一二七マコト@mclのレビューコレクション
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暗がりビオトープシンプルでありながらお洒落で、どこか懐かしさを漂わせるグラフィックや、モノローグと吹き出しの台詞に分かれて描写され進行していくストーリーがとても新鮮でした。どこか気だるげな音楽も世界観にマッチしていて没入感を高めてくれました。 作中時々登場するTipsも90年代のゲームセンターの情報や、専門用語がその場で確認できて「なるほど~」となりました。 @ネタバレ開始 ゲーセン用語に詳しくない自分でも理解出来ました。細かな気配りに感謝です。また、作者様の感想も一緒に書かれており、読んでいてふふふっとさせられました。作品の本筋の他にこういったお助け要素や小ネタがあるのって良いですよね。 @ネタバレ終了 また人物に関しても書かれており、そこから色々と登場人物像の肉付け(妄想)ができ、楽しませて頂きました。シルエットの立ち絵だからこそ、色々と膨らみますね…! @ネタバレ開始 まずはじめに… ユーキ…「ちゃん」だったことに驚きました…! ずっと男の子かと… その事情も物語の流れや、当時のゲーセンは男女共同トイレだったから余計に気づかれなかったというTipsで納得しました。そして、何故「オレ」と言うのかも…荒んでしまった家庭という印象でしたが、この頃の彼女は心の中で在りし日の家族である「父」の事を想っていたんだなぁと思うと涙腺が緩みそうになりました。健気です… 冒頭からわかる荒んでしまった家庭でユーキには居場所がなく、家庭訪問に来た先生の様子や、ユーキ自身の言葉から学校にも居場所や友人がいないこと… そんな寂しく恐らく辛い想いもしていたでだろう状況の中、ゲームセンターとそこに集まる人々との交流でユーキが次第に変わっていく様子がとても良かったです。 ゲーム仲間やミホさんとの出会い等で楽しそうにしてたり、サクラバさんの意外な一面を見たり……ひょんなことをきっかけにから曇り始めたりと、「ユーキ」を中心とした人間ドラマが短い中に、テンポよく無駄なく繰り広げられている所に丁寧な作り込みを感じました。 特にサクラバさんとミホさんと一緒に行った動物園デートや、最後のサクラバさんからの宿題は大人になった今の自分にも響き、考えさせられるものがありました。 大きな決断をしたサクラバさんも、様々な出会いと別れを通して、そこから自分で考え成長したユーキもとてもステキです。 @ネタバレ終了 ノベルゲームであることは間違いないのですが、ドラマを見ているような満足感がありました。 最後は「はっ…!」とさせられる希望が差し込む締め方でとても良かったです。 本当に最初から最後までお洒落&ドラマチックでした…! 素敵な作品をありがとうございました!
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反動のクラウドレイジ FREE BATTLE最高難易度までクリア出来たのでコメントを。 Twitterでお見かけした時から気になっていて、スマホで隙間時間にプレイしました。 ……これは、本当にフリーゲームなのか?と舌を巻きました。 ティラノでまさか本格コマンドバトルゲームが出来るなんて…!一体どんな技術なんだ…!!と終始画面に釘付けでした。 グレーと黒で統一されたスタイリッシュな画面、多彩なキャラクター達、カットイン、気持ちのいい爽快な効果音、戦闘時のBGM、ワクワクする出撃前の画面…どれをとっても「かっこいい…!」に尽きます。 こんなにも作りこまれたフリーバトルをした後は、ぜひ本編の方もプレイしたいと思いました。 バトルも楽しいですが、やっぱりキャラクターも気になる…! 素敵な作品をありがとうございました!またプレイします!
