SHIAのレビューコレクション
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親友に憧れの先輩を取られたので転生します。タイトルだけ見るとこの後に異世界にでも転生するラノベのようですが、物語そのものはかなり真面目で異世界ではなく再び現代に転生を繰り返す主人公の歩む道を眺める物語でした。
今の人生がやりきれなかったからと言って、転生したら幸せなのか?を考えさせられる物語でした。
個人的には「にんじんが入っていた!」と我儘を言って手作り弁当を残せるときの元の人生こそ最も幸せな人生だと思いました。
「私は不幸だ。」と主人公は言いますが、不幸だと思うから不幸なのかな……と。
転生しても転生しても特別幸せになれるわけではなかったので、足るを知るという言葉を主人公が知っていたら、と思わずにはいられませんでした。
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今の自分の人生で持っていないものをないものねだりするのではなく、自分が持っているものを一つ一つ見つめ直して大切にすることが大事だなと感じた作品でした。
素敵な作品をありがとうございました! -
アンブロイド祖父の家に来ていた少年千早くんがふと迷い込んだのは、全く見知らぬ住人たちの住む世界。元の世界に帰るため、住人達と親しくなっていくのだが……少年と一緒に異世界を体験できる素敵なお話でした。
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素敵な作品をありがとうございました! -
警笛と魔笛の境界<はざま>で連続婦女暴行事件が立て続けに起きていることを伝えるキャスターが主人公の、じわじわとくるダークなお話でした。合間合間に挟まれる犯人の独白が物語全体にじっとりとした陰鬱な感じを与え、事件の異様さを引き立てていました。
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カンカンカンカン……と鳴る警笛の音が耳に残る、じっとりとした狂気を感じる作品でした。
素敵な作品をありがとうございました! -
教団の二つのドグマ攻略情報を見ても1時間半以上かかりましたが、作者様のカラーがとてもよく出た作品でした。数回周回して、これは自力クリアはできないなと即座に判断、攻略情報を頼らせていただきました。
教団のドグマやあらゆる情報は初回プレイから提示されていたにもかかわらず、それをどう攻略していけばいいのか分かりませんでしたが、攻略情報を読んでだいぶ楽に進めました。
最後にきちんとピースがはまる話がとても作者様らしく、難しいながらもその最後のピースがはまる瞬間を求めて一つ一つ紐解いていくのが面白かったです。
作者様のお話は謎解き要素に結構な閃き力が試されますが、今回もそれは健在でした。
難しい仕掛けでしたが、最後までなんとか辿り着けてよかったです。
素敵な作品をありがとうございました! -
とっ散らかってます。タイトル「とっ散らかっています。」の通り、良い意味でとっ散らかした物語でした。目覚めた瞬間に脈絡もなくいきなりそこにいる名前と姿が一致しない果物たちとの、ぶっ飛んだ面白いお話でした。
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果物たちとの、唐突に始まってとっ散らかったまま終わるナイスカオスな物語、堪能させていただきました。
素敵な作品をありがとうございました! -
ネコノネガイ夕暮れの教室で出会った女の子の口から発せられた一つの質問が、彼と彼女の運命を変える……かもしれない、猫の一途で健気な願いを抱いたちょっぴり怖い要素もある物語でした。
初回、何も考えずに選んだ選択肢が悪かったため、すぐにエンドへ直行し猫さんの影も形もない状態で終わりました(オイオイ…)
気を取り直して2周目では無事にネコさんとも合流、初めの記憶に触れた時点で「イジメ、ダメ、ゼッタイ。ギャクタイ、ダメ、ゼッタイ。」という言葉が脳内にピピューン!と浮かんだのですが、その後の記憶たちも合わせるとこれはこうなってしまっても仕方ないと思う悲惨な毎日を感じました。
2周目でGOOD、途中からロードしてTRUEと、エンド到達も難しくなくて物語から意識が離れることなく終えられてよかったです。
