heart

search

かおりのレビューコレクション

  • 少女の神の粒子
    少女の神の粒子
    たったひとり生き残ってしまった人間の少年と、自らの手で滅ぼした惑星の生き残りの少年に恋した王女との恋を描いたお話でした。 細部まで丁寧なドット絵グラフィックの素晴らしさに惹かれてプレイし始めましたが、その可愛らしさとは裏腹にテーマは重厚だったように思います。奪った側と奪われた側の困難な恋愛は、さながらSF版「ロミオとジュリエット」のようでもありました。 @ネタバレ開始 誰からも認識されず孤独を抱えていた暗黒物質の長として、今まで何の罪悪感もなく当たり前のように行ってきた「排除」と「侵略」。 むしろ誇らしささえあったその排除によって傷つく者がいることを初めて知った戸惑いと、初めて自分を認識できる存在に出会えた喜びとがまじりあった複雑な感情。そして、そんな揺れ動くネモフィラちゃんの感情を到底理解できない、被害者の少年ショウくん。二人のすれ違う様がとても切なかったです。もうこれは最初から詰んだのでは?と思うような困難極まりない二人の関係に絶望しかけましたが、なんと世界を元に戻す方法があるとな!やったー!と思ったのもつかの間、元に戻すには暗黒物質そのものをなかったことにする必要があるという、衝撃展開。自分や同胞、そして存在自体をかけて償うというネモフィラちゃんの決断が切なすぎました。 END1 身体が壊れてしまったのはショウくんですが、それと同時にネモフィラちゃんの心も壊れてしまったようで悲しかったです。心って何かしら?と言ったネモフィラちゃんに涙。いつかショウくんを愛した自分の記憶すら排除してしまいそうな…そんな気さえしました。とにかく悲しい。 END2 ネモフィラちゃんの決断を受け入れることしかできず、その背を見送るしかできなかった末の、悲しさ溢れる結末でした。世界は元に戻って父母と会えたけれど、ちっとも幸せじゃない…!今度は心が置き去りにされてしまったショウくんの涙にもらい泣きでした…! END3 密やかに反転の儀式を行おうとしていたネモフィラちゃんの、ショウくんへの思いが尊かったです…!なんて健気なの。 そしてそれに対するショウくんの答えが男前でとても良かったです。「生きて償え」じゃなくて「一緒に」ってところがツボ!時空を超えた「ぷろぽーず」最高です!二人が今後最良の未来を見つけ出し、銀河の果てで幸せに暮らせるといいなと思いました。 最後は少し哲学的で解釈が難しかったですが…異なる種族だとしても、全ては同じく粒子からできている物質。だからこそわかりあえるはず、というメッセージが込められているのかな、と感じました。心温まるとても素敵な結末でした。 @ネタバレ終了 誰しもが気付かぬうちに誰かを傷つけているもの。その傷口に気付いて触れた時、自分の罪とどう向き合いどう償うのか…そんな難解なテーマを、可愛くポップなドット絵と魅力的なキャラクターとで絵本のように優しく導いてくれる作品でした。 個人的には、キュートさ溢れる双子の従者プランちゃん・プラントくんがとてもいい味を出していたと思います。また、過去作を読んでいるとニヤリとしてしまう時空師さんの存在も大きかったです。みな個性あふれるキャラクターで大好きでした! 読み終えた後、温かな幸福感で満たされる物語でした。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 美少年育毛剤
    美少年育毛剤
