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やつかなたのレビューコレクション

  • 菊花と雨
    菊花と雨
    TLで話題となっており、以前から気になっていたところ満を持してプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 ゲームを起動した途端、美しい文章がお洒落なUIとフォントに飾られて紡ぎ出され、まだ始まったばかりだというのに驚きのあまり声が出てしまいました。雨の京都という一見、旅行には不向きな世界観ですが、そのなかで紡がれる穏やかな恋物語、大変素敵です。 個人的にすごく印象的だったのは「物語のなかでずっと雨が降っている」ことでした。どうしても雨は涙をイメージさせるため、悲しみを示す情景描写として使われがちですが、この作品ではどんなシーンでもずっと雨が降っており、単に雨が悲しいだけのものではなく、むしろ傘の狭い空間の中に二人を閉じ込めてくれる舞台装置として働いているのが面白かったです。 勿論、碧衣さんと浅葱くんの出会いは憂鬱があったからこその出会いであり、その雨によって関係が深まっていくのだからむしろ必要な描写だったのかもしれません。しかしそれでも雨という嫌われがちな気象をこんなに魅力的に書かれていることに尊敬の念を表します! またどの方もおっしゃっていると思うのですが文章がしっとりとした美しさで大変驚きました。Xの方でも呟かせていただいたこともこちらでも書かせていただくのですが、三琴さんの描写は心情を単にスケッチするのではなく、それに寄り添うような優しさが魅力なのではないでしょうか......。キャラクターたちのちょっとした人間味のある弱さをただ指摘するのではなく、それを理解し、むしろ代弁する。だからこそ「優しく、しっとりとした」という形容詞が当てはまるのではないかなと個人的には思いました(偉そうなことを言って申し訳ないです)。 私自身、どちらかというとさらりとした文章ばかりを好んで読んできたので、三琴さんのゲームをプレイさせていただいて目から鱗の連続でした!とても緻密で優しい言葉の数々、めちゃくちゃ好きです! @ネタバレ終了 風情ある素敵なゲームをありがとうございました!

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  • My fire
    My fire
    以前から話題となっており、すごく興味を持っていましたので満を持してプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 開始数秒で始まる探索ゲームをわくわくしながら読み進めていると女子生徒の会話から何やら不穏な雰囲気を感じ、一瞬身構えましたが、ホノオくんのやんちゃだけど可愛らしい姿に「かわいい!!」とほっこりしていた矢先にまさかの死。 しかし、丁寧ながらもやや諦観のある文章のおかげで展開は飲み込みやすかったです!ですが、そうは言っても寂しさと、世間の薄情さに対する呆れは拭えず、祭りの日を迎えたところ、それを慰めるようにホノオくんが登場!本当にこのシーンは文章もグラフィックも清冽な青のように澄み渡っていて感動のあまり涙してしまいました......。何とか頑張って耐えていたのですが「ホノオくんは、水が苦手だもんね」の一言で涙腺が崩壊してしまい、ぼろぼろ泣いてしまいました。そればかりかおまけまで拝見させていただきましたところ、彼が亡くなった理由が麦わら帽子だったことが分かり、今こうやって感想を書いている最中もずっと鼻を啜っています......。 世間は薄情だし、忘れっぽくてホノオくんが生きた痕跡はすぐに消えてしまうかもしれません。しかし、彼がともした炎は絶対に消えないし、その灯りは確かに添乗員ちゃんたちの世界を照らしたのだと思います。まさしく太陽のような存在ですね! グラフィックから文章、そしてタイトル画面に至るまですごく丁寧に作られた作品でした!本当に素敵な別れとその物語に感謝いたします。 @ネタバレ終了 素敵なゲームをありがとうございました!!次回作も心より応援しております!

