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SHIAのレビューコレクション

  • この愛は誰のもの?
    この愛は誰のもの?
    サウンドノベルの真骨頂ここにあり!!という言葉が相応しい、サウンドノベルの面白さが詰まった作品でした。 大仰な演出などを一切排除し、音とシナリオの力を前面に押し出していくこのシンプルながら圧倒的なパワーを持っているスタイルが、「これこそサウンドノベル!!」と最初から最後まで過不足なくガッツリ楽しめる「読ませる」ゲームでした。 シナリオのテンポが本当に軽快で、言い回しなどもとても面白く、あっという間に読破しました。チョコレートほど甘すぎることのない、ブルーベリーやイチゴのような甘酸っぱさを感じる青春物語でした。 音楽も奇をてらったようなものがなく、あくまでサウンドノベルとして文章に対する夫婦役、相棒、伴侶という立ち位置で煩くなくどんどん盛り立てていくBGMチョイスで作品に没頭できました。 「この愛は誰のもの?」の解決部分のシナリオは読んでいて、とても爽快感がありました。 次から次にトントンと出てくるわ出てくるわ真実―――巧みに編まれたストーリーに、もっと読んでいたいと思うくらいでした。 それにしても主人公はモテないと言いながら(※言ってない/それは別の人が言ったんや!)しっかりモテてるなぁとほのぼのしました。 とても素敵なゲームをありがとうございました!

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  • さよならをセカイに
    さよならをセカイに
    かわいい女の子と明るくポップな青春を過ごす楽しい楽しい物語―――ではなく、初恋の苦さと一人の人間との関係が完全に思い出になった瞬間の寂寥をなぞるような、しんみりした淡い恋の物語でした。 ご都合主義やお約束の展開を一切入れず、ありのまま、等身大のままを緻密に描き、子どもから大人になっていく二人の「さよなら」を描いた物語は、ただただ秀逸の一言に尽きる丁寧な物語でした。 @ネタバレ開始 お揃いのキーホルダーを紛失してしまった際に、どうして素直に「落としてなくした」と言えないのかな?と画面の前の大人な自分は思うのですが、それは自分が大人だからこそ簡単に最適解として言えるのであって、自分がこの年齢でこの状況なら果たしてどう言うだろうかと考え、ストーリーがどこまでも等身大の心に寄り添っていて秀逸でした。 ここから夏樹くんと南さんがすれ違っていく過程も、大人になって関係性が変わっていく過程も非常に細やかに描かれていて、心に残りました。 一度、高校生の文化祭のあたりでもう一度何かが始まりそうな予感を匂わせながらも、そうはならないところに、もう既に二人の関係性は小学校の頃とは何もかも違うと、成長と時の流れを感じるところがリアルで、読んでいて一種の爽やかさも感じました。 そこから先も過ぎ去っていくすべての時間が過去になっていきもう元には戻らないということ、人の心は変わっていくということなど、ビターでありながらもう一口と味わいたくなる切なさがあり、最後まで一気に読みました。 @ネタバレ終了 この作品が持つ独特の空気は他の作品にはないもので、壮大な感動や大逆転といった展開に頼らずに、誰しもが子どもから大人になる過程で経験した心に残るチクッとした小さな痛みや寂しさで感情を揺さぶるようなリアリティが素晴らしい作品でした。 ありがとうございました!

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  • スクールシャーク
    スクールシャーク
    残業続きの教師がようやく帰ろうとすると、廊下から悲鳴が!駆けつけるとそこには―――サ、サメぇええええ!!! まさかのシャークによるスクール(シャーク)・オブ・ザ・デッド!? ホラーではないのでホラーが苦手な人も遊べますし、流血表現などもシャークの口元程度に抑えられているので流血表現が苦手な方も遊べる親切な設計でした。 シャークの存在とはなんなのか……という真相が明かされたとき「な、なるほどー!」となり、さらにその先の物語の展開でも「こ、こうなるよねー!」と想像通りのいい感じに物語が展開されて面白かったです。 『ジョーズ』などサメ系のものは必ず海が舞台になっているのに対し、学校というありえないところにサメが出る設定がとても面白い発想だなと感じました。 @ネタバレ開始 主人公の渡辺さんが途中から明らかにサメの力に酔って倫理観やらがかなりズレていき(教師と生徒で恋愛をするというところからして元からちょっとズレていましたが)、最後は自分の気に入らないものはサメを使役して全抹消コースにすればいいという発想に行きつくところに、人間の性みたいなものを垣間見ました。 最後の最後、主人公が瓦礫の山の中から復活してきたあたりが「で、出たー!! ワンチャンあるかと思ったら、本当に出てきたー!!」でした。 渡辺さんが教師から復讐者にクラスチェンジしてしまった……怒りや憎しみを糧に怪異と人が同調していくなら、今度はシャークが街などにも表れるのでしょうか、怖いです。 @ネタバレ終了 サメと学校というまったく結びつかないものを結びつけ、そしてただそれだけに留まらず人間のドロドロした部分なども書ききった面白い作品でした。 ありがとうございました!

