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いねむりスフィンクス/マーブル・フェアリーのレビューコレクション

  • ありすすとーりー
    ありすすとーりー
    ノーマルモードでクリアしました。 シナリオは読み込んでゲームはなるべく駆け足、 という具合に進めてクリア時間は五時間半ほど。 隠しイベントは未発見なので、 そこまで網羅するにはもう少しかかると思います。 ◆RPG部分について 初回ということで攻略情報は見ないようにしたのですが、 ノーマルでもなかなかの手応えで、 特にボスは体力の高さもあって何度かゲームオーバーに……。 ほぼ必須級のスキルもあったりするので、 習得・強化する順番も重要になってくると思います。 なおスキルはノーコストでリセットが可能、 後からでも自由に付け替えることが出来るという親切仕様。 一見してかなり高めにされているガチャに必要なポイントも、 運に頼らず容易かつ大量に獲得する手段が確立されています。 しかもゲームに上手く落とし込まれているので作業感も薄め。 全体的に高難易度ながら、 ユーザーにもとても寄り添った設計だと感じました。 低確率で出現するレアモンスターや達成率の数値化など、 コレクター気質なやり込み勢をくすぐる要素があるのもいいですね。 ◆シナリオ・キャラクターについて タグや注意書きにもある通りの題材が取り扱われており、 サムネイルの雰囲気からは想像し難いシリアスな内容も含まれます。 このシリーズの持ち味でもあるのですが、 初見の方はパートごとの温度差に驚かれるかもしれません。 ただ主人公のありすを始めとしたメインキャラの素直さ、 いい意味でのゆるさが雰囲気を大きく和らげてくれました。 見た目に惹かれたという方がプレイされても、 期待通りが感想を得られるんじゃないでしょうか。 それでいてギャップも味わえるという不思議な作品だと思います。 @ネタバレ開始 現実パートのいじめ描写はかなり直接的で、 救いはあるものと分かっていつつも辛いものがありました。 ですがそれだけにマユの悲壮さが伝わってきて、 終盤とエピローグのためにも不可欠な要素だったなと思います。 考えさせられつつ前向きになれる読後感で、 本作もプレイして間違いのない作品でした。 唯一歯を食いしばったのは最終エリア遭遇率2%のあいつに、 あと一撃で倒せるってところでやられた時ですかね(泣)。 シリーズ全作既プレイ者ならではの感想や疑問もあるのですが、 そうなると他作品のネタバレまで含めてしまうのでここでは自重します。 ただ本作を先にプレイしてありすが好きになった、 雰囲気が気に入った方は他の「ありす~」にも触れてみてはどうでしょう。 キャラクターや世界観を共有しているだけでなく、 作風にも通じる部分が多いのできっと気に入るんじゃないでしょうか。 @ネタバレ終了 今回も素敵な作品をありがとうございました!

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  • 海辺のかたらい
    海辺のかたらい
    全ルート、全エンディングを読了いたしました。 夜の海辺、二人による語らいの掌編と、 いわゆる雰囲気に全振りした作品なのかなと思っていましたが 決してそんなことはありませんでした。 (雰囲気に全振りした作品がダメというわけでもないのですが) 雰囲気の良さが大事な要素となっているのは間違いないのですが、 そこに依拠しているのではなく、あくまで魅力の一つという印象です。 総じて掌編ながら軸となるストーリーはしっかりとあり、 キャラクターも立っていて文章力も確かと、地力の高さがうかがえる作品でした。 淡々としながらも無味乾燥ではなく人間的な息遣いを感じられる…… そんなキャラクターや文章、世界観が大好きなので、個人的な満足度も高かったです。 テキストウィンドウのこだわりもいいですね。 場面ごとのムードにぴったりで没入感が高まりました。 素敵な作品をありがとうございます。

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  • GrayWorld
    GrayWorld
    とても短い作品ですが、 それだけに想像力と考察欲を掻き立てられます。 謎解き要素はヒントがかなり直接的なので、 専門的な知識がなくても答えられるはずだと思います。 24時間で制作されたとのことですが、 細やかな演出もあってとても誠実に作られた作品だと感じました。 @ネタバレ開始 初期状態及びクリア後のタイトルロゴをクリックすることで それぞれ見られる隠しシナリオ的なものも含めて読了致しました。 灰色(Gray)な世界も見方一つで 捨てたものじゃない(Grateful)世界に変わって色づいていく。 そういうメッセージもあるのかなと、勝手に受け取って解釈しました。 最初のアイテムを一つずつチェックしていくところで、 調べた順に適応する色の影がついていく細かい演出もいいですね。 @ネタバレ終了 独特な雰囲気が味わえる良い作品でした!

