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NaGISAのレビューコレクション

  • 「reply」 現代社会×異世界の長編乙女ゲーム!
    「reply」 現代社会×異世界の長編乙女ゲーム!
    ノベコレで作品を探す時って、画面写真で判断するか、長編の場合はブラウザーで序盤だけちょっとやってみて、面白そうなら続きも、なんて方が多いでしょう。 そんな方がこの作品のページをたまたま見ても、なかなかプレイしてみようとは思わないかも知れません。立ち絵も1枚絵もなく、音楽も非常に地味ですから。しかしそれでこの作品を見落とすのは勿体ない話。物語はとてもよく出来ており、多くの方にプレイをお薦めしたい良作です。 主人公はOLで、同期の糸川涼に密かに想いを寄せています。しかし涼は同期の中でも抜きん出て仕事ができる優秀な男で、あっという間に統括部長にまで昇進。おいそれと会話することもできなくなってしまいました。そんなある日、雨の日に拾った子狐を自宅に連れ帰った主人公。こんな感じの出だしです。女性向け恋愛物語で、相手が異世界の住人という設定です。リアルなところとファンタジーなところが、上手くミックスされていました。 全50話から構成されますが、1話辺りは3分から5分とかなり短く(後半は少しだけ1話が長いですが)、テンポ良く読むことができます。そして、長いのですが色々な事件が次々に起こるため、読んでいて退屈もしません。絵はないのですが、登場人物も皆生き生きと魅力的。 三角関係なんですがそこまでどろどろとしていません。これは、涼やクラリ、有美などの性格付けの上手さでしょうね。サブキャラクターがとにかくよくできています。その意味で、小説型というより「体験型」の物語で、女性なら文句なしに楽しめるでしょう。もちろん、恋愛ものとしての完成度が高いため、男性も面白いはずです。ラストもきちんと盛り上がって感動的です。 演出もグラフィックスも全てが地味ですが、これは多くの方に読んでいただきたい一作。私は3時間45分で読み終えました。見た目でスルーせず、これを読んだら是非ダウンロードしてみてください。

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  • A BRAVE DAY
    A BRAVE DAY
    主人公の高校生笹原が、1年前に雪道で転んだところを助けてもらって以来、密かに思いを寄せる女生徒篠田明。ある日、笹原の友人横山の策略(?)により、翌日の放課後に明に告白する羽目に。 恋愛で一番緊迫感のあるイベントといえば、なんと言っても告白です。その告白をメインに持ってきた物語ですが、何せ主人公である笹原が読んでいてやきもきさせられるほど内気で、ろくに明に声もかけられない始末。 だからこそのリアリティがありましたし、ラストでは、勇気を振り絞った笹原に惜しみない拍手を送りたい気持ちになりました。また、バッドエンドの中にもキャラクター同士の人間関係の深さを感じさせるエピソードがあり、全エンド必見です。 攻略がちょっと大変ですが、どうしても難しい場合には、作者さんのTwitterアカウントを見れば、攻略ページへのリンクがあります。でもいきなり攻略を見ず、最初は自力で頑張ることをお勧めします。その方が、ラストの感動がきっと大きくなるはずです。短編恋愛ドラマの傑作です。

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  • 約束の赤い折り紙を
    約束の赤い折り紙を
    山間の小さな村を舞台にした伝奇ノベルです。伝奇とは言っても妖怪が出るわけでも異能バトルがある訳でもなく、どちらかと言えば地味な物語なのですが、非常に丁寧に組まれており、全体の雰囲気がとても良いのが特長です。 登場人物のやりとりとかグラフィックスなどが相俟って、全体に柔らかい感じがするんですよね。なので、伝奇にありがちな尖った印象がありません(尖った伝奇も、それはそれで面白いですが)。なので、伝奇が苦手な方でも安心して読めるでしょう。 短い章立てで展開がはっきりしていますが、飛ばし過ぎと訳ではなく、テンポはとても良好です。徐々に唯が近付く様子と読み手が、上手くシンクロしているんですよね。ですのでラストの「収まり感」がとてもいいのが好印象でした。 オリジナルの音楽もよくできており、短編伝奇の良作と言えましょう。1時間で読めますので、気軽に楽しんでください。

