SHIAのレビューコレクション
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インビジブルすべての時間と言葉を織り重ねて辿り着いた帰結、そして―――あなたの命に託されたもの。 幾重もの謎と真実によって彩られた日常を、仲間たちと築いた絆で未来へ繋ぐ熱い物語でした。 物語の終わりは必ずあると分かっているのに、終わることがもったいなくて、最後の1クリックを躊躇うゲームでした。 物語の設定が緻密に練られており、熟練の匠の技にも似た美しく芸術的なまでの世界観が物語の背骨の役割を果たして魅力的なキャラクターたちを最初から最後までとどっしりと支えていました。 この世界観や物語を作り上げるまでに水原さんがどれほどの歳月をかけられたかをnoteなどで知っているので、そのかけられた時間の重みが感じられる重厚かつ極上のストーリーは、最初から最後まで読み進める手が止まらないほどでした。 @ネタバレ開始 ネタバレというクローズド空間に込めた想い解禁。 FAからして見て分かるとおりの律くん推しでございまーーす!!!! ツンしてデレしてぶっきらぼうに見えて実はとてもやさしくて芯が強い! しかもインビジブルを行使するとモフモフカッコかわいいオオカミさんにまでなってしまう!! 惚れるな危険とは分かっていても惚れずにはいられない律くんの魅力に落ちたチキン一羽、律くんになら唐揚げにされても本望です(全力で引かれる音が聞こえる) え? ネタバレ前までなんかいいこと言ってたのに頭の悪いチキンの囀りが聞こえる??? こっちが 標 準 運 転 です!!(ドヤァア!!) 律くんの反応がいちいち可愛いので画面の前でニヨニヨしてしまうのですが、もちろん他の子たちも大好きです! 特に人によっては鉄仮面の霧島さんのお株が終盤でリーマンショックなみに大変なことになっていそうなので「まあまあ、とりあえずチョコレートパフェ!!何は置いてもチョコレートパフェ!!」と叫びながら霧島さんにお疲れ様サーブしたくなりました。 宗形さんも最後の終わり方が終わり方だったので、疲れきった彼がゆっくり眠れるといいな……と祈ります。彼の頭をそっと撫でてくれる小さな女の子がいたら、とても素敵だな……とか、そんなことを思いつつ。 悪人がただの悪人で終わらず、すべてのピースをカチッとはまるべきところにはめるような、彼らにもそこへ至ってしまった物語が用意されていて、それゆえに2人ともこっちおいで!!と手を取って引きあげたくなりました。 蒼フラで2人のストーリーがあるといいなと期待大です! 物語が面白すぎて「面白すぎた」しか出てこないのですが、水族館のエピソードを起点に物語が一気に真実へ向けて動いていくので、激動直前の平和である水族館は特に心に残っています。 べ、別に律くんがツンデレてるところやお土産を選んでいる姿が特別激カワイイ最強カワイイ無敵カワイイすぎてたたでさえ沸騰しているSHIAの残念脳が一周回ってついに飛び出てきたとか、そういうのじゃないんだからね!(ダダ漏れだし怖い) 水族館のほのぼのしたエピソードの後からの怒涛の展開は、一気に読みました。 都市伝説の真実、人が消える噂とそれがなぜかパッタリと聞こえなくなる理由、インビジブルとドッペルゲンガーの謎、つぐみさんの記憶喪失の真相―――すべてが紐解かれていく爽快感と熱さ、作品の持つ生命力に圧倒されました。 頑張る律くんに自家製のプリンをせっせと送りたい人生だった。まる。(綺麗にまとまってたのに台無しにする罪深いチキン) @ネタバレ終了 水原さんが人生で最も長く付き合い最大の熱量を注がれた超大作は、まさに唯一無二の傑作というに相応しい素晴らしい作品でした。 この作品に出会えて、つぐみさんたちに出会えて(律くんに出会えて!)、本当に良かったです!! とても素敵な愛溢れる作品をありがとうございました!!
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花枕(第一章~第二章)美術館博物館図書館科学館大好き好き好き!!と文字バフで攻めるくらい芸術文化が大好きな私にとっては、冒頭の美術館のくだりから既に心鷲掴みのとても素敵な物語でした。 @ネタバレ開始 窓際の蜂子さん(鍋の具さん)が「下から読めばトイレかよ」と本人を前にギネス級パワーワードを世界に放った時点で、私はこの子に落ちました。 始まるようで始まらない、縮まるようで縮まらない……なのに、確実に始まっているし、縮まってもいる二人の距離がとても心地よく、シナリオ担当の津久井さんの独特の文章の書き心地がいい感じに二人の身も蓋もない押収やウィットに富んだやり取りなどを盛り立てて、スルスルと読めました。 全てが大団円……と思いきや、突如として語られるシナリオライターのテヘペロ☆事情が出てきた時は、それまでほっこりしんみりしていた私の心が笑いに引き戻されるという怪奇現象が起き、その後のタイトルのイラストに繋がるストーリーでクスリと笑いました。 そして今作の「花枕」は漱石さんとも交流があった正岡子規さんの同名作品と関係があるのかなと思いました。 花枕には少女との出会いが書かれていたので、水菜さんと少し重ねていました。 私程度の浅学では気づけないところですが、日本の文学作品に詳しい方なら、このあたりはピンと来て本作を別の角度からも作品の骨の髄まで楽しめるのかなーと、そのあたりが気になっています。 読んではいけないほうのRead meを読んでしまい「な、なにー!? 如薤上露!? これは覚悟して読み進めていく物語なのね…!?」と今からドキドキしつつ、ナマモノとして首を長く長く、にょーんと伸ばしてお待ちしております。 @ネタバレ終了 こちらはシリーズものということで、続編を楽しみにしています! ありがとうございました!
