淡蒼9のレビューコレクション
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幻夜 - ドウラチオの暴虐 -なかなか遊ぶ時間が取れずこんな終幕間際になってしまいましたが、無事にフェス期間内にプレイすることができました。 殺人・お薬なんでもござれの街トウキョウシティで、倫理観のぶっトんだ殺し屋たちと倫理観のぶっトんだ研究者たちがそれぞれの大切なものの為に熱いバトルを繰り広げる様が最高にクールな作品でした。 登場人物の名前から作中に登場する薬や組織の名前まで、いたるところで私の厨二心をくすぐるネーミングがてんこ盛りだと喜んでいたら、名前だけでなく設定までこだわり抜かれており感服しました。10年前に出会っていたら危なかったかもしれません。 @ネタバレ開始 この作品の魅力はやはりその世界観とキャラクターだと思います。 本作品だけでは明らかにならないものも含め、世界観が細かい部分まで確立してあるのが感じ取れましたし、キャラクターは決して少なくない人数全員がきっちりキャラ立ちしており、そして何といってもみな生き様がカッコいいです。個人的には殺し屋サイドは灰人&結ペア、大学サイドは青斗君が好きでした。 さて、先ほど倫理観がぶっトんでいると評した彼等ですが、彼等も愛する人(もの)、誇り、未練、果ては生理的欲求……などなど、各々にとって大切なものの為にぶつかり合うことになります。前半、大学内では愛君や恭さんをはじめ様々な葛藤が描かれていきますが、その後そんなのお構いなしとばかりに殺し屋たちにバッタバッタと打ち倒されていきます。何とも無常を感じましたが、案外人生そんなもんかもしれません。ぶつかる理由に関しても、我ら読者視点でみればもっとこう、なにかいい方法があったんじゃないかとも思うような感じなのですが、そんなことはお構いなしに派手に血飛沫を散らしながら戦闘を繰り広げているのを見ると、なんてカッコいいんだと感じるのと共にこれはやっぱりこうなるしかなかったのかなとも思えてくるのが不思議でした。 @ネタバレ終了 とても面白かったです。続編も楽しみにしています!
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僕らはそれでも恋をする@ネタバレ開始 タイトルとサムネイルの三人が可愛すぎて思わずダウンロード。 作者様の作品は初プレイでしたが、良い意味で期待を裏切られました。 @ネタバレ開始 説明文からはヒロインが可愛いハーレムギャルゲ系かと思っていたのですが、いざ蓋を開けてみれば女性不信や加害者の家族問題、記憶喪失、新興宗教まで出てきてびっくり仰天です。でも三人はちゃんと可愛かった……! 共通ルートは主人公である隼人の抱える問題を扱ったシナリオな訳ですが、個人的に彼の人間としての未熟さが際立っていたような気がします。 正直、辛い経験をしたのはかわいそうだけどさあ!もっと言い方あるやん!とやきもきしたことも何度かありました。 その後頭の良い同士Aに彼の抱える矛盾をばちくそに論破されるわけですが、その後の彼の成長もまたこの物語での見どころの一つなのかなと。 他にも、同志たちの作戦会議と家宅調査の場面は神懸かり的な面白さでした。あのやりとりだけで地球シミュレーターの何百倍も価値があると思います。 あと全然関係ないんですが、ここのシナリオはN〇R性癖で破壊され尽くした私の脳のセンサーが反応する部分が多く、嬉しい悲鳴をあげていたことをこっそり告白しておきます。 年下すきーとしましては、ヒロインの中ではやはり薫が一押しです。お兄ちゃん呼びは毎朝の目覚ましにしたいくらい最高でした。 ご都合主義的に奇跡が起きて記憶が戻ったりしないところも良かったと思います。たとえ記憶がなくなったって、薫は薫だよな! ちゃんと自らの過ちに気が付けた隼人に成長したな、としみじみしてしまいました。 他のキャラでは風呂場でも全裸でカメラだけは装備してる二宮さんが最高でした。なんかあっさり死んでるし、完璧です。 ※既にご指摘有れば申し訳ありませんが、1か所、前後のテキストとボイスが逆になっている箇所があったので報告しておきます。 共通ルートの隼人を救おうと部室で4人が円陣を組むシーン、薫の「手を合わせるって結構照れるもんっすね」の部分になります。 余計なお世話でしたらすみません。 @ネタバレ終了 テンプレにはまらない、かなり攻めた内容で楽しめました! 面白かったです!
