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水原梓@ルピナスパレット のレビューコレクション

  • 止水 -しすい-
    止水 -しすい-
    いいなぁ、幼馴染美少女、しかもナイスバディの上、天然かつ病弱で神社の娘さん……もう天より恋愛ゲームヒロインの座を賜ったと言っても過言ではないでしょう。 しかし、美人薄命とはこのこと、体が弱く学校を休みがちな止水ちゃん。主人公は、あとどれくらい一緒にいられるかわからない彼女のため、自分には何ができるのかを模索していきます。 とにかくイラストが可愛いっ! 立ち絵もスチルも豊富で豪華! フルボイス! キャラクターみんな魅力的!  演出が豪華でニクイ! 主人公と一緒になって、ドキドキハラハラできるシナリオ!  ゲームもまた、止水ちゃん同様、ほしいもの全部のっけの素晴らしいクオリティです。 @ネタバレ開始 幼少期の止水ちゃんも、今の止水ちゃんもまた可愛いのなんの、思わず可愛い以外の言葉を失ってしまいます。 それに加え、友人達のわちゃわちゃ具合もよいです。まひらちゃんめっちゃ良い子じゃないですか、巌君と二人で帰るとなるとちょっとドキドキしちゃって女の子に戻る彼女がとても愛おしいんですが。喧嘩ップル好きとして、ここ二人の関係もニヤニヤして見ちゃいます。 二人きり、いよいよ告白と思いきや、止水ちゃんは自分の命が尽きようとしていることから、気持ちを伝え合うことを拒みます。抱きしめ合う二人、けれど気持ちを言葉にはできない寂しさがひしひしと伝わってきました。 王様ゲーム! 素晴らしい! いいぞもっとやれ! 瑞樹君になら抱きつかれたい! まひらちゃんとキスする5秒前だった了君に、不機嫌の止水ちゃん、そしてーーああっ! この不慣れな感じが堪らん…そう、こういうお約束が好きなんですよ! 了君のことになると、素早さプラスになる止水ちゃんが可愛すぎる…。 またしても入院してしまった止水ちゃん、そこからは一気に物語が進みます。 彼女への想いは留まるところを知らず、約束を果たしに来てくれたものの、もう最後かもしれないと、悲しいことを言う彼女。 世界が色を失っていく中、止水ちゃんが戻ってきてくれましたーーお互いに愛を確かめ合う二人。このままバカップル一直線と思いましたが、冒頭のアレを考えるに、そうはいかない、ですよね。 幼い頃に犯した過ちが、少女の運命を捻じ曲げ、歪めてしまった。その事実に愕然としつつ、今一度彼女へと向き直る。全てを受け入れた二人の別れには、涙が止まりません。 小吉も見たあとで、選択肢が増えたので大吉エンドを…歳を取らない彼女に、自分の一生を捧げることを誓った了君、二人の願いが叶った瞬間のなんとも言えない切なさが沁みます。 また、普通の幸せとの対比として、友人カップルの姿が書かれているのも、なかなかに心にくるものがありました。 どのエンドも素晴らしいですが、中吉エンドが個人的にとても刺さりました。消える間際の美しい表情、見入ってしまいましたね。 二人がお互いを愛している、と素直に伝え合う姿が微笑ましく、優しい気持ちになりました。お風呂シーンに関してはただただありがとう、と言いたいです! @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございます!