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役所のほうから来ました!笑顔が眩しい爽やかな男性が「役所のほうから来ました!」と言って家々を訪問していく話なのですが、もちろん市民生活アンケート調査のようなお仕事ではない特別なお仕事で―――読めばすぐに引き込まれる軽快な文章と展開で、夢中になっていたら、あっという間に終わりました。 とにかくテンポがよくて、読みやすく面白い文章です。 本題である「役所のほうから来ました!」部分と間に入るアイキャッチならぬフードタイムで緩急がついていて、リズムよく最後まで一気読みできました。 主人公の三河さんが個性的なのに嫌味なところがない面白い人物で、考えていることなども面白かったです。 @ネタバレ開始 尋ねた先々の方々も個性的で、特に最後の方に関しては御姿を見た途端、「確かに初心者にこれは……もしや、所属先ってば、スパルタ式を積極採用していますね?」と思うほどの大物さんでした。 殺女さんたちの会社がどんな会社なのか気になりました。 女性に歳を聞くなんて物理的にも危険で絶対にできませんが、社長さんたちがどんな人物なのか、何者なのかなど気になることがたくさんあり、続編が出ないかなーと、続きがとても気になる物語です…! @ネタバレ終了 私が本作で見た、彼女たちからの一番辛らつな言葉は「ちゃばん」でした(苦笑) 素敵な作品をありがとうございました!
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蝉と黒ギャル意外な組み合わせでどんなお話なのかなと思ってプレイしたところ、端々に哲学的な言い回し・要素や蝉に関するちょっとした知識などが出てきて、あっさりとしていながらも深いお話でした。 十三夏さんを取り巻く人たちも知的な人たちばかりで、特に弟くんの賢さたるや末恐ろしく感じました(年相応のかわいらしいところもあって微笑ましくもなりました) 私も今では昆虫たちに触れるのは幼いころに比べて躊躇われるようになってきたので、なぜ触ったりできなくなるかのくだりでは「なるほどそうかもしれないなー」と思いました。 静かにまとまった綺麗な文章でしたので、哲学的なことが書かれていても読みやすかったです。 素敵な作品をありがとうございました。
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自分をいじめていた魔法少女のマスコットに 生まれ変わってしまった話キーホルダーのマスコットになった挙句、一日の終わりに自分をいじめていた女の子と共同生活をスタートする―――これなんて地獄?と思いました。まる。 いじめの内容が結構な壮絶さでしたが、マスコットになってしまうまでのやり取りなどは軽快なテンポで進んでいくので、スルスルと読めました。そうですよね、今時、神様なんて特にお忙しいですよね。 魔法少女の姿になったいじめっ子に不覚にも可愛いと思ってしまいましたが、不屈の精神を持つ主人公こそ最強でした。 これから先の人生で、主人公はどんな逆境も跳ね返していけるといいなと思います。 いわゆるエピローグに当たる部分のストーリーは、主人公の意志の強さが感じられて、「頑張れ主人公!」と応援したくなりました。 最後の最後のあの一コマ……もしかして、今後主人公も?と思いつつ、素敵なゲームをありがとうございました!
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決戦前夜発想の勝利。着眼点が本当に面白いゲームです。いきなり決戦前夜。それまでの旅路フルカット。 (プレーヤーとは)初対面のはずなのに「そうだったね、ここまで長い旅路だったね」という気持ちになってしまう空気…!おそるべし…! 一度スタッフロールを見ると次からはスキップできる機能がとても親切でした。 おかげさまで全決戦前夜をストレスなく見られました。 主人公(勇者)を男女好きな性別が選べるのもとても面白い試みだと思いました。 どの人もバックグラウンドを抱えていて、特に冒険者のバックグラウンドが胸に迫りました。 なぜでしょう、何度考えても全員と初対面のはずなのに、今までずっと一緒にいたような気持ちになるのは……これこそが決戦前夜というものなのでしょうか。 そして、これをプレイされる方は、是非……是非周回プレイを!!! 周回していると、選択肢が―――(記録はここで終わっている) 短編でありながらそれを感じさせない、着眼点から面白いゲームでした。 ありがとうございました!
