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エヌエヌのレビューコレクション

  • 俺と彼女と誰かと誰か
    俺と彼女と誰かと誰か
    ヤンデレ妹の不穏な魅力を感じながらプレイを始めましたが、どんどん深くなっていく世界観に引き込まれていきました。 文章がとても綺麗で、非常に読みやすかったです。 マルチエンド作品にもかかわらず、どこにも分岐がなく、どうしようかと思いましたが、何をすればいいかが分かったときは、キャラの心情とも一体化した感動がありました。 @ネタバレ開始 どのエンドも非常に印象的でした。 END3は「毎回同じことを言うのね」というあのセリフが、残酷極まりないがゆえに素晴らしいものでした。 END1は、タイトルの良さを感じさせてくれるものでした。 ノベルゲームは作者が作ったシナリオをプレーヤーが読むしかできないものであり、たとえマルチエンドであっても解放条件があれば必然的に作者が誘導するようになるわけですが、そうしたレールを逆手に取ったタイトルと結末で素晴らしかったです。 END2は「ジブン」かなと思ったりもしましたが結局自力では分からず、ヒントを見て到達しました。 END4の「この関係はよけいに残酷で。よけいに綺麗だった。」という一文が好きです。 記憶がすべて作り物であったとしても、あるいは、偽りであるがゆえに美しいとするその感覚は痺れるものがあります。 挿入される昔話が、とても寓意的で示唆的で皮肉にあふれており、崩壊する運命にあるバベルの塔を一つずつ積み上げているようでした。 たとえ破壊されることが前提となっていても、まずは創造をしなくてはならない。あるいは、創造をするためにはまずは破壊を行わなければならない。そんなことを感じさせてくれました。 ラストの強く生きていくスタンスには非常に感銘を受け、ロボットとの掛け合いにはくすりと笑わされるものがありました。 ああした絶望の果てにあるほんの小さな可笑しさを描けるというのはすごいです。生きるとはそういうことなんだと感じさせられます。

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  • テスト返し
    テスト返し
    カエルのシュールなイラストに、一体どんなゲームなのか、さっぱり分からないながらも始めましたが、タイトルの意味が明らかになるにつれ、引き込まれていきました。 @ネタバレ開始 どうしても満点をとれないもどかしさがつのり、行き詰りましたが、そこから状況が明らかになっていく展開は衝撃的でした。 過去を変えることはできないという救いのない状況でありながらも、前を向いて未来を変えていくことに勇気をもらえるものでした。 ラストの夕暮れの教室のシーンには感動です。

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  • キツネ耳つくも神に何故か付きっきりで看病される話
    キツネ耳つくも神に何故か付きっきりで看病される話
    可愛らしいイラストに目を惹かれ、ほのぼのラブコメ的な作品かと思ってプレイを始めました。 @ネタバレ開始 実際は、涙なしにはプレイできない感動的な物語でした。 タイトルの「何故か」の意味を何度も深く味わえました。 前日譚ではさらに話が深くなり、何気ない話などがすべて回収されて収束していくのは圧巻でした。 月を見上げながらのシーンは忘れられません。 ひとかけらであっても、という願いはとても胸を打ちました。 素敵な物語をありがとうございました。

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  • 紅い月の奇妙な路地裏
    紅い月の奇妙な路地裏
    不穏な雰囲気に魅了されてプレイを始めると、画面を飛ぶ蝶に驚かされました。 過酷な社会人生活に比べると、奇妙な路地裏はどことなく心地よいものに感じられます。 @ネタバレ開始 END2は衝撃展開で鏡に映った顔が恐ろしいものでした。 END3は二人がこっちを見ている構図が恐怖です。 END5の時には逃げることも必要であるという、優しいスタンスはほっとするものですし、戦うこともまた必要というメッセージも良かったです。 END4の後の生活が非常に気になるものだったので、ハロウィンでその後の後日談を見れて、とても良かったです。 ミニゲームもハロウィンの雰囲気たっぷりでした。 飾り付けされた部屋や、ハロウィン衣装も見れて、大満足です。