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  • 穴の中
    穴の中
    懐かしいタイプのサウンドノベル、文字やシナリオが読みやすいため、スルスルと頭に入ってきます。 突然現れた穴の謎に巻き込まれていく主人公が、なかなかに不憫です。 そして何より、しっかり怖い。ホラー作品は怖いもの見たさでつい気になってしまうのですが、こちらは正真正銘のホラーとなっています。私も、あまりの怖さにお昼にプレイしていました。 始終、背中に悪寒が走っていたほどです。私がホラー耐性が低いのでそう思うのかもしれませんが、テキストとグラフィック、音楽すべてが効果的に組み合わさって、世界観を作っています。 ホラーやオカルトが好きな人に、絶対プレイしてほしい。ほしい要素全てが詰まっているはずです。 またエンディングが多いですが、作者様の攻略もありますので詰むこともないですし、プレイ時間もそこまで長くはない(既読をスキップすれば、二、三時間と思います)ので、フルコンプも比較的容易と思います。 @ネタバレ開始 突然、工事現場に出現した陥没穴。 そこから始まる恐怖の物語、もう『ふじおかか』のあたりからずっとドキドキ、ヒヤヒヤしながら進めました。 途中に遭遇するバケモノが、視覚的にドキッとするフォルムに、生々しい描写で、雰囲気が出ているなと思いました。 穴の正体と、その土地のかつての話には本当に人間の怖さが滲み出ていますね。姥捨山、子捨て、なども昔話として聞いたことはありますが、食いぶちを減らすのではなく、自分の子どもでないものを殺すという思考が恐ろしすぎます。 この神主もなかなか訳ありのようですし、もう誰も信じられない…。 3章のドアの表現はもう、真夜中には読めないレベルのそれでしたね。でもここでもバッドエンドには行かない、どこで行くのかドキドキします。 合コンなんかしてる場合じゃないけど、ここにいても仕方ないということで、合コンに行くわけですが、女の子たちとの微妙な会話がまたリアルでした。 呪われてても仕事には行かねばならぬ、社会人の辛さ…こんな状況で仕事も作業もないですよね。と思ったら、案の定もうそれどころではない様子です。先輩も悪くなっているし、これはいよいよ。社長も鬼畜な提案をするし、事態はどんどん悪化していき、主人公も弱っていきます。 ついには、藤岡の子孫と思われる子に飛び掛かってしまいました。呪いの影響と、十分な休息が得られず、操られるようにそうしてまったんでしょう。チヨと名乗る少女の出現とともに、ストーリーは展開していきます。 チヨちゃん、初めは本当に無表情でお人形みたいだったのが、主人公が助けてから普通の女の子のように笑ったりしてくれて。シナリオ始まって以来の癒しです。ここにきて癒されるとは。 これで穴の呪いは終わるのかと思いきや、そうはならず。チヨちゃんを守ろうとした主人公も、彼らの餌食に。なんというか、きっと色々なものが足りてないなと思ってましたが、やはり逃れられなかったかと、ただ落胆というよりチヨちゃんを守れたのは個人的に良かったです。 2の後は 6→4→5→1→3 でエンディングを見ました。 なるほど、足りないものそうか、色と髪に血…確かに言われてみれば。それでこれまでダメだったのですね。 穴の供養には成功し、チヨも新たなスタートを切ったーー全てが順風満帆ではないけど、主人公はチヨを守っていける、と信じたいな。実際のところは、西条の疑惑があるので不安にはなりますが。 トゥルーエンドは、この話にふさわしい終わり方でした。埋めようと何しようと、彼は穴からは逃げられない。 明らかにタヌキの犬、ケンにも癒されました。 可愛いなぁ…タヌキだと思うけど。 トゥルーでケンに守られてズキュンときました。 @ネタバレ終了