    美しい長髪の美少年「長杉カミト」くんが迷い込んだフェチシズムワールドで、美少年育毛剤研究所の実験体として働くことになるお話です。 もうどこからどう切っても髪へのフェチシズムが溢れてくるカオスな世界でした…! @ネタバレ開始 まずタイトル画面のロードが育毛記録なところから既に面白い!そして直毛と枝毛って…と初っ端から大笑い! そこ転がるようにカミスギナガトくん…もとい、長杉カミトくんの受難が始まり、小ネタとフェチシズムと作者さまの髪愛に満ちたロンゲパワー!なワールドにどんどん巻き込まれていきました。美少年の抜け毛で興奮するフェチメイドさんや、ハム太郎ならぬフェチ太郎のへ毛ッ☆が印象的なフェチ研究員さんズと共に、収穫の日を待ちながら過ごすうち生まれた謎の一体感と、奇妙な絆。私もフェチシズムワールドとお別れするのが寂しかったです…笑。 現実世界に戻ってきたかと思いきや…な展開は驚きました。ってことは、フェチメイドさんやフェチ研究員の皆さんの存在も幻ではないのでしょうか。だとしたら、始祖となってしまったカミトくんもひとりで極めるのではなく、美少年育毛研究所でまたワイワイ楽しく働いてくれたらな…なんて思ったりもしました。 元凶となった髪様の勝手な全人類髪フェチ化計画も怖いですが、何気に一番怖かったのは美少女脱毛剤と知りながら泥棒猫に使う女性!怖えぇぇぇ!絶対関わり合いたくない…と思いました!あと地味に美少年の髪を持ち歩き、マフラーを作ろうとしている女子大生も怖かったです…汗。 @ネタバレ終了 見事なまでに徹頭徹尾「髪への愛とこだわり」に振り切った髪作品でした。 また、髪にまつわる知識への造詣の深さがうかがえる豆知識や、ヘアドネーションという取り組みについても学ぶことができ、とても勉強になりました。(恥ずかしながらヘアドネーションを今作で初めて知りました…) 読んでいるこちらまで力がみなぎってくるような、突き抜けたコミカルさがとても面白かったです!確かに最後まで枝毛なく楽しめました。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • ロベリアの/嘘
    ロベリアの/嘘
    何もかもわからない状況で進んでいく、ある種の推理もののようなお話でした。目の前の彼は誰なのか、私は誰なのか、そして何が起こっているのか。読み進めていくとわかっていく真相と、それでもわからない真意。たぶん読み手によって違う見解を導き出せるのではないかと思う、奥深く考察しがいのあるお話でした。 @ネタバレ開始 痛すぎるほど思い合っているのに、どうあがいても結ばれることのない運命が切なかったです。そしてとても強い思いが胸に突き刺さりました。 身を捧げる献身的な愛…と思いきや、彼女を生かすためという名目の元、彼女に自分を刻みつける身勝手な束縛。残された側がどう思うかわかっていて、それを利用する…これこそが「悪意」だったのでしょうか。演技という彼女の「嘘」をすべて無にしてでも守りたかった彼女の命。そのためにロベリアとなった彼の思いは、究極の愛と言えるのかもしれないと思いました。 生かされてしまった彼女は…きっと彼の命という鎖を引きずり泣きながら歩んでいくのだろう、と想像すると胸が痛いです。 どうか三年後、もう誰からも何も奪わず静かに眠ることができますように。彼は怒るだろうけれど、最後には笑って抱きしめてくれたらいいな。せめて二人の終着点がそんな形であったら…と願います。 @ネタバレ終了 「ロベリアの/嘘」とは一体なんだったのだろう?と読み終えて考え耽ってしまいました。そのまま「悪意の嘘」と捉えるべきか、それとも「悪意の」「嘘」はそれぞれ別の人物の思想や行動を表しているのか。その意味に込められた思いについては計り知れないものがありますが、考えながら物語を反芻し、幾度も世界に浸るのがまた今作の醍醐味のように感じます。 本来の童話のような哀しく残酷かつ耽美な世界観と、ドラマチックな展開が素晴らしい作品でした。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • やっぱ世の中金だよなァ!!
    やっぱ世の中金だよなァ!!
