SHIAのレビューコレクション
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Liars’ Island / ライアーズ・アイランド虐待を取り扱ったテーマのお話は必然的に重たくならざるをえませんが、本作は水彩タッチや彩度の高い夏の景色などもあり、他作品の雰囲気よりも少しやわらかい雰囲気に感じられました。 @ネタバレ開始 かつてはまさに虐待に一番近い現場に勤めていた主人公が、後悔と罪悪感で潰れてしまい、俗世から断ったような島暮らしをしている…というのがリアルさがありました。 だんだんと食糧難が進み(苦笑)、キノコまで採り出した時は「二人の生活は大丈夫だろうか」と本気で思いましたが、最後は落ち着くべきところへ落ち着いて良かったです。 調査を始めてから児童虐待の件数は過去最高を記録した昨年のことを、虐待内容や細かな件数までプレイしている途中でふと思い出しました。 子どもたちが犠牲になる事件が0となる日を心から願います。 @ネタバレ終了 虐待を受けた子どもと、かつてそんな子どもたちを助けようとしながら心が折れた男がついた残酷な現実への精一杯の抵抗、そのやさしい嘘で作られた夏の島の物語、面白いとは違いますが、心に響く物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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Bullet Game(バレットゲーム)莫大な賞金を手に入れられる「リアル Bullet Game」に参加した妹は行方不明、そしてついに自らも招待状を受け取った主人公は親友らとともにゲームへと参加する―――ゲーム名の通り実弾飛び交う命を懸けたゲームが幕を開ける! 初めから「これは熱い戦いや人間ドラマが持っているやつ…!」とワクワクしていたら、膨大なゲームルールや単語が出てきて、覚えられないけれど大丈夫かな?と推奨通りセーブしておきました。 結構なボリュームで、たぶん7時間くらい遊んでいたと思います。 ガンアクションなども入っていますが、コメディ要素なども入っているのでトータルで「全部盛り!」な内容です。 キャラの立ち絵など差分も豊富で、序盤でミーアさんが眠っているところを起こそうとしてあんなに綺麗に殴られる映像があるとは思いませんでした(笑) @ネタバレ開始 レイジくんがHunterなのは端々の行動が怪しいのでそうかなとは思っていましたが(一番初めの自分を撃たせる部分で既に疑っていた)、ミラちゃんまでそうだったとは……ヒントは出されていましたが、気づけませんでした。 ヒイロくんがレイジだけは自分の手でと決意している部分が、とても人間的だと思いました。 やりたくないけれど、その時が来たらやらなければならない…おそらくまだまだ葛藤することなどもあると思うので、物語がどう転んでいくのか先が読めません。 物語が進むにつれて脱落するキャラがいて、仲良くなったり敵対するキャラがいて…と、それぞれのキャラ同士の関係性なども見ていて面白かったです。 続きは有料版で!ということで、物語は途中で終わりましたが……ここから先がどうなるのか気になります…! 完全版の制作、頑張ってください。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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AMN(N)ESIA大変絶妙なバランスの歯ごたえのある脱出ゲームでした。 探索センスゼロなポンコツ探偵っぷりでしたが、ヒント機能を駆使してなんとか進めることができました。 脱出ゲームは苦手という方にも挑戦しやすい完全攻略の完備も親切で、誰でも気軽に遊びやすいと思いました。 脱出系に多い気がついたら閉じ込められていたという「ここはどこ?」から始まらず、精神世界への潜航型という世界観設定も独創的で面白く、謎解きのバリエーションも多岐にわたり、解決編を含めて二部構成とボリュームも満点で気がついたら数時間が溶けていました。 たぶん3時間くらいはダイブしていたと思います。 極上の時間をありがとうございました。 @ネタバレ開始 Todayを本当にそのまま「今日の日付ね!」と自分の生きる現代時間の日付を試しに入れてみたら通ってしまって、ここが一番驚きました…何か壁に貼ってあるものなどから日付を探しに行くのかなーでも物は試しよねーなんて軽い気持ちで入れたものが通るとは…! 前編はポンコツなりに自分でかなり頑張って解いたのですが、後半でどうしても進めない箇所が一つあり攻略記事を頼らせていただきました。 テントウムシさんをハエトリソウさんにパクッとしていただいた後、クリックしても何も起きず、テントウムシさんの数が不足しているのかと新たなテントウムシさんを探してウロウロして、あらゆるところをクリックしようとする変な人になっていました…もしや叩いたら出てくるのでは?なんて思い、騎士さんを脳筋気味にテキトーにボコボコに叩いたりも(迷惑すぎる/そして騎士を叩くにしても本作で脳筋ランダム拳では得られるものは何もない) 何回か往復しての時間経過でハエトリソウさんがペッと出してくれるとは思いませんでした…! @ネタバレ終了 エレガントな雰囲気、とてもマッチしたBGM、美しいタイトル回収の仕方など、芸術的な仕上がりの作品です。 素敵な作品をありがとうございました!