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  • 修学旅行 ~性格不安定なまみちゃんと僕の物語~
    修学旅行 ~性格不安定なまみちゃんと僕の物語~
    さーて、やっと私も修学旅行に来たぞ! 憧れのマドンナとルンルン修学旅行、楽しんじゃう! 懐かしのピコピコ音と、ドット絵で動くキャラクター、ここからワクワクの始まりです。 もちろん修学旅行の説明から聞いちゃうぜ! 遊び方が丁寧に説明されるのでとっても親切! 写真が撮れるのがすごくいいですね、キャラクターメイクができるので、修学旅行の思い出いっぱい残しちゃいましょう…! せっかくなので、トゥルーエンドは自分で見たいな…と思います。頑張ろう。 @ネタバレ開始 ・キャラクターメイクとっても面白い! 自作のキャラクターに似た感じで作ってしまいました。すごい、パーツいくつあるんだ? ・た、たなか先生…体罰はあかん!! あくのきょうし!! こええ、ドアップになったぞ! ・やったー! まみちゃんはせっかちさんになった!!(てれってー) さっそくエンディングを迎えましたが、まったく修学旅行ではない! まみちゃーん!!  ・ちゃんとシャッターチャンスで写真ができる!! すごいすごいっ!! 素敵な一枚をゲット! ・弁当をどんどんもぶおに渡す、イカれたあんちくしょうぷりでカニまるごとどんをゲット〜! たっけー!!(笑)カニはもらってくれないもぶお。 ・大貧民ガチ勢だらけで参っちゃうぜ! 私の地域も大貧民ではなく、大富豪ですよ、まみちゃん! ・しかせんべいを食べるマドンナ! お腹痛くなっても、みよちゃんみたいにモジモジしない、令和のアイドルさ! ・ジエンドオブたなか…なんか微妙にかっこいい。 ・もぶおともぶこは、すっかりできあがってるな。 ・け、けつくせー? い、いえす?? ・どんどんまみちゃんに気に入られてる、でへへ。 ・たなかのテーマソングが流れると、ドキドキするようになっちゃいましたよ。 ・ま、まみちゃんがスケバンに!? しかし、似合ってる…。 ・ひとまず、たなかを撃退した先を見たいので、そこまでカットビング! ついに不良とバトル! しかもしりとりだそうです、システムが面白い…! さっきヒントはもらいましたが、負けました。 かなり時間をかけて勝利!! やったぜ!! しかし好感度が足りてない…。 ・やっと好感度二つまであげましたが、まみちゃん!! まだだめなの!? ・かなり詰まってきたので、エクストラにお邪魔しました。みよちゃんとかちょうだ!! あらあら、もしかしてまみちゃんって…? ・なるほど、最後のシーンちゃんと待ってあげなきゃなんだ。ちっとも気付かず…ムード台無しでしたね。今度はまみちゃんから、伝説の木に誘ってもらえました! 良かった! さいこうエンドの後もたっぷり、まみちゃんと修学旅行を楽しみましたー! ちなみに、なにげに照れちゃうモブ子が可愛くて…そっちかよエンド良かったです! @ネタバレ終了 エンディング後のやりとりで、どこを変えたらいいかちゃんと教えてくれる親切設計アンド、ヒントページありなので詰まないようになっています。ありがたい限り。 高校の修学旅行は沖縄だったので、奈良にも修学旅行に来た気分で、思う存分満喫しました! 前作を遊んでいると、2倍楽しめるようになっています…! 懐かしいお二人に出会えてよかったです。 素敵なゲームをありがとうございます!

