白玉ユキトのレビューコレクション
-
恋に落ちてはいけない20分相手が既婚者で自分の好感度を上げてはいけない。これでどう物語を展開させるのだろう、と興味津々でプレイを始めましたが、面白かったです! 何もせずとも上がっていく好感度に「これもう恋してるよね」と笑いつつ、指輪を見て気持ちを落ち着けるさつきちゃんを応援しながら、初回はEND1に到達しました。 @ネタバレ開始 プレイしていて「これは惚れるな」と思ったのが、弱音を吐いた時にめちゃくちゃ見てくれているのが分かった時です。立場上、自分だけに注目しているはずがないのに、とグッと来ました。弱ってる時にこれは駄目ですよ笑 END1は良好な関係を築きつつ「やっぱり普通はそうなるよね」という感じで、その後END3で距離の遠さにショックを受けて、END2で予想外の行動と結果にダメージを受けながら、ヒント機能を使ってEND4を見ました。 これが本当に驚いたんですよね。 丹羽さんは既婚者でさつきちゃんに気はないと思っていたし、これだけ周囲をよく見ていて気配りできる人が家庭内で不和を起こす姿は全く想像できなくて、レストランで指輪がないことが発覚した際には「は!!?」と結構大きめの声が出ました。 ここが納得できずに集中できないままエンディングを迎えてしまったわけですが、その疑問はEXTRA STORYでストンと腑に落ちました。相手が優秀すぎるとこうなってしまうんですね。 向いている方向が違った旨が彼の口からは語られていましたが、むしろ夢を錯覚したりして無意識に彼女に寄りかかってしまっていたことのほうが響いていそうですね。自分の幸せを相手に委ねているわけですから。 ラストのシーンで、さつきちゃんはデートの服装に気合入れてるのに、丹羽さんはむちゃくちゃラフで笑いました。いつもスーツで決まっていた分、落差で余計におかしかったです笑 @ネタバレ終了 ハートが増減する演出や、選択肢がカシャンとなる動きがオシャレでいいですね。 END4を見るためのサポート機能も非常に助かりました。 素敵な作品をありがとうございました!
-
美少年の下僕(?)になりました美少年の泉希くん、下僕とか言っても笑顔でおちょくってきても絵になるのはずるいですね。声も良すぎでは。お兄さんとのやり取りも上手くはまっていて楽しかったです。 お兄さんの理人さんも出てくるだけで楽しい人で、自分も一緒に過ごしたいなぁと思いましたが、実際そばにいたらやっぱり鬱陶しいかなとも思いました笑 @ネタバレ開始 泉希くんのルートからプレイしましたが、下僕ライフを送るのかと思いきや特に何もなく、じゃあ何なんだろうと思っている間に流れるように話が進んでラストまで行っていました。お兄さんのルートもそうですが、無駄なくスムーズな展開で読みやすかったです。 そして、彼の過去の重さには驚きました。人を遠ざけながらも彼自身このままではいけないと思っているだろうし、また恐らくは姉の気持ちに応えたいという思いもあって、でも同時に、自分に誰か大切な人ができた時に父のようになってしまわないかという不安もあったと思うんですよね。そこにすっと入ってきたのがカナちゃんで良かったなぁ、と心から思いました。自分の過ちを笑って許してくれたことで、とても救われただろうな、と思います。 声優さんのトークで、とても気を遣って演じていた旨が話されていて、確かに泉希くんは一歩間違えればすごく嫌味なキャラクタになったよな、と演じ方や心構えに非常に感心してしまいました。見事に演じてくださってありがとうという気持ちです。 お兄さんのルートも意外な話でした。普段のおちゃらけた部分が鳴りを潜めて、妹思いの優しいお兄ちゃんでした。児童向けの作家を目指しているというのは意外でしたが、その成り立ちには納得感がありましたし、同じように寂しい思いをしている子供たちのために話を書いていくんだろうな、と彼の優しさを感じます。お兄さんのシスコン具合も、両親があまり家にいない分「俺が守らなきゃ!」って気持ちなんでしょうね。 お兄さんのルートは、何気ない話に見えて、カナちゃんがいかに兄から守られて大切にされているかに気付くお話だったのが好みでした。 あと、いざとなれば1週間口を利かないと脅せばいい、と容赦のないカナちゃんには笑いました。 「俺だってまだ(お姉さんと)呼んだことないのに!」もすごく好きです。そりゃそうでしょうよ笑 おまけのタコパも良かったです。4人ともがとても楽しそうで、家族という間柄に思う所のありそうな者同士、もう家族になっちゃえばいいのに、なんて思いました。 @ネタバレ終了 おまけまで含めて、楽しくプレイできました。ありがとうございました!
