SHIAのレビューコレクション
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残照に焦げる夕陽は色々な顔があり、燃えるように真っ赤なときもあれば心に不安を抱かせるほど痛々しいまでに真っ赤な時もありますが、本作品ではあらゆる顔を見せるその赤い夕陽に焦がされないように注意しなければいけませんでした。 初回でTRUE ENDに行けたので、難易度もやさしく、選択肢も重要なものは赤い色になっていたのでサクサク進めることができました。 キャラクターのバランスが絶妙で、しっかり者で冷静な主人公、お調子者でちょっと臆病なところのあるナオさん、サッパリキッパリした天真爛漫なミヅナさんの掛け合いが楽しく、ストーリーのテンポがとてもよかったです。 @ネタバレ開始 道中で出てくる黒い影はもしかして夕陽に焦がされたどこかの誰かなのかな?と考えました。 アイさんが過去に主人公らと出会っているという描写や最後に現れた新キャラと意味深な言葉に、まだ続きがあるんだと気になりました。 @ネタバレ終了 夕陽に焦がされて人間終了にならないようにしつつ、無事に異界から元の世界に戻れましたが、一歩間違えば夕陽に焦がされてしまうところでした。 夕陽の赤は人を狂わせるほどに魅力的ですね。 素敵な作品をありがとうございました!
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Psychology King ~心理分析者 桐島 葵~今日に至ってもまだまだその深奥についての研究が続けられている、人類そのものへの探求でもある心理学に丁寧に分かりやすく触れながら学園生活が楽しめる独創性と唯一無二性の高い素敵な物語でした。 立ち絵の初登場が後ろ姿からという斬新な登場の仕方に、俄然、桐島くんに興味がわきました。 そして、楓さんのタフネスなこと…!! 相手が明確な「No」を表明し続けていても果敢にチャレンジしていく精神、私には真似できないのですごいなぁと思いました。 終わり方を見ると、楓さんのアタックが見事に実を結んで桐島くんとも仲良くなれたかな……。 @ネタバレ開始 ―――と、思っていた瞬間もありました(遠い目) あの美しい最後のスチルにニコニコしていた私の気持ちを返して……(苦笑) 桐島くんの「予定通り、一緒に行動することになった」との言葉に「え、これ実は全部そういう方向に持っていく手はずだったの……!?」となりました。 桐島くんがどの地点からかは分かりませんが、あるいは本当に初めからなのかもしれませんが、もし楓さんに心を許してもらえるように動いていたのだとすると、桐島くんは俳優もビックリの演技力ですね。 どう動けば、どう言葉をかければ相手が心を許すか。 性格や言動から最適解を導き出すのも、桐島くんであれば難しくはないはずなので、楓さんが今後ショックを受けて涙するような展開になっていかないことを切に願うばかりです…! 友だちの乃望さんも実は桐島くんサイドと深い繫がりがあって、彼女は彼女の目的で動いていたの……と、最後の最後で次から次に投げられる新たな事実に「ここで終わるのかー!!」とこの先がないのが惜しまれました。 声優さんの演技がとてもお上手で、どのキャラクターもとても素敵なお声でした。 立ち絵やスチルも美しく、これから先の話で登場するであろうキャラたちもとても気になります。 @ネタバレ終了 終わり方が「次話に続く」的な終わり方でしたので、この後の物語がどのように結ばれていくのか楽しみです。 素敵な作品をありがとうございました!
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PERSONACONSCIOUSえ、飲む・飲めないオムライスが気になる……となりつつ、とても個性的なキャラクターonlyかつ中二病やクトゥルフ神話などが好きそうな人は涎を垂らしながらプレイするしかないような言葉が画面に常に存在し続ける、超個性派ゲームでした。 初めの半エンドレス拷問ショーからの目のくだりがどこで繋がるのかなと思っていたら……壮大な物語として姿を現してきて、そして色々と衝撃な展開を迎えました。 @ネタバレ開始 想像力をブーストかけ続けて限界フルスロットルしたら皆がカタツムリなどの姿になって、そこからもう一段ブーストして奇跡が起きたり……と、最後の方は「何もかもが(先の展開が)読めないから、このまま一気に読み進めるしかない!」と最後まで駆け抜けました。 選択肢で間違えてゲームオーバーになったりもしましたが、最後は無事に奇跡が起きて地球の映像まで出てくる壮大なスケールを堪能させていただきました。 @ネタバレ終了 個性豊かなキャラクターと驚きの設定や世界観が非常に個性的なゲームでした。 ありがとうございました!
