富井サカナ/DIGITALLのレビューコレクション
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さよなら 僕よ -
メモリーガール【12/12更新】さすが作者さんと思えるゲームデザインのセンスが光っておりました。画面レイアウトや動画的な演出効果が素晴らしく、完成度が非常に高いと思える一作です。 小物や服装を含めてキャラクターデザインは秀逸ですしグラフィックも綺麗です。Midjourneyで作られた背景の数々も本作の設定にピッタリハマっていたと思います。ストーリーには意外性があって楽しめました。複数の分岐エンドもたぶん全部拝見しました。広大な地域を探索するゲームシステムも面白かったです。特に電車移動できるところと中盤の収集要素がある部分が楽しめました。 最後に、ED曲!こちらも非常に素晴らしい出来栄えで、エンディングの華やかさが格段に増していると感じました。声質・声の演技だけじゃなくて歌も上手すぎる!何から何までハイレベルでこなされて本当に圧巻です。 -
ベンラブ!自販機が恋愛対象となる恋愛ADVという触れ込みでついに時代はここまで来たか!と思いましたが、恋しちゃうのが分かるような魅力溢れる自販機たちとの交流を楽しめました。 何が楽しいって会話です。同じ自販機なのにこんなに個性が出せるのか!ととても驚きました。会話を重ねるごとに恋愛感情かどうかはともかくとして強い愛着が湧くのは間違いありません。自販機の機体+ちょっとしたモニター画面の表情だけなのに、塗りの綺麗なグラフィックもあって不思議ととても可愛らしいです。 ストーリー進行のテンポが良いためサクサク進みますし、各ルートともに起承転結がしっかりしていて分岐ルートもあり大満足でした。攻略対象は3体ありますが、みんな魅力的なのでどれか1体は選べないですね。 恋愛商法のような売り方がまかり通ってしまうのは困ったものですが、ちょっとした息抜きのお供に話し相手になってくれる自販機。技術的にはもう作れそうなので何かきっかけがあれば現実で見られるかもと思いました。 -
クトゥルフ神話ADV 異常生物研究所今シリーズのファンです。相変わらずのゲーム性でとても面白かったです。 多くの局面でランダムの成否判定が行われ、成否に応じてペナルティを受けたり展開が変わるのですが、冒頭の設問により各ステータスにボーナスポイントが振り分けられるのでスタート時点のキャラづくりからゲームは始まっています。数字だけのステータスではありますが、主人公のキャラクター設定ができる感じで楽しいです。私は少し技術のある安定の暴力キャラでプレイしました! おかげさまで序盤で正規ルートから大きく外れた剛腕逃走ルートに成功しました!薄目の確率でもうまくいけば突飛な行動ができるようになっていて自由度の高さも感じられました。 世界観設定や展開はとても王道みを感じ、ワクワクしました。運よく一度もやられずに全エンド見られたのが嬉しいです。
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孤島の灯台非常に感動的なお話で心が温まりました。 まずはグラフィックですが、短中編ほどの作品ですが今作も大量のグラフィックが拝めます。立ち絵もぴょこぴょこと動きますし、イベントスチルも沢山ありました。選択肢を画像クリックにするシーンなんて作者さんらしい遊び心だと思いました。本作は舞台が「孤島の灯台」なので、多くのシーンで空と海の景色が見えるのですが、この爽やかでどこまでも広がっていくような蒼が表現されていて素敵でした。また、キャラクターたちの表情が非常に活き活きしていて、特にここぞというシーンでの目線の印象が強く残っています。 ストーリーは非常に感動的でした。エイデンと孤島の灯台&ライトくんとの関係性は結末を迎える過程で徐々に明らかになりますが、想像以上の事実にエイデンとライトくんの絆の強さを感じました。 @ネタバレ開始 それにしても心優しきライトくんが愛する海一面に戦火が広がっている姿を見た時の感情を想うと胸を打たれます。 冒頭で1か月後に孤島の灯台が閉鎖されるということが明示されてからの灯台の守り神登場なので、自然と残された時間に対する切なさのようなものが沸き起こりますが、ライトくんのキャラクターのおかげで必要以上に湿っぽくならずに前向きな雰囲気の結末となっていたのも良かったです。 @ネタバレ終了 システム面でもぴょこぴょこ立ち絵が動く割には全く操作待ちのストレスやテンポが落ちる部分がなく、時折入るアイキャッチもストーリーを味わう緩急を付ける意味で良かったと感じます。とある選択肢はクリックすること自体に大きな意味合いがあり、感情がとても乗ったので、こういうものがゲームとしての表現の醍醐味だなと思った次第です。 最後に、追加シナリオが非常に素晴らしかったです。本編の補完的な意味合いもありますし、単独でも楽しめる素晴らしい友情のお話でした。様々な出来事を経たエイデンの今後の人生に幸多からんことを祈りたい気分です。 -
暮夜を待つ想像力を掻き立てられるタイプの探索系ADVです。探索ポイントは見ただけでは分かりにくいのですが、PCでのプレイではマウスオーバー時の効果音がヒントになるのでPCプレイ推奨かと思います。 グラフィックがとても綺麗で、特に回想シーンの2人の姿が微笑ましかったです。なんとも切ないストーリーが心に沁みました。私はトータルで見て怖さ、悲しさよりも救いを感じました。 -