-
イマジナリーフレンド過去作をいくつか遊ばせて頂いていたのですが、今作もやはり面白かったです。序盤からテンポよく展開が進み、だれることなく話が転がっていくので、とても気持ちよく読むことができました。 赤点常連の成瀬くんがふと呼び出してしまったイマジナリーフレンドのアサトくん。彼にテストの答えを教えてもらって満点を取り、調子に乗り始める辺りで、もうかなり不吉な予感がひしひしとしておりました。これでそのまま成功するわけがないですからね。 頻繁に見る謎の夢から始まり、一歩進むたびに現れる新たな要素に引っ張られて、物語がどこに着地するのか、全く掴めませんでした。ラストの展開も完全に予想外で、まさかそう来るとは、と驚きです。 @ネタバレ開始 序盤中盤の流れから、ここまで明るく美しいエンディングを迎えられるとは全く想像しておりませんでした。成瀬くんの秘密はいつばれるのか、アサトくんの正体は何で目的は何なのか、そうしたダークでロジカルな部分で物語が進んでいたはずなのに、気付けば友情の物語になっている。 ここの転換が鮮やかすぎて、しばらく呆然としていました。こうまで大幅に転換するとどこかで無理が出そうなものですが、それが全然ないんですよね。過去を夢として見せて共感させる、というのが成瀬くんだけではなく、プレイヤーにまで届いているのでしょう。「僕はずっときみのそばにいる」とか「幸せにするために来た」なんて怪しさ全開の台詞が、全て正の意味にひっくり返るのも本当に見事でした。 亜沙人くんも他に方法がないから乗っ取ろうとしていたけれど、やはり本心では望んでいなくて、自分が死んだことは受け入れているし、短い時間ながらも友人と日常を過ごせたことで少しは満たされたのかな、と想像します。バッドエンドでは無理やり乗っ取りますが、その場合は描かれていないところで、ノーマルエンドの成瀬くんのように、しこりが残ったようにも思います。昔からの唯一の友達ですもんね。 最初のうちは、赤点からいきなり満点を取った成瀬くんが不正を疑われないので、「都合が良すぎる。これは成瀬くんこそがアサトくんのイマジナリーフレンドなのでは」なんて疑っていましたが、違いましたね。 師匠のイラストが出た時「あ、この人は!」ってなりました笑 @ネタバレ終了 妹の蕾ちゃんも可愛かったです。序盤の冷たい態度もあって、嫌われてるのかな、なんて思っていましたが、実際にはめちゃくちゃ兄思いのいい妹さんでしたね。ゴス系の服にピンクの部屋というギャップも、なんだかおかしかったです。 素敵な作品をありがとうございました。
-
タイトル未定物語にどっぷりと浸かり、気が付いたら読み終えていました。最初から最後まで、ずっと気持ちを引っ張られたままで、最後にはしみじみと温かな気持ちになりました。 皆さん「文章が良い、構成が良い」と書かれているので楽しみにしていたのですが、本当に良かったです。直接に文字として書かれていない心情や距離感がふわっと浮かび上がるのが特にすごいなと思います。 また、最初に主人公のやらかしが提示されるのですが、物語はその事実になかなか触れてくれません。こうした構成なら大抵は読んでいてもどかしさを感じるのですが、本作の場合は全く気になりませんでした。人魚の存在や家族との関係など、他に気になる箇所がたくさんあることが寄与しているのかな、と感じました。 @ネタバレ開始 自分の正しさが他の人と違った時にどうするべきか、という問題は現実でもままありますが(往々にして他に合わせるしかないわけですが)、ここが物語の芯に据えられているのは珍しい気がして、興味深く読ませて頂きました。 