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EternalCrystals村の人々には疎まれながらも姉と一緒に魔物を狩って暮らす主人公ドニは、今日も森の中で姉とともに魔物を狩るのだが、今回の魔物はなんだか様子が違っていて……と、冒頭からクライマックスな怒涛の展開から成長するドニくんの物語を描いた王道ファンタジーでした。 ヤスコさんとルミちゃんの二人ともが魅力的で、村人たちが村八分にしてくる中での癒しでした。 村八分を地で行く村人の皆さんが本当に冷たいのがつらみでした……村の所有物なのは分かりますが、家さえも取り上げちゃうとか、人としての心があるなら家族を失ったばかりの人の気持ちを汲んでもう少しやさしくしてくれてもいいのでは~と思ったりするのでした。 @ネタバレ開始 ヤスコさんがお亡くなりになってしまって悲しかったです。 ヤスコさんのお茶目なところがすごく好きだったので、ヤスコさんの最期のシーンでは「ドニくんんんんん!!! 命あっての物種!! 頼むからヤスコさんを抱きかかえて離脱してー!!」と願わずにはいられませんでした。 「もうあんな冷たい人たちしかいない村なんて遠からず滅びるから放っておけー!!」という心境でした……。 ドニくんもルミさんもこれから先、ふとした瞬間にヤスコさんのことを思い出すんだろうなと。 例えば鰹のタタキを食べたときとか。 @ネタバレ終了 ルミちゃんとドニくんの旅はまだまだ始まったばかりで、これから先の二人の物語が気になります。 いつかドニくんもヤスコさんのような素晴らしい魔術師になる日が来るんだろうな……と、彼のやさしさと成長に拍手しつつ、最後まで楽しく読了させていただきました。 素敵な作品をありがとうございました!
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欠損少年と月夜の闇の海辺~浪川仁とはらわたゲーム~これまでも五臓六腑をご開帳させるために殺人を繰り返してきた主人公は、ようやく今回も目的を果たせそうと月明かりの下で刃を忍ばせつつ……と物騒な展開から始まるKill Me Kill Youな物語でした。 殺すか殺されるか、はたまた殺さないのか…攻略難易度も難しくなく、手軽に二人の命のやり取りの結末を見ることができました。 @ネタバレ開始 殺すエンドでは主人公はこれからも死ぬまで同じことを繰り返し続けるのだろうなと思う反面、殺されるエンドではいつかはこうなることを受け入れていた感じもあり、何かしら主人公もこうなる過去があったのだろうかと主人公の背景が気になりました。 すべてのエンドにスチルがありましたが、個人的には心中エンドの手を引かれているスチルがとても良いなぁと思いました。 @ネタバレ終了 シチュエーション的に相当物騒なはずなのですが、お互い予め分かっているという前提で話が進むため、凪いだ海のような静けさもありました。 どのエンドも「ああ、これもいいね」と思う終わり方で、最後まで楽しめました。 素敵な作品をありがとうございました!
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各務家〜食卓物語〜一つ屋根の下で暮らしている家族の日常の中から、一つの出来事を家族全員の視点で見ていく面白い構成の物語でした。 お父さんのくたびれ具合やお母さんの子どもが第一なところなど、日本らしいというか……日本の社会構造によって形成されざるをえないある種スタンダードな家族の在り方が見えて、ほのぼのとした中にリアリティもありました。 @ネタバレ開始 お父さんの妻との会話を諦めているところ、家の中にまともに居場所がなさそうなところ、家族に向き合うより飲みに行き現実の問題を先送りにしているところなど……お父さんのパートの部分にリアリティがとてもあり、この辺りで各務家が幸せなだけの家ではないことに触れられてよかったです。 シンプルかつかわいらしい絵柄とのギャップでもありましたが、ほのぼのだけではないリアルな空気が各務家の皆さんにキャラクターの厚みを添えていたと思います。 歩さんと笑楽さんの二人のパートが本当に好きです。 この2人のお互いを大切にしている部分に癒されました。 各務家に色々あるように、きっと笑楽さんも笑楽さんの家族とは色々あると思うのですが、笑楽さんの笑顔とサプライズが各務家に素敵な風を吹かせた最後のカップケーキシーンは拍手したい思いでした。 日本ではよくよく「言わなくても察しろ」などというテレパシー呪文がまかり通っていますが、本来家族であっても「言わないと伝わらない」はずで、各務家では笑楽さんがその辺りのほぐし役をしていましたが、一人一人がもう一歩歩み寄り口にできたらいいだろうなと思いました。 @ネタバレ終了 家族のカタチはそれぞれで多様化していますが、各務家の場合はこんな感じだよと触れられることができて「なるほど」と面白いゲームでした。 それぞれの視点から見ることで、この家族の個々の人間の関係性などを考察したり想像する余地もあって面白かったです。 素敵な作品をありがとうございました!
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ヌコの特等席行きつけの喫茶店という言葉の響きがもう素敵ですよね。自分の憩いの場所。特別な空間。自分の日常を彩る一つの大切なピース。 そんな行きつけの喫茶店がある主人公が喫茶店のマスコットでもある猫のヨシミさんを探すことになり……という、ちょっとした事件?のほのぼのとしたお話でした。 @ネタバレ開始 ヨシミさんのいた場所が!!(主人公と同じ気持ちで驚き) 朱里さんの帽子の中に潜んでいたとか、朱里さんは頭が重たくなかったのだろうか……と思いつつ、そんな特等席にいたらどこを探しても見つからないはずだ~!と思いました。 今度から姿が見当たらなくなったら帽子の中も必ず確認しなければ(笑) @ネタバレ終了 遠くでそっと聞こえてくるBGM、慣れ親しんだ空気に香り、そしてあたたかく迎えてくれる朱里さんと猫のヨシミさん。 昔ながらだからこそ雰囲気のあるとても素敵な喫茶店が想像でき、一度行ってみたいなと思いました。 素敵な作品をありがとうございました!
