灯野ともるのレビューコレクション
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儚き魔術師は虚無に棲む高校生の頃、数学に片想いしていた気持ちを思い出しました。数学って美しくてロマンがあっていいですよね!0なんて、加算や減算では全くの無力なのに、乗算では強制的に自分と同じ0にする反則級の力を持っていて、究極のギャップ萌えだと思っています。 ……と、数学を好きではあるのですが、恥ずかしながら、1+1=2の理由を、このゲームをプレイして初めて理解しました。そして、解説を読んでも、一部「?」となる箇所がありました。所詮片想い……。 理解しきれてはいませんが、数学の性質と魔法の性質が繋がっているところがとても魅力的でした。もっと読みたいと感じました。 @ネタバレ開始 True Endで猫さんの想いを知ったときには「ああ……」とため息が出ました。目的のために悪にさえなる姿勢には、胸をうたれました。 @ネタバレ終了 数学への愛をたくさん浴びれて満足です。ありがとうございました!
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暗がりビオトープ色数を抑えたオシャレな画面と、人の温かさを感じる人間ドラマが魅力的な作品でした。 このようなゲーセンに行ったことはありますが、薄暗くて近寄りがたい印象でした。なので、作中での描かれ方は新鮮でした。 大人と子どもの距離感の違いとか、ユーキの置かれた状況とそれに伴う心境変化とか、自分の居場所とか、やりたいこととか……、私の中の言葉にならない部分にクリティカルヒットしました。 @ネタバレ開始 特に、ユーキにとってラックがいかに大切な居場所だったのかということ、ミホさんとサクラバさんとユーキの3人がバラバラになってしまった切なさ、ラックから巣立っていくユーキの姿に胸を撃ち抜かれました。何をどう良く感じたのか、全然言葉にできませんが、とにかく良かったです。こういう話、とても好きです。 最後のサクラバさんの手紙にはうるっとしました……。家族ではなく、年も離れているけれど、大切に思ってくれている人がいるのは、本当に素敵なことだなあ……と思いました。 @ネタバレ終了 やるせないことは往々にして起きるけれども、それでも人の優しさや希望を信じていきたいなと、温かい気持ちになれる作品でした。ありがとうございました!
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天使の飼い殺しとにかく、映像と文章の融合表現がすごい作品でした!スクロールして文字がなめらかに天井へ動いたときには、感嘆しました。ティラノでこんなアニメーションを作れるのですね……! 短いものの、ストーリーも印象深かったです。 @ネタバレ開始 天使の台詞が分かったときには、切なくなりました。 飼い殺されるのがまさかそっちとは……、驚かされました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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黒い獣と契約の夜このゲームをプレイ後、しばらくは涙が止まりませんでした。涙が止まった後は、ため息しか出てきませんでした。どのポイントがそんなに刺さったのか、実は自分でもよく分かりません。とにかく良かったとしか言えません。 「即死」を避けるための行動を模索する探索要素のある、美しいグラフィックで描かれた、切なくも温かい作品です。 最初は、「バッドエンドが20もあるのは多いな」と思っていたのですが、実際にプレイしてみると、いつの間にか埋まってしまいました。今思うと、バッドエンドを集めるのも、トゥルーエンドににたどり着くために、必要な過程だったと感じます。攻略しやすいゲームが多い昨今、このような作りは新鮮でした。ただ、自力攻略できず、8つくらいは攻略に頼りました。 次第に埋まっていくエンディングリストが、美しかったです。整然と並んでいないことが、主人公の心の在り方とリンクしているように感じました。 また、文章が前作からかなり進化している気がしました。読みやすかったです。 @ネタバレ開始 いきなりバッドエンドなのはビックリしました。冒頭の演出からゾクゾクして楽しめました。3日目をどう乗り切るかが難関で、ここから攻略に頼ってしまいました。 ところどころに表れる、「ここにきて無気力とか」や「そっ閉じ」のようなユーモアのある言葉遣いには笑ってしまいました。 序盤のバッドエンドで出てくる怪物が、最初は恐ろしかったのですが、物語を進めていくと、シロさんがどうしようもない悲しみを抱えている姿に見えてきて、胸が苦しくなりました。 クロちゃんENDでは、クロちゃんの気持ちが分かるような気がして辛かったです。クロちゃんは、自分の短所も含めて全部受け容れて、そのうえで堂々としているところにすごく惹かれました。涙をこぼすシーンには、ぎゅっと胸が苦しくなりました。ぴょこぴょこ動く通常のクロちゃんも可愛くて好きですが、やはり弱さこそがクロちゃんの最大の魅力だと思いました。 でも、どちらかと言えば、シロさんが好きです。シロさんはツラい境遇で生きてきたからこそ、人にやさしくできるんだろうな、と思いました。リアちゃんが倒れた時に、一生懸命に介抱するシーンは印象的でした。 また、全体的に表情のわずかな変化が絶妙でした。言葉にできない何かが伝わってくるようでした。特に、Happy Endに分岐した後のシロさんのスチルやTrue End終盤のシロさんの表情変化には心を打たれました。 True Endは衝撃でした。「皺が似合っている」と言われたのはそう言うことだったのですね。シロさんの「お前が幸せならそれでいい」にはうるっとしました。シロさん……!(以下言葉にならない叫び) この作品は、私の心の宝物になりました。 @ネタバレ終了 この三人が出会えて本当に良かったなと、しみじみと思いました。心の奥の深いところに優しく寄り添ってくれるような、温かくて素敵な作品でした。ありがとうございました!
