九州壇氏のレビューコレクション
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re.ロボット達相手に、仕事をしていくゲーム。2週目も入れて15分ほどで読了できました。文字通り、機械的に作業をしていくわけですが、文字入力という形で読者を関わらせているのがうまいと思いました。2週目をすることで、更に心に響く物語になりますね……。ジムノペディが良い仕事をしていると感じました。
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水鏡5分ほどで読了できる、ひとりの女性の恋を描いたお話でした。現実は、儚く、醜くもある。だからこそ、遠い存在である月の美しさが際立っていたように感じました。美しさとは時に残酷なものにもなりえるなぁ……、なんてことも思いました。文体、音楽ともに物語の雰囲気に良くあっていたと思います。
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後藤一家の日常探偵で、シングルマザーとして家庭も支えている後藤悦子の物語。20分ほどで読了できました。探偵としての仕事についてはかなり具体的に描かれていて、とても興味深かったです。不倫といった問題は、実際相談されることが多そうですよね。本編は比較的穏便にまとまりましたが、こういう決着って多いんでしょうか。子のことを考えればこれで良かった気もする一方で、一度裏切った人は痛い目にあわない限り何度でもやらかす気もするなぁ、とか、そんなところも色々考えさせられました(笑) 生活感の描写もほどよくリアルで、仕事と家庭の両立に奮闘している様子が良く伝わってきました。なんだかんだ、子から慕われているお母さんなんでしょうね。面白かったです!
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世界で一番の嫌われ者世界で一番の嫌われ者を描いた物語。3分ほどで読了できました。童話のような雰囲気が良かったです。小さい頃コオロギを飼っていたのですが、親戚から「それって『世界で一番の嫌われ者』では……!?」と言われたのを思い出しました(笑)
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都道府県を覚えたいから-北海道・東北地方編-制作者さんの独特のセンスが光る短編。15分ほどで読了できました。なんなんだ、この疾走感は……(笑) 読み手を最後までぐいぐいと引っ張ってくれる、パワフルな作品でした。笑ってしまったポイントはいくつもあります。特に終盤、話しているキャラが変わるたび、いちいち都道府県の位置を示してくるところに笑いました。途中すっかり忘れていましたが、『都道府県をおぼえたいから』ってゲームでしたね……(笑) 「凶器」のことも一生忘れないと思います。色々と勉強になりました。
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緑の目の従者サポートキャラの立ち位置で、友人の恋を応援するために情報収集する物語。全部で15分ほどで読了できました。温かみのあるイラストに惹かれ、軽い気持ちで読み始めたのですが……。いや、これは一本とられました! 構成が大変優れた作品だったと思います。後半、突然の展開に驚き、更にオチで「なるほど!」と思わせてくれる。見事に作者さんの手のひらで転がされてしまいました。すぐに読める作品ですので、気になった方は是非一度プレイしてみるのをオススメします。
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探光エスパシオ出口の光を探して宇宙を探索していくゲーム。すっかりハマってしまい、2時間ほどプレイしていました。初見で一度死んでしまいましたが、アイテムがあるとそうそう死ななくなりますので、クリアの難易度は高すぎるということはないと思います。アイテムが充実してくると、安心してこの世界での様々な出会いを楽しめるようになります。個性豊かなキャラクター達のおかげで、プレイしていて全然飽きませんでした。特にセルラがかわいくて好きでした。しかし、猫だけはダメ! 好きになれません。マンモスの肉は勘弁してくれよ……(笑) 天の声が出てくるのもうまい演出だと思います。ゲームに没頭させてくれる工夫が随所にみられる、素晴らしい作品でした。
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狸が出るか火薬が出るか[コメディ/30分/]それぞれ別々の妄想を有する2人の物語。45分ほどで読了できました。2人とも妄想によって社会生活に影響が出ているようなので、正直どこまで笑っていいのか分からない感じもありましたが……(笑) 全く違う妄想を持っているのに、時に変にかみ合ってしまう様はお話として面白かったです。特に自分はお笑い芸人のアンジャッシュさんが好きなので、こういう知的な構成は好きですね。キャラクターとしては徳田さんが良い味出してました。
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星見る人びと大学で天文同好会に入った主人公と2人の先輩との交流を描いた物語。45分ほどで読了できました。キャラクターの造形や作品の描写が程よくリアルなところが本作品の大きな魅力だと思いました。慧の底知れない感じは読み手としても不気味でしたね……。良い人なんですが、こういう人を先輩として持つと、確かに距離をとってしまいたくなりそう……(笑) また、同好会の描写もけっこう生々しいです。「伝統だから」という理由で酒を……というシーンは、僕も身に覚えがあるので強く印象に残りました(笑) 大学のサークルって、ホントこういうところありますよねぇ……。 しかし、こうしたリアルな描写を大事にしているからこそ、先輩との距離が縮まっていくシーンがより印象的になったと思います。主人公。クマ先輩。共に魅力的な人物ですが、傍から見るとちょっと「イタい」ところもあるんですよね。でも、それをお互いに受け入れつつ絆を深める展開には説得力があって、2人を応援したくなりました。ちなみに僕は、ふたりが音楽で仲良くなるシーンが特に好きです。僕はスピッツが好きなんですが、2人が好きなアーティストも同じような雰囲気を持っている人なのかもな、と勝手に思っていました。続きがあるようなので、そちらも気になるところです。素敵な物語をありがとうございました。
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百合の間に男が入ってはいけないシュールな笑いを禁じ得ない作品。10分ほどで読了できました。いらすとやの絵が象徴するような緩めの雰囲気で始まりますが、選択肢を間違う(?)と……! タイトル通り、「百合の間に男が入ってはいけない」ことを強く実感できる作品です。馬鹿馬鹿しいことを熱量こめて語るこの作風、癖になりそうです(笑)