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リードマインドヘヴンズでもそうでしたが、男性の主人公がまずとてもカッコイイです!(ヘヴンズは主人公ルーシーさんなので、主人公格である年齢詐欺さんのことです~) ミハエルさんはビジュアルや話し方や性格までドストライクで、いつまででも見ていられる上に主人公なので途中でドロップアウトしたりしないという嬉しい仕様すぎて、心の中で「ミハエルさんかっこいい~!!そのセリフ好き!髪の毛の首へのかかり具合とかも好き!etc.etc」とゲーム中はずっと好き感情をダダ漏れさせていたのでもし心を読まれたら「なんだこの桁違いな変態女は」とドン引かれたと思います。 相手の思考を読んでイカサマに溢れたカードバトルを制していくスリリングなストーリーもさることながら、キャラクター一人一人が丁寧に作り込まれていて、今回もあのキャラも好きこのキャラも好きと皆好きになる魅力的なキャラばかりでした。 @ネタバレ開始 攻略などは特に見ていなかったのですが上手く選択肢を選んできたようで、初回プレイで無事に我らが主人公リードマインドのミハエルさんVS初登場時からほぼ分かってました隠せてないラスボスオーラのティエラさんのめちゃくちゃ静かなトランプのやり取りなのに胸熱白熱大決戦ガチンコバトルを堪能させていただきました。 トランプを使っているはずなのに剣戟や殴り合い、銃の撃ち合いでもしているかのような白熱ぶりで、どっち出す?どっち出す?と悩みながらもティエラさんに勝てたときは「やったー!」と自分で自分に拍手しました(セルフ拍手とは) ミハエルさんの勝利の瞬間の必殺のキメ顔が大変格好良く、この時点で私には勝利とご褒美の欲張りセット状態で、楽しさももちろんクライマックスでした…! リリスさんとミハエルさんの夜空の下のスチルが最高でした。 この2人にはこれからの未来でも交流を続けてほしいと思うくらい、2人が肩を並べて話している姿に思わず拝みたくなりました。眼福です。 ミハエルさんの余計な口上のない誠実なやさしさ溢れる姿を、この目に焼きつけました。 音楽もどれも印象的なものばかりで、オマケでも拝聴可能でしたが作業中にももう一度じっくり聞きたいのでboothさんへダウンロードに行きたいと思います! @ネタバレ終了 ミハエルさんの一手一手思考し相手の心を読みながら勝利をもぎ取っていく姿に最初から最後までワクワクが止まらないノンストップギャンブルストーリー、とても面白かったです! 名言ボケナストマトケチャップ! 素敵な作品をありがとうございました!
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2つの心病に苦しむ一人の女性と一人の医師の間で交わされた、2人にしか通じないかもしれないが、2人にとってはこれこそがと思わせる一つの愛のカタチを静かに見守る物語でした。 読み上げてくださる声が心地良い高さと落ち着きで、読み聞かせを聞いているような気持ちになりました。 @ネタバレ開始 相手の心臓を保管し、来るべき時が来たら自分の心臓も別瓶に入れ並べて寄り添うカタチも、これも一つの愛のカタチであろうと思いました。 先生が心臓を保管することを提案してきた時のメッセージの出し方にインパクトがあって、その部分がいかに重大であるか、衝撃的なことであるかが伝わってきました。 普通であれば狂人だと周囲から切り捨てられそうなところ、本作ではその狂気性よりも2人の辿り着いた愛の形、2人の愛の在り方として昇華されていて、むしろ美しいとさえ感じました。 ヤンデレゲームなどで心臓を保管してずっと一緒に~というものは見ますが、それとは一線を画したところにあるプラトニックな愛にも似たものを感じます。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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終末兄妹破滅のもたらす静寂と破壊の中にしかない美しさが大好きな私にとっては、この美しい世界にたった2つの小さく脆くもあり強くもある二人きりの兄妹の姿は、とても心地良く映りました。 人間の煩雑さと混沌としたまとまりのない乱雑な姿も好きですが、そのすべてが何もかも死に絶えてもう息一つしていない姿もまた好きなため、丁寧に描かれた背景のビル群、兄妹の置かれた状況のすべてが好きでした。 お兄様が口にした通り、この二人が死んでも世界は変わらずそこに在り続けるのも真実ですが、この二つの命の終着点までもう少し見たいと思いました。 静かで寂しいはずなのに、どこかやさしい空気を感じる素晴らしい作品をありがとうございました!