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  • TELL ME YOUR NAME
    TELL ME YOUR NAME
    光球状態で体がない友だち(自分!)のため、ウィノラさんが体を生成するためのアイテムを集めるよ!というワクワクするアイテム集め&街の人たちとの交流が楽しいゲームです。 プレイ時間は20日間とのことですが、住人の皆さんとの会話にアカベコのように全肯定首振りマンと化していたら3日目でクリアできたので、どなたでも余裕をもってクリアできる親切設計です! @ネタバレ開始 教会に入り浸りシスターさんからピンクジェリーをひたすらにもらい続け、シャーロットさんにレインボーフェザーをたかりまくり、マスターさんたちに発注ミスのアイテムをせびったりしながら体を作る日々でした(ただのカツアゲ魔みたいになってました……) 戦闘では特にシスターさんには毎ターンお世話になりました……!! ダンスから入ったシスターさんでしたが、本作でもシスターさん好きです! SDキャラはたいへん可愛かったですが、こちらの等身キャラはとてもお美しい……!! 御礼もかねてシスターさんにご馳走したいです! すべてのアイテムを揃えて体ができた時、とんでもなく美しい銀髪のキラキラした子が出てきて驚きました! 夜の戦闘のダメージがえぐい中、キャラメルやリーフ、マグマを集めてよかったです……初期攻撃力で戦うという愚を犯してしまったので辛い戦いでした(笑) @ネタバレ終了 こちらダンスから入って菊島様にオススメいただいてプレイさせていただきましたが、本当に楽しくて周回プレイもさせていただきました(そしてまたシスターさんのお世話になる……シスターさん、毎度連れまわしてすみません。あとマスターも夜しっかり働いているのに冒険に連れ回してすみません) アイテムを集めて錬金して……そういったRPGも好きな私には、クリーンヒットな作品でした! とても素敵なゲームをありがとうございました!

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  • 狐ノ嫁入ル庭
    狐ノ嫁入ル庭
    妖怪好きさん必見の物語で、かわいらしいグラフィックといったい何が待ち構えているのかという先が見えない物語の恐さとが絶妙にマッチした面白い作品でした。 @ネタバレ開始 それまで幾つもバッドエンドを通ってきていたので、天狗さんに連れられて自分の人生を生きるエンドがあるとは思わず、天狗さんを疑ってしまってごめんなさいでした。 天狗さんは本当に親切な御方でした、ありがとう天狗さん。 (※どうしても見つけられないENDがあったので、実は親切なだけじゃなかった……というENDもあったらすみません…!) 日本では珍しくない口減らしや独特の生贄風習を彷彿とさせる物語で、全体から漂う鬱々とした空気とは裏腹に、妖怪さんたちのグラフィックはかわいらしくて狐様に至ってはイケメン!と思いました。諸々の真実を聞いてしまったあとでは、たいへん怖いですが! @ネタバレ終了 プレイする前はガチのホラー(苦手)だったらどうしよう……と思っていたのですが、どちらかというと一部残酷表現を伴ったほんのりホラーという感じで、ホラー成分よりも物語の持つパワーに引き付けられる作品でした。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 断罪室
    断罪室
    ほんのわすがな断片から天秤をどちらへ傾けるか、人の運命を指一本で変える―――第三者の立場で中立的に判断することがいかに難しいことであるか、ヘッポコ新人裁判官にでもなったような気持ちで挑ませてもらったジャッジング・ゲームでした。 本当に極々わずかな情報から判断することになり、難しいものでした。 何もしないという選択肢もあるものの、心がどちらかに寄るとそちらに傾きそうになるのが、また人間の心の怖いところでした。 人間性を総動員して一挙一動に注視して一言一句を見逃さぬようにしていても、どちらに置くか、あるいは何も置かないのかを判断するのは難しかったです。 ゲームの構成が素晴らしく、特にセーブ&ロードによる決断の改編を排除したところはリアリティがあってとても良い緊張感を生んでくれました。 ビビットな色使いやクラシック音楽もすべてゲームそのものの持つ魅力の解像度を高めるためのものだと感じ、ハイセンス&ハイクオリティな仕上がりで「断罪室」の世界に没頭できました。 自分自身の価値観などとも向き合えるような面白いゲームでした。 ありがとうございました!