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  • 雨夜の山荘で君は惑う
    雨夜の山荘で君は惑う
    サウンドノベルとミステリーを愛する者として、必ずこの謎を解き明かしてみせる。 そう、ばっちゃんの名にかけて。 雨の山荘に集まった人間と、そこで起きる惨劇、この王道ミステリーを前に、御馳走を前にした犬状態で始めました。 ゲームをクリックし、始まるムービーにこれからの展開を思い、キャラクターを見て第一印象から犯人を予想したり、もうこの時点からガッツリ引き込まれました。   ここからは探偵としてのコメントになるため、伏せます。ものすごい量書いてしまいました…。 @ネタバレ開始 電波が届かない圏外、というワードにそれで助けを呼べないのね、と何度も頷く。さらに洪水警報、洋館、一本橋ときたら、ミステリーの舞台の出来上がりです。 友人の二人も、犯人候補なので情報は見逃さぬように目を皿のようにしてシナリオを読みました。 主人公は名前を選べるのもいいですね、せっかくなので自作の推理が得意なキャラの名前にさせていただきました。探偵気分を楽しみます! 細かい館の指定はじっくり読みます。なるべく1発でかっこよく推理を決めたい…! そしてユヅキのハートは俺のもの! ジンはおバカそうですが、なんというか憎めないタイプですね。 ユヅキさん、なかなかセクシーな服着ちゃって! 何かあっても一人でシャワー浴びたらダメだよ! 殺人鬼来ちゃうからね! さて、楽しいひとときも終わり、ユヅキと電話もして、明日からも楽しむぞー! …まぁ、そうはいかないけどね。 早朝に電話で起こされると、なんと支配人が死んでいると。客が殺されるかと思っていましたが、なるほどそうきたか。 って、ジン! なんで私を指名するんだ!  うわああ、お約束の橋がダメになったー!! 絶望していると、なんとジンが真面目に話し始めたました。おちゃらけてるけど、やる時はやれる男子らしい。 遺体が発見された現場で検証スタート、ここから一気に本格ミステリーです。推理する場面があるとやはり楽しいですね。 確かにあれは殺人…みんなの背筋が凍ります。正直、全員が固まっているのが一番安全だと思うのだけど、というかこの中の誰かが犯人の可能性があるから、バラバラなのは危ない気がする。 探索を開始して、まずアサノさんはなぜバーにいたかが気になりました。寝室でも部屋でもなく、バー。呼び出された、が一番ありえるかな。 電話線が切れてることからも、内部犯な気がする。アサノさんを殺すだけなら、さっさと逃げたほうがいいし。なるほど、選択肢によっては前の晩に死んでるケースもあるのか…ゾッとします。 確かになんでメグミさんは衣装がないのに気付かなかったんだろう。 でも、壺を盗んだから衣装だってそのまま持ち去ればいいのに。証拠品になってしまう。 起きとったんかワレ(笑) 見回りの時に殺された、でも窓の割れ方から外からではない、うーん謎が深まります。 なんと、主人公でない視点も見せてくれるのですね。それはニクイ!  カザマーーーー!!! 割と疑ってたけど、犯人じゃなかったね、ごめん!!  ミオリーーーー!!! それは死亡フラグだ! ああそうか、さっきの人物がアサノさん殺しはしてない可能性もあるね。 シノザキさんの言うことも分からないでもない、ユヅキかジンが犯人の可能性も十分あります。 アリバイをお互いに確認しますが、あまり進展なく、ただカザマさんが残した写真により内部犯であることは確定しました。 おっさんは確かに言い方は悪いけど、メグミさんは疑われても仕方ないかと…。 うーん、早くも手詰まりに。浴室がバーと近いのは若干気になりますね。 しかし見取り図を見てひらめいてしまった探偵! 『出た。私の推理が終わってないけど、探偵は謎が全て解けちゃったやつ!!』 怪しいのは、コウモトさんなんだけど…。 えへへ、間違っちゃったー! ゲームオーバーと思ったけど、一応進みましたね。 