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  • Angel Call
    Angel Call
    私は好んで「感想が全く付いていない作品」ばかりに狙いをつけてプレイするのですが、中でもこれは大当たりでした。プレイ時間は30分でしたが、30分でこれだけの感銘を与えてくれる作品には、なかなか出会えるものではありません。 主人公の少女は、見習いの天使。若くして死んでしまい、天界で天使としての研修を受けることになったのですが、その仕事は人間の願い事を受け付け、行いに応じて天恵か天罰を与えるというもの。この設定がまず面白いですね。 物語は章立てで、計4人の願い事が届くのですが、どれも一筋縄ではいきません。が、短い中にどのエピソードにも捻りが効かされており、同時に主人公の少女の優しさと機転が上手く表現されているため、読んでいてすっかり惹き込まれてしまいます。 そこで最後のエピソードが来たものですから、効果絶大でした。まさかそんな方向から来て、そう落とすとは予想もしていなかったのです。そしてそこまで来たところで初めて、極めて堂々と伏線が張られていることに気付くのです。伏線の使い方としても完璧ですし、手品でいうところの「ミスディレクション」がお見事でした。 とにかく、キャラクター(「玉蔵和人」「混熊圭人」のネーミングに笑いました)、構成共に素晴らしい作品ですから一読を強くお勧めします。心を強く揺さぶられ、暖かな気持ちになれる現代ファンタジーです。

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  • Diamond Engine Reborn(ダイヤモンドエンジンリボーン)
    Diamond Engine Reborn(ダイヤモンドエンジンリボーン)
    「Diamond Engine」シリーズの最新作です。ですが前作、全然作との物語の繋がりはありませんので、この作品からプレイしても問題ありません。 そして前作、前々作とは戦闘のシステムが一新されています。これが絶妙なバランスでした。特にラスト近くの戦闘は非常に手強いのですが、紙一重で勝ち切れた時は非常に爽快です。確かに難しいですが、セーブを駆使すれば何とかなる範囲です。 また、序盤はいかにもアドベンチャーらしい謎解き、後半は一転してパズル風の謎解きが随所に散りばめられていますが、謎解きの方向性が前半と後半で違うことで、読み手を飽きさせません。謎解き型アドベンチャーとしても、とてもよくできています。 ストーリーは王道で、さほど捻ったところはありません。ラスト前の展開も、読もうと思えば先読みができるでしょう。しかし、読み手が能動的に物語に関与するアドベンチャー形式であるため、かえってその王道ストーリーが心に素直に入って来ました。ラグランとエーゼンの友情物語は必見です。 それにしても、エーゼンは最強のキャラですね。実は私も趣味で手品をやるので、ある程度のトリックのことは知っているのですが、エーゼンが見せてくれるのは手品ではなく魔法です(最初のカード当て除く)。あんなことを私もやってみたい(笑)。 とにかく、このまま埋もれるのはもったいない、SFアドベンチャーの傑作です。ぜひプレイしてみてください。

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  • もう二度と会えないあなたが、どうか幸せでありますように。
    もう二度と会えないあなたが、どうか幸せでありますように。
    面白い設定のライトSFです。「サイレントテロ」の設定が最後でちゃんと生きてくるのが上手いですし、一周目と二周目のラストで、異なる事実が明らかになり、読み手を二度驚かせてくれる構成が巧みです。 そして元が小説だけあって、文章の切れ味が良いですね。長々と語るタイプの文章ではないのですが、簡潔にして、それでいて要点を押さえた描写がとても良いです。よくよく読むと結構端折っているのですが、「省くべきところ」の見極めが上手いため、読み手にはテンポの良さだけが伝わります。読み心地もとても良好でした。 ラストは結構切ない終わり方なのですが、それを払拭するかのような仕掛けがしてあり、粋な見せ方だなと思いました。SFらしい綺麗な幕引きでしたね。個人的には、トゥルーエンドの後、ちょっとしたエピローグでも見てみたい気もしたのですが、それは野暮というものかも知れません。 設定と構成に捻りが効いた、短編SFの良作です。ちょっと変わった設定の不思議な物語をお探しの方にお薦めします。

