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富井サカナ/DIGITALLのレビューコレクション

  • 猿の夢
    猿の夢
    破壊力抜群の非常に素晴らしいエログロホラーでした。有名な都市伝説を下敷きにした冒頭からホラー描写が冴え渡っていましたが、ホラーにだんだんと官能的な描写が加わっていく展開にのめり込むようにプレイしました。全体のシナリオ展開も、心理・ホラー描写も、それを盛り上げるグラフィックやその他効果も、いずれも素晴らしい出来栄えで中断するタイミングを失うほど熱中させられました。アイテムを切り替えて攻略していく部分にゲーム性もあり楽しめます。 色々と素晴らしかったのですが、早乙女くんと主人公の人物造形や2人の関係性などの設定・描写がやはり本作の肝だと感じました。特筆すべきはやはりトゥルーエンドで、これは痺れました。並の作品ではないと恐れ入りました。ヒントもあるのでプレイの際はトゥルーエンドまで到達することをおススメします!

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  • EINSATZ Ⅱ
    EINSATZ Ⅱ
    特殊部隊のエージェントを主人公とした骨太な王道ノベルゲームの続編です。前作の高品質なシナリオとグラフィックに魅了されて今作も大いに期待してプレイしましたが、とても面白かったです! まず、ストーリーは組織間の駆け引きが絡む硬派なミッションパートと、女性キャラに囲まれる華のある学園生活パートやイベント・デートなど緩急のバランスも秀逸です。道中のイベントでは美麗なイベントスチルが表示される度にとてもテンションが上がり、ご褒美のように感じました。そして本作のラスト、個人的に一番好きなイベントスチルから流れるように始まる感動的なEDロールを鑑賞しながらこれはやはりプレイして良かった、と心底感じました。本作には男女ともに魅力的なキャラクターが多数登場しますが、最もお気に入りなのはズバリ紗千です! 最後に少し細かい点の感想です。 ・縦書きのADV画面レイアウトは珍しく最初は驚きましたが、慣れると画面を広く使えているように感じてこれはこれで非常にアリでした。 ・久々のプレイでもキャラ紹介やTIPSが充実しているおかげで直ぐに作品の世界観に戻ることができました。 ・選択肢式の自由行動やクイズ形式のミニゲーム、朗読、多彩なうんちくなどプレイヤーを楽しませる工夫が盛り込まれていて良かったです。 プレイしがいがある王道ノベルゲームを求める方に強くおすすめです! 前作未プレイの方は是非続けてプレイすればゲームの世界観により没入できることうけあいです!

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  • 大樹の社
    大樹の社
    全10章からなる壮大なスケールの一本道ノベルです。プレイ時間は恐らく2~3時間程度でしたが、章ごとに割と短い時間で区切られている点や、序章から常にストーリーの展開に変化があるのであっという間にクリアまで楽しめました。 フィクションのジャンルとして昔からカニバリズムに興味があることもあり公開時からずっと期待しておりましたが、実際にプレイして「そうきたか」と楽しめました。純和風な世界観も、魅力あふれる登場人物たちも、閉ざされた環境における人間模様も、意外性のある結末も、とても楽しめました。情緒溢れるイベントスチルも非常に魅力的で、視覚的にもこの世界観を堪能できました。

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  • Booze-reduction
    Booze-reduction
    前作で堪能したゲームの世界観は本作でも健在でとても楽しませて頂きました。前作よりも成長した彼との対話を軸にストーリーが進行します。グラフィック面はかなり強化されており、アニメーション表現なども堪能できました。また、本作ではポイントクリックが導入されており、自室内の様々なオブジェクトをクリックすることで様々な対話がなされます。部屋中隅々まで調べ上げ、選択物に応じた会話が楽しめました。 エンディングは5つとのことでまだコンプはできておらず、未開放のスチルもある状況ですが、長らく感想が付いていない状況がプレイを楽しんだ身としては納得できないので、フルコンプ前で恐縮ですが感想を投稿させて頂きました。フェスでスポンサー推薦を獲得しただけあって表現力に富んだ作品でした。おススメです!