ここで戻って、犯人指名の手前からスタート、ここ分からないって言うべきかな。でも、あの地図で何か閃いてはいるんですよね。ただ、単独犯かは絞れないんだよな…なのに名指しは一人だけ。 一応、外を調べた人が怪しいとは思っていたので、セトガワさんも指名してみました(ポンコツ探偵め!!) あら、話進んだ…? ん…? これ当ててしまった感じ!?  そうか、カザマさんの言ってた違和感はここか! ショーケースが割れていた、確かに言ってない。 ひいいい…セトガワ、あんた薬中かい…。 みんなの連携プレーでなんとかなったと思ったのに、無駄にタフなドランクジャンキーセトガワ、まだ抵抗するよう。しかしジンが食い止めてくれました。しかし、犯罪者とはいえ、人を撃たせてしまったのは…ジン、ごめんね。 悲しい犠牲を出してしまったけど、残された人たちを助けることはできました! エンディングで主人公の初期案が出たり、小ネタを出してくれるのも良かったです…!(クジャク?に笑いました) これがおそらく最短の攻略とは思いますが、犯人を指名できなくても話が進んでいたので、分岐に戻ってみることに。 ジンが疑ってる中にジャンキーセトガワがいませんね。シノザキさん疑われてる…。 こっちだと先程の推理とは別方向で、メグミさんの疑いが晴れてますね。これはすごい! さらに新たな被害者も出て、全く別のシナリオへと変貌を遂げています。 じゃ、ジャンキーセトガワ…お前、死んだんか。いや、首がないからセトガワじゃないとは言い切れないけど。 そこでユヅキから、本当にシノザキさんが怪しいのか? と言われます。やはりジャンキーセトガワか!? やっぱりか!? こちらでは動機は分かりませんし、犠牲者が増えてしまう、でもなんとか守りたかった二人だけは守れましたね。ユヅキ…ジン、ありがとう。 @ネタバレ終了 1発で犯人は当てられませんでしたが、とても楽しい本格ミステリーでした! サウンドノベルはキャラクターの外見がシルエットなどで曖昧に表現されることもありますが、今作は3D的なイラストが使われており、そこも目を惹きます。なにより、視覚的にキャラクターが分かると名前とキャラクターが混じらなくて済むのでとてもよかったです。 シナリオもとても読みやすく、サウンドノベル初心者の方もきっと楽しめると思います! またきちんとヒントがあるタイプのゲームかつ、選択肢によって違う展開を迎えてくれるので、ミステリーサウンドノベル好きもたまらない。 ぜひたくさんの人に遊んでいただきたい作品です!

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  • 椿堂ノ火
    椿堂ノ火
    入りから、没入感がとても高く、一気に物語の虜になりました。 音楽、花火が上がる音、訛りのある父との会話、全てが溶け合って世界観を作り上げていました。 自慢の息子、という父の言葉にーー。 文体は自然と頭に入る、丁寧に書かれてなおかつ読みやすい書き方で小説を読んでいるように感じるのですが、画面や音楽と合わせるとドラマや映画を観ている気分になる、すごく立体的な作品でした。 過去と今、その移り変わりの描写に強く胸を打たれると共に、散らばったいくつもの言葉がどんどん繋がり形を作る、シナリオの作り方に魅了されました。 @ネタバレ開始 物語のあちこちに、親子の姿が描かれているのがとても印象的で、主人公がどんな気持ちで彼らを見ているのか…と思わず考えてしまいました。 病院に、11年も会わずにいた父を訪ねる理由、なんとなく想像がつくだけに、主人公と一緒で、病室に入るまで緊張していました。 余命幾許か、という想像をしていましたが、認知症を患ってしまっている様子。長く会わなかった父に対する描写に、その光景がありありと浮かんでくるようです。 父になんとも言い難い感情を持ちつつも、相手はすでに自分のことを覚えていない。その目は自分を映さない。やるせない気持ちでいっぱいになります。 花火の音とともに蘇る、父との祭りの記憶。 