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七不思議の七番目 幸色の厄災ちゃん@ネタバレ終了 え!?このクオリティでフリーゲーム!?いい時代になったものだなあ……。 第一印象はそんな感じでした。 イラスト、テキスト、シナリオ、UIその他……全てが高クオリティでまとまっており、安心して物語に没頭することができました。 セリフの電子音についても、ドラ〇エで慣れ親しんでいたおかげか、私は全く気になりませんでした。 @ネタバレ開始 学校の七不思議というオカルトを題材としていながらも、作中のそれ自体は極めて論理的な理屈の上に成り立っており、それは思考のカケラというシステムに如実に表れていると思います。 普段推理小説などに触れておらず、自ら思案を並行させて物語を読み進める経験に乏しい私などは顕著だと思いますが、登場人物による論理的な思考を元に進行するシナリオは、下手をすると読者を置いてけぼりにしてしまう危険性を孕んでいる、と思っています。 しかし、このシステムによって読者自らが能動的に論理的思考に参加できるため、物語の理解の助けになると同時に没入感もマシマシで大変良い要素だと感じました。私自身も初めのほうはサクサク進みましたが、終盤はなかなか正解のカケラに思い至らずちょうどよい悪戦苦闘が楽しめました。 突飛な論理破綻もないように感じられますし、良く練られたシナリオでとても面白かったです。 個人的には幽実のエピソードで不穏なカットインが入った時が一番テンション上がりました。 一つだけ気になったとすれば、幽実さん自分で言うほど重くて面倒な性格か?ってことくらいでしょうか。 イラストも大変美麗ですので、もう少しくらい元の性格に難があってもむしろいいアクセントになったような気もします。 というかちょっと重めの彼女も見てみたかったなという個人的な欲望……あ、いえなんでもないです。 その後の矛盾を指摘していく部分は、探しに行くまで全然気が付いてなかったのでいつの間に……と感動してました。 七不思議の7番目である厄災ちゃん自身から、七不思議を終わらせるようにお願いされるという導入部分から、終盤の展開はなんとなく予想がつきましたが、我らが霊斗君が男をみせてくれたおかげで素晴らしいハッピーエンドを迎えることができ、本当にほっとしました。 終わった後に改めてタイトルをみると、グッとくるものがありますね。これで私も、彼女が幸色でいられる一助になれたでしょうか。 @ネタバレ終了 長文大変失礼いたしました。 とっても面白かったです!
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変な意味怖ショートケーキのイチゴ理論で積みに積んでいた本作、ようやくプレイできました! 相変わらずのセンスとキレ!雨宿りんさんの唯一無二の武器だと思います。是非これからも研ぎに研いで斬鉄剣を目指してほしいです。 @ネタバレ開始 とりあえずタイトル画面でビビり散らかしました。 過去作の傾向から推測するに、これはホラーの皮を被ったドタバタ不条理ギャグコメディ(ちょっとのお色気要素アリ)に違いない!俺は詳しいんだ!とか思ってたところにあの演出。ピピーッ!反則です!(???) もちろん効果音はしっかり下げました。ホラーノベル制作者の風上にも置けない野郎だぜ。 ママ美人!ねね子ちゃんも可愛い!、日本人形も良く見ると可愛い!と煩悩まみれのプレイを進めていきながら、各エンドで意味怖の文字列がどんどん変わっていくのを見て、なるほどそういうコンセプトね……おk把握、完全に理解した、と思っていたんです。 そこへきて終ノ話のシリアス展開!温度差で風邪をひくところでした。はっくしょい! 警察と幻ママの顔怖すぎる……。 ちなみに私は意味が分かると怖い話の意味を初見で理解できたことがないアホなのですが、例にもれず今回も、おお、おお……!!とプレイしていたものの意味はよくわかっておらず、解説を読んででようやく理解できた雑魚でした。 本作に解説が実装されてなかったらママとねね子ちゃんと日本人形しか覚えていなかった可能性が高いです。本当に申し訳ない限りです。 もしも私を見越しての実装だったとしたら先見の明がありすぎるので我が国の行政に深く関わることをお勧めします。 プレイ後のおまけ、丁寧な誘導、凝ったUIの数々はさすがとしか言いようがなく、多すぎて拾えていない箇所も多々あるような気がしますが、 個人的にはバックログ画面のゆるキャラみたいな顔がすごいツボでした。 @ネタバレ終了 最高に怖くて面白かったです。 次回作も期待してお待ちしてます!
