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天凱彼岸花(テンガイ ヒガンバナ)のレビューコレクション

  • 蝋燭の照らす先は
    蝋燭の照らす先は
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 正体不明な未知のダンジョンを探索し何が起きるのか? 行動による運命の分岐や『テーマ』が隠されているという点を楽しみにいざダンジョンへ…。 @ネタバレ開始 どこまでも続く回廊に突然飛ばされた先にある空間、部屋とそこにいる門番のような役割をしているキャラクターたち。 それを計3回突破した後に、最後の試練を越えてエンディングへ…と構成としてはわかりやすかったです。 最初はいきなり女の子に試練を任せるのも気が引けるなぁと自分が引き受け。 後はリスク分散によるトータルでダメージを抑えるプレイ方針で主人公→ガーベラ→主人公→ガーベラの順で試練へ挑戦。 からの、これは駄目なパターンを引いたか…というエンドへ。 エンドに関しても確かに、人間は情報の8割程を視覚から得ていると考えれば目に見える物が不安定であるというのは危険な状況でしょう。 そして、歯車さんの時に恐らく目には見えないけれど他にも何か問題が起きている状態と思えば…とは。 視覚の重要性という意味では「じゃあ今度はさっきと逆で初手の試練をガーベラに任せてみよう」 の場合に即行ってしまったバッドエンドも主人公が比較的冷静になろうとつとめていただけで充分起こりうるトラブルですよね…。 と、2周目は速攻で終わりこれは確定で幻覚はデバフとして背負ったまま進行ってきついなぁ…と覚悟を決め。 これを見ていると以降のプレイで演奏家との会話にあった 「むしろ司書ちゃんの方がえげつないよ?」 「私たちは命を取らないけど、君たちは出来るからね」 の意味に「それなー!?」としか思えないし、すでにそれでバッドを踏んでいるので結果的にヒントにもなっていないのはさておき… 自分がただ苦しいだけの幻聴は自分の精神が崩壊する可能性はあっても、幻覚で誤って人を襲いかねない…という意味ではどちらがえげつないかはよく理解できました。 リスク分担プレイの際、最終的にガーベラはデバフがなくなったという辺り最後の試練で剣を刺した人が状態異常の解除をされるという推測はできましたので、一番被害がなく終われる正解は『全て主人公が試練を受ける』の一択だなと想像はつきました。 歯車さんの語る蝋燭の美しさ、司書さんから渡された本の最後に記された文面も恐らく『蝋燭は美しい』という推理はできたのでこのゲームにおける蝋燭は何かの比喩であり、蝋燭の在り方を求められている。 と、考えればテーマはずばり『自己犠牲。誰に感謝される事もなくその身を削り周囲を照らす献身とも言える行為』それを美しい物と言ってるのだと思いました。 実際、主人公が試練を引き受け最後まで終わらせれば何事もなく終われた事。 配信内では嫌な予感がしたのであえて回収しなかったエンドを今回のレビューを書くにあたり回収したのですが、基本ガーベラちゃんは主人公と違い試練への耐性が低いというか主人公が強すぎるというのか…。 司書→速攻バッドエンド(前途の通り) 演奏家→歯車の試練を連続で任せると恐らく感情と痛覚が欠如したせいかあっさり死んでしまい。 演奏家の試練のみを任せた場合も結局脱出後に…と考えると万全の状態で戻れない状態ならどちらに後遺症があっても実質の詰みからバッドと言えるエンドが確定。 歯車の試練のみを任せた場合、他よりは比較的マシでも後悔が残り。 (ある意味、何故ここだけを自分は任せてしまったのか?という意味では一番後味は悪いまであり) 個人的に、試練の内容としては歯車の空洞になっている胸に剣を刺す。 →刺されていても空洞だから痛覚がない状態になる。 →心と言える心臓の位置を概念として刺すせいで感情が消える。 というのが何が起きているのか初見でわからなかった事や何が起きるか一番予想がしにくい点から好きでした。 他の2つは明確に何が起きているかわかりやすいのと実害もわかりやすいので相手に現状を説明しやすいですが、痛覚はもし作中のように怪我をするような行為をしなかった場合判明するのが遅れる事や感情の方もどちらがかかった場合も相手に伝える事をしなかった点から厄介な部類でしょう。 @ネタバレ終了 タイトルの意味を含め隠されたテーマを考えるという点では楽しめる内容でした。 面白い作品をありがとうございました。

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  • 華に伏す
    華に伏す
    配信にてプレイさせていただきました。 柔らかい色彩から生み出されるキャラクターが魅力的でそこに作中での会話も加わるとさらにみんないいキャラをしてるなぁとニヤニヤしてしまいました。 @ネタバレ開始 ローブの選択肢でBAD→正規エンドを2本回収→残りのBADを時系列順で回収と進行させていただきましたが、短い物語の中にも充分考察の余地がたっぷり入っているストーリーが良かったです。 実質これは他の死体と同じく遺体遺棄というか、埋められようとしていたのでは!?と穏やかじゃない状態からのスタート。 最初、主人公が記憶喪失という事で実は『神父=依頼人』は正しくても『神父=昔からの付き合いがある』の方は間違っていて実は黒幕側なのでは?等疑ってみたり捜査の時は二人行動が原則である刑事が単独って怪しいのでは?等、疑おうと思えばいくらでも怪しい要素があり。 ただ、警察手帳の件と監禁部屋で子供と対面した場面でそれぞれこの二人について職業は偽っていないだろうと思えたので一旦疑いの方は下げつつ。 正規エンド自体には割とあっさりいけた事と、深く考えなければ短時間で楽しめる探索ゲームだなぁ…で終われましたがバッドエンドを含め集まった情報を整理すると実はこれって結構名状しがたい何かの案件というか、深淵を覗いてしまったのではないか?と気づいてしまうところが考察好きとしてはたまりませんでした。 @ネタバレ終了 ここからは、ゲーム本編から得られる情報から想定した私の推理ですが @ネタバレ開始 恐らく、主人公は顔に違和感がある事や誘拐された人と同じ共通点を持っている事から儀式の成功体かそれに近い何かであり、最初に回収できるバッドエンドを見るに「時間切れ」発言から神父も黒幕側というか、少なくとも関係者ではあろうこと。 魔法陣の部屋にいた人間ではないモノと会話をする際に鈴のような音は聞こえても神父の話声が聞こえてこなかったのは部屋の中にいた双方にしか通じない言語で会話をしていた為。 (恐らくそれが鈴のような音として聞こえていた?) 刑事は素直に捜査にきた善良な公務員として(発砲するのはどうよ?はさておき)完全にシロ。 はるさん…は、恐らく神のような存在でありエンドによっては儀式の結果生み出された主人公への台詞から主人公も人工的に生み出された神のような存在なのかなと。 こういった主人公の一人称視点で進行するゲームの場合、主人公の姿が出てこないのはよくある事ですがそれを上手く利用したというべきか…本編中に姿が判明しないので記憶喪失前後で見た目が変わっている等確認する手段がない。 ただ、文章として出てきた情報から今の容姿は…という部分から『つまり、今ではない時があり…?以前の姿は別の物だった?』と匂わせている事。 バッドエンドの際に言われるまだ影響を受けやすい・定着していない等から生まれたての命というか、まだ安定期に入ってないモノなのは恐らく確定と見ていいのかなと。 しかし、書斎調査の感じから土着信仰の部分ではあくまで豊穣の神についての記載があったとの事なのでその神がはるさんとして何故失踪事件を起こした集団は新たな神を生み出さなければならなかったのか? 謎も残るところですね……。 @ネタバレ終了 プレイ後の興奮のままに感想を述べさせていただいた為、所々読みにくい文となっていたら申し訳ありません。 面白い作品をありがとうございました。

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  • 妄想狂ザナトリウム
    妄想狂ザナトリウム
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 妄想や幻覚を引き起こすウィルス、精神病院を舞台にしたホラーという時点で面白そうだなと思いつつサンプルとして出ているサムネを見る限り可愛い女の子のスチルも多めで割と軽いノリなホラー作品かな?と思いましたが一番右のスチルを確認し、これは期待できると改めて確信を持った上でプレイさせていただきました。 キャラクターの魅力やストーリー構成、とある分岐点から立ち上がる事になる主人公や結末等、スピリアの流行している状況やその中で生きる人々という世界観の作り込みに関して言えば間違いなくかなりの良作です。 1箇所、人によっては厳しいグロ描写があるとは思ったのでそれさえ大丈夫そうなら色んな方にプレイしていただきたいと思いました。 @ネタバレ開始 ゲーム開始時点で、不穏な夢のような景色とそこから目覚めると妹と共にバスに乗ってこれから入院する精神病院へ移動中という導入。 主人公の病状に関する説明もあり、窓の外に化物を見つけた際は思わずドキリとしましたが主人公は幻覚を見るという前提に妹からは見えていない様子である事からこれがスピリアの症状なのか…とわかりやすい描写だったと思います。 後はぶっとんだ格好をした院長等いきなり個性的な登場人物が出たり等ありましたが、基本は幼馴染であるリザと触れ合いながら「リザを死なせない為に毎日面白い事をする」というノルマをこなす病院が舞台である事を除けばある種の日常物かな?と微笑ましく見守っておりました。 「前半の3つの選択肢ではルート分岐は発生しません」とあったので、心理テストのような質問に関しては直感的に答えつつ不穏な夢の描写等気になる部分はありましたが、あくまで主人公が病にかかっているという点を考慮すれば無関係とは言えずともまだ…平穏なパートが続いて欲しいしそうであって欲しい、とは。 しかし、明確に就寝前の時点から不穏な要素を思わせ入院何日目の表記で赤文字が使用された4日目、序盤に妄想と現実の見極め方法は明言されていましたが確かにその通り主人公はリザに触れた事がないという認めたくない事実を突きつけられ。 回想シーンに入る事で今までリザの取っていた行動が現実で再会していたリザの動きをなぞった物であると明確にわかる場面に直面した際には思わず声にならない悲鳴があがりました。 それに、スピリアが本当はどんな症状を引き起こすウィルスなのか。 ただの妄想や幻覚症状等を引き起こしやがて自然治癒するのを待つしかない物ならどれだけ良かった事か…。 今までたまに目撃していた化物はスピリア末期患者の姿であり、主人公は進行こそ遅いもののいつかはあのようになってしまう事。 モネちゃんと二人で怯えながら暮らしていたけれど、これ以上負担をかけたくないと家を出た結果リザと再会しやっと想いが通じたと思ったのにその幸せは長く続かなかった事。 何度もフラッシュバックするリザちゃんの死の間際のシーン。 ゲーム開始時点の夢はこれを指していたのか…と、他の夢で見ていた場面がそのまま過去の記憶と合致する事から余程のトラウマになっていたんだろうな…と悲しくなった事。 モネちゃんからしてみれば、残された家族である兄を失いたくない気持ちから催眠術を使用し強引に主人公の記憶を操作したというのも仕方がなかったでしょう。 恋人を失った事はショックでも、まだ妹がいるのだから主人公ももう少しだけ生きる方向に舵を切って欲しかったとも思えます。 そして、全てを思い出した上で迫られる選択肢。 エンドとしては全回収したのですが、長文になる関係上正規ルートを選択した場合について書かせていただきます。 現状、スピリアを治療する事はできずとも実は途中までワクチンの研究が進んでいた事や危険ではあれど必要な材料や機材があれば研究は可能である事。 リザの意思を汲むのなら、生きる為にここは立ち向かわなければならない場面だろうと気合を入れて都心部へ乗り込み。 極力的に見つからないように行きたくとも、立地上それが難しい状況やその中でも目的の部屋へ到達し入口を封鎖するならサバイバルホラーとしての描写が楽しめました。 そして、これだけ建物内に化物がいれば…何故、目的の部屋には化物が全くいないと思い込んでいたのか? と言わんばかりの展開や窓からの脱出に化物に襲われ選択を迫られる場面とハラハラしっぱなしで全く退屈させず、私は某漫画の台詞から「敵に許しを請う位なら右肩をくれてやれとな!」ならぬ、自分の腕を諦める選択で無事に生還しました。 一応、バッドから先に回収予定だったので本能的に正解を選んだという理由で後程バッドも見ましたが…これはなかなかえげつない終わりでしたね…。 結果的に主人公は右肩の付け根位まで腕を失う事になりましたが、生きるという事は何かしら代償を払わなければならない事。 今の状態だからこそ求められる代償が異常とも言えますが、結果的にリザの願いは叶い廃病院にいた不完全抗体の患者が助かった事を思えば安くはないけれど主人公がようやく現実に立ち向かい成果を得た結果なのだとも言えると思いました。 