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ルリエのレビューコレクション

  • 回顧、来ぬ
    回顧、来ぬ
    小学生、もしくは中学生の頃に戻って当時の友達と共に映画館で本作のストーリーを観たい……できれば夏休みに……そして映画館から出た瞬間に流れる蝉のうるさ過ぎる合唱で夏を感じたい……プレイ後にこんな妄想が迸るような青春ジュブナイルストーリーでした。本当に面白かったです。  いや、青春以外にも民俗学的オカルト要素やミステリー的どんでん返し要素など面白い点は沢山あったんですけど、何よりも子供達(with年上のお兄さんお姉さん)の一夏の思い出感がノスタルジーに溢れててノスタルジーに溺れ死にそうになりました。    キャラクターは立ち絵から中身まで個性豊かで皆好きです。最初にモブ?(にしては存在感のある)黒田くんの姿を見た時、(この作品は主要登場人物以外はこんな風に個性的な見た目をしているんだな)と思い、 @ネタバレ開始 それが主人公の紗羅紗ちゃんの内向的な性格を知ると共に(多分紗羅紗ちゃんが人見知り過ぎて知り合い以外はああいう風に見えるんだ)と変化しました。この考えはゲームを続けていく内に更に変化するのですが、登場人物の立ち絵一つでここまで二三転してて非常に考察が面白いゲームだったと思います。二三転するのは立ち絵の印象に留まらないんですけどね…… @ネタバレ終了  なので、オカルト要素が中心にありつつも本作は立派なミステリー作品だと感じました。頭の中を何度もひっくり返される快感。そういったものを求めてミステリーを読んでいる人にはとてもオススメできます。    先に本作を青春ジュブナイルだと称しましたが、 @ネタバレ開始 賢治郎さんときりえさん、子供達の家庭事情に関するエピソードはかなり重めでした。これらのシリアスなお話と、色々とぶつかって友達と呼べる関係になった主人公達の和気藹々とした会話のバランスが非常に良くて、重い話であると同時に暗いだけじゃない爽やかさと切なさを持ち合わせた味わいが楽しめました。  ラストの賢治郎さんのお見送りシーンは特に好きな場面です。あそこでエンドロールと主題歌流してほしい。勿論ジャンルはJpopで。  あと突然のHappy salt timeは本当に笑ってしまった。 @ネタバレ終了    最後にとても面白い作品をありがとうございました。次回作?でも本作の登場人物が出てくるっぽい?ので凄く楽しみです。

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  • ティラノフェス2021オープニング
    ティラノフェス2021オープニング
    フェス開幕おめでとうございます! 色んなゲームとの出会いを楽しみにしています。今年も開催してくださりありがとうございました。

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  • 篠目村
    篠目村
    まずは一言 「渡辺お前〜〜!!!!」    クリア後に彼のことしか考えられなくなる程渡辺君が凄い話でした。  大学生二人が田舎に行って恐怖体験をする……と書くとオーソドックスな田舎系ホラーのようですが、そこに友情というワンポイントを加えることで独自のストーリーができあがっています。  篠目村という名前の由来、今もなお続く因習など田舎系ホラーの定石はバッチリ! 雰囲気最高!! 短いながらもしっかりとホラーノベルとしての楽しみが詰まっています!!  そこに主人公と中山君と渡辺君の切ない友情話が強烈な印象を残していきます。 @ネタバレ開始  バッドエンドの方だと完全に裏切ったなてめぇ!!って感じだったのですが、トゥルーエンドの方は本当に……本当にやるせない……  二人共助かる未来はないんですか?  ない? そんな……  トゥルーエンド後、中山君は渡辺君がどうなったのかを知らずに生きていくんだな〜と考えると何とも形容できない感情に襲われました。だからこそ私はこの話が好きです。 @ネタバレ終了  素敵な作品をありがとうございました。

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  • タイトル無し
    タイトル無し
    @ネタバレ開始 『タイトル無し』というタイトル  ゲーム紹介のスクリーンショットがまさかの5枚共真っ黒  ゲームを開始してみるとタイトル画面が表示……されることはなく、やはり黒い画面に“目を開ける”というボタンが表示されるのみ  メニュー画面 そんなものは無い  音楽 そんなものも無い  プレイヤーができるのは文章を読み、時折表示される選択肢をタッチすることのみ  そんなシンプルでミステリアス ノベルゲームらしくないとも、これがノベルゲームの本質を突き詰めた形だとも言える不思議なゲームでした。  上記にメニュー画面が無いと書きましたが、それが不便かというとそうでもなく 一度選択したルートは気づいたらなくなっているので、快適にゲームを進めることができました。というかこの一度辿った結末がいつの間にか消えてしまっている意味を考えると非常に怖い。物語性と利便性を兼ねた素晴らしいシステムだと思います。  文字だけのゲームなのだから当然重要なのは描かれている文章の内容です。  目を開けると光の無い世界にいた主人公。どこを向いても何もない場所で色んなことをし、考えを巡らせていきます。この内容が、真っ暗で音の無い画面を見ているプレイヤーとシンクロを起こしていて、凄いな〜と思いました。  選択肢によって二転三転する主人公の状況が不安定で変わり種の恐怖体験が楽しめます。何もないことの怖さ、知らず知らずのうちに消えていく怖さ……みたいな。  そして特筆すべきは、やはり全ての結末を回収した末の……  基本的にシンプルな画面構成で進んでいくゲームでしたので、あの怒涛の文字演出がより印象深く感じられました。  ここまで感想を綴っておいて何ですが、私はこのゲームのシナリオを完全に理解できたかというと……自信がありません。謎が多くいろんな考察が楽しめるゲームだと思います。  最後にもらえるバッジから連想するにゲームのデバッグをしてたら全部ゴミ箱に突っ込んで消してしまったみたいな……? 本当はタイトルも背景画像もBGMもあったのにまるごと何処かにプレイヤーがやってしまったみたいな……そんな想像を私はしました。だとしたら元のタイトルは何だったのでしょうね。    とまあ的外れかもしれないけど色々な考え方ができる新感覚なホラーノベルでした。素敵な作品をありがとうございました! @ネタバレ終了

