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SHIAのレビューコレクション

  • 狐ノ嫁入ル庭
    狐ノ嫁入ル庭
    妖怪好きさん必見の物語で、かわいらしいグラフィックといったい何が待ち構えているのかという先が見えない物語の恐さとが絶妙にマッチした面白い作品でした。 @ネタバレ開始 それまで幾つもバッドエンドを通ってきていたので、天狗さんに連れられて自分の人生を生きるエンドがあるとは思わず、天狗さんを疑ってしまってごめんなさいでした。 天狗さんは本当に親切な御方でした、ありがとう天狗さん。 (※どうしても見つけられないENDがあったので、実は親切なだけじゃなかった……というENDもあったらすみません…!) 日本では珍しくない口減らしや独特の生贄風習を彷彿とさせる物語で、全体から漂う鬱々とした空気とは裏腹に、妖怪さんたちのグラフィックはかわいらしくて狐様に至ってはイケメン!と思いました。諸々の真実を聞いてしまったあとでは、たいへん怖いですが! @ネタバレ終了 プレイする前はガチのホラー(苦手)だったらどうしよう……と思っていたのですが、どちらかというと一部残酷表現を伴ったほんのりホラーという感じで、ホラー成分よりも物語の持つパワーに引き付けられる作品でした。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 断罪室
    断罪室
    ほんのわすがな断片から天秤をどちらへ傾けるか、人の運命を指一本で変える―――第三者の立場で中立的に判断することがいかに難しいことであるか、ヘッポコ新人裁判官にでもなったような気持ちで挑ませてもらったジャッジング・ゲームでした。 本当に極々わずかな情報から判断することになり、難しいものでした。 何もしないという選択肢もあるものの、心がどちらかに寄るとそちらに傾きそうになるのが、また人間の心の怖いところでした。 人間性を総動員して一挙一動に注視して一言一句を見逃さぬようにしていても、どちらに置くか、あるいは何も置かないのかを判断するのは難しかったです。 ゲームの構成が素晴らしく、特にセーブ&ロードによる決断の改編を排除したところはリアリティがあってとても良い緊張感を生んでくれました。 ビビットな色使いやクラシック音楽もすべてゲームそのものの持つ魅力の解像度を高めるためのものだと感じ、ハイセンス&ハイクオリティな仕上がりで「断罪室」の世界に没頭できました。 自分自身の価値観などとも向き合えるような面白いゲームでした。 ありがとうございました!

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  • 夏色のコントラスト【リメイク版】
    夏色のコントラスト【リメイク版】
    例えば、誰かと触れ合わせた人生のほんの一時、そこで交わした言葉が心のなかのうずくまっていた部分に手を差し伸べて再び生きる息吹を与えてくれることもある。 明るい色がより鮮やかに際立つために必要なものはなにか……二人の会話が印象的な、癒しと希望の物語でした。 タイトルの意味がストーリー内で色を持った時、長らく白紙だったキャンバスに魂のこもった一本の線が引かれたような、力強いものを感じました。 @ネタバレ開始 夏の青さと暑さにローカルな景色が加わるともうそれだけでやさしい懐かしさと安心感があるのは何故なのかと思うのですが、私の脳がその景色や光景に対して「これは心を脅かすものではなく、むしろ安心できるものだ」と認識しているからなのか……この物語も背景を目に、音楽を耳にしているだけでリラックスして読み進められました。 文章がとてもお上手で、一番の盛り上がり部分である「絵を描くことをやめた」主人公が再び絵を描こうと思いを新たにするところは、読んでいて胸が弾みました。 明るい希望に満ち溢れた勇気づけられる言葉が、絵を描く端くれとして胸に響いてきました。 音楽がどれも情景に合っていてどれもとても素敵なのですが、エンドロールで流れる牧歌的な音楽「雲のように」が、過ごした時間をゆったりと思い出させてくれる一際素敵な曲でした。 @ネタバレ終了 夏のほんの一時に交わした言葉が明日の自分を変える―――本当に、人生は何が起こるか分からない。 多くの暗い色があるかもしれない、けれど同じくらい明るい色もあり、私たちはそれを信じて何度でも明日という真っ白な未来に色をつけていく。 そんなあたたかな希望を感じるとても素敵な作品でした、ありがとうございました!

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  • みまわり
    みまわり
    主人公(学校の先生)が生徒たちへの見回りをし、それぞれの生徒たちの深い部分を垣間見るBLゲームです。 選択肢を一巡すればクリアとなるので、サクッとプレイできて物語そのものを楽しむことができました。 いわゆる主人公と恋愛関係になるものではなく、登場人物たちの日常を一瞬見るような感じで、第三者の立場から見ているという点でこういうBLゲームもあるのかーとなりました。 キャラクターたちの造形がかわいらしく、スチルも鉛筆線が全体の雰囲気をやわらかくしていて、ほんわかした雰囲気がありました。 まだまだあどけなさも残る学生さんたちで、どの子もかわいいなぁと思いました(中には生活がちょっと心配になったりする子もいましたが…!) 素敵な作品をありがとうございました!

