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九州壇氏のレビューコレクション

  • Days of Noble
    Days of Noble
    世間知らずなお嬢様との日常から始まる物語。50分くらいで読了できました。とにかく面白かったです! 1番の魅力は、テンポの良いギャグだと感じました。メタ発言も笑いましたし、パロディネタもガンガンぶっこんできてましたよね。汁のくだりとか、けっこう際どいところを攻めているのがまた、いいっすね~。ネタをいれつつもストーリーもしっかり進展していくところは、作者さんの技量の高さを感じました。キャラクターも皆魅力的でした。

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  • 電波男はお呼びじゃない!
    電波男はお呼びじゃない!
    物事をはっきりと言いすぎて浮いてしまいがちな主人公と、言動がすごく変わった青年の物語。20分ほどで読了できました。青年のキャラクターがユニークで面白いです。不思議なやつだけど全然憎めない。個人的にはけっこう好きです。また、彼は普段どう生活しているんだろう、とかも気になってしまいました。実家はけっこう裕福なのかもな、とか。ひょっとしたら特定の学問にめちゃくちゃ強い天才肌キャラだったりして……、なんてところまで勝手に想像しました(笑) 加えて、そんな彼と主人公の相性が妙に良いところも大きな魅力ですよね。ふたりの掛け合いには、何度もクスリとさせられました。演出面も華やかで、最後まで楽しいお話でした。

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  • 人ひとりを救うチカラ
    人ひとりを救うチカラ
    誰を救うのか、その選択を迫られるゲーム。20分ほどでフルコンプしました。いずれも、スッキリした終わり方とは言いがたいかもしれません(笑) しかし、救うという行為の危険性を鋭く描いている作品だと思います。ビジュアルも素敵ですよね。女子2人を先に選んでしまったのは、多分僕だけではないはず(笑)

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  • 魔の森にて
    魔の森にて
    魔王を倒した世界のその後を描いた作品。10分ほどで読了できました。ファンタジーの世界なんですが、妙に色々とリアルだったのがユニークで面白いです。個人的にツボだったのは、オサーンの存在です(笑) 確かに強そうですもんね……。

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  • マサユメテンシ
    マサユメテンシ
    記憶を失ったアイドルと同居することから始まる物語。読了まで40分ほどでした。ストーリーの完成度が高く、安心してプレイできるゲームだと思いました。起承転結のお手本とも言えるストーリー展開で、かつテンポも良く、終始楽しく読むことが出来ました。ラストも感動できて、「読んでよかった!」と強く思える作品でした。また、ヒロインも魅力的ですよね……! アイドルの美羽、家で笑ってくれる美和子。どちらの顔も素敵です。この2つの顔が、ビジュアル的にも全然違うところも良いです。淳とはお似合いだと思います。ふたりには幸せになってほしいですね……! 楽しい物語をありがとうございました!

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  • 色のない世界
    色のない世界
    世界がモノクロにしか見えない青年が、不思議な少女に出会う物語。僕は1時間ほどで読了できました。 プレイ前から「すごく面白そうだな!」と思わせてくれる作品ですが、ゲーム自体も見せ方が非常にうまい作品だと思いました。最初の一枚絵でいきなり引き込まれましたし、少女の立ち絵が徐々に……、という点も、先を読ませる力になっていたと思います。ラストの素晴らしさは、言わずもがなですよね。展開も相まって、実に美しいラストだったと思います。 ヒロインも魅力的でした。元気な一面と不思議な一面をあわせ持っていて、自分も「この子のことをもっと知りたい」と感じました。主人公とのコミカルなやり取りも面白かったです。映画を観るシーンが特に好きでした。 エピローグについては賛否両論ありそうだな、とも思いますが、それだけ主人公の気持ちが強かったということですよね……。真っ直ぐなふたりの思いに、こちらも心洗われました。素敵な作品をありがとうございました。

