鈴乃屋のレビューコレクション
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A Room for You最初こそ見なれない形式に戸惑いましたが、全部てのひらの上で起きているような不思議な体験でした。 タイトルや点在するアイテムなどから(ぬいぐるみや絵本、食べ物にも困らなさそう)、脱出しようと思うまでは心地良い空間だったのかもしれませんね。 謎解き&脱出できる、好みの部屋をありがとうございます。 とても楽しく遊ばせていただきました。
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キツネ耳つくも神に何故か付きっきりで看病される話少し前にプレイして御朱印帳をいただいていましたが、また改めて最初から最後までお話に浸りました。 @ネタバレ開始 タイトルに触れるとネタバレになりそうでしたので、早々に閉じたコメントにて。あとがきを開きながら、これを書いています。 真相を追わずに延々とループを繰り返すと、確かに、表でのタイトル通り『キツネちゃんに看病されるお話』になるのですよね。 愛らしくも健気な(主人公にとっては)見知らぬ神社の主に、付きっ切りで甘やかしてもらう。それはそれで優しい世界。 このままでもいいのではないか? と、考えてしまうのは、すべて見終わったからかもしれませんね。 真相を知ったうえでのエンド1は、怖い雰囲気のスチルを見ながら切なさがこみあげました。 最初、主人公の語り口が平仮名で幼い雰囲気を感じるという、ミスリード。 延々とループを繰り返すうち、徐々に真相に近づいていく選択肢設計は構造的だと感じます。(そういえば、春根さん制作だったなと、今までの作品を思い返しつつ) 文字の大きさも私個人にはありがたい仕様でした。 それから、イラストについて。 もう一年も前になりますね。絵の練習を、と。誰も覚えていないかもしれないけれど、と書いてらっしゃった。覚えています。 室内のパースに沿って風月さんを配置したように見えました。立ち絵も煽りを意識しているなとか。塗りも丁寧ですし、表情も豊か。 室内にさしこむ朝の光が綺麗でした。おまけのご褒美スチルも、身近に居る質量を感じます。 それから終局4の狐の嫁入りは、一度見ているはずなのに、今回もまた涙を誘われました。感情が動くということは、臨場感があるのだと個人的には思います。 長くなりました。たぶん、春根さんのあとがきにつられている部分もあるかもしれません。読み辛いところがありましたら申し訳なく。 ゲームをプレイする側としても、最初から最後まで(あとがきに至るまで)物語を楽しみました。 こちらこそ、素敵な作品に感謝をこめまして。 @ネタバレ終了
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白無垢の決意書簡体小説ならぬ書簡体ノベルゲーム。白無垢の花嫁、その弟、そして夫と。三者三様、各々の想いと決意が綴り織られていて、読了時間は短いはずなのにひとつのドラマを観たようです。 @ネタバレ開始 保護欲、罪悪感、恋慕。自分だけのことではなく、他者を想うとき、なかなか判断できないときがありますね。 決意とは、それらを含めて己が先へ進むための心だという気がします。 おまけが本編と書かれていらっしゃいましたが、手紙だけで序破急整っていますし、実際、表に出る部分でしかわからないことが多いのがリアルなのかなとも。 おまけはおまけで、漫画ちっくなイラストが微笑ましかったです。 兼続氏が不思議と愛おしい。誰も彼も一所懸命に生きようとしたので、すれ違ったり、意固地になったり、したのかもしれないなあ、と考えました。 (ゲーム制作中もお忙しい気配でしたのに、素敵な物語を読ませていただきありがとうございます。このコメントが急いた気持ちにさせませんように) @ネタバレ終了 古時計風の音が心地良く、ゆったりした気持ちにさせてくれますね。 改めまして、素敵な作品をありがとうございます。
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宇宙人の憂鬱雰囲気だけでも――とのことでしたが、全体会議と密談が繰り返され、それぞれに手渡されているはずの秘匿ハンドアウトがあり、マダミスを楽しめました。 真実を話しているのに猜疑心が邪魔をしてしまいますね。 そのうちに誰も彼も怪しい気がするし、どこか見落としているのでは、とか。迷った挙句にメタ思考まで邪魔してくる始末で、特に、華さんの秘匿になかなかたどり着きませんでした。 本来なら一回でお終いのところ、セーブ&ロードが使えますし、とても親切かつ丁寧なヒントメモに助けられました。かなり集中しながら、宇宙の旅を楽しませていただきました。 ありがとうございます。また遊びたいです。
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L L手紙と後悔と愛情と。『僕らは終わった』とあらすじに書かれているように、“僕ら”の過去を知る物語でした。 好みも性別も、できることもできないこともお互い違っていて、でも、好きになった。少しのすれ違いも降り積もると、また、と繰り返し膿んでいくものなのかもしれませんね。 @ネタバレ開始 BGMに文章が織り込まれていくようで心地良く、時折、場面が画像で浮かびました。 途中から主人公たちの視点が変わり、終わりの真相がわかったときは切なかったです。でも、本当ならば、後悔も未練も伝えることすらできないはずだから、二人にとっても幸せな結末だったのかもしれないと感じます。 @ネタバレ終了 LLは、『Last Letter』なのか『Love Letter』なのか。そのどちらともでしょうか。 切なく優しい物語をありがとうございました。