ひとつひとつの小さなやりとりに、二人のささやかな幸せがあり、今との対比で感情が掻き乱されました。 いつかははぐれて父に探してもらったのが、今度ははぐれた父を探す。 そして、一度は死んでほしい、消えてほしいと願った父の非常時に、それでも必死に走る。 本当は許したくて、けどそれができなくて、嫌いになりたくてなりきれなくて、どうにもならないけど、このままでいいと思えない。そんな気持ちが痛烈に伝わってきました。 息子と呼ばれることが辛かった、この人たちなら、大好きな父ならわかってくれるだろうと思ったのに裏切られた。主人公の悲しい過去も見ると、どちらが悪いとは言えないです。 けど、きっとあの女の子のお面は…。 お父さんは、主人公を深く愛して、もういいんだと、自分らしくあっていいと思ったから、それをほしがったのだと思うと辛くてたまりません。 お父さんは、もうとっくに認めていたんですね。 自慢の娘、ゆとりをもって生きてほしい、周りがこの子を許すように。その意味を知る頃、もう愛してくれたその人はいない。 それでも、そうだとしても、最後に二人が向き合えたこと、伝えたかったことが届いたこと、それだけは本当に救いだと思えました。 これからの主人公はきっと、自分のことも、自分が父を大好きだったことも、その名前もすべて認めて生きていける。そうであってほしいです。 @ネタバレ終了

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  • 「あなたへ会いに」
    「あなたへ会いに」
    宣伝でお見かけして気になり、まずは一番好みの後輩ちゃんルートをプレイしました! イラストからは想像できないほど、なかなかにハードな百合でしたが、すごく良かったです。 @ネタバレ開始 動画で拝見した時から、詩乃ちゃんがとっても可愛い…! しかも天才肌の後輩なんて、もう美味しいとしか言いようがないですね。 そんな彼女と秘密のお茶会、この2人だけの秘密というシチュエーションがたまらなく好き。 ぼっちな主人公とみんなに愛される女の子、誰も2人に接点があるなんて思わない。 個人的に、男装詩乃ちゃんめちゃくちゃ好み! これは違う意味で襲われてしまう…。 出会いからかなり衝撃的で、優等生な詩乃ちゃんが隠す『愛されない』部分を少しずつ知っていく、段々と仄暗くなっていく展開に違うドキドキも止まりませんでした。 みんなが好きでいてくれるのは、良い子の私だけ、誰も本当の私を好きになってくれない。 詩乃ちゃんの根底にあるこの感情が、苦しくなるくらい伝わってきて、それを受け入れよう、愛してあげようとしても、そうすればするほどいつかはその相手が離れてしまう不安に襲われる。 詩乃ちゃんの心の描写がとても上手く、ただのヤンデレにおさまらないところがまた良かったです! 作者さんの百合と病みへの理解と愛が伝わってきました。 ラストは心中を受け入れる方から見ました(正直、受け入れたらバッドエンドと思っていたのですが…まだまだ私は理解が足りてなかった)どんな彼女でも受け入れる、否定しない、その気持ちにグッときました。 これが今の2人の最高の幸せとわかっていても、もう少し早く出会えていたら、何か変わったのではないかと思わずにいられませんでした。 ラストのスチルは本当に印象的です! 受けきれなかったエンドは、これはこれで本当にヤバい。安易に主人公が突き飛ばされて死ぬとかではなく、詩乃ちゃんを突き飛ばして、ずっと彼女の幻影と共にあり続ける。ある意味一番辛い展開ですね。   @ネタバレ終了 可愛い後輩が大好きなのですが、彼女の心や幸せのあり方を覗き見て、かなり心にきました。 ホラー耐性が低めの私でも大丈夫でしたので、ホラーな百合が見たい方にオススメ! 安直な百合、病み、ホラー、ヤンデレという言葉で表現しきれない、リアルな女の子がそこにいます。 1ルートのみクリアですが、他2人とオマケも気になるのでいずれフルコンプしたいです…! 素敵な作品ありがとうございます!