小さい頃、ヒーローに憧れ剣道を始め、やがて現実を知り惰性になりつつも続けていた事が誰かの助けになったのなら。 少年の患者にとって、間違いなく主人公は紛れもなくヒーローになれたんだ…と感慨深いものがあります。 最後はみんなでお祝いのパーティーをしつつ、これで事態も好転をすると安堵した中… 唐突に出てきた、違和感に対する選択肢。 今は選ぼうとしても駄目なようなので、無視する一択の結果無事にBESTエンドへ。 ラストで聞こえたリザの声は幻聴等ではなく、死後もずっとそばで見守っていた彼女の声が届いた奇跡と思いたい…そう思いました。 そしてスタッフロールが終われば、主人公のスピリアが治った事で消滅したはずのゲルニが突然現れ『別ルートを見る為のスイッチを切り替える』 そんな選択肢を迫られるまさかの展開へ…。 これを切り替える事で先程の違和感に対する選択肢で選べなかった方が選択可能になるとはわかりましたが、何でしょう…何となく、嫌な予感がするのは。 @ネタバレ終了 ここからはCRAZYとTRUTHのエンドについて、となりますが クリア後のおまけと言いつつ本番はここからだと思いましたね…。 @ネタバレ開始 違和感の正体はこのパーティーの前にあったラッキースケベと言えるモネちゃんのお着換えスチルだったなんて誰が予想できたでしょうか? 所謂、激闘を乗り越えたプレイヤーへのご褒美を含めた何か程度だろうと思っていたら確かにあるはずのあれがない…。 そして、ここからいけるどちらのエンドでも結局のところもはや伏線が高度というか哲学というべきか確定情報が存在していないに等しいという事実を再認識する。 この点がとても大きかったです。 プレイヤーが見ているのはスピリア患者である主人公の見た世界でしかなく、主人公がスピリア患者である以上そこにある物がどこまで現実であり『妄想・幻覚・記憶障害』といった要素を抜いた事実として扱えるのか? 主人公はスピリア患者である、その前提で進行していた為それでもその中でこれは恐らく現実だろうと思える情報を取捨選択していましたが『まず、主人公の持つ妄想や幻覚を見極める方法が合っている保証すらない』と判明した際、もう何も信用できる前提がないという絶望感。 ゲーム開始時の怪我をした少女が実はリザでなくモネちゃんだったという事。 …これは、確かに服装をちゃんと確認すれば気づけたという点で言われてみれば…となりました。 リザの最期が何度もフラッシュバックするという部分含め勝手にリザの最期に対する記憶と勘違いをしていました。 だったら、今隣にいる妹は誰だ…? 今まで、そこにいる人物に幻覚のテクスチャを被せた場合はリザと別の患者を間違えたように触れればわかるでしょう。 貫通するのなら、法則が適応されるなら存在しないという事になり。 触れても変わる様子がないならそれは本当に妹であるはず。 だけど、モネちゃんは触れれば実体があり姿も変わる様子がない。 それでも記憶が正しければすでに死んでいるはずで…? 時系列を整理するなら ・スピリアの感染爆発、主人公とモネは二人で生きる事に ・主人公を庇ってモネは死亡 ・主人公はその事実を受け入れられず『書置きを残して家出をした』と記憶を改竄した ・リザとのやりとりはそのままの事実 ・後に助けてくれた「お兄ちゃん」と呼んでくれた誰かを妹と思い込み今に至る といったところかと思いますが、この場合も妹を名乗る誰かの正体はわからず。 今までのように触れても姿がそのままで、他の人とも会話をしている辺り存在そのものは恐らくしているはず。 ここから推測するに、主人公は一見するとリザが死んだ事実を受け入れたくない為に妄想の中に生きていた。 一番受け入れたくないのはリザの死だった。 と今までずっと思っていたのですが、モネちゃんも亡くなっていた場合解釈がまた変わりそうで。 モネちゃんの姿をした誰かの幻覚が解除されず、おまけでしか明かされない真相である以上主人公にとって本当に忘れてしまいたかったのは妹の死だった。 それを、同じく忘れてしまいたい程辛い記憶であってもより隠したい本当の真実(妹の死)を隠す様に、二重底にしてリザの死を忘れたいという事で隠していた。 これなら、リザを失った主人公が自殺をしようとした際に何故妹を残して?という部分も説明はつきました。 記憶としては忘れた事にしていても、どこかでもう本物の妹もいない自分は一人である事を理解していたから…と。 隠しにおいて、より平和なのは全てを知る必要はないとある種の思考放棄をするTRUTHなのでしょうが、ここでこの真実が誰にとっての真実なのか? 全ての情報をあるべき姿とし、全てを知ってこその真実ではないのか? だけど、このエンドで言われる真実は『主人公にとっての都合の良い』真実であろう事。 一般的にTRUTHと言われるエンドはどんなに過酷な事だとしてもその世界の真相を全て明るみにし、主人公やその関係者も無事と言い難い結末である物が多い中で『誰かにとっての真実』という意味合いでエンド名にする。 この発想はあまり見ないという点でなかなか興味深いといえる物でした。 何が本物かわからない世界における真実とは何か? そして、一番の伏線というか大仕掛けと言えるのはおまけルートを見た後のタイトル画面でしょう。 当初、タイトル画面にはモネちゃんとリザがナース服を着て座っておりその後ろでゲルニが爆笑をしている構図でした。 しかし、おまけルートの後にタイトル画面を見るとさっきまで二人のいた場所には二体の化物がおりゲルニの姿はない。 正直、これはやられた!!と思いました。 特に疑いもなく初期のタイトル画面を受け入れておりましたが本編を考えれば二人がナース服を着ている事そのものがまずありえない。 そして、妄想…スピリアの象徴であるゲルニが存在しているという事は『このタイトル画面はプレイヤーが見ている妄想である』という意味を持ち。 おまけルートを見た事で、妄想を通さずに見た結果元々タイトル画面はこのような状態だったと知る。 思えばBESTの時点で主人公はスピリアが治っているので、スタッフロールの後に話しかけてきたゲルニは主人公でなくプレイヤーが見ているスピリアの象徴であり主人公の見たい妄想へ導く役割をしていたにすぎなかった。 スピリア患者の主人公の視界を通してプレイしていると思えば、実はプレイヤーもまたスピリア患者だったという盛大なオチ。 これには完敗です。ゲームの世界観や何が真相か?を考えるだけでなく実はプレイヤーすら…という仕掛けまで最初から仕込まれている、これは間違いなくホラーゲームです。 遊んでしまった時点でプレイヤーもスピリアに感染してしまう。 