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筋肉、増殖中世界の全筋肉をかき集めたような筋肉集合体タイトル画面の絵面と流れているやさしいボーカル曲が壊滅的にノットマッチング(ある意味究極のベストマッチング!?)すぎて破壊力がすごすぎて脳から言葉が消えました(ここまでノーブレス) 筋肉によって脳が全面的に壊滅崩壊する日が来るとは思いませんでした(墓) 画面に次から次に映り込んでくる(言い方)筋肉たちにもうお名前とかまともに頭の中に入ってこなかったです……筋肉しか入ってこない…!! たぶんサブカルに明るい人には次から次に押し寄せる筋肉…間違えました、面白い展開とセリフが続いてあっという間に筋肉…間違えました、あっという間に物語が終わるのでないでしょうか筋肉。 はっ!!? いつの間にか語尾にまで筋肉が!? いけないっ、どこまでいけども筋肉が追いかけてきて、頭の中まで筋肉一色に……これが本当の脳・筋☆ 怒涛の展開と怒涛の筋肉があなたの脳を筋肉一色に変える!! そんな筋肉パワーを持った、ゲームだからこそできるこの見せ方!!なパワーのあるゲームでした。 最後に。筋肉が母性本能に訴えるとか、夢を見ているのかと思いました(気絶) 筋肉に始まり筋肉に終わるYesマッチョ!!な作品をありがとうございました!
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ジゴドル!地獄の三人組アイドルユニット……無事にデビューなるか!?な、ドタバタコメデイちょっぴりシリアスなスカッとするお話です。 まずなによりも印象に残るのが独特のグラフィックでした。 お話のテンポもよく、かわいい立ち絵がコロコロと変わるので画面が賑やかで見ていて飽きません。 @ネタバレ開始 主人公の呼び方が「ゴミ」「ゴミピー」「ゴミカス」になったりして、強く生きるんだぞ主人公……と思いましたが、主人公が意外とアイドルプロデュースの才能があってビックリしました! どの子も個性的でかわいいので、いざセンターを選ぶ段階になるとみんな真ん中ではダメ?と悩ましく…!! 選択肢の前で3分くらい両腕を組んで悩んでいました……むぐぐぐ……!! 執事なジズさんの退室時などの恭しいお辞儀が好きです。 彼が出てくると画面と時間の流れが静かでゆっくりになるので、お話の中でもいい感じに緩急になっていました。 アイドルデビューが前面に出てきていますが、物語全体を通してみると、それだけではないそれぞれのキャラクターの内面や秘密などが見られて、ストーリーにも奥深さがあって面白かったです! @ネタバレ終了 「サラダバー!!」―――私も一度、あんな元気ハツラツに言ってみたかったです(笑) 素敵な作品をありがとうございました!
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G目線上のエリア地球の友人的なポジで長きにわたり地球と伴走せし漆黒の御使いG―――プレーヤーの本能にもほどがある条件反射で瞬殺でBADEND2に直行してもらい、分かりやすい死を迎えた後、いよいよ本格的にG目線を体験しました。 Gは上に飛ぶことはなく、必ず下に飛ぶという言葉を久々に思い出しました……。 @ネタバレ開始 一番言葉を失ったのが鳩ポッポな時計に寄生(※語弊)する名もなきGたちでした……まさにキャー!! リアルなら夢のマイホーム一択であれと願いますが、あちらこちら家の中を探索してハッピーエンドを探すのは面白かったです。 そして、天敵たちから生きるために全速力でシャカシャカシャカシャカ!!!と走る本気のGはほんのちょっとかわいくも思え(気の迷い)、とても面白かったです!(最大の誉め言葉) トゥルーエンドのミラクルGワールド……確かにこんなミラクルが起きたら人類はGとフレンドリーに共生していけるのかも……と思いつつ、私の脳が「きゃつらを体内に摂取するとかムリムリムリー!!」と警報を鳴らしています(笑) Gよ、ごめん……! @ネタバレ終了 リアルでは絶対に遭遇したくないですが、ゲームとして目線を楽しむのは面白い体験でした。 家の中を常にきれいに清潔に保って、これからも遭遇しないようにしようと思いつつ、鳩時計は設置しないと固く心に誓いました(笑) 面白いゲームをありがとうございました!
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憂鬱な日曜日全国各地に今この瞬間もこのようになっている人がいるであろう、そして私を含めて誰しもがこうならないとはかぎらない、重たくも目を逸らしてはならない話のゲームでした。 じわじわと侵食してくる諦観が、きっとこの状況の渦中にいる人はこういうふうに病んでいくのだろうな……と感じました。 グッドエンドは希望が見えてよかったです。 普通とかできて当然とか、世の中には「それが普通だと思い込みたい」ものがありますが、それに囚われすぎるとどんどん苦しくなるので、自分のペースで肩の力を抜いて生きていきたいなーとプレイ後に思いました。 ありがとうございました!