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  • 夏色のコントラスト【リメイク版】
    夏色のコントラスト【リメイク版】
    例えば、誰かと触れ合わせた人生のほんの一時、そこで交わした言葉が心のなかのうずくまっていた部分に手を差し伸べて再び生きる息吹を与えてくれることもある。 明るい色がより鮮やかに際立つために必要なものはなにか……二人の会話が印象的な、癒しと希望の物語でした。 タイトルの意味がストーリー内で色を持った時、長らく白紙だったキャンバスに魂のこもった一本の線が引かれたような、力強いものを感じました。 @ネタバレ開始 夏の青さと暑さにローカルな景色が加わるともうそれだけでやさしい懐かしさと安心感があるのは何故なのかと思うのですが、私の脳がその景色や光景に対して「これは心を脅かすものではなく、むしろ安心できるものだ」と認識しているからなのか……この物語も背景を目に、音楽を耳にしているだけでリラックスして読み進められました。 文章がとてもお上手で、一番の盛り上がり部分である「絵を描くことをやめた」主人公が再び絵を描こうと思いを新たにするところは、読んでいて胸が弾みました。 明るい希望に満ち溢れた勇気づけられる言葉が、絵を描く端くれとして胸に響いてきました。 音楽がどれも情景に合っていてどれもとても素敵なのですが、エンドロールで流れる牧歌的な音楽「雲のように」が、過ごした時間をゆったりと思い出させてくれる一際素敵な曲でした。 @ネタバレ終了 夏のほんの一時に交わした言葉が明日の自分を変える―――本当に、人生は何が起こるか分からない。 多くの暗い色があるかもしれない、けれど同じくらい明るい色もあり、私たちはそれを信じて何度でも明日という真っ白な未来に色をつけていく。 そんなあたたかな希望を感じるとても素敵な作品でした、ありがとうございました!

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  • みまわり
    みまわり
    主人公(学校の先生)が生徒たちへの見回りをし、それぞれの生徒たちの深い部分を垣間見るBLゲームです。 選択肢を一巡すればクリアとなるので、サクッとプレイできて物語そのものを楽しむことができました。 いわゆる主人公と恋愛関係になるものではなく、登場人物たちの日常を一瞬見るような感じで、第三者の立場から見ているという点でこういうBLゲームもあるのかーとなりました。 キャラクターたちの造形がかわいらしく、スチルも鉛筆線が全体の雰囲気をやわらかくしていて、ほんわかした雰囲気がありました。 まだまだあどけなさも残る学生さんたちで、どの子もかわいいなぁと思いました(中には生活がちょっと心配になったりする子もいましたが…!) 素敵な作品をありがとうございました!