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  • 白い日傘とアンデッド
    白い日傘とアンデッド
    全エンド、クリアしました。 立ち絵のパターンも多く、素敵なイベント絵も豊富で大変お得な作品です。 なんといってもホネ子のキャラクターが良かったです。 あんなにいい子なら、流太君でなくとも救いたくなるでしょう。 ほぼ主人公とヒロインの二人だけで進行する作品ですが、 上林君も登場シーンの短さが惜しいぐらいにいいキャラクターをしています。 もちろん、主人公の流太君もここぞという時に見せる男気が光っていました。 @ネタバレ開始 あとがきで向さん自身が書かれている通り ハッピーエンドの流れは確かに唐突感があったものの、 たとえご都合主義的でも二人には幸せになって欲しいと、 そんな思いが高まっていましたので素直に良かったなあと思えました。 向さんの作風的にはホネ子とお別れで終わっても不思議ではなかったですし、 いい意味で裏切られました。ハッピーエンド後のタイトル画面が眩しい……。 といってバッドエンドも決して単なるゲームーオーバー的なものではなく、 それぞれ印象深いものでした。 バッドエンド確定の中、幼少時代の思い出がスチルとともに流れるという、 この手の演出に弱いんです。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!

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  • 【謎解きx脱出!】ありすえすけーぷ
    【謎解きx脱出!】ありすえすけーぷ
    もちろん、通常モードでプレイ。 ありすちゃんはなかなか容姿とギャップのあるキャラをしていて、 色んな意味でプレイヤーを楽しませてくれます。 謎解きの難易度は程よく、解き方のルールのようなものにさえ気付ければ、 少なくとも終盤まではそれほど苦労しないと思います。 ただし時間制限もあって初見では結構シビアなので、緊張感がありました。 最初に書いた通りありすちゃんの台詞がいちいち楽しいので、 じっくり総当たりして読んでいこうとするとマズイことになります。 本作は同作者による「ありすシリーズ」の三作品目にあたりますので、 ありすちゃんのキャラクターが気に入ったら前作、前々作もいかかでしょうか。 私は一作目は過去にプレイ済みだったのですが、 本作のプレイに先立って二作品目もプレイさせて頂きました。 それぞれ独立しているのでいきなり本作をプレイしても問題ありませんが、 思い入れがより強まることは請け合いです。 @ネタバレ開始 途中までの謎解きはすんなり解けた方だと思うのですが、 ラストで見事に沼ってCエンドもといシーエンドを連発してしまいました。 視野が狭くてカードの色の方にばかり目が行き、 メモにまで戻ってみるという発想にたどり着くまで何周したことか。 やっとの思いでクリアを迎えた時、 あのSEとともに表示される一枚絵がいい顔過ぎて笑ってしまいました。 @ネタバレ終了 とにかく楽しい作品でした! 進捗公開されているありすシリーズの新作も、 その他の完全新作もお待ちしています!

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  • 夏色のコントラスト【リメイク版】
    夏色のコントラスト【リメイク版】
    優しいけれど優しいだけでなく、でもやっぱり優しくて前向きになる作品です。 実写を加工した背景もノスタルジックなこの作品にはよくハマっていて、 アニメ風の立ち絵イラストとの組み合わせが絶妙なコントラスを生み出していました。 演出の強化と加筆でオリジナル版の雰囲気はそのまま、新しい作品になっています。 やや露骨だった伏線がよりさり気なくなっていたりと、細部にも手が加わっていました。 オリジナル版はプレイ済みという方も、改めてプレイしてみてはいかがでしょうか。 @ネタバレ開始 佐倉さんの告白シーンでは、広瀬君と気持ちがシンクロしました。 繰り返される含みから広瀬君の鬱屈を佐倉さん達が一方的に癒してくれる話だろうかと、 そう思い込んでいた頭を真横からぶっ叩かれたような衝撃を受けました。 読み返してみると伏線らしきものもちゃんとあって、この構成の妙は本当に見事です。 その一つは伏線かつ健児の小3らしからぬ気遣いも実は表現していたという……。 そしてそこからの二人の打ち明け話と抒情的な語らいが素晴らしく、美しい。 慰め合いや傷の舐め合いで終わらない、前向きな寄り添い合いという姿が……。 創作者としての感想ですが、私自身が書きたい物として目指す関係性の理想形でした。 しかし健児のMVPっぷりが途轍もなくて。将来、一体どんな男に成長するのか。 @ネタバレ終了 本当にいい作品をありがとうございました! 

