heart

search

リル (lirues)のレビューコレクション

  • 星降る草原で
    星降る草原で
    タイトル場面が差し替わる前のバージョンからプレイしておりました。 作風に合わせた凝ったロゴと、その後ろで流れるピアノの旋律がとても印象に残るタイトル場面から始まる本作。 まるでこちらに向けて語りかけるような始まり方で、「普通の作品と違う」という印象を抱いた方もいるのではないでしょうか。 本編に入ると、音楽なしで虫たちの声だけが聞こえてくるのも、その印象をより強くしていると思います。 本編は「僕」が星空の下で、今までのことを回想するような形で進みます。 途中、思いもよらない出来事が起こり、星空の下でゆったりと話を聞かせられていた感覚が、急に変わっていきます。 そして、流れは予想外のところに曲がっていって… 10分ほどの小規模の作品なのですが、音楽や虫の声の使い方、綺麗な星空など、細やかな演出が光る作品でした。 また、いわゆるADVとしては少し挑戦的な作り方になっており、個人的にとても興味深かったです。 アップデートからはクリア後、タイトル場面が変わる仕組みになっていますが、「自分ならどうするか?」という考えに浸ってみるのも、この作品の楽しみ方の一つだと思います。 なにせ、この語りかけは「あなた」に向けたものですから。 @ネタバレ開始 タイトル場面が差し替わる前の頃には、途中、不意打ちのような感覚を食らったのですが、差し替わってからは、作品の世界観が明確になったため、そのような感覚は薄れてますね。 差し替わる前には、戦争の言及が出るまでファンタジー世界観という認識がなかったため、本当に不意打ちを食らったような感覚でした。 これはもったいない気もしますし、これでよかった気もしますね。 「僕」に意識が薄れることによる虫の声の遠ざかる演出、最高潮のところに流れるBGMは非常に上手い演出でした。 本編の最後になって、この作品は「僕」が「プレイヤー」に直に訴えかけていたものであることが明らかになります。 語りかける形ではあったものの、プレイヤーはゲームの中にいないだろうという認識だったので、これにはびっくりしました。 作品の中で完結する作り(一般的な物語はそうですね)ではなく、プレイヤーに直接語りかけるような作品作りは、やはり珍しいと思いますし、何より「他人事」じゃなくなることが大きい。 なにせ、「僕」が思いを託したのは「プレイヤー」である「あなた」なんですから。 この思いを受け継いだ「あなた」は、言われた通りちゃんと伝えに行くのもいいし、伝えずそのままにしておくのもいい。 タイトル場面だと「ちゃんと伝えた」ことになるものの、やっぱり、その選択権はプレイヤーに委ねられているわけです。 果たして、自分ならどうするのか? そういう「作品の中に止まらない」「人によって判断が異なる」可能性を作品に盛り込んだことは、とても面白いところだと思いますし、「いろんな作り方の作品があってもいい」という、作品の多様性という側面でも意味のある試みだ思います。 決まった物語を「舞台の外」から楽しむ形の作品もいいけれど、このように、「あなた」次第である作品も、いいものだと思いませんか? @ネタバレ終了 たった10分くらいの規模であるものの、ただの物語以上の、とっておきの「体験」を求める方なら、きっとその規模以上の感銘を受けること間違いなしの本作。 夜空を見上げながら、その語りかけに耳を傾けてみるのはいかがでしょう?

    レビューページを表示

  • 咲希ちゃんと○×ゲーム
    咲希ちゃんと○×ゲーム
    とりあえず、あとがきが出るところまで進めました。 わかりやすいルールで有名な三目並べ(tic-tac-toeとも呼ばれる)に、数字の増減要素を添えることで、可能性と発展性を加えた力作です。 まさかティラノで具現できるとは、思いもしませんでした! ゲームのルールは簡単ですが、タイトル画面の演出が凝ってたり、作者さんご自身で演奏されたBGMがあっちこっちに用意されており、力の入った作りになっていることが伺えます。 ゲームの途中、どこに◯をつけるか悩んでしまう時、このクラシカルなBGMがいい息抜きになってくれるのでしょう。 進行によって細やかにヒントが用意されていたり、バッジがたくさんあったり、戦績がリセットできたり、初心者でもわかりやすいチュートリアルが用意されてるなど、プレイヤーに親切なところも嬉しいですね。 ヒントモードを含めて、本編(三目並べ)の場面作りも、咲希ちゃんと向き合ってる感じがして、個人的に嬉しかったです。 誰かと一緒にゲームを楽しむのって、やっぱりいいですよね! ルールは基本的に三目並べのそれですが、この作品の場合、点数(数字)の増減という要素があるため、場合によってはマイナスになる数字でも取りに行った方が上手くいくこともあります。 こういう要素、戦略的でワクワクしちゃいますね。 普通は三目並べのルールだけ頭においておけばいいのですが、高難易度の場合、これで勝敗が分かれることもありますから、油断できません。 時間切れのない優しい仕様になってますので、ゆったりプレイできるのもいいところです! 個人的には、レベル選択の場面ではタイトルに戻れない(っぽい)のが少し不便に思えてしまいましたが、◯をつける時のそれっぽい効果音など、細かいところまで気を遣って作られた作品だと感じました。 @ネタバレ開始 実はこの作品、意外なところまで凝っておりまして、咲希ちゃんが明らかに手を抜いている難易度で何回か連続で負けたり、逆に難しい難易度で何回か連続で勝つと、隠しモードを楽しめるようになります。 「最弱王決定戦」、パワーワードすぎる… まさか、三目並べの基本ルールすら逆転とは、恐れ入りました。これは大変なやつだ… 「最強」モードでいきなりAI(ロボ)が出てきた時は、すごく予想外の展開だったため、思わず「どういうことなの…」になってしまいました。 やっぱりというか、最強って難しい! 自分も早く「敗北を知りたい」人間になりたいです(迫真) @ネタバレ終了 単純なルールで楽しめて、その上で発展性やプレイヤーを楽しませようとする作者さんの遊び心が光る良作です。 ほっと息抜きしたい時、かわいい女の子と少し変わった三目並べはいかがですか?

    レビューページを表示