九州壇氏のレビューコレクション
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魔の森にて魔王を倒した世界のその後を描いた作品。10分ほどで読了できました。ファンタジーの世界なんですが、妙に色々とリアルだったのがユニークで面白いです。個人的にツボだったのは、オサーンの存在です(笑) 確かに強そうですもんね……。
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マサユメテンシ記憶を失ったアイドルと同居することから始まる物語。読了まで40分ほどでした。ストーリーの完成度が高く、安心してプレイできるゲームだと思いました。起承転結のお手本とも言えるストーリー展開で、かつテンポも良く、終始楽しく読むことが出来ました。ラストも感動できて、「読んでよかった!」と強く思える作品でした。また、ヒロインも魅力的ですよね……! アイドルの美羽、家で笑ってくれる美和子。どちらの顔も素敵です。この2つの顔が、ビジュアル的にも全然違うところも良いです。淳とはお似合いだと思います。ふたりには幸せになってほしいですね……! 楽しい物語をありがとうございました!
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色のない世界世界がモノクロにしか見えない青年が、不思議な少女に出会う物語。僕は1時間ほどで読了できました。 プレイ前から「すごく面白そうだな!」と思わせてくれる作品ですが、ゲーム自体も見せ方が非常にうまい作品だと思いました。最初の一枚絵でいきなり引き込まれましたし、少女の立ち絵が徐々に……、という点も、先を読ませる力になっていたと思います。ラストの素晴らしさは、言わずもがなですよね。展開も相まって、実に美しいラストだったと思います。 ヒロインも魅力的でした。元気な一面と不思議な一面をあわせ持っていて、自分も「この子のことをもっと知りたい」と感じました。主人公とのコミカルなやり取りも面白かったです。映画を観るシーンが特に好きでした。 エピローグについては賛否両論ありそうだな、とも思いますが、それだけ主人公の気持ちが強かったということですよね……。真っ直ぐなふたりの思いに、こちらも心洗われました。素敵な作品をありがとうございました。
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せめて、笑ってくれたなら。ある出来事に関わった人々をえがいた物語。僕は5時間ほどで読了できました。これまでに似たような経験をしたこともある僕にとっては、大変印象深い作品になりました。 この作品からは、並々ならぬ熱量を感じます。少しだけネタバレになるのですが、この物語ではショッキングな出来事が起こります。本作品はそれについて何人かの視点で描いていて、かつ、その描写も大変丁寧です。繰り返しその出来事をみることに対して、僕は何度か苦しくなったのですが、作者さんもまたこれだけの物語を書くのには相当なエネルギーが必要だったのではないかとも思いました。苦悩する主人公たちの内面に対する真摯な描写。音楽用語なども用いた美しい文章。様々な下調べをもとに書いたであろう正確なデータ。たくさんの美しいBGMと背景写真……。この長編作品には、膨大な時間と思いが込められているのではないかと感じました。作者さんには敬意を表したいと思います。 また、内容についてですが、こちらも素晴らしかったと思います。主人公たちは「自分が別の行動をとれば止められたのではないか」と悩み、最後まで「許された」とは思っていません。それでも、また前を向いて歩いていこうと決意する彼らの姿には、胸をうたれました。「せめて、笑ってくれたなら」というキーワードが、違った使われ方で何度も出てくるのも、粋な演出だと思います。 少しだけ個人的な話をさせて頂きますと、僕は彼らのことを他人事とは思えませんでした。僕は普段、悩む人々を援助する仕事をしています(余談ですが、その中には劣悪な環境で生きる女子中学生もいました。彼女の場合、児童相談所と協力し、里親のもとで暮らしてもらうことになりましたが)。そうして何百人もの人々に関わってきた僕ですが、20歳前後の男子1人、女子1人に自殺されてしまった事があります。その知らせを聞いた瞬間の感覚は、一生忘れられないと思います。周囲は「お前の責任ではない」、「やるべきことはちゃんとやった」と慰めてくれるのですが、今でも思い出すと苦しくなる出来事です。本作品にも書かれていたことですが、こうした出来事の関係者は、真の意味で許してもらうことはできないのだと思います。罪の意識を持ったまま、自分の役割を果たしていくしかない。そう思って、今も仕事をしているところです。本作品は、そうした自分の心に寄り添ってくれるもののように感じて、大いに感動させて頂きました(美談にしてはいけないことだと承知しておりますが、作者様にどうしても感謝を伝えたくて書かせて頂きました)。 本作品に出会えて良かったと心より思っています。素晴らしい作品をありがとうございました。