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  • 「お嬢様、あなたにお伝えしないといけないことがあるのです。」
    「お嬢様、あなたにお伝えしないといけないことがあるのです。」
    先ほどTwitterから情報を得ましたので早速プレイさせていただきました! @ネタバレ開始 まずはハッピーエンドを回収しようと正直にお嬢様に告白し、ハッピーエンドの予感にまた微笑んでいると何やら不穏な気配が。情緒あふれる、濃厚な文章に押し流されるまま、あれよあれよとEND2を回収したのですが、マリノの「許さないで、忘れないで」という強い執着がまさかこんな結果になるとは夢にも思わず......。 でもそうですよね、身分も立場も違う彼女がお嬢様の隣にいることなどできるはずもない。勿論、外聞を気にしたのもあるのでしょうが、彼女が何よりも気がかりだったのは跡継ぎを求められ、家の繁栄を担うキャロルの未来を奪うことだったのかもしれません。 それほどまでに愛し、大事に思っていたからこそ、こんな執着を生み出したのかと思うとやはり愛というのは恐ろしいものですね。 その次にEND1を回収しましたが、最後のエンドスチルがキャロルの激情をよく表現していて思わず声が出てしまいました。 きっと彼女は貴族という生まれだからこそ常に何でも与えられ、いつでも満ち足りていたのでしょう。そんな彼女が唯一手に入れられなかったものがマリノだった。そればかりか、自分が女に生まれたせいで決して得られない未来が目の前にある。その空白を埋められず、むしろ底なし沼から虫が湧くように重々しい感情が流れ出てくる様は本当に圧巻でした。 そして最後、今までの重々しいENDを経てからのハッピーエンド!今までの激重感情はそのままですが、彼女たちが幸せな結末を迎えられて良かった! そうですよね、激重感情を持て余していても、たとえ性別が同じでも幸せは手に入る。それをキャロルが実に格好良く示してくれたいいエンドでした! 前作に引き続き、丁寧な描写と精緻な表現に舌を巻きっぱなしの15分でした。お互いを大事にしているが故の愛と執着を目の当たりにできる素晴らしいゲーム、大変楽しませていただきました!本当にありがとうございます! 次回作も応援しております! @ネタバレ終了

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  • 異形のあなた、光と共に。
    異形のあなた、光と共に。
    短編ならではの謎めいた設定とBGMに裏打ちされた美しい表現が素晴らしかったです。 @ネタバレ開始 私は上から順番に選択肢を選んでいったのですが、その度に異形頭の彼の感情が抑えきれなくなる様、それにつられて語り手の心情が大きく揺れ動く様子に心打たれました。 また異形頭である彼と語り手の埋められない溝を立場、種族(?)という点で強調しつつ、語り手とその部下たちの視点の違いを描写していたことでこの二人の関係が特別であることが本当に丁寧に表現されていたと思います。  きっとこれからも語り手の彼は一生、異形頭の彼を思って生きていくのだろうし、それを理解できる人は決して現れないのだろうなと考えると、雑な言い方ではありますがこの二人、大変エモい。どうか一生引きずっててほしい。願わくば彼との思い出が語り手の人生を照らす灯りであって欲しいなと個人的には思ってしまうぐらい、素敵な作品でした。 美しい言葉の数々にあてられて興奮のあまり乱文を書き散らしてしまいました。まとまりのない文章で申し訳ありません。 @ネタバレ終了 本当に素敵な物語をどうもありがとうございました!

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  • 八ツ神のかみかくし
    八ツ神のかみかくし
    神様や物の怪、神隠しなどの和風ファンタジーを感じるワードに惹かれ、プレイさせていただきました。 まず、イラストがとても綺麗!ポーズや表情差分が一律ではなく、しっかり個性が出ているのが印象的でした。スチルも豪華で3周ほどプレイさせていただきましたが、何度見ても飽きなかったのは晴さまの美しいグラフィックがあったからこそだと思います。 @ネタバレ開始 しかし当然のことながら、このゲームの魅力はグラフィックだけではありません。重厚で見どころ満載のストーリー、これが何よりも素晴らしかったです。 1周目は登場人物の心情に注視して遊んだのですが、正直これだけでもお腹いっぱいになるぐらいでした。思春期の男女の様々な悩みや葛藤を文章だけではなく、演出も交えて表現する力は本当に尊敬いたします。眼前に迫っているにも関わらず、未だ手の届かない、あるいは手に取っても零れ落ちてしまうほど脆い未来。これに苛立ち、諦めや妥協を強いられる神の子たちはあまりに人間らしく、自分の高校時代を振り返るきっかけにまでなりました。 続いて2周目では元ネタや伏線を意識してプレイさせていただきました。解説記事を発表されていたので詳細は割愛させていただきますが、考察を続けていくうちに神の子たちはこの頃からもう神としての在り方が晶出しているのではないかと思いました。お山を出れば権能が弱まるとはいえど、恵太や沙里などはそれを利用して人々の助けをしている。この描写からも彼らが己の将来を強く意識してしまう理由に納得できました。 他にも「一石二鳥」→「亡羊の嘆」の暗示、「結構エグめの事件」→黒鷹と寿菜の過去、というふうに伏線があらゆるところに張り巡らされていたのにも驚きでした。この工夫により呼ヶ野の社会とそこに住む人々の関係がいかに緻密で濃いものなのかが実感できて良かったです。 そして最後に3周目、特に気になっていた美布に着目してプレイさせていただきました。やりたいことが多すぎて迷う禄華と対立するところで「あ、もうこれが伏線なんだ!」と気付き、あれよあれよと話が進んで、「ああ、この人は人間に憧れているだけなんだ。憧れて一緒になりたいだけなんだ」と納得したときに彼女の本当の魅力がわかった気がします。ところで恋は自己愛とはよく言いますが、その自己愛とは「なりたい自分」を指すのではないでしょうか。彼女は間違うことを強く望んでいましたが、それはやはり「約束された成功」が停滞した齎さないことを知っているからなのでしょう。この「失敗と成功」と「なりたい自分と今の自分」という対比が必ずしも人間のそれとは一致しないところも神の子らしいなと思いました。 @ネタバレ終了 最後になりますが本当に何周しても色あせない素晴らしいゲームでした。そればかりかスチルや小話、用語集に解説記事まで用意していただけるなんて!福利厚生が満載でプレイしやすかったです!本当にありがとうございました。次回作も応援しております!