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教室に巣食う悪魔たち悪魔のような人間たちが集う学校で巻き起こる、この世の終わりみたいな事件の数々。 事件の真相は?犯人は?動機は? 最後まで展開の読めないシナリオでドキドキしながらプレイすることができました。 @ネタバレ開始 まず、工夫を凝らされた画面構成が素晴らしかったです。 ゲームをプレイするのではなく、キャストの一員としてストーリーに関わっているような感覚で物語を進められました。 クラシックを採用したのも斬新かつオシャレで、本作の独特な雰囲気を作り出すのに一役買っていたと思います。 そして問題のシナリオ。ここまで終わってる人間しか出てこないお話もなかなか無いと思います。 一部の登場人物に同情こそできますが、結局すべてが善良な人間というのはほぼ出てこなかったように思います。 人物の顔が映らないようになっているのも、不信感を与える良い工夫だと思います。(加えて、ラストのインパクトが最高に引き立つのも素晴らしかったです) 最初に提示される情報量の多さに初めは圧倒されますが、そこから徐々にピースがはまっていく感覚はたまらないですね。 強いて言えば、情報自体は何回も見れる工夫はされているので、はじめだけ多少の導線があってもいいかもしれません。 (最初から全部の情報を確認しないといけないのかと思ってしまったので) 本作のEDから、多数の参考文献を元に制作されているとお見受けしました。 私はこういった業界に明るくはないですが、この物語があながちフィクションと言い切れない部分もあるのかなと(物語自体は間違いなくフィクションだと思いますが)、もしそうならそれが一番のホラーだな、などと考えてしまいました。 @ネタバレ終了 他の方もおっしゃっている通り、人は選ぶかもしれませんが、間違いなく面白い作品だと思います。 ありがとうございました。
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まっちょのなく頃に作者様の作品は初プレイです。 発想の勝利とはまさにこのこと、このタイトルで面白くないわけが無いんですわ。 出オチ全振りかと思いきや高品質なパロディと意外に(?)凝ってるストーリー。感服です。奇才という言葉がここまでふさわしいと感じたのは初めてでした。 @ネタバレ開始 筋肉が、鳴いてるよ^^ @ネタバレ終了
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トナリノタイトル画面のインパクトが強烈すぎる……! 怖いもの見たさについプレイしてしまう魅力がありました。 @ネタバレ開始 犯罪は良くないですが、井澤さんの気持ちもわかってしまってなんともやるせない気持ちになりました。 それはそうと、ふ~ん、そうやるとドアロック開けられるんだ……へえ~~……。 @ネタバレ終了 隣人には気を付けないといけませんね!!