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  • 混同仮面
    混同仮面
    いろんな方の感想を拝見して、ニチアサ特撮大好きな身としてぜひプレイしたい…! と思っていました。 タイトル画面からワクワクが止まりません、やはりいくつになっても少年の心はなくなりませんね! 提供で使用素材などを出すのも、遊び心があってたまらないです。 セーブ画面もはちゃめちゃ、この世界観、クセになります。 以外、ほとんどツッコミです。 @ネタバレ開始 唐突に始まった青空の下のすっぽんすっぽん!! いやん、悪に堕ちちゃう!! これで笑わないヤツおるん?  きゃー!! 正義の味方よー! って近藤さんの家から出てきとる、身バレ! 身バレ! 性戯は…あっ! これ、朝に放送して、お母さんが赤面しちゃう流れだ!! 混同仮面、なかなかバイオレンスなんですが、ヤバいよヤバいよ、今時の若い子はすぐキレるから! 半裸の少年まで犠牲に…って、混同仮面、ドーテー拗らせすぎの男子なんですけど!? いや、美しいショタは国の宝なので、ダメですね、それはダメです。イエスショタ、ノータッチ。 え、ショタじゃない!? 私のショタストライクゾーンに入ったので、いいんです。 画面いっぱいのお気持ち表明、混同仮面…そんなにやさぐれるなよ、だからモテないんだぞ。 すっぽん男のせいで、ショタが!! アーッ!! もう淫語飛び交いすぎて、ナニから突っ込んでいいか全く分からない。 一つ言えるのが、混同仮面はまったく正義の味方ではないということだけです! 唐突に画面の前のお友達に解説始まったー! 文字だけで混同仮面、呼ばれたと錯覚しちゃうとか、拗らせすぎの極み。 ゲーム性もあり、これがなかなか面白かったです! 最後の一回はなかなかハードでした。 そして、バッドエンドがバッドエンドなんだかなんなんだか、よく分からない(笑) って、まさかのまたすっぽん!! おかわり!! なんと、保健室の美女がっ! そして青年がどんどんヤバくなっていく、みんな大好き黒船!! 最後いい感じになるのかと思いきや、面白バレリーナの刑!! @ネタバレ終了 ギリギリを攻めすぎて、もはや何がアウトで何がセーフかも分かりませんが、面白ければ問題ないのだ…!  クリア後には、なぜか混同仮面が恋しく思え…るような思ないような、ですが独特の世界観はクセになること間違いなしです。 ミニゲームも凝っていて、ついムキになってしまいました!  素敵な作品ありがとうございます!

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  • ヤ〇〇ン民族の大移動と史家タキトゥス
    ヤ〇〇ン民族の大移動と史家タキトゥス
    プレイ当初は◯◯に入る言葉が分からなかったのですが、なるほど…!! これは斬新! 歴史のお勉強が大の苦手だった私、元ネタについてはほとんど知識ゼロの状態でしたが、とても楽しめました…! オープニングはわぁ〜ぉな表現はありませんが、今風の言葉を使いつつ、歴史に沿った内容で書かれているのだなというのが伝わり、すごく分かりやすかったです。 タキトゥスはオローマを愛する人だったのですね(決意に燃える彼が、後にドキドキ体験をすることになるとは…)イラストヤトス、いい奴。 ここからはタキトゥス君の妄想かな!? と思うほどの、わぁ〜ぉな展開の連続で、青少年がドキドキしながら手で顔を覆い隠しつつ、指の隙間からチラチラ見ちゃうような美女との非常交流がスタートします。 @ネタバレ開始 バリバリのわぁ〜ぉ表現というより、なんとなく察する感じのシナリオなのですが、ルビの振り方などがとにかく秀逸です。 見聞深まっちゃうし、うさぎさんが純粋なお目目で見ちゃうし、一句読んじゃうし。 ママミーヌさんは絶対その手の人に好かれる…。女神さまもにっこり。 ちゃんと選択肢でストーリー変わるのがすごいですし、手がこんでます! シルデリクさんの直球ストレートな感じが好きですね…! @ネタバレ終了 クリア後はおまけ要素もたっぷりあって、歴史が好きな方なら二度と楽しめる内容になっています! パロディ表現がとにかく面白いし、これだけ考えつく作者さんのセンスに脱帽です。 現代と歴史の奏でるハーモニー、とてもむふふでわぁ〜ぉな感じで良かったです…!