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2 / 5 Frontier宇宙空間を宇宙船がバシューン!!とワープしたり、ピコポコペコパポポみたいな独特の機械音だったり、操縦席がどう見ても一朝一夕では覚えられない大量のボタンやスイッチで埋め尽くされていたり…そしてなんと言っても、今までに行ったことのない星への着陸&どんな星かの探索!! そんなSFの醍醐味がたっぷり詰まった面白い作品でした。 @ネタバレ開始 キャラクターがとても個性的かつ魅力的で、テトラさんとエクシさん、マギラスさんが好きです。特に食欲旺盛なエクシさんがとても可愛く、彼女が食べているのを見るとほっこりしました。 途中で入る戦闘でテトラさんたちがちょこちょこ動いて可愛かったです。 Route1で「え? これで終わってしまうの?」と思いましたが、きちんとプレイしていくとRoute4までしっかりありました。 すべてのRouteを見ることで1つのRouteだけでは分からなかった姉妹の確執や葛藤など、様々なものが繋がって、深い世界観と緻密な設定から色々と考察する楽しみがありました。 Route2でいきなりミアさんがラスボスと化した時は驚きました。 「た、倒していいやつなのよね?」と、ハラハラしながらヒントを元に倒しましたが、恐竜を倒すのと違って、攻撃をキャンセルするところなどが「ああ、やっぱり皆を大切に思っているミアさんだ」と思いました。 また、一つだけ「ん?」と気になったのですが、通常終わった後だと「エンド1」などで表示されると思うのですが、すべての終わりが「Route」で表示される…ということは、ミアさんのエピソードの終わりまでエンドはお預けというところでしょうか? まだ残っている謎がどうなるのか、気になります! @ネタバレ終了 SF世界を感じる細部まで丁寧に書きこまれたグラフィックが、本当に素晴らしいと思います。 宇宙船の中などは完成までにどれだけ時間がかかったのだろう…と思いながらじっくり眺めていました。 SFが大好きな方には是非遊んでほしい大変面白い物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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はじめましてボクのカノジョTLで総ダウンロード数などでも非常に話題性があったと記憶している、気になっていたゲームです。 が、「知らない人をお家に上げてはいけないよ」と教えられてきた私は瞬殺でエンドへ辿り着き、物語が始まらないという安定のやらかしを経ての「はじめまして、ボクのカノジョ」でした。 ところであなたは誰?という疑問符がずっと浮かびながら料理に口を付ける主人公と女性を眺め、途中で選んだ選択肢のために「いや、どっちも誰?」となり、物語は思いもよらぬ方向へ…! @ネタバレ開始 初めに大きく流れが変わるところで闇の口に飛び込んでいってしまったようで、展開が完全に暗闇まっしぐらでした。 事情を把握した後だったので、主人公がきちんと死ねるように「思い出せない」を選んであげたら画面が真っ赤になり、無事に許さないエンドへ(思い出しても結末変わらないですが)。 気を取り直しての周回で、他のエンド「はじめまして」などを回収しつつ、エンド6まで到達して無事に彼女の屈託のない笑顔を見られました。 物語の分岐にまったく違和感がないシナリオがすごい…!と感心しきりでした。 ダークな展開も、ちょっとしんみり・ほっこりする展開も、同じシナリオ・同じ起点からの分岐なのに、一切の違和感がないところが本当に秀逸でした。 @ネタバレ終了 マルチエンディングとはなにかをとても上手く扱われた傑作でした。 暗い展開もしんみり・ほっこりする展開も、とても面白かったです! 素敵な作品をありがとうございました!
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僕らが見るのは恋の夢良い夢は何度見てもいいものですが、悪い夢はできれば一度だって見たくないもの。 主人公は誰かと口論している悪い夢を毎日のように繰り返し見て、いよいよ日常生活にまで支障をきたして……と、主人公の体調が大丈夫ですかー!?と心配になる始まりでした。 @ネタバレ開始 初回でED6……そこから何周も回りましたが自力ではコンプできそうになかったので攻略を参考にさせていただきました(攻略情報を公開いただいていて、本当に助かりました…!! 攻略情報がなかったら詰んでいました…。) 攻略に頼りきりでしたが、無事にED7まで辿り着いたら、正にこれこそが真相というルートで、すごくよかったです! ミアさんとリコさんのことを思うとやりきれない気持ちですが、その分花子さんと宮部先輩にはたくさん幸せになってほしいと思います! @ネタバレ終了 一番初めは繰り返し見る夢の謎がまったく分からず、主人公とシンクロして「いったいどういうことなのだろう…」と思っていたら、まさかまさかの真相で胸躍る終わり方でした! 素敵な作品をありがとうございました!