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  • インビジブル
    インビジブル
    すべての時間と言葉を織り重ねて辿り着いた帰結、そして―――あなたの命に託されたもの。 幾重もの謎と真実によって彩られた日常を、仲間たちと築いた絆で未来へ繋ぐ熱い物語でした。 物語の終わりは必ずあると分かっているのに、終わることがもったいなくて、最後の1クリックを躊躇うゲームでした。 物語の設定が緻密に練られており、熟練の匠の技にも似た美しく芸術的なまでの世界観が物語の背骨の役割を果たして魅力的なキャラクターたちを最初から最後までとどっしりと支えていました。 この世界観や物語を作り上げるまでに水原さんがどれほどの歳月をかけられたかをnoteなどで知っているので、そのかけられた時間の重みが感じられる重厚かつ極上のストーリーは、最初から最後まで読み進める手が止まらないほどでした。 @ネタバレ開始 ネタバレというクローズド空間に込めた想い解禁。 FAからして見て分かるとおりの律くん推しでございまーーす!!!! ツンしてデレしてぶっきらぼうに見えて実はとてもやさしくて芯が強い! しかもインビジブルを行使するとモフモフカッコかわいいオオカミさんにまでなってしまう!! 惚れるな危険とは分かっていても惚れずにはいられない律くんの魅力に落ちたチキン一羽、律くんになら唐揚げにされても本望です(全力で引かれる音が聞こえる) え? ネタバレ前までなんかいいこと言ってたのに頭の悪いチキンの囀りが聞こえる??? こっちが 標 準 運 転 です!!(ドヤァア!!) 律くんの反応がいちいち可愛いので画面の前でニヨニヨしてしまうのですが、もちろん他の子たちも大好きです! 特に人によっては鉄仮面の霧島さんのお株が終盤でリーマンショックなみに大変なことになっていそうなので「まあまあ、とりあえずチョコレートパフェ!!何は置いてもチョコレートパフェ!!」と叫びながら霧島さんにお疲れ様サーブしたくなりました。 宗形さんも最後の終わり方が終わり方だったので、疲れきった彼がゆっくり眠れるといいな……と祈ります。彼の頭をそっと撫でてくれる小さな女の子がいたら、とても素敵だな……とか、そんなことを思いつつ。 悪人がただの悪人で終わらず、すべてのピースをカチッとはまるべきところにはめるような、彼らにもそこへ至ってしまった物語が用意されていて、それゆえに2人ともこっちおいで!!と手を取って引きあげたくなりました。 蒼フラで2人のストーリーがあるといいなと期待大です! 物語が面白すぎて「面白すぎた」しか出てこないのですが、水族館のエピソードを起点に物語が一気に真実へ向けて動いていくので、激動直前の平和である水族館は特に心に残っています。 べ、別に律くんがツンデレてるところやお土産を選んでいる姿が特別激カワイイ最強カワイイ無敵カワイイすぎてたたでさえ沸騰しているSHIAの残念脳が一周回ってついに飛び出てきたとか、そういうのじゃないんだからね!(ダダ漏れだし怖い) 水族館のほのぼのしたエピソードの後からの怒涛の展開は、一気に読みました。 都市伝説の真実、人が消える噂とそれがなぜかパッタリと聞こえなくなる理由、インビジブルとドッペルゲンガーの謎、つぐみさんの記憶喪失の真相―――すべてが紐解かれていく爽快感と熱さ、作品の持つ生命力に圧倒されました。 頑張る律くんに自家製のプリンをせっせと送りたい人生だった。まる。(綺麗にまとまってたのに台無しにする罪深いチキン) @ネタバレ終了 水原さんが人生で最も長く付き合い最大の熱量を注がれた超大作は、まさに唯一無二の傑作というに相応しい素晴らしい作品でした。 この作品に出会えて、つぐみさんたちに出会えて(律くんに出会えて!)、本当に良かったです!! とても素敵な愛溢れる作品をありがとうございました!!

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  • 花枕(第一章~第二章)
    花枕(第一章~第二章)
    美術館博物館図書館科学館大好き好き好き!!と文字バフで攻めるくらい芸術文化が大好きな私にとっては、冒頭の美術館のくだりから既に心鷲掴みのとても素敵な物語でした。 @ネタバレ開始 窓際の蜂子さん(鍋の具さん)が「下から読めばトイレかよ」と本人を前にギネス級パワーワードを世界に放った時点で、私はこの子に落ちました。 始まるようで始まらない、縮まるようで縮まらない……なのに、確実に始まっているし、縮まってもいる二人の距離がとても心地よく、シナリオ担当の津久井さんの独特の文章の書き心地がいい感じに二人の身も蓋もない押収やウィットに富んだやり取りなどを盛り立てて、スルスルと読めました。 全てが大団円……と思いきや、突如として語られるシナリオライターのテヘペロ☆事情が出てきた時は、それまでほっこりしんみりしていた私の心が笑いに引き戻されるという怪奇現象が起き、その後のタイトルのイラストに繋がるストーリーでクスリと笑いました。 そして今作の「花枕」は漱石さんとも交流があった正岡子規さんの同名作品と関係があるのかなと思いました。 花枕には少女との出会いが書かれていたので、水菜さんと少し重ねていました。 私程度の浅学では気づけないところですが、日本の文学作品に詳しい方なら、このあたりはピンと来て本作を別の角度からも作品の骨の髄まで楽しめるのかなーと、そのあたりが気になっています。 読んではいけないほうのRead meを読んでしまい「な、なにー!? 如薤上露!? これは覚悟して読み進めていく物語なのね…!?」と今からドキドキしつつ、ナマモノとして首を長く長く、にょーんと伸ばしてお待ちしております。 @ネタバレ終了 こちらはシリーズものということで、続編を楽しみにしています! ありがとうございました!

