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かおりのレビューコレクション

  • 飲み会をぶっ壊せ!
    飲み会をぶっ壊せ!
    悪魔の飲み会をぶち壊すため、主人公があれやこれやと手を尽くすお話でした。 飲み会を装う非道な輩たちの魂胆を、主人公の清ちゃんがバッサバッサと斬っていくのが爽快! が、相手もなかなかの手練れでしっぽを掴ませない…それをどう切り崩していくか、 為になるアイデアと知識がたくさん学べ参考になりました。 @ネタバレ開始 特にストローと、氷についての知識はなるほど!と唸りました。 目に見える証拠としてならストローなしのほうが有効で、 でも証拠品として提出するなら指紋のとれるストローありのほうが有効…とか、 氷ありの飲み物は結露して中が見えにくいから危険など、 言われてみれば…だけど言われないと気付かない盲点だなと思います。 また、食べ物も個別に食べられる物だと薬を盛られやすいから、 皆で食べられる大皿系にしたほうがいい、などもとても勉強になりました。 もちろんこういった機会に遭遇しないことが一番望ましいですが、 万が一…の時には知識を役立てたいと思います。 そして7種類のEDすべて回収させていただきました! 被害者4/逮捕者4 清ちゃんは知らなかったんだからしょうがない。被害が酷すぎず(一応未遂?)4人捕まえられてむしろよかった。 被害者0/逮捕者0 これは悔しい。これからも彼らがのさばるのかと思うと怖すぎる。被害者が出なかったことだけが救い。 被害者1/逮捕者4 悪魔たちの差し出すモノなんだから、ティーカップでも油断したらあかんぜよ。 被害者1/逮捕者5 清ちゃん、いくらなんでもひとりは危険すぎるよ…! 被害者2/逮捕者5 わかる、わかるけどあの場では何も口にしたらあかんかったのだ…。 被害者3/逮捕者4 用意周到!あの店長も何気にかなり怖い。のさばらせたらあかんヤツ。 被害者0/逮捕者5! ハッピーエンドは皆が楽しそうで何よりでした! 弥奈子ちゃんと清ちゃんが一緒にサークル活動する日が来るとは…。 大変な事件に遭遇してしまったけど、それを機に清ちゃんに仲間ができたことが嬉しかったです。 @ネタバレ終了 内容はリアリティがあり何気にシビアなものなのですが、 登場キャラの名前(A・B・Cや、やなこ、くずおなど)や清ちゃんの心の声、 OBに集る蠅…などシュールな笑いが面白く楽しくプレイできました。 概要蘭に絵が残念と書いてありましたが、背景含め、 絵のタッチがスッキリしているところが良かったと思います。 女の子たちもかわいいし、服がお洒落で素敵でした! 本当にこの内容は為になりますし、被害にあわないためにも知っておいたほうがいい情報が詰まっていたので、多くの方に触れてみてほしいなと思います。 ゲームから学びを得られる、楽しくも実用性のある作品でした。ありがとうございました!

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  • 雫
    運命共同体だと思っていた先輩の身に起きた「変化」を機に始まる青春物語でした。 美麗なグラフィックと、 それを有意義に活用したクオリティの高いアニメーションにまず目を奪われました。 しかもアニメーション化する場面のチョイス、見せ方が素晴らしい…! 本編最後の先輩にはやられました。イケメンすぎる…! また、美しい言葉で綴られる文章での表現も豊かで、 主人公の心模様が手に取るように伝わってきました。 更にワードのチョイスがこれまた秀逸で、さながら文学小説を読んでいるよう! シナリオの展開のさせ方も素晴らしく、 短い文章ながら的確にツボを押さえていて、キュンキュンさせられまくりました…。 @ネタバレ開始 その最たるキュンが詰まったエンドロール!もう本当に最高でした! 本編では語られなかった二人のこれまでと、その後を期待させる終わり方、とても良かったです。 @ネタバレ終了 演出と文章とが絶妙に絡みあい、5分という短い時間があっという間のような… いやむしろゆったり感じられるような、不思議な感覚を味わいました。 青春物語=甘酸っぱさのイメージがありますが、 こちらの作品は甘酸っぱさはありつつも、 とてもしっとり落ち着いた趣のある物語だったように思います。 温かな雰囲気が素敵な作品でした。ありがとうございました!