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  • ヤドカリ
    ヤドカリ
    ものすご〜く楽しい1時間でした! 主人公の綾斗くんと親友の羽鳥さん、幼なじみのえみちゃん、男友達の伊澤くん この4人の学園生活が和気藹々としていて、こんな感じの高校生活最高だな〜と思いました。特に羽鳥さんとえみちゃんによる綾斗くんを巡っての三角関係が可愛い! 楽しい! いや〜良いラブコメですね〜青春万歳!とほのぼのした気分から、タイトルであるヤドカリの意味を知ったことで忽ちオカルトミステリーへ……(いや…死体発見したり、夢の内容が何かありそうだったり、そもそも選択肢ミスると主人公がお陀仏だったりと不穏ではありましたけど) @ネタバレ開始 伏線の張り方がとても上手くて、大食い羽鳥さんの色々と凄いスペックに途中で明かされる過去、えみちゃんのイメチェンや傷など前半で描写された登場人物の特徴がかなり怪しく思えてきました。 犯人…犯ヤドカリの正体はかなり意外でした。ごめんねえみちゃん…告白してきた時、絶対殺されると思ったよ… 最後は羽鳥さんが格好良く解決してくれて良かったです。ずっと昔から見守ってくれたのが健気で好きです。3人仲良くこれから楽しい学園生活を送ってほしいな。 一方で伊澤くんはかなり可哀想ですね。部屋の中の本は元の彼のものだと思うので、オカルト好きは本来の気質でホームページを製作したのも本物だと考えているのですが、よりにもよってあんなことになるなんて…… 願わくば彼も助けたかったなって…… 立ち絵はありませんが、何分登場人物が個性豊かですから生き生きと動き回っている姿が想像できました。特に羽鳥さんがかなり魅力的で、大好きです。かっこかわいい BGMの使い方も面白かったです。店に入る時のとか しかしヤドカリみたいな生物がいる世界、多分綾斗くんはこれからも苦労しそうですね… @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 飛びたいの
    飛びたいの
    エンディングのバラエティに富んだゲームでした。幼い主人公が「飛びたいの」としか喋らない謎の女性の手助けをするところから現れる選択肢で物語が色々な方向に変化します。 短編ですが、いろんな展開が楽しめるので時間以上の充実感が楽しめました。エンド毎の雰囲気に合わせた1枚絵が凄い! 多彩! 特にデフォルメのイラストが可愛くて好きでした。 選択肢の中には、おいおい絶対に無理だよ無茶言うな……みたいなものもありますが、主人公の無邪気さと女性の嬉しそうな笑顔を見ているとそれもどうでも良くなって2人を応援したくなりますね…… 上記のような微笑ましいものもあれば主人公の悪気のない行動に薄ら寒さを覚えるようなホラー展開も。君のその無邪気が怖い 女性の正体がわかる正規ルート?では綺麗なBGMも影響して心が洗われたような気分になりました。 素敵な作品をありがとうございました。〇〇のって言葉遣い、個人的に滅茶苦茶好きです。かわいい。

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  • 崇高なテロリスト
    崇高なテロリスト
     とてもセンスが光っているゲームでした。  絵描きの子とネットと風刺がテーマなのかな……? どの背景も水色系統の涼やかな雰囲気で統一されており、作品の世界にじっくり浸ることができました。現実世界のイラストも好きなのですが、ディスプレイのイラストがとても好きです。  プレイヤーが主体となってクリックできることで没入感がありました。  Twitterっぽい画面とか、個人サイト、匿名掲示板、ブログ等の再現度が高くて面白かったです。  この辺り小ネタが豊富で、本筋とはあまり関係無いと思うのですが、見ていて楽しかったです。Twitterのトレンドの真面目そうな話題と何だこれは……?みたいな単語の混合具合。オススメユーザーのネーミングセンス。検索ワードのカオス具合も凄い。 @ネタバレ開始  個人的に気に入っているのは、どすこいクレオパトラとケサランパサラン放し飼いです。  後の匿名スレッドでどすこいクレオパトラ先生の名前があがった際にはテンション上がりました。どんな絵を描いているんだろう……  個人サイトのそれっぽさには笑いました。  サッチーは危うさがありますが、アンチがいてもネタを見つけて絵を描き続けるところがメンタル強い子だなと思いました。  だからこそ正反対のタカコとは相性悪かったのかな。    最後の演出も好きです。   ……おっとメールが来てるな、誰からだろ? @ネタバレ終了

