街八ちよのレビューコレクション
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蜜は甘いだけでいい。メインストーリーを「(ところどころ不穏でありつつも)ほのぼの甘々ラブストーリーだ!」と無邪気に楽しんでいたのですが、その後サブストーリーを拝読して想像以上のこじれっぷりに思わずうなってしまいました。 知らなければ幸せ……かもしれませんが、いつかりいちゃんは全てを知ってしまいそうな気がするのでその時が来ることを考えると何ともつらいですね。 愛は正々堂々と自分の想いを伝えて得るもの……だと思います。 素敵なゲームをありがとうございました!
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マリンクラブ数々のぶっ飛んだ選択肢ににやにやしつつ1周目は比較的まともな選択肢を選んだので「紹介文で言及されているほどひどくはないのでは……?」と思いましたが、その後たくさんあるバッドエンドを拝見して「ひどいなあ」と笑ってしまいました。 下ネタを言ってかわいい女の子にドン引きされることが、何と言いますか、とても気持ち良かったです……(笑) 現実では絶対に言ってはいけないので貴重な経験をさせていただきました! しかしトゥルーエンド後のエンドロールやおまけを拝見して「バックグラウンドは真面目な作品なのだな」と思いました。 その設定が活きたマリンちゃんたちの活躍をもっと見てみたいです! 素敵なゲームをありがとうございました!
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歪 - hizumi-「幸せ」を哲学的な文章で問われる作品です。 正直最初は何のことを言っているのかよくわからなくて苦心したのですが、物語を読み進めていくごとに決してはっきりとではありませんが全体像が見えてきていろいろと思考を巡らせました。 世界は観測するそれぞれの「世界」があって、とらえ方、感じ方などでいかようにも変わり、「幸せ」もそれぞれの幸せが在っていいのだ……とそんなことを考えました。 猫やうさぎなどのモチーフがかわいらしく作品の雰囲気を柔らかくしていたところが良かったです。 素敵なゲームをありがとうございました!
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ナオンちぇんじこれは……エグい(いろいろな意味で)。 最初は「ナオンさんかわいいな」と思っていましたが、どんどんエスカレートする彼女の言動にドン引きしました。 承認欲求って怖いですね……。 ナオンさんのインパクトに埋もれがちですが、ナオンさんの作品に対して奇譚なき感想を言った主人公には好感が持てました。 お世辞なしの意見を言ってくれる友達というのもなかなかいないと思うので、ナオンさんも少しは耳を傾ければ……無理か……。 素敵なゲームをありがとうございました!
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電波男はお呼びじゃない!超ハイテンションな少女漫画という印象を受けました。 過去を回想する真面目なモノローグから始まったので油断していたのですが、その後の主人公である取香さんの登場シーンがかなりインパクトが強くてびっくりしました。 語りすぎも語らなさすぎでもあまり良くないとは思うのですが、過去の自分から変わろうと今の取香さんになった彼女がたとえいい結果を招いていないとしてもとても立派だと思いました。 上部さんの登場シーンもすごくインパクトが強くて勢いにのまれそうになりました。とてもきらきら……! 2人の会話がテンポよく漫才のようで大変面白かったです。 上部さんは確かに電波ですしいろいろと言動が危なっかしいですが、根はとても優しくて純粋であり手放しでこんなに想ってくれる人もなかなかいないと思うので、2人にはこれからゆっくりとお互いを知っていって親密になってくれたらなあと思います。 最後のシーンで使われていた上部さんの立ち絵の笑顔がとても素敵でした。 素敵なゲームをありがとうございました!
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Rabbit Roomうさぎのケビン(と時々現れるゆかいな仲間たち)とお話をするゲームです。 話の内容は「何でもない日常」という感じで、まったりゆるゆるとした会話を楽しむことができました。 テキストのバリエーションもなかなか豊富なのでつい長居してしまいました。いつでも温かく迎えてくれる彼らが好きです。 素敵なゲームをありがとうございました!
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にゅんとにょん難しいことを考えずにプレイできていい感じに頭が空っぽになりました。 翻訳機のいい加減な仕事ぶりが好きです。 お兄さんと出会えて良かったね……! 素敵なゲームをありがとうございました!
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河童の花嫁背景の綺麗な青色と穏やかなBGMでゆったりと水中に漂っているような気持ちで読み進められました。 この状況を悲観するどころか楽しんでいる主人公に好感が持て、それほど彼とその生活が魅力的なのだと感じました。やり方はあまり良くなかったと思いますが、村の人も主人公も河童も幸せならそれでいいとも思えます。 本当に短いお話ではありますが、主人公たちが仲睦まじく過ごしているのが伝わってきました。 欲を言えばもう少し彼らの生活をのぞいてみたかったです。 素敵なゲームをありがとうございました!
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.「赤信号を渡るか否か」という選択を迫られるだけの大変シンプルな作品です。 しかしながら選択によって読むことができる掌編がどれも文章・グラフィックともにアーティスティックで度肝を抜かれました。 そのインパクトの強さに最初は理解が追いつきませんでしたが、頭の中で反芻してみると社会における「人間の在り方」「暗黙の了解」などといった普遍的ではあるけれど語るのがためらわれるようなセンシティブな問題を的確にとらえている作品だと思いました。 このゲームのように私たちは「選択」することができますが、そんなしがらみによって選択したくてもできないのかもしれないと考えさせられました。 素敵なゲームをありがとうございました!
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人と異形の閑談会雨のせいで食堂で足止めを余儀なくされた者たちが暇つぶしのために「怖い話」を語り合うというお話です。 必要最低限の素材と演出で構築された当作品はシンプルで整った文体が際立つ形となり「これぞサウンドノベル」という感じで話を読み進めるのに注力できました。 《異形の者》という人間とは異なる特殊な能力を持った種族やそれを退治する「探偵」という職業の者たちが登場するのが大きな特徴で、そんな彼らがするお話は私たちが体験できないような特殊なシチュエーションであったり、逆に私たちの世界でも起きそうな出来事であったりとバリエーション豊富でおもしろかったです。 気味が悪かったり正体が知れなかったりとまさしく「背筋がぞくっとなる」お話が聞けてこちらも非日常的な気分に浸ることができました。 個人的には翔介さんの話が好きです。あっけらかんとした様子で夢と現実の境目が曖昧になった奇妙な体験を語る様がとても興味深かったです。 「怖い話」には「後味の悪さ」がつきものですが、話が終わるごとに発起人の山本さんが興奮した様子で感想を述べるので場の空気が柔らかくなり良い緩衝材となっていたのが良かったです。 ラストには「そういうことだったのか……!」と思わずうなってしまいました。山本さんはわからないのがまたやるせないというかつらかったです。 それでも「彼」は山本さんの思いが聞けてきっと嬉しかっただろうなと思いました。 素敵なゲームをありがとうございました!