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  • 異形の森の赤ずきん
    異形の森の赤ずきん
    記憶をなくし見知らぬ森で目覚めた主人公が、異形の者たちによって隠されてしまった記憶を取り戻し、閉じ込められた森からの脱出を目指すお話でした。 タイトル画面の雰囲気や、異形・化け物というワード、そしてゲーム概要蘭の説明などからこれは怖そうだなと思って始めたのですが、読み進めていくとあれあれ?となり、読了後には感涙。開始前には予想もしていなかった感動に見舞われ胸がいっぱいになりました。 @ネタバレ開始 記憶を取り戻し森から抜け出そうとする主人公と、それを阻む恐ろしい風貌の異形の者たち、手助けしてくれるけれど怪しい仮面の男…の三すくみ状態で、開始当初は誰を信じていいのやらと不安に思っていたのですが、まさかの皆いい人(人外だけど)!閉じ込めているのも、現実社会で壊れてしまった主人公の心をただ守りたいがため…そんなピュアな願いに気がついた時には涙、涙。 一方の仮面さんも心から主人公を心配してくれる優しい人で、その正体にも感動でした。最後の抱擁がまた泣ける…!良い人そうに見えて実は何か別の魂胆でもあるんじゃ、なんて疑っていたのをひたすら謝りたくなりました。 途中からもう皆大好きすぎて、お別れし難く帰還しないBADエンドも見てみたりしましたが…こちらは哀しいエンドでしたね。ある意味幸せだけれど生ぬるい世界で逃避し続けたら、自分もあちら側にまわってしまうという事でしょうか…。哀しみ。 BAD回収後は泣く泣く帰還することを選択し、HAPPYエンドへ。本当は皆とずっと一緒にいたかった!と哀しみに打ちひしがれていましたが、HAPPYエンドが哀しみを上回る胸アツの展開で!めちゃくちゃ心揺さぶられました。 いくら虚構空間で前向きになれたからって、全てが丸く収まったわけではない…というのがリアルで、そして変わらないイジメに腹が立ちました。むしろ彼女たちが化け物だろ!!怒 学校が動いて解決するのなんて表面的なものだけで、そうそう根絶できるものではないんですよね。本当に難しい問題だなと思います。そんな中で、異形の彼らと仮面さんのメッセージで立ち上がったセナちゃんが、イジメを跳ね返すシーンはもう…画面が涙で見えない程でした。スカッとしましたし、その雄姿がステキ過ぎて…! 共に過ごした記憶はなくしてたとしても、片隅に残る彼らの思いがこれからもセナちゃんを守り、そしてセナちゃんの心の中で生き続けていくのだろうなと思える結末でした。最高に感動しました。 最後に個別感想を…。 何も喋らないのが最初は怖かったけど、実は恥ずかしがり屋で心根の優しいレター。こっそり主人公の家を掃除してくれたり、うっかり手紙を水浸しにしたり、ちょっとお茶目なところが可愛かったです。 スケベで何考えてるんだかわかりづらいけど、いざという時は冷静で頼りになるスケッチ。どんな時でもぶれない「らしさ」で何度も笑わせてもらいました。スカートの中のぞくなよ~笑。 従えているクモの子分が不気味だし笑顔の裏側を疑っていたけど、本当に心が美しいいい子だったシャルロッテ。髪をとかしてあげる場面が心に刺さりまくりました。シャルちゃんにとっても主人公にとっても、姉であり妹であったに違いない。そんな絆を感じさせる素敵なイベントでした。 憎まれ口ばかりで怒りっぽく威圧的という第一印象最悪だったコロ。だけどホントはいい奴だってすぐわかったよ!隠そうとしても性格の善さがだだ漏れしちゃってるコロが微笑ましく、同時にとても愛おしかったです。おまけを読んでますます好きになりました。大好きなキャラでした。 厳しいけれど愛のこもった叱咤激励で導こうとしてくれた仮面さん。ピンチになると助けてくれるのも、きっとすぐ駆けつけられるように見守っていてくれるんだろうな。心から愛されていることを感じます。HAPPYエンドでの最後のメッセージも心に響きました! @ネタバレ終了 異形の者たちの思考、感情などを知るにつれどんどん面白く、そして読む側の感情も高まっていく素晴らしい構成でした。テーマ自体は重めなのですが、適度なコメディさで抜け感があるところも良かったと思います。 また、立ち絵の表情の差分が多いので、感情移入しやすい作りになっていたようにも感じました。特に狼の化け物の表情変化が大好きです! 見た目とは違う異形たち、人間の皮を被った化け物たちが交錯するストーリーは、 最高の結末で幕を閉じました。明るい未来を予期させる最後の展開がとてもよかったです。 心に残る素敵な秀逸作でした!ありがとうございました。

