からし山まよ江のレビューコレクション
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異種間エンパシーサムネを見る→イケメンだ!→「弟系バイオノイドはどこだぁ!レンタルしてやる!」と息巻いていましたが、ゲームを終える時は 「亜子ちゃん、亜子ちゃん、アル君と幸せにな。まわりの人となかよくして、今この時を大事にな……」 と親戚の婆さんになりました。 「あらすじ」の冒頭から、 弟とケンカして←ああ、大変だねー 弟代わりのイケメン人外(バイオノイド)をレンタルする←……えっ? という「プレイヤーとしてはひっかかるポイント」を配置しているのが後々すごく効いてます。 「主人公の亜子と言う人、真面目で家族思いで不器用そう。幸せになってほしいな」と 「いや、でも弟代わりの存在をレンタルって気持ち悪くない?」 の両方の感情が湧く絶妙な所です。 そんな読み手の「なんかひっかかる」をシナリオは過不足なくひろいあげ、亜子の危なっかしい「良い年してちょっとこじれた女の人の成長」を地に足のついた筆致で読ませてくれます。 それも、バイオノイド・アル君とのイイ感じの日常と共に!(拳を握りしめて強調します) あとは何言ってもネタバレですので、生卵握りつぶしたり目玉焼き焼きながらプレイしましょう! @ネタバレ開始 3つのエンドとアフターストーリーは、すべて読むことで一層世界の広がりが感じられました。 ・ハッピーエンドの3があって良かった。本当に良かった。 ふたりが幸せに暮らすことももちろん素晴らしいですが、この先アルの短い寿命が終わっても、彼と心を通わせて生きた亜子ならその後もなんとか楽しみ慈しみを持って生きられるんじゃないか。 それはとても尊いことだよねなどと考えちゃうほど素敵な二人です。 ……もちろん、ご都合主義にバイオノイドが人間並みに生きられる新技術が開発される未来も大好物ですよ、私は!(膝を打つ) 一方、アフターストーリー。 一織くん(亜子がこじらせるのも仕方ないかっこよさ)のパートナー・伊集院の存在にプレイヤーも困惑してしまいました。 バイオノイドの存在に癒されている亜子(とプレイヤー)が、伊集院氏の肉体やその提示する未来に引いてしまうのはアンフェアですよね。 でも、「頭じゃわかってるけど気持ちがついていかない」。 ここでプレイヤーはほぼ完全に亜子と一体になり、人造生命やバイオボディを享受する世界への責任について唐突に真剣になります。 甘さエモさから離れた社会というものがプレイヤーの視界に入りますが、物語の余韻が深まりました。 ……それはそうとアル君とこれからも甘めの日常を送りますけどね~姉さんは!一織!ちゃんと食べて体に気ぃつけてな!(亜子はそんなキャラじゃない) ・そしてハッピーエンドがある安心感から見る、エンド1・2のエモみがエモい! こちらは恋愛悲劇の良さにどっぷり浸かって楽しみました! アル君、短髪が良い。たいへん良い。悪い事覚えたところも良いし亜子に悪いことできないのも全部良い。 これは良い。良いお約束がギュウギュウで良い…(頭が悪い感想しか出ませんが「良い」の奔流を感じてください) @ネタバレ終了 ところで全然関係ないのですが、作品全体に作者様の「イケメンの髪」に対する尋常じゃないエモーションが詰まっていて胸を撃たれ(誤字ではない)ました。 人が自分の好きな物を語ってる時の謎のカロリーはフリーゲームをポカポカにしてくれると思います。 素敵なゲームをありがとうございました。大好きな作品です! アル君に大根のかつら剥きもサトイモの六方剥きも自在のおててをプレゼントできる金持ち亜子になりたいです!(そういうゲームではありません)
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3MEN6P!あたりさわりない紹介をすると「これから高校生活を始める女の子に異変が起きて、お母さんが心配してフォローする。女の子の異変に気付いた新米教師も事態をなんとかしようと家庭訪問に来る」話です。 この解説がなんの意味も持たない無限きりもみ上昇ノンストップギャグでした!サクッと遊んでポカンとして解脱しよう!すごく面白かったです! @ネタバレ開始 スクショを見た時から 「ヒロインのすごい巨乳の女の子、なんか乳の在り方が変だよなぁ。これなんかあるんだろう」 と思っていたのに、彼女がある日阿修羅になってしまったことまで考えが及びませんでした。人の立場や苦労を思いやれる人間になろうと反省しました。 荒唐無稽なギャグなのにヒロインが可愛いしお母さんが色っぽいのがなんか悔しいです! 作者さまの描く「人畜無害そうな若い男」はたいてい根が畜生ですが、今回の先生も小物感いっぱいですごく好きになれました!うちの子の担任にならないところで頑張れ! とにかく画面が動きまくることは多くのプレイヤーさんが感想を述べておられますが、私も「すげー!感動!」と申します。 今までの道のりをふりかえるモードの進撃画面がすごい!すごい! ハチャメチャなストーリーなのに、ちゃんとオチがまとまってハッピーになっているのも嬉しいです。 「荒唐無稽ギャグはこうありたいなぁ」とハッピー系バカゲー制作勢としてはいつも憧れています! @ネタバレ終了 びっくりしてスカッとしました。 猛楽しいゲームありがとうございました!