作中では空気感染という事でしたが、こういったゲームをプレイする事で感染者を増やすという一種の遊びを入れるのは個人的にとても好きです。 なので、その意味も込め「色んな方にプレイしていただきたいと思いました」という一文を誰にでも見える所に明記させていただきました。 余談ながら、まだ真相が判明する前に登場人物の名前に法則性があると予想をし リザ→絵画の描写含め「モナリザ」から ゲルニ→ゲルニカ モネ→クロード・モネ ルイ→ジャック=ルイ・ダヴィッド アンリ→アンリ・ルソー 妄想の象徴であるゲルニや生前の描写はあっても主な出番が主人公の妄想であるリザはある意味創造の産物といえる絵画の名前から。 主人公や妹、アンリ院長は画家の名前であり創造・生み出す側である事。つまり人間サイドである。 といった予想をしていたのですが、ラストの妹とは……で全てが崩壊しました。 @ネタバレ終了 ただグロテスクな表現があるとか、妄想や幻覚症状を持つ主人公が精神的に追い詰める描写があるといった安易なホラーでなく最後までカラクリの読めない世界観の構成と全てのエンドを回収した時の衝撃までたっぷり楽しめる名作でした。 ホラーという言葉にも多種多様なテーマがある事、という本来の定義を満たしておりあえて何系ホラーと表現すべきか?は難しいのですが遊んで絶対に損はないと言える作品です。 素敵な作品をありがとうございました。

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  • チャットSMD 2
    チャットSMD 2
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 前作と違い安心安全で楽しめる仕様にバージョンアップされたという事でいざプレイ! @ネタバレ開始 したのは良かったですが、やはりというかそんな生易しいオチではなかったのは想像できていましたとも…はい。 今作は前作と違い、各話のタイトルが表記された事や解説がついたという点で遊びやすさや考察を楽しみたい人が答え合わせをする点でも良アプデがされたと思いましたね。 前回と同じく、話を読みながら考察をしつつ答え合わせができるようになった点からより楽しむ事ができました。 中には想定した物と違う物語の全貌だった物もあり、そういう事か!?と驚く場面も。 そして、いざ終わろうと思ったらやってきたある意味想定はしていたけど今度はどんなオチを用意されているのか、という部分。 確かにアプリをプレイした時点でプレゼントの受け取りが強制になると表記はありましたが、こんな嬉しくない贈り物があってたまるか! という外れる事を願いたくなるような締め方でしたね。 @ネタバレ終了 説明文にある「近頃大型アップデートの予定もありますので」というのが続編フラグかな?と毎回痛い想いをしつつも、ついつい期待してしまいます…。 また新作が出た際には是非遊ばせていただきたいなと〆させていただきつつ。 面白い作品をありがとうございました。

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  • チャットSMD
    チャットSMD
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 意味が分かると怖い話に近い形式という事で推理をしながら読み進めていきました。 @ネタバレ開始 最終的に、自分の推理が正解なのか解説や解答という物がなかった為真相はAIのみぞ知る…となりましたがサクッと怖い話を楽しみたいという需要にはぴったりな構成だったと思います。 そしてそれ以上に怖い話というべき部分。 言われてみればやけに高速でプレイ前のよくある注意事項みたいな部分が流れていったな?と思いましたが… そんな所に伏線というかちゃんと明記してます。というのはもはや詐欺の契約書だよね!?という衝撃がありました。 しかし、噂には尾ひれがついて正しく伝達されなくなっていく…という現実でも起きる現象を思えばこういう想定外の事故のように思わぬ結果に遭遇するというのは否定ができないというか、ある意味現実味がありましたね。 何にしても、注意事項はちゃんと把握しないと痛い目に遭う…恐ろしい教訓として受け取ろうと思います。 @ネタバレ終了 それぞれの話は短いながらも考察タイム等を含めると程よいボリュームとして楽しめました。 怖い話をサクッと聞きたい、考察もしてじっくり遊びたい。 どちらの需要にもぴったりという意味でよかったと思います。 面白い作品をありがとうございました。

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  • なぜ少女は我が子の恋人を殺すのか?
    なぜ少女は我が子の恋人を殺すのか?
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 前作とは異なり、質問回数に制限がついた分難易度は上がっており何を質問するべきなのかまず頭の中で整理する必要がありましたね。 @ネタバレ開始 一見問題文だけを見ると疑問はあれど、ここを質問で解き明かす…。 しかし、質問回数に制限がある分総当たりができない事からどこが重要な情報となるかを先にある程度絞る必要性が出てきた。 この点で前作より難易度が上がったのもですが、ゲームの難易度としてはこれ位の方がやりがいとしてちょうど良く感じました。 途中、とある情報から『少女が我が子の恋人を殺す』という部分以外でも犯罪臭な事案なのでは?と思いましたが、ここも別の情報が増える事でそれなら別におかしな事ではないと納得をしたり。 最後の答え合わせ部分で、特定の回答に繋がる質問をしていないと気づきこれまでの情報から勘で1箇所乗り切る事にはなりましたが初見で正解はできました。 確かにタイトルの通り、マナミの行動は犯罪行為ではありますがサイコパス要素そのものが当社比薄くなっているとされていたのは納得しました。 ロボット三原則に対する実験、と言われたらまぁ確かに…とは。 そして、前作と違いストーリー部分でもこのマナミの将来起こす犯罪を抑止力として止めるやり取りが何を意味するのか。 犯罪を抑止すると同時に、夢がなくなっていく…という部分を見ると何とも言い難い感情がありましたね。 @ネタバレ終了 今回位の難易度でまた新作が出たら遊んでみたいですという感想で〆つつ。 面白い作品をありがとうございました。

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  • なぜ少女は村人を殺すのか?
    なぜ少女は村人を殺すのか?
