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冬瓜のレビューコレクション

  • アイ・フォーカス
    アイ・フォーカス
    綺麗なタイトル画面のイラストが目を引く作品です。曇り空を背景にこちらを振り向き切なげな目を向ける彼は美術部の水樹くん。彼の心を晴らしていくさまが気持ちいいです。 主人公のともはは写真部所属。卒業アルバムのためにクラスメイトの写真を撮って回るのですが、写真が苦手な水樹はぎこちない顔しか撮れず。本人の了承を得て気付かれない位置から彼の日常を撮ることにしたともは。最初のうちはファインダー越しだった2人の関係が徐々に接近していくのが微笑ましいですね。 部活ものというわけではない本作の中で、写真部の存在感がちょうどよかったように感じます。アルバムのためにも素敵な彼を撮ってあげたいという気持ちはそのまま彼を想う気持ちに。部活を口実に水樹に近付いていたともはが、そんなもの不要で本音をぶつけられるようになるまでの過程がじっくりと味わえます。 攻略対象である水樹くんですが、なかなか不器用なところはあるものの気持ちをきちんと伝えようとしてくれるところが素敵ですね。2人の関係はかなり順調に進んでいく本作ですが、最後に彼が隠していたコンプレックスを打ち明けた上でそれを2人で乗り越えていけるのがまた気持ち良い。タイトル画面で見せた少しだけ陰りのある表情の由来に納得できるとともに、笑顔になった彼を純粋に祝福したくなります。キャラデザも結構私の好きなタイプで、特に色使いが良いなと思いました。 本編1時間程度の尺ですがおまけ要素も多いのでたっぷり楽しめると思います。後日談①のバカップル感好きです。遠慮してみたらナレーション(?)に怒られて笑いました。 糖度高めの乙女ゲームをお求めの方、物憂げな表情の彼が気になった方、プレイして損はないと思いますよ。

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  • もし、このトマトが永遠なら……
    もし、このトマトが永遠なら……
    前半と後半で全く違う顔を見せてくれる展開が個性的で、初見ではさっぱり意味の分からなかったタイトルに次第に納得がいく不思議な作品でした。 主人公の理央は登校中に猫耳少女のミヤビと一緒にカラスに襲われていたところを、特殊能力"魔眼"を持つヒロイン恵理紗に助けられます。その後ミヤビのトマト好きもあってみんなで園芸部で活動していくこととなり、理央は一見堅物に見えた恵理紗の優しさに気付き惹かれるようになっていくのでした…… 本作をギャルゲーとして見ると、ちょっと特殊な設定はあるものの王道の展開で、ミヤビやその他部員のナイスフォローもあり2人の関係がどんどん進展していくのが楽しいラブコメ寄りの作品と言えるでしょう。 しかし話はそう簡単ではありません。普通のギャルゲーにしては順調すぎるほどのスピード展開に、珍妙な割にその後の展開に活きてこない設定。これらが有効活用されてくるのは物語後半に差し掛かった頃です。 様々な作品をプレイしてきた経験からも、これは理央の夢か妄想の中の話なのだろうと思っていたのですが、本作ではさらにひねりが加わっておりなるほどと思わされました。恵理紗の趣味、理央の性格、ミヤビの設定。これらが解決して物語が収束に向かうのは気持ちが良く、安心して彼らを応援することができるでしょう。終盤の、恵理紗が振り返った構図のイラストが印象的です。ぜひエンディングまで見届けてあげてください。きっと序盤の印象とは全く異なる本作の魅力に気付くと思います。 @ネタバレ開始 ごめんね私わりと本気で妹ちゃんが黒幕だと思ってたよ。莉瀬ちゃん兄思いのいい子だね。 @ネタバレ終了

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  • 忙しい方のためのゾンビポリス
    忙しい方のためのゾンビポリス
    あの、これは何なんでしょう? 推理ゲーム?ホラー?ギャグ?ギャルゲー? 私が辿り着いた結論は、アイドルのライブです。 主人公の田村刑事は爆弾事件の解決に当たる(←分かる) 相棒は人間の女性にしか見えないゾンビのゾンビ刑事(←何すかそれ?) ゾンビ刑事の特殊能力で人体模型やカラスに聞き込み(←そういう感じかぁ) グレてるのか中二病なのか分からないスワンボート(←笑った) AIの気分次第で発火する爆弾(←怖すぎ) ぶっ飛び展開が続く本作ですが、最後の解決した時のアレが凄かった! まるでここまでのシーンが全てライブの前座だったように思えてしまう存在感。 いつの間にか完璧にセッティングされたバックライト。音楽に合わせて常識外れのパフォーマンスを見せてくれるゾンビ刑事。分かった、私の負けだ。君は最強に可愛くて頼りになる私のアイドルです。 「忙しい方のための」と付いているのは伊達ではなく、聞き込み結果にハズレなし、推理をミスれば即ゲームオーバーのコメディ仕様。ストレートで解決すれば15分掛からないコンパクトなストーリー。みんなも気軽にプレイしてゾンビ刑事へ向けてサイリウムを振ろう!

