丹綿樫のレビューコレクション
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私の執事ジェラルド厚い壁に阻まれているかのようなふたりの関係性を、巻き起こる出来事が変えていくのをはらはらどきどきしながら見守る…そんなお話でした。 初見の方向けに何か判りやすいレビューを書こうと思ったのですが、もうほとんど内容を含む言い方しか出来なかったので、開き直って以下のコメントは畳んでおきます…! @ネタバレ開始 プレイを始めて、のっけから意地悪なジェラルドさんに「し、執事! 執事ィーッ!」と心配になってしまいましたが、余計な心配でしたね…!笑 やっぱりジェラルドさんの心情を推し量るというよりは、主人公に感情移入しちゃうタイプなので、ナタリアちゃんの心の壁にも非常にハラハラしていましたが、やっぱり彼が居てこそなのですよね。ナタリアちゃん、14歳にして家を背負わされた重圧の中、ジェラルドさんのちくちくにも耐えつつよくお勉強しています…ジェラルドさんに思わず「なんでそんな言い方しか出来ないのよーっ」て言ってしまいそうな…!笑 でも、彼のそういうところも、とっても魅力的です。特にEND1とか、その後の彼のことを考えると悶絶しそうな感情が…湧きます…内に熱を持ちながらも相手の幸せのために身を引ける男…! このEND1の漢気があったからこそ、END2の「来はった~~!」という感激もひとしおでしたね…。小突き合いをしながらでも楽しく生きる未来、とても良きです。リゲルを置いて行くのは非常に心痛みますが、それを差し引いてもナタリアちゃんが幸せになってくれて良かったなぁと思います。 END3の不可能を可能にする男感もたまらん…。素敵なお話でした! @ネタバレ終了
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私が『ヤンデレ』になった理由最初は普通の女の子。「ヤンデレ」というジャンルに一纏めにされる彼女の、成り立ちのストーリーです。 10分弱のプレイ時間ではありますが、幼馴染と過ごしてきた時間や、少女ちゃんの葛藤が続く夜を濃厚な描写で著したお話でした。立ち絵の表情が細かく変わったり、画面の色味が変わっていくことで「進んでいってるな」という臨場感も感じました。 そして! 少女ちゃんのキャラデザが可愛い…! なぜ貧乏くじを引く女の子はみんな可愛いのか…取材班は謎を探るべくアマゾンの奥地へと向かった… すぐ読めてしっとり心に残るお話なので、ヤンデレ好き以外の方にもおすすめです。
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大晦日の夜~ある年の瀬の話~無限に新しい話が読みたかった番外編…! キャラクターも固有の立ち絵が用意されていて、楽しみが増えました。彩香さんおめめが特に可愛い…! 彼らの「日常」のような一幕を垣間見ることが出来て、非常に満足度の高い番外編でした。こういうのが欲しかったんだ。 以下は内容を含むので畳みます。 @ネタバレ開始 前回のお話から、もう巻き込まれ体質が加速しているウツロくん! でも今回はふたりがいてとても頼もしいような気持ちで眺めていました。やっぱりひとりで市歩くのはこわかった…(きっと彼もそうだったのだろう…) 友人くんのお説教も「きたきた」と喜んでいる自分がいます。これからもウツロくんを頼んだぞ! @ネタバレ終了
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海の見える窓この物語を読み始める我々は、真っ白な部屋にいるコールと同じ、何もわからない状況で世界と触れ始めます。そしてまずコールのことを知り、共に記憶の扉を開けて歩いていくような感覚。 文章と、ウインドウの奥に見える少しの画像、そして綺麗な音楽だけがこの作品を形成しています。途中から自分の読むスピードよりも前のめりに話の続きが気になって、仕方なかったです。描写が丁寧で、文字だけの表現であっても頭の中でひとりひとりの人物を形取ることが出来ました。 そして充実のコンフィグ…どうやって作るんですかこれ…こんな細々したところにも美しさがある…!! まさにこれのおかげで、自分の読みたいように物語が読めるのです。読みやすいスタイルに自分で持っていける。とても親切設計…!(そして起動も鬼のように俊敏!) またお話の世界観もとても作り込まれていて、魔法や魔物、竜の絡む本格的なファンタジー作品です。お話がどうオープニングの場面にバックしてくるのか、予想を立てながら読み進めました。身体の色や「海」の話題が出て来ると、「あっ」と思って頭を整理したりしていましたね…。 壮大でありながらも、どこか寂しがり屋な男たちの、感情の交差が光るストーリーです。失って得て失って、その先に…。世界観はファンタジーながら、彼らが抱えているものというのは現代人にとっても普遍的なものに思えました。 以下は内容を多分に含むので畳みます。 @ネタバレ開始 「この酷な程に優しい人はきっとグライさんだろうな…」と思っていたらやっぱりグライさんだった! ふたりの邂逅までお話を読み進めたとき、何だか自分の視界も開けたような感じがしました。セーブ魔の私がセーブするのも忘れて次々に読んでいた… そして5章の終わりくらいから、もしかするとこの関係性が引き金を引いたのでは、という考えが沸々と湧いてくるような感覚がしました。何度「サージュ!!」となったことか…! コールが記憶を取り戻して再会したとき、さほど変わってない様子のサージュの状態にほっとした自分がいました。そして怒鳴り合っているシーンを見ていたら傍観者ながら涙ぐんでいた…コールのまっすぐさであるとか、ひねくれながらも話を聞いてくれたサージュのこととか、ひとりで何もかも背負ったようなグライのことがぶわっと脳裏に浮かんで、うおお、不器用なやつしかいない…! 登場人物だけでなく発端の竜まで救われてるのがすごく好きです。一瞬で掻き消えてしまった命、たとえばカド先生の存在も大きく尾を引くような存在感がありました。お話の端々に生命が見える気がします。 素敵な作品でした! @ネタバレ終了
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メンヘラ妹と童貞男以前「ヤンデレ彼女と付き合う方法!」をプレイさせて頂いたのですが、相変わらず一文ずつの破壊力が高いテキスト…! クロたんの語彙と思い切りが好き過ぎる。 それにしても志穂ちゃんとのエピソードがもっと知りたいですね、一体どんなアバンチュールがあってそんな流れに!
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Grms冒頭からなかなかインパクトのある入り、そしてアキラ君の達観したモノローグに惹かれる形でプレイしました。アキラくんの「とんでもない学校に転校してしまったんじゃないだろうか」という台詞に、「きみ間違いなくとんでもない学校に転校してしまったぞ!」と心の中で合いの手を入れつつ… たとえ一見可愛らしく見えるシーンだったとしても、陰鬱な気配が付き纏うような感じが、ずっと背中に尾いてきます。それは無機質なBGMだったり、勿論お話の展開にもよるのですが、同時に敏子先輩の作ったごはんがたべたいという感情も爆発します…。(そして後にそんなこと思ったのを後悔する) お話は、「神の裁き」と便宜上名付けられている校内での連続死が、一体何によるものなのか…作中の登場人物による問題はそれぞれに多角的ですが、恐らくこれがメインの問題だと思います。結末を知りたいという感情に引っ張られるがまま読み進めて、最後までどう着地するのかハラハラしながら見守りました。 「すごい話だったなぁ」と思ったら二周目(別エンド)が現れて膝から崩れ落ちんばかり。「あれなんだったんだろ?」が説明されていたり、より物語の理解が深まるような台詞もあったり…アキラ君ほんと凄いなぁ。エクストラでも物語が補強されていて、この物語の世界が語り尽くされています。 作り込まれた世界にじっとりと浸りたい方にお勧め。 以下、ネタバレしかない感想なので畳みます。 @ネタバレ開始 一周目は、不謹慎ながら、結末には「え~~!何これキュンとする…」と思ってしまいましたね…家庭科部かわ…可愛いじゃないですか…いやお話の途中からいいコンビだなとは思っていたのですが…個人的にめっちゃツボでした…!(そしてエクストラでそれがド加速した) そして二周目!! 御門先輩とオセロするのが…本当にいい…何コレ…これ欲しかったやつじゃん…!! 楽しみ方間違ってるかもしれませんが、エンド2超好きです。一周目がどろどろだったせいか、この青春ものみたいなコントラストがたまらんです。(エンド3もメインストーリーのアナザーという感じがしてとても好きです) エクストラも、心のどこかで花井先生を信じていたので、うんうん…と思うのと同時に切なさが突き抜けてしまった。そしてカナちゃんの選択も…。 読み終わった後にしばらくボーッとしてしまうような充実感でした! @ネタバレ終了
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【脱出ゲーム】プリンセス・ブレイク閉じ込められたにも関わらず明るくお部屋を探索していくイチゴちゃんと、魔王を名乗っているけれど小さくて可愛い魔王ちゃん、そして知らないうちに投獄されていた王子様の素敵なお話でした。20分と少しくらいでクリアしました! 脱出ゲームですが、その登場人物とストーリーの雰囲気による可愛らしさから、「魔王ちゃんと遊ぼう~!」という明るい気分でプレイ出来る作品です。 脱出ゲームと言えば必要に迫られて焦りながらやるイメージで「怖いもの」という認識だったので、こんな雰囲気のゲームをずっとやっていたいなぁと思うほど好きでした…! 謎解きに関わるサブキャラクタ―や取得アイテムも可愛くって、始終笑顔でのプレイ…END後の三人も気になってしまいます…。 面白い探索だけでなく、ほっこりしたい方にもおすすめなゲームでした!
