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SHIAのレビューコレクション

  • savon
    savon
    湿度高めなしっとりとした物語、楽しませていただきました。 柘榴雨様の作品たちの中でも、しっとりしていて時間の流れがゆったりしたタイプの作品は世界観のまとまりが秀逸だなーといつも感嘆するのですが、今作の様々なグラデーションに彩られた沁みるブルーの世界は、過去最高にまとまっていた気がします。 @ネタバレ開始 起動当初のパスワードや右下のアイコン画面から、この時点で「これは青年が登場するゲームをプレイするお話なのかな」と思い、すべての時間で「なるほど、癒しゲーム! 彼を攻略していて見事にルートに入った的な展開!」というような、ゲームの中でゲームをプレイしている感覚がずっとしていました(チュートリアルなどの表示がまさにそうかなという…)。 現実で彼と過ごしているというよりは、ゲームのキャラを眺めている…という感覚でしょうか。 なかなかに面白い体験でした。 そして、まさかの彼が本当にゲームのキャラクターとして「そうあれかし」とされていたものだったとは…! 彼の存在は「ここ」にしかないのだということ、そして彼は「彼が持ちうる彼の設定」以外の「彼」にはなれないという絶対的な世界からの縛りがあること…そういったものに対する悲しみや辛さがひしひしと伝わってきました。 エンディングとしては、ずっと君を―――という爽やかなエンドがありましたし、枠組みから外れた淡い光のようなものを感じるエンドもありました…が、やはり根底にある絶対的な隔たりが無視できないポンコツプレイヤーなので、しっくり来たエンドは「忘れない」でした。 泡(やシャボン玉)は美しいけれど、光に七色に煌めくけれど、最後は絶対に消える。 本作における彼は、まさに泡のよう。泡沫の夢のような存在。 でも、人間って泡みたいにきれいなものじゃなくて、泡を汚してでも泥臭く這って生きる汚い生き物だから、呼吸しているかぎり毎秒ごとに汚れる生き物だから…頭の中に刻んだまま忘れないでいて、虹や雫、どこかの子どもが吹いてできたシャボン玉を見たときにふといつかの泡の美しさや心地良さを思い出してまた汚れながら生きていく、そんな終わり方が見えるエンドが一番しっくりきました。 彼のプレイヤーへの気持ちがどこまでが彼のもので、どこまでが作られたものなのか…その境界すらも泡となって消えていくような不思議な魅力に溢れた切ない物語でした。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 白と黒と、あの彼女は -The Colour Out of Space-
    白と黒と、あの彼女は -The Colour Out of Space-
    クトゥルフ神話はちょこちょこ知っている断片程度ではありますが、本作はかなり楽しめました。 もちろん知らない方も楽しめる物語に仕上がっていて、狂気の欠片がみぢみぢと入り込み、そこから狂気大ブレイクな世界まで見たい人にもオススメです! @ネタバレ開始 白と黒の世界にあまりにも鮮やかすぎる彼女…なんて美しい人だ!と主人公とともに白と黒の世界にいた私もまた、彼女の美しさに魅入られ…最後のあの来るべくして来た展開に「主人公ぉおおーーー!!」と叫んだ時には、主人公はもういませんでした…これぞクトゥルフの恐ろしさ! じりじりちりちりと肌を這うような恐怖、すごく良かったです! (キャッキャッしておりますが、あの瞬間の画面には随分と驚いてビビりました…) 「宇宙からの色」、抗えませんね…! @ネタバレ終了 とても独特なカラーを持つ作品ながら短編なので15分程度で読める手軽さが魅力的、かつ表現の仕方がとても素晴らしい素敵な作品でした。 ありがとうございました!

