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九州壇氏のレビューコレクション

  • アリスニャットシング!
    アリスニャットシング!
    僕は1時間くらいで読み終わりました。 @ネタバレ開始 かわいらしいガワの部分にまず目がいく作品ですが、各登場人物の死との向き合い方の描写が素晴らしく、その点に強く魅せられました。 つらい別れがあっても生きていける人間のたくましさと寂しさを描いた作品だと感じました。キッコの死後も、各キャラクターは悲しみを抱えながら自分の人生を続けている。その歩みが真に迫っていると感じました。短い作品ではありますが、描かれていない部分も含めた彼女らの在り方に思いをはせずにはいられませんでした。特に、キッコはどんな子だったのかなあと色々と想像しました。 個人的には、キャラクターの様々な面が描かれている点が好きです。ニヤやタカヒロがちゃんと仕事をして社会と関わり続けている様子は微笑ましいと思いました。 作品を通して、残された者のその後の人生について色々と考えさせられました。 死別の悲しさは少しずつ変化していく。けれどきっと、完全に消えてしまうわけではないのだな、と。そこに救いを感じるところもありました。 「きっと、残された人の多くがこんな風に生きているんだ。こんな風に生きても良いんだ」と思わせてくれる作品だったと思います。自分にとってはまさに「日の当たる場所」のような物語で、日々を回すことに少し疲れていた心が温かくなりました。 どのキャラクターも魅力的ですが、特にキッコが好きです。彼女は多くの人にとって「日の当たる場所」であり続けたんだろうなと思います。 ほんわかしたイラストもとても良かったです。ニヤ、ありす、キッコのビジュアルは言わずもがなですが、タカヒロの不器用な笑顔もかなり良かったです。 @ネタバレ終了 かわいいばかりでも楽しいばかりでもない。でも悲しいばかりでもない。様々な感情を想起させてくれる素晴らしい作品でした。ありがとうございました。

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  • 世界一彼女の近くで
    世界一彼女の近くで
    @ネタバレ終了 僕は15分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 ストーリーからイラストまで、あらゆる要素がかわいらしい作品でした。 「僕」が「世界一近い存在」であるというのは、いわれてみればなるほどと思いました。 彼女が見るあらゆるものを一緒にみてきた「僕」が、彼女のことを大切に思うのはとても自然なことだと思います。また、彼女の恋の行方にドキドキしてしまう様子にも共感できました。 彼と結ばれた彼女の姿はとても綺麗でしたが、そこに「僕」もきちんといるのをみて温かい気持ちになりました。幸せな未来を予感させるラストも印象的で良かったです。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

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  • savon
    savon
    僕は30分ほどで読了できました。自分が触れたことがないタイプのお話であったこともあり、大変面白く読ませて頂きました。 @ネタバレ開始 序盤から、「どういうことだろう? 何が隠されているんだろう?」と疑問に思いながら読んでいたのですが、終盤で明らかになる事実には驚きました。個人的に、第四の壁を破ってくるような作品には恐怖を感じることが多いのですが、本作品のミズキ君にはいとしさを覚えました。 一番良かったと思うのは、ミズキ君の設定と終盤の展開です。彼のラストの言葉には不思議な説得力があったと感じます。 普段の自分は、「このキャラは作られたものなんだ」と感じると、そのキャラクターに対する感情移入がさめてしまいがちです。しかし本作品の場合、自分は作られた存在であると彼が告白したからこそ、かえって彼の発言や行動を切実なものとして感じることができました。この矛盾しているようにも思える感情体験はあまりしたことがなくて、大変面白かったです。 音楽や映像演出も見事で、プレイ中は現実から離れることができました(笑)  @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 黒紅色の夕焼け
    黒紅色の夕焼け
    僕は30分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 「大切に思っていたけれど、言動にしないから伝わらなかった」 そういうことは現実でよく目にすることですし、伝わらないままに消えていった思いはこの世界で無数にあることだろうと思います。そうした人間の悲しいあり方に対する、作者様の優しいまなざしを感じる作品でした。 大切な人にはその思いを伝えよう、行動で示そう。読後にそう強く思わせてくれる作品でした。ありがとうございました!