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車座怪談夏の夜の田舎家で男たちの怪談話。 怪談は体験談でも創作でもOK。3人の話が終わったら……。 前作『穴の中』もとても面白かったので飛びつきました。 今回も読ませる力の強い内容で、一気に深夜の与太話世界に入っていけました。 話は怪奇モノ・生きてる人間が一番怖い系・怖さと切なさの混じるテイスト、 そしていわゆる「ハズレ」エピソード(すごい好き)とさまざま。 話者たちそれぞれの語り口や、夏の世の空気感がそこにいるかのように感じられます。 さりげないのですが、BGMの『しっくり具合』や各背景のこうかはばつぐんだ具合も特筆したいです。 フリーの写真素材の加工だと思われるのですが、すごくピッタリな物をチョイスされています。 @ネタバレ開始 菅原の実家がボロいのに仏壇があって、ゴミ屋敷なのに家族が案外陽気な所。 そして『結婚相談所で会ったすごく押しの強い女』の画像が大好きです。 笑いと悲しみとうんざり感がごちゃまぜになって「生きるってしゃあないよね」 みたいな謎の感慨が胸に湧きました。 @ネタバレ終了 全体的に ・大げさな事をしないのに面白い ・しっくりリアリティがある ・と思っているとめちゃくちゃジワる笑いをはさんでこちらの心を揺さぶってくる ・どんなテイストの話にも底にじわっと『陽気なふてぶてしさ』と 『もう無くしてしまった物をちょっとだけ悲しむほろ苦さ』が流れている といった印象で、非常に独自な魅力を感じました。(ただのファンコールだな) 全部面白かったですが、ネタバレ配慮しつつ好きなエピソードの感想を。 @ネタバレ開始 【仏壇】 大好きです。ぜんぜん怖くないけど! 読み終わった瞬間、他の聞き手と一緒に「何それぇ?」「くだらねぇ!」とブーイング唱和できるところまで含めて面白い。 菅原くんは前作で顔なじみだってので「君、そんなんじゃ駄目だろう!」とうっとうしい親戚目線になってしまいました。 ラブホのライターのスチルも、(こういう素材加工するのって楽しいよな……)と制作者目線で微笑んで見守りました。 六花ちゃんタイプが「しょうもない子けどしょうがないよね」的に描かれているのがゲームの世界ではすごく珍しいですね。 主人公たちの造形も含めて、市井のなんでもないけどちょっと面白い人々を温かく見ているムードのファンです。(前作もそうだった) 【ジッショー】 違和感としょうもなさで「また面白いハズレエピソードだなぁ」と思っていたら、 最後にジワッと不穏に反転させられるのがお見事。意味がわかると怖い系叙述のお手本のような話の運びです。 謎の三人組のディティールが物悲しくてすごい好き。手がクリームパンだけどつやつやじゃないんだ、きっと。 うらぶれたおっさんたちを見ている奥田たちの評が容赦ない(笑えるけど)のも、若さですよね…。 【ぬらりひょん】 個人的には一番怖くて不気味でした。ヒェッ。 訳の分からない他人が自分の家を侵食していく様子がリアルで、家族の行動を縛る理不尽な規則や罰がひとつまたひとつ増えていく様に息を飲みました。 あまりに「嫌だけど目が離せない」魅力があり、この路線で中編を見たいような…… でもやっぱり【仏壇】ノリの長編(長編きびしくね?と六花ちゃんが言う)も見たいような。 作者様の引き出しの多さにうなりました。 変なおっさん出て行って良かった。怖かったです。 【渚のフェス】 BGMのゆるさが小さな海辺の町の「一応フェス」の気分にすごくマッチしていて、 なんとも切なくなる良い一編です。夏にくり返し幽霊が来る話は、夏にくり返し見たくなるエピソード。いちばんエモかったです。 怪談ではないけど、あくる朝の菅原祖母のたたずまいや、 帰路につく主人公が昨日の夜を楽しく思いつつ (菅原の友人たちにまた会うことはないだろうな) と述懐するあたり。 感傷のひたり方がドライで、かえって田舎家の一日の楽しさがかけがえのない印象が強まりました。 (あの家、きっと犬のケンちゃんがいるし!) @ネタバレ終了 素晴らしい車座怪談の夜でした、楽しいゲームをありがとうございました。
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こりこり