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  • Cross Mask -クロスマスク-
    Cross Mask -クロスマスク-
    治安の悪い町にある唯一のセレブ校と、そのほか不良高校との、様々な思惑の絡んだバトルを描いたお話でした。 アメコミもの(映画など)をあまり見たことがなく、不良モノもあまり興味がないのに楽しめるかな?と少し不安な状態で読み始めたのですが、全くの杞憂で時間を忘れて夢中になりました。とても面白かったです! @ネタバレ開始 学校名やキャラ名などのシュールさ(威地悪高校などのヤンキー風当て字!)や、時折はさまれるコメディ部分(食堂での貸し借りや、田村くんのバスケには笑いました)などクスッと笑える部分もありますが、大筋は骨太の人間ドラマ。とにかく熱い展開です! 地の文は第三者目線で客観的に描かれているのですが、チャプターが変わるごとに寛太郎くん、田村くんどちらの心情も見られるようになっているため、二人の思いがひしひしと伝わってきてとても感情移入してしまいました。 過去に辛い経験をしている寛太郎くんが、その力を再び親友を助けるために使い、クロスマスクとして立ち上がる…という展開は胸アツだったのですが、クロスマスクとして行ったことがなかなか実を結ばない…!それどころか頑張れば頑張るほどむしろ事態は悪い方向へ進むばかり。切ない…。中でも裏切りによるリンチ受けた時はめちゃめちゃ哀しく、切なさの極みでした。ヨバのヤロウ…!!と怒りに震えましたが、ヨバはただの小物で、本当の敵は厳蔵だったのかなと思います。厳蔵は「大義を語る人ろくでもない説」を地で行くような、横暴さを秘めた人でした。 最終的に厳蔵の意思を汲んで?新しい役割を担うことになった寛太郎くんですが、クロスマスクでいる間はいつもどこか思いつめたような感じだったので、解放されたのは良かったのではないかと思います。正義を重んずる性格を鑑みてもこちらのほうが向いているのかもしれないですね。 ただ、今は秩序を守るために玉番が必要なのかもしれないけれど、いつか本当の意味で大義から解放され、厳蔵にパンチかませるようになったらいいな…とも思いました。 そんな厳蔵に大義を骨の髄まで教え込まれた田村くんですが、大切な人に巡り会ってからの彼は熱かった…!今まで抑えてきた反動でしょうか、感情を爆発させていましたね。彼を縛っていた大義ももう意味をなさなくなったんだろうな…。そんな風に田村くんを変えた大切な人の中に、寛太郎くんも含まれていることがとても素敵で胸アツでした! この先、律さんを守り抜いて安心できるようになったら、寛太郎くんに色々借りた分を返しに(お金的には合計600円でしょうか・笑)ぜひとも戻ってきてほしい。そして二人で全ての闇を暴き白日の下にさらしてほしい!と強く願います。その時森矢くんも更生しているといいな。できれば被害者である森矢くんと律さんを含めた四人で立ち向かえたら…更に嬉しいなと思いました。 @ネタバレ終了 作中で何度も問われる、大切な人はいますか?というメッセージが、 読了後に心にずしっとのしかかってくる、深いテーマ性のあるお話でした。 何を取捨していけばいいのか、明確な正解のない人生の厳しさ・難しさを改めて痛感する内容でもありましたが、結末には希望の光があり、読後感が爽やかだったのも良かったです。 またスチルなどの一枚絵がない代わりに、立ち絵のバリエーションの豊富さで戦いの場面などに迫力があり、また場面ごとに変わるBGMでの演出も相乗効果をもたらしていると思いました。とにかく目でも心でも「熱いもの」を感じられるお話だと思います。 ダブルミーニングなタイトルも秀逸な、読み応えのある素敵な作品でした!ありがとうございました。

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  • ひなちゃんのおつかい!
