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お風呂かこのレビューコレクション

  • 夏の亡霊、刹那の雪と透羽の空
    夏の亡霊、刹那の雪と透羽の空
    キャラクターがとてもよい作品でした。 立ち絵が変わるというか動き回るので、そこもとてもたのしかったです。 ホタルちゃんやヒジリはもちろんのこと、主人公のセナツくんも魅力的なので、たのしいキャラクターたちが織りなす愉快ながらも少し切ない物語が楽しめます。 @ネタバレ開始 立ち絵の差分ではヒジリの集中線入っているものと、ホタルちゃんの「セナツのマネっこー」が特にお気に入りです。 ヒジリの前でホタルちゃんとセナツくんが話してたシーンは、ヒジリの反応が良すぎて思わず笑ってしまいました。ヒジリと二人がほんとうにいい塩梅でおもしろかったです。 そんな三人が、それぞれ前を向いて進んでいく様子は、見ていて心が温かくなりました。 @ネタバレ終了 終わり方も非常によかったです。 ありがとうございました。

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  • 偽りの夢
    偽りの夢
    読みました。 @ネタバレ開始 学校内のカーストというものは、縛りになりますよね。影響力の大きい位置にいるのであれば、なおさらだと思います。そんな状況で作られる人間関係では、やはり自己を埋没させなければいけない場面も出てくるのでしょう。 合わせることって、けっこうつらいですよね。しかしだからこそ、そういう縛りの外にいる人間に、憧れや羨望を向けるのだと思います。周りに合わせて自分のやりたくないことまでしてしまうのは、悲しいですね。 以下ふたつの文章を抜粋します。 「周りの評価や世間体に縛られて過ごすより、本当の気持ちを語り合える人の側にいたい」 「友達ごっこが無くなった代わりに、本当の友達がいないことがより鮮明になった」 これらの文章から、本当の気持ち、本当の友だちというものは、縛りの外で作られるものなのだと感じました。ほんとうに欲しかったのは、偽らなくていい関係、ありのままの自分でいられる場所、そんな自らの手で手放してしまった夢のようなひとときだったのだと思います。 偽りの夢が偽りではなくなり、真実の夢に変わるのは、そう遠くない未来であるようにも感じました。 @ネタバレ終了 ありがとうございました。

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  • 僕らのノベルゲーム
    僕らのノベルゲーム
    たのしかったです。 すでにたくさんの方の感想に書かれている通り、よい作品でした。 個人的に特によいと感じたのは、それぞれの描写の量です。中でも特に登場人物については、程よい長さで全体の調和がとれていて、なおかつ丁寧な描写だったように感じました。キャラクターは谷口さんが特に好きです。 @ネタバレ開始 本作はぬるくない創作物語でした。 以下木下君と新平に関して、私が勝手に想像したことを書きます。 人や人のものに手を出すのは最悪の行為だと思います。ですが、そんなことをする木下君と主人公の新平は、似ていますよね。 弱い立場の存在に対して一方的な感情をぶつけるという行為は、タツくんとのファミレスシーンで描写されています。おまけに手を出してしまう(水をかけてしまう)ところまで同じ。私は、タツくんの反論はその通りであると感じました。ものに関しては、部室でノートを破いたところなどで描写されています。新平は大切な物語に対しても、手をあげています。 この辺りを考えると、木下君は新平の弱さや至らなさを象徴したキャラクターなのかなとも感じました。 しかし、だからこそあの破いたノートを、暑い中エアコンを消してまでくっつけていたシーンや、屋上での木下君に対抗して絵を守るシーンが光ったのだと感じます。これらの場面は、物語上で描かれている創作に対しての思いはもちろん、新平の抱えていた弱さなどの諸々のことが入っているように私は思いました。 そして本当はずっと大切で大好きだった物語に、新平が助けられるという描写。私はすごくいいと思いました。この場面大好きです。 そんな前に進んだ新平の大きな支えとなった美央さんや、谷口さんと先輩も非常によかったです。 最後の方で書かれていたみんなの少し先の話なども、また程よい情報量で妄想が捗ります……! @ネタバレ終了 この作品は、九州壇氏さんの作品をやったことがある方は、にやりとできるシーンがありますね(笑) この辺りもたのしかったです。 ありがとうございました。 制作お疲れ様です。

