冬瓜のレビューコレクション
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ショート・ショート・ショート100素晴らしい作品でした。 17人もの作者さんが合同で作ったというコンセプトだけでもうすごい。多くの作者さんの様々な色が含まれているので、こういった企画のものでないとわざわざ自分で探してプレイしないだろうなというジャンルの作品もあり、読んでみると意外と面白かったり、知らなかった作者の方に興味を持てたりしました。 特に印象に残った作品をいくつか挙げます。 「イモーショナルリアクション」 この話は純粋に素敵でした。もう少女漫画レベルですね。素晴らしい青春の一ページに悶えました。もちろんあとがきで述べられている通り(※ただしイケメンに限る)なのですが、だからこそフィクションの世界ではこんな恥ずかしくなっちゃうような話を読みたい! 「恐怖のしょう斗さん」 しょう斗さんに狙われてしまった主人公はどうなるのか、ドキドキしながら読み進めました。え、主人公いい子過ぎない?でもそれじゃあ……からのあの展開、最初はよく意味が分からなかったのですが、後でちょっと考えて仕掛けが分かった時、本当にうまいなと思いました。 「あのとき助けていただいた者です」 え、ゴキブリが恩返しに来ることがある?微妙な気持ちだなあ、と思っていたのですが、その恩返しの内容になるほどと思いました。続く蜘蛛も料理の共通点に笑ってしまいました。そして最後、あのオチはさすがです。そんなうまい話はないということですね。 「ミュージックプレイヤー」 一番共感できる話でした。音楽の力ってやっぱり大きいもので、普段何気なく聞き流すものでも、それに気分が左右されたりしますよね。逆に気分に応じて脳内で勝手に曲が流れだすのもよくある。そうだよな、自分だけじゃないよなと嬉しくなりました。 「聖キャラ学園なんでもありか!」 聖キャラ学園シリーズの総集編として、ツンデレ・ヤンデレと一緒に物語を作るのですが、これがパロディだらけのまさに"なんでもありか!"状態。超有名作のパロディで分かりやすかったですし、何より私のツボにハマりました。 「アブダクション~ゾンビ~」 舞台は終末世界か~怖っ→えっこれコメディだったの?!→やっぱり怖いわ→とかいいつつほのぼのエンディングなのか→いややっぱホラーだこれ、という風に感想がころころ変わりました。教訓じみたところもあって考えさせられる話です。こういうの、好きですよ。 「最高の蛇足」 これも共感できる話でした。私は創作活動をしているわけではないので前半部分に関しては正直、そんなものかという感じでしたが、あとがきに人柄が出るというのは実体験をもってうなずけました。あとがきを読んだり作者の方のサイトに行ってみたりすると、作品から想像していた人物像にぴったりだったり全然違ったり、そんなところまで含めて作品を楽しみたいです。というわけで本作読了後にはぜひあとがきも読むことをお勧めします。もちろん、同時に解放されるマスターの昔話(おまけシナリオ)もお忘れなく。スッキリと読める、後味良好の作品です。 -
ペンフレンド ~国境を越えた色仕掛けの罠~主人公がこれ以上ないほどのクズですね。ここまでなのは初めて見たかもしれません。雪菜ちゃんが本当にかわいそうです。 ロザさんに夢中になってからの展開は想像通りで、とても分かりやすい勧善懲悪ものですね。スッキリする、というのは違う気もしますが、しっかり悪が成敗されるので満足です(直接的には被害を受けていない雪菜の新しい彼氏が罵詈雑言を吐くのは、それはそれでどうなのと思いましたが)。 また、立ち絵の誇張された表情がすごくいいです。不穏な雰囲気をぷんぷん漂わせてます。 しかし雪菜ちゃん、この様子では今後もDV男なんかに引っ掛かりそうで不安です…… -
炎上厳禁王族SNSなんだかよく分からない世界観だな~と思いながらプレイしていましたが、蟻の姿で吹きました。完敗です。 下ネタが多めな点と、BGMとSEの音量がかみ合っていないのがやや気になりますが、テンポよくさくさく進むので気分転換によいと思います。 -