    ひなちゃんのおつかい!
    お母さんから頼まれたおつかいという名のミッションをこなし、おいしいカレーを食べられるか… 小学二年生のひなちゃんのおつかい冒険譚でした。 ひとりでおつかいならではの、買い忘れやお菓子コーナーの誘惑! あるあるだよね~なんて思いながら、にんじんを忘れてみたり、ルーを忘れてみたり、 お菓子を買ってみたりして色々なエンディングを見ることができました。 @ネタバレ開始 おつかい大成功のED1はもうひなちゃんが美味しそうに食べてる姿が微笑ましくてほっこりし、 具材が足りないED2はきっとお母さんが水を野菜ジュースに変えて作るとかラードを使って野菜炒めるとか工夫したんでしょう!と勝手に納得し、 ルーのないED3はむしろ私お父さんのお土産のほうがいいんだけど!と思ったり、 お菓子だけのED4は怒られたことよりその後の夜ごはんがどうなったのか心配したり…。(作者さまのTwitterを拝見したら、お母さんは無からカレーを生み出したそうです。神!) そして何も買わずに迎えたED5…うん、これ最後に見ちゃダメなやつでした。凹む・苦笑。お母さんの瞳から光が消えたのが怖かったです…。一体どうしてこうなった。でもひなちゃんのせいじゃないよ、きっと!!と言ってあげたかったです。 @ネタバレ終了 私が小学二年生のころは、ひとりでおつかいなんてとても無理! だったのでひなちゃん、偉いなぁ…などと思いながらプレイしました。 でもやっぱり、おつかいに行くならメモ必須だよ! じゃないとたいていミスするからね…!とも思ったのでした。 おつかいだけの掌編ながら、ほっこりからシリアスまで 様々なタイプのエンディングが楽しめる素敵な作品でした。ありがとうございました!

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  • ヌコの特等席
    ヌコの特等席
    行きつけの喫茶店の看板娘「朱里ちゃん」と、看板猫?のヨシミを探しに行くお話でした。 主人公の樋口さんが喫茶店に通う理由や、現状に対する思いなど、 その心模様にとても共感しました。 変わり映えのしない毎日に変化をという気持ちもわかる気がしますし、 中でも「会社は監獄、退社は仮釈放」というワードはグサグサきました。 私以外にも刺さる方が多いのではないかと思います。 そんな変化を求める樋口さんとバディを組むことになった朱里ちゃんは、 とても可愛いのですが意外としっかり者でちょっぴり毒舌。 マスターがもうすぐいなくなるかも…というブラックユーモアには一瞬「ん?」と思いましたが、きっとマスターと心が通い合っているからこそ言える言葉なんでしょうね。そもそも祖父であるマスターのお店で働いているのも、マスターのことを本当は心配しているからなのかもしれないなと思いました。 @ネタバレ開始 そして肝心のヨシミの居場所ですが…これは本当にびっくりしました。 ええええ、よく食べる猫なのに、そんなに小さいの?! それとも一見普通に見えるけど、朱里ちゃんの頭が人より大きいとか?! …なんて思ったりしました・笑。 色々な衝撃作を遊ばせていただいてますが、驚き度合いで言うと今年一かもしれません。 そんな衝撃からの最後のオチもまた見事でした。うん、確かに特等席だ・笑。 あんないい場所誰しもが飛び込みたくなりますよね。絶妙なタイトル回収で面白かったです。 @ネタバレ終了 衝撃でもあり、笑撃でもある面白い作品でした。ありがとうございました!

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  • もぐってつかめ!Babyハート!
    もぐってつかめ!Babyハート!