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  • ユメビヨリ
    ユメビヨリ
    魔法少女ものなのですが、導入部が変わっています。いつも一緒に過ごしていた仲良し4人組の1人雪宮はるは子供の頃から病弱だったのですが、急に容体が悪化して亡くなってしまい、その葬儀に残り3人が集まるという冒頭。なかなかヘビーです。 この3人、ちょっとしたことで仲違いしてしまい、今は疎遠になっています。なので、魔法少女ものの定番テーマ「友情」が今作にも盛り込まれているのですが、テーマの盛り込み方が上手いです。このテーマによりしっかり物語が盛り上がります。 どちらかと言わなくても、かなり先読みがし易いストーリーなのですが、構成が丁寧で、ここというタイミングで非常にちょうどいいエピソードが来る上、テレビアニメを思わせる明確な起承転結も効いていて、とても読み心地がいい物語です。ちょっとしたイベントの活用法も巧みです。 エンドは3つで、実はノーマルエンドの方がグッドエンドよりも収まりが良く見えてしまったので、グッドエンドの後にエピローグでもあれば良かったかも知れませんね。 短い物語ですが、気軽に読めてプレイ時間以上の満足度のある良作だと思います。正攻法で丁寧に作られた、ハートウォーミングな現代ファンタジーです。

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  • ヨツバナサクラ~春へと紡ぐ雪どけの手紙~
    ヨツバナサクラ~春へと紡ぐ雪どけの手紙~
    文芸部に所属する高二の門倉良太。彼は友人も恋人も作らず、ただひたすら創作に打ち込んでおり、自分の才能を疑いません。なのですがコンテストに応募しても、せいぜい二次審査止まり。 そんな彼の「絶望からの再起」を描いた物語です。序盤の良太の傲岸不遜な態度がちょっと鼻につくのですが、それがないとこの物語は成り立ちませんので、序盤だけはちょっと我慢して読んでください。進むにつれて彼のいいところも徐々に見えてきますので。 この物語は、創作をした人ならば誰でも一度は感じたであろう苦悩がテーマとなっています。良太の性格付けの的確さもあって、そのテーマが非常に上手く物語と融合しており、大変読み応えがありましたし、また良太の絶望と、そこから一歩を生み出す様子に説得力がありました。 加えて、良太の再生に他の登場人物がみんな少しずつ重要な役割を果たしているんですよね。キャラクターメイキングとその扱いの上手さにも卓越したものがありました。ただ、「雪音」が中盤ではほとんど消えてしまっているのはちょっと気になりましたが。そこはもう少し踏み込んでも良かったのでは。 ともあれ、創作の面白さとその壁に真っ向から取り組み、そのテーマを上手く描き切った良作です。創作をする人であれば、必ず強いメッセージ性を感じられるでしょう。また、学園ものとしても(多少会話が冗長に感じる箇所もあったものの)ハイレベルな一作でした。是非お読みください。

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  • 露姫
    露姫
    主人公が、夏の海辺で謎の少女と出会うところから始まる物語。「人外との出会い」系列の物語です。 短いながら構成がしっかり作られており、読み心地のいい物語でした。主人公と露姫のやりとりも、仲良しというほどではなく、でもなんだか放っておけないという、そんな距離感がとても上手く描けていたと思います。 また、起承転結が明確で、読み手がそのリズムに乗りやすいため、物語に入りやすく感じました。物語にシンクロしやすいとでも言いましょうか。ですから感情移入もしやすいんですよね。 もう少しキャラクターの掘り下げがあっても良かったような気はするのですが、押さえるところを押さえた上で、丁寧に組みあげられた佳作です。読めば気持ちのいいひと時を過ごせると思いますよ。

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  • 僕と家出ゲーマー少女
    僕と家出ゲーマー少女
    プロゲーマーになりたいという夢を親に反対された少女寧々が、中学生の宣彦の家に家出で自宅に押しかけてきます。宣彦の父親はプロゲーマーなのでした。 そして高校生になった宣彦は、偶然寧々と再会します。夢を持てなくなっていた宣彦と寧々の交流の物語なのですが、必要最小限に削ぎ落とされていながら、物語としての構成がとてもよくできています。寧々の言葉からラストシーンへの流れがとてもいいですね。 寧々の言葉が押し付けがましくないですし、そこから宣彦が一歩を踏み出す様子も嘘くさくありません。個々の要素の組み合わせ方、登場人物の性格付けが大変上手いなと思わされました。脇役キャラも結構効いています。まあ掌編だけに、物語としてはさほど活躍の場はないのですが。 削ぎ落としすぎて、宣彦が夢を持てなくなった理由の描写がなかったりもしますが、掌編としてよく纏まった良作です。

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