    空から降ってきた大きく重いケースの中身を見た主人公「金木田成海」さんが、命運をわける選択を迫られるお話でした。 可愛いミニキャラ・美しいイラストと、ちょっぴりブラックで勢いのいいコメディストーリーとのギャップがとても面白かったです。そして何よりキャラクターが濃くていい!中でもミニキャラ成海くんの、目をむいて涎垂らした顔がツボでした。 @ネタバレ開始 END1 無事カニになれました。 END2 良いことをしたはずなのになぜ!笑 バトロワ展開ですが、守くんが味方にいるなら勝てるのでは…?と思ったりしました。 成海END すっかり変貌してしまいましたが、悪魔化した成海くんもイケメンでした。けど…切ない! なんだかんだ言って「あの」先輩が良かった…と気付いた守くんの心模様を見てしんみりしちゃいました。 守END なにこのブロマンス!二人だけの秘密とかエモい…!と大興奮でした。 守くんの超絶イケメンなドアップのイラストがまたとても良かったです。笑うと更に素敵! そしてこんな現実離れした状況下でも「何かあったら相談しろよ」というどこまでも人のいい成海くん、守くんが「信頼関係を築きたい」と思うのも納得ですね。最後の「♪」で守くんがいかに成海くんを気に入っているかがわかり、ニヤついてしまいました。 お金はもちろん大事だけど、それと同じくらい大切なものもあるよね!そう思える結末を、ぜひブロマンス好きな方に見てほしいなと思いました。 @ネタバレ終了 とにかく楽しくポップにお金というものの魔性性を描いたお話でした。が、コミカルなだけでなく、ENDによっては(人によっては、かも)また違った角度からの楽しみ方もできると感じました。マルチエンドの良さが際立つ作品で、とても楽しかったです。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 教団の二つのドグマ
    教団の二つのドグマ
    CSAという組織に属する主人公が、「アンドロイドカフェのアンドロイドと仲良くなること」という不可思議な特務を任されたことから始まる、SF物語です。 非常に難しい謎解きでした…! アンドロイドのメアリーと仲良くなるべく選択肢を様々なパターンで試してみましたが、全然進展しないぞ…と思ったら、そういうことか!となる見事な仕掛け。どうやら私は全く違うところで溺れていたようです。今までの作者さまの作品は自力で行けたので、今回も自力プレイに挑みましたが…今作はとても無理!ものすごく凝った仕組みで、攻略を見ながらでも難しさを感じるほどの難易度でした。 @ネタバレ開始 難易度の高い謎解きや素晴らしいギミックが話題の作品ですが、ストーリーもとても良かったです。教団システムに泣きました…! クジラデ先生はなんと優しく、情深い人だったんだろうか。形を変えてまで守ろうとする姿に涙でした。元々の素質もあったにせよ、メアリーが優しい子なのは先生の元にいたからなんだろうなと思います。そんな絆で結ばれた二人の親子のような関係性がとても素敵でした。 なので最後の最後に先生が…な時は涙腺崩壊!切ない…!でも守り切れて満足だったのかなという気もしました。 今も主人公とメアリーの新たな旅立ちを、どこかで見守っていてくれるのかもしれないですね…。(そう思いたい) そして最後も素敵でした。笑顔と、ハートの表示と、あのセリフ…のエモすぎる演出!!ここでも伏線が回収されるのか…! まさか最後にあのセリフを聞けるとは思っていなかったので大興奮でした。 こののちの行く先はきっと白百合を携えて…ですよね?ミッションを完遂できた私も胸を張って報告できそうです。 何者にも自由な思考は奪えない…ドグマ(義務)という名の横暴から逃れた二人に幸多からんことを。 @ネタバレ終了 これまでも作者さまの発想力の素晴らしさには舌を巻きましたが、今作はその最高峰と言っても過言ではないと思います。どうやったらこんなギミックを思いつくのか、感心するほかありません。 かといって謎解き特化で物語が置き去りにされることなく、上手くギミックと絡めながらも上質なストーリー展開で、読み物としても非常にクオリティが高いと思いました。私は謎解き以上に物語の素晴らしさに感銘を受けました。 難しい謎解きを求める方にも、ハートウォーミングなお話を求める方にもおすすめできる作品でした。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 故郷からの便り
    故郷からの便り