    生まれたばかりの待望の赤ちゃんを寝かしつけるため、新米パパが特殊能力を駆使して奮闘するお話でした。 とにかく新米パパの主人公がめちゃくちゃ面白いです! 焦って噛んだり、テンションおかしかったり・笑。 感情豊かに赤ちゃんへの愛情や奥さんへの感謝を表現してくれる、とってもいい人でした。好感度マックス! そして赤ちゃんがまたひたすらに可愛いんです! くりくりした円らな瞳に見つめられると思わずにこにこ顔になってしまいました。 そんなエンジェルですが、やはりそこは赤ちゃん。激泣きで主人公を困らせるのですが、 主人公も「深層心理にもぐって心を理解する」という特殊能力を発動! 赤ちゃんvs新米パパの耐久バトルが始まったのでした。 @ネタバレ開始 まず、もぐる能力のもぐり方が個性的!ふわっと、ぐいっと、すいっと…というもぐり方に加え、「ぺりっともぐる」が面白くて笑ってしまいました。なんだろう、ぺりっとって・笑。 ふわっと、ぺりっと、様々なもぐり方を組み合わせて探っていくと、今度は3つの心に出合うことができたのですが、この3つの心もかわいらしい名前でほっこり。ネーミングセンス抜群です! 結末自体はひとつでしたが、寝かしつけの結果は3パターン見ることができました。 寝かしつけが成功するか否かは「もぐる」がキーになっているようで、 心の探索が不十分だったり選択ミスすると完全勝利できず…。 完全勝利するには、3つの心を見る&その後の選択肢で正解を選ぶ必要があるようですね。 でも攻略は難しくないのですぐに辿り着けるかなと思います。 ただ、赤ちゃんの心をちゃんとつかまないと寝かしつけられない…というところはリアリティがあって、育児という過酷な戦いの一端を垣間見た気がしました。本当に大変そう…!! でも、奥さんと戦友になれるくらい旦那さんが育児に協力してくれている笛吹家(デフォルト名)の未来は明るいと思えました。とても素敵な家族でした。 @ネタバレ終了 寝かしつけというほんの一部分とはいえ、育児を疑似体験できる部分がとても興味深かったです。 面白いコメディで読んでいる間はとにかく楽しかったんですが、 読後は育児の大変さが身に沁み「育ててくれた親への感謝」で胸がいっぱいに…。 母の育児の時の話や自分自身の思い出などもよみがえり、ほろりとしてしまいました。 私のように育児経験のない方には育児について考えるきっかけとなる気がしますし、 子育て真っ最中の方や子育て経験された方にはまた違った響き方をするのではないかと思います。 改めて親の存在に感謝する機会を与えてくれた、素敵な作品でした。ありがとうございました!

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  • 各務家〜食卓物語〜
    各務家〜食卓物語〜
    ボク(睦祈くん)の誕生日を祝う家族の1日を、それぞれの視点から描いたお話でした。 最初は誕生日の主役である睦祈くん視点のお話から始まり、 読み終えると次の家族のお話が読めるようになるシステムです。 一見よくある普通の家族のささやかなお祝い事なのですが、 徐々に解放される家族の視点を読み進める毎にそれぞれが抱える問題が明らかになっていき… そんな一筋縄ではいかない家族というモノが丁寧に描かれていました。 @ネタバレ開始 空気を読む…ということを知らない無垢さが時に爆弾となる睦祈くんや、 家族のためを思う気持ちが強すぎて距離感を見誤りがちなお母さん、 本当はきちんと向き合ってほしいだけなのに悪びれることしかできない祈跡ちゃん、 心が忙殺されて家族を大切にできなくなっているお父さん、 気後れしていまだに本当の家族の一員になれないままでいる歩さん。 いびつな形になってしまっても、本人たちはどこをどう正したらいいのかわからない。 そんなすれ違ってしまった家族の元に舞い降りた笑楽ちゃんは、まさに天使!でした。 祈跡ちゃん編を見た時には笑楽ちゃん怪しい…などと疑ってかかっていたんですが、 のちのち全くの誤解だとわかった時には土下座したくなりました・笑。 (ていうか祈跡ちゃん、なんでそんなに笑楽ちゃんを嫌ってるの…。いつかちゃんとわかりあえるといいなぁと思います。) あくまで自然に、そして優しい心遣いで家族一人一人の心を溶かしていった笑楽ちゃんに感動でした。 歩さんに渡したケーキがまた素敵すぎて泣けます…なんていい子なの。正真正銘の天使でした。 ぜひとも歩さんと幸せになってほしい。そしてこれからも天使のスマイルで各務家を支えていってほしいです。 家族の問題に限らず、往々にして何かあった時に当事者は間違いに気付けないもの。 そういう時一歩引いて見られる第三者の存在やその意見って大切だな…と改めて感じたお話でした。 ストーリーに関係ないことなのですが… 各務の読み方は「かがみ」なんですね。ずっと「かくむ」と読んでました…汗。 ブラウザ版に表示されたスクリプト名が「Kagami」だったのでもしや?と思いググってみたら、 岐阜に各務という地名があったり、各務元正という戦国武将がいたりと「各務=かがみ」という名前は一般的のようですね。 恥ずかしながら知らないことだらけで驚きました。 @ネタバレ終了 家族って本当に難しい、けれど大切で愛おしいものなのだと改めて感じさせてくれるような、温かな結末でした。 読後とても幸せな気持ちになれる素敵な作品をありがとうございました!