    感想が遅くなりましたが、ウミガメのスープと聞いてプレイさせていただきました。 タイトルの通り、少女が村人を殺す理由をウミガメのスープ形式で質問し推理するというシンプルな内容でしたので暇な時間にサクッと楽しめました。 質問回数に制限もなくじっくり情報収集ができた為、無事真相に到達する事ができました。 肝心の少女の動機については…倫理的な問題はさておき、確かにある意味合理的だなぁとは。 面白い作品をありがとうございました。

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  • MonstrousPark
    MonstrousPark
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 怪物が出るという噂のある夜の遊園地…そのミステリアスな雰囲気だけでこれは面白そうだなぁとDLさせていただきましたが、結論を先置きさせていただくとその期待を大幅に上回る作品でした。 @ネタバレ開始 まず、プロローグとばかりに問題しかない遊園地&スタッフという部分を見せられ「これは…」となりつつ観覧車で登場する謎の人物クラウンとの会話。 プレイ前からこの遊園地には怪物が出るというのが噂といえ判明しているので純粋に犠牲者を出さない為に警告をしにきたのかな?と思っていたのですが…これも後々「そういう意味!?」となる要素であり…。 云わばプロローグ的な話=ただのチュートリアルという先入観を持っていると後々推理的な意味で言われてみれば!?等悔しいというか、納得しかない構成でした。 そこから順番が逆だよ!?とツッコミどころのある新人研修、作中でも出てきた「この遊園地には怪物が出る」というワード。 これはアンちゃんが何者かに襲われる展開が…?と思ったらそのアンちゃんが…というまさかの展開は予想外としか言いようがなく。 今後もちょいちょい選択肢に混入される「逃げる」が本当に見えている罠すぎるなぁ…と思いつつ回避もしつつ、一週目は素直に自分が正解と思う選択肢を選んでいったのですがバッドエンドでした。 以前に選んだ選択肢が好感度三段階でいうどれだったかがわかる為、周回をすれば絶対に情報が集まる分クリアができる点は親切だなぁと思いつつノーマルエンド→トゥルーエンドと回収。 不穏な要素しかない遊園地だとは思いましたが、まさかの人間の部品を集めては人体実験しているという闇しかない事実が明らかになった際には「特に疑問もなく受け入れていたけど人外のパーツがついたキャスト(総務部)がいる時点で疑える要素はあったかもしれない…」と冷静になりました。 そして、バッドの際に全滅後に言われる「頭だけかえて再利用する」というもはや手馴れているとしか思えない発言で今までどれだけのキャストがn度目の生を受けたのか…。 トゥルーもトゥルーでノーマルから恐らく総務部はどちらも無事では済まないまでは想定はできました。 しかし、そこで挟まれる牛鬼の話…そういえばエンジェルさんは牛の部品を…そして、人造人間のキャストは基本妖怪になる。 からの容赦のない結末にどうして…どうして…となるしかなく。 表ルートに関しては、アンちゃんとエンジェルさんの関係性…憧れの対象といつかそれと並び対等でありたい気持ち。 最初は内向的だったアンちゃんが自分の意思をはっきり出していく所は応援したくなりましたし、ほんとにただの良い子だなぁ…と成長を見守りたい近所のおばちゃんのようになり。 エンジェルさんの頼られる立場だからこその悩み等もわかる事から、二人には無事対等な関係として良い友人になって欲しかったという気持ちとなり。 ムーシュちゃんの他者との距離が近かったりハイテンションギャルなノリはあれど、むしろそれが癒しでもあり雪子さんとは正反対の気質だけどむしろこれ位ぐいぐいといける友人が必要だろうなぁと思えたり。 選択肢の内容を把握するという攻略の関係上、一部の選択肢を選ぶ際に「ムーシュちゃんはそんな事言わない!!やらない!!」と勝手に解釈違いを起こす程度には好感の持てる子です。 グレムくんも最初こそ頼りない所はあれど、ちゃんと成長しゲストにより良いサービスを提供する為にガルーさんと衝突する場面等、彼に関しては裏ルートでもかなり描写がしっかりされているのでそちらでも触れたいので一旦ここで切ります。 そして、一見すると新人の部下を他部署に丸投げしているガルーさんも実はちゃんと事情があり以前の事があったからこそグレムくんの提案を即却下するしかなかった事。 人嫌い・他人とのコミュニケーションを避けているとプロフで明言されていますが、何だかんだちゃんと相手に必要な物を判断して研修先に配属する目は持っているし何だかんだ面倒見は良く思えるので近づくとつい世話を焼いてしまう部分があるからあえて避けているのかな?とも解釈ができ。 それと別に、本当に人嫌いなら過去の部下4人の事は謎はあれどここまで固執する必要がない辺り「やっぱりお前はそういう奴だよ…」と。 カムくんが何故ガルーさんにやたら絡みたがるかも謎でしたが、トゥルーで全てが判明した際に全てが繋がった際の衝撃といったら……。 結果的に、彼の過去の部下はちゃんと形を変えて戻ってきたけどカムくんだけが戻る事ができなかった。 それでも「今の部下に向き合って」と言い続け、そこに過去の同僚はいても自分は含まれてないし心臓の記憶なのかガルーさんに構って欲しいという気持ちは全面的に出ており関係性としてなんとも切なかったです。 後から考えれば、チャプター7でガルーさんの代わりに接客を引き受けた際も「カムくんは過去にガルーさんが優秀と認めたあの部下なんだよなぁ」と記憶は残っていないとしても、任せられるしできると言い切れるのも納得した部分があります。 そして、トゥルーエンドでクラウンから意味深な台詞を回収した所で今度は裏ルートと言えるエクストラへ…。 表ではあまり触れられなかったシアター運営部や技術管理部を中心としたお話という事で、表でこういうやりとりがあった際一方その頃こういう事も…と補完される形でこちらもまずは自分の正解と思う選択肢を選んだのですが、やはりというべきか初見バッドエンドでした。 表ルートが比較的わかりやすい流れだったのに対し、補完や真相に迫る分バッドエンドだった事を除いても「一体何が起きてこうなったんだ…」と怒涛の展開を理解できぬまま2周目へ。 もうすでに、この遊園地がどんな場所であり総務部がどんな目的で動いていたのかがわかっている分場面によっては心の中で声にならない悲鳴をあげる場面もありました。 特に共感ができたのは苦労人のおかん状態だったナランダさんですね。 ただ、何故技術管理部が重要な部門なのにどうしてこんな少人数で回しているのか? ガスコンロを直してもらいたいけど、ガス担当が不在…というやりとりで不穏さを煽りつつ、後半で河太さんから明かされる事実やノーマル以上の時に見られる妖怪覚醒の原因を見ると43歳水道担当のおじさんからしか得られない栄養素があるというか、そうなってしまう事が理解や共感できてしまい辛い…となるしかなく頼むから対立しないでくれと心が叫びました。 