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  • 軍議でござる
    軍議でござる
     まじめな会議にちゃちゃを入れるゲームです。  今にも敵が攻め込んできそうな危機的状況の中、どうすれば城が守れるのか議論するお偉いさんっぽい人達。本作は堂々巡りの会話をまとめて頑張って危機を乗り越えるゲームではありません。ふざけたおして撹乱しまくるゲームです。主人公が真面目にやろうが覆せる状況では無さそうなので、気にせずふざけましょう。  プレイ時間は短めですが、こいつらヌルヌル動くぞ……!?凄い……!!という驚きと、強烈なキャラクターのデザインによって印象がかなり残っています。特に姫様が好きです。かっこいい。  面白いゲームをありがとうございました。  あの緊迫した状況で気にせずふざけられる主人公はかなり大物ですね。  もう解散でよろしいかと。  

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  • 隠さなきゃ
    隠さなきゃ
     色んな展開が楽しめるゲームでした。  隠さなきゃ、というタイトル通り主人公が色んなものを隠していく。  全部で4ステージ! はたして君は上手く選択して母親の目をやり過ごすことができるのか!?  ……みたいなノリだと最初は思ってました。 @ネタバレ開始  横道にそれるのを楽しむシステムと言いますか、間違った選択のルートからヒントを得て、次に活かすタイプのゲームです。  テストの答案を隠す最初の章では、上手くやれたぜ!と思っても色々あって結局バレてしまい、クッソ〜!!次は絶対隠し通すからな!?という悔しい気持ちになりました。主人公が前の選択時の失敗やアイデアから上手くテストを亡き者にした際には、証拠隠滅が板についてきたじゃないか……と謎の感心をし……  と、こんな軽い気持ちでプレイできるのは3章までです。  3章の失敗ルートは主人公がラノベにはまったり、思わぬ友達ができたりと彼女の色々な未来を予感させてくれるエンドが楽しめました。特に好きなのは海に行く話。ちょっとバカなリエちゃんがかわいいです。    ただこのゲームが凄いのは2章からですね。  最初から違和感はあったんですよ。4章からのスタートだったり、失敗した際に映る“更生”の二文字だったり。  90点代のテストで焦る主人公から異様に厳しい母親なのかな?と思ったのですが、失敗ルートの様子を見ているとそうでもないような……?っていうところが。  2章の失敗ルートは家族愛の温かさがじんわり感じられて心に沁みるものがありました。  それ故に成功ルートの冷たさが際立っているなと。ここまでプレイして、隠さない方がいいのでは?というゲームコンセプトへの疑念が段々浮かんできました。  そうして訪れる1と0、ようやく辿り着いたはずのトゥルーエンドは酷く悲しいものでした。何とも言えない。    選択肢が現れる前の「隠さなきゃ……」と「絶対バレない……大丈夫大丈夫……」が章を進める度に重くなってくるのが好きです。  それを踏まえてのトゥルーの「隠さなくても良くなった」という台詞が凄く良い……    プレイヤーが覗ける主人公の家族の日常はごく一部ですから、私には主人公と祖母、母親の間にあったアレコレは雰囲気で何となくわかったような気持ちになることしかできませんでした。それでも他のエンドを見る限りでは、父親も母親も兄も、主人公が本当に困っている時には助けてくれそうだと思ったんですけどね…… でも隠しちゃうんだな……そういうゲームだから…………  タイトル画面に家族愛の象徴的な花、カーネーションを出したり、BGMを繰り返し使用する工夫が好きです。同じメロディでも場面が違えば感じるものも違いました。  @ネタバレ終了  非常に面白い作品をありがとうございました。プレイ後は豚汁が食べたくなりますね。

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  • 指先で世界を見る
    指先で世界を見る
    テニス部のエースにまつわる噂を色んな人物の視点から語られるお話です。 @ネタバレ開始 あとがきで語られている通り、学校という小さな世界の話というよりは今の世の中で使われない日はないだろうネット世界での話として受け止められます。 語り手の5人は現実でもこういう考えの人はいるんだろうなという現実感があって、きっと自分自身もそうなる可能性はあるのだろうと思いました。 この作品で噂の中心となっているAさん視点の話がないのがとても好きです。Aさんと会話したBさんですら彼女の心情は表面上でしかわかりません。でも人の気持ちなんて本人しかわからなくて当たり前です。もしかしたら彼女が話した転校の理由は嘘かもしれない。でも本人が言っていないことを邪推して、それを真実のように拡散するのは良くないのですよね。BさんとAさんが撮った写真に心からの笑顔があることを信じたいです。そして最後の演出が怖い。 @ネタバレ終了 指先で世界を見るというタイトルが秀逸でした。指先で情報が得られるようになった今の時代、情報の取り扱いは慎重にしようと自戒しました。

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