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  • せめて、笑ってくれたなら。
    せめて、笑ってくれたなら。
    ある出来事に関わった人々をえがいた物語。僕は5時間ほどで読了できました。これまでに似たような経験をしたこともある僕にとっては、大変印象深い作品になりました。 この作品からは、並々ならぬ熱量を感じます。少しだけネタバレになるのですが、この物語ではショッキングな出来事が起こります。本作品はそれについて何人かの視点で描いていて、かつ、その描写も大変丁寧です。繰り返しその出来事をみることに対して、僕は何度か苦しくなったのですが、作者さんもまたこれだけの物語を書くのには相当なエネルギーが必要だったのではないかとも思いました。苦悩する主人公たちの内面に対する真摯な描写。音楽用語なども用いた美しい文章。様々な下調べをもとに書いたであろう正確なデータ。たくさんの美しいBGMと背景写真……。この長編作品には、膨大な時間と思いが込められているのではないかと感じました。作者さんには敬意を表したいと思います。 また、内容についてですが、こちらも素晴らしかったと思います。主人公たちは「自分が別の行動をとれば止められたのではないか」と悩み、最後まで「許された」とは思っていません。それでも、また前を向いて歩いていこうと決意する彼らの姿には、胸をうたれました。「せめて、笑ってくれたなら」というキーワードが、違った使われ方で何度も出てくるのも、粋な演出だと思います。 少しだけ個人的な話をさせて頂きますと、僕は彼らのことを他人事とは思えませんでした。僕は普段、悩む人々を援助する仕事をしています(余談ですが、その中には劣悪な環境で生きる女子中学生もいました。彼女の場合、児童相談所と協力し、里親のもとで暮らしてもらうことになりましたが)。そうして何百人もの人々に関わってきた僕ですが、20歳前後の男子1人、女子1人に自殺されてしまった事があります。その知らせを聞いた瞬間の感覚は、一生忘れられないと思います。周囲は「お前の責任ではない」、「やるべきことはちゃんとやった」と慰めてくれるのですが、今でも思い出すと苦しくなる出来事です。本作品にも書かれていたことですが、こうした出来事の関係者は、真の意味で許してもらうことはできないのだと思います。罪の意識を持ったまま、自分の役割を果たしていくしかない。そう思って、今も仕事をしているところです。本作品は、そうした自分の心に寄り添ってくれるもののように感じて、大いに感動させて頂きました(美談にしてはいけないことだと承知しておりますが、作者様にどうしても感謝を伝えたくて書かせて頂きました)。 本作品に出会えて良かったと心より思っています。素晴らしい作品をありがとうございました。

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  • 太陽よりも暑い夏
    太陽よりも暑い夏
    「夏休み楽しむ組」が、たくさんの思い出を作る物語。3時間ほどで読了できました。 本作品には、「自分も子供の頃に経験したことがある思い出」がたくさん出てきます。特に自分は、秘密基地を作るくだりや、祖父母にかわいがってもらうシーンが懐かしかったですね……! 素敵な背景画像のおかげもあって、かなりノスタルジックな雰囲気が感じられますが、ここが本作品の大きな魅力だと感じました。ラストは余計なものを描かずさらりと終わりますが、そこもまた良かったと思います。夏が終わる寂しさをこちらも感じることができました。 キャラクターも魅力的で、僕は特に静江ちゃんが好きです。最初こそツンツンして見えましたが、とても素直で良い子だと思いました。また、帽子をかぶった立ち絵がとても可愛らしかったです。また、悟も良いやつですよね……! 冒頭のシーンは「なんだこいつは!?」と思いましたが(笑) 人のことを考えてバカできる、優しいやつだと感じました。 夏という季節が好きな方なら特に楽しめる作品だと思います。

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  • さよセン(さようならセンター試験)完結編
    さよセン(さようならセンター試験)完結編
    大学入試に挑む男を主人公とした物語。2時間ほどで読了できました。 本作品の最大の特徴は、作者さんの熱い思いがひしひしと伝わってくることだと思います。おそらく、主人公と同じような経験を、作者さんもしてきたのだと思います。非常に具体的なエピソード。そして、不器用ながら必死に生きる主人公の独白。いずれも、熱のこもった濃いものになっていたと思います。 最後のセンター試験を応援しようという試みも、ユニークですよね! かくいう僕も、センター試験には深い思い入れがあります。高3の夏、数学1Aのセンター模試で100点中20点をとる等してしまい、高校の担任の先生からは「志望校は今年は無理。だから今年はとにかくセンター試験の勉強だけしろ」とアドバイス頂きました。以降は、全てセンターの勉強にあてましたね(笑) 図書館で、何度も何度も模試、過去問のやり直しをしていたのを思い出しました。「あの時の自分、必死だったなあ」と思い出せたのも、本作のおかげです。貴重な体験をありがとうございました。

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  • サリエンシー
    サリエンシー
    7年前、ある場所で出会った少女と再会する物語。20分ほどで読了できました。 明言されていないこともいくつかあるのですが、その曖昧さが本作品の魅力を高めていたようにも思います。 個人的に1番気になったのは、サリエンシーとは何かということです。脳科学の分野で実際に使われている用語のようですね。そちらの意味と合わせて考えると、サリエンシーとは、「周囲と比べて際立って見えてしまっている状態」を指すのでしょうか。主人公は高校では顕著に起こしていなかったことを考えると、周囲の環境の影響はやはりあるのでしょう。ただ、だからといって周りが変われば解決するものではなくて。彼女らは、月ステーションを出たあとも苦しみを抱えており、生きにくさは今も続いているのでしょうね……。それは、悲しいくらいどうしようもないことなんでしょうけど。それでも読者としては、彼女らに生きつづけてほしいと思ってしまいました。さまざまな考察に耐えうる、良作だと思います。

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