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  • Booze-addition
    Booze-addition
    今となっては逆に新しさを感じるような非常に限られた色数、特徴的な一つ目キャラクターのキャラクターデザイン、冒頭より繰り返される意味ありげな彼との問答、ととても雰囲気満点なゲームでした。 断片的な会話の内容から主人公の置かれた状況を想像しながらプレイしたのですが、最後になるほどそういうことかという結末が用意されていてとても腑に落ちました。不眠症の彼に幸多からんことを、と願わずにはいられないお話でした。

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  • ホーンの溟海
    ホーンの溟海
    プレイ冒頭から与えられるヒントが非常に少ないため、目的地まで着実に進んでいるのか?到着までどのくらいなのか?手持ちのアイテムはどういった効果があるのか?天候の影響は?と疑問ばかりが浮かぶので初見ではややとっつきにくい印象です。 ただ、この操作性や情報の少なさが自身の置かれた五里霧中・暗中模索的なシチュエーションと非常にシンクロしており、シンプルなグラフィックと相まって他では味わえない魅力的なゲームデザインになっていると感じました。 何周かプレイしたところ、なんとか気合でクリアまで辿り着けました。大海に小舟で挑む様子がシンプルなテキストとドットグラフィックで表現されており、唯一無二のゲーム体験が味わえました。

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  • 公平なるは我がマキナ
    公平なるは我がマキナ
    非常にテンポよく楽しめるSF掌編作品でした。 開始早々に究極の選択を求められる格好になりますが、各選択肢の後に判明する5人の人物の背景や人となりが非常に興味深かったです。エンディングはノーマル5、トゥルー1という構成ですので、必ずトゥルーまで遊ぶのが吉です。恐らく迷うことなくトゥルーにたどり着けるかと思います。この構成もとても良かったです。 自分が極限状態で決定権を持つのも、結果の全責任を負うと考えるとなかなか辛いものがあるとよく理解できました。

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  • 彼は誰時の海
    彼は誰時の海
    非常に王道の感動的なノベルゲームでした。 シナリオの構成も綺麗で、テキストもくどくなりそうなテーマながら全くそうはなっておらず読みやすかったです。作品に寄り添ったBGMも良かったですし、終盤の演出は分かっていても心が揺さぶられました。最後に流れるエンディングテーマは往年のヒットソングと言われても何の違和感もないような、郷愁感に溢れたメロディで、ストーリーの最後を締めくくるのに相応しいと感じました。 お気に入り追加したままうっかり前作未プレイのままこちらを先にプレイしてしまったので、前作も早めに履修させて頂きます。

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  • 可不可解速カラトレイン
    可不可解速カラトレイン
    非常に表現力のパワーに満ちており、かつラストの決着の付け方が素晴らしい作品でした。 本当にたまたまですが、初回プレイで一番真相に近付けるEDを拝見したのですが、状況があまり分からない冒頭からそこに至るまでの見せ方がとても素晴らしいと感じました。一気に真相を見る前にせっかくなので先に分岐EDを全て回収したのですが、それぞれのED毎に異なる人の所業が堪能できました。 全EDを回収してからラストに進んだのですが、マルチエンドのシステムを活かした素晴らしい構成だと感じ入りました。 @ネタバレ開始 絶望の中に救いが同居する塩梅が非常に良かったです。 不幸に巻き込まれた少年たちを見守る閻魔様の存在により、 辛い事件や罪人たちを見てきた身ですが安心することができました。 顔を真っ赤にしながら痛みを引き受ける閻魔様カッケーです。 @ネタバレ終了

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  • 和紙
    和紙
    プレイ前の段階から独特の魅力を醸し出しており、様々な感想やコンテスト受賞などを見て興味を持っていた作品をようやくプレイできました。 本作、タイトル通り登場人物を和紙で表現するという前代未聞の作品です。前作の生成AIから180度真逆のハンドメイドということで、作者さんはどれだけ表現方法に貪欲なんだ!と衝撃を受けました。本作は事前の期待に応えてくれるどころか大きく上回る表現と演出により、多数のマルチエンドと相まって一大スペクタクルものとして楽しめました。ヒントのおかげで全ED拝見できましたし、複数EDに後日談が用意されているなどプレイヤーに寄り添ったゲーム構成だと感じました。 個人的にはゲームの特徴にも記載のある「目玉」に関連する展開が一番衝撃を受けました。ドロドロやグロテスクも和紙表現だからちょっとマイルドと思いきや、それが却って想像力を掻き立てることにも繋がっているという不思議なプレイ体験でした。

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