SHIAのレビューコレクション
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ルニア旅立ち。これはたぶん実際に切り張りされたものを撮影して画面にしておられると思うので、細部までこだわられた画面、それもこれだけの数をと思うと、制作本当にお疲れ様でした!! @ネタバレ開始 魂にクーリングオフってあるんだ(笑)と、展開的にはしんみりしたシーンなのにちょっとクスリとしました。 そして死神さんの来訪の仕方が大変ホラーチックなのに、画面のイラストがほのぼのしているので怖さを感じるどころか、ギャグ的な面白さを感じました。 亡くなった家族には安らかに眠ってほしいと思うのが飼い主だと思うのですが、先に逝ってしまった側はどう思っているのだろうと思うことがあったので、ルニアさんの話は心がほっこりしました。 しっぽがー!!とショックを受けたりするところは生前の最後よりかなり元気な姿で、そういう元気だったころと同じと思われるテンションでの一面が見られたのもとても楽しかったです。 最後の3人でのショット、すごくかわいいです。 リアル素材を用いておられるので素材の質感や立体感が全然違って、とても心に残りました! @ネタバレ終了 もしかして、自分の家で昔飼っていたインコもこんなふうに見守ってくれているのかも……?と思い、とても心があたたかくなりました。 素敵な作品をありがとうございました!
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てを。誰もがいつか体験することになるかもしれない「その一瞬」に手を伸ばすことができる人がどれだけいるか……物語の中の女性のやさしさと人間性に癒されました。 @ネタバレ開始 電車に飛び込もうとしている女性に咄嗟に手が伸びたのは、ひとえに彼女の人間性にあったのではと思いました。 「えっ…!」と気づいた瞬間に手を伸ばせるかどうか……おそらくすべての人が咄嗟に手を伸ばせるわけではないですし、もし伸ばせたとしてもその後に彼女のようにやさしく「つらかったね」と言ってあげられるか……「なにしてるんだ!」とか「あぶないでしょ!」と怒鳴ることはできるかもしれない。 けれど、「つらかったよね」と寄り添える人は……よほどの地獄を見たか、どん底から這い上がったか。 助けようとした彼女も、きっと以前に誰かに手を差し伸べてもらったことがあったのではないかと推測しました。 誰かに差し伸べてもらったその手を忘れていなかったからこそ、咄嗟に誰かに手を差し伸べられたのかなと……。 @ネタバレ終了 大切なものが短いストーリーの中にぎゅっと詰まった物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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【Valentine's・Loved one】麻薬を取り扱う裏の組織に所属している2人は、見知らぬ赤の他人同士だが、とある話をきっかけに互いを好意的に見ていた―――あの日までは……。 タイトル画面に戻ったら必ずタイトル画面のどこかをクリックしてほしい物語です! @ネタバレ開始 物語の中では直接的に書かれなかった部分、ドゥーデさんが皆のためにとチョコレートを溶かして混ぜているシーンが頭に浮かび、その後の悲劇に胸が締め付けられる思いがしました。 そして、タイトルから入れるもう一つの物語を読んで、視点が変わることで見えたものにまた悲しくなりました。 2人の視点からそれぞれ語られるあの出来事、お互い誰かを傷つけたかったわけではないのに、お互い相手を好意的に見ていたのに、たった一つの看過できない不幸がお互いの人生に永遠に交わることのできない溝を作ってしまった……マシュマロに込められた気持ちを思うとやるせなくなる物語です。 チョコを持って行く・渡されたときの幸せそうなスチルが印象的だっただけに、とても悲しくなりました。 @ネタバレ終了 2人のすれ違いがチョコレートに合うブラックコーヒーのように苦い、悲しみがそっと後を引く物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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バウンドケーキでまたお茶を気がつけば現代風(でも現代よりとても進んでいる)異世界に飛ばされて、かわいいケモミミ少女とボーイ・ミーツ・ガール。