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かご ~KAGO~テンポ良く、とてもユーザーフレンドリーなこのゲーム。 ちょうどよく納まる良いかたち、そこにカゴの加護はある。 愉快すぎてフリーダムポエムができました。(お粗末様です) @ネタバレ開始 この作品の表紙からして、サルが進化してカゴになるif進化論、いえ、新説が提示されているようです。 このゲームという名の研究誌は、新説発表の場なのですね? おふざけが過ぎても何ですので(失礼しました)スキップ&テンポがとても良くて、バッドエンドを二回見ました。と言いましても、まったく繰り返しが苦ではなかったです。 笑わせる楽しいお話を作るのは難しいと思いますが、始終、笑いっぱなしでした。オナカ イタイヨ! 主人公もそのうちランクアップして、誰かを安心させるカゴになるのかもしれない。ならないのかもしれない。 かみさまのイラストがゆるい感じで好きです。かわいいです。 @ネタバレ終了 思わず、笑ってしまわずにはいられない、短いはずなのに濃く感じられる、楽しい楽しいゲームをありがとうございます。
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異種間エンパシーバイオノイドとの『かぞくごっこ』 家族の代わりなんてできるんだろうか……とはじまる物語。 アフターストーリーもふくめて全編、再度楽しくプレイいたしました。 @ネタバレ開始 深山さんの好みがつまったアルのビジュアルを拝見できて、とても嬉しく感じました。アルも深山さんに生み出してもらってよかったね、と思わず。 差分も加えたら、相当描かれたのではないでしょうか。大変でしたか?(と、お伺いするのも野暮かもしれませんね) 透明感のあるイラスト、繊細な表情、一人称視点で、アルを見ているかのような臨場感。そのぶん、アフター2がなかなか辛かったです。「もうやめてー、やめてー」とジタバタしてました。 アイキャッチや、エンディングへ続く流れの中に休符を差し込むタイミングも、細かいところかもしれませんが、テンポの良さを演出しているように感じます。 @ネタバレ終了 彩度をおさえた美麗なビジュアル、chill風なBGM、本編は本編、おまけも本編。素敵なゲームをありがとうございます。楽しい時間でした。 FA、お納めくださいましたら嬉しいです。
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ルドルフのおくりもの優しい水彩タッチのイラストとゆっくりしたテンポのBGMが緩衝材になってくれてはいますが、そうですね、辛いことは不思議と重なるものだなと考えずにはおれませんでした。 @ネタバレ開始 咲き乱れる勿忘草の川辺にちょこんと座っているルドルフのイラストを眺めながら、コメントさせていただいています。 ルドルフと主人公の名前が対になっているというお話をみました。彼岸と此岸の間際にいるような、このスチルを忘れられない気がします。 蘭ちゃんには心に寄り添って、助けてくれる人がいて良かった。 『たたかう』の選択肢を選んだとき、颯爽と現れたルドルフが格好良かったです。 @ネタバレ終了 概要欄に書いてらっしゃる『怖い演出あるかもしれないけど、あなたならだいじょうぶ!』との文言を少し微笑ましく感じてしまいました。 立ち直る物語のとおり、読了感は爽やかなものでした。やさしいお話をありがとうございます。
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ティラノフェス2022オープニング
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プレアデスをさがしてこの作品を遊ぶことを楽しみにしておりました。心があたたかくなる、いいお話でした。 プレアデスとは? 主人公と一緒に、託された謎を追いかけて、いろんな住人たちとお話をして……と、ドットで描かれる世界をたっぷり楽しませていただきました。音楽もとても好き。(夜のBGM、癒されます) @ネタバレ開始 悩みましたよー! どうすれば、ねえさまにお会いできるのかを。ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら、マップに出て来たときは嬉しかったです。 たくさんのキャラクターがいて、このキャラクターも素敵だし、この関係性もどれもいいなと思いながらプレイしておりました。なんだかんだで淡々とマイペース素直な主人公が好きです。 たぶん、新しい関係性ができたとしても、“ぼく”は、かあさまのことを思い出すのだろうな、とか。物語の余韻を楽しんでいます。 対になる人物、物語があって、彼らを繋いでいったり、緩衝材となったり。運ぶ、結ぶ役としての郵便屋を中心に織られていく物語の構成も素敵だと感じました。 @ネタバレ終了 続きがあることが可視化されているので、試行錯誤の楽しみもあり、バッジもいただけて嬉しかったです。素敵な作品をありがとうございます。