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  • 銀雪の呪福
    銀雪の呪福
    タイトル画面からして美しい女性が気になる本作、以前にホラー連作を作成しておられた作者様のホラーではない作品ということで、また別の魅力が溢れていて素敵な作品でした。 日本の古い村独特の空気や民俗学などが好きな方は、出だしの部分からワクワクすること間違いなしだと思います。 @ネタバレ開始 おとね様が大変美しく、そして切ない物語でした。 物語序盤から中盤のおとね様のフレンドリーさが親しみを抱かせてくれていたので、後半の展開はグサッと刺さりました。 「できない…上の選択肢は選べないよー! しかもマウスオンで血が乗るんですけれど!?」と、悶絶していました。 あの選択肢は、初回はもちろん下を選びました…後に上も見ましたが、断然ここは下を推したいです。 最後の正一くんへのお手紙を読んだときに「待て待て待て、この話、見たことあるぞ!」と前作をプレイ済みの身としては驚かざるをえない部分がありました。 そこから繋がっていくのですか…! あとがきにも描かれていましたが、正一くん以外は立ち絵をなくしておとね様にのみ絞られたのはとてもお上手な工夫だと思いました。おとね様の立ち絵の美しさが際立っていました。読了後の全身立ち絵と表情が見られるギャラリーも大変嬉しかったです。全身の御姿も美しい…! 背景も今回は手描きされたとのことですが、むしろそれが作品の雰囲気づくりに一役買っていたと思います。人々が電気機器がなく何もかも手で行っていた時代独特のあたたかみみたいなものが画面から出ていて、背景込みで作品の空気が好きになりました。 おとね様の魅力をたくさん感じつつ、最後のあのまとめ方は前作履修済みのプレイヤーには衝撃の結末で大変楽しく遊ばせていただきました。 お忙しいとは思いますが、次回作も楽しみにしております! @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 放課後、図書室で君を見る
    放課後、図書室で君を見る
    図書室から始まるほんわかした恋の物語、堪能させていただきました。 ミズアキくんの行動力が素晴らしかったです。 @ネタバレ開始 気になる人と静かな図書室で二人きりだと、どうしても意識してしまいますね…! ユキノさん同様に私もミズアキくんの積極性ややさしさには終始キュンしていました。 教室で音楽CDを「要らない」と素っ気なく断ってしまった後はどうなるかハラハラしましたが、無事にハッピーエンドでほっこりしました。 紙に印刷された本好きとしては、こんな青春時代を送ってみたかったです。来世に期待します。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 花雨 落花空に帰らざること
    花雨 落花空に帰らざること
    サクッとお手軽に濃度の高いヤンデレを摂取できる和の風情を感じる作品、全方向ヤンデレエンドでこれでもかーとヤンデレを浴びられました。ヤンデレ好きさんはこの指とまれ(≒マストプレイ)です。 @ネタバレ開始 個人的に一番好きなのは山茶花さんでした。 以前からかわいがってくれた相手を好きが高じて病むほど好きになる展開、大好きです。しかも里でも指折りの美少年とくれば、頭の中で小さなガッツポーズを取らざるをえません(孤立する原因を流布していたという事実にはとりあえず目を逸らしつつ…)。 好き好き超好き!を全身全霊で元気に伝えてくれる山茶花さんは、とてもかわいいなぁと思いました。 上から順番にプレイしていきましたが、初っ端から桜様の監禁型ヤンデレ…しかもちょっと前までとてもやさしくなかった?と思う変わりっぷりがビリビリ痺れました。執着する主人公さんをマイホームに招き入れた喜びゆえか急に愛情溢れて支配欲全開になってしまわれた…しかもちょっと怖いぞ…愚かな小娘と言われてしまった…と、初見はビビりが入りましたが、睡蓮さんルートに至る頃には「ははは、また出てこられましたよ桜様。他の方のルートにまで食い込む存在感マジ桜様」くらいに桜様の溢れてやまない愛と支配欲に慣れました。