富井サカナ/DIGITALLのレビューコレクション
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狐ノ嫁入ル庭こわ~い和風の絵本を読んでいるような印象を受けた作品でしたが、 選択肢分岐が非常に多く、ルートの分岐が簡単に分からない奥深さがありました。 立ち絵・背景・イベント絵などのグラフィックが非常に綺麗で、 登場する多くのあやかしたちのデザインもそれぞれとても魅力的でした。 音楽のクオリティもこれまでの作品同様にメチャクチャ高いです。 全9種のEDがあるとのことでしたが、 何度かに分けてプレイしたこととうっかりメモを取り忘れてしまった失敗により、 全EDをちゃんとコンプできたかは微妙なところです。できたっぽいかも。 このような状況もあってチャートや攻略やEDリストが欲しくなってしまいますが、 主人公のように迷子になっちゃう現在の仕様のほうが雰囲気がピッタリだとも感じました。 和風なあやかしたちがお好きな方には特にとてもお勧めできる逸品でした。
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私の名前を呼びなさい!やべぇヤツに監禁されてしまうノベルゲームは数あれど、 実際に脱出をシミュレートするゲームはわりとレアめだと思います。 監禁者の目を盗んでの移動・探索・脱出のゲームシステムはしっかりしており、 見つかってしまうとかなりキツいお仕置きが待っているので手に汗握りました。 難易度はそこまで高くないので自力でなんとか脱出エンドを迎えることができました! その後、DL版に同梱のヒントを見ながら別のエンドを回収しました。 CGや回想のモードが完備されているのがとても良かったです。 1つ個人的にちょっと大変だったのは凌辱描写が結構エゲつなかったことです。 ドM体質の身には痛々しい主人公の姿を見るのは結構悲しい気持ちになりました。 逆を言えば描写がバッチリなので愛好者の方は大満足かと思いました。
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ORDER自身が大統領として国家運営を決めていくという、シミュレーション寄りのゲームでした。 骨太な設定のためスタートから大統領になるまでのストーリーはドラマチックですし、 様々な政策を決定していく中で自身の運命も様々に変化していく様はまさにノベルゲームでした。 なかなか見ないタイプのオリジナリティの高いゲームでとても面白かったです!! 政策決定後は即応性があり、ストーリーパートもテンポ良く進行するのも嬉しいポイントです。 国から悪を一掃して立派な大統領になったり、闇落ちして自身が巨悪となったりと思いのまま! EDは全8種と結末もそれぞれ多岐に亘り、とてもエモいエンディングがたくさんありました。 作者さんの攻略サイトのヒントまでを参照した上で自力で全ED拝見できました! ゲーム中に流れるBGMやピクトグラムを多用する政策コマンド関連のセンスも抜群でしたし、 何と言っても秘書である自身が開発したAIロボのジョーが非常に良い味を出してました。 ジョーのおかげでエンディング毎の境遇の対比がより鮮明になっておりました。 ディストピア大好きなのを差し引いてもとても面白かったです!
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鬼語「結局一番怖いのは人間」を地で行くおどろおどろしいお話でした。 閉鎖的なムラ社会の因習やら人間と人外との交流やら設定からして興味深いのですが、 テキストが非常に素晴らしくてプレイして間もなくグイグイと引き込まれました。 ヒロイン?である『ざくろ』が両性具有と言う設定を上手く活かし、 主人公が男にも女にもどちらにでも終始解釈できるのもテクニック的にお上手だな、と。 終盤の選択肢で結末が分岐しますがどのエンドもなかなか味があって良かったです。 特に最後に到達できるようになるエンドはざくろの本心が垣間見えて感慨深かったです! テキスト以外にも雰囲気のあるグラフィック、 BGM表示や二週目以降のプレイを快適にするシステム、 非常にゲームにぴったりな素晴らしいエンディング曲など、完成度の高い作品でした。 あとがきを拝見して、このような形でのゲーム制作も夢があって良いなぁとしみじみしました!