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  • 意味怖系ホラーゲーム
    意味怖系ホラーゲーム
    ドット絵で描かれる部屋をじっくり見て回るのがとても良かったです。 何が起こったのか、静かなBGMの中で、残された物から推測していくというのは、ハラハラするものでした。 @ネタバレ開始 そうした静かな探索パートと、真相が明らかになった際の動きのあるパートの対比が綺麗でした。 1つ目と2つ目にある不自然なまでのプレゼント、ともに友人が登場すること、ゲーム紹介文の括弧、そうした意味が分かった時の恐怖はとても良かったです。 スマホ画面であることをずっと前提にしていたので、アナザーエンドは驚きでした。

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  • おじさんと遊ぼう
    おじさんと遊ぼう
    癖の強いおじさん構文に圧倒されながらも、テンポの良い展開に楽しく、ときにドン引きながら面白くプレイできました。 @ネタバレ開始 結末の姿は衝撃的でした。 タイトルに見事に騙されました。

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  • pastERRORdown
    pastERRORdown
    淡い色遣いのドット絵の可愛らしさに魅力を感じてプレイしましたが、まさかのゲームシステムでした。 アイデアもすごいし、それをゲームシステムに落とし込んだのがすごいと思います。 初めて電話をかけたときは衝撃でした。 @ネタバレ開始 生半可な気持ちでプレイを始めたことを怒られ、何とか助けようと頑張り、理不尽な世界に対する抵抗のエンディングを見たときは、どうしようかと思いました。 間違えて全部を消してしまってやり直しになったりもしましたが、最終的に無事にたどり着けてほっとしました。 この世界に生きる者へのメッセージは、とても暖かく強い言葉でした。 おまけ部屋の二人のイラストを見れて、本当に良かったです。

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  • love laboratory
    love laboratory
    ゲーム開始直後、無機質なコンクリートの壁に輝くネオン、そして流れるBGMで、切ない感情が溢れかえります。 そして、動いている!という感動。少し横を向いたり、伏目がちになったり、すごく表情豊かです。手を動かす部分などもスムーズにつながっています。 @ネタバレ開始 バッドエンドは「そんなことはない、目が合っています」と叫びたくなるものでした。 トゥルーでは、あらかじめシナリオが用意されたゲームであることを前提にして、こんなに感動的な物語ができるんだと感情を揺さぶられるものでした。 そして、これをうまく逆手にとったハッピーエンドが鮮やかです。 タイトルの意味をかみしめながら、何度もプレイしたくなる素晴らしい作品です。

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  • 髪デス!-髪は女の運命(デスティニー)-
    髪デス!-髪は女の運命(デスティニー)-
    鮮やかなイラストに惹かれてプレイしました。 ぶっ飛んだ展開に驚きましたが、どのルートも可愛く楽しめました。 髪型で運命は変わるんだと実感しました。 @ネタバレ開始 全エンドを見させていただきましたが、END4の雰囲気が特に好きです。 そしてEND6の衝撃、アナザーエンドの位置づけが見事でした。

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  • Silent Film_
    Silent Film_
    淡々とした語り口調が印象的です。 行動範囲から浮かび上がるキャラの姿を感じながらプレイしていましたが、結末で明かされる事実に驚きました。 あっ、とさせられる鮮やかな白黒の展開でした。 @ネタバレ開始 色々と考えさせられる作品であり、僕の個人的な解釈ですが、モノクロや無音の世界というのは、色彩や音がある世界に比べて、一般的に劣っているものとして理解されますが、それは違うのだと思います。 モノクロや無音というのは、ある意味、世界をニュートラルに見ているということを意味するのだと考えます。 とはいえ、そうした世界認識の元では、一つの個体として生きる意志を持って主体的に行動することができない。 このため、自己同一性を失った主人公は、僕、猫、彼に分裂しながらも、内面の対話・旅を続け、最終的に色彩や音のある世界に踏み出す決断をしたのだと思います。 その外へと踏み出す行為が、世界から落ちるということで表現されているのだと思いました。 しかし、外側に踏み出したところで、さらにまた外側の物語があるだけです。 世界はあくまで自分によって認識されたものでしかないわけで、自分という枠組みから絶対に逃れられない。 それがエピローグで見事に表現されていると思います。 ある意味絶望的な世界認識ではありますが、だからこそ自分の枠を超えて外へと向かう勇気と希望を与えてくれると思います。 世界を超えるにあたって重要なのが他者(それが自己の認識する他者でしかなくとも)であるという構造も好きで、非常に素晴らしい作品だと思いました。

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