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太陽よりも暑い夏「夏休み楽しむ組」が、たくさんの思い出を作る物語。3時間ほどで読了できました。 本作品には、「自分も子供の頃に経験したことがある思い出」がたくさん出てきます。特に自分は、秘密基地を作るくだりや、祖父母にかわいがってもらうシーンが懐かしかったですね……! 素敵な背景画像のおかげもあって、かなりノスタルジックな雰囲気が感じられますが、ここが本作品の大きな魅力だと感じました。ラストは余計なものを描かずさらりと終わりますが、そこもまた良かったと思います。夏が終わる寂しさをこちらも感じることができました。 キャラクターも魅力的で、僕は特に静江ちゃんが好きです。最初こそツンツンして見えましたが、とても素直で良い子だと思いました。また、帽子をかぶった立ち絵がとても可愛らしかったです。また、悟も良いやつですよね……! 冒頭のシーンは「なんだこいつは!?」と思いましたが(笑) 人のことを考えてバカできる、優しいやつだと感じました。 夏という季節が好きな方なら特に楽しめる作品だと思います。
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さよセン(さようならセンター試験)完結編大学入試に挑む男を主人公とした物語。2時間ほどで読了できました。 本作品の最大の特徴は、作者さんの熱い思いがひしひしと伝わってくることだと思います。おそらく、主人公と同じような経験を、作者さんもしてきたのだと思います。非常に具体的なエピソード。そして、不器用ながら必死に生きる主人公の独白。いずれも、熱のこもった濃いものになっていたと思います。 最後のセンター試験を応援しようという試みも、ユニークですよね! かくいう僕も、センター試験には深い思い入れがあります。高3の夏、数学1Aのセンター模試で100点中20点をとる等してしまい、高校の担任の先生からは「志望校は今年は無理。だから今年はとにかくセンター試験の勉強だけしろ」とアドバイス頂きました。以降は、全てセンターの勉強にあてましたね(笑) 図書館で、何度も何度も模試、過去問のやり直しをしていたのを思い出しました。「あの時の自分、必死だったなあ」と思い出せたのも、本作のおかげです。貴重な体験をありがとうございました。
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サリエンシー7年前、ある場所で出会った少女と再会する物語。20分ほどで読了できました。 明言されていないこともいくつかあるのですが、その曖昧さが本作品の魅力を高めていたようにも思います。 個人的に1番気になったのは、サリエンシーとは何かということです。脳科学の分野で実際に使われている用語のようですね。そちらの意味と合わせて考えると、サリエンシーとは、「周囲と比べて際立って見えてしまっている状態」を指すのでしょうか。主人公は高校では顕著に起こしていなかったことを考えると、周囲の環境の影響はやはりあるのでしょう。ただ、だからといって周りが変われば解決するものではなくて。彼女らは、月ステーションを出たあとも苦しみを抱えており、生きにくさは今も続いているのでしょうね……。それは、悲しいくらいどうしようもないことなんでしょうけど。それでも読者としては、彼女らに生きつづけてほしいと思ってしまいました。さまざまな考察に耐えうる、良作だと思います。
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僕と君は、希う。親友とふたりで夜の神社に行くことからはじまるお話。全部で30分ほどで読了できました。ふたりの関係性の描き方をが大変よいです。お互いを思いあっているのが感じられました。本作品は静かな舞台で展開され、登場人物はふたりだけしかいません。だからこそ、ふたりのそうした雰囲気が際立って見えたのかなとも思いました。イラストは後半に出てきますが、前半にあえて出さなかったのも良かったと思います。途中、ある事実が明らかになったときは少し驚きました。ふたりとも幸せになってほしいなあ……。
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神様の存在を忘れた巫女忘れられつつある存在である神様と、そんな神様を何故か慕う巫女の物語。20分ほどで読了できました。まず、タイトルが素敵です。読了してはじめて本意が分かる。個人的に、こういうタイプの題名は大好きです。 内容も素晴らしかったです。「大切に思っている。だからこそ……」という神様の葛藤は、痛いほど分かりました(ひとつしかない選択肢、押すのがつらかった(笑))。でもだからこそ、理沙の最後の言葉には救われる思いでした。彼女にはどうかしあわせになって欲しいです……。
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BEARいわくつきのぬいぐるみの謎を解明していく物語。20分ほどで読了できました。見た目や初期のエピソードからすっかりホラーものと思ってしまっていたのですが……。意外な展開に驚き、また、感動させられました。途中のイラストも、見せ方がうまいですよね。「こりゃ、よほどひどい目にあってきたんだな」と思ったのですが、むしろ逆だったのですね……。実は僕も小さい頃にぬいぐるみを大事にしていたので、ラストはジーンとしてしまいました。良い意味で予想を裏切ってくれる作品でした。