作中では人魚というファンタジーな題材で包んでありますが、実際には作中で触れられた虐待のような形で、なかったこととして扱われたりするのが辛いところですね。 自分だけが人魚を見たことによる「依織くんの自分を信じられない問題」は最後に解決するわけですが、誰もそこに触れていないのに結果として解決されている、というのが目を瞠りました。押しつけがましさが全然ないんですよね。「兄ちゃんのために」とか言わないし、「人魚が助けたんだ」とか言わない。冴ちゃんもただ自分の夢のために絵を描いただけ。それが巡って依織くんの欲しいところに届く。この辺り、堪らなく好きなポイントです。 最後に人魚ちゃんとは会えなくなってしまいますが、それもファンタジーとの別れが成長のメタファーになっているのかな、と感じました。 @ネタバレ終了 登場人物たちも一度きちんと話し合えばすぐに解決しそうなのに……なんて見ている側としては思うのですが、実際はそれがなかなかできないものですよね。最後には人魚の存在を軸にするっと解決したのが見事で、また全てのわだかまりが解れて良かったなぁと思いました。 素敵な作品をありがとうございました。
-
反動のクラウドレイジ FREE BATTLEコマンドバトル! 多数のキャラクタにそれぞれのカットイン(カッコイイ!)、スキルの設定に装備のカスタマイズ……作る側では考えるだけでも気が遠くなりそうです。すごい。 本編は未プレイですが、ワールドトリガーみたいな雰囲気でワクワクしますね。マップを散策してキャラクタの会話を聞きながら、しばらく世界に浸っておりました。この世界観でこの人数、大作の予感がひしひしとします。 編成は頭がこんがらがってくるので自動編成に頼りましたが、鳥居さんの999ロマン砲が熱いですね!(そして外して死ぬ) 決まった瞬間が気持ち良かったです。 後は敵の行動に合わせる戦術なんかもあれば、もっと攻略している感が出るのかな、と思いました(溜め攻撃にガードを合わせるとか)。 終了時の任務報告書もオシャレでした。面白かったです! @ネタバレ開始 「ぜろぱにっく」めちゃくちゃ増えて笑いました! @ネタバレ終了
-
雫トップのイラストはいつ出るんだろう? と思いながらプレイしていましたが、出てきた時には台詞も相俟って、ニヤニヤしてしまいました。 統一された色調や要所に出てくるアニメーションも雰囲気があって、とても心地よく読み終えられました。 @ネタバレ開始 エンディングの2人の光景が青春って感じでいいですね! よく見ると先輩、全然掃除してないですが笑 @ネタバレ終了
-
暗がりに咲く花一人の男性が初めて触れる恋という感情を、とても丁寧に綴られたお話でした。 恋愛そのものではなく、恋によって動く感情を描く、というのはあまり見ない切り口で新鮮でした。 @ネタバレ開始 そして、終わる瞬間がとても綺麗で、それは作品全体を考えるとそこ以外はあり得ないのだと思い至りました。恋愛が成就して、あるいは破綻して……と、そういう物語を想像したくなりますが、作品のテーマからすれば結果は無粋ですよね。描かれた内容の本質ではありませんから。 @ネタバレ終了 短い時間で読める、しっとりとしたお話でした。ありがとうございました。
-