手元に置いてとにかく(自分流に)愛でまくりたいのですね…! まさにヤンデレの鏡…! 大変重くてカルピスも真っ青の超高濃度なヤンデレ素敵お兄様、愛をひしひしと感じました。 睡蓮さんのちょっと屈折した愛は基本的につかず離れずな距離感を保ちつつ、主人公さんのことはまばたきの数までカウントしていそうな執着っぷりが大変良かったです。この世に存在するすべての存在の中で俺だけが彼女のことをなんでも知っていると言わんばかりの自負に裏付けられた絶対的な重々愛、大変美味しゅうございました。 人物説明でストーカーと公式明言されていましたが、お話的にはまさにストーカーさんでした。ですが、ストーカーにしか至れぬ狂気マシマシの愛の境地があるヤンデレさんですね…! 紫苑さんはだるまさん~エンドが本作屈指にして最強の激ヤンデレぶりを見せておられ戦慄いたしました…軽くなったってそういうことですよね? あら随分コンパクトになられて…って、そのコンパクトさ、それそういう意味ですよね? と文章を三度見くらいしました。 紫苑さんの積年の想い大爆発ぶりには「ああああ…」なんて悲嘆の声が漏れずにはいられませんでした。紫苑さんのこれを見た後だと、どの方のどのエンドもハッピーエンドにすら見えてくるレベルでインパクトがありました。 すべてが終わった後の…あのエンドは「いと美しき希望(≒画面)を絞殺するめためた超絶に怖い闇(≒結末)」という言葉の乱れ具合が大変なことになっている感想を抱くしかない衝撃的な終わりでした。 「その男誰!?」となってしまいましたが、解説を読んでなるほど…となりました。 (最濃厚人物として)ここで桜様…おぬし…最後までヤンデレ的な意味でデキる男…!などと無礼なことを思いつつ、他の方の可能性も十分にあるとのこと、誰だったのだろうと考えられる余地があって面白かったです。 最初から最後まで文章が美しく、文章の感じと背景音楽がとても合っていて、サクサクと全エンドフルコンプできました。 ヤンデレ好きさんが「ヤンデレ成分が足りない~これじゃ明日のプレゼンで全力を発揮できない~!」などヤンデレからしか摂取できない成分に枯渇しておられるときに是非にサクッと摂取してほしい、素敵なヤンデレさん勢揃いの作品でした! @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • テオデ・サーガ~流浪のヴォータン~
    テオデ・サーガ~流浪のヴォータン~
    魔法使いにはあまりにも厳しい世界が舞台のシリアスなお話、最後まで大変楽しく読ませていただきました。手に汗握るバトルが特に素晴らしかったです。挿入されるカットインや一枚絵の差分が豊富で、画面がとても華やかかつ見応えがありました。 また、背景などもすべて手描きという素晴らしさ、お部屋の細やかな装飾などを見るのも楽しかったです(主人公のお部屋の酒瓶を数えました…すごい並んでいる…!) @ネタバレ開始 初めての登場からずっっっと気になっていた彼女のお名前が、あの緊迫のシーンで出てきたときは今作最高に心躍りました。ここでこの演出!! 血が滾るーー!!という感じでした。アドレナリンがドバドバと出ました。個人的にドストライクな超好みな演出でした。 また、このときのBGMがとても神秘的でシーンに合っていて、大好きです。 テオデさんの過去が夢の形で出てきて、その後に内面を告白するシーンは、見ていて切なかったです…本当は怖いんだ、寂しいんだと思うと、望月さんのような人に支えられてほしいと思いました。自分らしく生きられるところへ、テオデさんの心から行きたい場所に行ってほしいと強く思いました。 そんなことを思っていたら、望月さんが網膜の認証システムをなんとかしないと~と言って、本当に色々な意味でなんとかしてしまったときは「ああああ…痛そう! でも行くんだね! 応援する! 頑張れ!」と画面の前で盛大なエールを送りました。 博士との戦いでテオデさんが大ピンチなときに博士が色々と科学万歳・科学万能な感じで魔法使いをすり潰して使うことに何も疑問を抱いていないのは純粋に恐ろしかったです…ああこうして人間はいずれその傲慢さゆえに滅びるんだなというところまでセットで見えました。