heart

search

肋骨(あばらぼね)あきのレビューコレクション

  • アルスミック・リズィ
    アルスミック・リズィ
    @ネタバレ開始 周囲からは許されない姉妹間の恋愛感情を包み込むリズィの「箱庭」の中に安住しないという来海さんの選択は力強いと思いました。『愛の終わりは、常に善悪を超えたところで起こる。』というニーチェの言葉が引用されていますが、恋愛感情は常に善悪といった倫理的な価値判断からは切り離された衝動として発揮されるものなのだと、本作を通じて、改めて感じました。愛を収集するために二人に介入したリズィもまた、そのような人間の営みを知ることを望んでいたのかな、とも思います。 @ネタバレ終了 ノイズを使った演出など、ビジュアルノベルとして印象的な面もあり、最後まで楽しむことができました。素敵な作品を、ありがとうございました。

    レビューページを表示

  • 秋の夕暮れは僕の心を照らしていた。
    秋の夕暮れは僕の心を照らしていた。
    @ネタバレ開始 ストレートな悲恋モノかと思って読んでいたら、「僕(葵)」のスチルが表示される場面で認識がひっくり返されました。ビジュアルノベルの特性を利用した一種の叙述トリックとして効果的に演出されていて、かつ失恋の重みも増す構成になっていて、グッときました。 @ネタバレ終了 短いながらに切れ味もありながら、青春の切なさも味わえる一作でした。 面白かったです。素敵な作品を、ありがとうございました。

    レビューページを表示

  • 太陽と月が寄り添って
    太陽と月が寄り添って
    幼馴染どうしが惹かれあっていく過程を柔らかいタッチで描きながらも、その背景にある紛争を見つめるまなざしに共感しました。また、主人公たちと自分の年代が近いこともあり、作中の時事ネタには懐かしさを覚え、確かにそこに太陽君と月美さんが生きているのだという実感にも繋がりました。素敵な作品をありがとうございました。

    レビューページを表示

  • あなたの命の価値リメイクver2
    あなたの命の価値リメイクver2
    虐待を受けた子どもたちがどう再生していくか、家庭を築くことはできるか、そして連鎖を断ち切ることはできるか、ということと、誠実に向き合った一作だと感じた。重いテーマでありながら、扱うためにはここまで描かなければならないというところまで真摯に取り組まれていて、ラストに打ち出されるメッセージに至るまでのすべてに好感を持つことができた。シンプルでありながらも心配りの行き届いたテキストも好きです。素敵な作品をありがとうございました。

    レビューページを表示

  • 世界で一番不幸せな子ども
    世界で一番不幸せな子ども
    全ての子どもが望まれて生まれてきた存在であってほしいし、「生まれて良かった」と思えるような世界であってほしい。しかし現実的には、この作品で描かれたように、両親が揃っていることや経済的な余裕があることといった養育環境が整わないこともある。そんな困難さに直面させられながらも、子育てを通じて感じる痛みや喜びが確かに伝わってくる作品でした。素敵な作品をありがとうございました。

    レビューページを表示

  • 雨音、時々晴れ模様
    雨音、時々晴れ模様
    スチル・BGMともに美しく、OPとEDまでムービー付きで、力の入った作品だと思った。 @ネタバレ開始 またシナリオも、短編でありながらも余韻の残る結末で、往年の名作ノベルゲームのような読後感があった。『時間がない』という序盤の独白から不穏なエンディングを予感させつつも、最後は良い意味での裏切りがあり、自分も「神様」のように二人を応援したい気持ちにさせられた。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

    レビューページを表示

  • 雪消え
    雪消え
    鬱ゲーと聞いてプレイしました。 @ネタバレ開始 TRUE ENDでもしのぶさんが亡くなるという点では確かに幸福な結末ではないかもしれないが、そこに遺された想いを描いているという点では、全く暗いばかりの物語ではないと感じた。雪山の小屋という閉鎖空間から徐々に世界観が判明していく攻勢が、全体の分量は短いながらに、ミステリ的に楽しめる作りになっていたと思う。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

    レビューページを表示

  • 青は危険な色
    青は危険な色
    掌編小説のような一作。 売れない創作者としての苦悩と、名を知られた「彼女」の求めた歪んだ愛。 詩的で、多くの余白を残す物語だった。 素敵な作品をありがとうございます。

    レビューページを表示

  • 君と彼女のリリィヴァガンザ
    君と彼女のリリィヴァガンザ
    面白かった。 ヤンデレ、百合、ホラーそれぞれの要素が十分に発揮されている一作で、一転二転する展開とLive2Dを取り入れた冴えた演出に翻弄されながら、夢中で一気にプレイした。選択肢の出し方も、ノベルゲームとしての新しい境地を見せてもらった感じがする。 素敵な作品をありがとうございました。 一花と仁美の未来に幸あれ(?)

    レビューページを表示

  • 夜半に道連れ
    夜半に道連れ
    泣いた。傑作だと思う。 短篇は結末の切れ味が命だと考えているが、本作は正にその要件を満たしていた。 @ネタバレ開始 特に、ED1が好みだった。自己犠牲に美しさを感じてしまうのは、欺瞞だ。 けれど、「こんなにも幸せな気持ちで死ねるとは思っていなかった」と言われてしまえば、あさひさんの決断を肯定するしかない。 また、ED3の結末も美しい。きっと、罪を犯した先に続いていく人生は、彼女たちが想像するよりも深刻だ。出逢ってしまったこの夜を、何度だって後悔することになるだろう。それでも、今は、共に朝を迎えられたことが嬉しい。今この瞬間でしか発生しない感情かもしれないが、そこに嘘はない。 @ネタバレ終了 Lo-FiのBGMとも最高にマッチした、ノベルゲームとしての表現も抜群に巧い一作。面白かったです。

    レビューページを表示