はこにわのみこプレイしていて、本当にかわいい作品だなあと思いました。 絵本のような画面で、眺めている部屋の中で、少女アニーとあくまのクロのやりとり、そしてぴょこぴょこと動くさまを見ていると、本当に癒されます。ビジュアルの破壊力が強い。 しかし悪魔は悪魔、何か裏があるのでは……と勘繰ってしまいましたが、そんなことはありませんでした。本当にただ優しいばかりの悪魔でした。 @ネタバレ開始 お花は鳥が持ってきたと嘘をついたり、内緒のものはベッドの下に隠したり、子供らしくて可愛かったです。クロが魔法陣を踏んだ時に人間に対して思ったことも、もしかしたら同じ感じだったのかな、と少しおかしくなりました。 おまけシナリオでの裏事情を知ると、なんだか悲しいような切ないような気持ちになりました。本当にただの女の子だったのですね。個人として大切にされていない中で、アニーちゃんはよくぞ健やかに、そしてたくましく育ったものだなぁと思いました。 @ネタバレ終了 ふわりとした手触りの、温かくて柔らかいお話でした。ありがとうございました。
-
スクールシャークB級サメノベルということでパニックホラーものを想像して読み始めたのですが、その実、よく練られた物語で、予想外の方向にどんどん転がっていくのが面白かったです。 話の展開ペースがちょうどよく、間延びすることなく物語が動き、これはもしやと思ったタイミングで真実が明かされていくので、とても気持ちよく読み進めることができました。 そして、終わり方はきっちりとツボが押さえられていて、やはりこうでなくては! と不思議な安心感がありました。 @ネタバレ開始 三人称で書かれているな、と序盤から気になっていたのですが、主人公を敵側に持っていくなら、それがベターですよね。一方で、開始早々のサメに襲われる緊迫した場面では、状況説明が多くて焦りが伝わりづらい感じがありました。 読むごとに、設定がめちゃくちゃ転換しているのに驚きます。剽軽な浅井が最後には過激なまでにきっちり任務をこなしていたり、信頼できそうな探偵の橋本が脅迫してきたり、イジメをしていたという中居の鞄が落書きされていたり。初めはいい先生に見えた渡辺も、事情が明かされるに連れて、きな臭くなっていくのもいいですよね。 渡辺の人付き合いの下手さや要領の悪さがちらほらと覗いていたのも、ラストの展開を考えれば納得で、保身ばかり考える人間への嫌悪も同族嫌悪だったのかな、と思いました。最初に消された高柴も、結局は渡辺にとって邪魔だったということになるわけで、もう何がどこまで本当なのか、分かったものではありませんね! @ネタバレ終了
-
【謎解きx脱出!】ありすえすけーぷありすえすけーぷ、最高にcoolなゲームでした。 開始してすぐに分かるクオリティの高さと、フルボイスでよく喋る豪華さ。 初回プレイではオープニングをさくっとクリアした後、本編は一切解けずにCエンドでした。何も起きない……。 @ネタバレ開始 そしてマウスの誤操作でバックログが開いて判明する仕掛け。そういう仕掛けか! と、そんなのアリか! と驚きました。自分はアプリの「Blackbox」を思い出しました。 その流れで解こうとして、廊下で跳ねるようにリズミカルにクリックしたり、美術室で摩擦熱で発火させようとマウスを動かしまくったのは私です。違うんかい笑 システムを使ったものと普通の謎解きと、2種類あるので、思考の飛ばし方で迷子になりますね。 結局ヒントを見て突破しましたが、昇降口のはそれでも分からず、長時間詰まってしまいました。改めて考えれば手掛かりはそこら中にあったので、本当に上手な作りだなと感心しています。 ただ、下ネタが割と直球だったのは、なんかつらかったです。。。 @ネタバレ終了 プレイしていて、これは皆さん遊んで絶賛するよね、と納得しきりでした。 驚きと発見の詰まった内容でした。ありがとうございました!