肋骨あきのレビューコレクション
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あなたの命の価値リメイクver2虐待を受けた子どもたちがどう再生していくか、家庭を築くことはできるか、そして連鎖を断ち切ることはできるか、ということと、誠実に向き合った一作だと感じた。重いテーマでありながら、扱うためにはここまで描かなければならないというところまで真摯に取り組まれていて、ラストに打ち出されるメッセージに至るまでのすべてに好感を持つことができた。シンプルでありながらも心配りの行き届いたテキストも好きです。素敵な作品をありがとうございました。
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世界で一番不幸せな子ども全ての子どもが望まれて生まれてきた存在であってほしいし、「生まれて良かった」と思えるような世界であってほしい。しかし現実的には、この作品で描かれたように、両親が揃っていることや経済的な余裕があることといった養育環境が整わないこともある。そんな困難さに直面させられながらも、子育てを通じて感じる痛みや喜びが確かに伝わってくる作品でした。素敵な作品をありがとうございました。
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雨音、時々晴れ模様スチル・BGMともに美しく、OPとEDまでムービー付きで、力の入った作品だと思った。 @ネタバレ開始 またシナリオも、短編でありながらも余韻の残る結末で、往年の名作ノベルゲームのような読後感があった。『時間がない』という序盤の独白から不穏なエンディングを予感させつつも、最後は良い意味での裏切りがあり、自分も「神様」のように二人を応援したい気持ちにさせられた。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。
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雪消え鬱ゲーと聞いてプレイしました。 @ネタバレ開始 TRUE ENDでもしのぶさんが亡くなるという点では確かに幸福な結末ではないかもしれないが、そこに遺された想いを描いているという点では、全く暗いばかりの物語ではないと感じた。雪山の小屋という閉鎖空間から徐々に世界観が判明していく攻勢が、全体の分量は短いながらに、ミステリ的に楽しめる作りになっていたと思う。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。
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青は危険な色
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君と彼女のリリィヴァガンザ面白かった。 ヤンデレ、百合、ホラーそれぞれの要素が十分に発揮されている一作で、一転二転する展開とLive2Dを取り入れた冴えた演出に翻弄されながら、夢中で一気にプレイした。選択肢の出し方も、ノベルゲームとしての新しい境地を見せてもらった感じがする。 素敵な作品をありがとうございました。 一花と仁美の未来に幸あれ(?)
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夜半に道連れ泣いた。傑作だと思う。 短篇は結末の切れ味が命だと考えているが、本作は正にその要件を満たしていた。 @ネタバレ開始 特に、ED1が好みだった。自己犠牲に美しさを感じてしまうのは、欺瞞だ。 けれど、「こんなにも幸せな気持ちで死ねるとは思っていなかった」と言われてしまえば、あさひさんの決断を肯定するしかない。 また、ED3の結末も美しい。きっと、罪を犯した先に続いていく人生は、彼女たちが想像するよりも深刻だ。出逢ってしまったこの夜を、何度だって後悔することになるだろう。それでも、今は、共に朝を迎えられたことが嬉しい。今この瞬間でしか発生しない感情かもしれないが、そこに嘘はない。 @ネタバレ終了 Lo-FiのBGMとも最高にマッチした、ノベルゲームとしての表現も抜群に巧い一作。面白かったです。
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春田環の虚構演戯前作は未プレイだが、短いながらにまとまっていて良かった。 @ネタバレ開始 こういう、捻じれてしまった親子関係のどうしようもなさみたいな物語は、いつだって、胸にくるものがある。彼の幸福を祈りたい……と思ったが、Extraを読む感じ、けっこう積極的なタイプでもあるんですね。良かった。 @ネタバレ終了 今後も応援しています。
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白妙、紺に交るるまず、伝奇×組織モノという設定が好み。最近はあまり触れていなかったジャンルということもあって、非常に懐かしい気持ちになれた。 そして、何よりもキャラクターが良い。 @ネタバレ開始 各ルートで描かれるバックボーンが、それぞれのキャラクターの振舞いや口調などとしっかり関連しており、彼らのことがスッと理解できた。個人的には、視点人物の瑞花に同調してしまうけれど(眠りに就くことでいつか記憶や日常を手放してしまうという不安と隣り合わせなのが良いし、ヴァイスルートで描かれる過去も含めて多面的に描かれていると思う)、管理局のメンツのなかでは黒さんが好み(こういう胡乱な人、好きなんですよね)。 また、前作は未プレイだけど、隠しルートの一子さんもかなり気になる感じがした。とてもつよい。 @ネタバレ終了 総合的には、軽妙な会話と洒脱な世界観のセンスに惹き込まれた一作だった。