正直、喫煙者でありナランダさんが煙草を嫌がる描写もただのこの二名の不仲を描くだけでなく「自分だけが喫煙者だから助かった」という予想外の伏線回収に繋がるなんて想像ができませんでしたし。 そして、結果的にナランダさんは先にクラウンの正体を知っていたけどそれを隠す必要があったのでバッドの際はあの結果になってしまいましたが河太さん視点からすればあの勘違いと結末は想定できたかなぁ…と悲しみが。 以前別の場でも語らせていただいたのですが、裏ルートにおいてこれを語らないのが嘘と言える物と言えば 粋としか言えないプレゼントの演出と劇中歌の存在ですね。 最初はグレムくんのやった手品をアルカーさんもやる天丼かな?と思いきや実はそれは視線を本命からそらす為の物であり… 雪子さんがプレゼントを確認した瞬間、解除される『素敵なプレゼント』の実績。 これはDL可能であるサイトがノベコレという部分を活かしたギミックであり、作中では純粋に雪子さんがプレゼントとして招待状をもらうサプライズでありながらプレイヤーにもバッジの獲得という想定外のサプライズをするという発想が神かな? といえる演出すぎました。初見の際は思わず興奮のあまりテンションがおかしくなったと記憶しております。 そして、支配人からアルカーさんに渡されたテープ…劇中歌である『柘榴』が収録されたカセットですね。 このゲームに劇中歌があるという事は事前に知っていたのですが、実際に作中で該当場面を見た際は素敵な歌に聞き入ってしまいました。 配信でプレイを進めるという性質上、劇中歌を聞いてからトゥルーエンドを回収する前にyoutubeで公開されているフルバージョンを聞いたのですが曲調や歌詞といいなぁと純粋に思いました。 しかし、ある意味この劇中歌の真価と言えるのはナランダさんが久々に舞台に立つという演出であり 同時にトゥルー最終、実績の名前にもなっている…フルで聞かないと知る事がなかった歌詞『この世に生きた不条理を歌え』の部分。 誰にとってもこの世に生を受け生きるというのは不条理であろう…位に元々は解釈していたのですが、このゲームに出てくるキャストこそがまさしく本人に罪はないのに人造人間として何度目かもわからない生を受けこの遊園地の秘密が公になれば生きていく事もできない。 不条理としか言いようのない状況である事。 しかし、それを歌い飛ばして生きていくしかないという事を現したある種の人間賛歌であると理解した時「この歌は本当にこのゲームの為の物であり、これ以上となく相応しい存在である」と思い知る事となりました。 話をキャストやストーリーの部分に戻しまして。 まず、シアター運営部に研修にきた事で成長していくグレムくんや彼と友人関係になっていくプラタくんやミルラちゃんとの関係性がほっこりとします。 新人を舞台に立たせる(手品で物理的に)という突然の洗礼に驚きつつも冗談を真に受けてプラタくんと漫才をしつつ、ちゃんと喋りについて改善されていったグレムくんは素直に凄いと思いますし普通の人はまず舞台で誰かに芸を披露する事がない為とても緊張するのが当然でしょう。 そして、それを理解した上で初めてにしてはよくやったと褒めてくれるナランダさんは本当にわかってらっしゃるなぁと。 プラタくんは自由過ぎてKYなのでは?と思わせる部分はありますが、何だかんだ存在する事で場を明るくさせる面があると思っております。 記念公演の打ち上げでグレムくんを励ます場面でもそうですが、基本は自由でもちゃんと必要な場面では適切な行動を取れるというか。 何だかんだ、友人にいたら振り回されるのは承知だけど楽しい奴って感じなんだろうなぁと思いました。 そして、打ち上げの日に月を見上げる場面も表ルートでは観覧車でガルーさんとカムくんが同じく見ていると思うとそれぞれ理由があって衝突はすれど、同じ空の下で同じ月を見上げている…その状況に得も言わぬ感情を持ちます。 最初はひたすら無口でダンス以外に関心も協調性もないと思われたカトリーナちゃんも、雪子さんとの関りから少しずつ表情が豊かになり終盤ではこんなに素敵な笑顔もできる子なんだなぁと。 何でしょう、カトリーナちゃんの魅力をもっと大々的にアピールする為にもダンスの時もゲストに向けて笑顔見せて!と配信をしつつ思わず熱くなった記憶があります。 問題だらけの新人が2人も一気に増えて大変だ!と最初は思える流れでしたがストーリーが進む程それぞれの持つ良い面や魅力が出てくるのでそれぞれに対し好感を持ち応援したくなる、そんな魅力を感じました。 そして、シアター運営部において忘れてはいけない部長なのに突拍子のない事をやりだすアルカーさん。 チャプター0ではこの人って入場の時にいた人では…?と突然のD劇場を観ていましたが、エクストラ0で本当にリハーサルにない事をやり出した故の物だったと知った時には笑うしかありませんでした。 ゲーム本編とは別段関りはない事ですが、誕生日が4月1日というまさに嘘のような…ある意味デタラメな事ができる存在にぴったりだなぁというのが気に入っています。 良くも悪くも面白真面目な人であり女好きというキャラというだけでも好きだなぁと思いましたが、前述しているプレゼントの件や雪子さんとのやり取りがとても印象的です。 作中の描写を見るに、支配人と直接対談できる数少ない立ち位置の人物という点も気になりましたが某選択肢までに全問正解するか否かで色々見方というか、言葉の意味がここまで大きく変わるとは…と思えるのも凄かったですね。 何も知らずトゥルーエンドに到達しただけでは支配人サイド寄りと思いきや実は利用されていた側であり、記念公演の招待状もシアター運営部の部長だから権限として使えるようにしようと言ってるのだな…と思ったのですが…。 まさかの次期支配人候補!? つまり、彼の言う権限というのはシアター運営部の部長権限でなく支配人権限の方だった!? という雪子さんの言う「職権乱用」の意味が全く変わるという盛大などんでん返しでした。 結果として、表ルートにおけるトゥルーエンドと繋がっている以上総務部の2人は蘇生こそすれど記憶を失いこれからどうするのか課題が残るまま終わる…という形でしたが だからこそもう一度初めましてから関係をやり直そうとするアンちゃんとエンジェルさんのやり取りは感動しましたし、ラピさんにも打ち上げ飲み会仲間であるプラタくんがもう一回覚えて仲良くなればいいやというノリで接してくれる事が救いでした。 元の立場や殺人等の行いが全て許される訳ではないとしても、この遊園地に残されたキャストは等しくこの遊園地がなくなっては生きていけない存在である事に違いはなく。 再スタートをするには一度忘れた方がいい事もあるのかなぁと。 “この世に生きた不条理” 確かに、すでに自分の素体になった人物が誰なのか?