呪いのビル全エンド拝見しました。 いわくつきスポットと言えば廃病院だったり洋館だったり旧校舎だったりしますが、ビル!という設定が逆に新鮮に感じられました。「呪いのビル」という初めての単語の組み合わせに興味深くプレイしました。選択肢が出てくると即BADなことも多いので緊張感がありました。(敢えてBADを踏みに行くスタイルでプレイしましたが) 窮地から危機を脱出するまでには様々な出来事があり、展開は胸熱でした。 クリア後のあとがきから様々な設定が振り替えられるのも良かったです。 ちなみに、本作で一番のお気に入りのシーンはやはり皆さんもネタバレ欄で異口同音に言及されていました。 @ネタバレ開始 そうです!もちろん「※トマトです」です。2周目展開では今か今かと待ち構え、表示された瞬間にガッツポーズでした。 @ネタバレ終了 -
メアと牢獄の部屋開幕冒頭の1つ目のテキストに童貞の文字を見つけて嬉しくなりました。幼馴染とお嬢様に愛される主人公の主人公力が流石で、童貞=非モテという固定観念が覆されました。 @ネタバレ開始 突然軽自動車に乗り込んだり、普通カップルが行かないようなホテルに行ったりとツッコミどころも満載でしたし、ところどころで脈絡なく欲情してしまうあたりは童貞力が強く現れていて見せ場が多いぜ!と感じました。やはり童貞は最強です。 @ネタバレ終了 -
イケメン彼氏と鼻糞を喰おう!これはもうめちゃくちゃ面白かったです! 正直なところ、下ネタオールOKな自分でもタイトルに対する生理的嫌悪からなんとなくプレイすることにずっと抵抗を感じていましたが、意を決してプレイしたところ、あまりの面白さに感動・感激でした。 冒頭からメッチャ絵上手っ!超凝ってる!演出凄っ!全部スゴっ!となり、一気に期待感が高まりました。そこからの急展開の数々に爆笑の嵐でした。演出もグラフィックも非常にクオリティが高いからこそ、落差?で笑えるめちゃくちゃ良いお手本を見た感じです。クリック待ち画像やらコンフィグ・セーブロード画面やらどこを見てもメッチャ凝ってます。 左から順にプレイしましたが、本当に面白すぎでした。普通はドン引くだけなはずなのに表情の画力やら、急に話しかけられたりやら、突然ミニゲームが始まったりやら、なんなりかんなりでとにかく全ルート笑わされ続けられました。表情が!表情が凄いのよ。テンポもとんでもなく良いです。 隠しルートはこれまたクソ面白いYoutube動画のおかげで珍しくノーヒント?でサクッと到達できましたが、ゲーム終盤となったYoutube動画もゲーム本編の隠し?正規?EDルートも面白過ぎ!エンディングも笑いに笑いました。全力クオリティでふざけるの最高です。 そして、最後に感想を書こうと思ってサムネを見て主人公の名前に笑わされました。3文字だからってそれって小学校低学年か!! -
人生にXXは必要なのだろうか?制作時からずっと楽しみにしていたゲームでしたが、本格的な力作ADVでとても楽しめました。 まず、開始冒頭のOPムービーがメッチャオシャレで素晴らしかったです。 感動して立て続けに3回見てしまいました。冒頭に力のこもったOPが流れたことで本気度が伝わり、没入度がググッと上がったように感じます。 ストーリーは非常に正統派なADVです。恋愛要素ももちろんありますし、ルートによっては主人公の心理的な成長が大きく見られました。往年の名作ADVのような安心感がありました。 グラフィックも非常に綺麗です。特に素晴らしいと感じたのは、ヒロインの新田さんがコテコテの萌えキャラ、現実離れした超美少女でなく実際クラスにいそうな自然に可愛い女の子然としているところです。内面の魅力が滲み出るような雰囲気がありました。サムネでも拝める運動しているシーンや、おでかけでおめかしする新田さんは非常に魅力的で、主人公のドキドキとシンクロするようなグラフィックの数々がとても良かったです。 @ネタバレ開始 大きく分けて新田さんルートとそうでないルートがありますが、真実の判明度や主人公の内面的な成長を考えるとそうでないルートこそが本線なのだと思いました。作者さんとのシンクロ度が高いのか、「他の部屋には行かないでね」的なセリフを見た瞬間に本作の真実をほぼ全て見抜いたのがちょっと自慢だったりします。主人公はどのルートを見ても察しが良くなくて、新田さんの気持ちも分かって!なぜ自分の姿が崩れている不定形がいたかを感じて!お前と同じなんだよ!というのはずっと感じたところですが、TRUEっぽいルートのその後で素を出すようになった新田さんと関係性を築けるものと信じています。 ちなみに、ベッドで向かい合った時の「いいよ」というセリフの破壊力ったらなかったです。もうそんな状況は今世では発生しないので、モニター前で思わずニヤけてながら太ももをバシバシ叩いてしまいました。あと、浅倉南ばりの1人称+フルネームからの告白も堪りませんでした。最後に、新田さんルートでのお泊まり翌日の朝チュンスズメ効果音!これはもうマンガでも古来から伝わる規定演技なので作者さん分かってらっしゃる!と拍手喝采でした。 @ネタバレ終了 OPもEDも非常に高品質でしたが、ゲーム中のいくつかの背景やイベントCGが動いていたのもとてもテンションが上がりました。臨場感がとてもありました! 最後にどうでもいい話ですが、主人公の名前をうっかり「富井サカナ」でプレイしたため、終始「サカナくん!サカナくん!」と呼ばれてギョギョッ!?となりました。蛇足でした。