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  • 夢幻の秋
    夢幻の秋
    趣を感じるタイトル画面だったので、読ませていただきました。激しい主張をせずに物語を引き立たせている背景画像、雰囲気に合った見やすいフォントなど、丁寧な作りでした。 @ネタバレ開始 冒頭小夜さんが鶺鴒を踏みつぶしたときに、「私は私を」という描写が出てきます。怪我をして逃げることのできない姿が、自分と重なって見えた。だからその自分を消すために、小夜さんは鶺鴒を踏みつぶした。 この部分から察するに本来の小夜さんは、鶺鴒のような、教鳥、恋教鳥、嫁教鳥と似た側面を持った存在であったのだと思います。そう考えると、美樹さんが小夜さんを美しいと感じていたことも、豪農の人間であったことにも納得ができました。 しかし鶺鴒は、周りの目を気にして何もできなくなっていた。その人間は、羽を怪我して尾を振るばかり。 物語の展開としては、自分を踏み潰したから小夜さんはこの結末を辿ったように思えます。しかし小夜さんは、自分を踏みつぶす前から既に、理不尽さを感じていました。 「めそめそ泣いていないで、シャキッとしなさい! お姉ちゃんはしっかりしているんだから、もっと見習うのよ!」 セリフにしか描写されていないですが、この段階で小夜さんは泣いていますからね。 これを踏まえると、踏みつぶす前からこうなることは決まっていたのではないかとも思いました。 もし違う道があったとするならば、あのとき踏みつぶすのではなく、助けていた場合でしょうね。鶺鴒は小夜さん自身ですから、自分で自分を消すのではなく、救うことを選んでいれば、鶺鴒が持つ側面を、その在り方を持ちなおすことができたのではと思いました。 しかし小夜さんは、自分を消した。自分が持っていたものをすべて消して、理不尽から解放されるはずだった。 しかし現実はそうはいかなかった。友を失い、輝いていた時間を失い、わずかな希望も潰えて、居場所もなくなって、そして今度は、きれいに自分を消してしまう。 手描きの文字から人の心を感じることを好んでいた小夜さんが、その文字によって傷つけられるというのは皮肉な話ですね。 あなたは知らないうちに、誰かを傷つけてはいませんか? 最後の最後で、それを身をもって美樹さんに教えてしまうというのが、何とも。人間よりもはるかに一生が短く儚い存在が、その命を終えた姿を見ているような気分でした。 手紙を見たあと、「顔を上げると、窓の外を鶺鴒が飛んでいた。」とあります。これはあのとき、自分をつぶしていなかったらあったのかもしれない、「またね」の続きなのかなと思いました。自分を消さずに、ゆっくり時間をかけて羽をなおした場合の、小夜さんなのかな……。 @ネタバレ終了 丁寧に組まれたお話でした。 ありがとうございました。

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  • 東雲に霞む
    東雲に霞む
    人間の描写がよい作品でした。 理不尽な状況や環境によって歪んでしまうことは、仕方がないと思います。 当人たちにまったく非がないというわけでもないとは思いますが、それでもそれをされるだけの理由があったのかは疑問が残るところです。 @ネタバレ開始 自殺を選ぶ理由としては、納得のいくものばかりでした。 ただ凄惨ないじめにしてもストーカーにしてもそうですが、本人たちに非があるのかについては私にはわかりませんでした。 夏美さんの場合は、妬まれる理由は本当にそれだけだったのでしょうか?もしかしたらそれはきっかけに過ぎず、別の何かがあったのではないかと思うこともありました。 ここまできて嘘を話すとは思えませんが、しかし本人からの目線で語られる話なので、本人は気づいていない本当の理由があったりもするのかなと思いました。 秋穂さんに関してはストーカーの人が一方的に悪く見えましたが、実際はどうなのでしょうか。 別にこれはいじめをした人間やストーカーをした人間を擁護しているわけではありません。 しかしそこらに気づかないと、また同じことが起きてしまうように思いました。 本人たちにまったく非がないのであれば、今後の振る舞いでどうにかできそうですが。 小春さんや冬馬くんは他者に何かをされたというよりは、何かがあって歪んだという感じでした。 これはおそらく自己の内面の問題な気がするので、葛藤や苦悩とは今後も付き合っていかないといけないと思いました。 しかし最後は、東雲に霞む存在が歪んでいない道を示してくれたように思います。 いい意味で前を向けると思います。 @ネタバレ終了 文章は読みやすく、また分岐の難易度もやさしかったのですらすらと読むことができました。読後感も良好です。 表情差分も細かく切り替わり、演出も丁寧なのでそこもよかったと思いました。 ありがとうございました。 @ネタバレ開始 秋穂さんの話の中でストーカーが張り付いているシーンは、非常に驚きました。電気を消してプレイしていたのもあり、思わず体がのけぞりました(笑) @ネタバレ終了

