からし山まよ江のレビューコレクション
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魔法少女試験に落ちたら家業を継ぎます。楽しいタイトルと可愛い雰囲気につられて、ちょっと起動してみたら夢中でフルコンプまで遊んでしまいました。テンポが良い、ほんとにとにかくテンポが良くてコミカル・キュート・チャーミング。見習いたい。 試験に玉砕したり、リアクション力あるモンスターとバトルしたり。 主人公がさまざまな進路を進むエンディングを周回しながら、「次はどんな楽しいことが起こるのかなー?」と夢中でストーリーを追うことができました。 主人公は行動力バツグンかつテキトーな性格で、明るい気持ちで応援できて好きです。雑な姉と几帳面な弟は炊き立て白米みたいにいいものですね! まだまだ好き要素はいっぱいですが、『魔法少女にふさわしくない呪文』の例が「ひどくて大好き」だったので報告します。 【ここからネタバレ含む。クリックで表示】 わかりやすい攻略チャートやヒントも整備されていて、テンションダウンせずに試験失敗→トゥルーED・コンプに至ることができました。 コンプするとシナリオ中のいくつかの疑問もサッパリスッパリ解けて気分爽快にゲームを終了できました。 【ここからネタバレ含む。クリックで表示】 楽しいゲームをどうもありがとうございました!
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マダム・ポプスキンの憂鬱大量の情報をわかりやすく整理してくれるUIのおかげで、デキる探偵気分! 世の人々の畏敬を集める富豪女性の「40年前の空白の時間」の謎を追うミステリーです。 時間経過でイベントが変化するスポットを自由にき、情報を集めるシステムです。どこに行っても豊富なリアクションがあって 「今、足で情報を稼いでるぞー!」という気持ちで遊べました。 お約束の「真面目に捜査しないで酒飲んだり宿でゴロゴロする」選択肢があるのもいいです!お気楽街ブラ駄目探偵。 ミステリなのでネタバレは避けますが、事件を追うにしたがって徐々に見えてくるマダムの横顔が美しくて後味のいい作品でした。 舞台となる街「ローレル」は「山間にある、かつて鉄鋼が栄えた街」ということです。そういえばはるか昔、高校の地理で「鉄鋼がダメになって化学工業とかやるようになったフランスの工業地帯」とか聞いたような……。(まるでうろ覚え) 舞台が細部まで作りこまれて、滞在が進むとどんどんローレルに愛着がわきました。食べ物も良さそうだし。 また、キャラクターたちの着ている物にそれぞれの歴史や内面がうかがえる立ち絵がとても生き生きとして良かったです。 リッチでエレガント、でも働く女性モードのマダム。 よい娘さん感のあるルネ。 平凡な青年アルノーがちょっとシックな服装なのは、亡父が身なりに一家言ある人だったという背景があるのに納得。 あと、レヴィの「金はある顔は良い頭もいいし高いモン来てるがうさんくさい」感……!(ごめんね好きなのですよ) グラフィックはないけど、主人公は肘にパッチのあるジャケット着てズボンに多少シワが入っていてほしいです。猫の毛もついている。 遊びごたえのある楽しいゲーム、ありがとうございました!
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占い師レイ様の助言現実時間とリンク&超豊富な差分が特徴の占いゲームです。 一回のプレイは数分。占い師のレイ様に占ってもらったり日常会話をするシンプルなもの。 でも時間帯やイベントによる差分に目を見張り、訪問を繰り返すごとに高まる好感度・縮まるレイ様との距離に癒され心がツヤツヤになるQOL回復ツールです。 仲が深まれば、レイ様のコメントも甘く甘く…… もしあなたが 「イケメンに愛をささやかれてもねぇ」 というプレイヤーであっても心配ありません。 あなたがどれほどのコワモテでもレイ様は 「とっても可愛いよ」 「いつも頑張っているんだよね」と迎えてくれます。 素敵なレイ様をありがとうございます! 今日も飛び込むわぁ!占いの館へ!