とてもかわいいケモミミの女の子アリカさんとの日常をたっぷり味わえる正統派ラブコメゲームです。 エンド分岐として一度だけ出てくる選択肢以外は一本道なので、純粋に物語を楽しむことができました。 @ネタバレ開始 女の子に対して何も免疫がない主人公がパジャマ姿にドギマギするなど、初々しい姿にニヨニヨしながらプレイしていました。 アリカさんが主人公の持ち物を物珍しくちょっと触ったり、主人公自身(正確には服)に触ってみたりするのも異世界に来たぞという感じで、やっぱりニヨニヨしました。 アリカさんがパウンドケーキをバウンドケーキと言ってしまうようになった小さい頃の件が、とてもかわいらしいです。 ありますね、小さい頃の勘違い。 大人になってもありますが、小さい頃だと尚記憶に残るというか。 バウンドケーキというなんだか随分元気な名前もこれはこれで可愛らしいと思います。 主人公がアリカさんたちのいる世界に残ってアリカさんと幸せになるトゥルーエンドもとても良いエンドでしたが、元の世界に帰って3年後に野良猫ちゃんを構ったことで時間が動き出すエンドも、どちらもよいエンドでした。 音楽がとても印象に残るものばかりでした。 トゥルーエンドで流れる曲が特に好きです。 私のプレイではトゥルーエンドの最後の最後でタイトルに戻る直前になぜかエラーが出ました。 タグ:「[startskip]は存在しません」というエラーです。 何回か繰り返してみましたが、必ず出ましたので、ここでこっそり入れさせていただきます。 @ネタバレ終了 女の子と出逢い、日常を送るうちに仲良くなっていくタイプのほのぼのまったりしたゲームが好きな方に是非オススメしたい素敵なゲームでした。 ありがとうございました!
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白雪姫の子「鏡よ、鏡。この世で一番美しいのはだぁれ?」呪われたその言葉によって蝕まれた心が白雪姫に悲劇と幸せを起こすことで有名な童話のその先にある、ほんのりと怖い物語でした。 @ネタバレ開始 歴史は繰り返すという言葉がピッタリとくるような劇的な終わり方でした。 母親殺害エンドでは別の童話がチラリと入ってきていましたが、最後のあの嗤いには「さすが白雪姫の子ども!」と思うところでもありました。 自分のためなら手段を選ばないところがさすがの親子。血は争えないというところでしょうか。 美貌によって悲劇を見た白雪姫も継母と同じ穴の狢として娘を疎ましく思うところ、その娘さえもが自分のためなら母でさえ消してしまうところに背筋が凍えました。 @ネタバレ終了 七人の小人の一人が「カエルの子はカエル」に対する言葉を返していましたが、まさにその通りだなと思いました。 素敵な作品をありがとうございました!
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君に恋してもいいですか?お手並み 拝見(ルビ:カタストロフィ) なんて言葉、センスありすぎて胸が痛い……。あの有名すぎるフリー素材の女の子たちから、こんなカオスすぎる日常が生まれるなんて……(驚愕) タイトルにいる女の子をクリックするだけで始まる女の子とのショートショートストーリーという奇抜なアイディアだけでも面白いのに、本編でも皆さんの言っていることが大体おかしくて笑いました。 結衣さんの中二病っぷりが特にツボでした。 結婚(インフィニティ)してくれるかしら……ドキドキ。 @ネタバレ開始 なんて思ってたら、いらすと屋のゲームでした(ドッシャアアアアアン!!!!! 衝撃のあまり地面に叩きつけられて潰れる音) そして始まる本物の話……が、俺たちの物語はこれからだ!なところで終幕。 いや、もう本当に面白かったです。 @ネタバレ終了 カオスカオスカオスとカオスを300%増量したようなとてもテンポよいシナリオが大変面白い、宇宙の果てまでイケるロケットの推進力並みにパワーのある読み始めたら止まらない素敵な作品でした。 ありがとうございました!