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岐阜バーチャルフェスで大きく「岐阜」とだけ書かれたブースが目を引き 「2分くらいで遊べる」というガイドにもつられて、ふとプレイしました。 細部のそぎ落とし方にセンスを感じる内容で、「こんな岐阜が全岐阜無料だなんて世の中捨てたもんじゃないな」と笑顔でゲームを終えました。 2023年明け直後の思い出です。楽しいゲームありがとうございました。
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市立タイマン学園 ~LEGEND OF DELINQUENTS~廊下を歩けば不良に当たる、マッド博士に改造される、PTAに参加させられる! (これ一番理不尽) 治安悪すぎタイマン学園で並みいる不良をブチのめし不良の頂点に立ちました! 喜びの感想です! タイマンで勝ったら得られる漢ポイントで不良ケンカスキルを伸ばして 「ぼくが考える最強の不良」になるRPG、勝利と敗北の繰り返しが面白くてゲーム遊んだなー!という嬉しさでいっぱいです。 マップは直線のみでダンジョン迷子要素ナシ・スキルを得るためのポイントやお金を貯めるのは比較的容易。 今のゲームはこれくらいのテンポ感が良いと思いました。 ただ、ラクラクとお金やスキルポイントをためるのにはそれに見合った「性格」を手に入れる必要があるのでいたずらにヌルくはなってないです。 DIGITALL様のシステムですっかりおなじみになった性格システムのおかげで ランダムイベント中心の学校内探検も単調になりません。 イベント発生!→ ?なんかサラッと過ぎたorマイナス効果があった →「〇〇の性格ならちがった展開があるかも」とメッセージ という形で、次はどうなるのかな?どうやら良いコトが待っていそうだぞ、 と繰り返しプレイへのモチベーションが切れません。 成功への導線作りや、二度手間を省くためのシステムが丁寧で 学園の空気は昭和ですがプレイアビリティは令和! (二週目のサクサクプレイのための快適ギミックすごい。マルチエンディングゲームならこうしたいものだなぁ…とうなりました) 主人公のバトルを支えるダチ(固有エピソードのあるNPC)や舎弟(モブNPC)は個性豊かでパロディ要素がたくさん。 でも、元ネタがわからなくても治安が悪いのにワチャワチャ明るい楽しい学園のムードは伝わると思います。 パロは東京のかっこいい不良・ファッショナブルなイカ・逃げ上手プリンスのような鮮度高めから インターネット老人(私です)向けまで「ようこんな思いつきましたな」というボリュームです。 各プレイヤーがそれぞれの「こんなの誰がわかるんだ」系パロディに釣られるさまが見える……。 @ネタバレ開始 みんなは何に釣られた? 私はバーフバリとオーマイワカメ! 学校の一室にマ〇チと前〇太尊とガ〇ジーがいる絵を思うとほんと笑いを禁じ得ない。 ド暴力不服従! @ネタバレ終了 仲間が多様なスキルで主人公を支え、敵はだんだんいやらしいスキルでこちらを苦しませます。 中盤以降のバトルは互いの特殊攻撃が乱れ飛ぶにぎやかさで、とにかくバトルが面白い! (もうタイマンじゃないじゃん!というツッコミは歓迎されているはず) @ネタバレ開始 最終盤、こっちの取得した性格を消してくるザコを遭遇したショックはマッカビームクラスでした。 ただし、拠点に戻ればてぢからパワーで性格を復帰させてくれる要素があるのでキーッとなるけどプレイを放棄したくなる理不尽ではない。 このへんが絶妙ですね。 不撓不屈が消えたら拠点に逃げ帰ります…… @ネタバレ終了 ふたりのヒロインはお嬢様とスケバン。 対照的ながら二人とも良い子で終盤のビ〇ンカフ〇ーラが悩ましい。 @ネタバレ開始 ミキちゃんエンドをみました。終盤になるにつれて二人のヒロインが互いを思いやる展開も良かった。 エリちゃんも幸せにしなきゃ! 硬派な不良は一途なものと思いつつ、軟派ハーレムエンドの夢もちょっと見てしまうくらい魅力的… @ネタバレ終了 めちゃくちゃアツく楽しい、ゲームだぜってゲームありがとうございました!