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在庫がなくなる前にUIおよびテキストのみのノンフィールドRPGとなります。 絵や音楽などの要素がなくても十分に面白かったです! 各種アイテムが消費時と装備時(強化時)で異なる効果が設定されているのが面白いです。 発生イベントがランダムではありますが、1Fのボスを3回倒せばかなり強くなり安定します。(話題の脳筋キャラのできあがり!) 無事にクリアした主人公は冒険者となるのか一人前の店員になるのか。 ダンジョンの奥深くに眠るボスを倒すような続編があっても、 アイテムのコンプ要素や店を発展させるような続編があっても、 どちらも遊んでみたいと思える面白さでした。
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ベストフレンド~本当の友達~私のプレイ時間は1時間強くらいでしたが、プレイ時間以上に心に残るお話でした。 具体的なエピソードを色々と盛り込みつつ、人間関係と主人公自身の変化を丁寧に描いていると感じました。一本道ということもありますが、気付けばセーブすることも忘れ一気にプレイしておりました。 冒頭はいじめの後遺症もあって主人公のあまりの暗さに面喰ってしまいましたが、友里との交流の中で徐々に明るさを取り戻していきそれに伴い周囲も変わっていくのが心地良かったです。 ちょっと友里の存在が主人公にとって都合が良すぎるように感じるところもありましたが、その印象は終盤の展開によって吹き飛んで、代わりに納得感が得られました。 最終的には綺麗な着地でとても良いお話だったと思います。 最後のグラフィックは特に心がじんわりと温まりました。 最後にちょっとネタバレ的な感想として、 @ネタバレ開始 ・超嫌な感じで始まり最後は味方キャラになた叔母さんが好きです。 冒頭の地の文を思い出せば分かる通り当初は主人公よほど陰気臭かったですし、 自分の性格に難があることを認めたりある程度お小遣い与えたり(これは両親?)、 そもそも主人公を受け入れたりと、意外と根は悪くない人っぽいですよね。 ・中身も外見も良く文武両道爽やかイケメンの野部くんめ!! 流れ的に主人公と両想いなんちゃうんかい!この思わせぶり男め! シーサー外すくらいだったら最初からつけないでよね! @ネタバレ終了
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忘れ傘の矜持擬人化された傘とのストーリーが2編楽しめるゲームです。 2編ともに全く異なる展開が楽しめました。 システム面がかなり凝っており、とても可愛いキャラクターをきちんと活かすため、 メッセージコマンドが上に移動したり真ん中に移動したりと自由自在です。 おまけモードのBGM紹介がとても丁寧なのも良かったです。 なお、個人的には堂林との会話シーンが非常に好きでした!
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生きるその先に -岐尾森編-全俺が泣きました!(3日連続3ルート) 『美少女ゲームがサブカルの頂点に君臨していたあの頃』の雰囲気をひしひしと感じました。当時だったらばっちりフルプライスでしかも当たりに分類されていたであろう本作がフリーで遊べるなんて本当に凄い時代になったものだとしみじみしてしまいました。そりゃ年も取るもんです。(フリゲなので)昔懐かしいテキスト分量の水増しはもちろんなく、今となってはやめてほしいダラダラ展開はなかったのもとても嬉しいところです。 とにかくシナリオの良さが際立っており、各ルートともボロボロ泣きました。本作の攻略対象キャラは3人で、途中で割とくっきりとルートが分かれるタイプです。選択肢はかなり分かりやすいので自力でも楽々クリア可能と思われますが、カンニング魔なので作者さんの丁寧な攻略サイトを拝見しながらクリアしました。プレイ後の個人的な感覚では鬼晶ルートは最後が良いかなぁと思いました。 イベントCGも数多く用意されており、特にクライマックスでは畳みかけるように表示されて感動気分を盛り上げます。 動画演出やボーカル入りの主題歌など、演出面も豪華でしたし、サクサクと挙動が軽いおかげでプレイはとても快適でした。 岐尾森編と銘打ってある通り三部作の一作目ではあるのですが、本作でストーリーは一旦完結しますし、第二部はがらりと舞台が変わるのでプレイを躊躇する必要はないです! 作者さんのゲームはこれまでまったく遊んだことがなかったのですが、 高い評判に期待してフェスの終盤までプレイを控えていたのですが凄く良かったです。 未プレイの方は是非プレイしてほしいと心から思える逸品でした!
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親友に憧れの先輩を取られたので転生します。ラノベ風のタイトルに油断してしまいましたがずっしり重たいストーリーでした。 転生先がつくづくハードモードでコンナハズジャナカッタ感が強いです。 あまり視野狭窄になって物事を軽々しく考えちゃだめですよ 置かれた場所で咲きなさい みたいな人生訓が勝手に頭に浮かんできました。面白かったです!
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常夜の品さがしお祭りの屋台が楽しめるとても良質なオカルトゲームでした。 音楽や背景が醸し出す雰囲気がたまらなく良かったです。 なんだかとても懐かしい気分になりました。日本人には馴染みの風景ですよね。 くれじっとから参照できる攻略ヒントや、 ストーリーのおさらいをしてくれるねたばれがとても親切だと思いました。