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ファッションサイコパスの災難冒頭から既にサイコパスの並々ならぬプレッシャーを感じつつプレイしていたら1分後に別の自称サイコパスが現れ、あっちもこっちもサイコパスさんだらけになった、サイコパス100%なお話でした。 @ネタバレ開始 昨今問題になっているヤングケアラーにして真性のサイコパスである千夏さんに巻き込まれた加藤くんがとても可哀想なお話でした……自分の世界を理解してくれる人が現れたと嬉々としてついて行ったら、まさかの死体遺棄のお手伝いを頼まれることになるなんて、加藤くんの衝撃が手に取るように分かりました。 初めての共同作業が友人の母親の解体処理とか、もう一生の友情とトラウマ確定ですね……「来世に期待しよう!」という言葉しか加藤くんにかける言葉がなかったです。 「(手伝わないなら)見られたからには死んでもらう」と迫る、千夏さんなら本当に実行するだろうと分かる淡々とした顔に震えました…。 そして、色々な意味で断金の交わりに近しい友人を得た千夏さん、おめでとうございます! 末永く、親友の加藤くんと楽しい日々を過ごしてください(震え声) @ネタバレ終了 タイトル通りのファッションサイコパスの災難(すぎる)物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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【死にゲー】Kill Me If You Can ~殺れるもんなら殺ってみろ~片目に眼帯をしたツインテ帯刀美少女、メイド姿で太腿に銃器搭載の妙齢の美女という字面だけでレーダーにピンとくる方は是非プレイしてほしい、システムが凝ったちょっぴりヴァイオレンスな作品です。 唐揚げの話になるとサッと現れる美しすぎるヤスミンさんが好みすぎて辛い……と思っていたら、結構な難易度で何度もゲームオーバーに(涙) 赤色のワードを記憶したり、適度にセーブしたりと、死を回避するぞと奮闘してなんとか最後まで辿り着けました。 どのワードを記憶しておくのかをチョイスするのが難しく、ゲームとしても歯ごたえ抜群でした。 セーブと記憶がごっちゃになって、ワードを記憶するつもりがセーブして先に進んで「あのワードが……ない!?」となったのもいい思い出です(笑) 素敵な作品をありがとうございました!
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かよわき天使絵を嗜む主人公は同じ時期に始めた他の人たちのほうが上手くなっているのを見ると、自分がしていることが虚しくなっていた。そんな中、かえる場所を探す一人の少女と出逢い―――から始まる、日常に隠した自己を見つめる物語でした。 @ネタバレ開始 アリアさんが主人公を見守り続けた天使として告白するスチルが、大変美麗でした。 誰かと自分を比べて自信を無くし、苦い気持ちと葛藤とともに自分の気持ちに蓋をしてしまった主人公が、アリアさんの言葉に心の奥の眠る本当の望みや気持ちに気づいて再起するトゥルーエンド『かえるべき場所』がとても良かったです。 最後に手を振る主人公の、憑き物が落ちたように晴れ晴れとした顔が思い浮かぶようでした。 @ネタバレ終了 人はいつでも、何度でも、自分自身を変えることができる―――また新たに一歩を踏み出せる。 そんな当たり前のようで、実はとても難しくて当たり前ではないことに気づかせてくれる心あたたまる物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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神々の復讐脱力系音楽とともに始まるやっぱりどことなく脱力系のギリシャの神々の爛れた恋愛事情、ヨナカーンの首を求めたサロメの話、そしてさいごにチラリと出てくる貧乏神様……どの話も作者様の個性全開で、楽しく読ませていただきました。 ギリシャ神話は神々の惚れた腫れたの爛れ具合がピカ一なので、のっけから「ゼウスよ…」と神妙な顔で眺めていましたが、サロメの物語は面白い中に真面目なお話もしっかりと入っていて、絶妙なバランスでした。 『イヴの啓発』の時にもみられたサラッとしていながらも面白い言い回しや描写は今作も大爆発していました。 貧乏神様の話、その結びがとてもよかったです。 素敵な作品をありがとうございました!