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コンピューターおばあちゃんおばあちゃんコンピュータとの対話がメイン、今フェス屈指のアダルトゲーム。『人型コンピューターと何かが通う瞬間』系と言えることは言えます。EDまで5分くらいですがEDの意味が自分の中でゆらいできます。 @ネタバレ開始 博物館のシーンが妙に切なくて自分が今どんな感情を持っているのかさっぱりわからなくなる魅力があります。感想に何を書いていいのかわからないまま筆を取らせる迫力がある。 そんなEDのあとサラッとタイトル画面に戻るので、このゲーム自体がひとつの都市伝説みたい…… @ネタバレ終了 すごく面白かったです。ありがとうございました!
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ときめきスパッツァー
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穴の中工事現場の『穴』に落ちちゃったその日から日常が恐怖に…。シルエット表示の登場人物+全画面表示のテキストが読みやすさ◎のホラーノベル。怖面白かったです! 恐怖とユーモアの配分が絶妙・ヒロインがいい子。 そして大好きなケンちゃんを描いたので再投稿させていただきました! みんな同僚のアイツの家でケンちゃんに会って!
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籠中話シリーズ①『トリカゴさま』僕気絶!目を開けて最初に見た和装美男に殺される!命を大事にしない顔のいい男から摂れる栄養がたっぷりの和風ホラー!死のう! 15分~20分くらいでコンプできました。 おもな構成は 目が覚めた →美男神トリカゴさまから突然の二択 →正解なら生存。次の二択へ。 不正解なら命乞いの余地もなく殺される (トリカゴさまの素敵な殺しスチルが解放) →正解しつづけるとエンディング という多彩バッドエンド回収型です。これ大好き! いろんなシチュエーションで「主人公死す」が体験できます! 二択の場面のセーブ→ロードでやり直しはラクラクです。 安心して選択しましょう。 @ネタバレ開始 エンディングでは洋装トリカゴさまがウィンクしてくれる @ネタバレ終了 こちらはシリーズ物の一編だそうです。 エンディングまで行くと、今回トリカゴ様被害に遭った主人公の境遇がちょっぴり明かされます。 どうも主人公はオカルト事件巻き込まれ体質のようです。 今後ますますのご活躍を期待します。 @ネタバレ開始 ネコちゃんは可愛いし頼りになる @ネタバレ終了 UIも妖しい世界にぴったりのシックな作りで、物語世界に浸ることができました。楽しいゲームをありがとうございました。
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デスゲームは始まらない目が覚めたら監禁!目の前の古テレビから謎のロボットが「ようこそ」の台詞を……噛んだ。ちゃんと運営しようよデスゲーム! ポップな色彩のデスゲーム物パロディ、ギャグのキレ良し。殺されないけど可愛さ面白さで殴られます!とてもとても楽しかったです! 9+1種類のエンディングは1時間くらいでコンプリート。 破天荒コメディだけど理不尽系ではないので ・このゲームはなんだったのか? ・登場人物たちは結局どうなったのか? までスッキリ気持ちよくオチてくれます。 「地球爆発して終」みたいなことにはならない系です。 ゲームのほとんどはデスゲームの進行役と主人公の会話劇です。 この進行役ロボットの「中身」が可愛い! しかも面白かわいい・貧乏かわいい・寿司かわいいで大好きになりました。 とってもイキイキしたキャラクターで、誰も死なない密室劇を明るく停滞感ゼロで彩ってくれます。 お寿司とお肉をたんと食べさせたいです! ↓ここ超ネタバレ @ネタバレ開始 平凡な大学生風の主人公が、デスゲ主催者を突き止めて破滅させられるレベルのド金持ちでした! という破天荒オチが痛快にハマってました。 デスゲームって何かすごい権力による理不尽極まりない暴力ですが、それを上回る何かすごい権力でゲームを中止するのがすごい理不尽で良かったです!(語彙がなくてすみません) 私がデスゲーム開始を待ち望んでいた運営者だったら、お母さんの膝で泣くと思います……昨日てるてる坊主作ったのにどうして……。 @ネタバレ終了 地の分は最小限で主人公と進行役ロボの会話がほとんどですが、パッと頭に入ってくる短文の中にゲームに必要な情報がポンポン気持ちよく入って「うわーシナリオが読みやすい!」と感動しました。しかも笑える。 二人の掛け合いを楽しんで、選択肢をドキドキで選ぶとスピーディにシナリオが進行します。プレイ時間は短めなのに「いやぁ色々あったなぁ」と充実した気持ちで振り替えられる密度でした。 エンディング演出もゲームの雰囲気にピッタリで、ふとした時に見返したくなる可愛さです。 楽しいゲームをありがとうございました。