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  • 鈍感Boyと打算まみれの恋をしよう!
    鈍感Boyと打算まみれの恋をしよう!
    主人公のかよは高校2年生。文化祭までに彼氏を作るべく、たまたま屋上で知り合ったひちおにアプローチするという短編学園乙女ゲームです。 ゲーム制作部で制作活動に励むひちおはタイトル通りの鈍感で、かよがどんな猛アタックを見せてもどこ吹く風。彼から告白されるという恋愛イベントを夢見るかよの怒涛のアピールが全て微笑ましいエピソードに。物語としての相性は抜群です。 かよは当初、「ひちおを攻略して私に惚れさせてやるぜ!」という意気込み満点でまさに打算的な態度なわけですが、文化祭までに彼と何度も一緒に過ごすうちにちゃんと好きになっていくのがまた気持ち良い。そうした意味でも私はエンド3が好きです。 これは私がひちおくん寄りの人間だからかも知れませんが、打算って持続的でないように思うのです。何でもとにかく褒めてあげれば彼は私に好意的になる。恋愛をそうした一種のゲームとして捉えるならそれで良いんです。お望み通りドラマチックな告白もしてもらえます。しかしふとした瞬間に素が出てしまったり、正直に感想を伝えることが作品の改善に繋がったり。そんな自然にお互いを受け入れることを通じて深めた関係って、計算づくで手に入れた好意とは一段階奥行きが違うと思いませんか? 特にこの物語はフィクションなのですから、そんな素朴な見方もありでしょう。 エンディングは全部で4種類ありますが分岐条件は簡単でヒントもあるため、迷わず回収することができるでしょう。日が変わる時のカットインも可愛くていい感じ。私はかよがひちおの後ろを追う構図の絵が好きでした。 かよが押した場合と引いた場合、ぜひそれぞれの結末を見届けてあげてください。

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  • やっぱ叩けば直るだろ?
    やっぱ叩けば直るだろ?
    「叩けば直る」というのはブラウン管テレビの時代の言葉でした。ドラえもんやサザエさんでテレビや洗濯機を叩いて直すシーンが思い浮かびます。しかし本作で出てくるのはドラえもんの世界における家電製品ではなく、ひみつ道具のような存在、「BK」です。この時代観ミスマッチな組み合わせとノリ良く進むスピード感から、まるでコントを見るような感覚で楽しめる作品と言えるでしょう。 基本は人間のジッカーとロボットであるBKが雑談を交わすだけなのですが、度々様子がおかしくなるBKをテンポよくチョップして復活させるのが気持ちいい。最初のうちはそれだけだったのですが、続けてプレイしていくと何だかBKの不具合にも意味ありげな様子を見せ始めます。 詳細はネタバレのため触れませんが、このBKの不具合の原因と雑談の内容からの連想、そしてジッカーはジッカーで叩き方がやたらと上手く百発百中、という辺りに一貫した意味づけがあって唸らされました。キャラクター造形にもひっそりと仕込まれていて愛らしくて面白い、そんな作品を実現していると思います。 この点によって、「叩いて直す」という一点のコンセプトから筋の通った線としてのシナリオへと進化したのでしょう。 5分で読める、ゆるふわながらもスピード感あるコントのような楽しみのある作品です。気軽にプレイしてみてください。 @ネタバレ開始 現実世界のAIの進化も止まりませんが、まだまだBKの域には達していないように思います。大きな壁として、現代のAIは肉体を持たないという問題があるでしょう。その壁を越え、壊れたBKの指摘する人間の問題をも克服した時、人間とロボットの関係が新たなステージを迎えるのだろうな、ということに思いを巡らせました。