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妖精達の街路 タイムトライアルナンパをすることがこんなにも難しいとは! 通り掛かった女性にばんばか声を掛けていく、非常にリズミカルなゲームです。部屋にマウスのカチカチ音が響き渡った… SEが大きなヒントなので、音出しでのプレイ推奨です。タノシイ! 80年代のゲームは申し訳なくもプレイしたことがないのですが、「多分こんな感じだろうな!」という雰囲気がものすごく感じられました。この懐かしさはきっと日本人のDNAに刷り込まれているんだ。 私はナンパ10人5000点のナンパ永世名人を取得出来ました! まだ上があるのかな? こういう覚えゲー大好きなので、とてつもなく熱中しました。楽しい作品有難う御座います!
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よよいのよみもの神懸かったキャラデザから放たれる、力強い「考えるのはやめて受け入れてください」から始まる野球(拳)ストーリー…脱ぐもん脱げたら終わりの明快なルール…! 彷徨くんのギザっ歯しゅき…ちのちゃんのグル目と八重歯しゅき(あと勘解由小路くんとの関係も)…いや書き切れない…各キャラ(同校も他校も)本当に「ここ最高なんすよ」っていう部分があるのがすごい… あと「このキャラこんな下着付けてるんだ…」ってもうそれだけでえっち度はすごいです。表情もいいですね!!(大声) ちなみに私は野球のやの字もサッパリ知らない人間なのですが(申し訳ない…)特に問題なく進めました。小気味よいメタ的なナレーション(?)も好きです。 各キャラクターのバックボーンや勝ち上がっていく過程が丁寧に描かれていて、本当に読み物としてもかなり満足度の高いお話でした。決勝戦の熱さもすごい! 他にない個性がふんだんに含まれていると思いますので、是非一度は触れて頂きたい作品です。 @ネタバレ開始 エピローグの衝撃もすごかったけど、やっぱり作品全体の楽しい雰囲気が好きです!(きっと真凛ちゃんもそうだったのだろう) そういうところの調和がとても良いと思うので、非常に構成の素敵な作品でした…! @ネタバレ終了
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和泉くんと三姉妹。~夏の夜奇譚~ワー! 甘いー!! さすが肝試し、姉妹の普段とは違う側面も見られて最&高でしたね…! やっぱりこう、お寺とか、非日常な感じのストーリーもとっても良いですね! 何だかんだ一緒に遊んでくれる三姉妹、相変わらず可愛いです。 以下内容を含むので畳みます。 @ネタバレ開始 しずくちゃん、天然+霊感っ子な感じでめちゃくちゃ面白かったです!笑 ホラー好きなのにまったく渦中にいることに気付いてないところが何とも良き…ここまで見てきて、しずくちゃんがメインルートなのかな…? と思ったりもするのですが、等身大な感じの距離感・関係がすっごく好きです。 そしてあまねさん、怖いの嫌いなんですね…! 怖がって逃げちゃうところがあまりにも可愛くて拝みそうでした…。なんだかあまねさんルートを見る度に、雅くんが男らしくなってる気がして、将来が楽しみでなりません笑 くるみちゃん、本当にリアリストだった…そこがイイ…何だか一番お姉さんっぽいところもありつつ、遊んでるところはやっぱり末っ子という感じで、ギャップがたまらんですね。「これはこれで楽しい」っていう雅くんの評がすごく好きです。 知れば知るほど好きになる三姉妹と雅くん、花火大会と併せて楽しい夏を覗かせて頂いた満足感がありました! @ネタバレ終了