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  • メドゥーサと目を合わせると死ぬゲーム。
    メドゥーサと目を合わせると死ぬゲーム。
    目を合わせようとしてくるメドゥーサの彼女との7日間、どう過ごすのかを選択していくお話でした。 メドゥーサの彼女と相対する自分(主人公)は一体何者なのか、 色々な想像をしながら読み進めていたのですが、 @ネタバレ開始 まさか人間でないとは…!! しかも彼女の子供だったなんて…予想だにしない展開に心底驚きました。 メドゥーサの力を持つ者同士の対峙という設定、 これを予想できる方はなかなかいないのではないかと思います。 素晴らしい発想だと思いました。 また、目を合わせようとしてくる彼女の意図も、 利己的なモノではなく主人公のためだったという思いもよらない展開。 こちらも予想外でした。 そんな驚きの真相がわかってからの結末ですが、 トゥルーエンドはお互いの気持ちがすれ違い、 無理やり…という展開で一番悲しい結末だったように感じます。 母である彼女の、断腸の思いが伝わってくる涙ながらのスチルが泣けました。 そして唯一目を合わせられるハッピーエンドも、ひたすらに涙を誘う展開でした。 最後にしてようやく見つめ合うことができた…だなんて、なんて切ないの! しかも残された時間はもうわずかという、哀しい現実がまた泣けます。 更にその後、二人が穏やかに最期を迎えるシーンがなんとも美しく涙、涙。 切ないけれど、最期は幸せだったのかな…と思える温かな終幕でした。 最後にバッドエンド。 個人的にはこのエンドが一番印象的でした。 彼女も主人公も目を合わせられなかったことで迎えた、切なすぎる別れ。 どうか二人の行きつく先が同じ場所であってほしい、晴れ渡る青空に願わずにはいられない哀しい最期でした。 @ネタバレ終了 驚きと、感動とが押し寄せてくる、切なくも美しい物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • GrayWorld
    GrayWorld
    閉ざされた灰色の先の見えない世界から脱出するお話でした。 謎解き脱出ゲームではありますが、謎解きはお話に色を添える要素の一つであり、 メインは考察しがいのあるストーリーだったように思います。 @ネタバレ開始 謎解きの問題が、色にまつわる内容だったところに、意味深さとお洒落さを感じました。 概要蘭にある「彩りを」という言葉にも繋がるように思いますし、 虹の色とも関連性があるのかなと思ったりもします。 また、灰色の世界からどう抜け出すか、そしてどう彩っていくか… 狭い世界に閉じこもりがちな自分にも刺さるものがありました。 「世界は無限に広がっている…すべては自分次第」というメッセージは、 閉鎖的な世界で生きているすべての現代人に響くものがあるように思います。深みのあるメッセージでした。 @ネタバレ終了 タイトルの意味や、タイトルに隠された仕掛け、プレイヤーに考える余地を与えるストーリーなど、 掌編ながら奥行きのある物語だと思いました。 灰色一色で創り上げられた雰囲気のある世界観や、使用されている音楽、 タイトルに隠された仕掛けやクリア後の変化など演出面も素晴らしかったです。 気付きを与えてくれるメッセージに心を動かされる、素敵な作品でした。 ありがとうございました!

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