネタバレ終了 短編という事で気づけばあっという間に楽しい時間は過ぎていました。 推理としても丁寧に証拠が提示されるのでテンポよく進める事ができ、何故犯人は2億円を燃やしたのか? この真相が分かった時とてもスッキリとしました。 素敵なゲームをありがとうございました。