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ネコの切実で誠実な願いが叶えられるのか否かがプレイヤーの手に委ねられているため、俄然やる気が出てTRUEまでノンストップでプレイさせていただきました。
素敵な作品をありがとうございました! -
誘蛾灯の夜タイトル画面の印象でとてもドロドロしたホラー気味なサイコ系のお話が来るかと思いましたが、現れたのは蜘蛛系ファッションに身を包んだかわいい女の子。しかし、この子の話していることが……なんだか不穏ですね?と思いながら読み進めました。
好きな人にはとことん突き刺さるハードポイズンな物語でした。
リコさんの話していることが結構なストレートカニバルで、それはそれで幸せそうだったのですが……もうお一方、別の方からの視点で見るとまた違った味わいが本作にはありました。
これも一つの家族のカタチかな……と思いつつ、ドロドロとしたものが大好きな人には是非にオススメしたい何とも言えない暗い空気が作品全体に漂っていました。
なんでしょう……古く埃っぽい納屋の中の隅にある蜘蛛の巣に引っかかった小さな蛾を、今まさに蜘蛛が食べようとしている瞬間の映像が頭に浮かびました。
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捕食者たちの饗宴という言葉が思い浮かぶインパクトのある物語でした。
素敵な作品をありがとうございました! -
禁忌を犯した少女見返り美人な眼帯少女がどんな禁忌を犯したのか、気になりつつプレイしました。冒頭から緊迫の雰囲気で、読み終わった後は少し不思議な気持ちになると同時に、胸があたたかくなる物語でした。
冒頭の「お父さん」が亡くなるシーンからタイトルの少女にどう繋がっていくのかと思いましたが、読み進めるうちになるほど!と思いました。
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禁忌を犯した少女とお父さんとの心あたたまる家族の愛情に、あたたかい気持ちになりました。
素敵な作品をありがとうございました! -
堕ちた恒星、朽ちた嶺岸峯岸くんにある種の親近感にも似た感情を抱きながらプレイしました。文章の息遣いが上手く、グイグイと読ませる魅力のある物語でした。少し変わったところがあると見られている峯岸くんの言葉回しが秀逸です。
とても地に足がついた物語で、主人公が淡々と人生を達観したような視点で進められるので物語にピンと張った一のような緊張感が漂っていました。
いわゆる黒歴史とも言えるような過去を抱えた主人公が、自分の過去の轍をそのままなぞろうとしている峯岸くんに対してコンタクトして―――というところから、鈴鹿さんとの会話に戻った後、唯一の選択肢ではどちらにするか本当に悩みました。
ピエロはピエロ同士を笑うことができない、しかしかつてピエロだったものはピエロを笑う……そこに込められた人間の持つ歪みにも似たものが、胸の内にじっとりと迫ってきました。
主人公の最後の一言が胸に刺さり、ピエロの呼吸が今まさに止まった瞬間にも似た得も言われぬ刹那を見ました。
「リアリティ」を感じる素敵な作品をありがとうございました! -
混同仮面今日コウノトリが鼻血で虹を描いているのを見たんだけれどって言ったら、信じてくれる?―――はい、信じてくれる・気になる方は今すぐプレイしましょう!!とオススメしたくなるスピード&パワーの烈しい面白い作品です。
セクシャルな表現が大丈夫だよという方は、是非プレイしてほしいです!
漫画をそのまま読んでいるかのような画面構成と相まって、混同仮面さんたちが口にしているカオスなことがダイレクトに伝わってきます。
最初から最後まで、一気読みでした。とても面白かったです。
作者様の比肩する者のない圧倒的なセンスが凝縮された至高のゲームでした。
次から次に投擲されるハイセンスな狂った展開に、私の腹筋が割れるほど笑わせていただきました!
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動きがあり多くのイラスト素材を使用した迫力ある画面と、一つ一つのセクシュアル&時々ヴァイオレンス(真剣)なセリフ回しがとことん面白い、とても素敵な作品でした。
面白すぎる素敵な作品をありがとうございました!