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  • 箱空のニイナ
    箱空のニイナ
    物悲しい雰囲気がありつつも心温まるエンディングに着地する素敵な小品だと思います。 主人公のニイナは外部と隔絶された施設で暮らす女の子です。絵本や詩集を読んだり、オセロや神経衰弱で対戦したり。今の生活に特別不満を持ってはいないようです。 そんな彼女の唯一の遊び相手であり大切な存在がレオでした。一緒に遊ぶのはいつもレオだったし、お父さんからのプレゼントだって届けてくれる。そんな彼を愛しているようでした。 そんな平穏な日々はちょっとしたきっかけで壊れてしまいそうになり、あなたは彼女に3つの不都合な真実を告げなくてはなりません。おそらくそのうち2つまでは読者にも見当がつくでしょう。残りの1つはプレイヤーにも衝撃的だと思います。しかしこの事実こそが全ての謎につながる核心なのです。 ゆったりとした流れの導入、穏やかで前向きな結末が印象的ながら、本作は決断の物語です。ショッキングな真実を知り一時は取り乱していたニイナはどのようにしてその真実を受け入れたのでしょうか。純真なだけであった彼女が現実を知って一歩成長するまでの過程が濃密に記されています。 そして勇気ある決断をしたのはレオもでした。彼のニイナを思っての行動と、それを受けてニイナがどのような選択を取るのかに注目です。

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  • こころのしおり
    こころのしおり
    10分ほどの短い物語20本からなる短編集です。登場人物の年齢も様々で多様なテーマを含みますが、恋愛ものが多めの印象です。地の文が多めの落ち着いた文体で表記は縦書き。カジュアルなゲームよりは小説っぽいスタイルでゆっくりと物語を楽しめるでしょう。 統一されたテーマがある短編集ではありませんが作者の色というのは出るもので、私は本作を読んで、現実的に考えうる最も綺麗な展開を追求されているように感じました。突飛な展開や真新しい設定に頼らずとも、丁寧な描写と温かいキャラクターでストーリーを進めていく手腕に優れていて、安心して楽しめる作品です。 作内には悪意を持った人物や都合の悪い運命はほぼ現れず、そこにあるのは人情味あふれるキャラクターと信じれば報われる世界。物語の中だからこそこういった純朴さを味わいたいじゃないですか。 私の好きだったエピソードとして、1話「マジカルハート」と15話「神が降りた手」を挙げておきましょう。少女漫画も顔負けの甘酸っぱい青春。こんな1枚上手の先輩も大好きです。 そして恋が実る話だけでも面白くありません。男同士の友情や熱血部活ストーリーを交え、少し苦い思い出を描いた話も良し。 「ショート・ショート・ショート100」の時より尺のある分の重みがしっかりと私の胸に届きました。 また、これらの作品に作者さんの趣味や経験が強く反映されていると見えるのも特徴的だと思います。こうした楽しみ方が可能なのも、フリーゲームの良さの1つでしょう。 それぞれの短編は独立して読めますが、一部話が繋がっているものがあるので順番に読むことをお勧めします。19話までを読み終われば、表題作である最終話「こころのしおり」が解放されます。栞は通常本に挟んで使うものですが、心に挟んだ栞とはどんなものでしょうか。ここに辿り着いたあなたならきっと、本作の音楽に隠された仕掛けにも気付くでしょう。そしてこの世界を前向きに進んでいくエネルギーをもらえるはずです。

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  • クレーマー家業も楽じゃない!
    クレーマー家業も楽じゃない!
    これは…トンデモ設定ラブコメの時代が来るかも知れません。賑やかなタイトル画面にワクワクしながらプレイを始めると、「どういうこと?」「そんなわけある?」「かわいい!」「キュン♥」と怒涛のような感情が押し寄せてくるすごい作品でした。 主人公の九条ユウトは代々クレーマーの家系。一人前のクレーマーとなるための修行が課されてさあ大変! …この時点で一風変わった作品と分かりますが、その後もどんどん私の予想を上回ってきます。2店舗を除いて全てのお店で出禁の九条一家、吹き寄せるドリアンの嵐(物理)、突然のクイズタイムに笑っていたのもつかの間。いつの間にかべこ狂いで超絶プラス思考のヒロインと、ツンの方向を間違えちゃったツンデレヒロインに私の心は奪われてしまいました。どっちも可愛いですが、私の好みはツキのほうでした。あのアクロバティック過ぎる愛情表現に、おかしいだろ!と笑いながらもユウトの懐の広さによって微笑ましいエンディングへと着地。クレーマーは嫌なヤツという常識を完全に打ち砕き、2人の今後を全力応援したくなりました。 エンディングまで5分程度の短い作品ではありますが、エンディングムービーが大変凝っているのも好印象。それぞれのルートでエピローグも付き至れり尽くせりといったところ。多様なおまけもあるので短編ながらたっぷりと楽しめる作品です。 私はドリアン食べたことないのですが、ちょっと試してみたくなりました。