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役所のほうから来ました!タイトルとサムネのインパクトに惹かれてプレイしました。ホラーは苦手ですが、問題なくプレイできました。 貢平さんの序盤から漂う胡散臭さがツボでした。彼が何者なのか気になって夢中でプレイしました。 バッドエンドになってもすぐに戻れるので、助かりました。せっかくなので、バッドエンドを全部回収しながらプレイしました。 @ネタバレ開始 2人目以降の住人が驚きの連続で面白かったです。毎回貢平さんのツッコミが的確で、笑ってしまいました。特に掛け軸で会話する引きこもりちゃんが可愛かったです。 終盤に貢平さんの前職と境遇が分かって良かったです。元結婚詐欺師……。色々と納得でした! ラストに出てきた社長の姿にもまたビックリしました。彼らのこれからが気になります。 @ネタバレ終了 楽しかったです。ありがとうございました!
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メドゥーサと目を合わせると死ぬゲーム。メドゥーサと話しながら、目を合わせるか、合わせないかの選択を迫られる話。イラストや効果音の使い方がとても効果的で、独特の不穏な雰囲気を漂わせていました。 @ネタバレ開始 イラストや効果音、統一感のない話し方から、じわじわと終わりが迫っているのを感じ、どんどん切ない気持ちになりました。黒ずんでいくメドゥーサが悲しかったです。 主人公は人間の男で恋人だと思っていたので、正体が分かったときは驚きました。 どのエンドも、結末は変わりませんが、ハッピーエンドは、その結末に至るまでの過程にとても心揺さぶられました。メドゥーサの顔が表示されたときには、ハッとしました。 @ネタバレ終了 最後は温かい気持ちになれました。ありがとうございました!
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【謎解きx脱出!】ありすえすけーぷいつありすちゃんの限界が来るんだ……!?とドキドキしながらプレイしました。 最初は、5クリック以内に謎解きの条件を達成するという意味が分からなかったですが、分かったときには、「なるほど!!」となり、面白かったです。謎解きの難易度は難しすぎず、ちょうど良かったです。 なお、アクションゲームの苦手な私には、バスケは厳しかったです。バッジをコンプしたかったのですが、無念です。 ありすちゃんの会話では、クスッと笑えるものが多くて楽しかったです。 最後まで遊んだあとのやりこみ要素も豊富で、面白かったです。色んなアイテムの収集も楽しめました。 @ネタバレ開始 意外とDエンドへの道のりが遠かったですが、よく考えると、色々必要ですよね……、と納得しました。 @ネタバレ終了 プレイしていて楽しかったです。ありがとうございました!
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シラユキ探偵とクロネコ助手 アイドルオーディション殺人事件難しすぎない王道ミステリーでした。考えれば分かるレベルの難易度がちょうど良かったです。ミステリーは、いつもなんとなくで読んでしまうのですが、このゲームは選択肢を選ばなければいけないので、ちゃんと自分の頭で考えられて楽しかったです。真相も、とても納得できるものでした。 @ネタバレ開始 ロゴやイラストの可愛さと、明かされる真実の闇深さのギャップが、とてもパンチがきいていて良かったです。 仲の良い子が亡くなったのに、悲しむより推理を始めた主人公の行動に違和感を覚えたのですが、伏線だったのですね……!主人公がメインキャラだと思っていたので、見事に騙されました。さすがです。 @ネタバレ終了 楽しいミステリーでした。ありがとうございました!
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はこにわのみこほのぼのと可愛いイラストに癒されながらも、それだけじゃない魅力が詰まっていました。最後までクリア後、続けてもう1周しました。 短い作品ですが、ハッとさせられるような言葉がところどころに散りばめられていて、とても味わい深かったです。 また、日記とイラストだけでアニーちゃんの置かれている状況が徐々に分かってくるのが楽しかったです。アニーちゃんとクロの些細な所作にそれぞれの性格を感じました。 @ネタバレ開始 アニーちゃんが、周りの話を鵜呑みにせず、きちんと自分の頭で考えて自分の正しいと思うことをしているのが、とても素敵だなと思いました。 クロが日記で「マイペースな悪魔」と修正してるところには笑いました。 アニーちゃんの「200年生きたらそうなるのかな」「いつ大人になるのかな、明日かな」といったさり気ない言葉に心を揺さぶられました。 クロの言葉では、「空を飛ぶのは歩くのと一緒」というセンスが好きでした。また、「人間は分からないことが多くて大変そうだな」が、何気ない一言ですが、なんだか印象に残りました。 バックログの仕掛けを見つけたときは嬉しかったです。バックログを見ると、クロの印象がだいぶ変わりました。結構理屈っぽい性格なんですね。 @ネタバレ終了 お気に入りの言葉がたくさん見つかる素晴らしい作品でした。ありがとうございました!
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死と月は寄りそって眠る「生きること」の意味を真摯に問い続ける男が、奴隷の少女と出会うことで答えにたどり着く物語です。 プレイしながら、「なぜ生きている」という問いに自分ならどう答えるか考えていました。(結局、答えは出ませんでしたが……。) 全体的にシリアスな雰囲気ですが、ルナちゃんとモルスさんのコミカルなやりとりもあり、楽しかったです。時折挟まれる村人視点の話もいいアクセントになっていました。 @ネタバレ開始 モルスさんが家事の全てにツルギを使うのには笑いました。 最後のシーンには、「ルナちゃん、まだ若いんだから生きて!!」と思いましたが、あの終わり方がルナちゃんにとっての幸せだったのかな……とも思いました。あれも一つの終わり方なのかな、と。 名前が、それぞれ「月」と「死」の意味で、タイトルとピッタリなのが素敵です。 @ネタバレ終了 クリア後も楽しみがあって良かったです。ありがとうございました!