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  • お姉ちゃんの定理
    お姉ちゃんの定理
    数学というより数学者、もっといえば『数学者という概念』を題材とした作品と言えるかもしれません。 実在の人物、実際の数学知識が頻出するので、知っている方はそれだけでおっとなる場面が多々あること請け合いです。 しかしこれだけ専門的な要素を散りばめながら、決して独りよがりなものになっていない絶妙なバランス感覚が素晴らしい! 純粋にキャラもの、ストーリーものとしても非常に完成度が高く、終始楽しく読めるものに仕上がっていました。 特にヒロインであるお姉さんはトリッキーな性格ながら理不尽系ではなく筋が通っていて、それでいてキャラが立っている魅力的な人物でした。 また作者さんは普段は小説を書かれているということもあってか、文章もかなり書き慣れているように感じました。 難しい内容の説明も比喩を乱用せずとも分かり易く、かつ小気味よいリズムで書かれているので読むのが苦になりません。 @ネタバレ開始 αルート、選択肢以降の展開ですが―― 特殊な才能だけでは高みにいけないと、研鑽と積み重ねを重んじるところ。 ただの美人なお姉さん目当てだと思っていた友人が実は数学に造詣が深く、 姉のことも数学面で慕っていたことが明らかになり、しかもめちゃくちゃいい奴だったことが分かる場面。 一度は諦めの気持ちを持った主人公が再燃するシークエンスで締めくくられるラスト。 どれもとても好きな展開で、しかも見せ方が非常に巧みで気持ちが一気に盛り上がりました。 『先天的な才能がすべてに勝るわけではない』 『失った時間は取り戻せないが、今この時点からの再起は目指せる』 『いきなりのハッピーエンドには向かわないが、希望を感じさせるラスト』 個人的にも大好きな要素がつまりにつまっていました。 @ネタバレ終了 本当にいい作品をありがとうございました!

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  • 一心同体
    一心同体
    プレイさせて頂きました。全ルート、全エンド拝見出来たと思います。 イラストはもちろん、背景の加工やBGMのチョイスも不穏な雰囲気によく合っていて没入感がありました。 @ネタバレ開始 明らかにぶっちぎって奪っている腕を手記では「貰った」と表現している辺りに、石野の狂気(狂愛?)を感じますね……。 そしてEND4ラストの一枚絵からタイトル画面へと戻る演出がいい。 ストーリーの結末としてはEND2もこれはこれで、という後味があって甲乙つけ難いところです。 @ネタバレ終了 掌編ながらキャラクターが立っていて、独特の雰囲気もあり、とても印象に残る作品でした。面白い作品をありがとうございました!

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  • よくある日常
    よくある日常
    掌編ですが分岐場面が多いので、シナリオ量以上に遊び応えがありました。 ストーリー分岐には関わらないけど、演出や伏線として機能している選択肢もあるなど、短いながら凝った作りになっています。 初見で理解するには複雑な設定もいくつか登場しますが、その分、これらも考察要素として機能しているのではないでしょうか。 @ネタバレ開始 全6エンドとも拝見しましたが、一番好みだったのは<True END~『キミ』の選択~>です。 僕自身はハッピーエンド好きですが、誤魔化しや偽りのハッピーエンドよりは……という考え方なので。 序盤で鞄の中にあったバレンタインプレゼントの伏線回収も効いていましたね。 @ネタバレ終了 ところでタイトル画面で「つづきから」を選んでも初めからゲームが開始されるのですが、こちらは意図的な演出or仕様でしょうか? 単純なミスかもしれないので、気付いたのにスルーするのもどうかと思い、一応こちらで報告致します。

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  • 僕らのノベルゲーム
    僕らのノベルゲーム
    創作をする人間なら共感出来る解像度の高い描写が数多い作品ですが、純粋に十代の青春物としても非常に面白く感情を揺さぶられる物語です。 実はかなり前からちびちびと進めていたのですが、中盤のとある展開からは止まらず一気に読み進めてしまいました。 @ネタバレ開始 一つの問題が解決したかと思った途端にあの展開は胃が……。 何度も修復するチャンスはあったはずなのにどんどん泥沼にはまっていき、いよいよ最悪の事態を招いてしまった時の新平には……本当に何をやってるんだよという気持ちにさえなりました。しかしかなりの割合で自業自得とはいえ、ますます追い詰められていく新平はやはり見ていて辛いものがありましたね。 だからこそあの決意をしたシーンでは胸が熱くなりました。よくやった鬼瓦(登場時はなんだこの生意気野郎とか思っていてスマンかった)。 全てが元通りになるわけではない、けれど限りなく前向きな着地点も自分好みですごく良かったです。まさしく卒業という感じで、後腐れなく晴れやかに読み終えることが出来ました。 @ネタバレ終了 本当に良い作品をありがとうございました。

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