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アカイロマンション〜ホラー編〜「閉鎖空間」、「呪い」、「15年前の事件」という不穏な空気が漂う、上質なホラーサウンドノベルでした。フルコンプ出来た時の達成感と、満足感がたまりません。 自分は大体6時間半ほどで読了しました。 少しずつ進めようかなと思ってプレイし始めたら、画面から目が離せなくなるほど夢中になり、大変楽しい時間を過ごす事が出来ました。 ボリュームのあるお話ですが、文章が丁寧でとても読みやすかったです。キャラクターの立ち絵やイラストがなくても、読み手を惹きつけ魅せる文章力、描写力に脱帽です。 マンションの住民は誰もが個性的で忘れらない印象を持っており、魅力的でした。個人的に仁科さんが一番好きです。 エンディングは23と豊富で、そのため当然選択肢も多くあり、各エンディングから判明する謎と次なる伏線、この事件の全貌は一体どうなっているんだろう…とぐいぐい惹きこまれマウスクリックが止まりませんでした。 @ネタバレ開始 最初に辿り着いたエンドは2でした。何も恐ろしい事が起こらないエンドから見てしまい、事件はいつ起きるんだ…!とすぐに再トライ。 その後は真相が気になる展開が続き、完全に沼…!という状態でした。 ちなみに最後に辿り着いたのはエンド23でした。辿り着くまでかなり粘りました…! エンド23は最後に辿り着いたということもあり、感動もひとしおでした。 数々のエンドを見てきて仁科さん始め、もう誰も死んでほしくない!と思っていたので、あのラストを読んで肩の力がすっと抜けました。だけど最後の「僕」の語り口が他のどのエンドよりも、絶妙に不穏な空気感を漂わせていた所がとても良かったです。 そして皆のリーダー(?)仁科さんの生々しい壮絶な過去と、同じく壮絶な過去と生涯を送ったナナメちゃんとのやり取りはどのエンディングも儚く、美しかったです。それこそ桜のように。 個人的な好みですが、仁科さんとナナメちゃんが謎めいたまま、二人共に眠りにつくように逝く…というラストは哀しくもあり、同時に美しく非常に印象的でした。 @ネタバレ終了 事件が起きる前はコミカルな日常が繰り広げられていたのに、一つの事件を皮切りに緊張感が一気に高まり「音」の効果でさらに臨場感も高まりました。 かといってずっと緊張しっぱなしというわけではなく、ちょっと気の抜けるシーンもあったりと読んでいて楽しかったです。 ホラー演出として怖いシーンも多くありますが、それと共にこの事件は誰がどんな目的で引き起こしているのか?といった謎があり、そこに思いもよらない人物が関わってきたりと終始目が離せませんでした。 クレジット付きラストシーンはどれも綺麗にまとめられており、胸に響く言葉がいくつもありました。 どのエンドも無駄がなく、一つ一つのエンドが全貌の断片というような形で展開されており、先へ進むと「あのラストでのことはここに繋がるのか!」と感服しました。 また、エンディングを見てもまたすぐ直前の選択肢から開始できるのは、セーブが沢山ないと不安になるプレイヤーとしてはありがたかったです(笑) @ネタバレ開始 全エンドを読んだ後に読める作者様のあとがきを読んで「お疲れ様でした! 素晴らしい作品を生み出して下さりありがとうございます…!」の気持ちで終始、うんうん、と頷いておりました。続編も制作とのことで、応援しております! @ネタバレ終了 素晴らしい作品と楽しい時間をありがとうございました!
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がんばれ!ヤマトくんタイトル画面の可愛さに惹かれてプレイしました。 発想の勝利…!と思わず感嘆しました。とにかく文房具たちが動く…! ストップモーションアニメという子供の頃に見たものが、 ノベルゲームで堪能出来るという…。すごい… ストーリーもわかりやすく、各文房具たちの特徴を活かしたお話で最後まで楽しませて頂きました。 @ネタバレ開始 無事にミッションコンプリート!と思ったら…まさかのオチで笑いました。 あそこから更に文房具たちの奮闘があったのかなと、想像が膨らみます。 プレイ後の裏話も面白かったです! 特に長老(消しゴム)…! …長老!! @ネタバレ終了 面白い作品をありがとうございました!
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すいれん水彩の淡いタッチで描かれた美しい背景に惚れ惚れとしました。立ち絵キャラクターの二人も可愛く、表情と共に動く様子も息づいているようで見ていて癒されました。 そして作品全体のゆったりとした、どこか懐かしく優しく穏やかな雰囲気が印象的でした。 @ネタバレ開始 昔の姿のままの彼女と再会した場面で少し驚きました。 なぜ彼女がその姿なのかという説明はされていませんが、彼女の「(ずっとここに居るけど)別に未練があるわけじゃない」、幼い頃に彼女自身の母親から「また熱が出るからお家に入りなさい」といったセリフから体調を崩して…というような想像をしました。 ただ、そうであったとしてもまた少年・レンくん(もしかして漢字だと蓮だったり…?)と会って、嬉しそうに話すエリちゃんが微笑ましかったです。 彼が持って行ってしまった池のスイレンを「自分のことは忘れてもいいから、持っていてほしい」と話す二人を見て切なさも感じつつも、心が温かくなりました。 @ネタバレ終了 素敵な作品と時間をありがとうございました!