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  • インビジブル
    インビジブル
    すべての時間と言葉を織り重ねて辿り着いた帰結、そして―――あなたの命に託されたもの。 幾重もの謎と真実によって彩られた日常を、仲間たちと築いた絆で未来へ繋ぐ熱い物語でした。 物語の終わりは必ずあると分かっているのに、終わることがもったいなくて、最後の1クリックを躊躇うゲームでした。 物語の設定が緻密に練られており、熟練の匠の技にも似た美しく芸術的なまでの世界観が物語の背骨の役割を果たして魅力的なキャラクターたちを最初から最後までとどっしりと支えていました。 この世界観や物語を作り上げるまでに水原さんがどれほどの歳月をかけられたかをnoteなどで知っているので、そのかけられた時間の重みが感じられる重厚かつ極上のストーリーは、最初から最後まで読み進める手が止まらないほどでした。 @ネタバレ開始 ネタバレというクローズド空間に込めた想い解禁。 FAからして見て分かるとおりの律くん推しでございまーーす!!!! ツンしてデレしてぶっきらぼうに見えて実はとてもやさしくて芯が強い! しかもインビジブルを行使するとモフモフカッコかわいいオオカミさんにまでなってしまう!! 惚れるな危険とは分かっていても惚れずにはいられない律くんの魅力に落ちたチキン一羽、律くんになら唐揚げにされても本望です(全力で引かれる音が聞こえる) え? ネタバレ前までなんかいいこと言ってたのに頭の悪いチキンの囀りが聞こえる??? こっちが 標 準 運 転 です!!(ドヤァア!!) 律くんの反応がいちいち可愛いので画面の前でニヨニヨしてしまうのですが、もちろん他の子たちも大好きです! 特に人によっては鉄仮面の霧島さんのお株が終盤でリーマンショックなみに大変なことになっていそうなので「まあまあ、とりあえずチョコレートパフェ!!何は置いてもチョコレートパフェ!!」と叫びながら霧島さんにお疲れ様サーブしたくなりました。 宗形さんも最後の終わり方が終わり方だったので、疲れきった彼がゆっくり眠れるといいな……と祈ります。彼の頭をそっと撫でてくれる小さな女の子がいたら、とても素敵だな……とか、そんなことを思いつつ。 悪人がただの悪人で終わらず、すべてのピースをカチッとはまるべきところにはめるような、彼らにもそこへ至ってしまった物語が用意されていて、それゆえに2人ともこっちおいで!!と手を取って引きあげたくなりました。 蒼フラで2人のストーリーがあるといいなと期待大です! 物語が面白すぎて「面白すぎた」しか出てこないのですが、水族館のエピソードを起点に物語が一気に真実へ向けて動いていくので、激動直前の平和である水族館は特に心に残っています。 べ、別に律くんがツンデレてるところやお土産を選んでいる姿が特別激カワイイ最強カワイイ無敵カワイイすぎてたたでさえ沸騰しているSHIAの残念脳が一周回ってついに飛び出てきたとか、そういうのじゃないんだからね!(ダダ漏れだし怖い) 水族館のほのぼのしたエピソードの後からの怒涛の展開は、一気に読みました。 都市伝説の真実、人が消える噂とそれがなぜかパッタリと聞こえなくなる理由、インビジブルとドッペルゲンガーの謎、つぐみさんの記憶喪失の真相―――すべてが紐解かれていく爽快感と熱さ、作品の持つ生命力に圧倒されました。 頑張る律くんに自家製のプリンをせっせと送りたい人生だった。まる。(綺麗にまとまってたのに台無しにする罪深いチキン) @ネタバレ終了 水原さんが人生で最も長く付き合い最大の熱量を注がれた超大作は、まさに唯一無二の傑作というに相応しい素晴らしい作品でした。 この作品に出会えて、つぐみさんたちに出会えて(律くんに出会えて!)、本当に良かったです!! とても素敵な愛溢れる作品をありがとうございました!!

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  • 花枕(第一章~第二章)
    花枕(第一章~第二章)
    美術館博物館図書館科学館大好き好き好き!!と文字バフで攻めるくらい芸術文化が大好きな私にとっては、冒頭の美術館のくだりから既に心鷲掴みのとても素敵な物語でした。 @ネタバレ開始 窓際の蜂子さん(鍋の具さん)が「下から読めばトイレかよ」と本人を前にギネス級パワーワードを世界に放った時点で、私はこの子に落ちました。 始まるようで始まらない、縮まるようで縮まらない……なのに、確実に始まっているし、縮まってもいる二人の距離がとても心地よく、シナリオ担当の津久井さんの独特の文章の書き心地がいい感じに二人の身も蓋もない押収やウィットに富んだやり取りなどを盛り立てて、スルスルと読めました。 全てが大団円……と思いきや、突如として語られるシナリオライターのテヘペロ☆事情が出てきた時は、それまでほっこりしんみりしていた私の心が笑いに引き戻されるという怪奇現象が起き、その後のタイトルのイラストに繋がるストーリーでクスリと笑いました。 そして今作の「花枕」は漱石さんとも交流があった正岡子規さんの同名作品と関係があるのかなと思いました。 花枕には少女との出会いが書かれていたので、水菜さんと少し重ねていました。 私程度の浅学では気づけないところですが、日本の文学作品に詳しい方なら、このあたりはピンと来て本作を別の角度からも作品の骨の髄まで楽しめるのかなーと、そのあたりが気になっています。 読んではいけないほうのRead meを読んでしまい「な、なにー!? 如薤上露!? これは覚悟して読み進めていく物語なのね…!?」と今からドキドキしつつ、ナマモノとして首を長く長く、にょーんと伸ばしてお待ちしております。 @ネタバレ終了 こちらはシリーズものということで、続編を楽しみにしています! ありがとうございました!

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