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穴の中僕は建設業バイト!パチンコ好きの先輩や鬼瓦社長との毎日はそれなり!なのに工事現場の『穴』に落ちちゃったその日から日常が恐怖に…。シルエット表示の登場人物+全画面表示のテキストが読みやすさ◎のホラーノベル。怖面白かったです! 最初に見たエンド以降は作者様の攻略記事を参考に90分ほどで全エンドを見ました。 ダレることなく『うーんそうか!次のエンドはどうだ』『あー怖かった面白かった』と駆け抜けちゃう、緩急テンポの良さが魅力です。 主な登場人物が零細建設業で働く、大らかor大ざっぱなキャラクターというのは意外で新鮮でした。 (「ふらりと現れたホラー作家」「考古学者の叔父」「オカルト研の先輩」「心霊スポットオタクで配信やってる友達」的な解説キャラが出てこない現代ホラーこの頃少ない説) 序盤の日常パートはキャラクター描写が短くて的確。テキストとっても読みやすいです。 作品全編の底流にユーモアと「しょうもない人々」への温かい目線があって主人公と周囲の環境にぱっと愛着が持てます。 建設会社の社長が「上下逆にしても人の顔に見えるヒゲオヤジの絵に似てる」って表現、わかりすぎる。 絵を描く方の 「美男美女ではない人の顔を描くのは作画コストが高くて大変。だからゲームのモブは皆顔が整っている」 という言葉を読んだことがあるのですが、人物をシルエットで表現するタイプは「ほとんどのキャラが普通に欠点ある容姿」という描写に強いですね。 おかげで中盤から出てくるシブい神主や、エキセントリックなルックスのヒロインの美形っぷりが際立ちます。文字なのにね! @ネタバレ開始 中盤合コンに合流するシナリオに出てくる女子三人組のリアリティが大好き。 「顔面の圧が強い子・まあまあの薄味顔・ヤドンみたいな子」の組み合わせが生み出す「そこらの合コン」の謎のリアリティ…… (三人のうちひとりがまあまあのルックスというのが「なんか、わかる」の極地です。) すごく緊張するシーンから束の間解放されるくだりで楽しい一幕です。 このゲームは恐怖と安堵・ちょっとした笑いのバランスが絶妙で読み手を飽きさせません。 もうヤドン見るとカラオケボックスの騒音と薄いレモンサワーの味が再生される体になってしまった。 @ネタバレ終了 オカルトなんか興味なさそうな主人公たちが軽率に禁忌の穴に踏み込んでしまって呪いにおびえるという展開。 プレイヤーもブルブルですがビックリ箱型の大きな音が出る驚かせ方やグロ画像はないので、 「ホラーは好きだけどそちら系の演出は苦手」(私そうです…) な方は安心して恐怖することができるかと思います。 いや、怖いんですけどね……。 エンディングはハッピーエンド・トゥルーエンド・お約束の「主人公が非道な選択をした結果エンド」他で6種類。 各ルートそれぞれ面白く、コンプは攻略記事が助けてくれる。 コンプするとより物語全体の背景が鮮明に。 事件の背景もキャラクターたちのその後もきちんと描かれていてスッキリ終わります!回収してない伏線は続編で……みたいなのはナシ! 私が好きだったのはヒロインのチヨちゃんです! 登場時のイベントで 「この子が何者か全くわからない。むしろ境遇は暗くうさんくさいがこの子はええ子や!」 「守りたいこの笑顔」 と思わせる展開、本当にシナリオが丁寧……とうなってしまいました。 中盤からの登場ですが、とても魅力的に描かれていて存在感があります。 遊園地デート(オマケ二名もいるけど)のくだりは、主人公の浮かれた描写がとてもほほえましく 「こんなのみんなチヨちゃん好きになるじゃん……」と読みました。 @ネタバレ開始 立派な家に住んでいる彼女が、中学時代(?)まったくの不登校だったのに 周囲がちょっと奇異に見るだけでスルーしているのは奇妙?と思っていたのですが。 あるエンディングで彼女は長命種であることが示唆されていて「ああ……」と膝を打ちました。 中学生に見えるけど、とっくに中学生じゃなかったんだ。だから担任の先生の訪問も、噂する同級生もいないんだ……。 主人公と彼女に幸あれ…… @ネタバレ終了 とって怖楽しかったです。面白いゲームありがとうございました! あと、ケンちゃんはきっと犬ですよ!タヌキは人になつかないそうです! ケンちゃんドッグランデビューのスピンオフができるといいね!