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  • Operation‡Nova
    Operation‡Nova
    僕は2時間ほどで読むことができました。 @ネタバレ開始 本作品の中で特に印象に残ったのは、やはり中盤でのどんでん返しでした。序盤は「このお話はどこに向かうんだろう?」と感じていたのですが、なるほどそういうお話だったのかと驚きました。改めて読んでみると、「このシーンはそういう意味だったのか!」と納得する点も多々ありました。 また、どんでん返しの後、そこからアイナと協力して「オペレーション‡リザレクト」を発動させ、ハッピーエンドへとつながる展開も見事でした。中盤から終盤にかけてかなり絶望的な状況になっていましたので、そこからこんなにきれいなエンドになるとは思いませんでした。 アイナは最初、「かなりぶっとんだ子だな……」という印象でしたが、読み進めるうちにどんどんかわいく感じてくるタイプのヒロインでした。最後の週、レイが記憶を保っていることを知って喜ぶ様子は特にかわいかったです。 また、様々な制限がある中で2人のヒロインをここまで魅力的に描いた点も素晴らしいと思いました。彼女らはそれぞれ秘密を抱えていて、それに配慮しながら彼女らの魅力を描かなければならないわけですが、それはかなり難易度の高いことのように思います。本作品はその点が高いレベルで達成されていたように感じました。 なお、本作品の個性としては、ふんだんなパロディネタもあげられると思います。僕の知る限りでも、シュタゲ、遊戯王、かぐや様、FF4からの台詞がありました。個人的には、隙あらばパロディをぶっこんでくるアイナがおかしくて、繰り返し笑ってしまいました。なお、パロディネタはどれもアイナの台詞でしたが、「AIである彼女はそうした文化が好きで意識的に優先して学習したのかな」とか「実はレイがかなりゲームやアニメ好きであり、彼女はそれを知っているからレイにパロディネタを連発していたのかな」なんてことを想像しました。 ほか、立ち絵や音楽、ボイスといった各要素も高クオリティで、物語への没入感を高めていたように思います。個人的にはアイナとノアのボイスが素晴らしかったです。本作品は展開によって雰囲気が大きく変わりますが、ボイスもそうした雰囲気にぴったり合っていたと思います。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!

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  • 銀雪の呪福
    銀雪の呪福
    僕は30分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 まずは、思わずプレイしたくなるタイトルとサムネイルが良かったです。「呪福」とは何を意味するのか、いったいどんなお話が読めるのだろうとワクワクしながらプレイを始めることができました。 また、ぼくが本作品で特に良いと思ったのは、作品を構成する各要素の雰囲気に統一がとれているところです。夜彦の人柄から素朴なイラストまで、どれも本作品のストーリーにぴったりなものだったと思います。そのおかげで、物語の世界に没頭できました。 ストーリーについて。短編ながら伏線も張られており、読み応えのある展開であったと思います。終盤で夜彦に突き付けられた問題はとても切実なものでした。自分はおとね様にしっかり感情移入してしまっていたので、選択肢を選ぶところでは自分も苦しくなりました(笑) @ネタバレ終了 ありがとうございました。

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  • 風の音、君の声
    風の音、君の声
    僕は1時間10分ほどで読むことができました。 @ネタバレ開始 主人公である健介やその友人たちの成長を描いた物語です。死別という大きな試練を乗り越える過程が丁寧に描かれており、健介には深く感情移入することができました。季節が移りかわることへの切なさと新しい日々が始まることの希望を感じることができました。 また、本作品はストーリーの構成がとても良かったと思います。風音は何者なのか。どうして彼女は歌えるのか。そうした謎が明らかになっていく過程が面白くて、一気に読んでしまいました。 また、登場人物たちの関係性の描写も良かったです。表ではふざけてみせているけれど、心の底では互いに心配しているという、彼らの友情の在り方が好きです。嫌なキャラクターは1人もいませんが、個人的には直也が本当に良い奴だなあと思いました。 また、ピアノ曲を中心としたBGMのチョイスもとても良かったです。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!

