SHIAのレビューコレクション
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イヴの啓発ゆるっとほのぼのとしたBGMとゆるっとほのぼのした始まりからの林檎・林檎・林檎祭に、「林檎大人気だね!」なんて笑っていたらトントンと予期せぬ展開へと向かいました……ラストが衝撃でした。 @ネタバレ開始 人間不要なのでいっそ猿にでもしてということで、最後に猿のお腹へ吸収されていく二人……アダム、君は何も知らないうちに終了しちゃったね(苦笑) @ネタバレ終了 サクッと読めて、もしかしたらこういう展開もあったかもね!こっちのほうがよかったかも!と不思議な気持ちになれる物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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お姉ちゃんの定理数学の美しさはその永遠性にある―――これには首が千切れるほど頷くしかないのですが、お姉ちゃんの努力できる才能にもまた数学にはない人間独自の永遠性を感じました。 努力できることは才能であると偉人か大学の先生か誰かが言っていましたが、お姉ちゃんは正しく努力の天才でした。 人間は高みを目指し続けることができる、永遠に解けないかもしれない難問にさえも人類の叡智を携えて人を変え代を変えて挑戦し続けること、お姉ちゃんもその一人であることに人間というものが持つ永遠性を感じました。 宇宙の果てにいても、どこにいても、どんな過去も未来も、人は数学に向き合い、その永遠性のある場所に挑み続け、手を伸ばし続け、いつかそこからしか見えない景色を見ようと足を進め続けるのでしょう。 最後に一つ希望の道筋を見たようなあちらのエンドが大変好みでした。 人は人と繋がり、いつか必ずその極地へ至れるのではないか……お姉ちゃんが『お姉ちゃんの定理』を見つけられる日も近そうで、ワクワクしました。 とても素敵なゲームをありがとうございました! タイトルの音楽と雰囲気が、とても好きです。
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雨の袂オープニングから見せ方がお上手で、詩的な文章に合わせて歌う雨の音のようなBGMにとても心地良い気持ちでプレイを始めました。この時点で既に期待に胸を躍らせながら読ませていただきました。 それぞれ個の人間として複雑な感情を持つ2人の距離感や温度が伝わってくる、とても気持ちのいい「読ませる」物語でした。 会話のキャッチボールが軽快で、リアルにそこで二人が会話をしているような臨場感がありました。 主人公の心情描写がとても丁寧で、やわらかなコットンの肌触りのような、読んでいてもっと先が読みたいと思うしっとりとした温度を持った文章が本当に秀逸でした。 人の持つぬくもりや心の機微がひしひしと伝わってくる中で、最後の最後のあの真っ白な背景にあの締めのセリフ、まさに一曲が終わった時に指揮者が結ぶ手のイメージが湧きおこってきました。拍手喝采したい気分です。 少しだけ変化が訪れた2人がこれからどうなるのか……まだまだ先は長そうですが、それでも一つ何か雨上がりの虹のようなものが2人の心に架けられたのは確かだと感じました。 とても素敵な作品をありがとうございました!
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いまふれーイマジナリーフレンドー重々しい曲から始まり、ひしひしと迫ってくる重たい話から拡がっていく一人の女の子のお話でした。やっぱり、イジメ、ダメ、絶対。 イマジナリーフレンドが現れる理由は様々ですが、社会とのバランスをなんとか保とうとする試みの一つであることは間違いないので、ちーちゃんのことを思うと悲しくて切なくなりました。 @ネタバレ開始 担任が強制登校させるために来るとか人権無視すぎてつらみ……と思っていたら、冒頭の女の子が自殺し始めて「死んじゃダメー!」と画面の前でハラハラ! イマジナリーフレンドとなるパンダさんが思い止まらせてくれて本当によかったです。 自分の居場所になる場所があるか、安全だと思える場所があるか、ありのままの自分を認めてくれる人がいるかで生きやすさも変わってくるので、ちーちゃんとパンダさんにとってけいこ先生や支えてくれる人がこれからも心から安心できる場所であることを願います。 @ネタバレ終了 ここから先のちーちゃんの歩む道が気になる、素敵な作品でした。 ありがとうございました!
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お嬢様学園のウラテミス主人公の山田るりさんの趣味というか日課が完全にキケンな件……ですが、それだけではない複雑な感情や背景がある一風変わった独特の物語でした。 探索パートにあたる部分も楽しかったです。 @ネタバレ開始 盗撮する主人公が活躍する物語が、とても斬新でした…! 色々と卑屈なところが目立つので「もっと自信を持って!そしてその盗撮趣味は依存症だから今すぐやめたほうがいいよ!」と心配になる山田さんですが、スタンガンなど護身用もしっかり知識があってヤル時はヤル姿勢が素晴らしいと思いました。 スタンガンの所持はおかしくもなんともないので、杏珠様にも魅力が分かっていただけところで護身用として是非携帯いただきたいです。 1章は結構な鬱々状態の山田さんをハラハラ見守っていましたが、2章からは山田さんの頼もしさが発揮されて面白かったです。 途中で杏珠様との衝突などもありましたが、そこも込みで「山田さん、今すごく青春してる!」と思いました。 個人的なイチオシキャラである会長の寝顔が最高でした!! 会長には第一章で何度も何度も退学勧告を出していただきました、ありがとうございました(笑) @ネタバレ終了 卑屈でキケンな特技を持つるりさんと誰もが憧れる高嶺の花のデコボコバディによる物語、最後まで楽しく拝読させていただきました! 会長さんが最高に好みでした……スチルがとにかく良かったです。 素敵なゲームをありがとうございました!