St.ChocolateDayキャラクターがみんなとても可愛らしくて魅力的ですね。個人的にはあいかちゃんが好きです。好きだから香水をつけ過ぎちゃうとか、健気でいいですよね。こんな風にまっすぐで甘酸っぱいバレンタインを過ごせたら素敵です。 BADエンドが若干理不尽な感じがありますが、それ以上にHAPPYエンドが微笑ましく、読後感も良好です。また、オルゴール中心のBGM選曲が私の好みでした。1ルート十数分で楽しめる王道バレンタインもの、お勧めです。 -
ようこそ。この美しき世界へちょっと温かい気持ちになれる素敵なシナリオでした。 背景を使った演出なんかもよく、なんだかこの世界に希望が持てるようです。 手術までに主人公が抱えていた不安とか、花宮さんとの交流をもっとじっくり描いてくれると、より説得力が増して良かったように感じます。 -
お隣さんの手紙日常のちょっとした心温まる物語かと思ったら全然違いました。手紙の意味については早い段階で分かりましたが、その後の増していく狂気の描き方がうまいですね。違法じゃないにしても他人への手紙ののぞき見なんてするもんじゃありません。 短い時間でサクッと味わえるホラー風の物語、ゾクッとする感覚を楽しみたい方にお勧めです。 -
オオカミガールと機械人形の嘘つきレクイエム良かったです。タイトルやタグから、SF色が強いのかなと思っていたのですが、テーマはそこじゃなかったですね。最初に語られる通り、「嘘」というのがキーワードになっています。 普通、嘘はよくない事だとされていますよね。もちろん悪意のある嘘は許されませんが、人のためになる嘘、優しい嘘というのもあるはずです。「嘘も方便」という言葉もあるくらいですからね。本作の中でどのような嘘が出てくるのか、注目です。 最後はやや重い題材を扱いながらも、コミカルなシーンを挟んで暗い雰囲気にならないようにしてあり、このあたりのバランス感覚がうまいなと思います。30分ほどで読める軽めのほのぼのストーリー、気分転換にお勧めです。 -
そのサークル、地雷ですよ?これはすごいです。めちゃくちゃ笑いました。まず黒亜の毒舌がキレッキレで、「ゴミが…!」と聞こえる度に爆笑してました。その毒舌に応戦するアイスターちゃん、見事なまでにオタサーの姫なモエカ、中二病でめんどくさいけど良い奴なキルカなど、みなキャラが立っていて飽きません。章間に繰り広げられるお母さんとのバトルも見逃せません。ある意味このゲーム内で一番の曲者なのでは? 最終章はこれまでのキャラが集結してとても賑やか。人物を集めることに必然性があって流れに不自然なところがなく、感動的な演出です。緋色ちゃんいい子ですね。(ツンデレのお約束も好きでしたよ) 本作はフリーノベルゲームで同人制作について語ったのもとても意味のある事なのではないかと思います。仮にこれが商業作品だったとしたら、これほど笑えなかったし感動はなかったでしょう。特に3章の内容なんかは、すごく説得力があります。 ただ一点だけ、動作の安定性についてだけ何とかしてほしいです。特に、2章の立証パート後のシーンで「そんなこんなで、太陽の花畑での騒動は幕を閉じた」の台詞で画面が暗転し、ゲームが進行不能になってしまう不具合が何度も発生しました。ブラウザ版、Win版、Mac版すべて試してダメで、ダメもとでスキップで通過できないかなと試したら何とか進んだので最後まで読めました。とても面白いゲームだったので、この点でプレイヤーに離れられるのはもったいない。 -
今日、学校に行きたくない。どストレートなタイトルに目を奪われてプレイ。 こういう作品に出会えるからフリーゲームを探すのはやめられませんね。3番目の選択肢が無言なのとか、恥ずかしくて布団で顔を覆うとか、変にドラマチックでなくリアルなのが本当に考えさせられます。現実にこの主人公と同じような思いで生きている子たちがたくさんいるんだろうなと思うと胸が痛くなります。 ごく短編ながら重い感情を残してくる作品でした。お母さんがいい人で良かった。 -
その恋、保留につき、かなりむちゃくちゃなノリの"恋愛応援委員会"に絡まれるというラブコメ。 本作が凄いのはグラフィック。タイトル画面を見て可愛らしいなあと思い前から目をつけていたのですが、ようやくプレイできました。絵の上手さに主人公含めてフルボイス、オープニングムービーの出来栄えもすごく、かなり豪華な作品。さらにはlive2Dでまばたきする立ち絵。ビジュアルに惹かれたならプレイして損はなしです。 もちろんシナリオもよくできていて、適度に笑える内容。各人物のルートに入るとややシリアスになります。私は姪浜ルートが好きでした。