生物であり、感情もあり、人生もあり、家族や仲間がいた魔法使いをそんなふうに扱えるなんて…と。軍人さんも大概だなぁと思いましたが、博士は輪をかけて酷い人だという思いを抱きました(博士に関しては、クリア後のオマケでKUDANのブレインが予言の魔法使いの脳を使っているというところで「この人、本当にどこまで…!」と絶句しました…) ラストの終わり方は多少「あ、れ…?」となりつつ、テオデさんは行きたいところに行けたようで良かったです。 北欧神話が色濃く出ていたので、この世ではない世界…ヴァルハラ的な場所に至れたのだろうと推測しました。 この後、彼女は安住の地を手に入れたのか…仲間たちと会えたのか…。もう誰かに追われたり、命の危機に怯えたりしなくていい、心安らげるところへ辿り着けたのだろうとプレイヤーとしてはハッピーエンドの想像をして読了とさせていただきました。 本作は素晴らしい物語に加えてグラフィックが本当に秀逸で、素晴らしい物語の魅力をさらに盛り立てていました。大技を出すときにしか使われない一瞬のカットインなどまで豊富で、作者様の愛をたくさん感じました。軍人さんとのラストバトルと博士とのバトルでは「おおー!」とか「すごい!」とか、演出に驚嘆の声がたくさん出ました。 気が早いですが、作者様の描かれる次なる作品が今から楽しみです。 末筆となりしたが、テオデ・サーガというタイトル…プレイ後に見ると、沁みますね…! @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 人生はつづくよ、どこまでも
    人生はつづくよ、どこまでも
    心春さんと綾斗くんの心揺さぶる物語、そして続く梓さんと綾斗君の物語、終わった後も心に余韻が残るとても深いお話でした。 みゃあすけ隊長さんの華やかでやさしい、そしてとてもあたたかい雰囲気を持つ美麗なイラストが、この重たい物語の中でなお「ぬくもり」というかけがえのない大切な温度を失わせない素晴らしい魅力となっていました。 @ネタバレ開始 死を隣人とする心春さんとそんな心春さんの心を支える綾斗くんのよちよち歩きな恋の物語、見ていて微笑ましくなりました。 たまに綾斗くんに「そこは! かわいいだよ! とてもかわいいだよ! Fantastic Cuteだよ! 初めての私服で〃思いつかない〃とか! もぉぉぉーー!!」ともどかしさに叫んだりしましたが、二人で紡いだ時間は綾斗くんの人生で一生彼の中にあり続けるのだろうなと思いました。これからもっともっと時が流れて細部は忘れても、心春さんと過ごした時間が彼の未来にいずれ根を下ろすことが予感されました。 途中の回想で伯父が色々と心春さんにあまりにも酷いことを口にするシーンは、純粋に怒りが湧きました。 御年何歳か存じ上げませんが、10歳の子どもに「君は自分のことばかり。君のせいで家族が疲弊して壊れてしまう」と言うなんて信じられませんでした。一番大変で辛くて苦しくてどうにかなりそうなのは心春さん本人で、家族が疲弊しているのなら、それを支えたりするのは周囲の大人たちのサポートや行政などの問題。絶対に心春さんのせいだなどと口が裂けても言っていいわけがない。伯父に対して画面の前で「ガルルルル!」と唸りました。 そこから聞きわけのよい子であろうと明るく振る舞い続けた心春さん…綾斗くんが「弱くていい。~」と言葉をかけたときはジーンときました。弱くていいよ、とても困難な人生を歯を食いしばって生きているだけですごくすごく頑張っているんだもの。 心春さんが亡くなった後の喪失感に自死さえ考える綾斗くんと姉を自死で亡くして自責の念に苛まれる梓さんがメインとなった後半は、内にある苦しみや悲しみを互いに外に出し、自分の中で大切な人の「死」を少しずつ受け止め、互いを癒していく会話が心に深く残りました。 亡くなった人の何もかもがなくなったわけではないよ、受け継がれていくものもあるよ、ということを栞のエピソードでひしひしと感じました。 そして、綾斗くんの存在そのものが亡くなったお母様にとって「自分が生きた証」そのものでもあることにも深く思いを馳せました。 タイトルの通り「人生はつづくよ、どこまでも」である綾斗くんたちの明日が、希望に満ちたものであることを願います。 