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東京オディエットアモ 大篠八雲編実家の没落で貧乏になった主人公。(はかなげなルックスながらバイタリティがカンスト) 飛びついた高額バイト先は華やかで狂騒的な仮面舞踏会。 そこに集うクセと魅力の強い男子との出会い、数日の間に怒涛のように……。 女性向けの王道中の王道を、「このジャンルを永遠に輝きさせ続ける」という気迫で作った印象の力作! 設定・メインキャラのビジュアル・要所で使われるヴォーカル入りのBGMも全て『このジャンル』のケレン味がたっぷりです。 それが高クオリティで、作品に没入度を深めてくれて感動しました。 多くの方が感想で述べられてますが、ヴォーカルBGMの使い方の巧みさは他に例を見ないレベルです。 制作者目線で見ると「はぁー個性が強い要素を使いこなしてすごい!(語彙がない)」という感想を強く持ちました。 柄×柄でおしゃれにトータルコーディネートする、のような凄みです。 (PVもおしゃれだったなぁ) シリーズ全てシナリオの土台にシェイクスピア作品があるのが特徴のシリーズですが、今回の元ネタは『十二夜』。(原作知らずで検索しました。ぐぐれば出てくる有名人で助かる) 今回の攻略対象は弁護士の大篠八雲。タレ目でクセ毛でスーツです。(重要な点だ) 原作は女の子が男装して身分を偽り、ハイスペック男のお付きになり……というお話。 フィクションならではのハッタリ満点の設定が、本編でもしっかり生かされてました。 @ネタバレ開始 男装ジュリちゃん、清潔なのになまめかしい美しさで新鮮でした。とりかへばやは良い…… @ネタバレ終了 女性には損得勘定バチバチでジェントルにふるまう大篠先生が、 主人公を男子と思って雑で無邪気にふるまう展開がユーモアと可愛げにあふれてました。 (くっ、こんなめんどくさい男を『意外と……』なんて……!) と作者様の掌で踊らされる喜びです。 @ネタバレ開始 東京タワーを階段で昇る画像多数、臨場感バツグンでした。 ジュリちゃんの怒りと疲労に共感できて主人公を好きになってしまう楽しいパートです。 @ネタバレ終了 ノベルはきっちりした構成・しつこくない描写(要所でドンと行く!)・テンポを重んじていて、全体に足し算引き算がすごく巧みな作品だなーと思います。 (足し算掛け算ばかりで制作してしまう癖があるので見習いたいと思いました。本当に) そして大事な事! @ネタバレ開始 朴さんルートを正座で待っています。どんな話になるのこの人……。 @ネタバレ終了 平成ゴージャスがキラキラのキラキラ! 堪能しました! ありがとうございました次を待っています!
