九州壇氏のレビューコレクション
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オオカミガールと機械人形の嘘つきレクイエム少女と、付き人であるアンドロイドを中心に語られる物語。30分ほどで読了できました。シナリオが大変素晴らしい作品です。エイミさん、恵のやり取りが軽妙で、読んでいて楽しかったです。また、ラストはやや重たいテーマを扱いつつも綺麗な終わり方であり、読後の満足感も大きかったです。自分も物語を書くのでよりいっそう感じるのかもしれませんが、本作品は構成が綺麗に整えられていたのも、軽快に読めた要因だろうと思います。最初にオバケが見える、人間のように見えてアンドロイド、といった設定をうまく見せる。中盤はそうした特色を生かしつつ物語を進行させ、読み手をどんどんと引き込む。その後、捻りを入れるも最後は綺麗におとす。短編ながら「起承転結」がしっかりとしていて、お手本にしたい作品だとも感じました。個人的に、おすすめの一作です。
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狸の家狸の家を舞台とした物語。捜査編に時間を要してしまったこともあり、僕は30分ほどクリアに時間がかかりました。 本編は、なかなか不気味なお話で、ゾクッとするシーンもありました。アニメーションも凝っていて、水瓶はなかなか気持ち悪かったです(笑) エンドは、家族になったものが1番好きでした。捜査編は、バトルが熱いですね! スピード感もあって、良かったです。なお、最初はなかなか要領が分からず、「妨害される」→「あいこ」を無駄に繰り返してしまったのは内緒……(笑) 要領が分かってからはサクッと倒すことができました。面白かったです!
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惑星ホテル別の星のホテルにたどり着いた主人公と、そこの従業員らとの交流を描いた物語。全部で1時間くらいで読了できました。 全体として、大変美しいゲームでした。細部まで手を抜いておらず、完成度が非常に高いと感じます。シナリオの内容だけでみると、もう少し暗い雰囲気のゲームになってしまってもおかしくないように思うんですね。しかし、演出やイラストが柔らかく優しげな雰囲気であったため、重苦しい雰囲気はほとんど感じませんでした。おすすめ通り、そのまま眠れる環境でプレイすると最高だと思いますね……! エンドはどれも良かったですが、僕は「新~」になるエンドが1番好きでした。ロボットたちは全員魅力的ですね。お掃除ロボットが激しく動いているところはちょっと笑ってしまいました。
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夜光物語落語家幸次郎が、周りで起こる連続不審死の真相にせまっていく物語。40分ほどで読了できました。ストーリーは、なかなかオチが読めないこともあって、楽しめました。次は誰が死んでしまうんだろうとドキドキしながら読ませて頂きました。 また、どのキャラクターも魅力的で、特に幸次郎が良かったです。お金遣いは荒いし、酒には飲まれるし、思い込みも激しいし……。それでも、どこか憎めない。こういう「愛されキャラ」って、実際にいますよね……! 本作品を楽しく読めたのは、彼のキャラクターによるところも大きかったと思います。
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あなたといっしょに好きな人が幽霊になってしまったお話。3つの分岐含めて、20分ほどでプレイさせて頂きました。2→3→1の順でEDを見たのですが、この順番が良かったこともあって強く心に響きました。 お話としては、王道の展開だと思います。ただ、雅也くんのキャラクターが良いこともあって、ストーリーに深く没入することができました。ED2も綺麗なお話で良かったですが、やっぱりED1が1番好きですね……! イラストも、雅也くんの魅力をぐっと高めていたと思います。表情を見ているだけで、彼の優しさがよく伝わってきました。素敵な作品をありがとうございました!
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魔法使いとかわいそうな女の子。魔法使いが迷子の少女をひろうお話。10分ほどで読了できました。短編ながら、心に響く物語でした。こんなことになると魔法使いが全く思っていなかっただけに、悲しいですね。力を持つ者は、その使い方に注意が必要なんだと再認識しました。少女は一途に魔法使いを信じていたんでしょうね。
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草を育てて草を育てていくゲーム。10分ほどで3年のキャラクターを攻略できました。イラスト含めて、緩めの雰囲気が良いですね。また、最後の台詞で、それぞれのキャラクター性がよく分かるところもよかったです。
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改元平成の結晶に魔法をかけて新たな結晶を作っていくゲーム。改元を使うというアイデアが面白い。魔法によってどうなってしまうのか予想がつきそうでつかない。そのバランスが本作品の魅力のように感じました。個人的には「ねーわ」に笑ってしまいました。
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その恋、保留につき、保留し続けることを願いながら高校生活を送っている主人公の物語。全エンド見るのに自分は3時間ほどかかりました。シナリオ、システム面、イラスト、演出、どれもハイクオリティです。サブキャラクター含め、全てにボイスが入っているのもすごい。フリーとしては短くないゲームでしたが、マップ画面システムのおかげもあってそこまで長いとは感じませんでした。小分けにして読むことができるのは大変ありがたかったです。 シナリオについてですが、ほどよくぶっ飛んだところもあって、面白かったです。しかし、大野城さんは一体何者なんでしょう……。最初は「底知れない人だ」と思っていましたが、途中からは「果たしてヒトなのか……?」なんて思っていました(笑) また、どのエンドにも「保留」というテーマが絡んでいるのは上手い作りですし、特に、保留を色々な側面で描いていたのが素晴らしいと感じます。保留って、ネガティブなイメージがある言葉ですよね。確かに保留が望ましくない時はあるし、小澄さんエンドでもそのように描かれている。しかし一方、天神さんエンド、姪浜さんエンドでは、主人公が保留にすることを特技として使ってヒロインたちを支えます。この辺りが、本作品の大きな個性だなと思いました。保留は俺の特技だ、なんて台詞がキマるのは、他の作品ではお目にかかれない気がしますね(笑) 更にいうと、他のエンドだからといって、主人公が小澄さん以外のヒロインに簡単になびかなかった点も大変良かったと感じました。柳川くんの一途な思いが良く伝わってきて、彼のことが好きになりました。天神さんの言うとおり、保留にしておきたくなるくらい、本気の気持ちなんですよね。 キャラクターの中では、柳川くん以外でいうと、特に小澄さんが好きです。彼女は魅力的過ぎますね! 華奢だけど強い女の子、大好きです(笑) 余談ですが、作者さんは「小澄」という名前に特別な思いがあるのかな、なんて思いました。他のキャラクターは、僕もすんでいる「日本一平和な県」の都市と関係している名字でしたので……(笑) 美しいビジュアルが目を引く作品ですが、「保留」を色々な形で描いたシナリオも大変魅力的でした。素敵な作品をありがとうございました!
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↑タイトルに惹かれて読ませて頂きました。10分ほどで読了できました。 突然、生活を一変させる出来事が起こったとき、人間はどんなことを考えるのか。「自分だったら……」ということを含めて色々と考えさせられました。 本作品と同じ現象が本当に起こるかは置いておくとして、集団が突然の理不尽に襲われることは歴史上幾度となくありました。その時も、ただ絶望する者、他人も不幸になったのだと考え慰めを得ようとする者、何かしら意味付けをしようと考える者、さまざまだったはずなんですよね……。本作品のおかげで、そうした想像もすることができました。