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  • 泣き虫扁桃体のあやし方
    泣き虫扁桃体のあやし方
    脳内の部位を擬人化したタイトル通りの内容で、萌えゲー風の展開でありながら学びにもなる作品でした。 私は脳科学や神経心理学と言われる分野に興味があって、一般書を何冊か読んでいたので扁桃体や海馬の基本的なはたらきについては知っているつもりでした。記憶を司っている海馬と、主に恐怖の感情に反応する扁桃体、そして高次脳機能の司令塔である前頭前野。擬人化されたキャッチーな彼らが実際に脳内ではたらいている様子を見ると、個々の知識がストーリーとして連帯してスムーズに理解が進みました。知識の解説のみに留まらず、ゲームとして楽しめる調整が効いています。 実用的な知識に踏み込んでいるのも本作の特長と言っていいでしょう。泣き虫扁桃体が暴走してしまったとき脳内で何が起こっているのか。意識的にできる対処はあるのか。実際に使う場面があるかは人によると思いますが、知識として持っておくと心強さが違うと思います。 ちなみに私は初見で扁桃体ちゃんは僕っ子なんだな~と思ったのですが男の娘でした。どっちでも可愛いから良し。前頭前野や海馬もきれいなのと、強いデフォルメの人間(宿主)も自然に受け入れられる軽い語り口も好調です。ちょっと変わった作品として気軽におすすめできると思います。ぜひプレイしてみてください。 @ネタバレ開始 海馬の管理するデータ内に「Hなやつ」フォルダがあるのを見逃しませんでしたよ! 基本的には真面目なお話の中でここだけ笑ってしまいました。 @ネタバレ終了

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  • 探偵助手ガリウムのろじうら探検記
    探偵助手ガリウムのろじうら探検記
    紹介文の初っ端にある「元素擬人化ゲームです!」の文。これだけでなかなか個性的なゲームなのだなと感じられます。 さて一体どんな作品なのだろうとプレイしてみたところ、予想を大きく上回る気合の入った作品でした。 こうした珍しい擬人化を謳った作品は往々にして出落ち、一発ネタとしてそのインパクトを消費しがちですが、本作は元素で物語を書いてやるんだ、化学のネタで面白い作品を作るんだという気概とそれに見合ったクオリティーを感じられました。まず本作に多数登場する元素のキャラクターがみな可愛らしいですね。背景もきれいで立ち絵にマッチし、私を元素ファンタジーの世界へと一瞬で導いてくれました。 その可愛らしいイラストの中にはそれぞれの元素の色などを反映するなどしっかり化学要素が組み込まれています。キャラクターデザインだけでなく、性格やエピソードでも元素の性質が表れており勉強になります。私は理系のくせにほとんど化学を勉強しなかったので、主人公のガリウムは名前しか知らないような元素だったのですが、読み進めていくうちにちょっとした知識が入ってきて、ガリウムちゃんの金属としての性質ゆえの悲しい過去とそれを乗り越えるアルミ先生との絆に肩入れすることができるようになりました。 これだけで終わってしまうと物語というよりは元素擬人化設定資料集といった感じになってしまうと思うのですが、本作ではここにしっかり密度のあるシナリオが組み合わさることで、化学の知識が無くても楽しいノベルゲームとして完成されているように感じます。前半では主人公のガリウムちゃんとアルミニウムの関係性や、舞台となるアスティオン大陸の穏やかで化学ネタに溢れる世界観の紹介。そして中盤以降ではタイトルにあるように事件解決に向けた調査・推理パートが始まります。化学ファンタジーの世界観を活かした事件の原因には流石と感心し、ガリウムとアルミの進展には心温まるような素敵な作品でした。 化学の知識がある方が色々な小ネタを拾えるとは思いますが、読み込み中のカットイン解説なども豊富で推理に知識は不要な設計なので、まずは可愛いキャラを眺めるつもりで気軽にプレイしてみてください。

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