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  • 役所のほうから来ました!
    役所のほうから来ました!
    笑顔が眩しい爽やかな男性が「役所のほうから来ました!」と言って家々を訪問していく話なのですが、もちろん市民生活アンケート調査のようなお仕事ではない特別なお仕事で―――読めばすぐに引き込まれる軽快な文章と展開で、夢中になっていたら、あっという間に終わりました。 とにかくテンポがよくて、読みやすく面白い文章です。 本題である「役所のほうから来ました!」部分と間に入るアイキャッチならぬフードタイムで緩急がついていて、リズムよく最後まで一気読みできました。 主人公の三河さんが個性的なのに嫌味なところがない面白い人物で、考えていることなども面白かったです。 @ネタバレ開始 尋ねた先々の方々も個性的で、特に最後の方に関しては御姿を見た途端、「確かに初心者にこれは……もしや、所属先ってば、スパルタ式を積極採用していますね?」と思うほどの大物さんでした。 殺女さんたちの会社がどんな会社なのか気になりました。 女性に歳を聞くなんて物理的にも危険で絶対にできませんが、社長さんたちがどんな人物なのか、何者なのかなど気になることがたくさんあり、続編が出ないかなーと、続きがとても気になる物語です…! @ネタバレ終了 私が本作で見た、彼女たちからの一番辛らつな言葉は「ちゃばん」でした(苦笑) 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 蝉と黒ギャル
    蝉と黒ギャル
    意外な組み合わせでどんなお話なのかなと思ってプレイしたところ、端々に哲学的な言い回し・要素や蝉に関するちょっとした知識などが出てきて、あっさりとしていながらも深いお話でした。 十三夏さんを取り巻く人たちも知的な人たちばかりで、特に弟くんの賢さたるや末恐ろしく感じました(年相応のかわいらしいところもあって微笑ましくもなりました) 私も今では昆虫たちに触れるのは幼いころに比べて躊躇われるようになってきたので、なぜ触ったりできなくなるかのくだりでは「なるほどそうかもしれないなー」と思いました。 静かにまとまった綺麗な文章でしたので、哲学的なことが書かれていても読みやすかったです。 素敵な作品をありがとうございました。

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  • 自分をいじめていた魔法少女のマスコットに 生まれ変わってしまった話
    自分をいじめていた魔法少女のマスコットに 生まれ変わってしまった話
    キーホルダーのマスコットになった挙句、一日の終わりに自分をいじめていた女の子と共同生活をスタートする―――これなんて地獄?と思いました。まる。 いじめの内容が結構な壮絶さでしたが、マスコットになってしまうまでのやり取りなどは軽快なテンポで進んでいくので、スルスルと読めました。そうですよね、今時、神様なんて特にお忙しいですよね。 魔法少女の姿になったいじめっ子に不覚にも可愛いと思ってしまいましたが、不屈の精神を持つ主人公こそ最強でした。 これから先の人生で、主人公はどんな逆境も跳ね返していけるといいなと思います。 いわゆるエピローグに当たる部分のストーリーは、主人公の意志の強さが感じられて、「頑張れ主人公!」と応援したくなりました。 最後の最後のあの一コマ……もしかして、今後主人公も?と思いつつ、素敵なゲームをありがとうございました!

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  • 決戦前夜
    決戦前夜
    発想の勝利。着眼点が本当に面白いゲームです。いきなり決戦前夜。それまでの旅路フルカット。 (プレーヤーとは)初対面のはずなのに「そうだったね、ここまで長い旅路だったね」という気持ちになってしまう空気…!おそるべし…! 一度スタッフロールを見ると次からはスキップできる機能がとても親切でした。 おかげさまで全決戦前夜をストレスなく見られました。 主人公(勇者)を男女好きな性別が選べるのもとても面白い試みだと思いました。 どの人もバックグラウンドを抱えていて、特に冒険者のバックグラウンドが胸に迫りました。 なぜでしょう、何度考えても全員と初対面のはずなのに、今までずっと一緒にいたような気持ちになるのは……これこそが決戦前夜というものなのでしょうか。 そして、これをプレイされる方は、是非……是非周回プレイを!!! 周回していると、選択肢が―――(記録はここで終わっている) 短編でありながらそれを感じさせない、着眼点から面白いゲームでした。 ありがとうございました!

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