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表彰プログラムを奪われた彼の運命は⁉『戦え!ゲーム実況者!』せっかく手に入れた名誉の盾を、なんやかんやあって何故か自分で取り戻すことになった主人公が盾奪還のためにバッタバッタとエネミーたちを倒していくのだが……エネミーが「アンチコーメ」だったり「スランプ中の神エーシー」だったりと、面白い敵ばかりです…! 動画投稿者が一撃で再起不可になりそうなネタまで出てきて、盛大に爆笑するとともに「シャレにならなくってよ!?」と戦慄しました…。 @ネタバレ開始 ラスボスのメルティミシアさんを倒す時の必殺の呪文があまりにも聞きなれていて、思わず笑いました。 本作を総括するような一撃必殺、大変カッコ良かったです!&メルティミシアさんが「この子、もしかしてあの子かな?」と禁忌を犯した少女の子かなと思っていたら……そうでした! また会えて嬉しかったです! @ネタバレ終了 SNSや動画配信など普段から親しんでいるものを題材にした本作ですが、実は作者様の前作からのキャラクターも出てきていて思わずニッコリしました。 素敵な作品をありがとうございました!
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黒白の世界FinalSeason本シリーズはこちらが初プレイです。あらすじを見てそのままプレイしてみましたが、用語など多少不明な点やシリーズ前作などで離脱したキャラは不在だったりと色々あるものの、話の軸である「黒白世界から元の世界に戻る」という目的や世界の成り立ちなど核心の部分は丁寧に書かれていて、思わず前のめりになりながら一気に読了まで進みました。 @ネタバレ開始 シロさんもただの悪者ではなかったのだなと、苦しんだ末にああなってしまったのだなと思うと最後に「このまま地獄行く」というのも何となく寂しい気がしました。 道中では獅子王くんの体を張った「ここは俺に任せて先に行け!!」と永井くんとの出会いのエピソードが胸熱でした。 男前すぎて「獅子王くん、頼むから絶対に死ぬんじゃねぇぞ!!」なんて思いました。 鎌女さん、もう少し手加減してあげてください…。 最後に八尋くんとアオイさんが2人で記憶者として人々の記憶を取り戻していく役目をともに行く道で結びとなりましたが、この2人なら何があっても大丈夫だろうなと感じるとともに、記憶について色々と考えさせられました。 @ネタバレ終了 忘れていた方がいい記憶もあるし、あまりの衝撃に記憶が蓋をすることもあるなど、記憶とはあいまいな部分があるものですが、それでもそれを抱えて生きていく必要があるのならば、せめて憎しみなどの負の感情で多くの記憶の印象を書き換えないように喜びの記憶を大切にしようと、永井さんや獅子王さんたち、そしてシロさんを見て思いました。 素敵な作品をありがとうございました!
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シロツメクサの恋心~Another clover~ドロドロに熟成させた重たい愛、真っ黒で真っ暗なバックグラウンド、世間一般で歪んでいると断じられる愛情認知が大好物な方には大満足の双子兄妹恋愛ものでした。 トゥルーエンドで挿入されるアニメーションが素晴らしかったです。 @ネタバレ開始 マシロさんとクロさんの双子の恋愛自体は「まあエジプトとか昔から家族同士の結婚とかはままあったしねー」くらいの気持ちだったのですが、クロさんの闇が想像以上に深くてバットエンドで自殺してしまったりするのも納得でした。 クロさんがマシロさんを妊娠させてしまった後で見向きもしなかったところが、もう破滅の音しかしませんでした。 愛されなかったから愛し方を知らなかった子どもが、体だけ成熟してしまった末路を見た気持ちです。 トゥルーエンドの終わり方は終わるべくしてそう終わったのだと思えるエンドで、個人的には納得の終わり方でした。 @ネタバレ終了 ジェットコースター型の展開が待ち受ける重たい恋愛が好きな人にオススメしたい作品です。 素敵な作品をありがとうございました!
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ここで愛を待っているラブコメは好感度0の出会いから少しずつ好意と信頼を積み重ねて、誰かの心の深い部分と自分の心の深い部分を重ね合わせて、甘い時間を楽しむことが醍醐味だと思っていました……が、最初から好感度MAXで始まるとしたら、それが自分の特殊な力によるものだとしたら、果たしてそれは本当の好意なのか?恋なのか?愛なのか?という裏側の考えもつきまとうものですよね。 物語中盤以降では文字通りその人に好かれる異質な能力のために、まったく見ず知らずの人から「あなたが私の運命の人!!」なんて鬼気迫る顔で迫られる恐ろしい事態になることもあり…物語の終わりまで主人公がどうなってしまうのか、息つく暇もありませんでした。 SNSで顔を見られただけで好感度MAX……いや、もう完全に振り切っているのはさすがに怖いですね。 最後までプレイするときちんとタイトルの「ここ」で「待っている」の意味が分かりました。 嫌われるよりは好かれるほうがよいと思いますが、好かれすぎるのはまた違う問題だなと痛感しました。 素敵な作品をありがとうございました!