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  • 常夜の国のアリス
    常夜の国のアリス
    僕はすべてのエンドを40分ほどで見ることができました。 @ネタバレ開始 主人公である綾とともに、異世界を旅する物語でした。夜が続く世界はあやしくも魅惑的で、もっとこの世界のことを知りたいと思わせる魅力がありました。 また、その世界を冒険するうちに「これまでの綾にはどんなことが起こっていたのか?」と想像できるつくりになっていますが、これもまた大変良かったです。どちらの世界でも兄だけは味方であったことは、綾の兄への強い信頼を意味しているのでしょうね……。 トゥルーエンドでは綾の成長も感じられ、これからの未来への希望も感じました。プレイ時間に比して大きな満足感を感じる作品でした。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 異世界ザコ姫
    異世界ザコ姫
    僕は40分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 タイトルだけ見ると「流行にのっかった作品なのかな」という印象でしたが、ふたを開けてみると向風鈴gさんらしさが光る作品だったと感じます。終盤に投げかけられた問いには、(良い意味で)苦しめられました(笑) 最後の分岐後のエンドは、2つとも味わい深いものだと感じました。個人的には、全てを許した後のエンドが好きです。嬉しいような、しかし切なさもある終わり方で、読後は強い余韻が残りました。 日常パートも魅力的でした。セリアのかわいらしさが存分に堪能できましたし、共に生活することで惹かれていく2人には強く感情移入することができました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

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  • おいなりっ!
    おいなりっ!
    僕は2時間ほどで読了しました。シナリオだけでなく、イラスト、システム、ボイスといった全ての要素がハイクオリティであり、てぇてぇ世界を存分に堪能させて頂きました。 @ネタバレ開始 本作品のシナリオの中で特に素晴らしいと感じたのが、キャラクター同士の温かいやりとりです。友音、タマさんをはじめとした主要キャラクターは皆優しい人物ばかりで、そのやりとりはまさに「てぇてぇ」ものでした。友音、タマさんの2人の会話は読んでいて特にほっとするもので、この幸せなやりとりをもっともっと見ていたいと思わされました。また、鳥塚さんの存在が特に良いアクセントになっていたと思います。彼女とタマさんのやりとりは面白く、彼女が登場する日常シーンでは何度も笑わせて頂きました。鳥塚さんの思わぬ一面がみられるVtuberのくだりは特に良かったです。 もろもろの超常現象を日常生活にどう入れ込むか、どう描写するかについては、書く難しさもあったのではないかなと感じました。例えば、タマさんがバイトを頑張るシーンや、タマさんが飲みに行くシーン。あそこでリアリティを追求しようとして小難しいことをこまごまと描写しようとすると、本作品の良さである面白さやテンポが損なわれていたと思います。本作品は、超常現象を基本的にはさらっと、しかし、ストーリー上重要なところはきちんとおさえて描写するというスタイルでしたが、それが良かったと感じました。 メタっぽい話になりますが、自分は神道についての知識が乏しいので、本作品の神様っぽい描写はどれも勉強になりました。タマさんの食レポなんかも見事で、「神様ならこういうこと本当に言いそうだな……」と微笑ましく読ませて頂きました。 立ち絵、イベントスチルは今回も素晴らしい出来栄えでした。表情がくるくると変わることで、キャラクター達の魅力はいっそう高められていたと感じます。また、まとまった時間がとりづらいプレイヤーに配慮したシステムも大変良かったです。 @ネタバレ終了 総じて、この世界にもっともっと浸っていたいと思わせてくれる素敵な物語でした。ありがとうございました。

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