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おもいをつたえるプログラム内気な主人公の恋路を応援する可愛い女の子AI! 彼女と一緒にミニイベントをクリアしてリア充を目指す! でもその方法は「イベント内容がわかる前に、行動を選択する」……? これだけで楽しさがモリモリ伝わります。 AIのピアちゃんも憧れの女の子・千風瑠ちゃんもとっても可愛いモデルで、 「主人公の青春華やぎすぎー」と言いながら楽しく遊びました! @ネタバレ開始 ハイスペックヒロイン・千風瑠ちゃんが心根が素朴で良い子なのが令和だなと思いました。 平成初期だと、ハイスペック化した主人公にデレるまでに容赦ないタイプでしたよね。こういう子……。 @ネタバレ終了 シナリオ開始前に選択肢を選ぶということで、 ・選択がうまくいかなかった時の失敗展開が面白いか? ・失敗からのリカバリーが容易か? というのが大事なポイントだと思うのですが、どっちも素晴らしく遊びやすさの点でも大満足でした! @ネタバレ開始 村長と不良がだんだん好きになるのゲーム。 不良と一緒に下校して告白するよね、みんな! @ネタバレ終了 ポップでさわやか可愛い作風がとっても好きです! 楽しいゲームをありがとうございました!
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ゆうれいやたい夜働く人がお客に幽霊を迎えてしまう話は昔からありますが、こちらは不幸にも若くして亡くなった主人公幽霊が自分で屋台を切り盛りするという珍しい切り口。 なんでもあの世には「成仏できない霊を働かせて都市伝説を運営する」お仕事があるそうで……(経営シムでやってみたい位面白い設定だわ) 成仏できない、といっても主人公は飲食業で独立を夢見ていた働き者というキャラクター。なので人を呪わずにコツコツ屋台でお客さんを喜ばせていくのです。かわいい。 屋台にやってくるお客さんが明るくケロッと都市伝説体験を謳歌しているのが今風ですね。こういうシチュエーションで女子高生はいつも輝く…… このまま売上を上げてメガ屋台に発展したり激バズ都市伝説になるのがゴールなのか? 主人公はそういうギラギラしたタイプに見えないけれど……。 と、思った頃に来る男性客とのエピソードでゲームはしんみりさわやかにラストを迎えます。 悲しいけどとても優しい、読後感のいいストーリーでした。 途中来店する少年のエピソードもラストから振り返ると効いています。 短くも起伏のある構成で先が気になりつつ読み進めました。 それにしても主人公もこのゲーム内の「あの世」の仕組みも魅力的です。 第二弾で「メガゆうれいやたいつくーる」は無いのかしら…… (読後感台無し) 素敵なゲームをありがとうございました
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LOST AT SEAモノクロのドット絵と物悲しいチップチューンが描く「食べる事」の短いお話。5分ほどの短編ですが余情があって、もう一度はじめから見返してしまいました。 ストーリーはほぼ、主人公"Foxy"(長い耳を生やしたチェックシャツのキツネ?の若者?)の独白で占められています。 断片的な言葉や印象的な一枚絵からほんのり浮かぶストーリー、 そしてFoxyの痛みに思いを寄せたくなる一編です。 @ネタバレ開始 このストーリーに答え合わせや正解の解釈もないのですが、 一応「みたまんまだとこんな話っぽいです」というネタバレ記述を。 キツネっぽいFoxyと友人(?)のクマっぽいPolarの沈痛なやりとりから ・この世界は二足歩行の擬人化系知的動物たちが暮らす世界 ・彼らは普段ダイナー風の食堂で食事をして、スマホを持ち、 文明人然として暮らしているが、弱い動物系住人が強い住人の 食料になってしまう野生の掟から誰も逃れられない ・彼らは知的であるがゆえに『同じ町の住人同士で喰う・喰われる関係があること』にストレスを覚えている。喰う側もほんとはしんどい。 (鳥系の友人の死に直面して、チキングリルを食べる気が失せてしまうくらいにFoxyは繊細だ) ・共通の友人?のハトのような住人は喰われてしまったようだ (Foxyたちが食べた感じではないようだけど……わからない) 問題に解決の道はなく 「誰かの命を食べないと生きていけない」 という命題を前にうなだれつつ寄り添う二人です…… という物語だと思われます 舞台やストーリー展開はまったく異なるのですが藤子不二雄の『ミノタウロスの皿』をちらっと思い出してしまうような静かな悲しみがズンとくる作品でした。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。