    主人公の誕生日会へと向け「家族から送られてきた手紙」に込められた思いを読み解くお話でした。 地の文章がなく本当に手紙の文章だけで構成されたゲームで、それでもしっかりお話として成立しているところがすごいと思いました。 @ネタバレ開始 特に3通目の実父からの手紙は、マキシくんの「置かれている状況や目的」などが短い文章の中で端的かつ的確に明示され、見事でした! なるほど、異界探査か…!とても面白い設定だと思います。 友継さんとイグヤさんが15年前に出合ったのも、異界探査でイグヤさんがこちら側に来たことがきっかけだったのかな?なんて想像したりしました。 本当の家族とは離れていても、温かな手紙で繋がっている。 そして血の繋がりこそないものの、心で繋がっているもう一つの家族もいる。 そんなマキシくんは(大変な使命を背負ってはいるけれど)幸せ者だなと思いました。 きっと素敵な誕生日会になったことと想像します! @ネタバレ終了 近年は手紙文化も廃れつつありますが、改めて手紙を認め送る素晴らしさに触れることができた気がします。いずれも思いのこもった素敵な手紙でした。 また今作はシリーズものの1作品ということで、ストーリーにはまだ謎めいた部分もあったので、今後シリーズの他作品もぜひ読んでみたいと思います。 心温まる作品でした。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 夏、君ニ出逢えた奇跡
    夏、君ニ出逢えた奇跡
    運命的に出会った「周平くん」と「ヒカリさん」の淡く儚いラブストーリーでした。 まず序盤で存在感があるのはヒカリさん!見た目も言動も可愛くほっこりします。イラストの可愛らしさも相俟って非常にキュートでした。 @ネタバレ開始 特にツボだったのは、アイスを食べた時のヒカリさんの反応!流氷、確かに…笑。スチルでの表情も含めてとてもかわいかったです。 更にヒカリさんだけでなく周平くんもとても優しく思いやりのある素敵男子だったので、二人が逢瀬を重ねどんどんと打ち解けていく様を微笑ましく見守っていました。 …が、その後は思いもよらない急展開! 二人の前に立ちはだかる非情な呪いという呪縛に胸が痛くなりました。呪いの効果すごすぎる…涙!そこからはドキドキハラハラもので、二人の行く末が心配だけれど先が気になって仕方なくなる怒涛の展開でした。 バッドエンド ヒカリさんが目の前で消えてしまうのが悲しすぎました…。その身を投げ打った尽力のおかげで周平くんは助かったものの、たくさんの後悔が残る結末で切なかったです。 ただそこで終わりじゃないという「人魚姫のその後」の逸話通り、再び魂を得て周平くんの魂と巡り合えるといいなと思いました。道のりは果てしないかもしれないけれど、それまでの間周平くんの周りをそよぐ風の中にはヒカリさんが…と想像できる、最後のスチル!とても良かったです。 ハッピーエンド 覚悟をもってヒカリさんや呪いと向き合った結果の大勝利!嬉しかったです。抱きついて涙するヒカリさんの、慟哭が伝わってくるような迫力あるスチルが素敵でグッときました。 エンドロールがまた非常に良かったです!楽し気な二人がとても可愛らしく、清々しい気持ちで読み終えることができました。 人間と人魚であることは変えられないけれど、二人が最後の時まで幸せに居られたらいいなと思います。 ※もし解釈(呪いが解けても、人間になれたわけではない)が間違っていたらすみません! また、細かなネタとして作者さまのSNSアイコンであるカニさんがスチルにいたり、セーブ画面に物知りなタコさんがいたりするところもクスッと笑えるポイントでした。 そして一番のネタといえばアイスのアタリ棒!まさかここまで重要アイテムになるとは…。やっぱり「アタリ」のご利益?は伊達じゃないのでしょうか…笑。個人的にはアイスと交換より、半分こにして二人のお守りにしたほうがいいんじゃないかな、と思いました。 @ネタバレ終了 童話をモチーフにしていますが、そこから一工夫された物語で、単なるボーイミーツガールで終わらない展開になっているところがいいなと思いました。 @ネタバレ開始 特に、一般的に良く知られている人魚姫のお話ではなく原作を題材にされていることが効果的だったように思います。バッドエンドで明かされた「人魚姫のその後」の逸話など、原作の結末を全く知らなかったのでとても印象的でした。 @ネタバレ終了 また、全体を通してグラフィックの完成度が高く、目でもとても楽しめました。特にハッピーエンドでのエンドロールの絵は、描き込みの素晴らしさも含め、非常に情緒があって素敵…。必見です! 美麗なスチルの豊富さと、二人の尊い純愛から生まれた「童話の新たな解釈」とも思える結末が印象的な作品でした。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • ぼっちを助けてください
    ぼっちを助けてください