何度もパーツを交換しているならそれすらもわからず、キャスト達は皆望んで人造人間として生まれた訳でない。 個を、その人をその人と定義する物とは何なのか?を突き詰めようとすると頭の痛い結論に行きつきそうな気すらあり。 その点で言えば不条理という言葉は適切なのだと思います。 そして、今後被害を広げない為にはあそこで支配人を拘束し何かしらの罪状で告発するのが正解だったと多数を守る為には思えるのかもしれません。 だけどその結果この遊園地のキャスト達がどうなるかを考えた際、見逃すという選択肢を選んだ事を誰が責められるのだろうか? 彼らには何の罪もなく、ただ生きていただけなのに。 このゲームはキャラクターの魅力やそれぞれの視点から構成される物語も魅力的と思いますが、こういった観点の哲学や思考実験のような話からも深みを感じられる事。 それが特に強い魅力的であると私は思います。 何にしても、彼らキャスト達にはこれから先大変な事も沢山あるとは思いますが少しでも平穏で穏やかな日があって欲しいと思います。 @ネタバレ終了 感想が長くなってしまった事と、乱文となってしまいましたが 素敵な作品をありがとうございました。 続編が出るという事なので、そちらも首を長くしてお待ちしております。

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  • 短編ミステリー 闇の館の殺人
    短編ミステリー 闇の館の殺人
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 もうすっかり作者様の制作するゲームの中毒になっておりましたが、今回は短編ミステリーという事で真面目に頭を働かせて犯人を推理するぞ!と意気込みプレイ。 タグにある「コメディ」は…まぁ、むしろ作者様なら分量はわからないけど入ってる方が当たり前では?としか思わなかったのであまり気にする事はなく。 @ネタバレ開始 珍しく今回は主人公に明確な設定がなく、主人公はあなた(プレイヤー)でしょう?と言われ戸惑いましたが「だったらお前の名前は天凱彼岸花で、性別は女な?」と雑に適応しつつ進行。 鍾乳洞の最奥に存在する闇に囲まれた館…そして、タイトルからここで何かしら殺人事件が起きるという緊張感。 こんな場所に住居を構えている主人であれば持ち物検査で光を発する物を没収されるのも仕方ないのかな…とは思うも、これは何か起きた時にヒントを得るチャンスがなくなりそうという点では不利な状況だろう等考えながら。 途中、まさかの主人公はあなただ!つまり私の場合は女だ!なのにメイドへ唐突な「結構しましょう」発言。 さらにメイドの「なるほど。ありですね」で同性婚が許される国に行くしかない!?という意図せぬトラブルもありつつ。 マップ構造や登場人物がどの時間に何をしていたか?絶対に後程重要な情報になるに違いないと思いつつ読み進め…館の主人が不在というのがすでに何か起きる前兆にしか思えなかった事もありドキドキしつつ読み進めました。 しかし、思わぬ形で事件が発生してしまい…ここまでの情報で実は犯人が特定できると言われ困惑しかない!! ◇気になる情報を整理していき ・黒コーデの関西人で真っ黒な名刺に『闇』とだけ書かれた者。 ・意味深な台詞をメイドに言った、いかにも怪しげな自称TVプロデューサー。 ・正体不明の人影?が5人。現在の登場人物より人数が多い事含め謎の要素。 ・最後の訪問者である不気味な仮面を被った見知らぬ人物。 ・何度も出てくる、館の四方は闇に囲まれています。というここが光の届かない空間であると強調する文面。 ・マップ構造として主人の部屋から逃げるには廊下を通るか仮面の人物の部屋を通る必要がある事。 ・死体発見時に表記された「館の闇は今取り払われたのです」という一文。 主人の姿が闇に紛れて見えなかったのがようやく姿を、死体という形でありながら発見された事で闇が取り払われた? ここも文章の選びとして雰囲気はわかるけど、よく考えれば他に意味がありそうな部分でしたね。 解答を見る前に気づけなかったのが悔しいです。 間取りと事件後に開いていた窓や正体不明という点であれば仮面の人物は怪しいでしょう。 しかし、恐らく仮面の人物の名刺にあった『名探偵』という文字から、いつものあの人がゲスト出演している?とメタ読みから犯人から除外。 来訪理由もお約束と言えるあの巨匠の建造物で事件が起きるかの調査という事含め犯人ではないだろうなと。 本来なら場所の条件としてメイドの悲鳴を聞いた際に、関西弁の男が順番上最初に来ていないというのも引っかかり。 メイドが廊下を見ていたというけど、誰かと共犯であるならその証言も信用はできない。 まず、主人公が主人の部屋に行った際も闇しかない無人の部屋だったと考えれば死体は別の場所…隣であるメイドの部屋に隠していたと考えるのは合理的にも思え。 しかし、誰が犯人にしても死因が原因不明の窒息死というのがわからない。 私の頭では頭からビニール袋を被せたか?位しか手段は思いつきませんでした。 まだ、道具として館の中で用意できそうでもあるし…でもそんな安直とも思えず伏線もない。 周囲の状況観察の場面だと、TVプロデューサーの反応が怪しいけれど動機はありそうだが証拠をあげられない。 ……本当に、ここまでの内容で推理が可能なの??? 犯人が明確に存在すると言われているのにわからないまま「真相が分かった!」の選択肢はいけないよね…と「諦めよう」を選択。 普通にそのままエンドになってしまいどうしたものか…と思いつつ、自分なりに推理をした後に真偽は別として「真相が分かった!」を選択。 ここから自分で犯人を指名とか、根拠を選ぶとなったら厳しいなぁと思えば主人公が後はどうにかしてくれてほっとしました。 そして、挙げられる推理の根拠は確かに今までの情報を加味すれば成立する事であり。 メイドからも裏が取れた事で事件は解決、その上結婚もするならハッピーエンドか……と思わせてからの 仮面の怪人物、仮面の怪人によるターンの開始。 『闇』と名乗る人間までは想定ができても、館(建造物)の東西南北に配置されている…まではまだわかる。 しかし、主人の名字が館であり、館(人名)を闇(人間)がマイムマイムしているは常識に囚われていてはわかりませんでした。 そして、ここでタグのコメディの意味を理解しましたが…でも頭を柔らかくすれば出ない範囲でないからマイムマイムしてる構図はコメディでも推理が可能なミステリーである、何とも不思議な感覚です。 仮面の怪人の話を聞いてやっと理解しましたが、このゲームは推理物として分類するなら「信用できない語り手」を用いたのですね…。 過去作のように主人公があらかじめ犯人と言われてる場合でないので、主人公は巻き込まれた一般人であり偶然真相を理解したとしか思っていませんでした。 しかし、全てが主人公の主観や都合の良い情報に選ばれた表現が使用されているなら? ここを、仮面の怪人の話ではっきりさせにきたというのがシビれました。 