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兄さんとラブホに入った俺!気づくと弟とラブホにいた!弟は言った「兄さん、俺を抱け!」ヤル気を五七五で表明してくれるがちょっと待って……! 兄弟の愛とすれ違いとやっぱり愛が怒涛の勢いで描かれる短編です。陽太くん(弟)の俳句がしばしば過剰に字余りなのもスビード感特盛です。 陽太くん自由律もたいがいにしないと! BL表現が多いというか、メインの作品ですのでそこはご注意。 また、BL愛好家にとっては「BL的にどんな傾向なのか」という点が気になる所だと思われます。 よってネタバレタグの中で記載します。「そこを知ってからじゃないと不安でプレイできない」という方はご確認ください。 また、暴力描写があります、こちらに不安のある方も確認が必要ならご覧ください。 (ドンとネタバレしてしまうので「なんでも食える雑食だ!来ませい!」という方は見ないでプレイどうぞ) @ネタバレ開始 このゲームは ・自分がゲイであることをさんざんに周囲にさげすまされ、恥じている主人公をスパダリ弟が愛で包む 形式です。兄弟は血は繋がっていません。そのことはゲーム序盤で明かされます。 サムネを見ると ・イケメンゲイの弟があまりにもまっすぐ主人公である兄を愛するので、ノンケ兄もほだされてしまう ようなハッピーアホエロ物っぽく見えますが、そうではありません。 実際は「モブによる凌辱経験のあるボロボロハートの主人公を弟のひたむきな愛が癒す」のような展開です。 ・モブ男子たちが主人公の性指向を知って軽蔑し、いじめ、人前で彼がゲイであることをバラすシーンがあります。 暴力表現にスチルはありませんが、文章の描写はかなり苛烈です。 モブは同性愛者ではなく同性愛嫌いの男子、しかし主人公を性的にいじめることはためらいません。 凌辱ものエロスというより、ひたすら卑劣な行為という印象の描写です。このくだりはそこそこ長いです。 そして、この物語は復讐譚ではありません。悪党どもはとくに傷つくことなく物語からフェードアウトします。 序盤のラブホパートが終わり、主人公の心がひたすら傷つけられる少年期エピソードに入ると、直前まで強引に迫られる主人公のピンチに笑いながら 「がんばれ陽太くぅん!さあさあエッチ♡ エッチ♡」 と言っていた自分の助平心に鉄槌が下った気持ちになるかも……。 (画面前でこのホモネタをゲラゲラ笑ってる私と、モブ男子のやっていることは本質的に同じだわ…!) と考えました。わたくしは。 そのうえで物語は光の陽太くんがなんとかしてくれるので、ココまで読んでOKの方ならきっと! 楽しめると思います。 @ネタバレ終了 さて、ストーリーは短い中にも山あり谷ありですが光属性の極み・陽太くんが何とかしてくれます! 大丈夫!彼は知性以外のすべての人間の善性を備えたスーパーブラザーなんです! 大船に乗った気で身も心も任せるべき! @ネタバレ開始 陽太くんは主人公の人間性を深く尊敬し愛しているから恋人同士になれると信じています。神のような愛の持ち主です。 それに対して、主人公は陽太君を大事に見守ろうという無償の愛とエロスの間で長く葛藤していました。 彼はこのように歩んできた人だからこそ、陽太くんとエロス的な絆を結べるかどうかについては慎重な視点を持っているのかなと考えました。 ともあれ、陽太君の想いを知り自分を卑下することをちょっと控えて仲良くできるようになった。その幸せは確かです。良かった!と思いました。 プレイヤーとしては陽太くんが 「兄さんは……やっぱり……最・高・だ……!」となるところまで見守りたかった(物は言いよう)わけですが、ここは品性と良識のティラノフェスなので、後日談は自分の心で育くんでいこうと思います、 @ネタバレ終了 たのしいゲームありがとうございました。 ご兄弟に永遠に幸あれ!