    クラスでひとりぼっちの「簿土彩子」さんに降りかかる災難から、彼女を助けられるか問われるお話です。 色々な事を諦め、ぼっちを仕方なく受け入れているような簿土さんが切なかったです。 簿土さんを陰でそっとサポートし、気にかけている存在もいるにはいるのですが、彼女もただ見守っているだけ…というもどかしい状況。 そんな簿土さんに幾度となく降りかかる、他者との関わりという難題! 当人がぼっちを受け入れていても、周りが、そして社会の構造がそれを許してくれないところがありますよね…。 ペア組みなんてぼっちには辛すぎるだろ!いっそ好きに組ませるのやめてくじとか毎回ランダムとかにすればいいのに、と思いました。 @ネタバレ開始 でもまさか簿土さんが死んでしまうとは!更にそこから守さんによる犯人推理が始まるという、全く予想していなかった展開に驚きました。 守さんの最後のパンチには、犯人への怒りだけでなく、助けられなかった自分への怒りもこもっているのかもしれませんね。切ない結末でした。 先にBADエンドのほうを見たので、簿土さんを助けてあげられるエンドもあってホッとしました。よかった簿土さん!!守さんの笑顔と簿土さんの「ありがとうございます、ありがとうございます」が印象的でした。誰かひとりが一歩踏み出し、ほんの少し助けてあげるだけで救われる命があるのだと改めて気付かされる結末、とても良かったです。ふたりが今後ずっと仲良くいられますように! @ネタバレ終了 登場人物の名前のシュールさや、淡々としていながらもリアルな心理描写など、不思議な雰囲気のある作品でした。 また簡単な選択ひとつで人ひとりの運命を変えてしまうこともあるという、そんな重さに気付かされるお話でもありました。 思いがけず奥深い物語で面白かったです。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • チダマリ イン グランマハウス
    チダマリ イン グランマハウス
    赤ずきんを題材にした可愛らしくも残酷なお話でした。 起きてしまった事故?を前に三者三様の主張をする赤ずきん・狼・漁師の中から誰が悪いのかを考える部分には、マダミスっぽさもあって面白かったです。 何より三人がとても個性的! @ネタバレ開始 気弱でおどおどしているのにさらっとスゴイこと言ってる狼くん、 (いやいや、重要なのそこじゃないから!と何度突っ込んだことか…) おばあさんや狼くんの上をいく意地の悪さと毒舌が武器の赤ずきんちゃん、 (大怪我させてやろうって、年配の方の怪我は命取りになることもあるんだぞ…!!) 唯一まとも…と思いきや何気に自分を正当化している漁師さん、 (しかもおばあさんをどうするか真っ先に言い出した時はえええ!となった…) みんな気持ちいいくらい腹黒でした…! 更に驚いたのは、狼くんと赤ずきんちゃんの本当の狙い。予想の斜め上すぎました…! 両手に毒花で大変だろうけど逞しく生きてね、漁師さん。 @ネタバレ終了 キャラの魅力と予想を上回る展開も然ることながら、グラフィックの美しさも重要なポイントだったと思います。 立ち絵やキャラチップ?の可愛さはもちろん、服や小物までお洒落でしたし、くすんだ色合いも味わいがあって素敵でした! 短編でスチルは1枚だけでしたが、それがまたとても可愛い。アングルも凝っていて、作者さまの絵のスキルとセンスに改めて感嘆でした。 ポップな可愛さの中に潜む毒が癖になる作品でした。 元来童話が持つ闇深さも味わえる展開、とても面白かったです。ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 未来伝言板
    未来伝言板
    とあるきっかけで、未来を占えると噂の「駅の伝言板」に書き込みをしたことから始まる非日常を描いたお話です。 もう伝言板がない駅も多く、もしかしたら伝言板の存在すら知らない方もいるかも? そんな今や昭和の遺産となりつつある駅の伝言板を題材にされているところに興味を持ち、プレイさせていただきました。 私自身利用した経験はないのですが、伝言板が待ち合わせや取捨物のメッセージなどに活用されていた時代を知っている者として、懐かしの「伝言板」というワードは見逃せなかったです…!笑 まず本来なら伝言を書くだけの伝言板に「返事が書かれる」という設定が面白い! よく考えると誰からともわからない返信との奇妙なやり取りなのですが、変わり映えのない日常の中のささやかな非日常という魅力に主人公がハマっていってしまうのもわかるなぁと思いました。 どんどん伝言板にハマって依存し始める主人公に、この先どうなる?と不安いっぱいだったのですが、その後はいい意味で意外性があり、爽やかな気持ちで終われる結末だったのも良かったです。 更に、物語の中で「伝言板の返事」の起因がしっかり提示されていたことは特筆すべきポイントと思います。 ともすれば不可思議現象を「あれは一体何だったの?」な感じのままお茶を濁したり、解明されない都市伝説として終わらせてしまうことも多い中、ちゃんと腑に落ちる着地点が描かれていて素晴らしいと思いました。 きっと伝言板を知っている方は懐かしく、知らない方は斬新に思うのではないかなと思います。 短いながらもよく考えられ、そして上手くまとめられたストーリーが面白い作品でした。ありがとうございました!

    レビューページを表示