さすが名探偵である仮面の怪人というべきか…。 そして、ラストの展開。 館の闇は取り払われ、朝日は主人公の発した言葉の通り闇から…主人である父親(館)からも解放された。 闇がなくなる事で朝日の光が戻り、それを直視できない主人公は目をそらす。 しかし、その先には…窓の外には無数の闇があなたを覗いていた。 上記のようにラストの展開を比喩を用いた内容として見立てる場合にメイドの名前が何故、朝日だったのか納得がいった事。 もし廊下で先程の会話をメイドが聞いていたなら、父親を見殺しにした主人公に殺意を向け…眼光も鋭く輝く瞳となっているであろう事。 館の主人が死んだ以上、次に闇が従う主人は娘である朝日であり…窓の外にいる無数の闇(人間)はただの傍観者でもあり、新たな主人の指示(恐らく主人公の殺害)を待っている存在とも取れる事。 ここはただのホラーっぽいオチというよりは文章的な美しさを求める比喩と現実として主人公に待ち受ける結末を臭わせるオチ、という演出として評価しました。 こういう表現が好物なのでその意味でも満足です。 そして、全てのからくりがわかるとタイトルも闇の館(場所)の殺人(起きる事件の名前)であり それと同時に、闇(人間)の館(人名)(から娘を解放する為)の殺人というタイトルが実はオチだったという壮大な伏線回収…。 @ネタバレ終了 物語としては短編の部類でしょうが、その中に詰め込まれている要素だけで言えば短編なのに中身がぎっしりな為充分な満足感がありました。 コメディ要素はあれど、割とシリアス傾向な事等変化球だった事やこれまで様々なバカゲーという括りとしても毎作違うトリックや推理物のジャンルを描かれているにも関わらずまだ引き出しがあるのか…!? といった点も含めほんっとに底が知れないなぁと(誉め言葉) 今作も、楽しい時間をありがとうございました。

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  • えっ!俺以外みんな犯人!? ~半人館の殺人~
    えっ!俺以外みんな犯人!? ~半人館の殺人~
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 思えば、この作品をきっかけに作者様の過去作をいくつも遊ばせていただきましたがある意味‟入門編”としても良い塩梅の作品だったなぁと個人的には思います。 まず、タイトルからすでにオチがついていると言ってもいいギャグな状況。 からの概要文にある「100人分の犯人を描くのは無理だったので、島に入れる犯人は両手で数えられるレベルまで減らしています」 という、ですよねー!?と思いながらもこのノリで本編を制作させているなら推理物としても割と気軽に楽しめるのではないか?という部分。 しかし、実際プレイしてみればギャグ要素はあれどしっかり推理物でありミステリーをしている…!?という衝撃。 @ネタバレ開始 開始から早い段階で、概要欄にもネタバレがされていたし自分以外が犯人という絶望的状況の把握。 一応、バッドエンドも見たいのであえてそういった選択肢も選びつつ大真面目にここから生還するにはどうすればいいのかという目下の課題。 以前見かけたウミガメのスープのネタで「探偵以外が全員犯人なので、探偵はあえてその場では事件を迷宮入りさせるしかなかった」という物があったなぁ…という事も思い出し。 無難に振る舞うならあえてまだわからないという演技しかないのは仕方がない事か…からの第二の事件発生!?というまさかの展開。 確かに、第一の事件で終わるならジャンルとしてもミステリーよりは生還が目的という点で脱出ゲームの方がカテゴリーも近いよね?と納得はしましたが。 しかし、主人公以外が全員犯人である以上何故共犯者を犯人達は殺したのか?ここから発生したミステリー要素とどんどん増える犠牲者という怒涛の展開に謎は深まっていくばかり。 各バッドエンドを見る事で、推理に役立つそのエンドでしかわからない情報が得られるという事で最後の選択肢の手前では情報を収集したり真面目に推理をしたりと頭を悩ませましたが見事に外しました。 二択を外した以上、残る選択肢を選んでから明かされる真相。 言われたら確かにそうだと言いたい点が線で繋がっていく感覚。 狂気としか言いようのない黒幕の思惑。 でも、これで事件も解決した以上後はもうエピローグかな?と思ったところでの……。 確かに伏線というか、注視すれば気づける要素であったからこそ気づけなかったのが悔しいです。 @ネタバレ終了 今改めてシナリオ内に出てきた要素を見ると、過去作を遊んでいるとにやりとできる要素があったり「もしや…?」と思う部分もありましたね。 (※ここから作者様の過去作についてのネタバレも含む為、未プレイの方は下記部分を開かないようご注意を!) @ネタバレ開始 当時は変装内容が違う事に対しての意味だけと思ってましたが、仮面の怪人といえばお約束のあの人の通称であり。 偽名といえば、江戸川という部分も確かにある意味定番であれど…実は作者様のシリーズに前例があり。 何より、半人館と言えば江戸川さん(黒タイツ)が色々あって爆破させたあの…!?となり。 そうなると、最後の選択肢で間違えた際に出てくるヘリに乗った警部も恐らくあの警部かなぁという妄想も…。 そして、もし過去作と設定が繋がった部分があるとすれば 八木島(偽名)は未来で半人館を舞台に犯人となる行動を起こすというのが確定。 眼鏡は変装道具であり本来は裸眼、今回は純粋に巻き込まれ役であるが後の事件を起こす事を想定した下調べに来ており「殺されても仕方ない人はいる」と明確に復讐対象もいる。 (江戸川さんはタイツの上から眼鏡をしてないので恐らく裸眼、かつ明確に復讐対象もいるし性格的に八木島と同一と言われてもわかる部分がある) つまり、このゲームはまだ館がある事を含め時系列として「えっ、いや・・・俺は犯人じゃないです!!」より過去であり… 八木島は江戸川さんと同一人物なのではないか…?となった瞬間「ああああああああ…!?」とまさかレビューを書く段階に至って実はあったかもしれない可能性に気づくという事態に陥りました。 @ネタバレ終了 何というか、この作品単体を遊んだ時もギャグのような前提から本格ミステリーが展開されるという面白さに衝撃を受けました。 が、結果として過去作もプレイした事でより味わいが深くなるという部分を含め、普段の‟バカゲーなのに推理要素視点でも遊べるゲーム”というジャンルだけでなく‟ギャグのような前振りから本格ミステリーをお出しされる”まで本当に作者様のミステリーや推理物を本当に好きであり理解しているからこそできる技量に感服するばかりでした。 また、バカゲー路線の新作も恋しいですがこういった本格ミステリー路線の新作…どちらも遊びたいという欲が出てしまう名作です。 楽しい時間をありがとうございました。

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