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ロベリアの/嘘実は公開当初からタイトル画面の雰囲気等から、気になって早々にプレイしておりました。 プレイ後、感想を残したいけれど、適切な言葉で言い表すことが出来ず少しだけ時間を置いて再度プレイしました。 序盤は「何事?」と思う展開が続き、次第に全貌がわかるといった構成で短い時間の中にギュッと登場人物たちの想いが込められており、短さに反して時間経過を感じられました。 @ネタバレ開始 最後、ある種の身勝手な「愛」を実行した青年。だけど根底にあるのは一人の愛した女性を想う青年の心の動きが印象に残ってます。 本当は狩人として魔女とされる女性の命を奪うために来たのに、与え、尽くす側になるとは…それだけ二人の間に大切な時間が流れていた故の行動だったのかなと思いました。 たとえ彼女を悲しませることになっても、それでも生きていてほしいと想い、願う心は美しいと思いました。 胸の内にストンと落ちてくるような「幸せ」なラストではないとは思いますが、個人的にはこのような結末も好きなので良かったです。選択肢がなく一本道でプレイヤーから彼らに干渉することができないのも良いな、と。 その後の彼女は一体どう想ったのか、どうなったのか、彼女は生きていても青年が… 魔女である彼女は悲しい、寂しい想いを抱えたまま、これからも生き続けるのか…と色々と「その後」に想いを馳せることが出来る余韻があるのも良かったです。 @ネタバレ終了 解釈が間違っていたら申し訳ないのですが、読み手に余白部分の想像を委ねられた良い作品だと思いました。 素敵な作品をありがとうございました!
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時計のある部屋ドット絵が可愛らしくて、どんな謎解き脱出ゲームだろうと思ってプレイしました。 謎解きが得意ではないのでメモと一緒に身構えてプレイしましたが、サクッとクリアできました!解けた時の爽快感と、面白かったのでもう少し遊びたいなと思える作品でした。 ありがとうございました!
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smile冒頭部分の不穏さ不気味さ、主人公の置かれた状況等から惹きこまれました。謎解きは得意ではないのですが、解けた時の爽快感とああでもないな、こうでもないか、と色々と思案しながらプレイ出来、とても楽しかったです。 謎解きが終わった後の展開がどうなるんだろう…と思って、先へ進むと全貌が浮き彫りになり、「ああ、そういうことだったのか…!」と深く納得しました。 @ネタバレ開始 その後の選択肢も全て読ませて頂き、バッジも2つ頂く事ができましたが終始主人公と、後から来た少女、交互に感情移入し「この状況だと、そうなるのも仕方がない…でも、辛い…」と唸りながら読んでいました。謎解き部分もさることながら、ストーリーもしっかりしていて構成力が本当に素晴らしいなと思いました。 @ネタバレ終了 短いながら謎解き、ストーリー構成に大きな満足感を得られる作品でした。 面白い作品をありがとうございました!
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役所のほうから来ました!タイトル画面でコミカルな雰囲気のお話かなと、思ったらよく見るとホラーともあり早速プレイ。プレイ済みの方々のコメントにも既に書かれている通り、軽快なテンポで次々と進んでいくコメディとホラーが合わさった絶妙な作品でした。ホラー要素もありますが、どちらかというとコメディ色が強く感じたので、ホラーが苦手な方にもおススメです! 主人公もどこか飄々としていて、読んでいて楽しかったです。出てくるアパートの住人たちも選択肢さえ間違えなければ、コミカルで楽しい人(?)たちでした。個人的に最後に出てきた着物の女性が好きです!美しい…! そして真エンドの続きも、気になります…! 楽しい作品をありがとうございました!
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エソラノコト透明感のある優しい色合いのタッチで描かれた世界が、キャラクターとお話にしっかりとマッチしていて、見ていて心地よい時間でした。 お話が進むにつれ、美しい空がどんどんと変わっていく様子も良かったです。 二人が会ってお話をして…という一見して何気ない日常に青春を感じられ、読んでいてほっこりしました。 @ネタバレ開始 エソラちゃんにとってその一つ一つ、一日一日が、本当にかけがえのない大切な時間であったと分かった時は、胸がキュッとしました。 そしてそれを夏が終わったら忘れてしまう、というエンディングはやはり切なかったです。どこか潜在的に覚えている、というところがまた… でもそういう切なさ、個人的には好きです…! @ネタバレ終了 切ないけれど、それだけでは言い表せられない、美しい夏の日々だったと思えるお話でした。