冒頭でも記しましたが、本作はみゃあすけ隊長さんのグラフィックのあたたかみによって、物語の重さ、特にすべての人間が通る「死」という知ることのできないものの中においても、ぬくもりを感じられました。絵柄の持つかわいさはもちろん、みゃあすけ隊長さんが持つ人としてのあたたかさが存分に出ているからこそのものだったのではないかと思われました。 そのおかげで、とても悲しい物語でありながら最初から最後まで誰かが手を取っていてくれるような、背中に手を添えていてくれるような、そんなやさしいあたたかさを常に持っていました。 @ネタバレ終了 人生とは、死とは、生きるとは…を改めて考え、大切な人と一緒にいるかけがえのない時間を想った物語でした。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • +fence
    +fence
    切なさの塊みたいな物語でした…でもそんな絶望するほどの年の差でもないよ!なんて、作中何度彼に慰めの念を送ったことか。 エンドクレジット部分は人によって受け取り方が違うかな?と思う、切なくも面白い仕掛けが施された終わり方でした。 @ネタバレ開始 精通してなくても男だよ!!!と画面に向かって激励の念を送っていたときが、本作一番の私の様子がおかしかったところだと思います(本当にね) 少年の純粋な気持ちが報われないままだったのか、それら含めて最後まで書かれていないところが本当に味があるなぁと思いました。いわゆる憧れのお姉さんとして子どもの頃の初恋の記憶のようになるのか、この後も一途な恋として続くのか…青年が恋人になってもなお想い続けることがやめられるわけでも、好きな気持ちがなくなるわけでもないので、少年がこの後どのような人生を送ったのかが気になりました。 最後のエンドクレジットは、少年がもし自分の生まれが違っていたら―――という、在りえたかもしれない未来だと想像しました。 ただし、それはあくまで「ありえたかもしれないがありえなかった」という域を出ないという意味で最後に囲いのフェンスがあったのかなと…あそこで、この物語は行き止まりなのだという切ない形で受け取りました。 大変エモエモで、少年がいじらしくて、青年には悪いですが、少年の恋心を全力で応援してあげたくなるお話でした。桜さんも自分を慕う少年の気持ちに応えてあげたくても応えてあげられない社会的な立場や年齢、本格的に男として女を見る目になりそうな少年の危うさなどに、どれほど思い悩んだことかと思います。 @ネタバレ終了 本作は基本的にお相手のセリフのみで進み、プレイヤー視点の人物はセリフらしいセリフがないため、こちらから何を言っているかは想像にお任せというところも面白い試みでした。それでいて、おそらくこんな返事をしたのだろうと想像しやすく、物語の進行が分からないということもない絶妙なセリフ回しが秀逸でした。 少年とのエモすぎる恋を楽しみたい方にはマストプレイしていただきたい作品です。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 教室に巣食う悪魔たち
    教室に巣食う悪魔たち
    前情報通りのなかなかにドロッドロな一本道ミステリーでした。人間が持つ負の部分を教室を鍋としてぐるぐるグツグツかき混ぜたらとんでもない悪魔たちが出てきた…といった風情でした。 何が起きていたのか、何をしていたのかを回想するタイプのもので、少しずつ紐解かれていく物語はラストが圧巻でした。誰もが人生で一度は聞いたことがあるであろう、クラシックオンリーなBGMも本作においては効果絶大でした。 @ネタバレ開始 ミステリーにおいては「この視点さえも別の誰かかもしれない、主人公のように振舞っている〃誰か〃でさえ犯人かもしれない」という超絶猜疑心の塊で進めているので、開始早々に「この日記などを見ている人物こそ犯人かもね!」とザルすぎる推理の下で進めました。 いや…この推理ある意味では…うん、と思いましたが、まさかのラストでした。 「これで終わりなわけがないよね」とは思っていたのですが、「はははははは!!」の本人的にはハッピーエンドからの大逆転劇、ちょっとスカッとしました。