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歯車庭園と仮面の少年歯車でできた花の庭園と真っ白な部屋の夢の中に一人の仮面の少年がいる……本作はその少年との交流を通じて、現実の自分に気づきを得る物語でした。 @ネタバレ開始 噴水稼働の際に口にされた「貴方のことを思って」という言葉は相手のことを思っておらず、相手を自分の思う通りにしたいというのが本当のところだそうですが、主人公もご多分に漏れず過去に自身の子どもにそう告げたことがあると自覚した後で一歩を踏み出す姿がリアルでした。 人との確執が人生まで歪めてしまうのは現実世界でもままあることなので、主人公が一歩を踏み出せたときはじんわりときました。 @ネタバレ終了 歯車庭園の背景がとても美しく、海外絵本のような独特の世界が素晴らしいと思いました。 素敵な作品をありがとうございました!
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不漁少年頭が魚になってしまっているシュールな絵面の男の子のビジュアルに惹かれて、レッツ・謎解きへといそしみました。夜の学校ということで多少の不気味さを感じつつのプレイでした。 冒頭の御膳が「こ、これを……パクっと?」と思ったので、ストーリー的にもかなり怖いものかなと思ったら、適度難易度の脱出を中心に楽しめるゲームでした。 @ネタバレ開始 「棘を抜く」の意味が分かったときは「ああ、なるほど」と納得しました。 ハリーさんの顔が膨らむのが可愛かったです。 フィッシユヘッドになるなんてどんなことをやらかしてしまったの主人公と思っていたら、理由が意外とシンプルでした……好き嫌いはよくないものね、お魚さんたちは栄養たっぷりだものね…! @ネタバレ終了 謎解き要素も決して難しいものではなく、短くて気軽にプレイできるので、ちょっと頭を使いたい時にオススメしたい作品でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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一寸先はゆりっ!百合に対して熱烈無比な情熱を持ち、梅干しを見て涎が出てくる反射よろしく百合が目の前に現れようものなら涎がドバドバな主人公と3人の女の子の百合!百合!な物語でした。 @ネタバレ開始 男主人公を選ぶとへのへのもへじが現れ、何も百合百合しないまま終わる仕掛けが、これはこれで味がありました(笑) 探索パートも終始百合に走っていて面白かったです。 ミカリさんやナツメさん、サンゴさんたちとの交流もさることながら、主人公の百合レーダーの精度がすごすぎて、笑いっぱなしでした。 昼間に見える太陽と月を見て鼻血出して倒れたりする細かなエンドまで回収する楽しみがありました。 個人的には、常にかわいい後輩サンゴさんをナデナデしてあげたくなりました。 健気で真っ直ぐな後輩力全開のサンゴさんとの一時、とても癒されました。 @ネタバレ終了 小さなエンディングまですべて回収する楽しさのある、全力百合物語を最後まで楽しく堪能させていただきました。 主人公さんにかかれば神羅万象、なにもかもが百合になる無敵の可能性を感じました。 素敵な作品をありがとうございました!
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だから、私は悪くない何をもって人間とするのか、何が幸福であるのか、何が人間を生かしうるのかを考えさせられる短編でした。なまじ自分で創造する、想像するという知恵を持っている分だけ性質の悪さも一流なのが人間だなと感じました。 @ネタバレ開始 ただの家畜と成り果て全世界規模での養殖場で生かされるがごとくな人間たちに、画面の前でどこか冷めた思いを抱きながらのプレイでした。 ここまで来たら幸福の追求も、種の保存も、人間に知性を与えて生かしておく理由さえあるのか?という究極的な世界でした。 むしろ言葉も何もかも知性的なものを剥ぎ取って、AIによって知性のないただの動物として養殖され続けていた方が絶望などという感情も忘れられてよいのでは?などと頭をよぎるような凄まじい世界を感じました。 @ネタバレ終了 技術の進歩は暮らしを豊かにするけれど、何事も度を越えれば毒でしかないな……とシビアなことを考えた奥深い作品でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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ガラスのナツタイトルのとおりのガラスのように美しくも幻想的な夏を束の間体験し、やがて自分のあるべき場所へ帰っていくような、迷い込んだ旅人のような気分にもなれる不思議なお話でした。 @ネタバレ開始 夏と真逆の冬から見て、春夏秋と見ていきました。 夏だと仲間意識を持たれてフレンドリーに接していただけたり、冬を選ぶと敵対的になったりと……物語の背景が気になりました。 春は春でとても複雑な事情が見えて、この物語の奥にあるのは何だろう?と全体像を知りたい気持ちに……。 @ネタバレ終了 迷い込んだ先でちょっと不思議な体験ができる、幻想的な物語でした。 チリリンチリリンと清涼感のある背景音がとても涼やかでした。 素敵な作品をありがとうございました!