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  • アヤコのお見合い
    アヤコのお見合い
    短編の手軽さとだからといって侮れない濃厚なシナリオが本当に素晴らしかったです!プレイさせていただき、ありがとうございました! @ネタバレ開始 みんな外見は同じなのにいろいろ所作や表情にしっかり特徴が出てるのがすごい!本当に緻密にひとりひとりキャラクターを作ってらっしゃるんだなあと感動いたしました。いろいろ質問していくうちにキャラクターの嘘を見抜くだけではなく、妖怪たちの良さや魅力にも気付けて良かったです。 みんな大好きなのですが、特に付喪神の水無月くんに惹かれてしまいました。もしかして口元のほくろの位置が違ったり、嘘が吐けず実直であるという特徴は彼が鏡だからでしょうか?また、絡新婦の滝川さんが俳優なのはもしかして糸が関係してるとか? 本当にキャラクターの個性が強くて、可愛いけれども考察しがいのある素敵なゲームでした!いつか女性陣の話も聞いてみたいです。 @ネタバレ終了 ところで次回作の製作が進んでいるとお聞きしています。心から応援しております!

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  • その気になれば出られる部屋
    その気になれば出られる部屋
    タイトルに惹かれてプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 ストーリーが進んでいくごとにどんどん明らかになっていく真相と、それに伴う主人公の感情の変化がばっちりプレイヤーである自分の心情の変化とリンクしていたのが本当にすごかったです! 初めは打算込みの優しさだったのにそれが身を捨てるまでの献身になってしまうとは......。本当に切なくて、飲み込んでしまわなくては勿体ないのに、どうしても飲み込めないあの感覚。それ故、あのエンド分岐なのでしょうね。優しさ故のシリアス、大変素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございました!

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  • ごーすとらいふぁー
    ごーすとらいふぁー
    切なくて綺麗な世界観に引かれてプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 恋は憧れに似ているとはよく言いますが、主人公の男の子が女の子に恋しながら、彼女の面影に執着するさまが本当に丁寧に、柔らかな筆致で描かれていて思わずうるっときてしまいました。 多くの人はどうしても大人になっていく中で世の中にある別れを簡単に切り捨ててしまったり、思い出を薄れさせてしまうものだと思います。彼もその一人かもしれませんが、彼の別れはむしろ弔いや餞に近いのではないかなと個人的には感じました。けれどもやっぱりそれは女の子の「お幸せに!」があったからでしょうね。また、最初の注意事項の演出が伏線になっているのもとても素敵でした! @ネタバレ終了 絵も可愛いし、ドット絵にあう音楽や雨音など点を印象付ける演出も大変お洒落だと思います!素敵なゲームをありがとうございました!

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  • アンケートにご協力を
    アンケートにご協力を
    サムネの可愛さに惹かれてプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 霧晴くんがめちゃめちゃ可愛い、律儀に笹かまぼこをくれたりこちらの返答に反応が隠せてないところがすごく可愛い!そんな可愛い彼の私服が最後、トゥル―エンドを迎えた後にお披露目されていましたが、ピアス(イヤリングかもしれない)をつけていたのは驚きでした。サムネのはにかみもキュートで、でも学帽や制服で男の子感は出しつつ......というのが個人的にすごく好みです。 @ネタバレ終了 短い作品でしたが少年らしい気取らない可愛さがほんのりギャップ萌えで彩られている作品で大変楽しめました、ありがとうございます。また霧晴くんに会いたいです!

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  • Gabriel
    Gabriel
    ずっと気になっており、満を持してプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 穏やかなガブリエルと一緒に話そうということでウキウキして読み進めたのですが、3日目ぐらいから、「あれ、背景なんか変じゃない?」と思っていると突然、責められびっくりしてしまいました。怯えつつエンドが気になるので読み進めるとやっぱり優しいガブリエルさんで安心しつつ、でもやっぱりどこかでは疑いや不安があったんだなと。エンド4に関してはガブリエルの人間らしさがばっちり出てて大好きです。とはいえやっぱり幸せに過ごしてほしい!どうか彼に神のご加護がありますように! @ネタバレ終了

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