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  • 夢限のヤミ
    夢限のヤミ
    突如届いた一通の手紙、それを破ってしまったら…気付けばそこは真っ暗な世界、ヤミと名乗る少年と二人ぼっちの始まりでした。 @ネタバレ開始 知らない場所に知らない人と、というとホラーなのですが、ヤミ君がその見た目に反して明るく、こちらに気を遣ってくれる優しい子なのでまったく怖いとは思わず、むしろ居心地の良さを感じます。 闇は怖いイメージが先行してしまいますが、優しい暗さは落ち着くんですよね。それが見事にハマっていて、彼と会話をしていると不覚にもずっとここにいたいなーという気持ちになりました。 ヤミ君の表情がまたコロコロ変わるのですが、寂しそうだったり、嬉しそうだったり、悪戯っぽかったり、色合いが短調でも、とても表情豊かで親近感がわきます。 部屋にあるものを色々見せてくれるのですが、時折見せる寂しそうな顔が、とにかく印象的です。 ついに外に出られる、ヤミ君と別れてしまったけれど、彼にもお迎えがやってきました。 本当の名前と両親…彼は一体何者だったのか、謎が深まる終わりでした。 二周目の途中から、太陽という人物が(人ではないけど)現れます。 ずっと黒の世界にいたので、その明るい髪が強く残るとても綺麗な人です。ヤミ君のことを気にかけている様子、また謎が増えました。 今度は出て行かない選択をしましたが、まだまだ分からないことだらけ、しかしタイトルに変化が。 今度は間違えるな、太陽に言われてもう一度ヤミ君の元へと向かいます。 最後に、今度は一緒にここを出て行くことを選べるように。 ヤミ君はーー光り輝くような、綺麗な少年でした。その笑顔が本当に眩しくて堪らなくて、ああ良かったと、約束を破ってくれたことを嬉しく思いました。 悪魔に魂を狙われてしまった少年と、彼を守るためにこの世界に連れてきた太陽、二度目の闇の中でも思いましたが、太陽はヤミ君が本当に大好きなんですね。 けど『やくそく』を破ってしまったことで、契約はおしまい、もう太陽の役目は終わり、大切な彼は本当の光の元へ出て行ってしまった。ずっと見守っていたかった、その言葉が胸にただただ残ります。 プレイヤーはヤミ君にとっての何者なのか…ヤミ君を連れ出したそれは善なのか、それとも。 ヤミ君がプレイヤーに対し、悔しいと言ったことも気にかかるし、考察が捗る作品ですね。 @ネタバレ終了 進行状況で変化するストーリーやイラストがよく、白と黒の対比がとても印象的でした。 バッジ取得後、アルバムに空白があるので気になって選択肢まで行きましたが、その仕掛けといいますか、そこでもとても良いものを見せてもらったなと思いました!

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  • ブラックコーヒー
    ブラックコーヒー
    一度読了後、ショートケーキを読んで戻ってまいりました。 チャプターを読むごとに出てくるアイコンもオシャレですし、コーヒーをいれる音が印象的です。 それぞれの作品で視点が別になりますが、それがとても良かったですね。ショートケーキの『君』の視点から、あの時のことが語られるのがまたよいです。 @ネタバレ開始 誕生日のこと、運命と感じたあとの再会。 二度の偶然は運命、そして運ばれてきたケーキへの思いが重なって必然だなぁと感じました。 二人にとって、あの出来事は忘れられないものだったのだと思い、変わってしまう中に変わらないものがあってよかったです。 それでも、初恋は実らないーーというジンクスに、一歩を踏み出せずに終わる。これもまた、ある意味リアルでしんみりしました。 二人揃って二次会を断り、思い出のあの店へ。 彼の目線の新郎新婦の話を聞き、新郎が新婦にずっと思いを寄せていたと知り、例のジンクスに対する考えが変わっていくのがいいですね。 大人になった二人はコーヒーを注文。 飲み慣れていないコーヒーを前に緊張する私に、ブラックコーヒーはショートケーキと合うのだと教えてくれる彼。 最後の一文が、とても素敵ーーきっとこの恋は甘い身をつけるでしょう。 @ネタバレ終了 二人の微妙な距離感と会話、変わるものと変わらないもの、それらが繊細な文章になって綴られている作品でした。 ショートケーキとのマリアージュを楽しんでほしいと思える素敵な作品です!

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