途中からこの人物がどういう人物なのかはほぼ正確に把握していたので、このまま酸素を消費されて終わるのはね…と思っていましたので。 過去の事件の直接的な長期加害者である方々に関しては、どのような姿に成り果てていてもそれはそれ、自らの行為に見合った終わり方になっているといいのですが…と冷めた感想しか抱けないくらい残虐な人たちだなぁ…と思うのみでした。 自分が女性なので、逢沢さんが受けた地獄、まさに生きながら毎日殺され続けるような地獄ですね…毎朝目覚める度にまだ生きているのかと自分が生きていることにさえ絶望していたであろう心情を思い辛い気持ちになりました。 最後の最後の画面の様子があまりにもホラーすぎて「ひぇえー!」となりつつ、彼女がこれから先どのような未来を歩むのかがとても気になりました。 真相が遠からず明らかになったとき、逢沢さんの名誉が回復されるといいなとも思いますが、果たして逢沢さんは親友による人生をかけた復讐まで望んでいたのかどうか…様々なことを考えながらの読了でした。 @ネタバレ終了 本作は、じわじわと迫りくる怨霊などがもたらす得体のしれない怖さではなく、誰しもが生きているうちに少なからず触れているであろう人間の負の部分、底なしの悪意や小さな悪意などが幾重にも折り重ねられた恐怖、そして憤怒や深い悲しみまで、人が持つ感情の髄を感じられるお話でした。 他ではなかなか味わえない作品だと思いますので、苦手でない方はぜひ遊んでみてほしいです。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • My dear devil,XXX(デビキス)
    My dear devil,XXX(デビキス)
    キスから始まる人外の方との恋愛、ちょっぴりスリリングな展開もありつつ楽しませていただきました。 攻略対象は御二人ですが、どちらの方も異なる魅力があって迷ってしまいます♪ @ネタバレ開始 ゲーム制作20周年、おめでとうございます! 20年も制作を続けてこられた熱意と愛に敬意と拍手を! マオウさんはかわいい系、キズナさんはツン系で、御二人の魅力の間でドキドキフラフラしつつ、とても楽しめました。 キズナさんとはとあるエンドでバッドエンドにしか見えない結末を迎えるわけですが…別エンドではツンツンしつつも首筋にキスまでしてくれて、ドキドキしました。 いつか二人きりのときだけでもデレッデレになってくれないかなと淡い期待を込めてしまいます…! マオウさんはカワイイ系でハッピーなエンドでは、もうとっっってもかわいかったです! 笑顔が素敵すぎて…スチルが出てくる度に「かわいい、カッコイイ!」と画面の前で自分の頬を両手で挟んでニヨニヨしてしまいました。 ちょっぴり不器用なところ、本当はとてもやさしいところなども魅力的で、少しずつ心を開いてくださり仲を深めていく過程は「ちょっと警戒心薄れてきたかな?」「心を開いてくれたー!」と思えて嬉しかったです(好きな人のこととなるとトコトン頑張れる主人公さんの押しの強さも素晴らしく…!) 動いている立ち絵や場を声優様の素晴らしい演技が光るお声など細部まで素晴らしく、攻略対象ではないダヤンくんもとてもかわいかったです。 全エンドコンプリート後に見られる記念絵もとても素敵でした。特に本編では敵サイドのような形で出てきたダヤンくんの笑顔…とてもかわいい! かわいいの塊!でした。 ダヤンくんは80歳とのことで…見た目はあんなにかわいいのに、実は結構なお兄さんなのですね! ギャップが素敵です! キズナさんはまさかの130歳で、終始落ち着いている大人の魅力と貫禄ある御姿に納得でした。 エンディングによって未来は様々ですが、主人公さんと両想いになって人間として幸せになるマオウさんを激推ししたいと思います。人の不幸ばかりを考えていたマオウさんが、幸せなことと主人公さんのことをいっぱいいっぱい考えて、たくさん幸せになりますように! @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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