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儚き魔術師は虚無に棲む数学を魔法に、という発想がすごい! はじめは一見突拍子もない組み合わせに感じたのですが、実際プレイしてみると意外と相性が良い部分も多いのだなと気づかされました。 それを踏まえても、本当に魔法として存在するんじゃないかというリアルでカッコいい描写に厨二心がくすぐられました。 登場人物も中々に癖のあるキャラぞろいで、みんな頭のネジ何本かぶっ飛んでる感じでしたが、そこも数学を修めし者という感じがして良いなと思いました。(ド偏見) 中でもやはり猫さんが印象に残っています。レッスンでよく見かけたというのもあるかもしれませんが、彼の信念というか、生き様には心打たれるものがありました。 あと実年齢に比して見た目すごすぎませんか?さすが天才魔術師……! 随所からユウさんの数学への愛が感じられた作品でした。 自分は数学は割と好きな科目でしたが、あくまで高校数学までの話でそれ以上は知らなかったのでとても勉強になりましたし、新たな数学の魅力に触れることができてよかったです。
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ファントムゾーン ダイモンズ前作でも登場した陣内先輩に加え、妹の彩夢ちゃんが登場し、この二人を中心としてお話は進んでいきます。 今回は夜森市の外側の情報も多く描写され、ファントムゾーンというシリーズにまたがる世界観がよりはっきりと示された印象がありました。 世界規模の異変の、その一端を垣間見るというような感じでしょうか。 オカルトの和洋折衷というのか、異なる文化が一つの舞台に収束していく様子はワクワクが止まりませんでした。 相変わらず登場人物が個性あふれる面々で最高なのですが、彼らの関係性がこれまた秀逸で、これだけでご飯が食べられるくらいです!(?) これは人物のみにとどまらず、人ならざる者にも当てはまります。 今作でも沢山の異形の者たちが登場しますが、どれも素敵な造形でした。 @ネタバレ開始 メイジーちゃんの無邪気さとレッドブギーの強者感に、ただの悪役という枠にはとらわれない魅力を感じました。 対する陣内姉妹も、特にお姉ちゃんのほうの変人っぷりを妹視点で語ってもらったのが読んでて楽しかったです。 あさっての方向を向きながらも最後には持ち前のフィジカルでバッチリ解決してくれるお姉ちゃんは安心感抜群でした。 @ネタバレ終了 とても面白くて今後の展開もかなり気になりました!ありがとうございました!
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死と月は寄りそって眠る生と死という、普遍的でありながら難解なテーマを取り扱っており、一見するととっつきにくい印象があったのですが、文体や登場人物の軽妙なやり取りのおかげかサクサクと読み進めていくことができました。 特に最初、アニマの樹のシーンでおおっ!となり物語にぐっと引き込まれました。 主役となる二人のキャラクターも個性があり、それぞれが自分の考えをちゃんと持っていたのも良かったです。 ルナちゃんは奴隷の時点であの思考に到達できていたのは相当すごいのでは!? まあ、作中の知識の吸収速度を見るに実際かなり賢い子なのだろうとは思います。 モルスのほうも意外とユーモアのある人物で好感が持てました。 村人からロリコン扱いされてるのは不覚にも笑ってしまいました。どんまい! @ネタバレ開始 二人がそれぞれの生きる意味、死とは何かという答えにたどり着き、実行できたという意味では、あの結末はあれでよかったのだと思います。 クリア後のタイトルに映る二人の表情がすべてを物語っている気がしました。 (私としては立派に成長したルナちゃんが若くして死んでしまうのは悲しくてしょうがなかったんですが!) エンディングの一連の流れも、時の流れと変わらずに眠り続けている二人の対比が印象的でした。 途中、兵隊たちとの戦闘は迫力満載でテンション上がったり(笑) まさかアニマの樹を頑張れ!と応援することになるとは…… あと、個人的にクリア後の書記、あれが特に素晴らしいなと思いました。 作中では深くは語られなかったモルスの両親の真実、アニマの樹の正体を知って、鳥肌が立つ思いがしました。 この物語は間違いなくモルスとルナのお話ではあるのですが、この世界という視点でいえばこのアニマの樹がすべての元凶であり、影ながら歴史の中心にあったというのが何とも裏設定のような感じで。こういうの大好物なんですよ……。 スペルビアの人々がみな傲慢であることにもなにか関係があるんじゃないかとか、色々と考察ができて世界観の厚みを数段倍増させている気がしました。 @ネタバレ終了 量も長過ぎず短過ぎずちょうどいい塩梅でした! プレイできてよかったです。ありがとうございました!