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  • 指先で世界を見る
    指先で世界を見る
    読みました。 @ネタバレ開始 そういうことでしたか。指先で世界を見る。たしかに改めて言われると、私も目の前のスマホを使って指先で世界を見ています。 相手を慮る行為は、現実はもちろんのこと、ネットでも噂話でも、社会に属する以上は避けられないです。大事です。 そうは言っても、人は噂を信じ込んでしまうと、根拠の有無など気にもせず平気で人を傷つけるようになります。同じ噂を共有している人がいるのであればなおさら。 そういう人は人を傷つけるし、人に傷つけられる。そうして攻撃はさらに大きくなる。この連鎖はどうやったら終わるのかな……? 無視では根本的な解決ではないですし、禁じるのでは作中にもあった会話の自由が引っかかります。どうしたものですかね。 お互いがお互いを尊重すること、なんて聞こえのいい言葉もありますが、現実問題そんなことができるとも思えません。噂を信じないようにしてもらえたら何よりですが、人は不安であればあるほど、そういうものにすがりますからね。 あとがきも読みました。 経緯となった事柄で抱いた感情を創作に昇華させるのは、とてもいい方法だと思います。ただ単に誹謗中傷に対して「やめて!」というだけでは、おそらくなにも変わらないと思います。 しかしこのように物語化して、メッセージとして込めることで、俯瞰的にその考えに触れられます。その事象について、一度自分の中で考えることによって思いやる心が生まれ、いずれそれは伝播していくと私は思います。今作は、そういった自分の中で物事を考えるきっかけになりえると思います。 私はこういう手法大好きです。 その面で、視点が複数あるのもとてもよかったと思います。一方的な意見を出さずに、多方向の意見を読めることで、一歩引いて考えることができました。 @ネタバレ終了 私はとてもいいゲームだと思いました。 ありがとうございました。

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  • 10月32日のハロウィン
    10月32日のハロウィン
    暗い話かと言われれば否定はできませんが、かといって明るい話でもない。明るさと暗さが同時に点在している不思議な作品でした。 人間の弱さや依存など、生きる上で問題になる部分が色濃く書かれていました。 とはいえ親も子も人間である以上、一人では生きられない。キュルビスさんの施しを得るための、生きるための行動。少し形は歪でしたが、なにも間違ってはいないですよね。その少しの歪みが、普遍的な人間社会からみると異常だと捉えられてしまう。それが純粋であるがゆえの行動でも。 親二人がもう少し弱さを認め合う関係性を築けていれば、結果は変わっていたと思います。あの関係からどう転んだらそうなるのか想像はつきませんが、それこそ本当に些細なことで変わっていたと思います。 とにかく絵がすごかったです。ハイペースで変わっていく画面に、いつの間にか自分も次の変化を期待していて、気づいたときにはこの世界に引き込まれていました。 読み進めることの楽しさが文章だけでなく、画面にもあってとてもよかったです。

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  • Please call me…?
    Please call me…?
    私は古文の授業が好きだったので、いまだに覚えている作品たちをなつかしみながら読むことができました。 露のお話もちゃんと覚えていましたよ! ただ、内容以外の部分はもろもろすっかり忘れ去っていました……。あれは伊勢物語の芥川という作品だったのですね。勉強になりました。 受験期の冬というつらい時期でありながらも、なんとも言えない、けれどどこか惹かれるものがある表情で笑っている田中さんがよかったです。

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  • 河童の花嫁
    河童の花嫁
    主人公がとても落ち着いているので、安心して読み進めることができました。 お姉さんのやさしさをすなおに受け取っているところがよいなと思いました。夫に関しても特に否定することはなく、あるがままをそのままに受け入れている主人公に好感を持ちました。 ゆったりとしたお話でした。

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  • 初雪が降るころ
    初雪が降るころ
    温かみのあるイラストがすてきでした。初くんも雪さんも、家族と仲が良いようでほほえましいです。 オムライス…いいですね!私も幼いころからずっと好きです。 やさしく温かいお話でした。

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